JP6318649B2 - 超高分子量ポリエチレン組成物およびそれよりなる成形体 - Google Patents

超高分子量ポリエチレン組成物およびそれよりなる成形体 Download PDF

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本発明は、成形性に優れ、かつ、機械的強度が高く、耐熱性にも優れる超高分子量ポリエチレン組成物及び該超高分子量ポリエチレン組成物から得られる成形体に関するものであり、より詳細には、成形性に優れるため、成形物の外観が良好で、かつ機械的強度が高く、耐熱性にも優れる成形体を提供しうる新規な超高分子量ポリエチレン組成物及びそれからなる成形体に関するものである。
従来、超高分子量ポリエチレンは、汎用のポリエチレンに比べ、耐衝撃性、自己潤滑性、耐摩耗性、摺動性、耐候性、耐薬品性、寸法安定性等に優れており、エンジニアリングプラスチックに匹敵する物性を有するものとして知られている。
しかし、超高分子量ポリエチレンは、その高い分子量故に、溶融時の流動性が低く、分子量が数万から約50万の範囲にある通常のポリエチレンのように混練押出により成形することは困難である。そこで、超高分子量ポリエチレンは、重合により得られた重合体粉末を直接焼結する方法、圧縮成形する方法、間歇圧縮させながら押出成形するラム押出機による押出成形方法、溶媒等に分散させた状態で押出成形した後、溶媒を除去する方法等の方法により成形されている。しかし、これらの成形加工法は、技術的難易度が高く、成形体を得るのが困難であるという課題、さらには、高分子鎖の絡み合いによる局部的な高粘度部位の存在やポリマー粒子の流動性不足等に起因して圧縮時に疎な部分が形成されることによりウイークポイントが発生するため、得られる成形体が本来有するはずであろう機械的強度を発現することができず、機械的強度が比較的低くなるという課題があった。
また、成形体とした際の機械的強度を上げる手段として、メタロセン触媒等の触媒を用いた分子量分布の狭い超高分子量ポリエチレンが提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。
特許4868853号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2006−36988号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1、2に提案された超高分子量ポリエチレンにおいても、成形品としての性能向上は見られるものの、強度、耐熱性、結晶性という点では、まだ満足できるものではなかった。
また、分子量分布の狭い超高分子量ポリエチレンは、チーグラー触媒等の存在下で製造される分子量分布の広い超高分子量ポリエチレンに比べて、溶融粘度が高く、成形加工性に課題を有し、例えば、圧縮成形においては、融着性に劣り、粒界が残るため、成形物が樹脂本来の物性を発揮できないという課題が見られた。また、超高分子量ポリエチレンを溶媒へ分散させた状態で押出成形した後、溶媒を除去して成形体を得る方法においては、均一のゲルの調製が難しく、得られたゲルの粘度も高くなるため、超高分子量ポリエチレンの濃度を低減することにより対処を行なうことから生産性に課題を有していた。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、成形性に優れ、かつ機械的強度が高く、耐熱性にも優れる成形体を供給することが可能な、新規な超高分子量ポリエチレン組成物の提供を目的とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特性の異なる超高分子量ポリエチレン同士を配合することにより、成形性に優れ、かつ機械的強度が高く、耐熱性にも優れた超高分子量ポリエチレン組成物となりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記測定条件(ア)にて測定した固有粘度が7dl/g以上35dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS)が1MPa以下である超高分子量ポリエチレン(A)100重量部に対し、下記測定条件(ア)にて測定した固有粘度が15dl/g以上60dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力が2MPa以上である超高分子量ポリエチレン(B)5重量部以上900重量部以下を含むことを特徴とする超高分子量ポリエチレン組成物及びそれよりなる成形体に関するものである。
測定条件(ア);ウベローデ型粘度計を用い、オルトジクロルベンゼンを溶媒として、135℃において、超高分子量ポリエチレン濃度0.005wt%で測定。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物は、固有粘度が7dl/g以上35dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS)が1MPa以下である超高分子量ポリエチレン(A)100重量部に対し、固有粘度が15dl/g以上60dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力が2MPa以上である超高分子量ポリエチレン(B)5重量部以上900重量部以下を含んでなるものである。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物を構成する超高分子量ポリエチレン(A)は、固有粘度が7dl/g以上35dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS)が1MPa以下である超高分子量ポリエチレンである。
該超高分子量ポリエチレン(A)は、固有粘度([η])が7dl/g以上35dl/g以下であり、特に成形性に優れる超高分子量ポリエチレン組成物となることから7dl/g以上25dl/g以下であることが好ましい。ここで、固有粘度が7dl/g未満である場合、得られる成形体は力学特性、耐熱性が劣るものとなる。一方、固有粘度が35dl/gを超える場合、溶融したときの流動性が低いため、成形加工性に劣るものとなる。なお、本発明における固有粘度([η])は、例えばウベローデ型粘度計を用い、オルトジクロルベンゼン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドラナフタレン等を溶媒とし、ポリマー濃度0.0005〜0.01%の溶液にて、135℃において測定する方法により測定することが可能である。
また、該超高分子量ポリエチレン(A)は、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS)が1MPa以下のものである。ここで、1MPaを越えるものである場合、得られる組成物は、流動性、成形性に劣り、成形外観に劣る成形体となる。なお、溶融延伸の際の破断時応力の測定方法としては、例えば厚み0.1〜5mm、幅1〜50mmの短冊形、ダンベル型等の試験片を、150℃、引張速度1mm/分〜500mm/分の速度で延伸する方法を挙げることができ、その際の試験片は、例えばプレス温度100〜250℃、プレス圧力5〜50MPaの条件で加熱圧縮成形した加熱圧縮シートから作成することができる。また、歪み硬化が起き、延伸に伴い応力が増加した場合はその最大値を破断時応力とし、歪み硬化が起きず、延伸しても応力が増加しない場合は、降伏後の平坦領域の応力を破断時応力とした。
そして、本発明の超高分子量ポリエチレン(A)は、超高分子量ポリエチレンと称される範疇のものが属し、例えば超高分子量エチレン単独重合体;超高分子量エチレン−プロピレン共重合体、超高分子量エチレン−1−ブテン共重合体、超高分子量エチレン−1−ヘキセン共重合体、超高分子量エチレン−1−オクテン共重合体等の超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体;等を挙げることができる。また、該超高分子量ポリエチレン(A)は、粒子状、ペレット状、シート状、塊状など、いずれの形状でもよく、その中でも組成物とする際の生産性に優れ、得られる組成物が物性、成形性にも優れることから平均粒径が1〜1000μmの粒子状であるものが好ましい。なお、平均粒径に関しては、例えばJIS Z8801で規定された標準篩を用いたふるい分け試験法等の方法により測定することができる。
該超高分子量ポリエチレン(A)は、例えばチーグラー触媒又はフィリップス触媒の存在下、エチレンの単独重合、又は、エチレンとα−オレフィンを共重合を行なうことにより製造することが可能であり、その際のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。
その際のチーグラー触媒としては、エチレン、α−オレフィンの配位重合に用いるチーグラー触媒として一般的に知られているものでよく、例えばチタン化合物および有機アルミニウム化合物を含む触媒であり、ハロゲン化チタン化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒、チタニウム、マグネシム、塩素等からなる固体触媒成分と有機アルミニウム化合物からなる触媒等を例示することができる。このような触媒としては、より具体的には、無水マグネシウムジハロゲン化物のアルコール予備処理物と有機金属化合物との反応生成物にチタン化合物を反応させて得られる触媒成分(a)と有機金属化合物(b)からなる触媒(例えば、特開昭49−119980号公報に記載の触媒)、マグネシウム金属と水酸化有機化合物またはマグネシウムなどの酸素含有有機化合物、遷移金属の酸素含有有機化合物、およびアルミニウムハロゲン化物を反応させて得られる触媒成分(A)と有機金属化合物の触媒成分(B)とからなる触媒(例えば、特公昭52−15110号公報に記載の触媒)、(i)金属マグネシウムと水酸化有機化合物、マグネシウムの酸素含有有機化合物、およびハロゲン含有化合物から選んだ少なくとも一員、(ii)遷移金属の酸素含有有機化合物およびハロゲン含有化合物から選ばれた少なくとも一員、(iii)ケイ素化合物を反応させて得られる反応物と、(iv)ハロゲン化アルミニウム化合物を反応させて得られる固体触媒成分(A)と有機金属化合物の触媒成分(B)とからなる触媒(例えば、特公昭62−58367号公報に記載の触媒)等を例示することができる。
また、フィリップス触媒としては、エチレン、α−オレフィンの配位重合に用いるフィリップス触媒として一般的に知られているものでよく、たとえば酸化クロム等のクロム化合物を含む触媒系であり、具体的には、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等の固体酸化物に、三酸化クロム、クロム酸エステル等のクロム化合物を担持した触媒を例示することができる(例えば、特開昭53−91092号公報、特公昭47−1766号公報に記載の触媒)。
これらの触媒を用いて製造した超高分子量ポリエチレンは、用いた触媒の残渣由来の金属成分を含んでおり、チーグラー触媒の存在下で製造された超高分子量ポリエチレンであればチタニウム、マグネシウム、塩素等の成分、フィリップス触媒の存在下で製造された超高分子量ポリエチレンであれば、クロム、ケイ素、アルミニウム等の成分が含まれている。また、これらの触媒を用いて製造した超高分子量ポリエチレンは、分子量分布が広く(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の分子量分布の比(Mw/Mn)が4以上)、分子量が高くても比較的粘度が低いという特徴を有する。
また、該超高分子量ポリエチレン(A)は、分子量分布が適度に広いことから成形加工性に優れる組成物を提供することが可能となると共に、得られる成形体が外観、色調、耐候性にも優れるものとなることから、チタニウム又はクロムを0.2ppm以上50ppm以下含有しているものであることが好ましい。なお、チタニウム又はクロムの含有量は、化学滴定法、蛍光X線分析装置、ICP発光分析装置等による測定等により求めることができる。
該超高分子量ポリエチレン(A)は、市販品として入手したものであってもよく、例えば(商品名)GUR4113、GUR4120、GUR4130(以上、ティコナ(株)製)、サンファインUH900、サンファインUH950(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、ハイゼックスミリオン240M、ハイゼックスミリオン340M(以上、三井化学(株)製)等を挙げることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物を構成する超高分子量ポリエチレン(B)は、固有粘度が15dl/g以上60dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力が2MPa以上である超高分子量ポリエチレンである。
該超高分子量ポリエチレン(B)は、固有粘度([η])が15dl/g以上60dl/g以下であり、特に成形体とした際に機械的強度、耐熱性に優れる超高分子量ポリエチレン組成物となることから20dl/g以上50dl/g以下のものであることが好ましい。ここで、固有粘度が15dl/g未満である場合、得られる組成物は力学特性、耐熱性が劣るものとなる。一方、固有粘度が60dl/gを超える場合、溶融したときの流動性が低いため、成形加工性が非常に劣るものとなる。
また、該超高分子量ポリエチレン(B)は、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS(MPa)が2MPa以上を有するものであり、特に耐熱性に優れるものとなることから3MPa以上を有するものであることが好ましい。ここで、150℃で溶融延伸した際の破断時応力が2MPa未満のものである場合、比較的分子量の低い成分の含有量が多くなることから、高分子鎖の適度な絡み合いが劣り、得られる組成物は耐熱性に劣るものとなる。なお、分子量50万以下の一般的なポリエチレンは、150℃においては、流動性が高く、自重で成形体が変形してしまい、溶融延伸はできない。また、溶融延伸の際の破断時応力の測定方法としては、例えば厚み0.1〜5mm、幅1〜50mmの短冊形、ダンベル型等の試験片を、150℃、引張速度1mm/分〜500mm/分の速度で延伸する方法を挙げることができ、その際の試験片は、例えばプレス温度100〜250℃、プレス圧力5〜50MPaの条件で加熱圧縮成形した加熱圧縮シートから作成することができる。また、歪み硬化が起き、延伸に伴い応力が増加した場合はその最大値を破断時応力とし、歪み硬化が起きず、延伸しても応力が増加しない場合は、降伏後の平坦領域の応力を破断時応力とした。
該超高分子量ポリエチレン(B)としては、組成物とする際の操作性に優れ、特に外観、物性に優れる成形品を提供することが可能となる組成物となることから、嵩密度が130kg/m以上700kg/m以下、より好ましくは200kg/m以上600kg/m以下の粒子状であることが好ましい。なお、嵩密度は、例えばJIS K6760(1995)に準拠した方法で測定することが可能である。
該超高分子量ポリエチレン(B)としては、特に耐熱性、機械的強度、成形性のバランスに優れる超高分子量ポリエチレン組成物となることから、示差走査型熱量計(DSC)にて、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)した際の1stスキャンの融点(Tm)、その後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で−20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で−20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)した際の2ndスキャンの融点(Tm)をそれぞれ測定し、該Tmと該Tmの差(ΔTm=Tm−Tm)が11℃以上30℃以下、特にΔTmが11℃以上15℃以下のものであることが好ましい。なお、ここでは、ポリエチレンの分子鎖が配向するなどして、高度に結晶化されているため、示差走査型熱量計(DSC)にて測定した際のTmとTm差であるΔTmが11℃以上30℃以下という極めて大きな差となると考えている。
該超高分子量ポリエチレン(B)としては、特に耐熱性に優れる超高分子量ポリエチレン組成物となることから、前記した150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS(MPa))と固有粘度([η])が、下記関係式(a)を満たすものであることが好ましく、特に溶融延伸性、成形性にも優れる超高分子量ポリエチレン組成物となることから、下記関係式(c)を満たすものであることが好ましい。
MTS≧0.11×[η] (a)
0.11×[η]≦MTS≦0.32×[η] (c)
該超高分子量ポリエチレン(B)としては、より強靭な成形体を提供することが可能となる超高分子量ポリエチレン組成物となることから、プレス温度190℃、プレス圧力20MPaで加熱圧縮した後、前記により測定した2ndスキャンの融点(Tm)より10℃〜30℃低い金型温度で冷却して成形したシートの引張破断強度(TS(MPa))が、下記関係式(b)を満たすものであることが好ましく、更により強靭で機械強度、耐摩耗性に優れる成形体を提供することが可能となる超高分子量ポリエチレン組成物となることから、下記関係式(d)を満たすものであることが好ましい。この際の引張破断強度の測定条件としては、特に制限はなく、例えば厚み0.1〜5mm、幅1〜50mmの短冊形、ダンベル型等の試験片を、引張速度1mm/分〜500mm/分の速度で測定する方法を例示することができる。
TS≧1.35×Tm−130 (b)
1.35×Tm−130≦TS≦2×Tm−175 (d)
該超高分子量ポリエチレン(B)としては、色調、耐熱性、耐候性に優れる超高分子量ポリエチレン組成物となることからチタニウム、クロムのいずれの含有量も0.2ppm以下、さらには検出限界以下のものであることが好ましい。
さらに、該超高分子量ポリエチレン(B)としては、粒子状、ペレット状、シート状、塊状など、いずれの形状でもよく、その中でも組成物とする際の混合が容易で、均一な超高分子量ポリエチレン組成物を容易に得ることが可能となることから、平均粒径が1μm以上1000μm以下の粒子状であるものが好ましい。なお、平均粒径に関しては、例えばJIS Z8801で規定された標準篩を用いたふるい分け試験法等の方法により測定することができる。
該超高分子量ポリエチレン(B)は、例えばメタロセン化合物、ハーフメタロセン化合物等の遷移金属化合物、又はそれを担体に担持させた成分を含むメタロセン系触媒の存在下、エチレンの単独重合、又は、エチレンとα−オレフィンの共重合を行なうことにより製造することが可能であり、その際のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。その際のメタロセン系触媒を構成する遷移金属化合物としては、例えば中心金属をジルコニウム、ハフニウム等とする置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基のいずれか2個を有する錯体であるメタロセン錯体、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基のいずれか1個を有する錯体であるハーフメタロセン錯体、フェノキシイミン配位子を有する遷移金属化合物、フェノラートエーテル配位子を有する遷移金属化合物等を例示することができる(例えば、特開平9−291112号公報、特開平11−106417号公報、特許番号4139341号公報、特表2013−529721号公報で用いられる遷移金属化合物)。そして、該メタロセン系触媒としては、これらの遷移金属化合物とアルミノオキサン、ルイス酸性もしくはアニオン性のホウ素化合物、脂肪族塩にて変性した有機変性粘土及び有機アルミニウム化合物等を組み合わせた触媒、もしくはこれらを無機酸化物、ポリマー粒子等に担持した触媒等を挙げることができる。また、重合方法としては、例えば溶液重合法、塊状重合法、気相重合法、スラリー重合法等の方法を挙げることができ、その中でも、特に粒子形状が整った超高分子量ポリエチレン(B)の製造が可能となると共に、高融点、高結晶化度を有し、機械強度、耐熱性、耐摩耗性に優れる成形体を提供しうる超高分子量ポリエチレン(B)を効率よく安定的に製造することが可能となることからスラリー重合法であることが好ましい。また、スラリー重合法に用いる溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、イソブタン、プロパン等の液化ガス、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンなどのオレフィンを溶媒として用いることもできる。
該超高分子量ポリエチレン(B)を製造する適したメタロセン系触媒の具体的一例としては、例えば少なくとも遷移金属化合物(a)、脂肪族塩にて変性した有機変性粘土(b)及び有機アルミニウム化合物(c)より得られるメタロセン系触媒を挙げることができる。
そして、該遷移金属化合物(a)としては、例えば(置換)シクロペンタジエニル基と(置換)フルオレニル基を有する遷移金属化合物、(置換)シクロペンタジエニル基と(置換)インデニル基を有する遷移金属化合物、(置換)インデニル基と(置換)フルオレニル基を有する遷移金属化合物等を挙げることができ、その際の遷移金属としては、例えばジルコニウム、ハフニウム等を挙げることができ、その中でも超高分子量ポリエチレン(B)を効率よく製造することが可能となることから、(置換)シクロペンタジエニル基とアミノ基置換フルオレニル基を有するジルコニウム化合物、(置換)シクロペンタジエニル基とアミノ基置換フルオレニル基を有するハフニウム化合物であることが好ましい。
そして、より具体的には、例えばジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドなどのジルコニウム化合物;これらのジクロロ体をジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体に変えたジルコニウム化合物、およびこれら化合物のジルコニウムをハフニウムに変えたハフニウム化合物などを例示することができる。
また、該脂肪族塩にて変性した有機変性粘土(b)としては、例えばN,N−ジメチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミンフッ化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン臭化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミンヨウ化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン硫酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン硫酸塩等の脂肪族アミン塩;P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン硫酸塩等の脂肪族ホスフォニウム塩;等の脂肪族塩により変性された粘土を挙げることができる。
該有機変性粘土(b)を構成する粘土化合物としては、粘土化合物の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、一般的にシリカ四面体が二次元上に連続した四面体シートと、アルミナ八面体やマグネシア八面体等が二次元上に連続した八面体シートが1:1又は2:1で組合わさって構成されるシリケート層と呼ばれる層が何枚にも重なって形成され、一部のシリカ四面体のSiがAl、アルミナ八面体のAlがMg、マグネシア八面体のMgがLi等に同型置換されることにより層内部の正電荷が不足し、層全体として負電荷を帯びており、この負電荷を補償するために層間にはNaやCa2+等の陽イオンが存在しているものとして知られているものである。そして、該粘土化合物としては天然品、または合成品としてのカオリナイト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、脆雲母、縁泥石等が存在し、これらを用いることが可能であり、その中でも入手のしやすさと有機変性の容易さからスメクタイトが好ましく、特にスメクタイトのなかでもヘクトライトまたはモンモリロナイトがさらに好ましい。
該有機変性粘土(b)は、該粘土化合物の層間に該脂肪族塩を導入し、イオン複合体を形成することにより得る事が可能である。該有機変性粘土(b)を調製する際には、粘土化合物の濃度0.1〜30重量%、処理温度0〜150℃の条件を選択して処理を行うことが好ましい。また、該脂肪族塩は固体として調製して溶媒に溶解させて使用しても良いし、溶媒中での化学反応により該脂肪族塩の溶液を調製してそのまま使用しても良い。該粘土化合物と該脂肪族塩の反応量比については、粘土化合物の交換可能なカチオンに対して当量以上の脂肪族塩を用いることが好ましい。処理溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;エチルアルコール、メチルアルコール等のアルコール類;エチルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン;1,4−ジオキサン;テトラヒドロフラン;水、等を用いることができる。そして、好ましくは、アルコール類または水を単独もしくは溶媒の一成分として用いることである。
また、該有機変性粘土(b)の粒径に制限はなく、その中でも触媒調製時の効率、ポリエチレン製造時の効率に優れるものとなることから1〜100μmであることが好ましい。その際の粒径を調節する方法にも制限はなく、大きな粒子を粉砕して適切な粒径にしても、小さな粒子を造粒して適切な粒径にしても良く、あるいは粉砕と造粒を組み合わせても良い。また、粒径の調節は有機変性前の粘土に行っても、変性後の有機変性粘土に行っても良い。
該有機アルミニウム化合物(c)としては、有機アルミニウム化合物と称される範疇に属するものであれば如何なるものも用いることができ、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
該遷移金属化合物(a)(以下(a)成分ということもある。)、該有機変性粘土(b)(以下、(b)成分ということもある。)、および該有機アルミニウム化合物(c)(以下、(c)成分ということもある。)の使用割合に関しては、如何なる制限を受けるものでなく、その中でも、特に超高分子量ポリエチレン(B)を生産効率よく製造することが可能なメタロセン系触媒となることから、(a)成分と(c)成分の金属原子当たりのモル比は(a成分):(c成分)=100:1〜1:100000の範囲にあることが好ましく、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。また、(a)成分と(b)成分の重量比が(a成分):(b成分)=10:1〜1:10000にあることが好ましく、特に3:1〜1:1000の範囲であることが好ましい。また、メタロセン系触媒の調製方法に関しては、該(a)成分、該(b)成分および該(c)成分を含む触媒を調製することが可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば各(a)、(b)、(c)成分に関して不活性な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を反応させる順番に関しても制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も制限はない。また、(a)成分、(b)成分、(c)成分のそれぞれを2種類以上用いてメタロセン系触媒を調製することも可能である。
該超高分子量ポリエチレン(B)を製造する際の重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件については任意に選択可能であり、その中でも、重合温度0〜100℃、重合時間10秒〜20時間、重合圧力常圧〜100MPaの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られる超高分子量ポリエチレン(B)は、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物は、該超高分子量ポリエチレン(A)100重量部に対し、該超高分子量ポリエチレン(B)5重量部以上900重量部以下、好ましくは20重量部以上400重量部以下を含んでなるものである。ここで、超高分子量ポリエチレン(B)が5重量部未満である場合、成形品とした際の機械的強度、耐熱性が低くなる。一方、超高分子量ポリエチレン(B)が900重量部を超える場合、成形品の平滑性が損なわれる、溶媒への溶解性が低下する、超高分子量ポリエチレン組成物溶液の粘度が上昇する等の課題を有するものとなる。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物を製造する方法としては、超高分子量ポリエチレン(A)と超高分子量ポリエチレン(B)を混合して超高分子量ポリエチレンの組成物を得ることが可能であれば如何なる方法であってもよく、例えば溶融状態での押出混練、ロール混練、または、溶媒に溶解し、溶液状態にした後、押出混練、ロール混練、もしくは攪拌翼を用いた攪拌混合などをした後、溶媒留去、溶媒抽出等により溶媒を除去する方法等を挙げることができる。ここに溶媒とは、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、オクタデカン、エイコサン、流動パラフィン、イソパラフィン等の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の脂肪族化合物;シクロヘキサン、シクロデカン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン等の飽和もしくは不飽和の脂環族化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物;等を例示することができる。
そして、本発明の超高分子量ポリエチレン組成物は、成形品とした際の耐熱性により優れるものとなることから、150℃で溶融延伸した際の破断時応力が1.2MPa以上、特に1.5MPa以上、更に2MPa以上であることが好ましい。また、溶融延伸の際の破断時応力の測定方法としては、例えば厚み0.1〜5mm、幅1〜50mmの短冊形、ダンベル型等の試験片を、150℃、引張速度1mm/分〜500mm/分の速度で延伸する方法を挙げることができ、その際の試験片は、例えばプレス温度100〜250℃、プレス圧力5〜50MPaの条件で加熱圧縮成形した加熱圧縮シートから作成することができる。また、歪み硬化が起き、延伸に伴い応力が増加した場合はその最大値を破断時応力とし、歪み硬化が起きず、延伸しても応力が増加しない場合は、降伏後の平坦領域の応力を破断時応力とした。
また、本発明の超高分子量ポリエチレン組成物は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、必要に応じて公知の各種添加剤を含んでいても良く、例えばテトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、ジステアリルチオジプロピオネート等の耐熱安定剤;ビス(2,2’,6,6’−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、2−(2−ヒドロキシ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の耐候安定剤等が挙げられる。また、着色剤として無機系、有機系のドライカラーを添加しても良い。さらに、滑剤や塩化水素吸収剤等として公知であるステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩も添加していてもよい。これら添加剤は、超高分子量ポリエチレン(A)、超高分子量ポリエチレン(B)に添加されていたものであってもかまわない。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物は、公知の成形方法により成形体として利用することが可能であり、その成形方法としては、具体的には、ラム押出等の押出成形、圧縮成形、粉体塗装、シート成形、圧延成形、各種溶媒に溶解又は混合させた状態での延伸成形等の方法を例示することができる。また、得られる成形体は、成形後も強度が高く、ライニング材、食品工業のライン部品、シート、フィルム、電気部品、機械部品、人工関節、スポーツ用品、筐体、微多孔膜等に用いることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物を用いた成形体は、成形性に優れ、かつ機械的強度が高く、耐熱性に優れるものとなり、各種産業用機器等の基材等として優れた特性を有するものとなる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
なお、断りのない限り、用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
有機変性粘土の粉砕にはジェットミル(セイシン企業社製、(商品名)CO−JET SYSTEM α MARK III)を用い、粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製、(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定した。
触媒の調製、超高分子量ポリエチレンの製造および溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製を用いた。
さらに、超高分子量ポリエチレンの諸物性は、以下に示す方法により測定した。
〜固有粘度の測定〜
ウベローデ型粘度計を用い、ODCB(オルトジクロルベンゼン)を溶媒として、135℃において、超高分子量ポリエチレン濃度0.005wt%で測定した。
〜嵩密度の測定〜
JIS K6760(1995)に準拠した方法で測定した。
〜TmとTmの測定〜
示差走査型熱量計(DSC)(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 (商品名)DSC6220)を用いて、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)し1stスキャンの結晶融解ピーク(Tm)の測定を行った。その後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で−20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で−20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)し2ndスキャンの結晶融解ピーク(Tm)を測定した。その際の超高分子量ポリエチレンのサンプル量は6mgとした。
〜チタニウム、クロム含有量の測定〜
超高分子量ポリエチレンを灰化し、アルカリ溶融して、調製した溶液を用いて、ICP発光分析装置((株)パーキンエルマー製、(商品名)Optima3000XL)により、超高分子量ポリエチレン中のチタニウム、クロム含有量を測定した。
〜引張破断強度(TS)の測定〜
超高分子量ポリエチレンをポリエチレンテレフタレートフィルムに挟んで、190℃で、5分間予熱した後、190℃、プレス圧力20MPaの条件にて加熱圧縮した。その後、金型温度110℃、10分間冷却し、厚さ0.3mmのプレスシートを得た。
このシートからダンベル型に切り出したサンプル(測定部の幅5mm)を、23℃にて48時間静置した後、引張試験機((株)エイ・アンド・ディー製、(商品名)テンシロンRTG−1210)にて、測定温度23℃、試験片の初期長さ20mm、引張速度20mm/分で引張試験をし、引張破断強度を求めた。
〜溶融延伸の際の破断時応力(MTS)の測定〜
上記引張破断強度の測定に記載の方法によりプレスシートを得た。
このシートからダンベル型に切り出したサンプル(測定部の幅10mm)を、23℃にて48時間静置した後、引張試験機((株)エイ・アンド・ディー製、(商品名)テンシロンUMT2.5T)にて、150℃で、試験片の初期長さ10mm、引張速度20mm/分で引張試験を行い、溶融延伸の際の破断時応力を求めた。歪み硬化が起き、延伸に伴い応力が増加した場合はその最大値を破断時応力とし、歪み硬化が起きず、延伸しても応力が増加しない場合は、降伏後の平坦領域の応力を破断時応力とした。
〜平均粒径の測定〜
JIS Z 8801で規定された9種類の篩(目開き:710μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm)を用いて、100gの超高分子量ポリエチレンを分級した際に得られる各篩に残った粒子の重量を目開きの大きい側から積分した積分曲線において、50%の重量になる粒子径を測定することにより平均粒径を求めた。
製造例1
(1)固体触媒成分の調製
温度計と還流管が装着された1リットルのガラスフラスコに、金属マグネシウム粉末50g(2.1モル)およびチタンテトラブトキシド210g(0.62モル)を入れ、ヨウ素2.5gを溶解したn−ブタノール320g(4.3モル)を90℃で2時間かけて加え、さらに発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下において140℃で2時間撹拌し、均一溶液とした。次いで、ヘキサン2100mlを加えた。
この成分90g(マグネシウムで0.095モルに相当)を別途用意した500mlのガラスフラスコに入れ、ヘキサン59mlで希釈した。45℃でイソブチルアルミニウムジクロライド0.29モルを含むヘキサン溶液106mlを2時間かけて滴下し、さらに70℃で1時間撹拌し、固体触媒成分を得た。ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、組成を分析したところチタニウム含有量は8.6wt%であった。
(2)超高分子量ポリエチレン(A)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(1)で得られた固体触媒成分を4.2mg加えチーグラー系触媒を調製し、85℃に昇温後、分圧が0.6MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで180gの超高分子量ポリエチレン(超高分子量ポリエチレン(A−1)と記す。)を得た(活性:54000g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(A−1)の物性を表1に示す。
製造例2
(1)固体触媒成分の調製
製造例1と同様に実施した。
(2)超高分子量ポリエチレン(A)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(1)で得られた固体触媒成分を4.2mg加えチーグラー系触媒を調製し、70℃にした後、水素を分圧が0.025MPaになるように加えた後、分圧が0.6MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで160gの超高分子量ポリエチレン(以下、超高分子量ポリエチレン(A−2)と記す。)を得た(活性:52000g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(A−2)の物性を表1に示す。
製造例3
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300ml及び蒸留水300mlを入れ、濃塩酸15.0g及びジオレイルメチルアミン(ライオン(株)製、(商品名)アーミンM20)64.2g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mlで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより160gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を7μmとした。
(2)メタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.795g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:11.7wt%)。
(3)超高分子量ポリエチレン(B)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を356mg(固形分41.7mg相当)加え、40℃にした後、分圧が1.6MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで37.1gの超高分子量ポリエチレン(以下、超高分子量ポリエチレン(B−1)と記す。)を得た(活性:890g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(B−1)の物性を表1に示す。
製造例4
(1)有機変性粘土の調製及び(2)メタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液の調製
製造例3と同様に実施した。
(3)超高分子量ポリエチレン(B)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を326mg(固形分38.2mg相当)加え、30℃にした後、プロピレン5gを加え、分圧が1.6MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、スラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで35.1gの超高分子量ポリエチレン(以下、超高分子量ポリエチレン(B−2)と記す。)を得た(活性:920g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(B−2)の物性を表1に示す。
製造例5
(1)有機変性粘土の調製
製造例3と同様に実施した。
(2)メタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.600g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:11.5wt%)。
(3)超高分子量ポリエチレン(B)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を89.9mg(固形分10.3mg相当)加え、50℃に昇温後、1−ブテン2gを加え、分圧が1.1MPaになるようにエチレンを連続的に供給しスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで64.1gの超高分子量ポリエチレン(超高分子量ポリエチレン(B−3)と記す。)を得た(活性:6200g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(B−3)の物性を表1に示す。
製造例6
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売製、(商品名)エキネンF−3)300ml及び蒸留水300mlを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン(株)製、(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mlで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより125gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を7μmとした。
(2)メタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mlのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108ml入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを0.715g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mlを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mlのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12.9wt%)。
(3)超高分子量ポリエチレン(B)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を108.7mg(固形分14.0mg相当)加え、60℃に昇温後、分圧が1.3MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで115gの超高分子量ポリエチレン(以下、超高分子量ポリエチレン(B−4)を得た(活性:8200g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(B−4)の物性を表1に示す。
製造例7
(1)有機変性粘土の調製及び(2)メタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液の調製
製造例6と同様に実施した。
(3)超高分子量ポリエチレン(B)の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0ml、(2)で得られたメタロセン系ポリエチレン製造用触媒の懸濁液を87.7mg(固形分11.3mg相当)加え、60℃に昇温後、水素を40ppm含む水素/エチレン混合ガスを分圧が1.2MPaになるように供給し、その後、分圧が1.3MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで86gの超高分子量ポリエチレン(以下、超高分子量ポリエチレン(B−5)と記す。)を得た(活性:7600g/g触媒)。得られた超高分子量ポリエチレン(B−5)の物性を表1に示す。
Figure 0006318649
実施例1
攪拌翼を取り付けた500mlフラスコに、製造例1で製造した超高分子量ポリエチレン(A−1)を10.5g、製造例3で製造した超高分子量ポリエチレン(B−1)を10.5g(超高分子量ポリエチレン(A−1)100重量部に対して超高分子量ポリエチレン(B−1)100重量部に相当)、流動パラフィンを49g、さらに酸化防止剤として(商品名)イルガノックス1010(BASFジャパン(株))を0.35g加えて、適宜攪拌しながら、150℃で1時間、加熱混合させた。得られた混合物を100ccのバッチ式混練機((株)東洋精機製作所製 (商品名)ラボプラストミル4C150)で、混練温度190℃、回転数50rpmにて、10分間混練した。混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
この混合物中の流動パラフィンをヘキサンで抽出した後、加熱乾燥によりヘキサンを除去し、超高分子量ポリエチレン組成物を得た。
得られた超高分子量ポリエチレン組成物を190℃、プレス圧力20MPaでプレス成形した後、120℃、プレス圧力10MPaでプレス成形し、シートを作成した。得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表2に示す。
比較例1
攪拌翼を取り付けた500mlフラスコに、製造例1で得られた超高分子量ポリエチレン(A−1)を21g、流動パラフィンを49g、さらに酸化防止剤として(商品名)イルガノックス1010(BASFジャパン(株)製)を0.35g加えて、適宜攪拌しながら、150℃で1時間、加熱混合させた。得られた混合物を100ccのバッチ式混練機で、混練温度190℃、回転数50rpmにて、10分間混練した。混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
この混合物中の流動パラフィンをヘキサンで抽出した後、加熱乾燥によりヘキサンを除去し、回収した。
得られた回収物を190℃、プレス圧力20MPaでプレス成形した後、120℃、プレス圧力10MPaでプレス成形し、シートを作成した。得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表3に示す。溶融延伸した際の破断時応力、引張強度のいずれもが低かった。
比較例2
攪拌翼を取り付けた500mlフラスコに、製造例3で製造した超高分子量ポリエチレン(B−1)を21g、流動パラフィンを49g、さらに酸化防止剤として(商品名)イルガノックス1010(BASFジャパン(株)製)を0.35g加えて、適宜攪拌しながら、150℃で1時間、加熱混合させた。得られた混合物を100ccのバッチ式混練機で、混練温度190℃、回転数50rpmにて、10分間混練した。混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑ではなかった。
この混合物中の流動パラフィンをヘキサンで抽出した後、加熱乾燥によりヘキサンを除去し、回収した。
得られた回収物を190℃、プレス圧力20MPaでプレス成形した後、120℃、プレス圧力10MPaでプレス成形し、シートを作成した。得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表3に示す。伸びも低いものであった。
実施例2
超高分子量ポリエチレン(A−1)10.5gの代わりに、市販超高分子量ポリエチレン(商品名)ハイゼックスミリオン240M(三井化学製)(以下、超高分子量ポリエチレン(A−3)と記す。)を8.4g、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに超高分子量ポリエチレン(B−1)を12.6g(超高分子量ポリエチレン(A−3)100重量部に対して超高分子量ポリエチレン(B−1)150重量部に相当)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン組成物及びシートを得た。その際、混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表2に示す。
実施例3
超高分子量ポリチレン(A−1)10.5gの代りに、超高分子量ポリエチレン(A−1)を8.4gとし、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに超高分子量ポリエチレン(B−2)を12.6g(超高分子量ポリエチレン(A−1)100重量部に対して超高分子量ポリエチレン(B−2)150重量部に相当)とした以外は、実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン組成物及びシートを得た。その際、混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表2に示す。
比較例3
超高分子量ポリチレン(A−1)10.5gの代りに、超高分子量ポリエチレン(A−1)を8.4gとし、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに市販超高分子量ポリチレン(商品名)ハイゼックスミリオン340M(三井化学製)(以下、超高分子量ポリチレン(A−4)と記す。)を12.6gとした以外は、実施例1と同様の方法により組成物及びシートを得た。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表3に示す。溶融延伸した際の破断時応力、引張強度に劣るものであった。
実施例4
超高分子量ポリチレン(A−1)10.5gの代りに、超高分子量ポリエチレン(A−4)を5.25gとし、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに超高分子量ポリエチレン(B−3)を15.75g(超高分子量ポリエチレン(A−4)100重量部に対して超高分子量ポリエチレン(B−3)300重量部に相当)とした以外は、実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン組成物及びシートを得た。その際、混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表2に示す。
実施例5
超高分子量ポリチレン(A−1)10.5gの代りに、超高分子量ポリエチレン(A−2)を16.2gとし、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに超高分子量ポリエチレン(B−4)を4.8g(超高分子量ポリエチレン(A−2)100重量部に対して超高分子量ポリエチレン(B−4)30重量部に相当)とした以外は、実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン組成物及びシートを得た。その際、混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表2に示す。
比較例4
超高分子量ポリチレン(A−1)10.5gの代りに、超高分子量ポリエチレン(B−2)を16.2gとし、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに超高分子量ポリエチレン(B−4)を4.8gとした以外は、実施例1と同様の方法により組成物及びシートを得た。その際、混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑ではなかった。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表3に示す。伸びに劣るものであった。
実施例6
超高分子量ポリチレン(A−1)10.5gの代りに、超高分子量ポリエチレン(A−2)を11.8gとし、超高分子量ポリエチレン(B−1)10.5gの代わりに超高分子量ポリエチレン(B−5)を9.2g(超高分子量ポリエチレン(A−2)100重量部に対して超高分子量ポリエチレン(B−5)78重量部に相当)とした以外は、実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン組成物及びシートを得た。その際、混練後にミキサーから取り出した混合物の表面は平滑であった。
得られたシートの溶融延伸した際の破断時応力、引張強度、伸びを表2に示す。
Figure 0006318649
Figure 0006318649
本発明の超高分子量ポリエチレン組成物は、融点が高く、高結晶性を示すと共に、成形性、耐熱性にも優れることから、機械的強度、耐熱性に優れる成形体を提供することが可能となり、その産業上の利用可能性は極めて高いものである。

Claims (9)

  1. 下記測定条件(ア)にて測定した固有粘度が7dl/g以上35dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS)が1MPa以下である超高分子量ポリエチレン(A)100重量部に対し、下記測定条件(ア)にて測定した固有粘度が15dl/g以上60dl/g以下、150℃で溶融延伸した際の破断時応力が2MPa以上である超高分子量ポリエチレン(B)5重量部以上900重量部以下を含むことを特徴とする超高分子量ポリエチレン組成物。
    測定条件(ア);ウベローデ型粘度計を用い、オルトジクロルベンゼンを溶媒として、135℃において、超高分子量ポリエチレン濃度0.005wt%で測定。
  2. 超高分子量ポリエチレン(A)が、チーグラー触媒又はフィリップス触媒の存在下、エチレンの単独重合又は共重合を行なったものである、ことを特徴とする請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
  3. 超高分子量ポリエチレン(B)が、示差走査型熱量計(DSC)にて、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)した際の1stスキャンの融点(Tm)、その後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で−20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で−20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)した際の2ndスキャンの融点(Tm)を、それぞれを測定し、該Tmと該Tmの差(ΔTm=Tm−Tm)が11℃以上30℃以下をも満たすものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
  4. 超高分子量ポリエチレン(B)が、150℃で溶融延伸した際の破断時応力(MTS)と固有粘度([η])が下記関係式(a)をも満たすものである、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
    MTS≧0.11×[η] (a)
  5. 超高分子量ポリエチレン(B)が、プレス温度190℃、プレス圧力20MPaで加熱圧縮した後、前記した2ndスキャンの融点(Tm)より10℃〜30℃低い金型温度で冷却して成形したシートの引張破断強度(TS(MPa))が下記関係式(b)をも満たすものである、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
    TS≧1.35×Tm−130 (b)
  6. 超高分子量ポリエチレン(B)が、メタロセン系触媒の存在下、エチレンの単独重合又は共重合を行なったものである、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
  7. 150℃で溶融延伸した際の破断時応力が1.2MPa以上である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
  8. 超高分子量ポリエチレン(A)及び超高分子量ポリエチレン(B)を溶融状態又は溶液状態で配合してなるものである、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン組成物よりなることを特徴とする成形体。
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