JP2015083376A - 熱成形容器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とするEVOH層10Aを備える熱成形容器であって、EVOH層10Aが飽和アルデヒド(II)を含有し、かつEVOH層10Aにおける飽和アルデヒド(II)の含有量が0.01〜100ppmである熱成形容器。飽和アルデヒド(II)が飽和脂肪族アルデヒドであり、前記飽和脂肪族アルデヒドが、プロパナール、ブタナール、ヘキサナール又はこれらの組み合わせであるとよい。EVOH層10Aが共役ポリエン化合物(III)を更に含有し、EVOH10A層における共役ポリエン化合物(III)の含有量としては、0.01〜1,000ppmである熱成形容器。
【選択図】図3
Description
SP値δ=(E/V)1/2
E:分子凝集エネルギー(cal/mol)であり、化合物を構成する原子又は原子団の蒸発エネルギーの総和として求められる。
V:分子容(cm3/mol)であり、化合物を構成する原子又は原子団のモル体積の総和として求められる。
本発明の熱成形容器は、酸素バリア性が要求される用途、例えば食品、化粧品、医化学薬品、トイレタリー等の種々の分野で利用される。この熱成形容器は、例えば多層体を熱成形することで、収容部を有するものとして形成される。
収容部は、食品等の内容物を収容する部分である。この収容部の形状は、内容物の形状に対応して決定される。具体的には、当該熱成形容器は、例えばカップ状容器、トレイ状容器、バッグ状容器、ボトル状容器、パウチ状容器等として形成される。
多層体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分するEVOH層(A)を備え、このEVOH層(A)の一方の面及び他方の面の少なくとも一方の面側に他の層が積層されるものである。ここで、一方の面とは上記多層体を熱成形容器としたときの収容部の内表面側であり、他方の面とは収容部の外表面側である。この多層体は、フィルム状の形態であっても、シート状の形態であってもよい。
EVOH層(A)は、EVOH(I)を主成分とする層であり、飽和アルデヒド(II)を含有する。このEVOH層(A)は、共役ポリエン化合物(III)をさらに含有することが好ましく、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
EVOH(I)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化した共重合体である。上記ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。これらのビニルエステルは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
プロピレン、ブチレン等の不飽和炭化水素;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸又はそのエステル;
N−ビニルピロリドン等のビニルピロリドンなどが挙げられる。
飽和アルデヒド(II)は、当該熱成形容器のEVOH層(A)の必須成分である。当該熱成形容器は、飽和アルデヒド(II)を含むEVOH層(A)を備えることで、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生を抑制することができ、外観性に優れる。また、EVOH層(A)が特定量の飽和アルデヒド(II)を含有することで、熱成形容器の製造工程におけるセルフパージ性にも優れるため、製造コストを低減することができる。
共役ポリエン化合物(III)は、溶融成形時の酸化劣化を抑制するものである。ここで、共役ポリエン化合物(III)とは、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合とが交互に繋がってなる構造を有し炭素−炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。この共役ポリエン化合物(III)は、共役二重結合を2個有する共役ジエン、3個有する共役トリエン、又はそれ以上の数を有する共役ポリエンであってもよい。また、共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエン構造が同一分子内に3個ある化合物も共役ポリエン化合物(III)に含まれる。共役ポリエン化合物(III)の共役二重結合の数の下限としては、7個が好ましい。当該樹脂組成物は、共役二重結合を8個以上有する共役ポリエン化合物(III)を含有すると、多層体ひいては熱成形容器の着色が起こる可能性が高くなる。
EVOH層(A)は、その他の任意成分としてホウ素化合物、酢酸類、リン化合物、アルカリ金属又はその塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、他の樹脂、高級脂肪族カルボン酸の金属塩等を含んでいてもよい。EVOH層(A)は、これらの成分を2種以上含有してもよい。EVOH層(A)におけるこれらの成分の合計含有量の上限としては、1質量%が好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばエチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキトシキベンゾフェノン等が挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えばペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール(商品名:カーボワックス)等が挙げられる。
滑剤としては、例えばエチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等が挙げられる。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等が挙げられる。
充填剤としては、例えばグラスファイバー、ウォラストナイト、ケイ酸カルシウム、タルク、モンモリロナイト等が挙げられる。
熱安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
他の樹脂としては、例えばポリアミド、ポリオレフィン等が挙げられる。
高級脂肪族カルボン酸の金属塩としては、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
EVOH層(A)は、EVOH(I)及び飽和アルデヒド(II)を含有するEVOH含有樹脂組成物を、例えば押出成形することで形成できる。
EVOH含有樹脂組成物は、EVOH(I)中に飽和アルデヒド(II)を均一にブレンドでき、EVOH層(A)に0.01ppm以上100ppm以下の飽和アルデヒド(II)を含有させられる製造方法であれば特に限定されない。EVOH含有樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう)の調製方法としては、例えば
(1)エチレンとビニルエステルとを共重合させる工程、及び
(2)工程(1)により得られた共重合体をけん化する工程
を備える製造方法により得ることができる。
上記工程(1)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法、
上記工程(2)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法、
上記工程(2)により得られたEVOH(I)に、特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法等が挙げられる。しかし、上記工程(1)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法、又は上記工程(2)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法を採用する場合には、得られる樹脂組成物中に所望量の飽和アルデヒド(II)を含有させるためには、上記工程(1)における重合反応、上記工程(2)におけるけん化反応で消費される量を考慮して添加量を多くする必要がある。したがって、重合反応やけん化反応工程で飽和アルデヒド(II)を添加する場合は消費される飽和アルデヒド(II)の量を加算して添加することが好ましい。一方、上記工程(2)より得られたEVOH(I)に特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法は工程内での消費を考慮せずに添加できるため、操作性に優れている。
熱可塑性樹脂層(B)はEVOH(I)以外の熱可塑性樹脂を含む層である。この熱可塑性樹脂としては、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11以下(cal/cm3)1/2である熱可塑性樹脂が好ましい。
ポリオレフィン層(C)は、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする層である。このポリオレフィン層(C)は、EVOH層(A)と熱可塑性樹脂層(B)等との間の接着層として機能させることができる。なお、カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を、付加反応、グラフト反応等により化学的に結合させて得られる、カルボキシル基又はその無水物基を有するオレフィン系重合体のことをいう。
低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン;
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のオレフィン−ビニルエステル共重合体;
オレフィンと不飽和カルボン酸エステル等のコモノマーとの共重合体などが挙げられる。これら中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が5質量%〜55質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エチル含有量8質量%〜35質量%であるエチレン−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が5質量%〜55質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
回収層(D)は、熱成形容器の製造工程におけるEVOH層(A)、熱可塑性樹脂層(B)及びポリオレフィン層(C)のうちの少なくとも1つの層の回収物を用いて形成される層である。この回収層(D)は、EVOH(I)、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下の熱可塑性樹脂及びカルボン酸変性ポリオレフィンのうちの少なくとも1種を含有する。また、回収層(D)は、熱成形容器の製造工程におけるEVOH層(A)、熱可塑性樹脂層(B)及びポリオレフィン層(C)の回収物、検定の不合格品等を用いて形成される。かかるスクラップ等を再利用した回収層(D)を設けることで、熱成形容器の製造時に使用される樹脂のロスを低減し、コストの低減を図ることが可能となる。
多層体は、共押出成形装置を用いて形成することができる。この多層体は、例えばEVOH層(A)を形成する樹脂組成物、熱可塑性樹脂層(B)を形成する樹脂組成物、ポリオレフィン層(C)を形成する樹脂組成物、回収層(D)を形成する樹脂組成物等を別々の押出機に仕込み、これらの押出機で共押出することで所定の層構成を有するものとして形成される。
熱成形容器は、フィルム、シート等の多層体を加熱して軟化させた後に、金型形状に成形することで形成することができる。熱成形方法としては、例えば真空あるいは圧空を用い、必要によりプラグを併せ用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法等)、プレス成形する方法等が挙げられる。成形温度、真空度、圧空の圧力、成形速度等の各種成形条件は、プラグ形状や金型形状、原料フィルムやシートの性質等により適当に設定される。成形温度は、成形するのに十分なだけ樹脂が軟化できる温度であれば特に限定されるものではなく、フィルム、シート等の多層体の構成によってその好適な温度範囲は異なる。
本発明の熱成形容器は、少なくともEVOH層(A)を備えていればよく、単層からなってもよいし複数層からなってもよい。熱成形容器が複数層である場合の層構成は、用途等に応じて適宜設定すればよい。
(内表面)(B)/(C)/(A)/(C)/(D)/(B)(外表面)、
(内表面)(B)/(D)/(C)/(A)/(C)/(B)(外表面)、
(内表面)(B)/(D)/(C)/(A)/(C)/(D)/(B)(外表面)、
(内表面)(D)/(C)/(A)/(C)/(D)(外表面)等が挙げられ、これらの層構成において熱可塑性樹脂(B)層の代わりに回収層(D)を備える層構成であってもよい。これらの中でも、(内表面)(B)/(C)/(A)/(C)/(D)/(B)(外表面)、(内表面)(B)/(D)/(C)/(A)/(C)/(D)/(B)(外表面)が好ましい。なお、層(A)〜層(D)がそれぞれ複数用いられている場合、それぞれの層を構成する樹脂は同一でも異なっていてもよい。
次に、本発明の熱成形容器について、図1及び図2に示すカップ状容器を例にとって、具体的に説明する。但し、カップ状容器は熱成形容器の一例に過ぎず、以下のカップ状容器の説明は、本発明の範囲を限定するものではない。
カップ状容器1は、図4に示すようにフィルム状、シート状等の連続多層体3を加熱装置4により加熱して軟化させた後に、金型装置5を用いて熱成形することで製造される。
加熱装置4は、一対のヒーター40,41を備えるものであり、これらのヒーター40,41の間を連続多層体3が通過可能とされている。なお、加熱装置4としては、熱プレスにより加熱するものを用いることもできる。
金型装置5は、プラグアシスト法による熱成形に適するものであり、チャンバー(図示略)内に収容される下型50及び上型51を備える。下型50及び上型51は、それぞれ個別に上下方向に移動可能であり、離間状態において、これらの下型50及び上型51の間を連続多層体3が通過可能とされている。下型50は、熱成形容器1の収容部10を形成するための複数の凹部52を有する。上型51は、下型51に向けて突出する複数のプラグ53を備える。複数のプラグ53は、下型50の複数の凹部52に対応した位置に設けられている。各プラグ53は、対応する凹部52に挿入可能である。
まず、図5(A)に示すように、加熱装置4により軟化させた連続多層体3に対して、下型50を上動させることで下型50に密着させると共に連続多層体3を若干持ち上げて連続多層体3にテンションを付与する。次に、図5(B)に示すように、上型51を下動させることでプラグ53を凹部52に挿入する。
[合成例1]
250Lの加圧反応槽を用いて以下の条件で重合を実施し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を合成した。
酢酸ビニル83.0kg
メタノール26.6kg
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)の供給量 1119.5mL/hr
重合温度 60℃
重合槽エチレン圧力 3.6MPa
重合時間 5.0時間
合成例1において、ソルビン酸とプロパナールとを同時に添加した以外は合成例1と同様に操作し、ペレットを得た。
[EVOH含有樹脂組成物の調製]
合成例1で得られた脱液したペレット20kgを、180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌して完全に溶解させた。得られた溶液にプロパナール、及び共役ポリエン化合物(III)としてのソルビン酸を添加し、さらに1時間攪拌してプロパナール及びソルビン酸を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。得られた多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄を行った。この洗浄液と樹脂組成物チップとを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って樹脂組成物(乾燥樹脂組成物ペレット)を得た。
共押出成形装置を用い、熱可塑性樹脂層(B)を形成するホモポリプロピレン(三菱ノーブレン社の「PY220」)、EVOH層(A)を形成するEVOH樹脂組成物、ポリオレフィン層(C)を形成するカルボン酸変性ポリオレフィン(三井化学アドマー社の「QF−500」)、回収層(D)を形成するための樹脂混合物を別々の押出機に仕込み、(B):425μm/(C):50μm/(A):50μm/(C):50μm/(D):250μm/(B):425μmの層構成を有する全層厚みが1250μmの多層シートを作製した。押出成形は、ホモポリプロピレンは直径65mm、L/D=22の単軸スクリューを備えた押出機を200℃〜240℃の温度とし、EVOH樹脂組成物は直径40mm、L/D=26の単軸スクリューを備えた押出機を170℃〜210℃の温度とし、カルボン酸変性ポリオレフィンは直径40mm、L/D=26の単軸スクリューを備えた押出機を160℃〜220℃の温度とし、回収層(D)の樹脂混合物は二軸押出機(東洋精機製作所社の「2D25W」、直径25mm、スクリュー回転数100rpm)のシリンダ及びダイを220℃の温度とし、フィードブロック型ダイ(巾600mm)を255℃で運転することにより実施した。
共押出成形装置にて得られた多層シートを15cm角に裁断し、浅野製作所社のバッチ式熱成形試験機にてシート温度150℃の条件で、カップ状(金型形状70φ×70mm、絞り比S=1.0)に熱成形(圧空:5kg/cm2、プラグ:45φ×65mm、シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温度:70℃)することで熱成形容器を作製した。
各成分の含有量が表1に記載の通りとなるように樹脂組成物を調製した以外は実施例1と同様にして多層シートを作製し、この多層シートを熱成形することで熱成形容器を作製した。
合成例2で得られたペレットを用いた以外は実施例2と同様にして多層シートを作製し、この多層シートを熱成形することで比較例3の熱成形容器を作製した。
実施例1〜14及び比較例1〜3で調製した樹脂組成物、多層シート及び熱成形容器について、以下に説明する手法に従い、飽和アルデヒド(II)の含有量、共役ポリエン化合物(III)の含有量、EVOH層(A)の平均厚み、EVOH層(A)中のEVOHの含有量、成形時の臭気、溶液外観、モータートルク変動評価、外観性及び耐衝撃性を評価した。評価結果については表1に示す。
50%の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)溶液200mgに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)50mL、酢酸11.5mL及びイオン交換水8mLを添加し、DNPH調整溶液を作製する。その後、乾燥樹脂組成物ペレット1gをDNPH調整溶液20mLに添加し、35℃にて1時間攪拌溶解させた。この溶液にアセトニトリルを添加してEVOHを沈降させ、溶液を濾過、濃縮し、抽出サンプルを得た。この抽出サンプルを高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、飽和アルデヒド(II)の量を定量した。また、定量に際しては、飽和アルデヒド(II)の標品を用いて作成した検量線を使用した。
乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕により粉砕し、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801−1〜3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物10gをソックスレー抽出器に充填し、クロロホルム100mLを用いて48時間抽出処理した。この抽出液中の共役ポリエン化合物(III)の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、共役ポリエン化合物(III)の量を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの共役ポリエン化合物(III)の標品を用いて作成した検量線を使用した。
EVOH層(A)の平均厚みの測定は、熱成形容器から採取したサンプルの断面を走査型電子顕微鏡で観察することで得られた写真を画像処理し、このときに得られる画像の任意の10点の厚みの平均値の全体平均厚みに対する割合(%)として算出した。
EVOH層(A)中のEVOHの含有量は、EVOH層(A)を形成するために用いた乾燥樹脂組成物における含有量とした。
成形時の臭気を以下の方法で評価した。上記ラボプラストミルで混練して得られた樹脂組成物20gを100mLガラス製サンプル管に入れ、アルミホイルで口部に蓋をした後、熱風乾燥機内において150℃で90分加熱した。乾燥機から取り出し、室温で1時間放冷した後、サンプル管を2〜3回振り混ぜた後、アルミホイルの蓋を取り臭気を確認した。試料ペレットの臭気の強さは、以下の基準で評価した。
A(良好):臭いなし
B(やや良好):弱い臭い
C(やや不良):明らかに感じる臭い
D(不良):刺激臭を伴う激しい臭い
空気中120℃で15時間熱処理したEVOHペレット10gを300mLの三角フラスコに取り、100mLの水/プロパノール混合溶液(45/55(質量比))を加え、75℃で3時間攪拌して溶解した。得られた溶液の外観を下記基準で評価した。
(透明性評価基準)
A(良好):透明、目視で確認できる浮遊物なし。
B(やや良好):やや白濁、目視で確認できる浮遊物あり。
C(不良):白濁、浮遊物あり。
(溶液の着色評価基準)
A(良好):無色
B(やや良好):やや黄変
C(不良):著しく黄変
EVOHペレット60gをラボプラストミル(東洋精機製作所社の「20R200」二軸異方向)にて100rpm、260℃で混練したときのトルク変化を測定した。モータートルクの評価は、混練開始から5分後のトルクを測定し、トルク値がその5分後のトルクの1.5倍になるまでの時間として評価した。この時間が長いほど、粘度変化が少なく、ロングラン性に優れていることを示す。
(判定基準)
A:60分以上
B:40分以上60分未満
C:20分以上40分未満
共押出成形装置の立ち上げ開始から6時間後に得られた多層シートを用いて成形した熱成形容器について、目視にてストリーク及び着色を下記基準にて外観性を評価した。
(ストリークの評価基準)
A(良好):ストリークは認められなかった。
B(やや良好):ストリークが確認された。
C(不良):多数のストリークが確認された。
(着色の評価基準)
A(良好):無色
B(やや良好):黄変
C(不良):著しく黄変
共押出成形装置の立ち上げ開始から20分後、40分後、及び10時間後の多層シートから形成した熱成形容器に、エチレングリコールを250mL入れ、開口部を3層構造のフィルム(ポリエチレン40μm/アルミ箔12μm/ポリエチレンテレフタレート12μm)で熱シールして蓋をした。この熱成形容器を−40℃で3日間冷却し、開口部が上になるように6mの高さから10個の熱成形容器を落下させ、破壊した熱成形容器の個数で評価した。なお、共押出成形装置の立ち上げ開始から20分後の耐衝撃性がセルフパージ性の指標となる。
(耐衝撃性の評価基準)
A(良好):3個未満
B(やや良好):3個以上6個未満
C(不良):6個以上
10 カップ本体
10A EVOH層(A)
10B 熱可塑性樹脂層(B)
10C ポリオレフィン層(C)
10D 回収層(D)
11 フランジ部
12 開口
13 内表面
14 外表面
2 蓋
3 連続多層体
4 加熱装置
40,41 ヒーター
5 金型装置
50 下型
51 上型
52 凹部
53 プラグ
Claims (9)
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とするEVOH層(A)を備える熱成形容器であって、
上記EVOH層(A)が飽和アルデヒド(II)を含有し、かつ
上記EVOH層(A)における上記飽和アルデヒド(II)の含有量が0.01ppm以上100ppm以下である熱成形容器。 - 上記飽和アルデヒド(II)が飽和脂肪族アルデヒドである請求項1に記載の熱成形容器。
- 上記飽和脂肪族アルデヒドが、プロパナール、ブタナール、ヘキサナール又はこれらの組み合わせである請求項2に記載の熱成形容器。
- 上記EVOH層(A)が共役ポリエン化合物(III)をさらに含有し、
上記EVOH層(A)における上記共役ポリエン化合物(III)の含有量が0.01ppm以上1,000ppm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の熱成形容器。 - 上記共役ポリエン化合物(III)がソルビン酸、ソルビン酸塩又はこれらの組み合わせである請求項4に記載の熱成形容器。
- 上記EVOH層(A)の一方の面側及び他方の面側にそれぞれ積層される熱可塑性樹脂層(B)、及び
上記EVOH層(A)と上記熱可塑性樹脂層(B)との間に配置され、かつカルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン層(C)をさらに備え、
Fedorsの式から算出される上記熱可塑性樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂の溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱成形容器。 - カップ状容器である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱成形容器。
- トレイ状容器である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱成形容器。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とし、かつ上記飽和アルデヒド(II)を含有する樹脂組成物を用いてEVOH層(A)を形成する工程と、
上記EVOH層(A)を含む層を熱成形する工程とを備え、
上記樹脂組成物における上記飽和アルデヒド(II)の含有量が0.01ppm以上100ppm以下である熱成形容器の製造方法。
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