JP2015071692A - 樹脂組成物、樹脂成形体及び多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂組成物は、EVOH(A)及び飽和アルデヒド(B)を含有し、飽和アルデヒド(B)の含有量が0.01〜100ppmである。飽和アルデヒド(B)の炭素数としては3〜8が好ましく、プロパナール、ブタナール又はヘキサナールがより好ましい。ホウ素化合物をさらに含有し、ホウ素化合物の含有量が100〜5,000ppmである樹脂組成物。共役ポリエン化合物をさらに含有し、共役ポリエン化合物はソルビン酸及びソルビン酸塩の内少なくも1方であり、その含有量が0.01〜1,000ppmである。更に、1〜200ppmのリン化合物を含有する樹脂組成物
【選択図】なし
Description
当該樹脂組成物は、EVOH(A)及び飽和アルデヒド(B)を含有する。この樹脂組成物は、好適成分として、ホウ素化合物、共役ポリエン化合物、酢酸類又はリン化合物をさらに含有していてもよい。当該樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有していてもよい。以下、EVOH(A)、飽和アルデヒド(B)、ホウ素化合物、共役ポリエン化合物、酢酸類、リン化合物及びその他の任意成分について詳述する。
EVOH(A)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をケン化したエチレンとビニルアルコール共重合体である。
飽和アルデヒド(B)は、溶融成形によるストリーク、フィッシュアイ等の欠陥の発生及び着色を抑制すると共にロングラン性を改善するものである。ここで、飽和アルデヒド(B)とは分子内のアルデヒド基以外の部分に不飽和結合を含まないアルデヒドをいう。飽和アルデヒド(B)は、アルデヒド基以外の部分に不飽和結合を含まない限りは、直鎖状のアルデヒドであっても、分枝状のアルデヒドであっても、分子内に環構造を有するアルデヒドであってもよい。飽和アルデヒド(B)の分子内のアルデヒド基の数は、1であっても2以上であってもよい。
ホウ素化合物は、溶融成形時のゲル化を抑制すると共に押出成形機等のトルク変動(加熱時の粘度変化)を抑制するものである。
オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸類;ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等のホウ酸エステル;
上記ホウ酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、ホウ砂等のホウ酸塩;
水素化ホウ素類などが挙げられる。これらの中でも、ホウ酸類が好ましく、オルトホウ酸(以下、「ホウ酸」ともいう)がより好ましい。
共役ポリエン化合物は、溶融成形時の酸化劣化を抑制するものである。ここで、共役ポリエン化合物とは、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造を有し炭素−炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。この共役ポリエン化合物は、共役二重結合を2個有する共役ジエン、3個有する共役トリエン、又はそれ以上の数を有する共役ポリエンであってもよい。また、上記共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエン構造が同一分子内に3個ある化合物も上記共役ポリエン化合物に含まれる。
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−ニトロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩等の共役ジエン化合物;
1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール、フルベン、トロポン等の共役トリエン化合物;
シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の共役ポリエン化合物などが挙げられる。上記共役ポリエン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酢酸類は、成形品の着色を防止すると共に防止溶融成形時のゲル化を抑制するものである。この酢酸類は、酢酸及び酢酸塩を含む。酢酸類としては、酢酸及び酢酸塩を併用することが好ましく、酢酸及び酢酸ナトリウムを併用することがより好ましい。
リン化合物は、ストリーク、フィッシュアイ等の欠陥の発生及び着色を抑制すると共に、ロングラン性を向上させるものである。このリン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸等のリン酸塩などが挙げられる。
当該樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有していてもよい。その他の任意成分としては、例えばアルカリ金属又はその塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、他の樹脂、高級脂肪族カルボン酸の金属塩等が挙げられる。当該樹脂組成物は、これらの任意成分を12種以上含有してもよく、任意成分の合計含有量としては、当該樹脂組成物中の1質量%以下が好ましい。
当該樹脂組成物の製造方法としては、EVOH(A)中に飽和アルデヒド(B)を均一にブレンドでき、最終的に得られる樹脂組成物に飽和アルデヒド(B)を0.01ppm以上100ppm以下含有させられる方法であれば特に限定されない。当該樹脂組成物は、例えばエチレンとビニルエステルとを共重合させる工程(以下、「工程(1)」ともいう)、及びこの工程(1)により得られた共重合体をケン化する工程(以下、「工程(2)」ともいう)を備える製造方法により得ることができる。
当該樹脂成形体は、当該樹脂組成物から形成される。この樹脂成形体としては、例えばフィルム、シート、容器、パイプ、ホース、繊維、包装材等が挙げられる。当該樹脂成形体は、例えば溶融成形により形成され、必要に応じて、二次加工成形を行うことで形成される。この溶融成形の方法としては、例えば押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形、射出ブロー成形等が挙げられる。溶融成形温度としては、EVOH(A)の融点等により異なるが、150℃〜270℃程度が好ましい。上記二次加工成形としては、例えば曲げ加工、真空成形、ブロー成形、プレス成形等が挙げられる。
当該多層構造体は、当該樹脂組成物から形成される層(以下、「樹脂組成物層」ともいう)を含む。当該多層構造体の層構成は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂から形成される熱可塑性樹脂層を含むことが好ましく、この熱可塑性樹脂層が上記樹脂組成物層に隣接することがより好ましい。熱可塑性樹脂層は、接着性樹脂層として構成することもできる。この接着性樹脂層は、他の樹脂層同士を接着するものであり、他の樹脂層よりも融点又は軟化点が低い層である。
高密度、中密度又は低密度のポリエチレン;
酢酸ビニル、アクリル酸エステル、又はブテン、ヘキセン等のα−オレフィン類を共重合したポリエチレン;
アイオノマー樹脂;
ポリプロピレンホモポリマー;
エチレン、ブテン、ヘキセン等のα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン;
ゴム系ポリマーをブレンドした変性ポリプロピレン等のポリオレフィン類;
これらの樹脂に無水マレイン酸を付加又はグラフトした樹脂;
ポリエステル樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂層/樹脂組成物層/熱可塑性樹脂層;
樹脂組成物層/熱可塑性樹脂層(接着性樹脂層)/熱可塑性樹脂層;
熱可塑性樹脂層/熱可塑性樹脂層(接着性樹脂層)/樹脂組成物層/熱可塑性樹脂層(接着性樹脂層)/熱可塑性樹脂層等が挙げられる。当該多層構造体が複数の熱可塑性樹脂層を含む場合、複数の熱可塑性樹脂層は互いに異なる樹脂からなる層であってもよいし、同一の樹脂からなる層であってもよい。
メトラー・トレド社のハロゲン水分率分析装置「HR73」を用い、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件で、含水EVOHペレットの含水率を測定した。以下に示す含水EVOHの含水率は、EVOHの乾燥質量基準の質量%である。
核磁気共鳴装置(日本電子社の「超伝導核磁気共鳴装置 Lambda500」)を用い、DMSO−d6を測定溶媒として、1H−NMRにより求めた。
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z8801−1〜3準拠)で分けた。上記ふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌した。得られた溶液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。この希釈溶液を、横河電機社のイオンクロマトグラフィー「ICS−1500」を用い、下記測定条件に従ってカルボン酸イオンの量を定量することで、カルボン酸及びカルボン酸イオンの量を算出した。なお、定量に際してはモノカルボン酸又は多価カルボン酸を用いて作成した検量線を用いた。
カラム :DIONEX社の「IonPAC ICE−AS1(9φ×250mm、電気伝導度検出器)」
溶離液 :1.0mmol/L オクタンスルホン酸水溶液
測定温度 :35℃
溶離液流速 :1mL/min.
分析量 :50μL
乾燥EVOHペレット0.5gをアクタック製のテフロン(登録商標)製耐圧容器に仕込み、和光純薬工業社の精密分析用硝酸5mLをさらに加えた。30分放置後、ラプチャーディスク付きキャップリップにて容器に蓋をし、アクタック社のマイクロウェーブ高速分解システム「スピードウェーブ MWS−2」にて150℃10分、次いで180℃10分処理し、乾燥EVOHペレットを分解させた。乾燥EVOHペレットの分解が完了できていない場合は、処理条件を適宜調節した。得られた分解物を10mLのイオン交換水で希釈し、すべての液を50mLのメスフラスコに移し取り、イオン交換水で定容し、分解物溶液を得た。
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
P :214.914nm
B :249.667nm
Si :251.611nm
Al :396.153nm
Zr :343.823nm
Ce :413.764nm
W :207.912nm
Mo :202.031nm
[合成例1]
250Lの加圧反応槽を用いて以下の条件で重合を実施し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を合成した。
酢酸ビニル83.0kg
メタノール26.6kg
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)の供給量 1119.5mL/hr
重合温度 60℃
重合槽エチレン圧力 3.6MPa
重合時間 5.0時間
重合時にプロパナール濃度が0.5ppmとなるようにプロパナールを供給した以外は合成例1と同様にして重合、ケン化、ペレット化及び洗浄を行ってペレットを得た。
[実施例1〜9、12〜18、21及び比較例2]
上記合成例1で脱液して得られたペレット20kgを、180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に飽和アルデヒド(B)、及び共役ポリエン化合物を添加し、さらに1時間攪拌して飽和アルデヒド(B)及び共役ポリエン化合物を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。得られた多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した後、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びホウ酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この浸漬処理用水溶液と樹脂組成物チップとを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、樹脂組成物(乾燥樹脂組成物ペレット)を得た。得られた樹脂組成物における各成分の含有量は、上記定量方法を用いて定量した。なお、飽和アルデヒド(B)の添加量、浸漬処理用水溶液の各成分の濃度を調節することにより、各成分の含有量が表1に記載の通りとなるように樹脂組成物を調製した。
共役ポリエン化合物としてソルビン酸に代えてミルセンを用いた以外は実施例1と同様とし、樹脂組成物ペレットを調製した。
共役ポリエン化合物としてソルビン酸に代えてソルビン酸カリウムを用いた以外は実施例1と同様とし、樹脂組成物ペレットを調製した。
飽和アルデヒドとしてプロパナールに代えてブタナールを用いた以外は実施例1と同様とし、樹脂組成物ペレットを調製した。
[実施例20]
飽和アルデヒドとしてプロパナールに代えてヘキサナールを用いた以外は実施例1と同様とし、樹脂組成物ペレットを調製した。
上記合成例2で得られたペレット20kgを180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に共役ポリエン化合物としてソルビン酸を添加し、さらに1時間攪拌してソルビン酸を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。得られた多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した後、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びホウ酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この浸漬処理用水溶液と樹脂組成物チップを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、樹脂組成物(乾燥樹脂組成物ペレット)を得た。得られた樹脂組成物における各成分の含有量は、上記定量方法を用いて定量した。なお、浸漬処理用水溶液の各成分の濃度を調節することにより、各成分の含有量が表1に記載の通りとなるように比較例1,3,4の樹脂組成物を調製した。ここで、飽和アルデヒド(B)は検出下限未満であった。
飽和アルデヒドを用いなかった以外は実施例1と同様とし、樹脂組成物ペレットを調製した。
実施例1〜21及び比較例1〜5の樹脂組成物について、各成分の含有量、成形時の臭気、ロングラン性、フィルム外観、溶液外観及びモータートルク変動を以下の方法に従い評価した。評価結果を表1に併せて示す。
50質量%の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)溶液200mgに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)50mL、酢酸11.5mL及びイオン交換水8mLを添加し、DNPH調整溶液を作製した。その後、乾燥樹脂組成物ペレット1gをDNPH調整溶液20mLに添加し、35℃にて1時間攪拌溶解させた。この溶液にアセトニトリルを添加してEVOH(A)を沈降させ、溶液を濾過、濃縮し、抽出サンプルを得た。この抽出サンプルを高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで飽和アルデヒド(B)の量を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの飽和アルデヒド(B)をDNPH調製溶液と反応させて得た標品を用いて作成した検量線を使用した。
移動相:水/アセトニトリル=52:48(体積比)
検出器:PDA(360nm)、TOF−MS
乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕により粉砕し、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801−1〜3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物10gをソックスレー抽出器に充填し、クロロホルム100mLを用いて48時間抽出処理した。この抽出液中の共役ポリエン化合物の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、共役ポリエン化合物の量を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの共役ポリエン化合物の標品を用いて作成した検量線を使用した。
樹脂組成物の試料ペレット20gを100mLガラス製サンプル管に入れ、アルミホイルで口部に蓋をした後、熱風乾燥機内において220℃で30分間加熱した。乾燥機から取り出し、室温で30分間放冷した後、サンプル管を2〜3回振り混ぜた後、アルミホイルの蓋を取り臭気を確認した。試料ペレットの臭気の強さは、以下の基準で評価した。
B: 弱い臭気を感じる
C: 明らかに臭気を感じる
単軸押出装置(東洋精機製作所社の「D2020」;D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用い、下記条件に従い、各乾燥樹脂組成物ペレットから厚さ20μmの単層フィルムを作製した。
押出温度:220℃
スクリュー回転数:40rpm
ダイス幅:30cm
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/分
B(やや良好):欠陥数が50個以上200個未満
C(不良):欠陥数が200個以上
ロングラン性の評価と同様にして運転開始から8時間後及び15時間後に作製された各フィルムをロール状とし、このロールの端部の着色を確認した。各樹脂組成物のロール端部の着色は、以下の基準で評価した。
B(やや良好):ロール端部に着色が認められるが、製品として問題がない
C(不良):ロール端部に明らかな着色が認められる
運転開始から15時間後に作製されたフィルムについて、目視にて外観を確認した。フィルム外観は、以下の基準でストリーク及び着色のそれぞれについて評価した。
A(良好):ストリークは認められなかった
B(やや良好):ストリークが確認された
C(不良):多数のストリークが確認された
A(良好):無色
B(やや良好):黄変
C(不良):著しく黄変
乾燥樹脂組成物ペレットを空気中120℃で15時間熱処理したペレット10gを300mLの三角フラスコに取り、水/プロパノール混合溶液(質量比:水/プロパノール=45/55)100mLを加え、75℃で3時間攪拌し、目視にて溶液を確認した。溶液外観は、以下の基準で溶液の透明性及び着色のそれぞれについて評価した。
A(良好):透明(目視で確認できる浮遊物なし)
B(やや良好):やや白濁(目視で確認できる浮遊物あり)
C(不良):白濁(浮遊物あり)
A(良好):無色
B(やや良好):やや着色
C(不良):著しく着色
乾燥樹脂組成物ペレット60gをラボプラストミル(東洋精機製作所社の「20R200」;二軸異方向)100rpm、260℃で混練し、混練開始から5分後のトルク値が1.5倍になるまでの所要時間を測定することで行った。モータートルク変動は、以下の基準で評価した。なお、加熱状態での樹脂組成物の粘度は、二次加工時のロングラン性に影響する要因である。
B(やや良好):40分以上60分未満
C(不良):40分未満
[実施例22]
下記4種の押出機を備える7層共押出キャスト製膜設備を用いて、多層構造体としての多層フィルムの共押出製膜試験を実施した。
ポリオレフィン用押出機(2) :単軸、スクリュー直径40mm、L/D=26
接着性樹脂用押出機(3) :単軸、スクリュー直径40mm、L/D=22
EVOH用押出機(4) :単軸、スクリュー直径40mm、L/D=26
実施例1の樹脂組成物に代えて比較例5の樹脂組成物を用いた以外は実施例22と同様にして多層フィルムを作成し、製膜開始から10時間後の多層フィルムをサンプリングした。この多層フィルムについて外観を観察したところ、EVOHの凝集による外観不良及び流動異常によるフローマークが多数観察された。
Claims (10)
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及び飽和アルデヒド(B)を含有し、この飽和アルデヒド(B)の含有量が、0.01ppm以上100ppm以下である樹脂組成物。
- 上記飽和アルデヒド(B)の炭素数が3から8である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記飽和アルデヒド(B)がプロパナール、ブタナール及びヘキサナールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2に記載の樹脂組成物。
- ホウ素化合物をさらに含有し、
上記ホウ素化合物の含有量が100ppm以上5,000ppm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の樹脂組成物。 - 共役ポリエン化合物をさらに含有し、
上記共役ポリエン化合物の含有量が0.01ppm以上1,000ppm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 上記共役ポリエン化合物がソルビン酸及びソルビン酸塩のうちの少なくとも一方である請求項5に記載の樹脂組成物。
- 酢酸及び酢酸塩のうちの少なくとも一方をさらに含有し、
上記酢酸及び酢酸塩の合計含有量が50ppm以上1,000ppm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - リン化合物をさらに含有し、
上記リン化合物の含有量が1ppm以上200ppm以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成される樹脂成形体。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成される層を含む多層構造体。
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