JP2015072853A - リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気伝導性に優れ、簡便に製造可能な、リン酸ニッケルリチウムを含むリチウム二次電池用正極材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
リン酸ニッケルリチウムの110/201回折ピークの強度に対する、10.3°±0.15°、13.1°±0.15°、14.0°±0.15°及び15.2°±0.15°の各角度に存在する回折ピークの強度である強度比について、条件(A):10.3°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が10×10−3以下、条件(B):13.1°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、条件(C):14.0°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、条件(D):15.2°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、のうちの少なくとも3つの条件を満たす。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法に関する。
限りある石油資源の枯渇防止や二酸化炭素排出による地球温暖化防止の観点から、船舶等の動力源として、電力が注目されている。このような船舶等においては、リチウム二次電池等の二次電池に蓄電された電力を用い、搭載されているモータが駆動される。そして、モータに接続された回転翼等が駆動されることで、船舶等が航行可能になっている。
二次電池は、正極及び負極を備えている。二次電池の中でもリチウム二次電池の正極には、通常、電極板表面に正極活物質が担持されてなる。そして、この正極活物質にリチウムイオンが吸蔵及び放出されることより、リチウム二次電池の充放電が行われる。このような正極活物質として、リン酸ニッケルリチウムが知られている。
リン酸ニッケルリチウムを用いた二次電池に関する技術として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1には、一般式:LiNi(1−x)PO(Mは、2価又は3価の金属元素より選択される1種又は2種以上の金属元素であり、xは0<x<0.5の条件を満たす数である。)で表されるリチウム・ニッケル含有金属リン酸化合物からなり、上記リチウム・ニッケル含有金属リン酸化合物の表面の少なくとも一部は、炭素によって被覆されており、該炭素被覆されたリチウム・ニッケル含有金属リン酸化合物は、X線回折による構造解析によって確認されるオリビン型結晶構造を有する正極活物質が記載されている。
国際公開第2011/013243号パンフレット
リン酸ニッケルリチウムの電気伝導性は低く、不純物が少なく結晶性の高いオリビン型構造のリン酸ニッケルリチウムを作製するのは難しい。そのため、結晶性の高いオリビン型構造のリン酸ニッケルリチウムを得るという観点から、特許文献1に記載の技術においては、リン酸ニッケルリチウムを構成するニッケルの一部を2価又は3価の金属元素により置換している。しかし、元素が所望の状態で置換されるようにするためには、製造条件(置換条件)を厳密に設定しなければならないことがある。
また、製造条件によっては、副生成物が発生することもある。発生した副生成物は、リン酸ニッケルリチウムから分離除去しづらい。そのため、リン酸ニッケルリチウムを正極材料として用いた場合、この副生成物が電極作製後の正極合材の電気伝導性をさらに低下させてしまうことがある。
また、リン酸ニッケルリチウムを構成する元素を別の元素で置換するため、リン酸ニッケルリチウムの結晶構造が破壊され易い傾向にある。そして、もし、リン酸ニッケルリチウムの結晶構造が破壊された場合、リン酸ニッケルリチウムを含む正極材料の電気伝導性がいっそう低下することがある。
本発明はこれらの課題に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、電気伝導性に優れ、簡便に製造可能な、リン酸ニッケルリチウムを含むリチウム二次電池用正極材料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らが前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下の知見を見出した。即ち、本発明のリチウム二次電池用正極材料は、リン酸ニッケルリチウムを含み、CuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、前記リン酸ニッケルリチウムの110/201回折ピークの強度に対する、2θ=10.3°±0.15°、13.1°±0.15°、14.0°±0.15°及び15.2°±0.15°の各角度に存在する回折ピークの強度である強度比について、以下の条件(A)〜(D)、条件(A):10.3°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が10×10−3以下、条件(B):13.1°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、条件(C):14.0°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、条件(D):15.2°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、のうちの少なくとも3つの条件を満たす。また、本発明のリチウム二次電池用正極材料の製造方法は、前記のリチウム二次電池用正極材料の製造方法であって、リチウムを含むリチウム材料と、ニッケル及びリンを含むニッケルリン複合材料と、を混合して焼成する工程を含む。
本発明によれば、電気伝導性に優れ、簡便に製造可能な、リン酸ニッケルリチウムを含むリチウム二次電池用正極材料及びその製造方法を提供することができる。
実施例1〜5の正極材料における粉末X線回折の結果である。 比較例1〜4の正極材料における粉末X線回折の結果である。
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。
まず、本実施形態に係るリチウム二次電池用正極材料は、どのような構成のリチウム二次電池の製造に用いてもよい。例えば、当該正極材料は、負極として金属以外の材料を用いる所謂「リチウムイオン二次電池」に適用することができるし、負極として例えば金属リチウムやリチウム−アルミニウム合金等を用いる「リチウム二次電池」に適用することもできる。また、固体電解質を用いるリチウム二次電池であってもよく、非水電解液を用いるリチウム二次電池であってもよい。
そこで、本実施形態に係るリチウム二次電池用正極材料の説明として、リチウム二次電池として、非水電解液を用いるリチウムイオン二次電池を例に挙げて、この説明を以下において行うものとする。ただし、前記のように、本実施形態に係るリチウム二次電池用正極材料を適用可能なリチウム二次電池は、前記したリチウムイオン二次電池に何ら限られず、どのようなリチウム二次電池であってもよい。
[1.リチウムイオン二次電池]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」ということがある)は、正極と、負極と、正極及び負極に含浸される非水電解液とを備えてなる。具体的には、正極及び負極は、通常、セパレータを介して交互に積層され、非水電解液が充填された電池缶等にこれらが収容されることにより、二次電池が構成される。
〔正極〕
二次電池を構成する正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なものである。正極は、例えば、アルミニウム板等の集電板に対して、正極活物質(リン酸ニッケルリチウム)やバインダ樹脂、溶剤等を含む正極材料が塗布及び乾燥されてなる。本実施形態においては、正極活物質は、リン酸ニッケルリチウムである。そして、塗布後の乾燥により、正極材料中の溶剤が揮発して除去され、正極が形成される。このとき、正極材料に含まれていた溶剤以外の材料は、バインダ樹脂等により、集電板表面に固定される。
このように正極合材は、通常、正極材料を用いて作製され、その成分は、溶剤・導電助剤・結着剤の有無以外は同じである。即ち、集電板に「正極材料」が塗布された後に乾燥等されることで、「正極合材」が形成された正極が得られる。そこで、以下の説明においては、正極の説明として、説明の簡略化のために、正極材料の説明を主として行うものとする。
本実施形態における正極材料には、リン酸ニッケルリチウムが含まれている。そして、本実施形態の正極材料においては、CuKα線を用いた粉末X線回折(XRD)において、前記リン酸ニッケルリチウムの110/201回折ピークの強度に対する、2θ=10.3°±0.15°、13.1°±0.15°、14.0°±0.15°及び15.2°±0.15°の各角度に存在する回折ピークの強度である強度比について、以下の条件(A)〜(D)、
条件(A):10.3°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が10×10−3以下、
条件(B):13.1°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、
条件(C):14.0°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、
条件(D):15.2°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、
のうちの少なくとも3つの条件を満たすものである。
CuKα線を用いた粉末X線回折装置としては、例えばリガク社製 RINT2000を用いることができる。ただし、XRD測定により得られるピーク強度は、測定条件により変化する。測定条件は、例えば、加速電圧、電流値、測定時間等である。従って、本実施形態では、リン酸ニッケルリチウムの110/201回折ピークの強度を基準とし、この回折ピークに対する相対的な強度(即ち強度比)が前記範囲を満たすものとしている。
さらに、ピーク強度について、その角度に回折ピークが無くても、所謂バックグラウンドとして、当該角度において、ある程度の強度が測定される。従って、強度比を算出する際には、このようなバックグラウンドを除去した強度を用いて、強度比が算出されることが好ましい。具体的なバックグラウンドの除去方法としては、例えば後記する実施例に記載の方法が適用可能である。
また、回折ピークの存在する角度について、XRDパターンにおける回折ピークは、通常、幅を持って存在する。従って、本実施形態においては、このような幅を考慮し、例えば条件(A)については、「10.3°±0.15°」の範囲で存在するピークの最大強度が前記の範囲を満たすようにするものとしている。他の角度についても同様である。
前記の条件(A)〜(D)のうちの少なくとも3つの条件が満たされることにより、15.5°以下のピーク強度を概ね小さなものとすることができる。これにより、正極合材の電気伝導性を低下させる物質の混在が抑制され、リン酸ニッケルリチウムを含む正極合材の電気伝導性が過度に低下することを防止することができる。特に、条件(A)〜(D)の4つの条件が満たされることにより、15.5°以下のピーク強度を全域に亘って小さなものとすることができ、電気伝導性が過度に低下することをより確実に防止することができる。
さらに、本実施形態の正極材料は、リン化ニッケルを含んでいることが好ましい。リン化ニッケルは電気伝導性に優れるため、本実施形態の正極材料がリン化ニッケルを含むことにより、本実施形態の正極材料の電気伝導性をより良好なものとすることができる。
正極合材に含まれる材料としては、本発明の効果を損なわない限り任意であるが、リン酸ニッケルリチウムのほかにも、例えば、バインダ樹脂、導電助剤、溶剤等が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等が挙げられる。また、導電助材としては、例えば、アセチレンブラックやカーボンブラック等が挙げられる。溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。これらの使用量は任意であり、所望の効果が得られる量を含有させればよい。
以上のような構成の正極材料を集電板に対して塗布及び乾燥させることにより、正極が作製される。塗布及び乾燥の条件は特に制限されず、任意に行うことができる。
〔負極〕
二次電池を構成する負極は、正極と同様、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なものである。負極は、任意の構成とすることができる。例えば、負極は、ステンレス板等の集電板に対して、炭素粉末等の炭素材料やリチウム含有合金等の金属元素含有合金、バインダ樹脂、溶剤、導電助剤等を含む負極合材を塗布及び乾燥して、作製することができる。
〔非水電解液〕
本実施形態に係るリチウム二次電池に適用可能な非水電解液としては、特に制限されず、例えば公知の任意のリチウム二次電池に適用される非水電解液を用いることができる。このような非水電解液の具体例としては、例えば、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルーカーボネート等の溶媒に対して、例えばLiClOやLiPF等の電解質を所望濃度で混合させた溶液を適用することができる。
[2.リチウム二次電池用正極材料の製造方法]
次に、本実施形態のリチウム二次電池用正極材料の製造方法(以下、単に「正極材料の製造方法」という)について説明する。本実施形態の正極材料の製造方法は、前記のリチウム二次電池用正極材料の製造方法であって、リチウムを含むリチウム材料と、ニッケル及びリンを含むニッケルリン複合材料と、を混合して焼成する工程を含むものである。従って、本実施形態においては、二原料系でリン酸ニッケルリチウムが製造される。混合物を焼成することによりリン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物が得られる。
リチウムを含むリチウム材料の種類は特に制限されるものではなく、どのようなものを用いてもよい。例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、これらの水和物等が挙げられる。これらは1種が単独で用いてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで用いられてもよい。
ニッケルリン複合材料は、ニッケルとリンとを含む化合物としてなるものである。ニッケルリン複合材料の種類の具体的な種類は特に制限されず、どのようなものを用いてもよい。ただし、ニッケルリン複合材料においては、含まれるニッケルとリンとの構成比率が、モル比で1:1であることが好ましい。これにより、焼成時に目的物質以外の余計な成分を含まないのでリン酸ニッケルリチウムの構造がオリビン型結晶構造になり易く、結晶性の良いリン酸ニッケルリチウムを得ることができる。
また、ニッケルリン複合材料の中でも、Niを含むものであることがより好ましい。Niは窒素原子や炭素原子を含まないため、焼成しても、窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素等)や炭素酸化物(一酸化炭素、二酸化炭素等)、アンモニア等を発生しない。そのため、ニッケルリン複合材料としてのNiを焼成するときに特殊な設備(例えば排ガス浄化装置等)を設置する必要がない。従って、より簡便な方法でリン酸ニッケルリチウムを焼成により作製することができる。また、Niは市販されているため、入手が容易であるという利点もある。
本実施形態の正極材料の製造方法においては、リチウム原料及びニッケルリン複合材料の二つの原料を用いて(二原料系で)、リン酸ニッケルリチウムを焼成により作製している。即ち、従来の、リチウムを含むリチウム材料と、ニッケルを含むニッケル材料と、リンを含むリン材料とを用いる三原料系での調製は行っていない。このように二原料系での製造とすることで、三原料系での焼成時における昇温途中の比較的低温時に生じうる、オリビン型結晶構造ではない構造の化合物や副生成物の発生を抑制することができる。これにより、例えばニッケルリン複合材料とリチウム材料とからなる二原料系で製造することで、オリビン型結晶構造のリン酸ニッケルリチウムをより確実に調製することができる。これにより、結晶性に優れ、電気伝導性に優れた正極材料をより確実に製造することができる。
前記のように、リチウム材料とニッケルリン複合材料とを混合して焼成することでリン酸ニッケルリチウムが得られる。リチウム材料とニッケルリン複合材料との混合比は特に限定されないが、通常は、リン酸ニッケルリチウムを構成するリチウム、ニッケル及びリンの比率になるように混合される。
また、混合後の焼成条件も特に制限されない。例えば、原料混合物を比較的低温で仮焼成した後、比較的高温で本焼成を行うような、二段階焼成を行うことができる。焼成時の温度は、常に同一温度に設定する必要はない。従って、例えば異なる温度での二段階焼成(仮焼成と本焼成)等を行うことができる。二段階焼成を行う場合、仮焼成時の温度としては、例えば350℃〜700℃程度とすることができる。また、本焼成時の温度としては、例えば600℃〜800℃程度とすることができる。
また、焼成の時間は特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない時間にすればよい。さらに、焼成時の雰囲気も特に制限されず、任意である。
焼成(仮焼成)後、別の焼成(本焼成)を必ずしも連続して行う必要は無く、焼成物をいったん冷却したり、焼成物に対して任意の材料を添加したりする等、任意の工程を経ることができる。例えば、仮焼成を経て得られた焼成物に炭素材料を添加し、その後に本焼成を行うことにより、焼成中に発生しうるガス(水蒸気等)を仮焼成中に発生させて、各原子同士をある程度強固な結合にしつつ、本焼成中のガスの発生を抑制することができる。
本焼成を行って得られた焼成物は、解砕及び分級されることが好ましい。これにより、粒度調整されたリン酸ニッケルリチウムが得られる。そして、得られた粉状のリン酸ニッケルリチウムと、前記の[1.リチウムイオン二次電池]の〔正極〕において説明した材料とを用いて、正極材料を調製することができる。調製された正極材料を集電板に塗布及び乾燥することにより、正極合材が作製される。
さらには、所望の組成に調整した負極合材が集電板に塗布及び乾燥され、負極が作製される。そして、リチウムイオン二次電池に通常使用可能な任意のセパレータを介して正極及び負極を積層し、これらを前記非水電解液が充填された電池缶等の中に封止することで、例えば筒状や缶状のリチウムイオン二次電池を作製することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[1.リン酸ニッケルリチウムの調製]
<実施例1>
リチウム材料としてLiOH・HOを用い、ニッケルリン複合材料としてNi・6HOを用いた。
リチウム材料1.74gとニッケルリン複合材料8.26gとを混合及び粉砕し、原料混合物を得た。そして、原料混合物を500℃で6時間仮焼成した。仮焼成した後いったん冷却し、粉砕した後、700℃で6時間本焼成した。本焼成後冷却し、粉砕することで、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(実施例1)。なお、焼成(仮焼成及び本焼成の双方を含む、以下同じ)の前後での収率は69%であり、焼成中には水蒸気が発生した。
<実施例2>
仮焼成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(実施例2)。なお、焼成の前後での収率は69%であり、焼成中には水蒸気が発生した。
<実施例3>
仮焼成を行わず、本焼成を800℃としたこと以外は実施例1と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(実施例3)。なお、焼成の前後での収率は69%であり、焼成中には水蒸気が発生した。
<実施例4>
リチウム原料として1.56gのLiCOとニッケルリン複合材料8.44gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(実施例4)。なお、焼成の前後での収率は67%であり、焼成中には水蒸気及び二酸化炭素が発生した。
<実施例5>
仮焼成を行わなかったこと以外は実施例4と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(実施例5)。なお、焼成の前後での収率は67%であり、焼成中には水蒸気及び二酸化炭素が発生した。
<比較例1>
リチウム材料としてLiCOを用いた。また、ニッケルリン複合材料を用いずに、ニッケルを含むNiC・2HOと、リンを含むNHPOとを併用した。
リチウム材料1.10gとNiC・2HO(ニッケル材料)5.48gとNHPO(リン材料)3.42gとを混合及び粉砕し、原料混合物を得た。そして、原料混合物を350℃で6時間仮焼成した。仮焼成した後いったん冷却し、粉砕した後、600℃で6時間本焼成した。本焼成後冷却し、粉砕することで、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(比較例1)。
なお、焼成の前後での収率は48%であり、焼成中には水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素及びアンモニアが発生した。特に、アンモニアは、原料混合物10gあたり、0.66L発生した。
<比較例2>
本焼成の温度を700℃にしたこと以外は比較例1と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(比較例2)。なお、焼成の前後での収率は48%であり、焼成中には水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素及びアンモニアが発生した。特に、アンモニアは、原料混合物10gあたり、0.66L発生した。
<比較例3>
リチウム材料としてLiOH・HO1.23gと、としてNi(OH)(ニッケル材料)5.40gとNHPO(リン材料)3.37gを用いたこと以外は比較例1と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(比較例3)。なお、焼成の前後での収率は63%であり、焼成中には水蒸気及びアンモニアが発生した。特に、アンモニアは、原料混合物10gあたり、0.88L発生した。
<比較例4>
本焼成の温度を700℃にしたこと以外は比較例3と同様にして、リン酸ニッケルリチウムを含む焼成混合物を得た(比較例4)。なお、焼成の前後での収率は63%であり、焼成中には水蒸気及びアンモニアが発生した。特に、アンモニアは、原料混合物10gあたり、0.88L発生した。
[2.評価方法]
得られた焼成混合物(実施例1〜5及び比較例1〜4)について、CuKα線を用いた粉末X線回折装置(リガク社製 RINT2000)を用いて回折パターンを測定した。また、得られた焼成混合物について、電気伝導率を測定した。測定は、測定装置としてケミカルインピーダンスメータ3532−80(日置電気株式会社製)を用い、圧力を100MPaで四端子法により行った。
なお、本実施例において、電気伝導率の測定は焼成混合物について行っているが、正極材料の電気伝導率は、通常、焼成混合物の電気伝導率と同じになる。そこで、焼成混合物の電気伝導率を正極材料の電気伝導率と考え、以下の評価を行った。
[3.評価結果]
実施例1〜5の焼成混合物について回折パターンを図1に、比較例1〜4の焼成混合物についての回折パターンを図2に示す。また、実施例1〜5及び比較例1〜4の焼成混合物についての電気伝導率を、以下の表1に示す。
Figure 2015072853
また、図1及び図2に示す回折パターンにおいて、各角度のピーク強度を以下の表2に示す。なお、25°のピークは、リン酸ニッケルリチウムに起因する110/201回折ピークである。
Figure 2015072853
表2の結果において、前記のように、回折ピークはある程度幅を持って存在していることから、表2中、「13.1°」は「13.1°±0.15°」、「14.0°」は「14.0°±0.15°」、「15.2°」は「15.2°±0.15°」、「25°」は「25°±0.15°」でのピークの最大強度を表すものとする。以下の記載においても同様である。
さらに、表2の結果において、バックグラウンドを差し引いたものを表3に示す。バックグラウンドは、回折ピークが無い2θ=11°〜12°の強度の平均とした。
Figure 2015072853
また、表2の数値は、図1及び図2に示す測定値そのものである。そこで、観察されたピークの強度を相対的な大きさで把握するために、表3(バックグラウンドを考慮したもの)に基づき、リン酸ニッケルリチウムの大きさに対する、2θ≦15.5°以下のピークの大きさ(即ち強度比)を評価した。その結果を以下の表4に示す。
Figure 2015072853
[4.検討]
図1に示すように、ニッケルリン複合材料(Ni)を用いた二原料系の実施例1〜5においては、2θ≦15.5°の範囲に顕著なピークは観察されず、いずれも極めて小さなピーク強度であった。具体的には、表4に示すように、前記の条件(A)〜(D)のうちの少なくとも3つの条件を満たす実施例1〜5においては、いずれの角度でも強度比は十分に小さかった。これは、リン酸ニッケルリチウムの調製に伴う低電気伝導性の副生成物の生成が抑制されたことによるものと考えられる。そのため、実施例1〜5においては、表1に示すように、焼成混合物(正極材料)は良好な電気伝導性を示したと考えられる。
また、実施例2、実施例4及び実施例5において、16°付近にピークが観察された。このピークはリン化ニッケルに起因するピークであり、リン酸ニッケルリチウムの製造の際に副生成物としてリン化ニッケルが生成することがわかった。リン化ニッケルは優れた電気伝導性を示し、焼成混合物(正極材料)にリン化ニッケルが含まれることにより、リン酸ニッケルリチウムの電気伝導性をよりいっそう向上させることができる。
一方で、比較例1〜4では、実施例1〜5と比べ、10.3°、13.1°、14.0°、15.2°の少なくとも一つの角度での強度比が大きかった。即ち、比較例1〜4では、前記した条件(A)〜(D)のうち、満たす条件は2つ以下であった。そのため、比較例1〜4の焼成混合物には、リン酸ニッケルリチウム以外の不純物が含まれていることがわかった。そのため、表1に示したように、焼成混合物(正極材料)の電気伝導性が低くなったと考えられる。
また、図2に示すように、ニッケルリン複合材料を用いずに、ニッケル材料とリン材料とを併用した三原料系の比較例1〜4においては、2θ≦15.5°の範囲に顕著な大きさのピークが観察された。これらのピークのうち、比較例1のピークは、副生成物としてのLi(PO・3HO及びLiNi(P10)である。また、比較例2のピークは、副生成物としてのLi(PO・3HOである。さらに、比較例3のピークは、副生成物としてLiNi(Pである。そして、比較例4のピークは、副生成物としてLiNi(Pである。そして、これらの不純物が含まれているため、比較例1〜4の焼成混合物(正極材料)の電気伝導率は、表1に示すように、実施例1〜5と比べて極めて小さくなっていた。
2θ≦15.5°(即ち、リン酸ニッケルリチウムの面間隔dが5.72Å以上)の範囲にピークが観察される比較例1〜4の焼成混合物を用いて正極材料を得て、この正極材料を用いて作製されたリチウム二次電池の場合、リチウム二次電池の充放電容量は減少すると考えられる。それは、充放電間隔に関与しない副生成物(即ち不純物)が多く含まれるようになるため、質量あたりの充放電容量が減少することになる。特に、充放電に寄与しないにも関わらず格子体積の大きな結晶相が増加するため、体積あたりの充放電容量はいっそう減少することになる。従って、焼成混合物(正極材料)についてのXRDパターンにおいて、2θ≦15.5°に存在するピークはできるだけ小さいことが好ましく、特に好ましくは全く観察されないことが好ましい。
また、焼成時、実施例1〜5においては、一酸化炭素やアンモニア等のガスの発生が抑制された。そのため、これらの排ガス処理装置等を設ける必要が無く、簡便な装置で正極材料を製造できることがわかった。
さらには、本実施形態では、出発原料中に、目的物質であるリン酸ニッケルリチウムの構成元素以外の元素の含有量が少ないため、元素の置換等に伴う結晶構造の破壊等の可能性が小さい。従って、良好な電気伝導性を達成することができる。

Claims (4)

  1. リン酸ニッケルリチウムを含み、
    CuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、前記リン酸ニッケルリチウムの110/201回折ピークの強度に対する、2θ=10.3°±0.15°、13.1°±0.15°、14.0°±0.15°及び15.2°±0.15°の各角度に存在する回折ピークの強度である強度比について、以下の条件(A)〜(D)、
    条件(A):10.3°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が10×10−3以下、
    条件(B):13.1°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、
    条件(C):14.0°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、
    条件(D):15.2°±0.15°に存在する回折ピークについての強度比が30×10−3以下、
    のうちの少なくとも3つの条件を満たすことを特徴とする、リチウム二次電池用正極材料。
  2. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法であって、
    リチウムを含むリチウム材料と、ニッケル及びリンを含むニッケルリン複合材料と、を混合して焼成する工程を含むことを特徴とする、リチウム二次電池用正極材料の製造方法。
  3. 前記ニッケルリン複合材料において、含まれるニッケルとリンとの構成比率が、モル比で1:1であることを特徴とする、請求項2に記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
  4. 前記ニッケルリン複合材料はNiを含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
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