JP2015071737A - 超高分子量ポリエチレン粒子及びそれよりなる成形体 - Google Patents

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彩樹 長谷川
Ayaki Hasegawa
彩樹 長谷川
阿部 成彦
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Abstract

【課題】 高結晶性を有し、特定の細孔特性を示すことから、耐熱性、耐摩耗性に優れる成形体を提供しうる粉体特性、成形加工性、電気特性に優れる新規な超高分子量ポリエチレン粒子を提供する。
【解決手段】 少なくとも下記(1)〜(5)の特性を満足する超高分子量ポリエチレン粒子。
(1)固有粘度(η)が15dl/g以上30dl/g以下。
(2)X線回析法により測定した結晶性散乱積分強度と非晶性散乱積分強度より求めた結晶化度が50%以上60%以下。
(3)ジルコニウムの含有量が0.05ppm以上10ppm以下。
(4)水銀圧入法により測定した細孔容積が0.05cc/g以上0.15cc/g以下。
(5)水銀圧入法により測定した平均細孔直径が0.005μm以上0.02μm以下。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高結晶性を示す粉体特性、成形加工性に優れる超高分子量ポリエチレン粒子及びこの超高分子量ポリエチレン粒子から得られる成形体に関するものであり、より詳細には、高結晶性を示すことから、耐熱性、耐摩耗性に優れる成形体を提供しうることが可能となると共に、特定の細孔特性を有することから粉体特性、成形加工性、電気特性にも優れる新規な超高分子量ポリエチレン粒子及びそれよりなる成形体に関するものである。
従来、超高分子量ポリエチレンは、汎用のポリエチレンに比べ、耐衝撃性、耐摩耗性、摺動性、耐薬品性に優れており、エンジニアリングプラスチックに匹敵する物性を有している。
この超高分子量ポリエチレンは、その分子量の高さゆえに溶融時の流動性が悪いため、一般的な樹脂の成形方法である溶融成形を行うことが困難である。このため、超高分子量ポリエチレンパウダーを融点以下の温度で圧縮し、圧着させた後に圧延・延伸を行う固相延伸法等の成形方法が開発されている。しかし、固相延伸法等のポリマー粒子を用いた一部の成形法では、ポリマー粒子を融点以下で圧縮・圧延・延伸させるため、ポリマー鎖の絡み合いに起因して高い粘度が発生する。そのために、成形加工の技術的難易度が高く、成形体を得るのが困難であるという課題、さらには、ポリマー鎖の絡み合いによる局部的な高粘度部位が存在したり、ポリマー粒子の流動性不足等に起因して圧縮時に疎な部分が形成されることによりウイークポイントが発生するため、得られる成形体の機械的強度が比較的低いという課題があった。
これら課題を解決するものとして、嵩密度が高く、流動性が良好であり、ポリマー鎖の絡み合いの少ない超高分子量ポリエチレン粒子が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
特開2012−025817号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1に提案された超高分子量ポリエチレン粒子においては、成形加工性の改良効果が僅かにみられるものの耐熱性、結晶性という点ではまだ満足できるものではなかった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、固相延伸法等のポリマー粒子を用いた成形法においても耐熱性、耐摩耗性に優れる成形体を供給することが可能な、細孔特性と高結晶性を有する粉体特性に優れる新規な超高分子量ポリエチレン粒子の提供を目的とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の特性を満足する新規な超高分子量ポリエチレン粒子が粉体特性、成形加工性、電気特性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、少なくとも下記(1)〜(5)の特性を満足することを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子及びそれよなる成形体に関するものである。
(1)固有粘度(η)が15dl/g以上30dl/g以下。
(2)X線回析法により測定した結晶性散乱積分強度と非晶性散乱積分強度より求めた結晶化度が50%以上60%以下。
(3)ジルコニウムの含有量が0.05ppm以上10ppm以下。
(4)水銀圧入法により測定した細孔容積が0.05cc/g以上0.15cc/g以下。
(5)水銀圧入法により測定した平均細孔直径が0.005μm以上0.020μm以下。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、少なくとも(1)固有粘度(η)が15dl/g以上30dl/g以下、(2)X線回析法により測定した結晶性散乱積分強度と非晶性散乱積分強度より求めた結晶化度が50%以上60%以下、(3)ジルコニウムの含有量が0.05ppm以上10ppm以下、(4)水銀圧入法により測定した細孔容積が0.05cc/g以上0.15cc/g以下、(5)水銀圧入法により測定した平均細孔直径が0.005μm以上0.020μm以下、とのいずれの特性をも満足するものである。
そして、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、超高分子量ポリエチレンが粒子状形状を有するものであり、該超高分子量ポリエチレンには、ポリエチレンと称される範疇のものが属し、例えばエチレン単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン−1共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体;等を挙げることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、(1)固有粘度が15dl/g以上30dl/g以下、を有するものであり、特に成形体とした際に優れる成形性と力学特性を有することから15dl/g以上24dl/g以下であることが好ましい。ここで、固有粘度が15dl/g未満である場合、得られる成形体は力学特性に劣るものとなる。一方、固有粘度が30dl/gを越える場合、成形加工性に劣るものとなる。
なお、本発明における固有粘度は、例えばウベローデ型粘度計を用い、オルトジクロルベンゼンを溶媒としたポリマー濃度0.005wt%〜0.01wt%溶液にて、135℃において測定する方法により求めることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、(2)X線回析法により測定した結晶性散乱積分強度と非晶性散乱積分強度より求めた結晶化度が50%以上60%以下、であり、特に成形体とする際の成形加工性に優れ、耐熱性にも優れる成形体となることから54%以上60%以下であることが好ましい。ここで、ポリエチレン粒子としての結晶化度が50%未満である場合、得られる成形体は力学特性、耐熱性に劣るものとなる。一方、結晶化度が60%を超える場合、成形体とする際の成形加工性に劣るものとなる。
なお、一般的なポリエチレン系重合体においては、高結晶化度を有するものとして、高密度ポリエチレンに属するエチレン単独重合体が知られているが、該高密度ポリエチレンにおける結晶化度は50%未満であり、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子が50%以上60%以下というポリチレン系重合体としては極めて高い結晶化度を有する理由に関しては不明であるが、超高分子量ポリエチレン粒子として製造する際の熱履歴等の影響が加味されているものと考えている。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、微量金属成分としてジルコニウムを含むものであり、(3)ジルコニウムの含有量が0.05ppm以上10ppm以下、であり、特に高い融解温度、結晶化度を有する超高分子量ポリエチレン粒子となることから、ジルコニウム含有量が0.1ppm以上5ppm以下のものであることが好ましい。ここで、ジルコニウム含有量が0.05ppm未満である場合、融解温度の低いポリエチレンとなる。一方、ジルコニウム含有量が10ppmを越える場合、ポリエチレンとしての安定性に劣るものとなる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、(4)水銀圧入法により測定した細孔容積が0.05cc/g以上0.15cc/g以下、であり、特に成形体とする際の成形加工性に優れ、機械的特性にも優れる成形体となることから細孔容積が0.07cc/g以上0.15cc/g以下であることが好ましい。ここで、細孔容積が0.05cc/g未満である場合、電気特性に劣るものとなり、特にリチウムイオン電池のセパレータ等の材料に用いた時の材料適正に劣るものとなる。一方、0.15cc/gを越える場合、ポリエチレン粒子が疎なものとなり、粉体特性に劣るばかりか、成形の際の成形加工性、機械的特性にも劣るものとなり、特にリチウムイオン電池のセパレータ等の材料に用いた時の材料適正に劣るものとなる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、(5)水銀圧入法により測定した平均細孔直径が0.005μm以上0.020μm以下、であり、特に粉体特性、成形加工性に優れるものとなることから平均細孔直径が0.008μm以上0.020μm以下であることが好ましい。ここで、平均細孔直径が0.005μm未満である場合、透気性能に劣るものとなる。一方、平均細孔直径が0.020μmを越える場合、取り扱い性、成形加工性、特に固相延伸の際の成形加工性に劣るものとなる。
さらに、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、成形加工、特に固相延伸の際の成形加工性に優れるものとなることから、(6)嵩密度が200kg/m以上450kg/m以下であることが好ましい。なお、嵩密度は、例えば粉末を一定容積の容器の中に、一定状態で入れた時に容器内に入る粉末の量を測定し、単位体積あたりの質量を求める等の方法により、測定することが可能であり、JIS K−6721:1997に従って測定することにより得ることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、特に粉体としての流動性、成形加工時の成形性に優れるものとなることから(7)平均粒径が100μm以上350μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径に関しては、例えばふるい分け法等の方法により測定することができ、JIS Z8801で規定された10種類の篩(目開き:1000μm、850μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、150μm、106μm、75μm)を用いて、100gの粒子を分級した際に得られる各篩に残った粒子の重量を目開きの大きい側から積分した積分曲線において、50%の重量になる粒子径を測定することができる。
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、特に耐熱性、機械的強度、成形性のバランスに優れる超高分子量ポリエチレン粒子となることから、(8)示差走査型熱量計(DSC)にて、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)した際の1stスキャンの融点(Tm)、その後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で−20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で−20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)した際の2ndスキャンの融点(Tm)をそれぞれ測定し、該Tmと該Tmの差(ΔTm=Tm−Tm)が11℃以上30℃以下であることが好ましく、特にΔTmが11℃以上15℃以下であることが好ましい。
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、より強靭な成形体を提供することが可能となることから、(9)プレス温度190℃、プレス圧力20MPaで加熱圧縮した後、前記(8)により測定した2ndスキャンの融点(Tm)より10℃〜30℃低い金型温度で冷却して成形したシートの引張破断強度(TS(MPa))が、下記関係式(a)を満たすものであることが好ましく、更により強靭で機械強度、耐摩耗性に優れる成形体を提供することが可能となることから、下記関係式(c)を満たすものであることが好ましい。
TS≧1.35×Tm−130 (a)
1.35×Tm−130≦TS≦2×Tm−175 (c)
なお、一般的なポリエチレンの引張破断強度は、最も高い高密度ポリエチレンでも45MPa程度と低いものである。また、従来の超高分子量ポリエチレンも、その高い分子量を十分生かすことができておらず、引張破断強度は一般的なポリエチレンと同等であり、50MPaを超えることはなかった。このため、高延伸倍率で圧延成形するなどにより配向させて、強度を高める方法がとられていた。
しかし、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、高分子鎖が適度に絡み合っているため、固有粘度(η)が15dl/gを超える超高分子量ポリエチレンの領域であっても、更にその分子量を高くしても引張破断強度が低下せず、むしろ、さらに向上する傾向を示すものである。そして、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子としては、成形体とした際により強度が優れるものとなることから、高密度ポリエチレンの領域に属するものであるならば前記(9)により測定した引張破断強度として、40MPa以上を有するものであることが好ましく、より好ましくは50MPa以上を有するものである。
本発明における引張破断強度の測定条件としては、特に制限はなく、例えば厚み0.1〜5mm、幅1〜50mmの短冊形、ダンベル型等の試験片を、引張速度1mm/分〜500mm/分の速度で測定する方法を例示することができる。
さらに、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、比較的低分子量成分の含有量が低く、高分子鎖の適度な絡み合いが可能となり、特に耐熱性に優れるものとなることから、(10)加熱圧縮成形したシートを、前記(8)により測定した2ndスキャンの融点(Tm)より20℃高い温度で溶融延伸したときの破断強度(MTS(MPa))が2MPa以上を有するものであることが好ましく、更に3MPa以上を有するものであることが好ましい。
なお、分子量50万以下の一般的なポリエチレンは、融点(Tm)より20℃高い温度では、流動性が高く、自重で成形体が変形してしまい、溶融延伸はできない。また、従来の超高分子量ポリエチレンは、融点(Tm)より20℃高い温度でも、溶融延伸は可能であるが、含有する低分子量成分の影響により、歪み硬化が起きず、応力が低い状態のまま、1MPa前後の強度で破断してしまい、耐熱性に劣るものであった。
そして、溶融延伸に用いる加熱圧縮成形シートの成形条件としては、制限はなく、例えばプレス温度100〜250℃、プレス圧力5〜50MPaの条件であり、その中でも特に前記(8)に記載した加熱圧縮成形法を例示することができる。また、溶融延伸方法としては、例えば厚み0.1〜5mm、幅1〜50mmの短冊形、ダンベル型等の試験片を、引張速度1mm/分〜500mm/分の速度で延伸する方法を例示することができる。
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、特に耐熱性に優れるものとなることから、(11)前記(10)により測定した溶融延伸したときの破断強度(MTS(MPa))と固有粘度(η)が、下記関係式(b)を満たすものであることが好ましく、特に溶融延伸性、成形性にも優れるものとなることから、下記関係式(d)を満たすものであることが好ましい。
MTS≧0.11×η (b)
0.11×η≦MTS≦0.32×η (d)
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、必要に応じて公知の各種添加剤を含んでいても良く、熱安定剤としては、例えば、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、ジステアリルチオジプロピオネート等の耐熱安定剤、あるいはビス(2,2’,6,6’−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、2−(2−ヒドロキシ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の耐候安定剤等が挙げられる。また、着色剤として無機系、有機系のドライカラーを添加しても良い。また、滑剤や塩化水素吸収剤等として公知であるステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩も、好適な添加剤として挙げることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、ポリエチレンと称される範疇よりなるものであり、例えばエチレン単独重合体;エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体;等の上述したものと同様のものが挙げられ、その中でも特に力学強度、耐熱性に優れる超高分子量ポリエチレン粒子となることから、エチレン単独重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体であることが好ましい。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子の製造方法としては、本発明の超高分子量ポリチレン粒子の製造が可能であれば如何なる方法を用いても良く、例えばジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒を用い、エチレンの単独重合、エチレンと他のオレフィンとの共重合を行う方法を挙げることができ、その際のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を挙げることができる。また、重合方法としては、例えば溶液重合法、塊状重合法、気相重合法、スラリー重合法等の方法を挙げることができ、その中でも、特に粒子形状が整った超高分子量ポリエチレン粒子の製造が可能となると共に、高融解温度、高結晶化度を有する超高分子量ポリエチレン粒子を効率よく安定的に製造することが可能となることからスラリー重合法であることが好ましい。また、スラリー重合法に用いる溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、プロピレン、ブテン−1、オクテン−1、ヘキセン−1などのオレフィンを溶媒として用いることもできる。
また、ジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒としては、例えばシクロペンタジエニル基とフルオレニル基を有するジルコニウム系化合物(A)、脂肪族塩にて変性した有機変性粘土(B)及び有機アルミニウム化合物(C)を含むメタロセン系触媒を挙げることができる。
そして、該ジルコニウム系化合物(A)としては、例えばジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドなどのジルコニウム化合物や上記遷移金属化合物のジクロロ体をジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体に変えた化合物などを例示することができる。
該脂肪族塩にて変性した有機変性粘土(B)としては、例えばN,N−ジメチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミンフッ化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン臭化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミンヨウ化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン硫酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン硫酸塩等の脂肪族アミン塩;P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン硫酸塩等の脂肪族ホスフォニウム塩;等の脂肪族塩により変性された粘土を挙げることができる。
また、該有機変性粘土(B)を構成する粘土化合物としては、粘土化合物の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、一般的にシリカ四面体が二次元上に連続した四面体シートと、アルミナ八面体やマグネシア八面体等が二次元上に連続した八面体シートが1:1又は2:1で組合わさって構成されるシリケート層と呼ばれる層が何枚にも重なって形成され、一部のシリカ四面体のSiがAl、アルミナ八面体のAlがMg、マグネシア八面体のMgがLi等に同型置換されることにより層内部の正電荷が不足し、層全体として負電荷を帯びており、この負電荷を補償するために層間にはNaやCa2+等の陽イオンが存在しているものとして知られているものである。そして、該粘土化合物としては天然品、または合成品としてのカオリナイト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、脆雲母、縁泥石等が存在し、これらを用いることが可能であり、その中でも入手のしやすさと有機変性の容易さからスメクタイトが好ましく、特にスメクタイトのなかでもヘクトライトまたはモンモリロナイトがさらに好ましい。
該有機変性粘土(B)は、該粘土化合物の層間に該脂肪族塩を導入し、イオン複合体を形成することにより得る事が可能である。該有機変性粘土(B)を調製する際には、粘土化合物の濃度0.1〜30重量%、処理温度0〜150℃の条件を選択して処理を行うことが好ましい。また、該脂肪族塩は固体として調製して溶媒に溶解させて使用しても良いし、溶媒中での化学反応により該脂肪族塩の溶液を調製してそのまま使用しても良い。該粘土化合物と該脂肪族塩の反応量比については、粘土化合物の交換可能なカチオンに対して当量以上の脂肪族塩を用いることが好ましい。処理溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;エチルアルコール、メチルアルコール等のアルコール類;エチルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン;1,4−ジオキサン;テトラヒドロフラン;水、等を用いることができる。そして、好ましくは、アルコール類または水を単独もしくは溶媒の一成分として用いることである。
また、本発明のエチレン系重合体製造用触媒を構成する有機変性粘土(B)の粒径に制限はなく、その中でも触媒調製時の効率、エチレン系重合体製造時の効率に優れるものとなることから1〜100μmであることが好ましい。その際の粒径を調節する方法にも制限はなく、大きな粒子を粉砕して適切な粒径にしても、小さな粒子を造粒して適切な粒径にしても良く、あるいは粉砕と造粒を組み合わせても良い。また、粒径の調節は有機変性前の粘土に行っても、変性後の有機変性粘土に行っても良い。
該有機アルミニウム化合物(C)としては、有機アルミニウム化合物と称される範疇に属するものであれば如何なるものも用いることができ、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
該ジルコニウム系ポリチレン製造用触媒を構成する該ジルコニウム系化合物(A)(以下(A)成分ということもある。)、該有機変性粘土(B)(以下、(B)成分ということもある。)、および該有機アルミニウム化合物(C)(以下、(C)成分ということもある。)の使用割合に関しては、ジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒としての使用が可能であれば如何なる制限を受けるものでなく、その中でも、特に超高分子量ポリエチレン粒子を生産効率よく製造することが可能なジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒となることから、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比は(A)成分:(C)成分=100:1〜1:100000の範囲にあることが好ましく、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。また、(A)成分と(B)成分の重量比が(A)成分:(B)成分=10:1〜1:10000にあることが好ましく、特に3:1〜1:1000の範囲であることが好ましい。
該ジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒の調製方法に関しては、該(A)成分、該(B)成分および該(C)成分を含むジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒を調製することが可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば各(A)、(B)、(C)成分に関して不活性な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を反応させる順番に関しても制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も制限はない。また、(A)成分、(B)成分、(C)成分のそれぞれを2種類以上用いてジルコニウム系ポリエチレン製造用触媒を調製することも可能である。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を製造する際の重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件については任意に選択可能であり、その中でも、重合温度30〜90℃、重合時間10秒〜20時間、重合圧力常圧〜100MPaの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られるエチレン系重合体は、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を製造する際には、重合以降の工程にて極力熱がかからないような工程を経て製造することが好ましい。例えば、乾燥工程において、超高分子量ポリエチレン粒子に必要最小限の熱を加えて溶媒等を除去し、その後は加熱をしないことが好ましい。加熱を抑制することにより、超高分子量ポリエチレン粒子の結晶化度が増大し、圧延および延伸時の成形加工性が顕著に悪化するのを防止することができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を用いた成形体は、公知の成形方法により得られる。この成形体は、延伸時にポリマー鎖の結晶化が促進されることにより、強度が極めて優れる。特に、固相延伸法により製造される成形体において、この傾向は顕著である。
固相延伸法における成形条件としては、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を、10MPa以上の圧力で圧着してシート状に成形し、これを引張延伸したり、ロール等を用いて圧力をかけながら延伸する方法が挙げられる。これらの成形時の温度は、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子の融点以下であることが好ましいが、実質的に溶融流動が起きない範囲であれば、融点以上の温度での成形も可能である。
さらに、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を、適当な溶剤もしくは可塑剤に溶解又は混合してゲル状混合物を調製し、公知のゲル紡糸技術により超高弾性率高強度繊維を得ることもできる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を用いた成形体の延伸性および延伸成形体の物性は、以下のように評価することができる。
超高分子量ポリエチレン粒子を用いた成形体の延伸性は、まず超高分子量ポリエチレン粒子をプレス機を用いて融点以下で圧縮し、次いでロールを用いて融点以下で圧延し、次いで引っ張り試験機を用いて融点以下で延伸することにより評価できる。
通常、延伸倍率と延伸成形体の強度との関係は、延伸倍率が高いほど延伸成形体の強度が高まることが知られている。本発明による超高分子量ポリエチレン粒子を用いた成形体の延伸倍率は、50倍以上500倍以下であることが好ましく、70倍以上400倍以下であることが更に好ましく、100倍以上300倍以下であることが特に好ましい。
本発明による超高分子量ポリエチレン粒子を用いた成形体の延伸倍率は、圧延時の圧延倍率(A)と延伸時の延伸倍率(B)を乗じることにより算出できる。なお、圧延倍率(A)および延伸倍率(B)は、それぞれ、試験片に等間隔に付けた印の圧延前後および延伸前後における間隔の広がる倍率のことである。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、特定の細孔特性を有することから粉体特性、成形加工性に優れると共に、高結晶性を示すことから、それより得られる成形体は、耐熱性、耐摩耗性、電気特性に優れるものとなる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。なお、断りのない限り、用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
有機変性粘土の粉砕にはジェットミル(セイシン企業社製、(商品名)CO−JET SYSTEM α MARK III)を用い、粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定した。
エチレン系重合体製造用触媒の調製、エチレン系重合体の製造および溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製を用いた。
さらに、実施例におけるエチレン系重合体の諸物性は、以下に示す方法により測定した。
〜Mw、MnおよびMw/Mnの測定〜
GPC装置(東ソー(株)製、(商品名)HLC−8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製、(商品名)TSKgel GMHhr−H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、Mw、Mnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
〜固有粘度の測定〜
ウベローデ型粘度計を用い、ODCB(オルトジクロルベンゼン)を溶媒として、135℃において、超高分子量ポリエチレン濃度0.005wt%〜0.01wt%で測定した。
〜粘度換算分子量〜
固有粘度([η](dl/g))と粘度換算分子量(Mv)の下記関係式に基づき算出した。
[η]=5.05×10−4×(Mv)0.693
〜結晶化度の測定〜
X線回析法により得た広角X線回析プロファイルから、非晶に由来する散乱領域と結晶に由来する散乱領域とを分け、全散乱強度に対する結晶散乱強度の比として結晶化度を計算した。装置および条件を以下に記す。
使用装置:粉末X線回析装置 (商品名)UltimaIV(Rigaku社製)
X線:CuKα線、40mA,40kV
走査モード:θ−2θ、連続スキャン
走査速度:1°/min
サンプリング幅:0.05°
走査範囲:15°≦2θ≦30°。
〜細孔径分布の測定〜
水銀圧入法により細孔径分布の測定を行った。装置および条件を以下に記す。
使用装置:全自動細孔分布測定装置 (商品名)Pore Master 60−GT(Quanta Chrome Co.)
試料前処理:なし
試料量:0.2〜0.3g程度
サンプルセル:スモールセル(10φ×30mm)
測定レンジ:全域
測定範囲:細孔直径 0.0036μm〜10μm
計算範囲:細孔直径 0.0036μm〜10μm
水銀接触角:140deg
水銀表面張力:480dyn/cm。
〜ジルコニウム含有量の測定〜
得られた超高分子量ポリエチレン粒子の灰分の元素分析により測定した。
〜TmとTmの測定〜
示差走査型熱量計(DSC)(エスアイアイ・ ナノテクノロジー(株)製 (商品名)DSC6220)を用いて、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)し1stスキャンの結晶融解ピーク(Tm)の測定を行った。その後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で−20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で−20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)し2ndスキャンの結晶融解ピーク(Tm)を測定した。その際の超高分子量ポリエチレンのサンプル量は6mgとした。
〜引張破断強度の測定〜
超高分子量ポリエチレン粒子をポリエチレンテレフタレートフィルムに挟んで、190℃で、5分間予熱した後、190℃、プレス圧力20MPaの条件にて加熱圧縮した。その後、金型温度110℃の金型内にて10分間冷却し、厚さ0.3mmのプレスシートを得た。
このシートからダンベル型に切り出したサンプル(測定部の幅5mm)を、23℃にて48時間静置した後、引張試験機((株)エイ・アンド・ディー製、(商品名)テンシロンRTG−1210)にて、測定温度23℃、試験片の初期長さ20mm、引張速度20mm/分で引張試験をし、引張破断強度を求めた。
〜溶融延伸時の破断応力の測定〜
上記引張破断強度の測定に記載の方法によりプレスシートを得た。
このシートからダンベル型に切り出したサンプル(測定部の幅10mm)を、23℃にて48時間静置した後、引張試験機((株)エイ・アンド・ディー製、(商品名)テンシロンUMT2.5T)にて、示差走査型熱量計(DSC)の2ndスキャンの結晶融解ピーク(Tm)より20℃高い温度で、試験片の初期長さ10mm、引張速度20mm/分で引張試験をし、溶融延伸時の破断応力を求めた。歪み硬化が起き、延伸に伴い応力が増加した場合はその最大値を破断応力とし、歪み硬化が起きず、延伸しても応力が増加しない場合は、降伏後の平坦領域の応力を破断応力とした。
〜平均粒径の測定〜
JIS Z8801で規定された9種類の篩(目開き:710μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm)を用いて、100gの超高分子量ポリエチレン粒子を分級した際に得られる各篩に残った粒子の重量を目開きの大きい側から積分した積分曲線において、50%の重量になる粒子径を測定することにより平均粒径を求めた。
〜耐摩耗性の評価〜
超高分子量ポリエチレン粒子200gを金型に投入し、金型温度190℃、面圧力30MPaにて20分間プレス成形し、縦横各150mm、厚さ10mmの板状成形品を得た。
該板状成形品を平削り機にて切削加工して、直径5mm高さ8mmの丸棒を試験用サンプルとして調製し、摩擦摩耗試験機(オリエンテック(株)、型式EFM−III−EN)を用いて、JIS K7218に準拠して、速度2.0m/秒、荷重25MPa、時間360分、相手材料SS400の条件で摩耗量を測定した。摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れている。
実施例1
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300ml及び蒸留水300mlを入れ、濃塩酸15.0g及びジオレイルメチルアミン(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンM20)64.2g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mlで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより160gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)エチレン系重合体製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.600g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12wt%)。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を300mg(固形分36mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで106gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:2940g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
実施例2
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300ml及び蒸留水300mlを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mlで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより125gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)エチレン系重合体製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.600g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12wt%)。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を150mg(固形分18mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給しエチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで185gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:10280g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
実施例3
(1)有機変性粘土の調製及び(2)エチレン系重合体製造用触媒の懸濁液の調製は、実施例2と同様に実施した。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を250mg(固形分30mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.5MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで157gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:5230g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
実施例4
(1)有機変性粘土の調製
実施例1と同様に実施した。
(2)エチレン系重合体製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.628g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12wt%)。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を300mg(固形分36mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで110gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:3060g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
実施例5
(1)有機変性粘土の調製及び(2)エチレン系重合体製造用触媒の懸濁液の調製は、実施例4と同様に実施した。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を250mg(固形分30mg相当)加え、70℃に昇温後、分圧が1.0MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで155gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:5170g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
実施例6
(1)有機変性粘土の調製
実施例1と同様に実施した。
(2)エチレン系重合体製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.752g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12wt%)。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られた触媒懸濁液を300mg(固形分36mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで103gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:2860g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
実施例7
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300ml及び蒸留水300mlを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mlで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより125gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)エチレン系重合体製造触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.699g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン系重合体製造触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12wt%)。
(3)エチレン系重合体粒子の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を100mg(固形分12mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給しエチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで205gのエチレン単独重合体粒子を得た(活性:17080g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体粒子の物性は表1および表2に示す。
比較例1
(1)有機変性粘土の調製
実施例1と同様に行った。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.557g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:11.0wt%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られた触媒懸濁液を368.1mg(固形分40.5mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで22.3gのエチレン系重合体を得た(活性:550g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の物性は表1および表2に示す。
得られたエチレン系重合体は、固有粘度、結晶化度が低く、ジルコニウム含有量の高いものであり、耐摩耗性、耐熱性、安定性に期待できないものであった。
比較例2
(1)有機変性粘土の調製及び(2)触媒懸濁液の調製は、比較例1と同様に実施した。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られた触媒懸濁液を277.3mg(固形分30.5mg相当)加え、70℃に昇温後、分圧が1.0MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで37.2gのエチレン系重合体を得た(活性:1220g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の物性は表1および表2に示す。
得られたエチレン系重合体は、固有粘度、結晶化度が低く、細孔容積、細孔直径の大きいものであり、耐摩耗性、耐熱性、電気特性、粉体特性に期待できないものであった。
比較例3
(1)有機変性粘土の調製
実施例2と同様に行った。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.557g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:11.5wt%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られた触媒懸濁液を356.5mg(固形分41.0mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで32.8gのエチレン系重合体を得た(活性:800g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の物性は表1および表2に示す。
得られたエチレン系重合体は、固有粘度、結晶化度が低く、耐摩耗性、耐熱性に期待できないものであった。
比較例4
(1)有機変性粘土の調製及び(2)触媒懸濁液の調製は、比較例3と同様に実施した。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られた触媒懸濁液を260.9mg(固形分30.0mg相当)加え、70℃に昇温後、分圧が1.0MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで46.2gのエチレン系重合体を得た(活性:1540g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の物性は表1および表2に示す。
得られたエチレン系重合体は、固有粘度、結晶化度が低く、細孔容積、細孔直径の大きいものであり、耐摩耗性、耐熱性、電気特性、粉体特性に期待できないものであった。
比較例5
(1)有機変性粘土の調製
実施例1と同様に行った。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.669g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0wt%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られた触媒懸濁液を333.3mg(固形分40.0mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで40.0gのエチレン系重合体を得た(活性:1000g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の物性は表1および表2に示す。
得られたエチレン系重合体は、固有粘度、結晶化度が低く、耐摩耗性、耐熱性に期待できないものであった。
比較例6
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300ml及び蒸留水300mlを入れ、濃塩酸15.0g及びトリオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mlで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより160gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.600g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12.0wt%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたエチレン系重合体製造用触媒の懸濁液を500mg(固形分60mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。90分経過後に脱圧し、ろ過を行ったが、エチレン単独重合体はほとんど得られなかった。
比較例7
市販品ポリエチレン(三井化学社製 (商品名)ハイゼックスミリオン グレード030S)について、実施例と同様に物性を測定した。結果を表1および表2に示す。
Figure 2015071737
Figure 2015071737
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、高結晶性を示すことから、耐熱性、耐摩耗性に優れる成形体を提供することが可能となると共に、特定の細孔特性を有することから粉体特性、成形加工性、電気特性に優れるものとなり、特にリチウムイオン電池のセパレータ等の材料に用いた時の材料適正に優れるものとなり、その産業上の利用可能性は極めて高いものである。

Claims (7)

  1. 少なくとも下記(1)〜(5)の特性を満足することを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子。
    (1)固有粘度(η)が15dl/g以上30dl/g以下。
    (2)X線回析法により測定した結晶性散乱積分強度と非晶性散乱積分強度より求めた結晶化度が50%以上60%以下。
    (3)ジルコニウムの含有量が0.05ppm以上10ppm以下。
    (4)水銀圧入法により測定した細孔容積が0.05cc/g以上0.15cc/g以下。
    (5)水銀圧入法により測定した平均細孔直径が0.005μm以上0.02μm以下。
  2. さらに、下記(6)の特性をも満足することを特徴とする請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
    (6)嵩密度が200kg/m以上450kg/m以下。
  3. さらに、下記(7)の特性をも満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
    (7)平均粒子径が100μm以上350μm以下。
  4. さらに、下記(8)の特性をも満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
    (8)示差走査型熱量計(DSC)にて、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)した際の1stスキャンの融点(Tm)、その後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で−20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で−20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)した際の2ndスキャンの融点(Tm)をそれぞれ測定し、該Tmと該Tmの差(ΔTm=Tm−Tm)が11℃以上30℃以下。
  5. さらに、(9)プレス温度190℃、プレス圧力20MPaで加熱圧縮した後、前記(8)により測定した2ndスキャンの融点(Tm)より10℃〜30℃低い金型温度で冷却して成形したシートの引張破断強度(TS(MPa))が下記関係式(a)を満たすものである、ことをも満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
    TS≧1.35×Tm−130 (a)
  6. スラリー重合法により得られたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン粒子を用いてなることを特徴とする成形体。
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