JP2015072000A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に搭載されたエンジン1および手動変速機MTの間にクラッチ装置6が介在されて、乗員の操作によって継合および離脱のいずれかに切り換えられる場合に、エンストを招くことなく、エンジン回転数Neの落ち込みや吹け上がりを抑えた円滑な発進を可能とする。【解決手段】車両の発進時にクラッチ装置6が滑りながら動力を伝達する半クラッチ(半継合)状態になっていて(ステップST101でYES)、かつエンジン回転数Neが上昇するときに(ST102でYES)、所定の条件が成立すれば(ST103でYES)エンジン出力の低減制御を実行する(ST104:トルクダウン制御)。【選択図】図5

Description

本発明は、車両に搭載される内燃機関の制御装置に関し、特に車両の発進時において、手動変速機との間に介在されたクラッチ装置が半継合状態とされているときの機関出力の制御に関する。
従来より車両に搭載される内燃機関には、乗員が手動操作によって変速段を選択することが可能な、いわゆる手動変速機が接続される場合があり、この手動変速機との間にはクラッチ装置が介在されて、乗員によるクラッチペダルの踏み操作によって継合および離脱のいずれかに切り換えられるようになっている。これにより、内燃機関と手動変速機との間で動力が伝達および遮断のいずれかの状態に切り換えられる。
また、車両の発進時には乗員の操作によってクラッチ装置が半継合(いわゆる半クラッチ)状態とされ、滑りながら動力を伝達するようになる。この際、車両の乗員は、好適な機関回転数を保ちながら車両が滑らかに発進するように、アクセルペダルの踏み操作量とクラッチペダルの踏み操作量とを互いに対応づけて、バランスよく調整する必要がある。
このような発進のための操作を容易に行えるように、例えば特許文献1に記載の発進制御装置では、機関回転数の変化に応じて機関出力を制御するようにしている。すなわち、機関回転数が円滑な発進のための設定回転数を下回ったときには、吸気量の増量などによって機関出力を増大させる一方、機関回転数が設定回転数を越えて吹け上がりそうになれば、機関出力を低減させる。
特公平05−019028号公報
しかしながら、一般的に車両の乗員のクラッチ操作によるクラッチ伝達トルクの変化に対して、機関出力の制御応答性は十分に高いとは言えないことがあり、前記従来例のように機関回転数の変化に応じて機関出力を制御するようにしていても、その応答遅れに起因して生じる不具合を解消できない場合がある。
すなわち、機関回転数の低下に対する機関出力の増大が遅れると、一時的に機関回転数が落ち込んでしまい不快な振動を生じることがあるし、さらには意図しない機関停止(いわゆるエンスト)に至る虞もある。一方、機関回転数の上昇に対する機関出力の低減が遅れると、機関回転数が大きく吹け上がってしまい乗員に違和感を与える虞がある。
これに対し、機関出力の制御の応答性を高めるために制御ゲインを大きくすると、ハンチングが発生し、乗員が違和感を生じる虞がある。すなわち、発進のためのクラッチ操作に応じて機関回転数が低下するだけであれば、乗員は違和感を感じることはないが、一旦、低下した機関回転数が上昇したり、低下したりというように変動すると違和感を感じることになる。
かかる問題点に鑑みて本発明の目的は、手動変速機との間にクラッチ装置の介在された内燃機関において、エンストを招くことなく機関回転数の落ち込みや吹け上がりを抑えた円滑な発進を可能とすることにある。
本願の発明者は、車両の発進時においてクラッチ装置が半継合状態にあるときの車両の自然な挙動について考察し、このときにはクラッチ伝達トルクが徐々に増大して、これにより自然に機関回転数が変化するのが好ましいと考えた。そして、それにもかかわらず機関回転数が大きく上昇するときには、機関出力の応答遅れも考慮しながら機関出力を低減させるようにした。
すなわち、本発明は、車両に搭載され、手動変速機との間に介在されたクラッチ装置が、乗員の操作によって継合および離脱のいずれかに切り換えられる内燃機関の制御装置を対象とする。そして、車両の発進時に前記クラッチ装置が滑りながら動力を伝達する半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、この機関回転数が上昇を初めてから設定値だけ上昇したことを含む所定の条件が成立すれば、機関出力を低減させる、出力低減制御を行うようにした。
前記構成の内燃機関において、車両の発進時に乗員の操作によってクラッチ装置が半継合状態にされ、滑りながら動力を伝達する状態では、機関回転数がその出力(トルク)とクラッチ伝達トルクとのバランスによって変化するようになる。そして、発進時であれば通常、乗員の操作によってクラッチ伝達トルクが徐々に増大し、これにより機関回転数は徐々に変化するはずであるが、それにもかかわらず機関回転数が大きく上昇するときには、機関出力の低減制御によって機関回転数の吹け上がりを抑制することができる。
但し、そうしてクラッチ装置の半継合状態において機関回転数が上昇しているときには、機関出力の応答遅れによって機関回転数が未だ上昇しているものの、すぐに低下に転じることも考えられる。また、前記のように半継合状態のクラッチ装置ではクラッチ伝達トルクが上昇傾向にあると考えられ、このことによっても機関回転数は低下に転じる可能性が高い。
そこで、前記の構成では、機関回転数が上昇するときに直ちに機関出力を低減させるのではなく、機関回転数が上昇を初めてから設定値だけ上昇したことを含む所定の条件が成立するまで待つようにしている。こうして、機関回転数が設定値だけ上昇するまで待つ間に機関回転数が低下するようになれば、不要な出力低減制御は行わなくて済む。よって、機関回転数の落ち込みに伴う不快な振動の発生やエンストを防止できるとともに、機関回転数の吹け上がりや変動も抑えた円滑な発進が可能となる。
より具体的には、例えば前記所定の条件として、機関回転数が上昇を初めてから200〜300rpmくらい上昇したこととしてもよい。こうすれば、機関回転数の変化に対応する機関出力の制御特性に好適にヒステリシスを付与して、出力低減制御の開始を適度に遅らせることができる。また、前記の所定の条件として機関回転数の上昇が設定時間、継続したこととしても同様の作用が得られる。
そうして、所定の条件として機関回転数が設定値だけ上昇したことや設定時間、継続して上昇したことを含む場合には、機関回転数が低いときほど前記設定値を大きな値にし、前記設定時間を長い時間にするのが好ましい。低回転であれば機関回転数が上昇しても、それが大きく吹け上って違和感を喚起する心配は少ない一方で、出力制限制御によって回転数が低下すると不快な振動が発生する虞があるからである。
さらに、機関回転数だけでなくその時間当たりの変化率にも着目すれば、機関回転数が上昇していても、その変化率(回転加速度)が小さいとすれば、それが大きく吹け上がる心配は少なく、むしろ低下に転じる可能性が高いとも考えられる。そこで、機関回転数の変化率が小さいときには前記の設定値を大きな値にし、同様に設定時間を長い時間にするのが好ましい。
また、前記出力低減制御として具体的には、吸気系のスロットル弁の開度(スロットル開度)を制御して、気筒へ充填される吸気の量を調整したり、点火時期を進角または遅角制御することが考えられる。この場合にスロットル開度の制御による吸気量の変化の遅れは大きく、点火時期の制御に比べて機関出力の制御応答性が低くなるため、吸気量の低減によって一旦、機関回転数が落ち込んでしまうと、エンストに至る可能性が高い。
そこで、前記のように所定の条件として機関回転数が設定値だけ上昇したことや設定時間、継続して上昇したことを含む場合に、前記出力低減制御として吸気系のスロットル弁を閉じるのであれば、点火時期を遅らせるのに比べて前記設定値を大きな値にし、また、設定時間は長い時間にすることが、即ち、出力低減制御の開始をより慎重に判定することが好ましい。
見方を変えると、前記出力低減制御の応答性が高ければ、それを開始するための条件である前記の設定値や設定時間を、出力低減制御が比較的始まりやすくなるように設定してもよい。すなわち、ガソリンエンジンであっても比較的応答性の高い筒内噴射式エンジンやディーゼルエンジン、さらには機関出力をアシストする電動モータを備える場合(ハイブリッド)など、出力低減制御の応答性が本来、高いものであれば、前記の設定値を小さな値にし、設定時間を短い時間にしてもよい。
さらにまた、前述のように所定の条件が成立するのを待って出力低減制御を行うようにした上で、その前にも少しだけ機関出力を低減させるようにしてもよい。これは、前記のようにクラッチ装置が半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、前記所定の条件が成立する前であっても前記出力低減制御に比べて緩やかに機関出力を低減させる予備低減制御を行う、ということである。
この予備低減制御によって予め緩やかに機関出力を低減しておいて、その後の出力低減制御では機関出力を急減させることにより、機関回転数の落ち込みおよびその吹け上がりを、より好適に抑制できる。なお、予備低減制御において出力低減制御に比べて「緩やかに」機関出力を低減させるというのは、予備低減制御による時間当たりの機関出力の低下率が、出力低減制御に比べて小さいということである。
以上、述べたような機関出力の制御を実現するためには、例えば、車両の発進時にクラッチ装置が半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、実際の機関回転数よりも低い演算用の機関回転数を用いて目標機関出力を決定するようにすればよい。
その場合に好ましいのは、予め車両の発進時におけるクラッチ装置の半継合状態を想定して、この状態に好適な機関出力の制御を行えるように、機関回転数の上昇に応じて目標機関出力が低減されるように設定した発進時用出力制御マップを備えることである。このマップを参照し、前記のように実際の機関回転数よりも低い演算用(マップ引き用)の機関回転数を用いて、目標機関出力を決定するようにすればよい。
本発明によれば、車両の発進時に、内燃機関と手動変速機との間のクラッチ装置が半継合状態とされていて、かつ機関回転数が上昇しているときに、所定の条件が成立すれば、機関出力を低下させるようにしたので、不要な出力低減制御は極力、行わないことによってエンストを防止しながら、機関回転数の落ち込みや吹け上がりを抑えた円滑な発進が可能となる。
実施形態に係る車両に搭載されたパワートレインの概略構成を示す図である。 エンジンおよびその吸排気系の構成を示す図である。 クラッチ装置の構成を示す図である。 エンジンのトルクマップの一例を示す図である。 車両発進時制御の処理の流れを示すフローチャート図である。 車両発進時制御により間合いを空けてトルクダウン制御が開始される様子を、模式的に示す図4相当図である。 車両発進時制御によるエンジン回転数やエンジントルクなどの変化の一例を示すタイミングチャート図である。 予備低減制御を行うようにした他の実施形態に係る図5相当図である。 同他の実施形態に係る図6相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両に搭載されたパワートレインの概略構成を示す。同図において符号1はエンジン(内燃機関)を示し、符号MTは手動変速機を示しており、この手動変速機MTとエンジン1との間にはクラッチ装置6が介在されている。エンジン1からの出力はクラッチ装置6を介して手動変速機MTに伝達され、適宜、変速された後にプロペラシャフトPSを介してデファレンシャルギヤDFに伝達され、さらに左右の後輪(駆動輪)Tへと分配される。
本実施形態において手動変速機MTは、一例として前進6速段、後進1速段の同期噛み合い式手動変速機であり、図示しないが、車両の運転者(乗員)によるシフトレバー(図示せず)の操作によって変速段が選択される。同様にクラッチ装置6は運転者によるクラッチペダル70(図3を参照)の操作によって継合および離脱のいずれかに切り換えられる。以下、エンジン1の全体構成、クラッチ装置6、およびECU9(Electronic Control Unit)を含む制御系などについて説明する。
−エンジンの全体構成−
図2にはエンジン1およびその吸排気系の概略構成を示す。本実施形態におけるエンジン1は、例えば4気筒ガソリンエンジンであって、4つの気筒2(図2には一つの気筒2のみを示す)それぞれにピストン12が収容されていて、後述のように混合気の燃焼される燃焼室11を区画している。4つのピストン12はそれぞれコネクティングロッド14を介してクランクシャフト13に連結されている。
また、クランクシャフト13には、外周面に複数の突起(歯)15aを有するシグナルロータ15が取り付けられている。このシグナルロータ15の側方近傍にはクランクポジションセンサ81が配設されており、クランクシャフト13が回転する際にシグナルロータ15の突起15aに対応するパルス状の信号(出力パルス)を発生する。
一方、シリンダブロック1aの上端にはシリンダヘッド18が締結されて、各気筒2の上端を閉ざしている。シリンダヘッド18には点火プラグ20が配設されており、これによる点火のタイミングを調整するイグナイタ21は、ECU9によって制御される。また、4つの気筒2を取り囲むシリンダブロック17の側壁にはエンジン水温センサ82が配設されている。
また、各気筒2の燃焼室11には吸気通路3と排気通路4とがそれぞれ連通されていて、新気の吸入と燃焼ガスの排気とを行うようになっている。吸気通路3の下流端(吸気流れの下流端)には燃焼室11に臨んで吸気バルブ31が配設され、一方、排気通路4の上流端(排気流れの上流端)には燃焼室11に臨んで排気バルブ41が配設されており、これら吸気バルブ31および排気バルブ41を動作させるための動弁系が設けられている。
一例として本実施形態ではDOHCタイプの動弁系を備え、4つの気筒2のそれぞれにおける好適なタイミングで吸気バルブ31を開閉する吸気カムシャフト31aと、同様に好適なタイミングで排気バルブ41を開閉する排気カムシャフト41aとを備えている。吸気カムシャフト31aおよび排気カムシャフト41aは、図示省略のタイミングチェーンなどによってクランクシャフト13と同期回転される。
前記吸気通路3には、エアクリーナ32、エアフローメータ83、吸気温センサ84(エアフローメータ83に内蔵)、および、エンジン1の吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ33が配設されている。このスロットルバルブ33はスロットルモータ34によって駆動され、エンジン1の吸入空気量を調整する。スロットルバルブ33の開度はスロットル開度センサ85によって検出され、ECU9がスロットルモータ34を制御して、エンジン1の運転状態に応じて好適な吸入空気量となるようにスロットル開度をフィードバック制御する。
また、各気筒2毎に前記吸気通路3には燃料噴射用のインジェクタ(燃料噴射弁)35が配設されており、このインジェクタ35はECU9によって制御されて、吸気通路3内に燃料を噴射するようになっている。一方、排気通路4には触媒42,43が配設されていて、上流側の触媒42の上流側には空燃比センサ(A/Fセンサ)86が、また、下流側の触媒43の上流側には酸素センサ(O2センサ)87が配設されている。
−クラッチ装置6−
図3には、クラッチ装置6と、これを作動させるために車室内に設けられたクラッチペダル70とを示している。クラッチ装置6は、エンジン1のクランクシャフト13と、手動変速機MT(図1参照)のインプットシャフト(入力軸)ISとの間に介在するように設けられ、動力を伝達または遮断するクラッチ機構部60と、これを動作させるクラッチレリーズシリンダ61と、を備えている。
クラッチ機構部60は、クランクシャフト13に取り付けられたフライホイール62と、インプットシャフトISに取り付けられたクラッチディスク64と、クラッチカバー63に配設されたプレッシャプレート65と、このプレッシャプレート65をフライホイール62に(図の左側に)向かって押圧付勢し、クラッチディスク64を挟圧させるダイヤフラムスプリング66と、を備えている。
こうしてクラッチディスク64が挟圧された状態では、クラッチ機構部60は動力を伝達する継合状態になっており、クラッチレリーズシリンダ61によってレリーズフォーク68が回動されると、動力を遮断する離脱状態に切り換えられる。すなわち、レリーズフォーク68が図3の矢印Iの向きに回動することで、レリーズベアリング67がインプットシャフトISに沿って図の左側へスライド移動し、ダイヤフラムスプリング66の内端部を変位させて、前記の挟圧力を減少させることになる。
このようなクラッチレリーズシリンダ61によるクラッチ機構部60の動作は、車両の運転者によるクラッチペダル70の踏み操作に応じて行われる。すなわち、運転者がクラッチペダル70を踏み込むことにより、クラッチマスタシリンダ71で発生したクラッチ油圧が油圧配管72を介してクラッチレリーズシリンダ61へ伝達される。これにより、前記のようにレリーズフォーク68が回動して、クラッチ機構部60が離脱状態に切り換えられる。
詳しくは、クラッチペダル70の踏み操作量(クラッチストローク)が所定量を超えたときに、クラッチ機構部60が完全に切り離されて動力伝達を遮断する離脱状態(クラッチ伝達トルクが0%の状態)になる。この状態から運転者がクラッチペダル70の踏み操作量を減らしてゆくと、クラッチ機構部60は滑りながら動力を伝達する半継合状態(以下、半クラッチ状態ともいう)になる。
この半クラッチ状態ではクラッチ機構部60における伝達トルクがクラッチストロークに応じて変更される。すなわち、クラッチペダル70の踏み操作量が減らされるに連れて(クラッチストロークの減少に連れて)クラッチ伝達トルクが増大し、クラッチペダル70の踏み操作量が所定量を下回ると、クラッチ機構部60が完全に継合された完全継合状態(クラッチ伝達トルクが100%の状態)になる。
また、そのように変化するクラッチストロークを検出するクラッチストロークセンサ8Aが設けられている。図3の例ではクラッチストロークセンサ8Aは、クラッチレリーズシリンダ61のロッド位置を検出するが、これはクラッチペダル70の移動量、レリーズベアリング67の移動量などであってもよい。クラッチストロークセンサ8Aによる検出値に基づいて、現在のクラッチ伝達トルク(クラッチ容量)を算出することができる。
−ECU−
ECU9は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えた公知のものである。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
ECU9には、前記したようにエンジン1のクランクポジションセンサ81、エンジン水温センサ82、エアフローメータ83、吸気温センサ84、スロットル開度センサ85、空燃比センサ86、O2センサ87などが接続されている。また、図1に示すようにECU9には、前記のクラッチストロークセンサ8Aと、クラッチペダル70と同様に車室内に設けられたアクセルペダル(図示せず)の操作量(アクセル開度Acc)を検出するアクセル開度センサ8B(図1を参照)と、シフトレバーの操作位置(シフト位置)を検出するシフト位置センサ8Cと、が接続されている。
さらに、ECU9には、前記した手動変速機MTのインプットシャフトISの回転数(入力軸回転数)を検出する入力軸回転数センサ8Dと、手動変速機MTのアウトプットシャフト(プロペラシャフトPSに繋がるシャフト)の回転数(出力軸回転数)を検出する出力軸回転数センサ8E(図1を参照)と、が配設されている。この出力軸回転数センサ8Eによる検出値に基づいて車速を算出することができる。
そして、ECU9は、前記の各種センサなどから入力する信号に基づいて各種の制御プログラムを実行し、例えば、エンジン1の各気筒2毎のイグナイタ21による点火プラグ20の点火時期制御、スロットルモータ34の動作によるスロットル開度の制御(即ち、吸気量の制御)、インジェクタ35による燃料噴射制御などを実行する。特に車両の発進時にECU9は、以下に説明するように円滑な車両の発進を可能とするエンジン1の出力制御(車両発進時制御)を実行する。
−車両発進時制御−
次に、本実施形態の特徴である車両発進時制御について説明する。この車両発進時制御は、車両が停車状態から発進する場合に好ましいエンジン1の出力制御特性を、発進時に専用のエンジントルクの制御マップM(発進時用出力制御マップの一例であり、以下、トルクマップという)として設定し、これを参照して決定した目標エンジントルクTe(目標機関出力)が得られるように、エンジン1のスロットル開度や点火時期などを制御するものである。
具体的には、一例として図4に示すトルクマップMは、車両の停止状態でクラッチ装置6が半クラッチ状態になっているときに、アクセル開度Accおよびエンジン回転数Neに対応する好適な目標エンジントルクTeを適合して、設定したものであり、ECU9のROMに記憶されている。なお、同図には、手動変速機MTが第1速段とされ、クラッチ装置6が完全継合状態になっているときの通常用マップのイメージも対比のために破線で示している。
この図4に表れているように、トルクマップMにおいて目標エンジントルクTeは、エンジン回転数Neが低いときほど、大きな値となるように、即ち図において右下がりの直線で表されるグラフのように設定されている。このグラフは、アクセル開度Accが一定のときのエンジン回転数Neと目標エンジントルクTeとの関係を表しており、図示はしないがアクセル開度Accが大きいほど、目標エンジントルクTeは大きくなる。
そして、図示トルクマップMにおいては、車両の発進時にクラッチ装置6が半クラッチ状態にあるときに想定される比較的負荷の低い運転状態では、グラフの傾き、即ちエンジン回転数Neの変化に対する目標エンジントルクTeの変化が、破線で示す完全継合状態のときのグラフに比べてかなり急になっている。
これにより、エンジン回転数Neの低下に対して、より早くエンジントルクを増大させることができ、また、エンジン回転数Neの上昇に対しても、より早くエンジントルクを低減させることができる。言い換えると前記グラフの傾きは、エンジン回転数Neの変化に対する目標エンジントルクTeの変化のゲインを表しており、半クラッチ状態では完全継合状態に比べてゲインが大きいので、エンジン回転数Neの応答性は高くなっている。
但し、このようにゲインが大きくなると、エンジン回転数Neのハンチングによって、運転者が違和感を感じる虞があった。例えば、運転者のラフなクラッチ操作によってエンジン回転数Neが急に低下するときに、その落ち込みを抑えられるようにエンジントルクを急増させると、これによりエンジン回転数Neが上昇し過ぎてしまい、今度はエンジントルクを急減させることになる。
この点を考慮して本実施形態では、エンジントルクの制御ゲインは大きく(前記図4のトルクマップMにおいてグラフの傾きを急に)設定するとともに、車両の発進時の半クラッチ状態でエンジン回転数Neが上昇するときには、直ちにエンジントルクを低減させるのではなく、制御の応答遅れも考慮して所定の条件が成立したときに、前記のトルクマップMに従ってエンジントルクを低減させる、トルクダウン制御(出力低減制御)を行うようにしている。
図5には、本実施形態における車両発進時制御の処理の流れを示している。この処理ルーチンはエンジン1の始動後、ECU9において所定の時間間隔(例えば数msec)で繰り返し実行されるものであり、まず、ステップST101では、車両の発進中か否かが判定される。この判定として具体的には、例えば以下の各条件(1)、(2)が両方、成立した場合に肯定判定がなされる。
(1)車速が所定車速(例えば5km/h)以下であること、
(2)アクセルオン(アクセルル開度Accが零でない)こと、
前記条件(1)の判定は出力軸回転数センサ8Eの出力に基づいて行われ、条件(2)の判定はアクセル開度センサ8Bの出力に基づいて行われる。
なお、車両の発進中を判定する条件としては前記の(1)、(2)に限定されず、他の条件を付加してもよい。例えば、手動変速機MTの変速段が第1速段または第2速段であること(シフト位置センサ8Cの出力に基づいて判定可能)、クラッチ装置6が半クラッチ状態になっていること(クラッチストロークセンサ8Aの出力に基づいて判定可能)、などの条件を付加してもよい。
そして、車両の発進時ではない場合、即ち車両の停車中または走行中であって、前記のステップST101で否定判定(NO)された場合は、ステップST105に進んで通常のエンジントルク制御の処理を行う一方、車両の発進時の半クラッチ状態であるとして肯定判定(YES)されればステップST102に進み、今度はエンジン回転数Neが上昇しているか否か判定する。
この判定は、ECU9のRAMに記憶されているエンジン回転数Neの現在の値(今回値)Ne(i)からその前回値Ne(i-1)を減算して、これが正の値であれば上昇していると肯定判定(YES)する一方、減算した値が負の値であれば否定判定(NO)すればよい。なお、エンジン回転数Neは、周知のように所定数のクランク信号からなまし処理を経て算出され、RAMの所定領域に記憶、更新されている。
前記ステップST102で否定判定(NO)であればステップST105に進んでエンジン1の通常のトルク制御の処理を行う一方、肯定判定(YES)であればステップST103に進み、トルクダウン制御を開始する所定の条件が成立しているか否か判定する。この開始条件としては例えば以下の条件(1)、(2)とすればよい。
(1)エンジン回転数Neが上昇を初めてから設定値ΔNe(例えば200〜300rpm)だけ上昇したこと、
(2)エンジン回転数Neが設定時間Δt(例えば0.05〜0.1秒くらい)継続して上昇したこと。
そして、(1)、(2)のいずれの条件も成立していなければ、ステップST105に進んで通常のトルク制御の処理を行う一方、いずれか一方の条件でも成立すればステップST104に進んで、トルクダウン制御を開始する。なお、トルクダウン制御の開始を判定する条件も前記の(1)、(2)に限定されず、他の条件を付加してもよい。また、条件(1)、(2)が両方とも成立したときにトルクダウン制御を開始するようにしてもよい。
以下、具体的には条件(1)が成立した場合について説明すると、本実施形態では、図4のトルクマップM(実線のグラフ)を参照する際のエンジン回転数として、実際のエンジン回転数Ne(RAMに記憶、更新されている値)ではなく、マップ引き用のエンジン回転数(演算用のエンジン回転数であり、以下、マップ引き用回転数nempという)を用いるようにしている。すなわち、まず、前記のステップST102で肯定判定されたときに、マップ引き用回転数nempの現在値(初期値)としてnemp(i)=Neとする。
そして、次の制御サイクルから以下の(式1)により、マップ引き用回転数nemp(i)を逐次、算出してゆく。ここで、(i)は今回値を、また、(i-1)は前回値をそれぞれ示す。また、hysは、エンジン回転数Neの変化に対する目標エンジントルクTeの制御特性に適切なヒステリシスを付与し、トルクダウン制御の開始を適度に遅らせるための適合値(ヒス値)である。
nemp(i) = nemp(i-1) + α ×(Ne(i)−Ne(i-1)) … (式1)(但し、Ne<nemp(i-1) + hys )
前記(式1)において、αは予め設定する係数であるが、特に本実施形態では、α=0としているので、前記の(式1)によって算出されるマップ引き用回転数nemp(i)は、エンジン回転数Neが上昇しても前記の設定値ΔNe(=ヒス値hys)を越えるまでは、初期値nemp(i-1)、即ちエンジン回転数Neが上昇を始めたときの値に維持される。
よって、そのマップ引き用回転数nemp(i)を用いて前記図4のトルクマップMを参照し、目標エンジントルクTeを決定するようにすれば、エンジン回転数Neが設定値ΔNeになるまでは目標エンジントルクTeは変化せず、エンジン回転数Neが設定値ΔNeになると、トルクマップMに従って目標エンジントルクTeが急減する。こうして、前記のステップST103,ST104の処理が実行されることになる。
より詳しくは図6に模式的に示すように、例えばトルクマップM上の点Aにおいてエンジン回転数Neが上昇すると、アクセル開度Accが一定であるとすれば、図の点Bへ向かうような状態の変化に応じて、目標エンジントルクTeはTe1からTe2へと急減するはずである。しかし、前記のようにマップ引き用回転数nemp(i)は上昇せず、その初期値に留まるので、図に仮想線で示すように点Cへ向かうような状態の変化となり、目標エンジントルクTeは変化しない。
そして、実際のエンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇すれば、図の点Cから点Dへ向かうような状態の変化となって、目標エンジントルクTeが急減する。この目標エンジントルクTeの急減に対応してECU9により、スロットルバルブ33が急速に閉じられ、吸気量が急減するとともに、点火時期も大幅に遅角されて、エンジントルクが急減する。なお、燃料噴射量も前記の吸気量の急減に対応して急減する。
以上、説明した車両発進時制御のルーチンは、ECU9により燃料噴射や点火など種々の制御プログラムが同期して実行されることによって、実現される。言い換えると本実施形態の内燃機関の制御装置は、主としてECU9によって構成されている。
一例を図7のタイミングチャートに示すように、車両の発進時には運転者によるアクセルペダルの踏み操作に応じて(時刻t1)、エンジン回転数NeおよびエンジントルクTe(この図においては実際のエンジントルクを示す)が立ち上がる。このとき、図には表れていないが、運転者はクラッチペダル70を踏み込んでクラッチ装置6を離脱状態にするとともに、シフトレバーを操作して手動変速機MTを第1速段にしている。
その後、運転者はアクセル開度Accを保ちながらクラッチペダル70を戻し操作するが、この間にエンジン回転数Neの上昇に応じてエンジントルクTeが一旦、減少する。そして、時刻t2にクラッチ装置6が継合を開始して半クラッチ状態になると、クラッチ伝達トルクTcが立ち上がるとともに、これを受けてエンジン回転数Neが低下し始める一方で、クラッチ装置6から手動変速機MTへの出力、即ち入力軸回転数Niは上昇してゆく。
この間、エンジン回転数Neの低下に対応して徐々にエンジントルクTeが増大され、図の例では時刻t3においてクラッチ伝達トルクTcを追い越すと、エンジン回転数Neは再び上昇に転じる(時刻t4)。このとき、直ちにトルクダウン制御が開始され、図4のトルクマップMに従ってエンジントルクTeが低減されると(破線で示す)、これにより再びエンジン回転数Neが低下して、破線で示すように落ち込んでしまい、時刻t5においてエンジントルクTeが増大されてもエンストする虞がある。
これに対し本実施形態では、前記の時刻t4においてエンジン回転数Neが上昇を始めたときに、直ちにトルクダウン制御を開始するのではなく、設定値ΔNeだけ上昇するまで待ってからエンジントルクTeを低減させるようにしている。図の例では、運転者によるクラッチペダル70の戻し操作によってクラッチ伝達トルクTcが徐々に増大し、時刻t6においてエンジントルクTeを追い越すので、エンジン回転数Neは前記設定値ΔNeだけ上昇する前に、低下し始めることになる。
そうしてエンジン回転数Neが低下すれば、これに応じて再びエンジントルクTeが増大され、その後の時刻t7においてクラッチ装置6が完全継合状態になると、クラッチ伝達トルクTcが最大になるとともに、手動変速機MTの入力軸回転数Niがエンジン回転数Neと同じになって、発進時制御は終了する。
したがって、本実施形態によれば、車両の発進時の半クラッチ状態においてエンジン回転数Neが上昇しているときに、これが制御の応答遅れなどによるものであり、エンジン回転数Neがすぐに低下に転じることもあると考えて、エンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇してからトルクダウン制御を開始するようにしている。このトルクダウン制御によってエンジントルクを急減させることで、エンジン回転数Neの吹け上がりは効果的に抑制できる。
一方で、そうしてトルクダウン制御の開始を遅らせている間に、エンジン回転数Neが上昇から低下に転じることもあり、この場合には不要なトルクダウン制御が規制されることになるので、エンジン回転数Neの落ち込みによる不快な振動の発生、ひいてはエンストも防止することができる。また、トルクダウン制御をきっかけとしてエンジン回転数Neが上昇および低下を繰り返すこと(ハンチング)も抑制できる。
つまり、本実施形態によれば、車両の発進時の半クラッチ状態において、運転者がラフなアクセル操作やクラッチ操作をしたとしても、そのことに起因するエンジン回転数Neの落ち込みやエンストを防止でき、エンジン回転数Neの吹け上がりや変動も抑えた円滑な発進が可能になる。
−変形例−
前記のように本実施形態では、車両の発進時に半クラッチ状態でエンジン回転数Neが上昇を始めても、トルクダウン制御の開始を適度に遅らせるべく、エンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇するか、または相当する設定時間Δtが経過したか、判定するようにしているが、この設定値ΔNeや設定時間Δtは、エンジン回転数Neやその変化率dNe/dtなどによって変更するようにしてもよい。
すなわち、例えばエンジン回転数Neが低いときには、それが大きく吹け上って違和感を喚起する心配は少ない一方で、トルクダウン制御をきっかけとしてエンジン回転数Neが落ち込み、不快な振動が発生する可能性は高い。そこで、エンジン回転数Neが低いときほど設定値ΔNeは大きな値にし、設定時間Δtを長い時間にするのが、言い換えると、トルクダウンの開始をより慎重に判定することが好ましい。
同様に、エンジン回転数Neの時間当たりの変化率にも着目すれば、エンジン回転数Neが上昇していても、その変化率dNe/dt(回転加速度)が小さければ、それが大きく吹け上がる心配は少なく、むしろ低下に転じる可能性が高いとも考えられる。そこで、エンジン回転数Neの変化率dNe/dtが小さいときにも設定値ΔNeは大きな値にし、設定時間Δtは長い時間にするのが好ましい。
具体的には、図示はしないが、エンジン回転数Neおよびその変化率dNe/dtの少なくとも一方に対応づけて、前記の設定値ΔNeや設定時間Δtの好ましい値を実験などにより適合し、2次元若しくは3次元のマップを作成してECU9のROMに記憶させておけばよい。このマップを参照して、エンジン回転数Neやその変化率dNe/dtに対応する好ましい設定値ΔNe、設定時間Δtを決定することができる。
また、前記の設定値ΔNeや設定時間Δtを、トルクダウン制御において動作させるアクチュエータによって変更するようにしてもよい。具体的に前記実施形態ではトルクダウン制御は、スロットルバルブ33の閉じ動作および点火時期の遅角によって実行されるが、これは、スロットル開度及び点火時期のいずれか一方の制御によって実行することもできる。
その場合に、スロットル開度の制御による吸気量の変化の遅れは比較的大きく、点火時期の制御に比べてエンジントルクの制御応答性が低くなることから、吸気量の低減によって一旦、エンジン回転数Neが落ち込んでしまうと、エンストに至る可能性が高い。このことから、トルクダウン制御のためにスロットルバルブ33を閉じるのであれば、点火時期を遅角させるのに比べて設定値ΔNeを大きな値にし、また、設定時間Δtは長い時間にするのが好ましい。
−他の実施形態−
前記した実施形態およびその変形例の記載はあくまで例示に過ぎず、本発明の構成や用途などについても限定することを意図しない。例えば前記の実施形態では、図5、6を参照して説明したように、エンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇してからトルクダウン制御を開始するようにし、それまではエンジン回転数Neが上昇しても目標エンジントルクTeを保持するようにしている。これに限らず、エンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇する前に、予備的にエンジントルクを低減させるようにしてもよい(以下、予備低減制御という)。
具体的には、図8のフローチャートに示すように、ステップST201,ST202ではそれぞれ、図5のフローのステップST101,ST102と同じ処理を行って、車両の発進時の半クラッチ状態であり(ST201でYES)、且つエンジン回転数Neが上昇している(ST202でYES)ことを判定する。そして、いずれかで否定判定(NO)になればステップST206に進み、図5のフローのステップST105と同様に通常のトルク制御の処理を行う。
一方、ステップST201,ST202の両方で肯定判定(YES)になればステップST203に進んで、図5のフローのステップST103と同様にトルクダウン制御の開始条件が成立しているか否か判定する。これが肯定判定(YES)になればステップST203に進んで、図5のフローのステップST103と同様にトルクダウン制御の開始条件が成立しているか否か判定する。
そして、例えばエンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇しておらず、トルクダウン制御の開始条件が成立していなければ、否定判定(NO)してステップST204に進み、エンジントルクを緩やかに低減させる(予備的なトルクダウン)。その後、例えばエンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇すれば、ステップST203で肯定判定(YES)してステップST205に進み、図5のフローのステップST104と同様にトルクダウン制御を開始する。
ここで、予備低減制御について詳しくは、一例として前記実施形態と同じくマップ引き用回転数nempを用いて、トルクマップMを参照するようにすればよい。そして、マップ引き用回転数の今回値nemp(i) を求めるための(式1)において、係数α≠0とすることにより、エンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇するまでの間、目標エンジントルクTeを緩やかに低減させることができる。
すなわち、前記の(式1)においては、実際のエンジン回転数Neの上昇分(Ne(i)−Ne(i-1))に係数αを掛けて、これをマップ引き用エンジン回転数の前回値nemp(i-1)に加算し、今回値nemp(i)を算出する。このため、α=0であれば、前記実施形態のようにエンジン回転数Neが上昇しても、マップ引き用回転数nempは変化しない。一方、仮にα=1とすれば、マップ引き用回転数nempは実際のエンジン回転数Neと同じになる。
そして、0<α<1とすればマップ引き用回転数nempは、実際のエンジン回転数Neの上昇に対して、それよりも緩やかに上昇するようになり、このマップ引き用回転数nempを用いて、前記した図4のトルクマップMから目標エンジントルクTeを算出すれば、エンジントルクを相対的に緩やかに低減させることができる。
より詳しくは図9に模式的に示すように、例えば図の点Aにおいてエンジン回転数Neが上昇しても、点Bへ向かう状態の変化ではなく、仮想線で示すように点C’へ向かう状態の変化となり、目標エンジントルクTeは緩やかに低減される。その後、実際のエンジン回転数Neが設定値ΔNeだけ上昇すれば、図の点C’から点Dへ向かう状態の変化になって、トルクダウン制御が開始される。
こうして予備的なトルクダウン(予備低減制御)を行うようにした他の実施形態によると、車両の発進時の半クラッチ状態においてエンジン回転数Neが上昇しているときに、まず、比較的緩やかにエンジントルクを低減させて、エンジン回転数Neの上昇を抑えることができる。そして、それでもエンジン回転数Neが上昇すればトルクダウン制御によってエンジントルクを急減させ、エンジン回転数Neの吹け上がりを防止する。
つまり、予備的なトルクダウンを行うことによって、不要なトルクダウン制御の開始をより適切に規制することができ、エンジン回転数Neの落ち込みを抑えながら、その吹け上がりも抑えるという相反する要求を、より高い次元で両立できる。
ところで、前記した実施形態や他の実施形態においては、図4などを参照して説明したようにトルクマップMを参照して、目標エンジントルクNeを決定するようにしているが、本発明はこれにも限定されない。トルクマップMの代わりに例えば以下のような演算式(式2)を用いて、実際のエンジン回転数Neの目標値tar_Neからの偏差に応じて、目標エンジントルクTeを演算するようにしてもよい。なお、PID( )は、( )内のパラメータにより例えばPID制御則に則って演算するという意味の関数である。
目標エンジントルクTe = PID(tar_Ne−Ne) … (式2)
また、前記の実施形態では、本発明を自然吸気式のエンジン1に適用した例について説明したが、これに限らず本発明は、ターボ過給機を備えたエンジンにも適用可能である。この場合にはトルクダウン制御において、前記実施形態のようにスロットル開度や点火時期を制御する以外に、過給圧を制御することも考えられる。
さらに、本発明は、前記実施形態などのようにポート噴射式のガソリンエンジン1に適用する以外にも、例えば筒内直噴式のガソリンエンジン、および、ポート噴射および筒内噴射の両方の燃料噴射弁を備えたガソリンエンジンに適用可能である。また、ガソリンエンジンにも限定されず、本発明はディーゼルエンジンやガスエンジンにも適用可能であり、さらにはエンジン出力をアシストする電動モータを備えるハイブリッドのパワートレインにも適用可能である。
そして、例えば前記ハイブリッドのパワートレインのようにトルク制御の応答性が高い場合には、トルクダウン制御を開始するための条件であるエンジン回転数Neの設定値ΔNeや設定時間Δtを、前記実施形態に比べて小さな値に設定してもよい。また、比較的制御応答性の高い筒内噴射式エンジンやディーゼルエンジンについても、前記実施形態のエンジン1に比べて設定値ΔNeや設定時間Δtを小さな値に設定することができる。
本発明は、手動変速機の接続されたエンジンのストールを招くことなく、車両の円滑な発進を可能とするものであり、乗用車の商品性の向上に効果が高い。
1 エンジン(内燃機関)
6 クラッチ装置
9 ECU(制御装置)
33 スロットル弁
MT 手動変速機
M トルクマップ(発進時用出力制御マップ)

Claims (14)

  1. 車両に搭載され、手動変速機との間に介在されたクラッチ装置が、乗員の操作によって継合および離脱のいずれかに切り換えられる内燃機関の制御装置であって、
    前記車両の発進時に前記クラッチ装置が滑りながら動力を伝達する半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、この機関回転数が上昇を初めてから設定値だけ上昇したことを含む所定の条件が成立すれば、機関出力を低減させる出力低減制御を行うように構成したことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件は、機関回転数の上昇が設定時間、継続したことを含む、内燃機関の制御装置。
  3. 車両に搭載され、手動変速機との間に介在されたクラッチ装置が、乗員の操作によって継合および離脱のいずれかに切り換えられる内燃機関の制御装置であって、
    前記車両の発進時に前記クラッチ装置が滑りながら動力を伝達する半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、この機関回転数の上昇が設定時間、継続したことを含む所定の条件が成立すれば、機関出力を低減させる出力低減制御を行うように構成したことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数が前記設定値だけ上昇したことを含む場合に、この設定値を、機関回転数が低いときほど大きな値にする、内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数の上昇が前記設定時間、継続したことを含む場合に、この設定時間を、機関回転数が低いときほど長い時間にする、内燃機関の制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数が前記設定値だけ上昇したことを含む場合に、前記出力低減制御として吸気系のスロットル弁を閉じるのであれば、点火時期を遅らせるのに比べて前記設定値を大きな値にする、内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数の上昇が前記設定時間、継続したことを含む場合に、前記出力低減制御として吸気系のスロットル弁を閉じるのであれば、点火時期を遅らせるのに比べて前記設定時間を長い時間にする、内燃機関の制御装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数が前記設定値だけ上昇したことを含む場合に、この設定値を、機関回転数の時間あたりの変化率が小さいときほど大きな値にする、内燃機関の制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数の上昇が前記設定時間、継続したことを含む場合に、この設定時間を、機関回転数の時間あたりの変化率が小さいときほど長い時間にする、内燃機関の制御装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数が前記設定値だけ上昇したことを含む場合に、この設定値を、前記出力低減制御の応答性が高いときほど小さな値にする、内燃機関の制御装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記の所定の条件として機関回転数の上昇が前記設定時間、継続したことを含む場合に、この設定時間を、前記出力低減制御の応答性が高いときほど短い時間にする、内燃機関の制御装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記クラッチ装置が半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、前記所定の条件が成立する前に予め、前記出力低減制御に比べて緩やかに機関出力を低減させる予備低減制御を行う、内燃機関の制御装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    車両の発進時にクラッチ装置が半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときに、実際の機関回転数よりも低い演算用の機関回転数を用いて目標機関出力を決定するように構成した、内燃機関の制御装置。
  14. 請求項13に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記車両の目標機関出力を決定するために、機関回転数の上昇に応じて目標機関出力が低減されるように設定した発進時用出力制御マップを備え、
    前記車両の発進時にクラッチ装置が半継合状態になっていて、かつ機関回転数が上昇するときには、前記演算用の機関回転数を用いて前記発進時用出力制御マップから目標機関出力を決定するように構成した、内燃機関の制御装置。
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