JP2015063317A - ガスバリア性プラスチックキャップの製造方法 - Google Patents

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正樹 中谷
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Abstract

【課題】プラスチックキャップのガスバリア性を、安定的、かつ、効率的に向上させることができるプラスチックキャップの製造方法を提供する。【解決手段】ガスバリア性プラスチックキャップの製造方法は、頂板部10の外面10aに、一般式(化1)で表される化合物を含有する塗布液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、塗布層に、(a)大気圧プラズマ処理、(b)真空プラズマ処理又は(c)電子ビーム照射、の少なくともいずれか一種を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、塗布層を硬化して硬化層2aを形成する硬化工程とを有する。(化1)R−M−(CH3)n(OR?)3−n。一般式(化1)において、Mは珪素又は金属を表す。Rはアミノ基を有する炭化水素鎖を表す。R?は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、nは、0,1又は2を表す。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性プラスチックキャップの製造方法に関する。
プラスチックキャップは、一般にポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィンからなり、酸素や炭酸ガスのガスバリア性がポリエチレンテレフタレート樹脂と比較して低い。このため、ビールなどの酸化を嫌う内容物又は炭酸ガスを含有する内容物の容器のキャップとして用いると、ガスが透過して、品質が低下する問題があった。そこで、頂板部外面にガスバリア性塗膜層及び耐水性オーバーコート層を形成したプラスチックキャップが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、プラスチック成形体の表面にガスバリア性を有する硬化層を設けた被覆プラスチック成形体が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2008−207820号公報 特開2012−193303号公報
特許文献1では、ガスバリア性塗膜層及び耐水オーバーコート層の2層が必須であり、量産性に劣る。また、ガスバリア性塗膜層及び耐水性オーバーコート層の位置合わせを確実に行わないと、ガスバリア性塗膜層の外周縁が露出して、ガスバリア性塗膜層の剥離又は湿度によるガスバリア性の低下が生じるおそれがある。特許文献2の硬化層は、1層だけで優れたガスバリア性及び密着性を発現させることができるが、量産化に適した更なる生産効率の向上が求められる。また、ガスバリア性をより安定的に発現できることが求められる。
本発明の目的は、プラスチックキャップのガスバリア性を、安定的、かつ、効率的に向上させることができるプラスチックキャップの製造方法を提供することである。
本発明に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法は、頂板部と該頂板部の周縁から垂下するスカート部とを有するプラスチックキャップの表面に、ガスバリア性を有する硬化層を形成するガスバリア性プラスチックキャップの製造方法において、前記頂板部の外面若しくは前記頂板部の内面のいずれか一方又は両方に、一般式(化1)で表される化合物を含有する塗布液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層に、(a)大気圧プラズマ処理、(b)真空プラズマ処理又は(c)電子ビーム照射、の少なくともいずれか一種を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、前記塗布層を硬化して前記硬化層を形成する硬化工程とを有することを特徴とする。
(化1)R−M−(CH(OR´)3−n
一般式(化1)において、Mは珪素又は金属を表す。Rはアミノ基を有する炭化水素鎖を表す。R´は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、nは、0,1又は2を表す。
本発明に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、前記プラスチックキャップは、前記頂板部の内面にインナーリングが形成され、前記硬化層が、前記頂板部の内面のうち前記インナーリングの内側に形成されることが好ましい。密閉性及び開栓性に悪影響を及ぼすことなく、ガスバリア性を向上させることができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、前記頂板部の外面に前記硬化層を形成し、該硬化層を設けた面に印刷を施す印刷工程を有することが好ましい。印刷付きのプラスチックキャップについてガスバリア性を向上することができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、前記頂板部の外面に塗布層を形成する外面塗布工程と、前記外面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する外面硬化工程と、前記頂板部の内面に塗布層を形成する内面塗布工程と、前記内面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する内面硬化工程と、を順に行う工程流れAを有するか、又は、前記頂板部の内面に塗布層を形成する内面塗布工程と、前記内面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する内面硬化工程と、前記頂板部の外面に塗布層を形成する外面塗布工程と、前記外面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する外面硬化工程と、を順に行う工程流れBを有することが好ましい。頂板部の両面に硬化層をより効率的に設けることができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、前記硬化工程が、少なくとも(b)真空プラズマ処理を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、前記塗布層を硬化して硬化層を形成する工程であり、かつ、プラズマ化させるガス種としてプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)薄膜形成用の原料ガスを含ませてプラズマCVD薄膜を形成する成膜工程を兼ねることが好ましい。ガスバリア性がより高いプラスチックキャップを得ることができる。
本発明は、プラスチックキャップのガスバリア性を、安定的、かつ、効率的に向上させることができるプラスチックキャップの製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの一例を示す破断面図であり、容器の口部に装着した状態を示す。 本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの別の例であり、頂板部の部分拡大断面図である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
(プラスチックキャップ)
図1は、本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの一例を示す破断面図であり、容器の口部に装着した状態を示す。プラスチックキャップ1は、頂板部10と、頂板部10の周縁から垂下するスカート部11とを有する。頂板部10の内面10bには、インナーリング12とアウターリング13とが形成されていることが好ましい。インナーリング12は容器口部20の内面に当接し、アウターリング13は容器口部20の外面に当接する。スカート部11の内面には容器口部20と螺合する螺子部14が形成されている。本実施形態は、プラスチックキャップ1の形状に限定されない。変形形態としては、例えば、容器口部20と螺子部14で螺合する形態に変えて、容器口部20と突起(不図示)で係合する形態、インナーリング12を有さない形態である。
プラスチックキャップ1は、例えばポリエチレン又はポリプピレンなどのポリオレフィン樹脂を主成分とし、圧縮成形、射出成形法などの成形法で成形される。本実施形態は、プラスチックキャップ1の材質及び成形法に限定されない。また、図1ではインナーリング12が頂板部10と一体に成形されたワンピースキャップである形態を示したが、インナーリング12に相当する別体のパッキン(不図示)を頂板部10の内面10bに取り付けたツーピースキャップであってもよい。
(第一実施形態)
(第一例:硬化層を頂板部の外面だけに設ける方法)
第一例として、硬化層2aを、頂板部10の外面10aだけに設ける方法について説明する。本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法は、頂板部10と頂板部10の周縁から垂下するスカート部11とを有するプラスチックキャップ1の表面に、ガスバリア性を有する硬化層2aを形成するガスバリア性プラスチックキャップの製造方法において、頂板部10の外面10aに、一般式(化1)で表される化合物を含有する塗布液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、塗布層に、(a)大気圧プラズマ処理、(b)真空プラズマ処理又は(c)電子ビーム照射、の少なくともいずれか一種を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、塗布層を硬化して硬化層2aを形成する硬化工程とを有する。
(化1)R−M−(CH(OR´)3−n
一般式(化1)において、Mは珪素又は金属を表す。Rはアミノ基を有する炭化水素鎖を表す。R´は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、nは、0,1又は2を表す。
(塗布工程)
まず、一般式(化1)で表される化合物について説明する。一般式(化1)において、Mは、珪素(Si)又は金属である。金属は、チタン(Ti)、ジルニウム(Zr)であることが好ましい。本実施形態では、Mが、珪素であることが、特に好ましい。安価な化合物とすることができ、また、得られる硬化層2aを安全、かつ、比較的柔軟な構造にすることができる。
一般式(化1)において、Rは、アミノ基を有する炭化水素鎖である。アミノ基は、−NH,=NH又は−NH−である。アミノ基は、炭化水素鎖の末端にあることがより好ましい。Rは、直鎖状で、炭素数が3〜5であることが好ましい。これによって、得られる硬化層2aを比較的緻密、かつ、柔軟な構造にすることができる。
一般式(化1)において、R´は炭素数1〜4のアルキル基である。R´は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である。この中で、R´がメチル基であることがより好ましい。すなわち、OR´が、メトキシ基であることが好ましい。なお、R′として、アセチル基又はアシル基を有する構造にすることもできるが、硬化速度の観点から、アルキル基とすることが好ましい。
一般式(化1)において、nは、0,1又は2を表す。nは、1であることが好ましく、0であることがさらに好ましい。
一般式(化1)で表される化合物は、公知のアミン系カップリング剤を利用することができる。例えば、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシチタン、3‐アミノプロピルトリメトキシジルコニウムである。この中で、Mが珪素であり、かつ、OR´がメトキシ基である点で、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、Mが珪素であり、かつ、OR´がメトキシ基であり、かつ、nが0である点で、3‐アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
一般式(化1)で表される化合物が、3‐アミノプロピルトリメトキシシランなどのように、Mが珪素であり、かつ、OR´がメトキシ基であり、かつ、nが0であると、硬化層2aをガスバリア性が高く、かつ、緻密な構造にすることができる。一方で、比較的硬質でクラックが生じやすい構造となる傾向はあるが、前述した通り、炭化水素鎖の構造を適切にすることで、得られる層の柔軟性を確保し、かつ、硬化時のクラック発生を抑制することができる。
総合して、一般式(化1)で表される化合物は、一般的にアミン系カップリング剤として用いられるものであり、安全で、かつ、比較的安価に入手することができる。あわせて、一定のガスバリア性向上効果を期待できる。また、アミノ基を含有することで、ポリプロプレン又はポリエチレンとの密着性を確保することができる。さらに、薄膜との密着性にも優れ、より高いガスバリア性を確保できる。さらに、一般式(化1)において、OR´をメトキシ基とし、nを0とし、Rを前記の炭素数を有する炭化水素鎖を含有することで、アミノ基を含有する化合物全体を常温・常圧下で安定に保存可能な構造とできる。
塗布層を硬化させて得られる硬化層2aは、ガスバリア層としての役割をもつ。硬化層2aにおいて、一般式(化1)からなる化合物の分子中のアルコキシシラン構造(−Si−OR´)が、例えば、空気中の水分によって、加水分解して、シラノール基(−Si−OH)を形成すると、分子間で縮合反応によってシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。このシロキサン結合が三次元のネットワークを形成することで、理由は定かではないが、硬化層2aが、プラスチックキャップ1との高い密着性及び高いガスバリア性を発揮する。一般式(化1)で表される化合物は、一般的にアミン系カップリング剤として用いられるものであるが、カップリング剤は、一般的に、分子構造の両端にそれぞれ性質の異なる官能基を有し、それぞれの官能基が、化学的な性質の異なる表面(例えば、有機物の表面と無機物の表面)に結合することで、両者を結びつける役割をもつ。よって、主としてガスバリア薄膜を形成するためのプライマー層又はアンカーコート層として利用されることが多い。そして、このような一般的な利用方法では、例えば、有機物がポリプロピレン又はポリエチレンである場合には、これらに結合しやすい官能基としてビニル基又はメタクリロキシ基を有するカップリング剤が適していることが知られている。しかし、本発明では、アミノ基を有するカップリング剤を選択することから、このアミノ基を有するカップリング剤をカップリング剤としての一般的な利用方法で使用するものではないといえる。本発明では、アミノ基を有するカップリング剤を使用することで、その理由は定かではないが、硬化層2a自体が高いガスバリア性を有するガスバリア層として作用する。
一般式(化1)で表される化合物は、安定で適度な粘性を有する化合物であることから、溶剤を用いずに、一般式(化1)で表される化合物からなる塗布液を、プラスチックキャップ1の所定の表面上に塗布することができる。そして、溶媒を用いないので、塗布後の乾燥において、溶媒が揮発する際に形成される空孔によって、ガスバリア性が低下することがない。塗布工程は、常圧又は減圧下において、層形成できる手法であることが好ましい。その塗布方法は、特に限定されず、塗布又は噴霧と呼ばれる各種手法を用いることができる。具体例としては、キャップ天面印刷機による塗布、スプレーコートによる塗布、スピンコートによる塗布、ディップコートによる塗布、バーコートによる塗布、真空中での蒸発又は噴霧による塗布である。塗布層の厚さは、特に限定はないが、塗布層を硬化して得られる硬化層2aの厚さが、0.5nm〜100μmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、5nm〜30μmである。特に好ましくは50nm〜50μmである。更に好ましくは、100nm〜300nmである。0.5nm未満では、均一な硬化層2aが得られない場合がある。100μmを超えると、硬化時間が増加して、不経済である。表面の活性化といった表面改質効果は単分子層であっても得られるが、5nm以上の厚さとすることで高い密着性向上の効果を安定的に得ることができる。ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィンは、化学的に不活性な高分子からなり、かつ、球晶の性質及び成形性の影響によって、表面が粗くなる傾向にあるが、50nm以上の厚さとすることで表面の平滑化効果及び硬化層2a自体のガスバリア性発現の効果が得られやすい。一方で、厚さが100μmを超えると、硬化時間の増加及び経済性の低下が顕著となってくる。
塗布層は、頂板部10の外面10aに設ける。塗布層は、頂板部10の内面10bにインナーリング12が設けられている場合は、頂板部10の外面10aのうち、少なくともインナーリング12が設けられている領域の全面に設けることが好ましく、頂板部10の外面の全面に設けることがより好ましい。
(親水処理工程)
本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、塗布工程の前に、塗布液を塗布する予定面に対して、濡れ性を高める処理を行う親水処理工程を有することが好ましい。親水処理工程を行うことで、塗布液を均一に分布させることができる。濡れ性を高める処理は、例えば、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、真空プラズマ処理、少なくとも頂板部を形成する樹脂中にマレイン酸を練りこむ処理である。これらの処理は、一種又は二種以上を併用してもよい。大気圧プラズマ処理又は真空プラズマ処理で用いるガスは、例えば、空気、アルゴン、酸素である。
(硬化工程)
一般式(化1)で表される化合物は、プラスチックキャップ1の表面に塗布して、常温・常圧の環境下に放置しておくだけで、特別な硬化開始剤の添加なしに、縮合反応が進行して硬化していく。しかし、放置するだけで硬化させる方法では量産性に劣る。また、得られる硬化層2aのガスバリア性の再現性が劣る場合がある。そこで、本実施形態に係る製造方法では、塗布層に、(a)大気圧プラズマ処理、(b)真空プラズマ処理又は(c)電子ビーム照射、の少なくともいずれか一種を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、塗布層を硬化して硬化層2aを形成する。これらの処理は、一種又は二種以上を併用してもよい。これらの処理を行うことで、硬化時間を短縮することができる。また、高いガスバリア性を有する硬化層を安定して形成することができる。大気圧プラズマ処理又は真空プラズマ処理で用いるガスは、例えば、空気、アルゴン、酸素である。硬化処理時間は長くするほどガスバリア性が高くなる傾向にある。例えば、硬化処理がプラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)を用いた真空プラズマ処理である場合では、硬化処理時間は200秒以上であることが好ましく、400秒以上であることがより好ましい。硬化処理がプラズマCVD成膜装置(ユーテック社製 PNS1)装置を用いた真空プラズマ処理工程であり、かつ、プラズマ化させるガス種としてプラズマCVD薄膜形成用の原料ガスを含ませてプラズマCVD薄膜3を形成する成膜工程を兼ねる場合では、硬化処理時間は0.5秒以上であることが好ましく、1秒以上であることが好ましい。ただし、作業効率の観点から、いずれの処理も処理時間は30分未満とすることが好ましく、10分未満であることがより好ましい。
硬化層2aは、構成元素として、M(珪素又は金属)、O(酸素)、C(炭素)、N(窒素)及びH(水素)を含む。硬化層2aは、Mの元素濃度を1とした場合に、元素濃度比で、Oを3.0〜4.5、Cを3.0〜16.5、Nを0.5〜2.5含有する層であることが好ましい。より好ましくは、Mの元素濃度を1とした場合に、元素濃度比で、Oを3.1〜4.2、Cを3.3〜16.2、Nを0.9〜2.1含有する。Oの元素濃度及びCの元素濃度を前記範囲とすることで、飲料又は食品に多い弱酸性〜中性域の内容物に直接又は間接に接触しても物理化学的に安定な層とすることができる。また、Nの元素濃度を前記範囲とすることで、硬化層2a自体のガスバリア性向上効果を得ることができる。さらに、プラスチックキャップ1と硬化層2aとの密着性を確保することができる。また、硬化層2a上に、薄膜を形成する場合において、薄膜の密着性を確保することができる。M、O、C及びN元素濃度は、各種元素分析法によって測定することができる。例えば、X線光電子分光分析(XPS分析)による方法、走査型電子顕微鏡(SEM)に併設されているエネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)装置を用いる方法である。
図2は、本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの別の例であり、頂板部の部分拡大断面図である。本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、硬化工程が、少なくとも(b)真空プラズマ処理を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、塗布層を硬化して硬化層2aを形成する工程であり、かつ、プラズマ化させるガス種としてプラズマCVD薄膜形成用の原料ガスを含ませてプラズマCVD薄膜3を形成する成膜工程を兼ねることが好ましい。プラズマCVD薄膜3は、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、SiOx膜である。プラズマCVD薄膜3を設けることで、ガスバリア性がより高いプラスチックキャップを得ることができる。DLC膜の形成については、例えば、特開平8−53116号公報、特開平8−53117号公報、特開平9−272567号公報又は特開平10−226884号公報がある。プラズマ化させるガス種は、例えば、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類である。特に、アセチレン、炭素数が6以上のベンゼン、トルエン、o‐キシレン、m‐キシレン、p‐キシレン、シクロヘキサンがより好ましい。これらのガス種は、単独で用いるか、又は2種以上を併用してもよい。さらに、これらのガス種をアルゴン又はヘリウムなどの希ガスで希釈して用いてもよい。ガスバリア薄膜がSiOx膜であるときは、DLC膜の製造装置において、プラズマ化させるガス種として、例えば、テトラメチルシランを用いることでSiOx膜を形成することができる。
硬化工程が成膜工程を兼ねることで、縮合反応が完了する前から硬化層2a上にプラズマCVD薄膜が形成される。そうすると、縮合反応が完了した後に成膜工程を行う場合よりも、より高いガスバリア性を生じさせることができる。また、硬化工程は、成膜工程において同時に進行するため、総工程時間を短縮することができ、より効率的にガスバリア性プラスチックキャップを製造することができる。
プラズマCVD薄膜3を設けるとき、硬化層2aは、ガスバリア層としての役割に加えて、プラスチックキャップ1とプラズマCVD薄膜3との密着層としての役割及びプラズマCVD薄膜3の性能を発現させる下地層としての役割をもつ。プラスチックキャップ1がポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィンからなり、表面に凹凸を有する場合に、硬化層2aが形成されることによって、表面を平滑化して、成膜に適した表面となり、その上に形成される薄膜性能(例えば、ガスバリア性)を良好に発現させることができる。
プラズマCVD薄膜3の厚さは、5〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、10〜80nmである。5nm未満であると、ガスバリア性又はその他の機能が得られない場合がある。100nmを超えると、内部応力によりクラックが生じ、ガスバリア性又はその他の機能が低下する場合がある。
(印刷工程)
本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、頂板部10の外面10aに硬化層2aを形成し、硬化層2aを設けた面に印刷を施す印刷工程を有することが好ましい。印刷付きのプラスチックキャップについてガスバリア性を向上することができる。硬化層2aを形成する前に印刷工程を行うと、塗布液が印刷部分ではじかれて、硬化層2aの密着性が不足する場合がある。また、一般的に印刷工程に先立って表面の親水処理が必要とされるところ、本実施形態に係る製造方法では、塗布工程の前に親水処理を行うことで印刷工程前の親水処理を省略することができる。
印刷方法は、特に限定されず、例えば、紫外線硬化インキを用いたドライオフセット印刷、熱硬化性インキを用いたパッド印刷である。
(第二例:硬化層を頂板部の内面だけに設ける方法)
第二例として、硬化層2bを、頂板部10の内面10bだけに設ける方法について説明する。硬化層2bを頂板部10の内面10bに設ける方法は、基本的な作業は第一例の硬化層2bを頂板部10の外面10bに設ける方法と同じである。このため、共通する点について説明を省略し、相違する点についてだけ説明する。
硬化層2bを頂板部10の内面10bに設ける場合であって、頂板部10の内面10bにインナーリング12が形成されている場合は、硬化層2bは、頂板部10の内面10bのうち、インナーリング12の内側に設け、インナーリング12の外側には設けないことが好ましい。硬化層2bは頂板部10の内面10bのうち、インナーリング12の内側の全面に設けることがより好ましい。インナーリング12の内側とは、頂板部10の内面10bのうち、インナーリング12で囲まれた領域である。インナーリング12の外側は、アウターリング13、螺子部14などの嵌合に関与する部分であり、これらの部分に硬化層2bが存在すると、密閉性、開栓性が悪くなる場合がある。また、塗布工程の前後に行われる親水処理又は硬化処理によって、嵌合に関与する部分の樹脂が変質(例えば硬化)する場合があり、結果として密閉性、開栓性が悪くなる場合がある。硬化層2bは、インナーリング12の内壁面12aにも更に設けることが好ましい。インナーリング12の内壁面12aに硬化層を形成することで、ガスバリア性をより高めることができる。また、硬化層2aを頂板部10の外面10aに設けた場合と同様に、頂板部10の内面10bに設けた硬化層2bの上に、プラズマCVD薄膜(不図示)を設けてもよい。
(第三例:硬化層を頂板部の外面及び内面の両方に設ける方法)
第三例として、硬化層2a,2bを頂板部10の外面10a及び内面10bの両方に設ける方法について説明する。硬化層2a,2bを頂板部10の外面10a及び内面10bの両方に設ける場合、本実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法では、頂板部10の外面10aに塗布層を形成する外面塗布工程と、外面10aに形成した塗布層を硬化させて硬化層2aを形成する外面硬化工程と、頂板部10の内面10bに塗布層を形成する内面塗布工程と、内面10bに形成した塗布層を硬化させて硬化層10bを形成する内面硬化工程と、を順に行う工程流れAを有することが好ましい。または、頂板部10の内面10bに塗布層を形成する内面塗布工程と、内面10bに形成した塗布層を硬化させて硬化層2bを形成する内面硬化工程と、頂板部10の外面10aに塗布層を形成する外面塗布工程と、外面10aに形成した塗布層を硬化させて硬化層2aを形成する外面硬化工程と、を順に行う工程流れBを有していてもよい。塗布層を硬化させる前にキャップを反転させると、塗布液の垂れ又は搬送機器への付着の問題が生じるおそれがあるところ、工程流れA又は工程流れBを行うことで、塗布層を硬化させた後にキャップが反転されるため、頂板部10の両面に硬化層2a,2bをより効率的に設けることができる。硬化層2a,2bを頂板部10の外面10a及び内面10bの両方に設ける場合、印刷工程を行うタイミングは、外面硬化工程後であればよく、工程流れAでは、印刷工程は、例えば、外面硬化工程後、かつ、内面塗布工程の前に行うか、又は内面硬化工程後に行ってもよい。
硬化層2bは、第二例又は第三例のように、少なくとも頂板部10の内面に設けることが好ましく、少なくとも頂板部10の内面のうちインナーリング12の内側に設けることがより好ましい。プラスチックキャップ1では、ガスは、主として頂板部10の樹脂内を通って透過する(以降、経路1という。)が、一部はスカート部11又は螺子部14及び容器口部20の樹脂内を通って透過する(以降、経路2という。)。硬化層2aを頂板部10の外面10aだけに設けた場合は、経路1のガス透過を抑制することはできるが、経路2のガス透過を抑制することができない。硬化層2bを少なくとも頂板部10の内面10bに設けることで、経路1及び経路2の両方のガス透過を抑制して、ガスバリア性をより高めることができる。
(第二実施形態)
第二実施形態に係るガスバリア性プラスチックキャップの製造方法は、頂板部10と頂板部10の周縁から垂下するスカート部11とを有するプラスチックキャップ1の表面に、ガスバリア性を有する硬化層2aを形成するガスバリア性プラスチックキャップの製造方法において、頂板部10の外面10aに塗布液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、塗布層を硬化して硬化層2aを形成する硬化工程と、硬化層2aの上に、油性インキで印刷を施す印刷工程と、を有する。第一実施形態では、硬化層2aが一般式(化1)で表される化合物を硬化させて形成した層であるが、第二実施形態は、硬化層2aの種類に限定されない。塗布液の塗布方法、硬化処理方法及び印刷方法は、第一実施形態と同じ方法を採用できる。硬化層2aは、例えば、ポリビニルアルコール系、エチレンビニルアルコール共重合体系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系等、ガスバリア機能を有する樹脂から成る公知のガスバリア性塗料を塗布して硬化させた塗膜層である。
次に、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
(実施例1)
プラスチックキャップとして、直径28mm、重量2.6g、頂板部の肉厚1.2mm、高密度ポリエチレン(HDPE)製のPCO1810規格のワンピースキャップを用意した。
(外面親水化処理工程)
キャップ頂板部の外面を、プラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)内で、出力についてハードモードを選択して空気プラズマにより30秒間処理し、親水化した。電流表示値は10mAであった。
(外面塗布工程)
スピンコーター(mikasa社製 MS‐A100)を用いて、1000rpm、10sの条件で、塗布液として3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、KBM903)10μLを用い、約1μmの厚さにスピンコートして塗布層を形成した。
(外面硬化工程)
プラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)内で、出力についてハードモードを選択してガスとして空気を用いた真空プラズマ処理(以降、真空空気プラズマ処理ということもある。)によって480秒間処理し、塗布層を硬化させて硬化層を形成し、ガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(外面印刷工程)
キャップ頂板部の外面に、UV硬化インキを用いて印刷を施し、2秒間UV照射してインキを硬化させた。
(実施例2)
実施例1において、外面硬化工程の真空空気プラズマ処理の処理時間を240秒間に変更した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例3)
実施例1において、外面硬化工程を、ガスとして酸素を用いた真空プラズマ処理に変更した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例4)
実施例1において、外面硬化工程をガスとしてアルゴンを用いた真空プラズマ処理に変更した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例5)
実施例1において、外面塗布工程を、塗布液約50μLを滴下し、綿棒を用いて約50μmの厚さにコートして塗布層を形成した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例6)
実施例1において、外面硬化工程を、真空空気プラズマ処理に代えて、真空プラズマ処理がDLC膜の成膜工程を兼ねるようにした以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。DLC膜の形成は、次に説明する成膜工程によって行った。
(外面硬化工程兼成膜工程)
プラズマCVD成膜装置(ユーテック社製 PNS1)を用いて、20nmのDLC膜を形成した。5.0Paに到達するまで減圧し、アセチレンガスを80sccmの流量で供給し、13.56MHzの高周波電力1000Wを2秒間印加した。
(実施例7)
実施例1において、さらに次の3工程を追加した。
(内面親水処理工程)
キャップ頂板部の内面のうち、インナーリングの内側を、プラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)内で、出力についてハードモードを選択して空気プラズマにより30秒間処理し、親水化した。電流表示値は10mAであった。
(内面塗布工程)
キャップ頂板部の内面のうち、インナーリングの内側に、塗布液として3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製 KBM903)1μLを滴下し、約1μmの厚さの塗布層を形成した。
(内面硬化工程)
プラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)内で、出力についてハードモードを選択して空気プラズマにより480秒間処理し、塗布層を硬化させ硬化層を形成した。
(実施例8)
実施例7において、キャップ頂板部の外面に硬化層を設けず、頂板部の内面だけに次のようにして硬化層を設けた。
(内面親水処理工程)
キャップ頂板部の内面のうち、インナーリングの内側を、プラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)内で、出力についてハードモードを選択して空気プラズマにより30秒間処理し、親水化した。電流表示値は10mAであった。
(内面塗布工程)
キャップ頂板部の内面のうち、インナーリングの内側に、塗布液として3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM903)1μLを滴下し、約1μmの厚さの塗布層を形成した。
(内面硬化工程)
プラズマイオンボンバードメント装置(真空デバイス社製 PIB‐10)内で、出力についてハードモードを選択して空気プラズマにより480秒間処理し、塗布層を硬化させ硬化層を形成しガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例9)
実施例1において、外面硬化工程を、真空空気プラズマ処理に代えて、真空プラズマ処理がSiOx膜の成膜工程を兼ねるようにした以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。SiOx膜の形成は、次に説明する成膜工程によって行った。
(外面硬化工程兼成膜工程)
プラズマCVD成膜装置(ユーテック社 PNS1)を用いて、20nmのSiOx膜を形成した。5.0Paに到達するまで減圧し、テトラメチルシランを40sccm、酸素を60sccmの流量で混合した混合ガスを供給し、13.56MHzの高周波電力1000Wを2秒間印加した。
(実施例10)
実施例6において、外面塗布工程を、塗布液をスプレーコート(扶桑精機社製 スプレーガンMK−3)を用いて約100nmの厚さにコートして塗布層を形成した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例11)
実施例1において、外面硬化工程を、真空空気プラズマ処理に代えて、ガスとして空気を用いた大気圧プラズマ(プラズマトリート社製 オープンエアー)にした以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。空気の供給圧を0.3MPa、プラズマ照射時間を480秒とした。
(実施例12)
実施例1において、外面硬化工程を、真空空気プラズマ処理に代えて、電子ビーム照射にした以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。電子ビーム照射は、次に説明する外面硬化工程によって行った。
(外面硬化工程)
電子ビーム照射装置(キリン社製)を用いて、真空チャンバー内にプラスチックキャップを配置し、1.0Paに到達するまで減圧した。続いて、発熱体として、φ0.5mm、長さ44cmのタンタルワイヤー2本を用い、キャップ天面がワイヤーから10cmの位置になるように配置し、発熱体に直流電流を25V印加し、2000℃で6秒間発熱させて、キャップ天面に向けて電子ビームを照射した。
(実施例13)
実施例1において、外面塗布工程を、塗布液をスプレーコート(扶桑精機社製 スプレーガンMK−3)を用いて約100nmの厚さにコートして塗布層を形成した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(実施例14)
実施例1において、外面塗布工程を、塗布液約80μLを滴下し、綿棒を用いて約80μmの厚さにコートして塗布層を形成した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(比較例1)
実施例1において、外面硬化工程を、40℃の熱風を480秒間吹き付けて塗布層を硬化させる工程に変更した以外は同様にしてガスバリア性プラスチックキャップを得た。
(比較例2)
プラスチックキャップに、以下の方法でDLC膜を成膜してガスバリア性プラスチックキャップを得た。DLC膜の形成は、次に説明する成膜工程によって行った。
(成膜工程)
プラズマCVD成膜装置(ユーテック社 PNS1)を用いて、20nmのDLC膜を形成した。5.0Paに到達するまで減圧し、アセチレンガスを80sccmの流量で供給し、13.56MHzの高周波電力1000Wを2秒間印加した。
(参考例1)
実施例1で用いたプラスチックキャップと同種のプラスチックキャップを参考例1とした。
(参考例3)
アルミキャップとして、直径28mm、重量4.0g、頂板部の肉厚2.0mm、シェルはアルミニウム製、パッキンはエラストマー樹脂製のPCO1810規格のツーピースキャップを用意した。
得られた実施例及び比較例のガスバリア性プラスチックキャップについて、次の方法で評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ガスバリア性‐OTR)
酸素透過度(OTR)は、酸素透過度測定装置(型式:Oxtran 2/21、Modern Control社製)を用いて、キャップを、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルから切り出したボトル口部に装着した状態で測定した。キャップ内部を23℃、90%RHの窒素、キャップ外部を23℃、50%RHの空気、の条件にて測定し、測定開始から24時間コンディションし、測定開始から72時間経過後の値とした。
(ガスバリア性‐BIF)
ガスバリア性の向上率をBIF(Barrier Improvement Factor)で評価した。BIFは数1で求めた。
(数1)BIF=[未被覆のプラスチックキャップ(参考例1)の酸素透過度]/[実施例又は比較例のガスバリア性プラスチックキャップの酸素透過度]
(膜厚)
硬化層の膜厚を、触針式段差計(型式:α‐ステップ ケーエルエーテン社製)を用いて測定した。
(密着性)
印刷部分、硬化層又はDLC膜、SiOx膜などのプラズマCVD薄膜の上にセロテープ(登録商標)を接着した後、一気に剥がし、剥離状態を目視で確認した。評価基準は次のとおりである。
○:剥離なし(実用レベル)
△:一部に剥離あり(実用不適)
×:全体的に剥離あり(実用不適)
(耐水性)
硬化層を設けた面に、容器の熱水殺菌状態を想定して70℃の湯を30分間噴射した。その後、密着性評価を行った。密着性評価の方法及び評価基準は前記のとおりである。
(参考例2)
実施例1において、外面親水処理工程、外面印刷工程、外面塗布工程、外面硬化工程の順に変更した。参考例2は、印刷のタイミングを確認するための例である。また、参考例2についても、実施例1と同様の評価を行った。
(印刷タイミングの適性確認)
実施例1〜7、9〜14、比較例1,2及び参考例2について、印刷タイミングの適性確認の評価を行った。頂板部の外面に、硬化層及び印刷部分を形成することができ、密着性評価が実用レベルである、印刷付きガスバリア性プラスチックキャップを得ることができた場合を○、印刷付きガスバリア性プラスチックキャップを得ることができなかった場合を×とした。
Figure 2015063317
各実施例は、いずれも、参考例1と比較してガスバリア性が向上しており、また、密着性、耐水性が良好であった。実施例7は、外面及び内面の両方で、密着性及び耐水性が良好であった。実施例1と実施例2とを比較すると、硬化処理の時間を延長するほどガスバリア性に優れることが確認できた。また、実施例1と実施例6とを比較すると、硬化層の上にプラズマCVD薄膜としてDLC膜を形成することで、ガスバリア性の更なる向上ができることが確認できた。実施例1と実施例7,8とを比較すると、頂板部の内面に硬化層を設けると、硬化層を頂板部の外面だけに設けた場合と比較してガスバリア性がより優れることが確認できた。また、実施例9によればプラズマCVD薄膜がSiOxであってもガスバリア性の更なる向上ができることが確認できた。実施例10と比較例2とを比較すると、比較例2は硬化層を設けずキャップ上にDLC膜を直接形成したためガスバリア性の向上が見られなかったのに対して、実施例10は硬化層の上にDLC膜を形成したためガスバリア性の向上が見られた。この結果から、硬化層がDLC膜の下地層として機能することが確認できた。実施例11,12によれば、硬化処理が大気プラズマ処理又は電子ビーム照射であっても硬化層を形成できることが確認できた。参考例3の金属キャップは、ガスバリア性の数値目標の一つである。各実施例では、BIFが参考例3の金属キャップと同じであるか、又はそれ以上であり、有用であるといえる。
比較例1は、硬化処理が40℃の熱風を吹き付ける処理であったため、ガスバリア性の向上が認められなかった。また、密着性、耐水性及び印刷適性が劣った。
各実施例は、印刷タイミングも良好であった。参考例2は、印刷工程後に塗布工程を行ったため、塗布液が印刷部分ではじかれて硬化層の密着性が劣り、ガスバリア性も発現しなかった。各実施例と参考例2とを比較すると、印刷工程は、外面硬化工程後に行うことで、印刷付きガスバリア性プラスチックキャップが得られることが確認できた。
1 プラスチックキャップ
2a,2b 硬化層
3 プラズマCVD薄膜
10 頂板部
10a 外面
10b 内面
11 スカート部
12 インナーリング
13 アウターリング
14 螺子部
20 容器口部

Claims (5)

  1. 頂板部と該頂板部の周縁から垂下するスカート部とを有するプラスチックキャップの表面に、ガスバリア性を有する硬化層を形成するガスバリア性プラスチックキャップの製造方法において、
    前記頂板部の外面若しくは前記頂板部の内面のいずれか一方又は両方に、一般式(化1)で表される化合物を含有する塗布液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、
    前記塗布層に、(a)大気圧プラズマ処理、(b)真空プラズマ処理又は(c)電子ビーム照射、の少なくともいずれか一種を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、前記塗布層を硬化して前記硬化層を形成する硬化工程とを有することを特徴とするガスバリア性プラスチックキャップの製造方法。
    (化1)R−M−(CH3)n(OR´)3−n
    一般式(化1)において、Mは珪素又は金属を表す。Rはアミノ基を有する炭化水素鎖を表す。R´は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、nは、0,1又は2を表す。
  2. 前記プラスチックキャップは、前記頂板部の内面にインナーリングが形成され、
    前記硬化層が、前記頂板部の内面のうち前記インナーリングの内側に形成されることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性プラスチックキャップの製造方法。
  3. 前記頂板部の外面に前記硬化層を形成し、該硬化層を設けた面に印刷を施す印刷工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性プラスチックキャップの製造方法。
  4. 前記頂板部の外面に塗布層を形成する外面塗布工程と、
    前記外面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する外面硬化工程と、
    前記頂板部の内面に塗布層を形成する内面塗布工程と、
    前記内面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する内面硬化工程と、を順に行う工程流れAを有するか、又は、
    前記頂板部の内面に塗布層を形成する内面塗布工程と、
    前記内面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する内面硬化工程と、
    前記頂板部の外面に塗布層を形成する外面塗布工程と、
    前記外面に形成した塗布層を硬化させて硬化層を形成する外面硬化工程と、を順に行う工程流れBを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のガスバリア性プラスチックキャップの製造方法。
  5. 前記硬化工程が、少なくとも(b)真空プラズマ処理を行い、一般式(化1)で表される化合物の縮合反応を進めて、前記塗布層を硬化して硬化層を形成する工程であり、かつ、
    プラズマ化させるガス種としてプラズマCVD薄膜形成用の原料ガスを含ませてプラズマCVD薄膜を形成する成膜工程を兼ねることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のガスバリア性プラスチックキャップの製造方法。
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