JP2015064573A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
静電荷像現像用トナーとしては、通常、結着樹脂及び着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕、分級する、いわゆる溶融混練粉砕法により得られたトナー粒子に、流動性等の各種性能を付与することを目的として、例えばシリカ等の固体微粒子を外添剤として表面に付着させた形態のものが用いられている。
トナー粒子の粒径や粒度分布を制御しやすい懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの重合法が提案されている。
更には、近年における複写機やプリンター等の普及に伴い、画像品質への要求に加え、特に高速印刷および低エネルギー定着性に優れたトナーが望まれるようになり、トナーの低温定着性の改善が試みられている。低温定着を達成するために、結着樹脂のガラス転移点を下げる方法、結晶性樹脂を併用する方法が多く用いられているが、低温定着性と耐ブロッキング性や耐高温オフセット性は、通常は二律背反の関係にあり、両立を図ることが望まれている。
コアシェル構造形成に際し、シェル粒子を付着させた後高温で加熱する方法で行うと、コア粒子とシェル粒子の融着が進行するのと同時にシェル粒子の埋没が発生し、結果として非被覆部が生じ耐ブロッキング性が不十分になることが知られている。また、シェル成分が多すぎるとトナーの低温定着性の妨げになり、逆にシェル成分が少なすぎると非被覆部が生じコア成分がトナー表面に露呈し、期待する耐ブロッキング性能が得られなくなることが知られている。
特許文献3では、樹脂粒子層A、樹脂粒子層Bいずれもコア粒子を覆うだけの量が必要であることから、コアに対するシェル総量の比率が高くなる傾向があるが、後述するように、コアに対するシェルの比率を高くすると、コアの持つ低温定着性が失われやすく不利である。
本発明は、前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、低温定着性と耐ブロッキング性を両立でき、画質に優れた静電荷像現像用トナーを提供するものである。
<1> 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子及び外添剤を有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母粒子がコア粒子とシェル層を有するコアシェル構造であり、
前記トナー母粒子は、前記コア粒子の表面上に水溶性樹脂からなる樹脂被覆層を有し、且つ前記樹脂被覆層上に前記シェル層を有し、
前記シェル層は樹脂を主成分とする粒子からなり、
前記コア粒子を構成する重合体一次粒子のガラス転移温度をTg1、前記シェル層を構成する粒子のガラス転移温度をTg2とした場合、以下の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
25℃≦Tg1≦45℃
55℃≦Tg2
Tg2−Tg1≧20
<3> 前記コア粒子が重合法により得られることを特徴とする<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記コア粒子と前記樹脂被覆層の帯電性が逆の関係にあり、且つ前記樹脂被覆層と前記シェル層の帯電性が逆の関係にあることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記コア粒子がカプセル構造を有することを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<6> カプセル構造を有するコア粒子のコア層に含有されるワックスが、熱重量測定装置を用い、200℃における重量減少が0.1%に到達する時間が15分以上であるワックスであり、且つ、カプセル構造を有するコア粒子のシェル層に含有されるワックスが、融点が70℃以上であるワックスであることを特徴とする<1>乃至<5>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記コア粒子の分散液に、コア粒子と逆の帯電性を有する水溶性樹脂を含む水溶液を混合して水溶性樹脂をコア粒子の表面に付着させた後、更に前記水溶性樹脂と逆の帯電性を有するシェル層を構成する粒子の分散液を混合して前記シェル層を構成する粒子を付着させる工程を経てトナー母粒子を得ることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
この効果は、低温定着性を持つコア粒子の表面に水溶性樹脂からなる樹脂被覆層を設けた後、耐ブロッキング性の高いシェル粒子を高い被覆率で付着させることによって得られるものである。この新規なコアシェル構造によって、より効果的な低温定着性を実現する。
のをコア粒子と称する。また、該コア粒子の表面上に水溶性樹脂からなる樹脂被覆層を設けた後、さらにシェル層を設けたもので、且つ外添剤を有する前のものをトナー母粒子と称する。該トナー母粒子の表面に外添剤を有するものをトナーと称する。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤を含有し、その他必要に応じて、ワックス、帯電制御剤などを含有していても良い。
(1−1.コア粒子の構成)
コア粒子は、少なくとも結着樹脂、着色剤を含有し、その他必要に応じてワックス、帯電制御剤などを含有していても良い。
結着樹脂としては、一般にトナーを製造する際に結着樹脂として用いられるものであればよく、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。
例えば、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に酸性単量体と称すことがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に塩基性単量体と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、その他の単量体と称することがある)のいずれの重合性単量体も使用することができる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。
これら酸性単量体及び塩基性単量体はコア粒子の分散安定化に寄与する。単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。
ポリスチレン系共重合体樹脂及びポリ(メタ)アクリル系樹脂を結着樹脂とする場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載する)における数平均分子量が、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、さらに好ましくは3000以上であり、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、さらに好ましくは3.5万以下であることが望ましい。また、同様にして求めた重量平均分子量が、好ましくは2万以上、より好ましくは3万以上、好ましくは50万以下、より好ましくは45万以下であることが望ましい。結着樹脂の数平均分子量および重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため望ましい。
2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、その他が挙げられる。
結着樹脂としてポリエステル系樹脂を使用する場合は、GPCにおける数平均分子量が、好ましくは2000〜20000、より好ましくは3000〜12000であることが望ましい。
オフセット防止剤としてワックスを使用することができる。低温定着性と耐ブロッキング性、耐高温オフセット性は二律背反の関係にあり、両立を達成するためには、トナーをコアシェル構造とするのと同時に、オフセット防止剤としてワックスを使用することが好ましい。
また、低温定着性向上のためにワックスを使用することもできる。
式(1)で表されるネオペンチルポリオールエステルの中でも、熱重量測定装置を用い、200℃における重量減少が0.1%に到達する時間が15分以上となるワックスが好ましい。前記到達時間が17分以上であるワックスがより好ましく、19分以上となるワックスが更に好ましい。一般的に、プリンターの定着ローラーの温度は200℃以下であるので、200℃加熱時に揮発成分が少ない、すなわち、重量減少速度が遅いワックスを選ぶことで、プリンター内で定着時に実際に与えられる温度において、ワックスからの揮発成分が少ないことが期待できる。その結果、プリンター運転時の超微粒子の排出を減らすことができる。
ワックスの量は、トナー100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。トナー中のワックス含有量が少なすぎると、耐高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、多すぎると、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明のコア粒子は公知のいずれの方法で製造してもよく、特に限定されない。
(1−2−1.コア粒子サイズより小さい粒子を凝集してコア粒子を作成する方法)
各原料をコア粒子サイズより小さい粒子として用意し、これらを混合・凝集することでコア粒子を得る方法を用いることができる。
結着樹脂をコア粒子サイズより小さい重合体一次粒子分散液に調製する方法として、以下に述べるようにいくつかの方法が挙げられる。
スチレン系あるいは(メタ)アクリル系単量体を構成要素とする重合体一次粒子は、前述のスチレン系あるいは(メタ)アクリル系単量体と、必要に応じ連鎖移動剤を、乳化剤
を用いて乳化重合することによって得られる。
乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
また、ワックスをステアリルアクリレートなどの長鎖重合性単量体と予め水系分散媒体中で分散し得られるワックス・長鎖重合性単量体分散液を調製し、ワックス・長鎖重合性単量体の存在下において重合性単量体を重合することもできる。
塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの方法で樹脂を得た後、水系媒体と混合し、樹脂の融点かガラス転移温度のいずれかの高い温度以上に加熱して樹脂の粘性を下げて、剪断力を与えて乳化することで、重合体一次粒子が得られる。
剪断力を与えるための乳化機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧
ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
乳化時の樹脂の粘度が高く所望の粒径まで小さくならない場合は、大気圧以上に加圧可能な乳化装置を用いて温度を上げ、樹脂粘度を下げた状態で乳化することで、所望の粒径の重合体一次粒子を得ることができる。
粒度分布制御の目的で、乳化剤や分散剤を添加してもよい。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、の等の水溶性高分子;前記の乳化剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。使用量としては、樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
また、転相乳化法を用いても良い。転相乳化法は、樹脂に、必要に応じて有機溶剤や中和剤や分散安定剤を添加して、攪拌下にて、水系媒体を滴下して、乳化粒子を得た後、樹脂分散液中の有機溶剤を除去して、乳化液を得る方法である。有機溶剤は、前述の有機溶剤と同様のものを用いることができる。中和剤としては、硝酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アンモニアなど一般の酸、アルカリを用いることができる。
上記乳化重合及び樹脂の乳化のいずれの調製方法においても、得られる重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上であり、好ましくは0.05μm以上であり、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下であり、好ましくは2μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。重合体一次粒子の体積平均粒径が前記範囲よりも小さいときは、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合がある。一方で、前記範囲よりも大きいときは、凝集して得られるコア粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のコア粒子を得ることが困難となる場合がある。
凝集工程は、前記の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックスなどの配合成分は、同時にあるいは逐次に混合する。予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが、組成の均一性および粒径の均一性の観点で好ましい。
、より好ましくは1μmである。
乳化凝集法において、凝集は通常、攪拌装置を備えた槽内で行われるが、加熱する方法、電解質を加える方法と、これらを組み合わせる方法とがある。重合体一次粒子を攪拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか、或いは電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
最初に全ての原料分散液を混合して粒子凝集体を形成するのではなく、一部の原料分散液を粒子凝集体形成後に追添加することで、コア粒子の内部と表面で組成に差をつけることができる。追添加する原料は、最初に混合する原料と同じでもよいし、異なっていてもよい。すなわち、コア粒子自体が、いわゆるカプセル構造を有していてもよい。具体的には、カプセル構造を有するコア粒子のコア層を構成する粒子をコア粒子cとし、カプセル構造を有するコア粒子のシェル層を構成する粒子をシェル粒子sとした場合、前記コア粒子cにより粒子凝集体を形成後、シェル粒子sを追添加し、融着工程等を経た後、カプセル構造のコア粒子が得られる。
この場合、最初に混合する原料に含まれるワックスは樹脂との相溶性の高いものを選び、追添加する原料に含まれるワックスは樹脂との相溶性が低いものを選ぶことが好ましい。
一方、樹脂との相溶性が低いワックスは、定着加熱時に融解、トナーから滲出することにより離型効果を発揮し、ホットオフセット防止に寄与する。トナー表面に近い位置に配置することにより効率的に離型効果を発揮できる。
また、その場合、前記コア粒子のコア層に含有されるワックスは200℃における重量減少が0.1%に到達する時間が15分以上のワックスであることが好ましい。200℃における重量減少が0.1%に達する時間が17分以上のワックスがより好ましく、19分以上のワックスがさらに好ましい。含有量の多いワックスに揮発成分の少ないワックスを選ぶと、プリンター運転時の超微粒子の排出を減らすのに効果的である。この場合、更に前記コア粒子のシェル層に含有されるワックスが上述したように構成樹脂に対する相溶性が低く、融点が70℃以上であることが好ましい。
温度は、粒子凝集体中、及び、追添加粒子中の重合体一次粒子のTg以下の温度であるのが好ましい。この場合、粒子凝集体に追添加粒子が付着しやすくなり、その結果、形成される付着粒子が安定しやすくなる。処理時間は、前記温度に依存するので一概に規定することはできないが、通常5分〜2時間程度である。この操作は、静置中で行ってもよいし、ミキサー等により攪拌されていてもよい。後者の方が、追添加粒子の均一な付着が可能な点で有利である。
追添加粒子と、次以降の追添加粒子とは、いかなる組み合わせであってもよく、静電荷像現像用トナーの用途、目的等に応じて適宜選択することができる。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより60℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするコア粒子の形状により異なるが、重合体一次粒子のTg以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間保持することが望ましい。
各原料を混合した後、混合物をコア粒子のサイズに微粒化することでコア粒子を得る方法を用いることができる。
上述のスチレン系あるいは(メタ)アクリル系単量体中に着色剤、重合開始剤、必要に応じてワックス、極性樹脂、帯電制御剤や架橋剤などの添加剤を加え、均一に溶解又は分散させた単量体組成物を調製する。この単量体組成物を、必要に応じ懸濁安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。単量体組成物の液滴が所望のコア粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行い、重合を行うことによりコア粒子を得ることができる。
の高い樹脂が高い比率で存在している構造が得られる。本発明ではシェル粒子を被覆することで耐ブロッキング性を高めているのだが、この方法を併用すれば、良好な耐ブロッキング性がさらに得られやすくなる。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
有機溶媒中に少なくとも結着樹脂と着色剤、必要に応じワックスや帯電制御剤等が溶解または分散している油性分散液を作り、これを水系媒体中に分散させる。次いで、分散液から有機溶剤を除去し、コア粒子を得ることができる。
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。
結着樹脂の代わりに反応性基をもつプレポリマーを用いて油性分散液を作成し、水系媒体中に分散させたのち反応性基を反応させて樹脂を伸長させてもよい。この方法は、プレポリマーが比較的低分子量なため、油性分散液の粘度が上がりにくく、水系媒体中への分散が容易になる。
有機溶剤を除去する方法としては、常温もしくは加熱下で減圧しながら有機溶剤を揮発させる方法などがある。
結着樹脂として、極性の高い樹脂と、極性の低い樹脂を併用すると、水系媒体中に単量体組成物を分散させて液滴を形成したのち、極性の高い樹脂は液滴表面近傍に、極性の低い樹脂は液滴中心付近に移行する。その後有機溶剤を除去することによって、内部と表面で組成に差のあるコア粒子が得られる。
また、分散剤にTgの高いポリマー微粒子を用いても、コア粒子の内部はTgが低く、表面にはTgの高い樹脂が高い比率で存在している構造が得られる。
本発明ではシェル粒子を被覆することで耐ブロッキング性を高めているのだが、これらの方法を併用すれば、良好な耐ブロッキング性がさらに得られやすくなる。
乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法など重合法でコア粒子を作成した場合は、コア粒子製造時のスラリー液をそのまま、あるいはコア粒子同士の凝集体が発生しない範囲でコア粒子分散液中に存在する分散剤・乳化剤等を洗浄によって除去して、次工程に用いる。
洗浄は、例えば濾過、デカンテーション等によって、分散剤・乳化剤等を含有する水系媒体とコア粒子を分離し、濃厚スラリー或いはウエットケーキ状として得られたコア粒子に新たに水系媒体を加えて分散する操作を繰り返す方法が挙げられる。
本発明のトナーは、コア粒子表面に水溶性樹脂からなる樹脂被覆層(以下、水溶性樹脂被覆層と称することがある)が形成されている。この水溶性樹脂被覆層は最表面のシェル粒子を均一に被覆するための土台となるものであり、水溶性樹脂被覆層とシェル粒子の帯電性を逆に設計することで、シェル粒子が水溶性樹脂被覆層表面のあらゆる部分に付着して薄く密なシェル層を形成し、その結果低温定着性を損なわずに良好な耐ブロッキング性を得ることができる。
水溶性樹脂被覆層が実質的に平滑な表面を有する膜の層であることも、同じ図の比較で、粒子形状が変わらないことから確認できる。
水溶性樹脂被覆層を構成する樹脂としては、コア粒子が負帯電性の場合は、正帯電性の樹脂を用いると、薄く均一な水溶性樹脂被覆層が形成しやすいため好ましい。正帯電性の樹脂は特に指定しないが、−NH2、−NHCH3、−N(CH3)2、−NHC2H5、−N(C2H5)2、−NHC2H4OH等のアミノ基を含有する樹脂;それらがアンモニウム塩化された4級アンモニウム塩を含有する樹脂が挙げられる。これらの中でも、4級アンモニウム塩を含有する樹脂が好ましい。特に、負帯電性のコア粒子がスルホン酸基やスルホン酸塩基を含有し、正帯電性の水溶性樹脂が四級アンモニウム塩を含有する場合に、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基と四級アンモニウム塩が反応し不溶性の塩を生成すると、コア粒子表面に水溶性樹脂被覆層が強固に固定されるので好ましい。4級アンモニウム塩を含有する樹脂は、アミノ基を含有する重合体をアンモニウム塩化することによって得ることができる。また、アンモニウム塩の基を含有するモノビニル単量体を重合することによっても得ることができる。また、結着樹脂に一般的に用いられる単量体と共重合させてもよい。ただし、正帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
ルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレートなどのN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
コア粒子が正帯電性の場合は、負帯電性の樹脂を用いると、薄く均一な水溶性樹脂被覆層が形成しやすいため好ましい。負帯電性樹脂は特に指定しないが、カルボキシル基を含有する樹脂、スルホン酸基を有する樹脂、スルホンアミド基を有する樹脂が挙げられる。また、結着樹脂に一般的に用いられる単量体と共重合させてもよい。ただし、負帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
水溶性樹脂被覆層に用いられる樹脂の分子量は特に限定されないが、GPCにおける重量平均分子量が3000以上であり、100万以下であることが望ましい。重量平均分子量が3000以下であると、コア粒子表面への吸着力が弱くなる可能性があり、100万を超えると、ポリマー鎖が長くなるため、複数のコア粒子に橋掛け状に吸着する可能性がある。
コア粒子表面に水溶性樹脂被覆層を形成する際には、水溶性樹脂被覆層成分として水溶性樹脂を水溶液に調製して使用することが、操作性の観点から好ましい。また、PAS−H、PAS−J(ニットーボーメディカル(株)製)、ジュリマーAC−103(東亞合成(株)製)等、種々の市販の樹脂水溶液を用いることもできる。
樹脂層形成時のコア粒子と樹脂水溶液の混合温度は特に限定しないが、コア粒子のTgより10℃以上低い温度で混合すると、コア粒子の凝集体の発生を防ぎ、コア粒子と樹脂
水溶液を均一混合することができることから、好ましい。
または、コア粒子と水溶性樹脂の比率を厳密に調整して、コア粒子表面に付着しない過剰の樹脂が水系媒体中に残留しないようにすることもできる。この場合は洗浄を省略することができる。
水溶性樹脂被覆層成分を水溶液ではなく微粒子分散液として用意し、コア粒子表面に微粒子を被覆することで水溶性樹脂被覆層を形成する方法も可能ではあるが、水溶液を用いる方法に比べ厚い層が形成されるため、低温定着性が悪化する傾向がある。後述の比較例からも分かるように、硬い材質の微粒子の場合には低温定着性の悪化がさらに顕著である。
本発明においては、シェル層の形態は特に限定されないが、粒子により形成されるのが好ましい。以下、本発明のシェル層について、粒子を用いてシェル層を形成する場合を例に挙げて説明する。シェル層を形成する粒子をシェル粒子と称する。
また、シェル層を構成する材料は特に限定されないが、シェル層は樹脂を含んでいることが好ましく、樹脂を主成分とすることがより好ましい。ここで、主成分とは、乳化剤や分散剤などの主成分製造時に補助的に用いる物質や、防腐剤等の添加剤を除いた、シェルの性能を主に担う成分であり、70%以上であることが好ましい。
水溶性樹脂被覆層表面に被覆させるシェル粒子としては、無機粒子でも樹脂微粒子でもよく特に限定されないが、粒子製造及び粒子性能の制御性、低温定着性の観点から、シェル粒子は樹脂微粒子が好ましい。
シェル粒子が樹脂微粒子の場合は、樹脂成分は特に指定しないが、例えばスチレン系、アクリル系、エステル系など一般的に結着樹脂として用いられる樹脂、或いはそれらの共重合系、ブレンド系でも良い。
水溶性樹脂被覆層が負帯電性の場合は、シェル粒子に正帯電性の樹脂を用いると、薄く均一なシェル層が形成しやすいため好ましい。正帯電性樹脂は特に指定しないが、−NH2、−NHCH3、−N(CH3)2、−NHC2H5、−N(C2H5)2、−NHC2H4OH等のアミノ基を含有する単量体;それらがアンモニウム塩化された4級アンモニウム塩を含有する単量体と、結着樹脂に一般的に用いられる単量体とを共重合させた樹脂が好ましい。これらの単量体は、シェル粒子に正帯電性を付与するのと同時に、シェル粒子の乳化安定性も付与するので、シェル層形成時にシェル粒子同士の凝集が生じにくくなる。これらの中でも、4級アンモニウム塩を含有する樹脂が好ましい。ただし、正帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
乳化重合で樹脂シェル粒子を作成する場合は、前述のコア粒子の項の(1−2−1−1.乳化重合)と同様に作成することができる。
シェル粒子は、種々の市販品を用いることもできる。例えば、藤倉化成社製FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
(3−2.水溶性樹脂被覆層の上にシェル粒子を被覆する方法)
コアシェル構造を有するトナーの製造法は、コア粒子形成工程の後半にシェル粒子を混合することによりコアシェル構造を形成する方法と、完成したコア粒子の表面にシェル粒子を被覆する方法がある。
一方、本発明を実現する態様である後者の場合は、完成したコア粒子の表面に水溶性樹脂被覆層とシェル粒子を被覆するので、製造過程でシェル粒子のコア粒子への埋まり込みが起こらず、少ないシェル粒子でコア粒子を完全に被覆することができる。また、水溶性樹脂被覆層とシェル粒子の帯電性が逆であり、双方の樹脂の濡れ性が高くないことも、シェル粒子の埋まり込みを起こりにくくする効果がある。
層が容易に形成できる。
以上より、シェル層が薄くても耐ブロッキング性を保つことが可能となり、結果として低温定着性に優れたトナーとなる。
水溶性樹脂被覆層形成粒子とシェル粒子との混合温度は特に限定しないが、コア粒子、水溶性樹脂被覆層、シェル粒子のTgの中で最も低いTgより10℃以上低い温度が、粒子の凝集体の発生を防ぎながら均一混合することができることから好ましい。
シェル層が形成されたことの確認方法としては、シェル層形成前後の分散液のζ電位を測定すると符号が逆転すること、あるいは、シェル層形成前後の分散液を洗浄・乾燥した後帯電量を測定すると符号が逆転することで確認できる。
シェル粒子で被覆されたトナー母粒子は、水系溶媒から分離され洗浄、乾燥され、必要に応じて外添処理などが施されて静電荷像現像用トナーに供される。
洗浄に用いる液体としては水が用いられるが、酸またはアルカリの水溶液で洗浄することもできる。また、温水や熱水で洗浄することもでき、これらの方法を併用することもできる。このような洗浄工程を経ることによって、懸濁安定剤や乳化剤、未反応モノマー等を低減、除去することができる。洗浄工程は、例えば濾過、デカンテーション等することによってトナー母粒子を濃厚スラリー或いはウエットケーキ状とし、これに新たに洗浄するための液体を加えてトナー母粒子を分散する操作を繰り返すことが好ましい。洗浄後のトナー母粒子は、ウエットケーキ状で回収することが、引き続き行われる乾燥工程における取り扱いの面で好ましい。
本発明のトナーの体積平均粒径は、3μm以上が好ましく、さらに5μm以上がより好ましい。また、15μm以下が好ましく、さらに10μm以下がより好ましい。また、形状は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000を用いて測定した平均円形度が、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.94以上であり、好ましくは0.99以下である。平均円形度が小さすぎると、トナー母粒子への外添剤の付着不良による帯電悪化から画像濃度の低下を引き起こす場合があり、大きすぎると、形状に起因するクリーニング不良となる場合がある。
以下、負帯電性トナーを例にζ電位の調整について述べる。
コア粒子とシェル粒子は同極性、水溶性樹脂被覆層はコア粒子およびシェル粒子と逆極
性のζ電位を有し、且つ、pH3に於けるζ電位が下記(I)乃至(V)の関係を満足することが好ましい。
(I)コア粒子のζ電位:−20mV〜−70mV
(II)水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位:+40mV〜+120mV
(III)シェル粒子のζ電位:−40mV〜−100mV
(IV)トナー母粒子のζ電位:−30mV〜−90mV
(V)1.0≦トナー母粒子のζ電位/コア粒子のζ電位≦5.0
本発明の負帯電トナーは、負帯電性のコア粒子に対し、出来るだけ少量のシェル粒子と正帯電性の水溶性樹脂を用い、コア粒子を均一に被覆している。この為には、コア粒子、水溶性樹脂被覆層形成粒子、シェル粒子、トナー母粒子のζ電位が上記範囲にあることが好ましい。
コア粒子のζ電位が−20mV未満であると逆極性の水溶性樹脂が付着あるいは吸着しにくくなる、および/または水溶性樹脂の付着あるいは吸着量が少なくなったり、付着が不均一になり、次工程であるシェル粒子の被覆が不十分になるおそれがある。
コア粒子のζ電位が上記条件(I)を満たす為には、手段は特に限定されないが、塩基性単量体の含有量がコア粒子中の樹脂全体に対して10wt%以下とすることが好ましい。10wt%より多くの塩基性単量体を用いた場合、ζ電位を上記範囲に調整する為にはコア粒子中の樹脂に多量の酸性単量体を用いる必要があり、結果として環境特性が悪化するおそれがある。
次に水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位(II)であるが、水溶性樹脂が正帯電性である為、水溶性樹脂が適量被覆すると上記ζ電位範囲(条件(II))となる。水溶性樹脂被覆層は、特に水溶性樹脂被覆層を構成する樹脂が構成成分として塩基性単量体を含有する場合、ζ電位がpHに依存し、アルカリ性領域では十分な正帯電性を示さず、従ってζ電位も低くなる。一方で酸性領域では十分な正帯電性を示し、ζ電位も高くなる。
シェル粒子のζ電位(条件(III))は、−40mV〜−100mVが好ましい。さらに好ましくは、−40mV〜−80mVである。
シェル粒子の被覆量を十分に確保する為には水溶性樹脂の被覆量を増やし、水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位を上記範囲よりも高くする方法もあるが、水溶性樹脂を必要以上に用いることが帯電特性や環境特性の悪化を招くおそれがあることは、前述の通りである。また、水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位を高くする為には、塩基性単量体を多量に用いる必要が生じ、同様に環境特性の悪化を招くおそれがある。
コア粒子に水溶性樹脂を被覆した後には、水溶性樹脂被覆層形成粒子の分散液のpHを一旦アルカリ性領域にすることが望ましい。これにより水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位が負極性になることが重要である。水溶性樹脂自体がアルカリ性下で十分に正帯電性を示さなくなることとコア粒子がアルカリ性下で高い負帯電性を示す為にアルカリ性領域では負極性になる。
また、水溶性樹脂のコア粒子への付着あるいは吸着が十分でない等が原因で、アルカリ性領域で水溶性樹脂被覆層形成粒子が十分な負極性を示さなくなることがある。この場合、シェル粒子を添加したと同時に凝集が発生する傾向があり好ましくない。
水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位が、pH11に於いて、−20mVよりも低いと前述の様に、アルカリ性下でシェル粒子を添加した際に凝集が発生する傾向がある。一方で、コア粒子と水溶性樹脂の設計および付着量が適正であると−100mVを超えることはない。
コア粒子のζ電位、水溶性樹脂被覆層形成粒子のζ電位およびシェル粒子のζ電位を前述の方法により適正に調整し、均一な被覆が出来るとトナー母粒子のζ電位は上記範囲になる。トナー母粒子のζ電位が−30mVよりも小さい場合および/またはトナー母粒子のζ電位/コア粒子のζ電位が1.0より小さい場合は、シェル粒子の付着量が十分でない、或いは不均一である等の不具合が生じている恐れがある。また、−90mVよりも大きいおよび/またはトナー母粒子のζ電位/コア粒子のζ電位が5.0よりも大きい場合は、シェル粒子の付着量が過剰だったり、シェル同士が凝集している等の不具合が発生している恐れがある。
(5−1.外添剤)
本発明においては、トナーの流動性向上や帯電制御性向上のために、必要に応じ外添剤を添加することができる。外添剤としては、各種無機または有機微粒子の中から適宜選択して使用することができる。また、2種類以上の外添剤を併用してもよい。
一般的に、外添剤の含有量を増やすことで耐ブロッキング性を改良しようとすると、低温定着性が悪化する傾向にあるが、本発明のトナーにおいては、外添剤の含有量を増やすことで容易に耐ブロッキング性が改良し、その一方で低温定着性の悪化が起こりにくい。
外添剤の添加方法としては、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌機を用いる方法や、圧縮剪断応力を加えることのできる装置による方法等が挙げられる。
外添トナーはトナー母粒子に全ての外添剤を同時添加して外添する一段外添法より作成できるが、外添剤毎に外添する分段外添法より作成することもできる。
外添中の温度上昇を防止するため、容器に冷却装置を設置するか、分段外添することが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナーをキャリアとともに用いる二成分系現像剤、又は、キャリアを使用しない磁性もしくは非磁性一成分系現像剤のいずれの形態で用いてもよい。二成分系現像剤として用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの混合物等が利用できる。
限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」を意味する。
各粒子径及び円形度、電気伝導度、熱特性等は次のように測定した。
1ミクロン未満の中位径(D50)を有す粒子の中位径(D50)は、日機装株式会社製型式MicrotracNanotrac150(以下ナノトラックと略す)および同社解析ソフトMicrotracParticle Analyzer Ver10.1.2−019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を溶媒とし、溶媒屈折率:1.333、測定時間:120秒、測定回数:5回の測定条件で取り扱い説明書に記載された方法で測定し、その平均値を求めた。その他の設定条件は、粒子屈折率:1.59、透過性:透過、形状:真球形、密度:1.05とした。
1ミクロン以上の体積中位粒径(Dv50)を有す粒子の体積中位粒径(Dv50)は、ベックマン・コールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm:以下、マルチサイザーと略す)を用い、同社アイソトンIIを分散媒として、分散質濃度0.03%になるように分散させて測定した。
平均円形度は、分散質を分散媒(セルシース:シスメックス社製)に5720〜7140個/μlとなるように分散させ、フロー式粒子分析装置(FPIA3000:シスメックス社製)を用いて、HPF分析量0.35μl、HPF検出量2000〜2500個の条件下でHPFモードにより測定した。
電気伝導度の測定は、導電率計(アズワン株式会社製のCyberScanCON100)を用いて行なった。
重合体一次粒子分散液、シェル粒子分散液の乾燥品のTHF可溶成分を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020、カラム:ポリマーラボラトリー社製PL−gelMixed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1重量%、検量線:標準ポリスチレン
水溶性樹脂被覆層水溶液D1を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8010、カラム:東ソー社製TSKgel GMPWx1、溶媒:0.5M酢酸+0.5M酢酸ナトリウム水溶液、試料濃度:0.2重量%、検量線:ポリエチレングリコール
セイコ−電子工業株式会社製の示差熱分析装置(DSC200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。Tgは、DSC曲線のベースラインの延長線と吸熱カーブで最大傾斜を示す接線との交点から求めた。
キャリアとしてパウダーテック(株)製F−80を使用し、キャリアとの重量比1:24の混合物10gを容量30mlのガラス製サンプル瓶に入れ、三田村理研工業製ミキサーミルにて600rpmの振動数にて1分間振動した後、そのうち0.1gを用いて東芝
ケミカル(株)製ブローオフ帯電量測定装置を用い、吸引ブローオフ法にて帯電量を測定した。
ブロー条件:0.05kgf×3秒
吸引圧力 :350〜400mmH2O
スクリーン:400メッシュ
ζ電位の測定は、ゼータサイザー ナノ(マルバーン社製)を用いて、純水でコア粒子分散液および水溶性樹脂被覆層形成粒子分散液、シェル粒子分散液をそれぞれ1/1000に希釈して測定した。
ワックスの200℃における重量減少を、日立ハイテクサイエンス社製 TG/DTA6200及びEXSTAR6000を用いて測定した。最大重量を基準として、重量減少が0.1%に達する時間を求めた。
サンプル容器:白金製サンプルパン
リファレンス:サンプルパンのみ
サンプル量:30〜31mg
雰囲気:窒素(流量200ml/min)
温度条件
開始温度:28℃
昇温速度:10℃/min
保持温度:200℃
<ブラック着色剤分散液の調製>
プロペラ翼を備えた攪拌機の容器に、トルエン抽出液の紫外線吸光度が0.02であり、真密度が1.8g/cm3のファーネス法で製造されたカーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下20%DBS水溶液と略す)1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、導電率が2μS/cmのイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。プレミックス後の分散液中カーボンブラックの体積累積50%径Dv50は約90μmであった。上記プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、ワンパス分散を行った。なお、ステータの内径は120mmφ、セパレータの径が60mmφ、分散用のメディアとして直径が50μmのジルコニアビーズ(真密度6.0g/cm3)を用いた。ステータの有効内容積は約2リットルであり、メデイアの充填容積は1.4リットルとしたので、メディア充填率は70%である。ロータの回転速度を一定(ロータ先端の周速が約11m/sec)として、供給口より前記プレミックススラリーを無脈動定量ポンプにより供給速度約40リットル/hrで供給し、所定粒度に達した時点で排出口より製品を取得した。なお、運転時にはジャケットから約10℃の冷却水を循環させながら行い、ブラック着色剤分散液を得た。
パラフィンワックス(融点75℃、0.1%重量減少時間14分)27.2部、ステアリルアクリレート2.8部、20%DBS水溶液1.9部、脱塩水68.1部を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、高圧乳化機を用いて20MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し中位径(D50)が250nm以下になるまで分散してワックス分散液A1を作製した。最終粒径(D50)は、244nmであった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A1 36.3部、脱塩水260部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を300分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を添加開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液1を重合開始30分後から270分かけて添加した。その後開始剤水溶液2を120分かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま60分保持した。
スチレン 67.8部
アクリル酸ブチル 32.2部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B1を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は265nmだった。重量平均分子量(Mw)は44000だった。Tgは36℃だった。
攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B1 100部(固形分)を仕込み、更にブラック着色剤分散液7.5部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、0.5%硫酸アルミニウム水溶液0.31部(固形分)を15分かけて添加した。更に150分かけて内温45℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定したところ、6.1μmであった。その後、20%DBS水溶液4.1部(固形分)を添加してから、50分かけて96℃まで昇温し、50分保持し、その後30℃まで冷却した。pH1.9におけるζ電位は−30.2mVであった。
アクリル酸の部数を1.2部に変更した以外はC1と同様の方法で、コア粒子分散液を
得た。濾液の電気伝導度が2μS/cmになるまで洗浄を繰り返した後、得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥し、帯電量を測定したところ−1μCであった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に脱塩水480部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。
その後、開始剤水溶液1を添加し、更にその5分後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類と開始剤水溶液2を60分かけて添加した。その後開始剤水溶液3を60分かけて添加し、添加開始と同時に90℃まで昇温した。開始剤水溶液3を添加後、攪拌下で内温90℃のまま90分保持した。
ブレンマーQA(日油社製、(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、50%水溶液) 10.0部
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液
3.0部
[開始剤水溶液2]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液
3.0部
[開始剤水溶液3]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液
3.0部
重合反応終了後冷却し、水溶性樹脂被覆層水溶液D1を得た。重量平均分子量(Mw)は7600であった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に20%DBS水溶液2.0部、脱塩水323部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で80℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま開始剤水溶液を添加し、更にその5分後、下記のモノマー類1・乳化剤溶液の混合乳化液とモノマー類2を210分かけて添加した。その後攪拌下で内温80℃のまま90分保持した。
スチレン 83.5部
アクリル酸ブチル 16.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 71.4部
[モノマー類2]
20%パラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液 12.5部
[開始剤水溶液]
4.0%過硫酸カリウム水溶液 6.4部
重合反応終了後冷却し、乳白色のシェル粒子分散液E1を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は63nmであった。重量平均分子量(Mw)は242,000であった。Tgは72℃だった。pH2.8におけるζ電位は−55.2mVであった。
攪拌装置、加熱冷却装置を備えた反応器にコア粒子分散液C1を100部(固形分)仕込み、室温で攪拌しながら水溶性樹脂被覆層水溶液D1を0.15部(固形分)添加し、室温で30分撹拌した。その後、1N−NaOH水溶液7.5g/1L分散液体積の添加量で添加した後、分散液を内温50℃まで昇温し、60分保持した後、30℃まで冷却した。pH2.9におけるζ電位は+53.5mVであった。
分散液の一部は濾液の電気伝導度が2μS/cmになるまで洗浄を繰り返し、得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥し、帯電量を測定したところ+6μCであった。
この工程を濾液の電気伝導度が2μS/cmになるまで繰り返した後、得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子F1を得た。帯電量を測定したところ−2μCであった。
協立理工社製サンプルミルKR−3内に、トナー母粒子F1を100部投入し、続いて体積平均一次粒径0.03μmのシリカ微粒子0.5部を添加し計2分間撹拌、混合した。その後、体積平均一次粒径0.01μmのシリカ微粒子1.0部を添加し計2分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーG1を得た。
<重合体一次粒子分散液B2の調製>
モノマー類を以下のように変更した以外はB1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B2を得た。重量平均分子量(Mw)は48000だった。Tgは33℃だった。
[モノマー類]
スチレン 65.5部
アクリル酸ブチル 34.5部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
重合体一次粒子分散液をB1の代わりにB2を用いた以外はC1と同様の方法でコア粒子分散液C2を得た。
水溶性樹脂被覆層水溶液D1の代わりにPAS−H−10L(ニットーボーメディカル社製、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体28%水溶液、重量平均分子量(Mw)200,000)0.07部(固形分)を用いた以外はF1と同様の方法でトナー母粒子F2を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.7μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.951であった。
トナー母粒子F1の代わりにF2を用いた以外はG1と同様の方法で現像用トナーG2を得た。
<トナー母粒子F3の製造>
水溶性樹脂被覆層水溶液D1の代わりにブレンマーQAを0.15部(固形分)用いた以外はF1と同様の方法でトナー母粒子F3を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は12.0μmであった。
トナー母粒子F1の代わりにF3を用いた以外はG1と同様の方法で現像用トナーG3を得た。
<トナー母粒子F4の製造>
水溶性樹脂被覆層水溶液D1の代わりにAERODISP W440(日本アエロジル社製、アルミナ40%水分散液)3.0部(固形分)を用いた以外はF2と同様の方法でトナー母粒子F4を得た。洗浄前のF4をマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は6.9μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.951であった。
トナー母粒子F1の代わりにF4を用いた以外はG1と同様の方法で現像用トナーG4を得た。
実施例1、2及び比較例1、2で得られた現像用トナーを用いて、以下の方法で評価した。
現像用トナー5gを内径3cm、高さ6cmの円筒形の容器に入れ、40gの荷重をのせ、温度50℃、湿度40%の環境下に24時間放置した後、トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
〇:200g未満の荷重で崩れる。
△:500g未満の荷重で崩れる。
×:凝集しており、500g以上の荷重をかけないと崩れない。
定着機は熱ロール定着方式であり、定着機の加熱ローラは、上ローラーにヒーターを有し、離型層がPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合体)でできており、シリコーンオイルの塗布なしで評価した。付着量約0.7mg/cm2)の未定着のトナー像を担持した記録紙(紀州製紙製FCドリーム)を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃から210℃まで5℃刻みで変化させ、定着ニップ部に搬送し、195mm/secの速度で排出されたときの定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットあるいは用紙巻き付きが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度範囲△Tとして、以下のように判定した。
△ 50℃ > ΔT ≧ 30℃
× ΔT < 30℃
比較例1は、トナー母粒子表面を走査電子顕微鏡で観察したところ、シェル粒子の付着はわずかしか観察されなかった。これは水溶性樹脂被覆層成分としてモノマーを用いたため、コアの表面に水溶性樹脂被覆層が形成されず、そのためシェル粒子も付着しなかったと考えられる。シェルが形成されていないため、耐ブロッキング性は不十分であった。
<重量平均分子量(Mw)>
重合体一次粒子分散液、シェル粒子分散液の乾燥品のTHF可溶成分を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
SuperHM−H(2本)、溶媒:THF、試料濃度:0.1重量%、検量線:標準ポリスチレン
<ガラス転移温度(Tg)>
セイコ−電子工業社製の示差熱分析装置(DSC220)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。Tgは、DSC曲線のベースラインの延長線と吸熱カーブで最大傾斜を示す接線との交点から求めた。
<重合体一次粒子分散液B3の調製>
モノマー類を以下のように変更した以外はB1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B3を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は258nmだった。重量平均分子量(Mw)は114000だった。Tgは36℃だった。
スチレン 67.8部
アクリル酸ブチル 32.2部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
重合体一次粒子分散液をB1の代わりにB3を用い、ブラック着色剤分散液の代わりにEP−700(大日精化社製、PB15:3分散液)を7.6部(固形分)用いる以外はC1と同様の方法でコア粒子分散液C3を得た。
攪拌装置、加熱冷却装置を備えた反応器にコア粒子分散液C3 70部(固形分)、脱塩水30部を仕込み、室温で攪拌しながら水溶性樹脂被覆層水溶液D1 0.15部(固形分)を添加し、室温で15分撹拌した。その後、1N−NaOH水溶液7.5g/1L分散液体積の添加量で添加した後、15分撹拌を継続した。シェル粒子分散液E1 3部(固形分)を滴下し、室温で15分撹拌した。その後、1N−HCl水溶液10g/1L分散液体積の添加量で滴下し、15分撹拌を継続した後、分散液を内温45℃まで昇温し、60分保持した後、30℃まで冷却した。マルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.964であった。
この工程を濾液の電気伝導度が2μS/cmになるまで繰り返した後、得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子F5を得た。
協立理工社製サンプルミルKR−3内に、トナー母粒子F5 100部を投入し、続いて体積平均一次粒径0.1μmでPDMS処理されたシリカ微粒子0.8部、体積平均一次粒径0.12μmでPDMS処理されたシリカ微粒子0.8部を添加し計1.5分間撹拌、混合した。その後、体積平均一次粒径0.014μmでアルキルシラン処理されたチタニア微粒子0.3部、体積平均一次粒径0.015μmでPDMS処理されたシリカ微粒子0.4部、体積平均一次粒径0.01μmでPDMS/アミノシラン処理されたシリカ微粒子0.2部を添加し計1.5分間撹拌、混合した。その後、体積一次粒径0.2μmの樹脂ビーズ0.2部を1.5分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーG5を得た。
<コア粒子分散液C4の調製>
EP−700を6.6部にする以外はC3と同様の方法でコア粒子分散液C4を得た。
<トナー母粒子F6の製造>
コア粒子分散液C3の代わりにC4を用い、水溶性樹脂被覆層水溶液D1の代わりにPAS−J−81(ニットーボーメディカル社製、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体25%水溶液、カタログ値重量平均分子量(Mw)870,000)0.075部(固形分)を用い、シェル粒子分散液E1の代わりにスチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体水分散液(2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸2.7重量%含有、重合平均分子量(Mw):14,200、Tg:70℃、ナノトラックを用いて測定した中位径(D50):24nm、固形分濃度:20重量%)3.5部(固形分)を用いる以外はF5と同様の方法でトナー母粒子F6を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.4μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.969であった。
トナー母粒子F5の代わりにF6を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG6を得た。
<ワックス分散液A2の調製>
エステルワックス ニッサンエレクトールWE−10(日油社製、カタログ値融点69℃、0.1%重量減少時間19分)29.8部、デカグリセリンデカベヘネート(酸価3.2mgKOH/g、水酸基価27mgKOH/g)0.24部、20%DBS水溶液2.75部、脱塩水67.25部を90℃に加熱して20分間攪拌した。次いで、100℃加熱下で、高圧乳化機を用いて30MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し中位径(D50)が245nm以下になるまで分散してワックス分散液A2を作製した。最終粒径(D50)は、232nmであった。
ワックス分散液A1を41.6部のA2に、モノマー類を以下のように変更した以外はB1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B4を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は210nmだった。重量平均分子量(Mw)は264000だった。Tgは38℃だった。
スチレン 69.1部
アクリル酸ブチル 30.9部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
<重合体一次粒子分散液B5の調製>
モノマー類を以下のように変更した以外はB1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B5を得た。重量平均分子量(Mw)は92000だった。Tgは48℃だった。
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B4 97部(固形分)を仕込み、更にEP−700 6.6部を5分かけて添加して均一に混合した後、0.5%硫酸アルミニウム水溶液0.31部(固形分)を15分かけて添加した。更に170分かけて内温44℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定したところ、6.4μmであった。その後、重合体一次粒子分散液B5 3部(固形分)を3分かけて添加した後、30分撹拌を継続した。その後、20%DBS水溶液4.1部(固形分)を添加してから、50分かけて84℃まで昇温し、60分保持し、その後30℃まで冷却した。その後、C3と同様の方法で、濾過、洗浄、分散を行い、コア粒子分散液C5を得た。
モノマー類1を以下のように変更した以外はE1と同様の方法でシェル粒子分散液E2を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は58nmであった。重量平均分子量(Mw)は57000だった。Tgは75℃だった。
スチレン 88.0部
アクリル酸ブチル 12.0部
1−ドデカンチオール 0.5部
コア粒子分散液C3の代わりにC5を用い、シェル粒子分散液E1の代わりにE2を用いた以外はF5と同様の方法でトナー母粒子F7を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は6.8μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.970であった。
トナー母粒子F5の代わりにF7を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG7を得た。
<重合体一次粒子分散液B6の調製>
モノマー類を以下のように変更した以外はB4と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B6を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は205nmだった。重量平均分子量(Mw)は269000だった。Tgは36℃だった。
スチレン 68.2部
アクリル酸ブチル 31.8部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.8部
重合体一次粒子分散液B4の代わりにB6を83部(固形分)用い、重合体一次粒子分散液B5の代わりにB3 17部(固形分)を用いる以外はC5と同様にして、コア粒子分散液C6を得た。
コア粒子分散液C4の代わりにC6を用い、スチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体水分散液を3.0部(固形分)にする以外はF6と同様の方法でトナー母粒子F8を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.3μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.968であった。
トナー母粒子F5の代わりにF8を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG8を得た。
<コア粒子分散液C7の調製>
重合体一次粒子分散液B6を90部(固形分)に、重合体一次粒子分散液B3を10部(固形分)にする以外はC6と同様にして、コア粒子分散液C7を得た。
コア粒子分散液C4の代わりにC7を用いた以外はF6と同様の方法でトナー母粒子F9を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は6.9μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.966であった。
<現像用トナーG9の製造>
トナー母粒子F5の代わりにF9を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG9を得た。
<重合体一次粒子分散液B7の調製>
モノマー類を以下のように変更した以外はB4と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B7を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は203nmだった。重量平均分子量(Mw)は403000だった。Tgは37℃だった。
スチレン 69.1部
アクリル酸ブチル 30.9部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.5部
<ワックス分散液A3の調製>
ニッサンエレクトールWE−10の代わりにニッサンエレクトールWEP−5(日油社製、カタログ値融点82℃、0.1%重量減少時間55分)を用いる以外はA2と同様にして、ワックス分散液A3を作製した。最終粒径(D50)は、238nmであった。
ワックス分散液A2をA3に、モノマー類を以下のように変更した以外はB4と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B8を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は205nmだった。重量平均分子量(Mw)は304000だった。Tgは38℃だった。
スチレン 65.5部
アクリル酸ブチル 34.5部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
重合体一次粒子分散液B4の代わりにB7を85部(固形分)を用い、重合体一次粒子分散液B5の代わりにB8を15部(固形分)を用いる以外はC5と同様にして、コア粒子分散液C8を得た。
コア粒子分散液C4の代わりにC8を用いた以外はF6と同様の方法でトナー母粒子F10を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.7μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.973であった。
<現像用トナーG10の製造>
トナー母粒子F5の代わりにF10を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG10を得た。
<マゼンタ着色剤分散液の調製>
カーボンブラックの代わりにピグメントレッド122を用いた以外はブラック着色剤分散液と同様にして、マゼンタ着色剤分散液を得た。
EP−700の代わりにマゼンタ着色剤分散液 12.1部を用いる以外はC8と同様にして、コア粒子分散液C9を得た。
<トナー母粒子F11の製造>
コア粒子分散液C4の代わりにC9を用いた以外はF6と同様の方法でトナー母粒子F11を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.0μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.969であった。
協立理工社製サンプルミルKR−3内に、トナー母粒子F11を100部投入し、続いて体積平均一次粒径0.1μmでPDMS処理されたシリカ微粒子1.8部、体積平均一次粒径0.06μmでPDMS処理されたシリカ微粒子0.3部を添加し計1.5分間撹拌、混合した。その後、体積平均一次粒径0.014μmでアルキルシラン処理されたチタニア微粒子0.6部、体積平均一次粒径0.015μmでPDMS処理されたシリカ微粒子0.6部、体積平均一次粒径0.01μmでPDMS/アミノシラン処理されたシリカ微粒子0.1部を添加し計1.5分間撹拌、混合した。その後、体積一次粒径0.2μmの樹脂ビーズ0.2部を1.5分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーG11を得た。
<トナー母粒子F12の製造>
重合体一次粒子分散液をB3の代わりにB5を用いる以外はC3と同様にして凝集を行い、その後水溶性樹脂被覆層形成とシェル層形成を行わずにF5と同様に濾過、洗浄、乾燥を行うことによりトナー母粒子F12を得た。濾過前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は6.8μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.972であった。
<現像用トナーG12の製造>
トナー母粒子F5の代わりにF12を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG12を得た。
<ワックス分散液A4の調製>
ニッサンエレクトールWE−10の代わりにHiMic−1090(日本精蝋社製:カタログ値融点89℃)29.7部、デカグリセリンデカベヘネートを0.3部に変更する以外はA2と同様にして、ワックス分散液A4を作製した。
ワックス分散液A1を35.0部のワックス分散液A4に、モノマー類を以下のように変更した以外はB3と同様の方法で、重合体一次粒子分散液B9を得た。重量平均分子量(Mw)は81000だった。
[モノマー類]
スチレン 75.9部
アクリル酸ブチル 24.1部
アクリル酸 1.2部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
重合体一次粒子分散液B4の代わりにB9 80部(固形分)を用い、重合体一次粒子分散液B5 20部(固形分)を用いる以外はC5と同様にして凝集を行い、その後水溶性樹脂被覆層形成とシェル層形成を行わずにF5と同様に濾過、洗浄、乾燥を行うことによりトナー母粒子F13を得た。濾過前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.3μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.963であった。
トナー母粒子F5の代わりにF13を用いた以外はG5と同様にして、現像用トナーG13を得た。
実施例3〜9、及び比較例3〜4で得られた現像用トナーを用いて、以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
未定着のトナー像を担持した記録紙((株)沖データ社製エクセレントホワイト)を用意し、熱ロール定着方式の2種類の定着機を用い、以下のように試験した。
定着機A
ローラー直径27mm、ニップ幅9mm、定着速度229mm/secであり、上ローラーにヒーターを有し、ローラー表面がPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で構成されており、シリコーンオイルは塗布されていない。
ローラー直径34mm、ニップ幅7mm、定着速度195mm/secであり、上ローラーにヒーターを有し、ローラー表面がPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で構成されており、シリコーンオイルは塗布されていない。
ローラーの表面温度を170℃から5℃刻みで降温し、付着量約0.4mg/cm2の未定着のトナー像を担持した記録紙を定着ニップ部に搬送し、定着画像を得た。定着画像にメンディングテープを貼り、その上を2kgの錘を通過させテープと定着画像を密着させた。メンディングテープを剥離し、定着画像がテープに移行する程度を目視で判定した。
定着機A、B
◎:140℃以下で定着する
〇:145℃で定着する
△:150℃で定着する
×:155℃以上でないと定着しない
ローラーの表面温度を170℃から5℃刻みで降温し、付着量約1.0mg/cm2の未定着のトナー像を担持した記録紙を定着ニップ部に搬送し、定着画像を得た。定着画像を内側にして2つに折り曲げ、折り目の上に2kgの錘を通過させた。定着画像を広げ、折り曲げた部分のトナーの剥離の程度を目視で判定した。
定着機A
◎:140℃以下で定着する
〇:145℃で定着する
△:150℃で定着する
×:155℃以上でないと定着しない
定着機B
◎:135℃以下で定着する
〇:140℃で定着する
△:145℃で定着する
×:150℃以上でないと定着しない
ローラーの表面温度を175℃から5℃刻みで昇温し、未定着のトナー像を担持した記録紙を定着ニップ部に搬送し、排出されたときの状態を観察した。
定着機A
◎:195℃でオフセットしない
○:195℃でオフセットする
△:190℃でオフセットする
×:185℃以下でオフセットする
定着機B
◎:210℃でオフセットしない
〇:200〜210℃でオフセットする
△:180〜195℃でオフセットする
×:175℃以下でオフセットする
現像用トナー10gを内径3cm、高さ6cmの円筒形の容器に入れ、20gの荷重をのせ、温度50℃、湿度55%の環境下に48時間放置した後、トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
◎:100g未満の荷重で崩れる
〇:100g以上200g未満の荷重で崩れる
△:200g以上300g未満の荷重で崩れる
×:300g以上の荷重をかけないと崩れない
キャリアとして関東電化工業(株)製FMU65を使用し、現像用トナーとキャリアとの重量比1:24の混合物10gをガラス製サンプル瓶に入れ、タイテック社製NR−1にて振盪した後、そのうち0.1gを用いて東芝ケミカル(株)製ブローオフ帯電量測定装置を用い、吸引ブローオフ法にて帯電量を測定した。
ブロー条件:0.05kgf/cm2×3秒
吸引圧力 :350〜400mmH2O
スクリーン:400メッシュ
振盪時間1分、5分、30分の3回測定し、帯電量をQとして、以下のように判定した。
〇:3回ともQ≦−18(μC/g)
△:3回ともQ≦−13(μC/g)であり、
3回のうち少なくとも1回が18<Q≦−13(μC/g)である
×:3回のうち少なくとも1回が13<Q(μC/g)
縦4cm横20cm、付着量約1.0mg/cm2の未定着のトナー像を担持した記録紙((株)沖データ社製エクセレントホワイト)を用意し、定着機Aを用い、定着速度229mm/sec、定着温度170℃で定着させた。その時に排気からもれる超微粒子量を、TSI Incorporated製P−TracウルトラパーティクルカウンターModel8525を用いて粒径0.02〜1.0μmの粒子の個数を計測した。トナー像を担持していない白紙も同様に計測した。未定着トナー通過時の検出個数から白紙通過時の検出個数を引いた値を超微粒子発生量として、以下のように判定した。
◎:5万未満
○:5万以上10万以下
△:10万以上20万以下
×:20万以上
トナー母粒子と現像用トナーのBET比表面積を、マウンテック社製 Macsorb
model−1208を使用して1点法にて測定した。
測定サンプル量:約0.5g
測定ガス:窒素30%・ヘリウム70%混合ガス
流量:25mL/min
することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2013年8月29日出願の特願2013−178429に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (8)
- 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子及び外添剤を有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母粒子がコア粒子とシェル層を有するコアシェル構造であり、
前記トナー母粒子は、前記コア粒子の表面上に水溶性樹脂からなる樹脂被覆層を有し、且つ前記樹脂被覆層上に前記シェル層を有し、
前記シェル層は樹脂を主成分とする粒子からなり、
前記コア粒子を構成する重合体一次粒子のガラス転移温度をTg1、前記シェル層を構成する粒子のガラス転移温度をTg2とした場合、以下の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
25℃≦Tg1≦45℃
55℃≦Tg2
Tg2−Tg1≧20 - 前記シェル層を構成する粒子がスルホン酸基を有する樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア粒子が重合法により得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア粒子と前記樹脂被覆層の帯電性が逆の関係にあり、且つ前記樹脂被覆層と前記シェル層の帯電性が逆の関係にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア粒子がカプセル構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- カプセル構造を有するコア粒子のコア層に含有されるワックスが、熱重量測定装置を用い、200℃における重量減少が0.1%に到達する時間が15分以上であるワックスであり、且つ、カプセル構造を有するコア粒子のシェル層に含有されるワックスが、融点が70℃以上であるワックスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア粒子の分散液に、前記水溶性樹脂を含む水溶液を混合して水溶性樹脂をコア粒子の表面に付着させた後、更に前記シェル層を構成する粒子の分散液を混合して前記シェル層を構成する粒子を付着させる工程を経てトナー母粒子を得ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア粒子の分散液に、コア粒子と逆の帯電性を有する水溶性樹脂を含む水溶液を混合して水溶性樹脂をコア粒子の表面に付着させた後、更に前記水溶性樹脂と逆の帯電性を有するシェル層を構成する粒子の分散液を混合して前記シェル層を構成する粒子を付着させる工程を経てトナー母粒子を得ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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