JP2015063493A - シソ科植物エキスの製造方法 - Google Patents

シソ科植物エキスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 抗炎症作用や抗ガン作用等の機能性を有するルテオリンを含有する安全な機能性素材を提供する。
【解決手段】 シソ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより、機能性成分であるルテオリンを含有するシソ科植物エキスの製造方法を提供する。さらに、油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、機能性成分であるルテオリンを含有し、かつ、シソ科植物の特徴的な強い臭いを低減したシソ科植物エキスの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、シソ科植物エキスの製造方法に関する。
シソ科植物(Lamiaceae)は、香気成分や抗酸化成分に富むものが多く、古くから香辛料や薬草といったいわゆるハーブとして利用されている。また、シソ科植物の有する機能性成分がもたらす様々な生理活性に着目して、種々の検討が行われている。例えば、ローズマリー、タイムおよびメリッサからなる群から選ばれたシソ科植物より水で抽出されるヒアルロニダーゼ阻害物質を有効成分とする抗アレルギー剤(特許文献1)、シソ科、クスノキ科、フトモモ科及びキク科植物からなる群より選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有する生体内抗酸化剤(特許文献2)、又は、シソ科、キク科、ショウガ科、バラ科およびセリ科植物からなる群より選ばれた少なくとも1種の植物の抽出物の分画物を有効成分として含有する血小板凝集抑制剤(特許文献3)が開示されている。
ルテオリンは、ローズマリーやスギナ等の植物に含まれているフラボンであり、抗炎症作用(非特許文献1)や抗ガン作用(非特許文献2)等の機能性を有する。例えば、ルテオリンは、in vitro試験において様々な種類の腫瘍細胞の増殖を抑制すること(IC50:3〜50μM)が、また、in vivo試験において腫瘍の成長を効果的に抑制すること(食品中に50〜200ppmのルテオリンを配合した場合、一日当たり0.1〜0.3mg/Kg(体重)のルテオリンを胃内投与した場合又は5〜10mg/Kg(体重)のルテオリンを腹腔内投与した場合)が報告されている(非特許文献3)。
シソ科植物は、ルテオリンを始めとする機能性成分の多くを配糖体の形で含有している。しかし、これら機能性成分は、配糖体よりもアグリコンの形態で投与する方が有効であるという報告がされている(非特許文献4)。また、シソ科植物は、カルバクロールやチモールといった刺激臭を有する成分を含有しており、独特の強い臭気を有するため、シソ科植物に含まれる機能性成分を継続的に摂取する上で制限を受けるという問題がある。このような独特の強い臭気の低減を目的として、例えば、抗酸化成分を含む植物を、アルコール濃度20〜80重量%のアルコール水溶液にて抽出し、得られた植物抽出液のアルコール濃度を10重量%以下とした後に、合成吸着剤に通液することを特徴とする抗酸化剤の製造方法(特許文献4)が開示されている。
このように、抗炎症作用や抗ガン作用等の機能性を有するルテオリンを含有する安全な機能性素材が依然として求められている。
特開平8−333267号公報 特開2011−236149号公報 特開2012−153671号公報 特開2002−3840号公報
プランタ・メディカ(Planta Medica)、2007年、第73巻、第3号、p.221−226 インディアン・ジャーナル・オブ・クリニカル・バイオケミストリー(INDIAN Journal of Clinical Biochemistry)、2012年、第27巻、第2号、p.157−163 モレキュールズ(Molecules)、2008年、第13巻、p.2628−2651 ザ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・テラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)、2001年、第296巻、第1号、p.181−187
本発明の課題は、シソ科植物を原料として、機能性成分であるルテオリンを含有するシソ科植物エキスの製造方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、機能性成分であるルテオリンを含有し、シソ科植物の特徴的な強い臭いを低減したシソ科植物エキスの製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、シソ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理すること、さらに、油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
なお、本明細書におけるシソ科植物とは、シソ科に属する植物又はシソ科の植物のことをいう。
すなわち、本発明は、シソ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより得られる、機能性成分であるルテオリンを含有する、シソ科植物エキスの製造方法を提供するものである。そして、本発明は、さらに、油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより得られる、機能性成分であるルテオリンを含有し、かつ、シソ科植物の特徴的な強い臭いを低減したシソ科植物エキスの製造方法を提供するものである。
本発明には、下記の態様が含まれる。
項(1)
シソ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより得られる、ルテオリンを含有することを特徴とするシソ科植物エキスの製造方法。
項(2)
ルテオリンが遊離のものである、項(1)に記載の製造方法。
項(3)
シソ科植物が、タイム、セージ、ローズマリー又はマジョラムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、項(1)又は項(2)に記載の製造方法。
項(4)
前記原料が、粉砕物又は抽出物である項(1)乃至項(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
項(5)
さらに、油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、シソ科植物の特徴的な強い臭いを低減することを特徴とする、項(1)乃至項(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
項(6)
油脂を添加して行う攪拌処理が、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理と並行して又はβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行われる、項(5)に記載の製造方法。
項(7)
項(1)乃至項(6)のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシソ科植物エキス。
項(8)
項(7)記載のシソ科植物エキスを含有する飲料、食品、医薬部外品又は飼料。
本発明によれば、機能性成分であるルテオリンを含有するシソ科植物エキスを提供することができる。さらに、本発明によれば、機能性成分であるルテオリンを含有し、かつ、カルバクロール等の刺激臭を有する成分によるシソ科植物の特徴的な強い臭いを低減したシソ科植物エキスを提供することができる。
本発明によるシソ科植物エキスを用いることにより、ルテオリンの機能性を利用した飲料、食品、医薬部外品又は飼料を提供することができる。
本発明において、原料のシソ科植物は、一般に食用に供されるものでシソ科(Lamiaceae)に属する植物であればいずれを用いてもよい。例えば、タイム、セージ、ローズマリー、マジョラム、オレガノ、セイバリー、バジル、レモンバーム、ミント、エゴマ及びシソ等が挙げられるが、好ましくは、タイム、セージ、ローズマリー、マジョラム、オレガノであり、より好ましくは、タイム、セージ又はローズマリーである。本発明において使用するシソ科植物は、生の状態のものであっても、乾燥したものであっても、いずれも用いることができる。また、本発明において使用するシソ科植物の部位は、特に限定されず、葉、茎、根、実又は種子等、いずれを用いてもよい。原料のシソ科植物は、1種を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
本発明において、原料のシソ科植物は、粉砕物又は抽出物を用いてもよく、中でも、シソ科植物の抽出物を用いることが好ましい。
シソ科植物の粉砕物は、原料のシソ科植物を単独で、又は水等の溶媒を加えて粉砕処理した粉砕物であればよい。原料のシソ科植物を粉砕処理する方法は、特に限定されず、食材の加工に一般に用いられる方法を単独又は組み合わせて処理することができる。粉砕処理に用いる機器としては、例えば、切断、粉砕、摩擦、空気圧、水圧等を利用して加工する各種の裁断機、粉砕機等が挙げられる。シソ科植物の粉砕物は、粉砕後そのまま又は固液分離して得られた液部を用いることができる。さらに、シソ科植物の粉砕物は、適宜pH調整剤等の添加物を配合することができる。
シソ科植物の抽出物は、原料のシソ科植物を水、アルコール又は水−アルコール混合溶液等で抽出した抽出物であればよい。原料のシソ科植物を抽出する方法は、特に限定されず、公知の手段を単独又は組み合わせて抽出することができる。抽出方法としては、例えば、常温抽出、加熱抽出、加圧抽出、攪拌抽出、超音波抽出等が挙げられる。原料のシソ科植物は、そのままの形状で抽出してもよく、細切処理又は粉砕処理したものを用いてもよい。シソ科植物の抽出物は、抽出後そのまま又は固液分離して得られた液部を用いることができる。中でも、抽出後固液分離して得られた液部が好ましい。また、シソ科植物の抽出物は、その濃縮物を用いることができる。さらに、シソ科植物の抽出物は、適宜pH調整剤等の添加物を配合することができる。シソ科植物の抽出物としては、例えば、タイムエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、マジョラムエキス、オレガノエキス、セイバリーエキス、バジルエキス、レモンバームエキス、ミントエキス、エゴマエキス、シソエキス等が挙げられる。
本発明において、シソ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う。本発明において用いるβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素は、食品に用いることができるβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素であればいずれでもよく、該酵素を含むものであってもよい。また、酵素製剤の形でも用いることができる。β−グルコシダーゼ活性を有する酵素としては、例えば、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼ(登録商標)(天野エンザイム株式会社製)、スミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業株式会社製)、ラピターゼ(登録商標)AR2000(ディー・エス・エムジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する温度は、通常20〜70℃、好ましくは30〜65℃、より好ましくは40〜60℃である。また、本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する時間は、通常30分間〜30時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜20時間である。また、本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素の添加量は、処理温度及び処理時間により適宜変更することができるが、例えば、酵素製剤として、原料のシソ科植物に対して、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する前に、原料のシソ科植物のpHを、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素の至適pH付近に調整することが好ましい。調整するpHは、通常pH2〜8であり、好ましくはpH3〜6である。なお、前記pH調整を行った場合、該酵素処理した後に中和処理を行ってもよい。pHの調整及び中和処理は、pH調整剤として一般に食品に利用されているものを用いることができる。pH調整剤は、食品添加物として指定されたものであれば特に限定されない。pH調整剤としては、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明において、得られるシソ科植物エキスが含有する機能性成分であるルテオリンの含有量については、少なくとも含有していればよく、好ましくは固形物あたり50ppm以上であり、より好ましくは固形物あたり200ppm以上、さらに好ましくは固形物あたり500ppm以上、特に好ましくは固形物あたり1000ppm以上である。
なお、本発明においてシソ科植物エキスが含有するルテオリンとは、アグリコンの状態で存在する、いわゆる遊離の状態のものをいう。
本発明において、前記酵素処理を行った後に、酵素失活処理を行う。酵素失活処理は、最終的に得られるシソ科植物エキスにおいて酵素活性が残存しないように行えばよく、また、酵素失活処理の条件は、前記酵素処理において用いた酵素が失活する条件であれば特に限定されない。
本発明において、原料のシソ科植物を、油脂を添加し攪拌処理を行ってもよい。本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理及び油脂を添加し攪拌処理した後、該油脂の分離・除去を行うことで、機能性成分であるルテオリンを効率的に含有させることに加えて、カルバクロール等の刺激臭を有する成分によるシソ科植物の特徴的な強い臭いを効果的に低減した、シソ科植物エキスを製造することができる。
油脂を添加し攪拌処理を行うとき、該攪拌処理は、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理と並行して又はβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行うことができる。
また、該攪拌処理後に行われる該油脂の分離・除去は、前記β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行うことができる。
本発明において用いる油脂は、一般に食品に用いることができる油脂であればいずれでもよく、該油脂を含むものであってもよい。本発明において用いる油脂としては、例えば、なたね油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、サフラワー油、米ぬか油、綿実油、オリーブ油、ごま油、落花生油、ブドウ種子油、椿油、シソ油、アマニ油、クルミ油、カラシ油、カボチャ種子油、スイカ種子油、ココナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、カシューナッツ油、ピスタチオ油、小麦胚芽油、茶実油、アボカド油、パパイヤ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオバター等の植物性油脂;ラード、ヘット、鶏油、魚油、馬油、鯨油、アザラシ油、乳脂等の動物性油脂;及びこれらの水素添加油脂、分別油脂等が挙げられる。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理する方法は、特に限定されず、一般的に攪拌に使用される公知の手段を用いることが出来る。油脂を添加し攪拌処理する方法としては、例えば、攪拌翼や攪拌子等を用いる機械式又は磁気式の攪拌機により攪拌対象を攪拌処理する方法、空気や窒素等の気体を攪拌対象に吹き込み攪拌処理する方法、また、攪拌対象を収容する容器を振盪、回転等することにより攪拌対象を攪拌処理する方法等が挙げられる。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理する温度は、添加する油脂が流動性を有する温度であればいずれでもよいが、通常20〜100℃、好ましくは30〜90℃、より好ましくは35〜80℃である。また、本発明において、油脂を添加し攪拌処理する時間は、少なくとも5分間以上であり、通常10分間〜30時間、好ましくは20分間〜24時間、より好ましくは30分間〜20時間である。また、本発明において、攪拌処理する油脂の添加量は、該処理温度及び該処理時間により適宜変更することができるが、通常、油脂を添加する処理液中の固形物に対して重量比で0.2倍量〜20倍量、好ましくは0.5倍量〜15倍量、より好ましくは1倍量〜10倍量である。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理を行った場合、用いた油脂は、分離・除去される。油脂を分離・除去する方法は、特に限定されず、遠心分離、デカンテーション、油吸着剤や油凝集剤の使用等の公知の方法により行うことができる。
本発明により得られるシソ科植物エキスは、風味が良好で嗜好性に優れていることから、そのままの形態でも利用することができるが、さらに、該エキスを固液分離した液部として用いることができる。固液分離する方法は、特に限定されず、濾過、遠心分離等の公知の方法により行うことができる。また、本発明により得られるシソ科植物エキスは、そのまま又は固液分離した液部を常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、また、乾燥して用いてもよい。乾燥方法は、特に限定されず、公知の手段を用いて乾燥することができる。乾燥方法としては、例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、フリーズドライヤー、エアードライヤー等の公知の手段を用いることができる。また、デキストリン等の賦形剤を添加して乾燥してもよい。さらに、乾燥により得られたものを粉砕後、粉末等として用いてもよく、必要に応じて造粒機等を用いて顆粒品とすることができる。
本発明により得られるシソ科植物エキスは、そのまま又は水等で希釈して利用することができる。さらに、本発明により得られるシソ科植物エキスは、種々の加工食品、例えば、即席食品、乳製品、菓子類、調味料、茶飲料、野菜飲料、大豆飲料、豆乳飲料等の各種の飲料や食品に適宜添加、配合して用いることもできる。また、必要に応じて、通常の飲料又は食品の原料や添加物として使用されているものと併用することもできる。
本発明により得られるシソ科植物エキスは、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品といった食品や、医薬部外品又は飼料等に用いることができる。形態としては、アンプル、カプセル、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、固形、液剤、ゲル、エアロゾル等とすることができるほか、各種製品中に配合することができる。これら製品の調製に当たっては、賦形剤、結合剤、潤沢剤等を適宜配合することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、各原料及び素材の配合比率、含有比率、濃度は断りのない限り全て重量部基準である。
[調製1]
タイム粉末(株式会社ケー・アイ・エス製)40gに水760gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行うことで、タイムエキス640g(固形分1.64%)(調製1)を得た。得られたタイムエキスについて、機能性成分であるルテオリン及び刺激臭成分であるカルバクロールの含有量を高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」という)で以下に示す測定条件にて測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:不検出、カルバクロール:1053ppmであった。
<HPLCの測定条件(ルテオリン)>
検出器:UV検出器(紫外波長254nm)
カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
移動相A:15容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%酢酸含有)
移動相B:35容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%酢酸含有)
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのリニアグラジエント(50分間)
流速:1.5ml/分
カラム温度:40℃
標品:ルテオリン(東京化成工業株式会社製)を80%アセトニトリル水溶液に溶解して、検量線を作成した。
検体:試料を80%アセトニトリル水溶液で、適宜希釈したもの。
<HPLCの測定条件(カルバクロール)>
検出器:UV検出器(紫外波長280nm)
カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
移動相A:20容量%アセトニトリル水溶液
移動相B:アセトニトリル
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのリニアグラジエント(40分間)
流速:1.0ml/分
カラム温度:40℃
標品:カルバクロール(和光純薬工業株式会社製)を80%アセトニトリル水溶液に溶解して、検量線を作成した。
検体:試料を80%アセトニトリル水溶液で、適宜希釈したもの。
[実施例1]
調製1で得られたタイムエキス160gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.32g添加して、60℃で3時間酵素処理した後、80℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、5分間)して固液分離することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.80%)(実施例1)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:10800ppm、カルバクロール:885ppmであった。
[調製2]
セージ粉末(株式会社ケー・アイ・エス製)30gに水540gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行うことで、セージエキス450g(固形分1.43%)(調製2)を得た。得られたセージエキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:不検出、カルバクロール:51ppmであった。
[実施例2]
調製2で得られたセージエキス160gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.32g添加して、60℃で3時間酵素処理した後、80℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、5分間)して固液分離することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.81%)(実施例2)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:5976ppm、カルバクロール:34ppmであった。
[調製3]
ローズマリー粉末(株式会社ケー・アイ・エス製)20gに水380gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行うことで、ローズマリーエキス300g(固形分1.35%)(調製3)を得た。得られたローズマリーエキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:不検出、カルバクロール:65ppmであった。
[実施例3]
調製3で得られたローズマリーエキス160gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.32g添加して、60℃で3時間酵素処理した後、80℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、5分間)して固液分離することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.55%)(実施例3)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:5255ppm、カルバクロール:43ppmであった。
[実施例4]
タイム粉末(株式会社ケー・アイ・エス製)10gに水190gを加えて、さらに大豆油(加藤製油株式会社製)20gを添加して、攪拌しながら、90℃で30分間抽出した後、濾布(不織布)を用いて固液分離した。得られた濾液150gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.3g添加して、60℃で3時間酵素処理した後、80℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、5分間)により油相を分離除去することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.93%)(実施例4)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:10600ppm、カルバクロール:130ppmであった。
[実施例5]
調製1で得られたタイムエキス160gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.32g添加して、さらに大豆油(加藤製油株式会社製)を16g添加して、攪拌しながら、60℃で3時間酵素処理した後、80℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、デカンテーションにより油相を分離除去することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.91%)(実施例5)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:10100ppm、カルバクロール:不検出であった。
[実施例6]
調製1で得られたタイムエキス160gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.32g添加して、60℃で3時間酵素処理した後、80℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、大豆油(加藤製油株式会社製)を16g添加して、60℃で30分間、攪拌処理を行った後、遠心分離(2500×G、5分間)により油相を分離除去することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.94%)(実施例6)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:10700ppm、カルバクロール:不検出であった。
[官能評価1]
実施例4、実施例5、実施例6及び実施例1で得られた本発明のシソ科植物エキスについて、それぞれ水道水で5倍希釈したものを試料として、パネラー10人による官能評価を実施した。評価は、シソ科植物の特徴的な臭いについて、試料と同様に希釈した調製1のタイムエキスの評点を0点として、各試料と比較することで採点し、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2015063493
表1に示すとおり、油脂を添加して攪拌処理を行った実施例4、実施例5及び実施例6の本発明のシソ科植物エキスは、シソ科植物の特徴的な臭いが、酵素処理を行っていない調製1のタイムエキスと比較して、十分に低減され、嗜好性が向上していた。一方、油脂を添加した攪拌処理を行わない場合(実施例1)は、酵素処理を行っていない調製1のタイムエキスとほぼ同等の臭い及び風味を有していた。
また、刺激臭成分であるカルバクロールの含有量について、油脂を添加して攪拌処理を行った実施例4、実施例5及び実施例6の本発明のシソ科植物エキスはカルバクロールが不検出又は調製1と比較して低含有量であり、実施例1は調製1と近似した高含有量であった。
[実施例7]
調製2で得られたセージエキス160gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.16g添加して、さらにラード(植田製油株式会社製)を32g添加して、攪拌しながら、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、5分間)により油相を分離除去することで、本発明のシソ科植物エキス140g(固形分1.83%)(実施例7)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:4946ppm、カルバクロール:不検出であった。
[官能評価2]
実施例7及び実施例2で得られた本発明のシソ科植物エキスについて、それぞれ水道水で5倍希釈したものを試料として、パネラー10人による官能評価を実施した。評価は、シソ科植物の特徴的な臭いについて、試料と同様に希釈した調製2のセージエキスの評点を0点として、各試料と比較することで採点し、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2015063493
表2に示すとおり、油脂を添加して攪拌処理を行った実施例7の本発明のシソ科植物エキスは、シソ科植物の特徴的な臭いが、酵素処理を行っていない調製2のセージエキスと比較して、十分に低減され、嗜好性が向上していた。一方、油脂を添加した攪拌処理を行わない場合(実施例2)は、酵素処理を行っていない調製2のセージエキスとほぼ同等の臭い及び風味を有していた。
また、刺激臭成分であるカルバクロールの含有量について、油脂を添加して攪拌処理を行った実施例7の本発明のシソ科植物エキスはカルバクロールが不検出であり、実施例2は調製2と近似した含有量であった。
[実施例8]
調製3で得られたローズマリーエキス150gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.3g添加して、さらに菜種油(加藤製油株式会社製)を7.5g添加して、攪拌しながら、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、10分間)により油相を分離除去することで、本発明のシソ科植物エキス130g(固形分1.66%)(実施例8)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:4665ppm、カルバクロール:不検出であった。
[官能評価3]
実施例8及び実施例3で得られた本発明のシソ科植物エキスについて、それぞれ水道水で5倍希釈したものを試料として、パネラー10人による官能評価を実施した。評価は、シソ科植物の特徴的な臭いについて、試料と同様に希釈した調製3のローズマリーエキスの評点を0点として、各試料と比較することで採点し、その平均値を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2015063493
表3に示すとおり、油脂を添加して攪拌処理を行った実施例8の本発明のシソ科植物エキスは、シソ科植物の特徴的な臭いが、酵素処理を行っていない調製3のローズマリーエキスと比較して、十分に低減され、嗜好性が向上していた。一方、油脂を添加した攪拌処理を行わない場合(実施例3)は、酵素処理を行っていない調製3のローズマリーエキスとほぼ同等の臭い及び風味を有していた。
また、刺激臭成分であるカルバクロールの含有量について、油脂を添加して攪拌処理を行った実施例8の本発明のシソ科植物エキスはカルバクロールが不検出であり、実施例3は調製3と近似した含有量であった。
[実施例9]
マジョラム粉末(株式会社ケー・アイ・エス製)20gに水180gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離した。得られた濾液100gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを1.0g添加して、50℃で20時間酵素処理した後、90℃で30分間酵素失活処理を行った。次いで、パーム油(不二製油株式会社製)を15g添加して、80℃で30分間、攪拌処理を行った後、遠心分離(2500×G、5分間)により油相を分離除去することで、本発明のシソ科植物エキス90g(固形分4.95%)(実施例9)を得た。得られた本発明のシソ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでルテオリン含有量及びカルバクロール含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、ルテオリン:6121ppm、カルバクロール:不検出であった。

Claims (8)

  1. シソ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより得られる、ルテオリンを含有することを特徴とするシソ科植物エキスの製造方法。
  2. ルテオリンが遊離のものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. シソ科植物が、タイム、セージ、ローズマリー又はマジョラムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記原料が、粉砕物又は抽出物である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. さらに、油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、シソ科植物の特徴的な強い臭いを低減することを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 油脂を添加して行う攪拌処理が、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理と並行して又はβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行われる、請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシソ科植物エキス。
  8. 請求項7記載のシソ科植物エキスを含有する飲料、食品、医薬部外品又は飼料。
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