JP2015071248A - 蒸着フィルム、その製造方法、包装材及び真空断熱体 - Google Patents

蒸着フィルム、その製造方法、包装材及び真空断熱体 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸着層における蒸着抜け及びクラック等の欠陥の発生を抑制すると共に基材フィルムに対する蒸着層の密着性に優れ、ガスバリア性の低下が抑制される蒸着フィルム、その製造方法、包装材及び真空断熱体を提供する。
【解決手段】基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも片面に積層される蒸着層とを備える蒸着フィルムであって、上記基材フィルムがビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を含み、上記基材フィルムにおける上記飽和ケトン(B)の含有量が0.01ppm以上100ppm以下である。上記飽和ケトン(B)の炭素数としては3から8が好ましい。飽和ケトン(B)としては、アセトン、メチルエチルケトン及び2−ヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記蒸着層が上記基材フィルムの両面に積層されているとよい。上記蒸着層の平均厚みとしては15nm以上150nm以下が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、蒸着フィルム、その製造方法、包装材及び真空断熱体に関する。
従来、冷蔵庫、住宅断熱壁、貯湯タンク等の断熱材としては、ポリウレタンフォームの単体が用いられていた。これに代る断熱材として、ガスバリアフィルムで形成した外包材内に断熱体である芯材を真空状態で封入する真空断熱体が使用されている。ガスバリアフィルムは、少なくとも基材フィルムと、この基材フィルムに積層されるガスバリア層とを備えるものである。ガスバリア層は、高湿度下でもガスバリア性を有するものであり、主としてアルミニウム箔から形成される。
ところが、アルミニウム箔は、アルミニウムが熱の良導体であることから、ガスバリアフィルム中のアルミニウム箔を通過する熱量が大きく、断熱性能が低下してしまうという不都合がある。このような不都合を解消するために、ポリエステルフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等の基材フィルムに、アルミニウム蒸着層やシリカ蒸着層を積層することが考えられている。
これらの蒸着層は、厚みが数十nm〜百nmの薄い層であるために、蒸着時に蒸着抜けと称されるピンホール等の蒸着欠陥が生じやすく、また基材フィルムとの密着性を十分に確保することができない。そのため、上記蒸着層は、蒸着フィルムに屈曲力等の外力が作用することで、蒸着欠陥に起因してクラックが生じやすく、また基材フィルムからの剥離が生じやすい。具体的には、ガスバリアフィルム作製時の他、真空断熱体を製造する際の外包材の作製時や外包材への芯材の封入時等にガスバリアフィルムが屈曲されることで、蒸着層にクラックや剥離が発生しやすい。このようなクラックや剥離に起因し、従来のガスバリアフィルムはガスバリア性が低下する不都合がある。かかるガスバリア性の低下を抑制する方法として、基材フィルムに無機フィラーを含有させることで耐ピンホール性を向上させる方法(特開2002−310385号公報参照)、基材フィルムの表面処理を行うことで蒸着層に安定したバリア性を発現させる方法が知られている(特開2005−290108号公報参照)。
しかし、これらの技術を適用した蒸着フィルムであっても、蒸着抜けの発生を十分に抑制することができず、また基材フィルムと蒸着層との間の密着性が十分であるとは言い難い。そのため、従来の蒸着フィルムは、ガスバリア性の低下を抑制するために未だ改善の余地がある。加えて、環境面の観点からは、基材フィルムの成形時の臭気についての配慮も必要となる。
特開2002−310385号公報 特開2005−290108号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、蒸着層における蒸着抜け及びクラック等の欠陥の発生を抑制すると共に基材フィルムに対する蒸着層の密着性に優れ、ガスバリア性の低下が抑制される蒸着フィルム、その製造方法、包装材及び真空断熱体を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも片面に積層される蒸着層とを備える蒸着フィルムであって、上記基材フィルムがビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を含み、上記基材フィルムにおける上記飽和ケトン(B)の含有量が0.01ppm以上100ppm以下である。
当該蒸着フィルムは、ビニルアルコール系重合体(A)を含む基材フィルムにおいて特定量の飽和ケトン(B)を含むことで、蒸着層における蒸着欠陥の発生が抑制されると共に基材フィルムに対する蒸着層の密着性に優れる。その結果、当該蒸着フィルムは、蒸着層でのクラックや蒸着層の剥離が抑制されるため、ガスバリア性の低下が抑制される。このような効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、飽和ケトン(B)がビニルアルコール系重合体(A)に比べて酸化されやすいためであると考えられる。すなわち、ゲル状ブツ等の熱劣化物は、ビニルアルコール系重合体(A)が酸化劣化して発生すると推定されるが、飽和ケトン(B)がビニルアルコール系重合体(A)よりも早く酸化されることで熱劣化物の発生が抑制されるものと考えられる。その結果、基材フィルムへの蒸着時の蒸着欠陥の発生が抑制されることでクラックの発生や基材フィルム表面の乱れが抑制され、基材フィルムに対する蒸着層の密着性が向上するものと考えられる。
上記飽和ケトン(B)の炭素数としては3から8が好ましい。この飽和ケトン(B)としてはアセトン、メチルエチルケトン及び2−ヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。当該蒸着フィルムは、基材フィルムが炭素数3から8の飽和ケトン(B)を含有することで、蒸着層での欠陥の発生をより抑制できると共に、基材フィルムに対する蒸着層の密着性をより向上させることができる。
当該蒸着フィルムは、上記蒸着層が基材フィルムの両面に積層されていてもよい。このように基材フィルムの両面に蒸着層が積層されることでガスバリア性がより向上する。
上記蒸着層の平均厚みとしては15nm以上150nm以下が好ましい。当該蒸着フィルムは、蒸着層の平均厚みが上記範囲の薄層であっても、蒸着層におけるクラックの発生や基材フィルムからの蒸着層の剥離を抑制でき、ガスバリア性を好適に確保することができる。また、上記蒸着層を薄くできることで、蒸着フィルムの製造コストを低減できる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該蒸着フィルムの製造方法であって、上記基材フィルムに上記蒸着層を形成する工程を備え、この工程における基材フィルムの表面温度が60℃以下である。当該製造方法によれば、比較的低温で蒸着層が形成されるため、経済性に優れると共に基材フィルムの変形(例えば熱膨張、反り)、表面性状の悪化を抑制できる。また、基材フィルムの表面温度を60℃以下として蒸着を行うことで、蒸着層を構成する粒子の粒子径を小さく、例えば平均粒径を150nm以下することが可能となり、蒸着抜けの発生を抑制することが可能となる。このように基材フィルムの変形、蒸着抜け等を抑制することで、蒸着層におけるクラック等の欠陥の発生や基材フィルムからの蒸着層の剥離が抑制される蒸着フィルムを提供できる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該蒸着フィルムを備える包装材及び真空断熱体である。当該包装材及び当該真空断熱体は、当該蒸着フィルムを備えるため、蒸着層におけるクラックの発生や基材フィルムからの蒸着層の剥離が抑制される結果、ガスバリア性に優れる。
本発明の蒸着フィルムは、蒸着層における蒸着欠陥及びクラックの発生が抑制されると共に基材フィルムに対する蒸着層の密着性に優れるため、ガスバリア性の低下が抑制される。従って、当該蒸着フィルムは、包装材及び真空断熱体に好適に使用できる。また、本発明の蒸着フィルムの製造方法によれば、当該蒸着フィルムを好適に提供することができる。
<蒸着フィルム>
本発明の蒸着フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも片面に積層される蒸着層とを備える。この蒸着フィルムは、蒸着層に積層される樹脂コート層、その他の層を備えていてもよい。これらの層については、後に詳述する。
蒸着フィルムは、40℃、蒸着層側の湿度90%RH、基材フィルム側の湿度0%RHで測定した酸素透過度の上限として、5mL/m・day・atmが好ましく、3mL/m・day・atmがより好ましく、2mL/m・day・atmがさらに好ましく、1mL/m・day・atmが特に好ましい。酸素透過度が5mL/m・day・atm以下であると、蒸着フィルムを備える包装材によって形成される容器等の内部空間の真空度を維持できる期間が長くなる。ここで、酸素透過度は、例えば「5mL/m・day・atm以下」とは、酸素ガスの圧力差が1気圧のもとで、1日にフィルム1m当たりで5mLの酸素が透過することを表す。
蒸着フィルムに含まれる揮発分の含有量の下限としては、特に限定されないが、0.01質量%が好ましく、0.03質量%がより好ましく、0.05質量%がさらに好ましい。揮発分の含有量の上限としては、1.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、0.3質量%がさらに好ましい。
但し、蒸着フィルムを真空断熱体に適用する場合、蒸着フィルムにおける揮発分の含有量は、可能な限り小さいことが好ましい。これは、真空断熱体の真空部分に蒸着フィルムから発生する揮発分が侵入し、その結果真空断熱体の内部の真空度が下がって断熱性能が低下するおそれがあるからである。
ここで、揮発分の含有量は、105℃における乾燥前後の質量変化から下記式により求められる。
揮発分の含有量(質量%)=[(乾燥前質量−乾燥後質量)/乾燥後質量]×100
<基材フィルム>
基材フィルムは、ビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を含む。この基材フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有していてもよい。以下、ビニルアルコール系重合体(A)、飽和ケトン(B)及びその他の任意成分について詳述する。
[ビニルアルコール系重合体(A)]
ビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルエステルに由来する構造単位を有する重合体をケン化したものである。このビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルエステルの単独重合体をケン化した重合体、及びビニルエステルと他の単量体単位との共重合体をケン化した重合体を含む。
上記ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。これらのビニルエステルは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
上記他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類; (メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;アルキルチオール類;N−ビニルピロリドン等のビニルピロリドンが挙げられる。これらの他の単量体は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。例示した他の単量体の中でも、エチレンが好ましい。すなわち、ビニルアルコール系重合体(A)としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、このエチレン−ビニルアルコール共重合体にエチレン以外の単量体に由来する構造単位を含む共重合体が好ましい。
上記他の単量体がエチレンの場合、このエチレンの含有量としては、ビニルアルコール系重合体(A)を構成する全構造単位に対して、0モル%超60モル%以下が好ましく、3モル%以上60モル%以下がより好ましく、10モル%以上60モル%以下がさらに好ましく、20モル%以上55モル%以下が特に好ましい。
上記他の単量体がエチレン以外の場合、他の単量体の含有量としては、ビニルアルコール系重合体(A)を構成する全構造単位に対して、0.0002モル%以上0.2モル%以下が好ましい。
ビニルアルコール系重合体(A)のビニルエステルに由来する構造単位のケン化度としては、通常85%以上であり、90%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。このケン化度が85%未満であると、熱安定性が不十分となるおそれがある。ここで、ビニルアルコール系重合体(A)のケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。また、ビニルアルコール系重合体(A)がケン化度の異なる2種類以上のビニルアルコール重合体を含む場合のケン化度は、それぞれのビニルアルコール重合体の含有質量比により算出されるケン化度の平均値である。
ビニルアルコール系重合体(A)は、公知の方法でビニルエステル重合体を合成し、このビニルエステル重合体をケン化することで合成することができる。
ビニルエステル重合体を合成には、連鎖移動剤を使用してもよい。この連鎖移動剤としては、例えばアルキルチオール類等が挙げられる。
上記基材フィルムにおけるビニルアルコール系重合体(A)の含有量としては、通常95質量%以上であり、98質量%以上が好ましく、99質量%がより好ましく、99.5質量%以上がさらに好ましい。ビニルアルコール系重合体(A)の含有量を95質量%以上とすることで、ビニルアルコール系重合体(A)が有する有利な特性を十分に発揮できるため、上記基材フィルムはガス遮蔽性、耐油性等に優れる。
[飽和ケトン(B)]
飽和ケトン(B)は、蒸着層における蒸着欠陥やクラックの発生、蒸着層の剥離を抑制するものである。ここで、飽和ケトン(B)とは分子内のカルボニル基以外の部分に不飽和結合を含まないケトンをいう。飽和ケトン(B)は、カルボニル基以外の部分に不飽和結合を含まない限りは、直鎖状のケトンであっても、分枝状のケトンであっても、分子内に環構造を有するケトンであってもよい。飽和ケトン(B)の分子内のカルボニル基の数は、1であっても2以上であってもよい。
飽和ケトン(B)としては、例えば、飽和脂肪族ケトン、飽和環状ケトン等が挙げられる。
飽和脂肪族ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノン、3−メチル−2−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、3−オクタノン、6−メチル−2−ヘプタノン、2−ノナノン、5−ノナノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、6−ウンデカノン、2−ウンデカノン、7−トリデカノン、メチルシクロペンチルケトン、メチルシクロヘキシルケトン等が挙げられる。
飽和環状ケトンとしては、例えばシクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン等が挙げられる。
飽和ケトン(B)の炭素数としては、飽和ケトン(B)の水溶性向上の観点から、3〜50が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。飽和ケトン(B)としては、例示した中でも、蒸着層における蒸着欠陥やクラックの発生、蒸着層の剥離を抑制する観点から、飽和脂肪族ケトンが好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘキサノンがより好ましく、アセトンがさらに好ましい。
飽和ケトン(B)は、本発明の効果を損なわない範囲において、水素原子の一部又は全部が置換基により置換されていてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基等が挙げられる。
基材フィルムにおける飽和ケトン(B)の含有量の下限としては、0.01ppmであり、0.05ppmが好ましく、0.1ppmがより好ましく、0.15ppmがさらに好ましく、0.2ppmが特に好ましい。飽和ケトン(B)の含有量の上限としては、100ppmであり、95ppmが好ましく、50ppmがより好ましく、30ppmがさらに好ましく、20ppmが特に好ましい。飽和ケトン(B)の含有量が上記下限未満であると、飽和ケトン(B)を含有させることによる効果、例えば蒸着欠陥やクラックの発生の抑制効果を十分に得られない。一方、飽和ケトン(B)の含有量が上記上限を超えると、基材フィルムを形成する際の溶融成形時に飽和ケトン(B)による酸化、架橋が発生し易くなってゲル状ブツの発生を誘発するおそれがある。ここで、「ppm」は、基材フィルムにおける該当成分の質量割合であり、1ppmは0.0001質量%である。
[その他の任意成分]
基材フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有していてもよい。その他の任意成分としては、例えばホウ素化合物、共役ポリエン化合物、カルボン酸及びそのイオン、金属イオン、リン化合物、アルカリ金属又はその塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、他の樹脂、高級脂肪族カルボン酸の金属塩等が挙げられる。基材フィルムは、これらの任意成分を2種以上含有してもよく、任意成分の合計含有量としては、基材フィルム中の1質量%以下が好ましい。
(ホウ素化合物)
ホウ素化合物は、溶融成形時のゲル化を抑制すると共に押出成形機等のトルク変動(加熱時の粘度変化)を抑制するものである。
上記ホウ素化合物としては、例えば
オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などのホウ酸類;
ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどのホウ酸エステル;
上記ホウ酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、ホウ砂などのホウ酸塩;
水素化ホウ素類などが挙げられる。これらのうち、ホウ酸類が好ましく、オルトホウ酸(以下、単に「ホウ酸」と称することもある)がより好ましい。
基材フィルムにおけるホウ素化合物の含有量の下限としては、100ppmが好ましく、150ppmがより好ましい。ホウ素化合物の含有量の上限としては、5,000ppmが好ましく、4,000ppmがより好ましく、3,000ppmがさらに好ましい。ホウ素化合物の含有量が上記下限未満であると、押出成形機等を用いて基材フィルムを成形するときに成形機のトルク変動を十分に抑制することができないおそれがある。一方、ホウ素化合物の含有量が上記上限を超えると、基材フィルムを成形する際の溶融成形時にゲル化を起こし易くなり基材フィルム、これを備える包装材等の外観が悪化するおそれがある。
(共役ポリエン化合物)
共役ポリエン化合物は、溶融成形時の酸化劣化を抑制するものである。基材フィルムが飽和ケトン(B)と共に共役ポリエン化合物を含有することで、基材フィルムの成形時のフィッシュアイ等の欠陥の発生及び着色が抑制されるため、当該蒸着フィルムを備える包装材等の外観を向上させることができる。
ここで、共役ポリエン化合物とは、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造を有し炭素−炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。この共役ポリエン化合物は、共役二重結合を2個有する共役ジエン、3個有する共役トリエン、又はそれ以上の数を有する共役ポリエンであってもよい。また、上記共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエン構造が同一分子内に3個ある化合物も上記共役ポリエン化合物に含まれる。
上記共役ポリエン化合物の共役二重結合の数としては、7個以下が好ましい。基材フィルムは、共役二重結合を8個以上有する共役ポリエン化合物を含有すると、成形品の着色が起こる可能性が高くなる。
上記共役ポリエン化合物は、共役二重結合に加えて、カルボキシル基及びその塩、水酸基、エステル基、カルボニル基、エーテル基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、スルホン基及びその塩、スルホニル基、スルホキシド基、スルフィド基、チオール基、リン酸基及びその塩、フェニル基、ハロゲン原子、二重結合、三重結合等のその他の官能基を有していてもよい。
上記共役ポリエン化合物としては、例えば
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−ニトロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩等の共役ジエン化合物;
1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール、フルベン、トロポン等の共役トリエン化合物;
シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の共役ポリエン化合物などが挙げられる。上記共役ポリエン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共役ポリエン化合物の炭素数としては4〜30が好ましく、4〜10がより好ましい。例示した共役ジエン化合物のうち、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩、ミルセン、これらのうちの2以上の混合物が好ましく、ソルビン酸、ソルビン酸塩、これらの混合物がより好ましい。ソルビン酸、ソルビン酸塩及びこれらの混合物は、高温での酸化劣化の抑制効果が高く、また食品添加剤としても広く工業的に使用されているため衛生性や入手性の観点からも好ましい。
上記共役ポリエン化合物の分子量は、通常1,000以下であり、500以下が好ましく、300以下がより好ましい。上記共役ポリエン化合物の分子量が1,000を超えると、ビニルアルコール系重合体(A)中への共役ポリエン化合物の分散状態が悪化し、溶融成形後の外観が悪化するおそれがある。
基材フィルムにおける共役ポリエン化合物の含有量の下限としては、0.01ppmが好ましく、0.1ppmがより好ましく、0.5ppmがさらに好ましく、1ppmが特に好ましい。上記含有量の上限としては、1,000ppmが好ましく、800ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。共役ポリエン化合物の含有量が上記下限未満であると、溶融成形時の酸化劣化を抑制する効果を十分に得られないおそれがある。一方、共役ポリエン化合物の含有量が上記上限を超えると、基材フィルムを形成するための樹脂組成物のゲル化を促進し、基材フィルム、これを備える包装材等の外観が悪化するおそれがある。
(カルボン酸及びそのイオン)
カルボン酸及びそのイオンは、当該樹脂組成物の溶融成形時の耐着色性を向上させるものである。
カルボン酸は、分子内に1つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。また、カルボン酸イオンは、カルボン酸のカルボキシル基の水素イオンが脱離したものである。当該樹脂組成物に含有されるカルボン酸は、モノカルボン酸でもよく、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物でもよく、これらの組み合わせであってもよい。なお、この多価カルボン酸には、重合体は含まれない。多価カルボン酸イオンは、多価カルボン酸のカルボキシル基の水素イオンの少なくとも1つが脱離したものである。上記カルボン酸イオンは金属イオンと塩を形成していてもよい。
上記モノカルボン酸としては、特に限定されず、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸、2−ナフトエ酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、ヒドロキシル基やハロゲン原子を有していてもよい。また、上記カルボン酸イオンとしては、上記カルボン酸のカルボキシル基の水素イオンが脱離したもの等が挙げられる。上記モノカルボン酸(モノカルボン酸イオンを与える多価カルボン酸も含む)のpKaとしては、当該樹脂組成物のpH調整能及び溶融成形性の点から、3.5以上が好ましく、4以上がさらに好ましい。このようなモノカルボン酸としてはギ酸(pKa=3.68)、酢酸(pKa=4.74)、プロピオン酸(pKa=4.85)、酪酸(pKa=4.80)等が挙げられるが、取扱いが容易であることから酢酸が好ましい。
また、上記多価カルボン酸としては、分子内に2個以上のカルボキシル基を有している限り特に限定されず、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アコニット酸等のトリカルボン酸;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等の4以上のカルボキシル基を有するカルボン酸;酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、ムチン酸、タルトロン酸、シトラマル酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、入手容易である点から、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が好ましい。また、上記多価カルボン酸イオンとしては、上記多価カルボン酸に由来する陰イオン等が挙げられる。
カルボン酸としては、炭素数1〜26のカルボン酸が好ましく、炭素数1〜12がより好ましく、炭素数1〜9がさらに好ましい。
カルボン酸及びカルボン酸イオンの含有量の上限としては、溶融成形時の耐着色性の観点から、カルボン酸根換算で20μmol/gが好ましく、15μmol/gがより好ましく、10μmol/gがさらに好ましい。一方、上記含有量の下限としては、カルボン酸根換算で0.01μmol/gが好ましく、0.05μmol/gがより好ましく、0.5μmol/gがさらに好ましい。
(金属イオン)
金属イオンは、包装材料等を成形した場合に層間の接着性を向上させるものである。当該樹脂組成物は、金属イオンを含有することで、包装材料等を成形した場合に層間の接着性を向上させることができ、その結果包装材料等の耐久性を向上させることができる。かかる金属イオンが層間接着性を向上させる理由は必ずしも明らかではないが、隣接する層の一方が、EVOH(A)のヒドロキシル基と反応し得る官能基を分子内に有する場合等に、このヒドロキシル基と官能基との間の結合生成反応が金属イオンの存在によって加速されること等が考えられる。
この金属イオンとしては、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等が挙げられる。これらの金属イオンは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
金属イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましい。アルカリ金属イオンとしてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のイオンが挙げられるが、工業的入手の点からはナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。当該樹脂組成物は、アルカリ金属イオンを含むことで、溶融成形におけるロングラン性及び包装材料等とした際の層間接着力を向上させることができる。
上記アルカリ金属イオンを含む化合物としては、特に限定されないが、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩などのアルカリ金属塩;金属錯体等が挙げられる。上記アルカリ金属塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸三リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、入手容易である点から、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸二水素ナトリウムが好ましい。
金属イオンとしては、アルカリ土類金属イオンも好ましい。アルカリ土類金属イオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のイオンが挙げられるが、工業的入手の点からは、マグネシウムイオン、カルシウムイオンが好ましい。当該樹脂組成物は、金属イオンをアルカリ土類金属イオンとすることで、形成された包装材料等を繰返し再利用した際の劣化が抑制され、また、ゲル状ブツ等の欠点の減少により成形物の外観を向上させることができる。
金属イオンの含有量(乾燥樹脂組成物中の含有量)の下限としては、2.5μmol/gが好ましく、3.5μmol/gがより好ましく、4.5μmol/gがさらに好ましい。金属イオンの含有量の上限としては、22μmol/gが好ましく、16μmol/gがより好ましく、10μmol/gがさらに好ましい。金属イオンの含有量が上記下限未満だと、層間接着性が低下するおそれがある。一方、金属イオンの含有量が上記上限を超えると、飽和ケトン(B)を含有させることによる樹脂組成物の着色低減が困難となり、溶融成形後の外観特性が低下するおそれがある。
(リン化合物)
リン化合物は、ストリーク、フィッシュアイ等の欠陥の発生及び着色を抑制する共に、ロングラン性を向上させるものである。このリン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸等のリン酸塩などが挙げられる。
上記リン酸塩としては、第1リン酸塩、第2リン酸塩及び第3リン酸塩のいずれの形でもよい。また、リン酸塩のカチオン種についても特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましく、これらのうちリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムがより好ましく、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウムがさらに好ましい。
基材フィルムにおけるリン化合物の含有量の下限としては、1ppmが好ましく、2ppmがより好ましく、3ppmがさらに好ましく、5ppmが特に好ましい。リン化合物の含有量の上限としては、200ppmが好ましく、150ppmがより好ましく、100ppmがさらに好ましい。リン化合物の含有量が上記下限未満である場合、又は上記上限を超える場合、熱安定性が低減し、長時間にわたる溶融成形を行なう際のゲル状ブツの発生、着色が生じ易くなるおそれがある。
(アルカリ金属又はその塩)
アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、上記アルカリ金属の塩としては、例えば1価の金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、金属錯体等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましい。基材フィルムにおけるアルカリ金属の含有量としては、20ppm以上1,000ppm以下が好ましく、50ppm以上500ppm以下がより好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えばエチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキトシキベンゾフェノン等が挙げられる。
(可塑剤)
可塑剤としては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等が挙げられる。
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては、例えばペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール(商品名:カーボワックス)等が挙げられる。
(滑剤)
滑剤としては、例えばエチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等が挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等が挙げられる。
(充填剤)
充填剤としては、例えばグラスファイバー、ウォラストナイト、ケイ酸カルシウム、タルク、モンモリロナイト等が挙げられる。
(熱安定剤)
熱安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
(他の樹脂)
他の樹脂としては、例えばポリアミド、ポリオレフィン等が挙げられる。
(高級脂肪族カルボン酸の金属塩)
高級脂肪族カルボン酸の金属塩としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
なお、ゲル化対策として、例えば上記熱安定剤として例示したヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物、上記高級脂肪酸カルボン酸の金属塩、ハイドロタルサイト系化合物等を添加してもよい。これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。ゲル化対策のための化合物の添加量は、通常0.01質量%〜1質量%である。
上記基材フィルムの酸素透過度としては、50mL・20μm/m・day・atm以下が好ましく、10mL・20μm/m・day・atm以下がより好ましく、5mL・20μm/m・day・atm以下がさらに好ましく、1mL・20μm/m・day・atm以下が特に好ましい。ここで、酸素透過度の値は、20℃、65%RHで測定した値である。ここで、酸素透過度は、例えば「50mL・20μm/m・day・atm以下」とは、酸素ガスの圧力差が1気圧下、1日で、フィルム20μm換算したときの1m当たりで50mLの酸素が透過することを表す。
上記基材フィルムの平均厚みは特に限定されないが、その上限としては30μmが好ましく、25μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。基材フィルムの平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、7μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。
<基材フィルムの製造方法>
基材フィルムは、例えば樹脂組成物を用いて公知のフィルム形成方法を適用して製造することができる。
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、ビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を含有する。この樹脂組成物は、任意成分として、ホウ素化合物、共役ポリエン化合物、酢酸類、リン化合物等をさらに含有していてもよい。上記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有していてもよい。なお、ビニルアルコール系重合体(A)、飽和ケトン(B)、ホウ素化合物、共役ポリエン化合物、酢酸類、リン化合物及びその他の任意成分の具体例、含有量等については、基材フィルムの場合と同様である。
上記樹脂組成物の製造方法としては、ビニルアルコール系重合体(A)中に飽和ケトン(B)を均一にブレンドでき、最終的に得られる樹脂組成物に飽和ケトン(B)を0.01ppm以上100ppm以下含有させられる方法であれば特に限定されない。この樹脂組成物は、例えばエチレンとビニルエステルとを共重合させる工程(以下、「工程(1)」ともいう)、及びこの工程(1)により得られる共重合体をケン化する工程(以下、「工程(2)」ともいう)を備える製造方法により得ることができる。
樹脂組成物中に特定量の飽和ケトン(B)を含有させる方法としては、特に限定されないが、例えば工程(1)において特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法、工程(2)において特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法、工程(2)により得られたビニルアルコール系重合体(A)に、特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法等が挙げられる。
但し、工程(1)において特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法、又は工程(2)において特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法を採用する場合には、得られる樹脂組成物中に所望量の飽和ケトン(B)を含有させるために、工程(1)における重合反応、又は工程(2)におけるケン化反応で消費される量を考慮して添加量を多くする必要がある。しかし、飽和ケトン(B)の量が多いとこれらの反応を阻害するおそれがある。また、工程(1)での重合反応や工程(2)でのケン化反応の条件により飽和ケトン(B)が消費される量が変動するため、樹脂組成物中の飽和ケトン(B)の含有量を調節することが難しい。従って、工程(2)より後において、この工程(2)により得られたビニルアルコール系重合体(A)に、特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法が好ましい。
ビニルアルコール系重合体(A)に特定量の飽和ケトン(B)を添加する方法としては、例えば飽和ケトン(B)を予めビニルアルコール系重合体(A)に配合してペレットを造粒する方法、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化後に析出させるストランドに飽和ケトン(B)を含浸させる方法、析出させるストランドをカットした後に飽和ケトン(B)を含浸させる方法、乾燥樹脂組成物のチップを再溶解したものに飽和ケトン(B)を添加する方法、ビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を溶融混練する方法、押出機の途中からビニルアルコール系重合体(A)の溶融物に飽和ケトン(B)を供給し含有させる方法、飽和ケトン(B)をビニルアルコール系重合体(A)の一部に高濃度で配合して造粒したマスターバッチをビニルアルコール系重合体(A)とドライブレンドして溶融混練する方法等が挙げられる。
これらの中でも、ビニルアルコール系重合体(A)中に微量の飽和ケトン(B)を均一に分散することができる観点から、飽和ケトン(B)を添加する方法としては、飽和ケトン(B)を予めビニルアルコール系重合体(A)に配合してペレットを造粒する方法が好ましい。具体的には、飽和ケトン(B)の添加は、ビニルアルコール系重合体(A)を水/メタノール混合溶媒等の良溶媒に溶解させた溶液に、飽和ケトン(B)を添加し、その混合溶液をノズル等から貧溶媒中に押出して析出及び/又は凝固させ、それを洗浄及び/又は乾燥することにより行うことが好ましい。この場合、樹脂組成物は、ビニルアルコール系重合体(A)に飽和ケトン(B)が均一に混合されたペレットとして得られる。
樹脂組成物に飽和ケトン(B)以外の各成分を含有させる方法としては、例えば上記ペレットを各成分と共に混合して溶融混練する方法、ペレットを調製する際に、飽和ケトン(B)と共に各成分を混合する方法、ペレットを各成分が含まれる溶液に浸漬させる方法等が挙げられる。なお、ペレットと他の成分の混合には、リボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサー等を用いることができる。
[フィルム形成方法]
フィルム形成方法としては、特に限定されず、例えば溶融法、溶液法、カレンダー法等が挙げられ、溶融法が好ましい。溶融法としては、Tダイ法(キャスト法)、インフレーション法が挙げられ、キャスト法が好ましい。
キャスト法によるフィルム形成の場合、延伸を行ってもよい。延伸方法としては、特に限定されるものではなく、一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。面積換算の延伸倍率の下限としては、8倍が好ましく、9倍がより好ましい。延伸倍率の上限として12倍が好ましく、11倍がより好ましい。延伸倍率が上記範囲であることで、フィルムの厚みの均一性、ガスバリア性及び機械的強度の点を向上させることができる。これに対して、延伸倍率が上記下限未満であると、延伸斑が残りやすくなるおそれがある一方、上記上限を超えると、延伸時にフィルムの破断が生じやすくなるおそれがある。
延伸を行う場合、原反に予め含水させておくことが好ましい。これにより、連続延伸が容易となる。延伸前原反の含水率の下限としては、2質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。延伸前原反の含水率の上限としては、30質量%が好ましく、25質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。含水率が上記下限未満であると、延伸斑が残りやすく、また特にテンターで延伸する場合、グリップに近い部分の延伸倍率が高くなるためにグリップ近辺での破れが生じやすくなるおそれがある。一方、含水率が上記上限を超える場合、延伸された部分の弾性率が低く、未延伸部分との差が十分でなく、延伸斑が残り易くなるおそれがある。
延伸温度は、延伸前の原反の含水率、延伸方法によって多少異なるが、一般に50℃〜130℃とされる。延伸温度としては、延伸斑の少ない二軸延伸フィルムが得るためには、同時二軸延伸では70℃〜100℃が好ましく、逐次二軸延伸ではロールでの長手方向の延伸においては70℃〜100℃が好ましく、テンターでの幅方向の延伸において80℃〜120℃が好ましい。
なお、基材フィルムの形成においては、樹脂組成物としてビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を含有するものを使用することに代えて、樹脂組成物としてビニルアルコール系重合体(A)以外の成分を含有しないものを使用すると共に、フィルム形成時に飽和ケトン(B)等のビニルアルコール系重合体(A)以外の成分を混合してもよい。
<蒸着層>
蒸着層は、当該蒸着フィルムにおいて主としてガスバリア性を確保するものである。この蒸着層は、基材フィルム上に積層されている。蒸着層は、基材フィルムの両面に積層されていても、基材フィルム片面のみに積層されていてもよいが、基材フィルムの両面に積層されていることが好ましい。蒸着層を基材フィルムの両面に積層することで、ガスバリア性をより向上させ、ガスバリアの安定性が得られる。すなわち、一方の蒸着層に物理的衝撃等により欠陥が生じても、他方の蒸着層がバリア性を維持することにより、蒸着フィルムとしてのガスバリア性が好適に維持される。
蒸着層を形成する材料としては、例えばアルミニウム、珪素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、これら1種又は2種以上の酸化物、炭化物、窒化物等が挙げられ、アルミニウムを単独又は併用することが好ましい。このようにアルミニウムを使用することで、軽く、柔軟性及び光沢性に富む蒸着フィルムを得ることができる。
蒸着層の平均厚みの下限としては、15nmが好ましく、20nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。蒸着層の平均厚みの上限としては、150nmが好ましく、130nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。蒸着層の平均厚みが上記下限未満であると、ガスバリア性が不十分になるおそれがある。一方、蒸着層の平均厚みが上記上限を超えると、ヒートブリッジが発生し易くなり、断熱効果が低下するおそれがある。なお、蒸着層が複数の層から構成される場合、各層の平均厚みが上記範囲であることが好ましく、複数の層の厚みの総和が上記範囲であることがさらに好ましい。
ここで、蒸着層の平均厚みとは、電子顕微鏡により測定される蒸着層断面の任意の10点における厚みの平均値である。
蒸着層におけるアルミニウム粒子等の蒸着粒子の平均粒子径の下限としては、特に限定はないが、10nmが好ましく、15nmがより好ましく、20nmがさらに好ましい。蒸着粒子の平均粒子径の上限としては、150nm以下が好ましく、125nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましく、75nm以下が特に好ましく、50nm以下が最も好ましい。
ここで、蒸着粒子の平均粒子径は、蒸着層表面を走査型電子顕微鏡で観察し、同一方向に存在する複数の蒸着粒子の最大径(定方向最大径)の合算値を測定粒子個数で除した平均値を意味する。また、平均粒子径は、蒸着粒子が粒塊で形成している場合、粒塊を構成する蒸着粒子の粒子径(一次粒子径)を意味する。
基材フィルムに蒸着層を形成する場合、以下のいずれかの条件を満たすことで、蒸着粒子の平均粒径が150nm以下である蒸着層を形成することが可能となる。
(1)蒸着時の基材フィルムの表面温度を60℃以下にする
(2)蒸着前の基材フィルムに含まれる揮発分の含有量を1.1質量%以下にする
(3)蒸着前の基材フィルムの表面をプラズマ処理し改質する
これらの方法の中でも、条件(1)を満たすことが好ましく、条件(1)に加えて、条件(2)及び条件(3)のうちの少なくとも一方の条件をさらに満たすことがより好ましい。
金属蒸着を行う際の基材フィルムの表面温度は、上述のように60℃以下とすることが好ましいが、55℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。また、蒸着時の基材フィルムの表面温度の下限としては、特に限定されないが、0℃が好ましく、10℃がより好ましく、20℃がさらに好ましい。
蒸着前の基材フィルムに含まれる揮発分の含有量の下限としては、特に限定されないが、0.01質量%が好ましく、0.03質量%がより好ましく、0.05質量%がさらに好ましい。上記揮発分の上限としては、1.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、0.3質量%がさらに好ましい。ここで、揮発分の含有量は、105℃で3時間乾燥した乾燥前後の質量変化から、蒸着フィルムの揮発分の含有量と同様の式により求められる。
蒸着前の基材フィルムの表面をプラズマ処理する方法としては、公知の方法を用いることができるが、大気圧プラズマ処理が好ましい。この大気圧プラズマ処理においては、放電ガスとしては、例えば窒素ガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられる。これらの中でも、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく、コスト低減の観点から窒素がより好ましい。
<樹脂コート層>
樹脂コート層は、蒸着フィルム製造後の工程、例えばラミネーション等のフィルム加工における屈曲等による蒸着層の損傷を抑制するものである。このような樹脂コート層を備える蒸着フィルムはガスバリア性の低下を抑制できる。樹脂コート層は、ビニルアルコール系重合体を含み、必要に応じて、膨潤性無機層状ケイ酸塩を含んでいてもよい。
ビニルアルコール系重合体としては、基材フィルムにおいて例示したものと同様なものが挙げられ、その中でも、水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、すなわち常温で水を主成分とする溶媒に完全に溶解するポリマー、常温で水を主成分とする溶媒に微分散可能なポリマーが好ましい。
膨潤性無機層状ケイ酸塩は、樹脂コート層の強度を向上させるものである。この膨潤性無機層状ケイ酸塩としては、例えば膨潤性モンモリロナイト、膨潤性合成スメクタイト、膨潤性フッ素雲母系鉱物等が挙げられる。樹脂コート層におけるビニルアルコール系重合体に対する膨潤性無機層状ケイ酸塩の含有量としては、特に限定されないが、固形分換算で、0.5質量%〜55質量%が好ましく、1質量%〜40質量%がより好ましく、3質量%〜30質量%がさらに好ましく、5質量%〜20質量%が特に好ましい。膨潤性無機層状ケイ酸塩の含有量が0.5質量%未満であると、樹脂コート層の強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、膨潤性無機層状ケイ酸塩の含有量が55質量%を超えると、樹脂コート層の柔軟性が低下してクラック等の欠点を生じ易くなるおそれがある。
樹脂コート層の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、効果的なガスバリア性を得るためには0.001μm以上が好ましい。樹脂コート層の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、10μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
蒸着層に樹脂コート層を積層する方法としては、特に限定されないが、コーティング法、ラミネートが好ましい。コーティング方法としては、例えばダイレクトグラビア法、リバースグラビア法、マイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法;ドクターナイフ法;ダイコート法;ディップコート法;バーコーティング法;これらを組み合わせたコーティング法などが挙げられる。また、蒸着層と樹脂コート層との界面は、コロナ処理、アンカーコート剤等による処理などが施されていてもよい。
<その他の層>
その他の層としては、例えば熱可塑性樹脂を主体とする層(以下、「熱可塑性樹脂層」という)、紙層、飽和ケトンの含有量が0.01ppm未満又は100ppm超の蒸着層等が挙げられる。ここで、主体とは、複数の成分を含む場合に最も含有量が多いことを意味し、例えば熱可塑性樹脂を50質量%以上含むことを意味する。
熱可塑性樹脂層は、基材フィルム、蒸着層、及び樹脂コート層のいずれに積層されていてもよく、接着層として機能する層であってもよい。この熱可塑性樹脂層は、延伸フィルムから形成されていてもよく、未延伸フィルムから形成されていてもよく、コーティングにより形成されていてもよい。
他の層を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
<用途>
当該蒸着フィルムは、ビニルアルコール系重合体(A)を含む基材フィルム上に蒸着層を積層したものであるため、蒸着時の蒸着抜けの発生、ラミネーション等の蒸着フィルム加工時のクラックの発生を抑え、蒸着層の密着強度に優れる。このため、当該蒸着フィルムは、様々な用途に適用できる。当該蒸着フィルムの用途としては、例えば包装材、真空断熱体等が挙げられる。
[包装材]
当該包装材は、当該蒸着フィルムを備えるものであり、例えば蒸着フィルム又はこの蒸着フィルムを備える積層フィルム等を二次加工することで形成される。当該包装材は、当該蒸着フィルムを備えることで、ガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。
当該包装材は、少なくとも1層の蒸着フィルムと、少なくとも1層の他の層とを積層することによって形成される。他の層としては、例えばポリエステル層、ポリアミド層、ポリオレフィン層、紙層、無機蒸着フィルム層、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(以下、「EVOH層」ともいう)、接着層等が挙げられる。当該包装材における層数及び積層順には特に制限はないが、ヒートシールが行われる場合には少なくとも最外層がヒートシール可能な層とされる。なお、ポリオレフィン層は、当該包装材が後述のラミネートチューブ容器等として構成される場合には顔料を含有していてもよい。
当該包装材は、例えば食品、飲料物、農薬や医薬等の薬品、医療器材、機械部品、精密材料等の産業資材、衣料などを包装するために使用される。特に、当該包装材は、酸素に対するバリア性が必要となる用途、包装材の内部が各種の機能性ガスによって置換される用途に好ましく使用される。
当該包装材は、用途に応じて種々の形態、例えば縦製袋充填シール袋、真空包装袋、スパウト付パウチ、ラミネートチューブ容器、容器用蓋材等に形成される。
(縦製袋充填シール袋)
縦製袋充填シール袋は、例えば液体、粘稠体、粉体、固形バラ物、これらを組み合わせた形態の食品、飲料物等を包装するために使用される。
縦製袋充填シール袋は、蒸着フィルムをヒートシールすることで形成される。ヒートシールが行われる場合、通常、蒸着フィルムにおける縦製袋充填シール袋の内側となる層、又は縦製袋充填シール袋の内側となる層及び外側となる層の両方として、ヒートシール可能な層を配置することが必要である。ヒートシール可能な層が縦製袋充填シール袋の内側のみにある場合、通常、胴体部は合掌貼りよりシールされる。ヒートシール可能な層が縦製袋充填シール袋の内側及び外側の両方にある場合、通常、胴体部は封筒貼りによりシールされる。ヒートシール可能な層としては、ポリオレフィン層(以下、「PO層」ともいう)が好ましい。
縦製袋充填シール袋の層構成としては、蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、蒸着フィルム/PO層、PO層/蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。また、基材フィルムの片面にのみ蒸着層が形成されている蒸着フィルムを適用する場合、この蒸着フィルムは、蒸着層が基材フィルムよりも外側に配置されるように積層されていても、蒸着層が基材フィルムより内側に配置されるように積層されていてもよい。
当該包装材は、上述のようにガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持されるため、当該包装材の一例である縦製袋充填シール袋によれば、内容物の品質劣化を長期間にわたって抑制できる。
(真空包装袋)
真空包装袋は、真空状態で包装することが望まれる用途、例えば食品、飲料物等の保存に使用される。
真空包装袋の層構成としては、蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、ポリアミド層/蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。
このような真空包装袋は、当該蒸着フィルムを備えることから、真空包装後、真空包装後に行われる加熱殺菌後のガスバリア性に特に優れる。
(スパウト付パウチ)
スパウト付パウチは、液状物質、例えば清涼飲料等の液体飲料、ゼリー飲料、ヨーグルト、フルーツソース、調味料、機能性水、流動食などを包装するために使用される。
このスパウト付パウチの層構成としては、蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、ポリアミド層/蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。
このようなスパウト付パウチは、当該蒸着フィルムを備えるため、ガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。そのため、スパウト付パウチは、輸送後、長期保存後においても、内容物の変質を防ぐことが可能である。
(ラミネートチューブ容器)
ラミネートチューブ容器は、例えば化粧品、薬品、医薬品、食品、歯磨等を包装するために使用される。
このラミネートチューブ容器の層構成としては、PO層/蒸着フィルム/PO層、PO層/顔料含有PO層/PO層/蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。
このようなラミネートチューブ容器は、当該蒸着フィルムを備えるためガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。
(容器用蓋材)
容器用蓋材は、畜肉加工品、野菜加工品、水産加工品、フルーツ等の食品などが充填される容器の蓋材である。
この容器用蓋材の層構成としては、蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。
このような容器用蓋材は、当該蒸着フィルムを備えるためにガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持されるため、内容物である食品の品質劣化を長期間にわたって抑制できる。
[真空断熱体]
真空断熱体は、保冷や保温が必要な用途に使用されるものである。この真空断熱体としては、例えば外包材内にポリウレタンフォーム等の芯材が真空状態で封入されるものが挙げられる。外包材は、例えば少なくとも1層の蒸着フィルムと、少なくとも1層の他の層とを積層することによって形成される一対の積層フィルムを、ヒートシールすることで形成される。
他の層としては、例えばポリエステル層、ポリアミド層、ポリオレフィン層、接着層等が挙げられ、ヒートシール可能な層とであるポリオレフィン層を含むことが好ましい。
外包材における層数及び積層順には特に制限はないが、最外層がヒートシール可能な層(例えばポリオレフィン層)とされることが好ましい。外包材の層構成としては、蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、ポリアミド層/蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。また、基材フィルムの片面にのみ蒸着層が形成されている蒸着フィルムを適用する場合、この蒸着フィルムは、蒸着層が基材フィルムよりも外側に配置されるように積層されていても、蒸着層が基材フィルムより内側に配置されるように積層されていてもよい。
このような真空断熱体は外包材が蒸着フィルムを備えるためにガスバリア性に優れる。従って、当該真空断熱体は、長期間にわたって断熱効果を保持できることから、冷蔵庫、給湯設備、炊飯器等の家電製品用の断熱材;壁部、天井部、屋根裏部、床部等に用いられる住宅用断熱材;車両屋根材;自動販売機等の断熱パネルなどに利用できる。
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[含水EVOHペレットの含水率の測定]
メトラー・トレド社のハロゲン水分率分析装置「HR73」を用い、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件で、含水EVOHペレットの含水率を測定した。以下に示す含水EVOHの含水率は、EVOHの乾燥質量基準の質量%である。
[EVOH(A)のエチレン含有量及びけん化度]
核磁気共鳴装置(日本電子社の「超伝導核磁気共鳴装置 Lambda500」)を用い、DMSO−dを測定溶媒として、H−NMRにより求めた。
[カルボン酸及びカルボン酸イオンの定量]
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z8801−1〜3準拠)で分けた。上記ふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌した。得られた溶液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。この希釈溶液を、横河電機社のイオンクロマトグラフィー「ICS−1500」を用い、下記測定条件に従ってカルボン酸イオンの量を定量することで、カルボン酸及びカルボン酸イオンの量を算出した。なお、定量に際してはモノカルボン酸又は多価カルボン酸を用いて作成した検量線を用いた。
(測定条件)
カラム :DIONEX社の「IonPAC ICE−AS1(9φ×250mm、電気伝導度検出器)」
溶離液 :1.0mmol/L オクタンスルホン酸水溶液
測定温度 :35℃
溶離液流速 :1mL/min.
分析量:50μL
[金属イオンの定量]
乾燥EVOHペレット0.5gをアクタック製のテフロン(登録商標)製耐圧容器に仕込み、和光純薬工業社の精密分析用硝酸5mLをさらに加えた。30分放置後、ラプチャーディスク付きキャップリップにて容器に蓋をし、アクタック社のマイクロウェーブ高速分解システム「スピードウェーブ MWS−2」にて150℃10分、次いで180℃10分処理し、乾燥EVOHペレットを分解させた。乾燥EVOHペレットの分解が完了できていない場合は、処理条件を適宜調節した。得られた分解物を10mLのイオン交換水で希釈し、すべての液を50mLのメスフラスコに移し取り、イオン交換水で定容し、分解物溶液を得た。
上記得られた分解物溶液を、パーキンエルマージャパン社のICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用い、以下に示す各観測波長で定量分析することで、金属イオン、リン酸化合物及びホウ素化合物の量を定量した。リン酸化合物の量は、リン元素を定量しリン元素換算質量として算出した。ホウ素化合物の含有量は、ホウ酸換算質量として算出した。
Na :589.592nm
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
P :214.914nm
B :249.667nm
Si :251.611nm
Al :396.153nm
Zr :343.823nm
Ce :413.764nm
W :207.912nm
Mo :202.031nm
[飽和ケトン(B)の定量]
50質量%の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)溶液200mgに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)50mL、酢酸11.5mL及びイオン交換水8mLを添加し、DNPH調整溶液を作製する。その後、試料(乾燥樹脂組成物ペレット、基材フィルム又は蒸着フィルム)1gをDNPH調整溶液20mLに添加し、35℃にて1時間攪拌溶解させる。この溶液にアセトニトリルを添加してビニルアルコール系重合体(A)を沈降させ、溶液を濾過・濃縮し、抽出サンプルを得る。この抽出サンプルを高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、飽和ケトン(B)の量を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの飽和ケトン(B)をDNPH調製溶液と反応させて得た標品を用いて作成した検量線を使用した。
(分析条件)
カラム:TSKgel ODS−80Ts(東ソー社)
移動相:水/アセトニトリル=52:48(体積比)
検出器:PDA(360nm)、TOF−MS
[基材フィルムの揮発分の含有量]
ロールの全幅80cmにおける中央部から、揮発分測定用の小片を切り出し、熱風乾燥機を用いて105℃で3時間乾燥し、乾燥前後の質量から下記式により揮発分の含有量を求めた。
揮発分の含有量(質量%)=(乾燥前質量−乾燥後質量)/乾燥後質量×100
[蒸着層の厚み]
蒸着フィルムをミクロトームでカットし、断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(エス・アイ・アイナノテクノロジー社の「ZEISS ULTRA 55」)により観察すると共に反射電子検出器を用いて蒸着層の厚みを測定した。
[成形時の臭気の評価]
樹脂組成物の試料ペレット20gを100mLガラス製サンプル管に入れ、アルミホイルで口部に蓋をした後、熱風乾燥機内において220℃で30分間加熱した。乾燥機から取り出し、室温で30分間放冷した後、サンプル管を2〜3回振り混ぜた後、アルミホイルの蓋を取り臭気を確認した。試料ペレットの臭気の強さは、以下の基準で評価した。
A: 臭気を感じない
B: 弱い臭気を感じる
C: 明らかに臭気を感じる
[蒸着フィルムの蒸着欠点の評価]
蒸着フィルムのロールをスリッターにかけて、フィルム下部から100Wの蛍光灯を当てながら巻きだし、幅0.5m、長さ2mの領域について異なる10箇所で蒸着欠点数を数え、その平均値を1mあたりの蒸着欠点数とした。蒸着欠点は、以下の基準で評価した。
A:0〜20個/m
B:21〜40個/m
C:41〜60個/m
D:61〜80個/m
E:81〜100個/m
F:101個以上/m
[密着強度の評価]
蒸着フィルムの蒸着層側の表面に、ドライラミネート用接着剤(三井化学社の「タケラックA−385」と「タケラックA−50」とを6/1の質量比で混合し、固形分濃度23質量%の酢酸エチル溶液としたもの)を、第一理化社のバーコーターNo.12を用いてコートし、50℃で5分間熱風乾燥させた後、80℃に加熱したニップロールにて、PETフィルム(東洋紡社の「E5000」:厚みが12μm)とラミネートを行った。このとき、フィルムの半分の領域は、アルミホイルを挟むことでフィルム同士が貼りあわされない部分を設定した。その後、40℃で72時間養生し、ラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムをアルミ蒸着の境目を中心として100mm×15mmの短冊に裁断し、引っ張り試験機により引っ張り速度10mm/分にてT型剥離試験を5回行った。得られた測定値の平均値を密着強度とした。密着強度は以下の基準で評価した。
A:500g/15mm以上
B:450以上500g/15mm未満
C:400以上450g/15mm未満
D:350以上400g/15mm未満
E:350g/15mm未満
[酸素透過度]
酸素透過度は、蒸着フィルムの一部を切り取った試料を用いて、JIS K7126(等圧法):2006に準拠し、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社の「MOCON OX−TRAN2/20」:検出限界値0.01mL/m・day・atm)を用いて測定した。測定条件は、温度が40℃、酸素供給側の湿度が90%RH、キャリアガス側の湿度が0%RH、酸素圧が1気圧、キャリアガス圧力が1気圧とした。蒸着フィルムの酸素透過率測定装置への設置方法は、基材フィルムの片面に蒸着層が形成された蒸着フィルムでは蒸着層の表面側を酸素供給側、基材フィルムの露出面側をキャリアガス側とした。蒸着フィルムの両面が蒸着層の場合は、酸素供給側とキャリアガス側とを選んで設置していない。
<ビニルアルコール系重合体(A)の合成>
[合成例1]
250Lの加圧反応槽を用いて以下の条件でエチレン−酢酸ビニル共重合体の重合を実施した。
(仕込み量)
酢酸ビニル 91.2kg
メタノール 31.9kg
2,2’−アゾビスイソブチルニトリル濃度 2.0g/L(メタノール溶媒)
2,2’−アゾビスイソブチルニトリル供給量 828mL/hr
(重合条件)
重合温度 60℃
重合槽エチレン圧力 3.59MPa
重合時間 5.0時間
得られた共重合体における酢酸ビニルの重合率は約40%であった。この共重合反応液にソルビン酸を添加した後、追出塔に供給し、塔下部からのメタノール蒸気の導入により未反応酢酸ビニルを塔頂より除去して、エチレン−酢酸ビニル共重合体の41%メタノール溶液を得た。このエチレン−酢酸ビニル共重合体のエチレン含有量は32mol%であった。このエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を、共重合体中のビニルエステル成分に対して0.4当量となるように添加し、メタノールを加えて共重合体濃度が20%になるように調整した。この溶液を60℃に昇温し、反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。この溶液を円形の開口部を有する金板から水中に押出して析出させ、切断することで直径約3mm、長さ約5mmのペレットを得た。得られたペレットは遠心分離機で脱液し、さらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
[合成例2]
重合時にアセトン濃度が添加する酢酸ビニルに対して0.5ppmとなるようにアセトンを供給した以外は合成例1と同様にして重合、ケン化、ペレット化及び洗浄を行ってペレットを得た。
<樹脂組成物の調製>
[調製例1]
合成例1で得たペレット20kgを、180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。この溶液にアセトン61mg及びソルビン酸105mgを添加し、さらに1時間攪拌してアセトン及びソルビン酸を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。この多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した後、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びホウ酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この浸漬処理用水溶液と樹脂組成物チップを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、乾燥樹脂組成物ペレットを得た。この乾燥樹脂組成物ペレットにおける飽和ケトン(B)の含有量は、上述の定量方法に従い測定した。なお、飽和ケトン(B)の添加量、浸漬処理用水溶液の各成分の濃度を調節することにより、各成分の含有量が表1に記載の通りとなるように樹脂組成物を調製した。樹脂組成物中のエチレン含有量及びけん化度を上記に従い分析したところ、エチレン含有量は32.0mol%、けん化度は99.98mol%以上であった。また上記に従い分析した結果、酢酸及び酢酸イオンを350ppm、ナトリウムイオンを100ppm、カリウムイオンを40ppm、マグネシウムイオンを50ppm、リン酸化合物をリン酸根換算で100ppm、ホウ素化合物をホウ素元素換算で200ppm含んでいた。
[調製例2]
合成例2で得たペレット20kgを、180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。この溶液にソルビン酸105mgを添加し、さらに1時間攪拌してソルビン酸を完全に溶解させて樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。この多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した後、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びホウ酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この浸漬処理用水溶液と樹脂組成物チップを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、乾燥樹脂組成物ペレットを得た。なお、この樹脂組成物中のアセトンの含有量は、検出限界以下であった。
<蒸着フィルムの作製>
[実施例1]
(基材フィルムの調製)
上記調製例1で得た樹脂組成物100質量部に対して、アセトンを2.9ppm、合成シリカ(富士シリシア化学社の「サイリシア310P」;レーザー法で測定された平均粒子径2.7μm)を0.03質量部になるようにタンブラーを用いてドライブレンドを行い、240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付け、厚さ170μmの未延伸フィルムを得た。このフィルムを80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸設備により90℃にて縦方向に3.2倍、横方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間熱処理を行い、全幅3.6mの二軸延伸熱フィルム(基材フィルム)を得た。この基材フィルムを巻き返しながら、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cmをスリットし、長さ4000mのロールを得た。さらに、連続して基材フィルムを製膜し、長さ4000mのロールを合計100本採取した。得られた基材フィルムの揮発分は0.15質量%であった。また、基材フィルムの調製時の臭気は無かった。この基材フィルムは、吸湿を防止するためにアルミニウム箔ラミネートフィルムで梱包した。
(蒸着層の形成)
基材フィルムに対して、バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA−105」)を用い、二軸延伸フィルムの表面温度38℃、二軸延伸フィルムの走行速度200m/分として二軸延伸フィルムの片面にアルミニウムを蒸着させることで蒸着フィルムを得た。蒸着層のアルミニウムの厚さは70nmであった。
得られた蒸着フィルムの蒸着欠点及び蒸着層の密着強度の評価は、いずれも良好であった。蒸着フィルムからの揮発分の含有量は、全てのロールにおいて同一であり、良好であった。
[実施例2〜5、8〜14、及び比較例3、4]
表1に示すようにアセトンの含有量、蒸着時の基材フィルム表面温度、蒸着層の厚みを変更する以外は実施例1と同様に蒸着フィルムを作製した。なお、実施例2〜5の基材フィルム形成時の臭気がないか弱い臭気を感じる程度であった。一方、比較例3,4の基材フィルム形成時に明らかに臭気を感じた。
また、得られた蒸着フィルムについて、蒸着フィルムからの揮発分の含有量を測定すると共に、蒸着欠点及び蒸着層の密着強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。実施例2〜5,8〜14については、蒸着欠点及び蒸着層の密着密度について良好な結果が得られた。これに対して、比較例3,4については、蒸着欠点及び蒸着層の密着密度について良好な結果が得られなかった。
[実施例6]
飽和ケトンとして、アセトンに代えてメチルエチルケトンを用いて二軸延伸フィルム(基材フィルム)を作製した以外は実施例1と同様とし、蒸着フィルムを調製した。なお、基材フィルム形成時の臭気は無かった。得られた蒸着フィルムについて、蒸着フィルムからの揮発分の含有量を測定すると共に、蒸着欠点及び蒸着層の密着強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。実施例6では、評価項目においても良好な結果が得られた。
[実施例7]
飽和ケトンとしてアセトンに代えて2−ヘキサノンを用いて二軸延伸フィルム(基材フィルム)を作製した以外は実施例1と同様とし、蒸着フィルムを調製した。なお、基材フィルム形成時の臭気は無かった。得られた蒸着フィルムについて、蒸着フィルムからの揮発分の含有量を測定すると共に、蒸着欠点及び蒸着層の密着強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。実施例7では、評価項目においても良好な結果が得られた。
[実施例15]
実施例1と同様にして得られた二軸延伸フィルムについて、もう片面に蒸着層を形成することで蒸着フィルムを得た。蒸着層の形成条件は、実施例1と同様とした。なお、基材フィルム形成時の臭気は無かった。得られた蒸着フィルムについて、蒸着フィルムからの揮発分の含有量を測定すると共に、蒸着欠点及び蒸着層の密着強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。実施例15では、評価項目においても良好な結果が得られた。
[比較例1]
上記調製例2で得られた樹脂組成物を用い、飽和ケトン(B)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして蒸着フィルムを作製した。なお、基材フィルム形成時の臭気がやや強かった。得られた蒸着フィルムについて、蒸着フィルムからの揮発分を測定すると共に、蒸着欠点及び蒸着層の密着強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。比較例1では、いずれの評価項目においても良好な結果が得られなかった。
[比較例2]
基材フィルムの揮発分が0.15質量%である以外は比較例1と同様にして蒸着フィルムを作製した。なお、基材フィルム形成時の臭気がやや強かった。得られた蒸着フィルムについて、蒸着欠点数、蒸着層の密着強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。比較例2では、いずれの評価項目においても良好な結果が得られなかった。
Figure 2015071248
表1に示すように、基材フィルムにビニルアルコール系重合体(A)及び特定量の飽和ケトン(B)を含む基材フィルム及びこの基材フィルムを備える蒸着フィルムは、蒸着時に発生する蒸着抜けを抑えることができると共に密着強度に優れていた。
[実施例16]
実施例1の蒸着フィルムの片面にPETフィルム(東洋紡社の「E5000」:厚み12μm)を積層すると共に蒸着フィルムのもう片面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)(三井化学東セロ社の「RXC−21」:厚み50μm)を積層して積層フィルムを得た。この積層フィルムについて、酸素透過度を測定した。その結果を表2に示す。
[実施例17〜19及び比較例5]
層構成を表2に示す通りとした以外は実施例16と同様にして積層フィルムを調製し、酸素透過度を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2に示す蒸着PETフィルムとしては東レフィルム加工社の「VM−PET 1510」(厚み12μm)を使用した。
Figure 2015071248
表2に示すように、実施例16〜19の積層フィルムは、比較例5の積層フィルムに比べて酸素透過率が低く、ガスバリア性に優れていた。
本発明の蒸着フィルムは、蒸着層における蒸着欠陥及びクラックの発生が抑制されると共に基材フィルムに対する蒸着層の密着性に優れるため、ガスバリア性の低下が抑制される。従って、当該蒸着フィルムは、包装材及び真空断熱体に好適に使用できる。また、本発明の蒸着フィルムの製造方法によれば、当該蒸着フィルムを好適に提供することができる。

Claims (8)

  1. 基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも片面に積層される蒸着層とを備える蒸着フィルムであって、
    上記基材フィルムがビニルアルコール系重合体(A)及び飽和ケトン(B)を含み、
    上記基材フィルムにおける上記飽和ケトン(B)の含有量が0.01ppm以上100ppm以下である蒸着フィルム。
  2. 上記飽和ケトン(B)の炭素数が3から8である請求項1に記載の蒸着フィルム。
  3. 上記飽和ケトン(B)が、アセトン、メチルエチルケトン及び2−ヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2に記載の蒸着フィルム。
  4. 上記蒸着層が上記基材フィルムの両面に積層される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の蒸着フィルム。
  5. 上記蒸着層の平均厚みが15nm以上150nm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蒸着フィルムの製造方法であって、
    上記基材フィルムに上記蒸着層を形成する工程を備え、
    この工程における基材フィルムの表面温度が、60℃以下である蒸着フィルムの製造方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蒸着フィルムを備える包装材。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蒸着フィルムを備える真空断熱体。
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