JP2015063023A - 熱収縮性多層フィルム及び熱収縮性ラベル - Google Patents

熱収縮性多層フィルム及び熱収縮性ラベル Download PDF

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Abstract

【課題】乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、低温収縮性及び収縮仕上り性に優れ、かつ、経時での低温収縮性の低下が少ない熱収縮性多層フィルムを提供する。また、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供する。【解決手段】ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、前記表裏層の70℃での貯蔵弾性率が1.0?107Pa以上1.0?109Pa未満である熱収縮性多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、低温収縮性及び収縮仕上り性に優れ、かつ、経時での低温収縮性の低下が少ない熱収縮性多層フィルムに関する。また、本発明は、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルに関する。
近年、ペットボトル、金属罐等の容器の多くには、熱収縮性樹脂からなるベースフィルムに印刷等を施した熱収縮性ラベルが装着されている。熱収縮性ラベルを加熱して容器に装着する方法としては、湿熱収縮と乾熱収縮の2種類の方法が広く用いられている。
湿熱収縮は、水蒸気を使用して加熱することにより、熱収縮性ラベルを収縮させ、容器に装着する方法である。一方、乾熱収縮では、水蒸気の代わりに、収縮トンネル等で熱風を使用して加熱を行う。乾熱収縮は、湿熱収縮と比較して水蒸気を使用しないことから衛生面で優れており、また、簡易的な設備でよいという利点を有している。
しかしながら、乾熱収縮においては、湿熱収縮と比較して収縮トンネル内で温度分布が不均一になりやすいため、熱収縮性ラベルにシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生しやすく、優れた収縮仕上り性を実現するのが難しいという課題があった。
このような不具合を防止するため、乾熱収縮を行う際は、低温収縮性に優れ、急激に収縮しにくい熱収縮性ラベルを用いるのが一般的である。現在、乾熱収縮による装着を行う際に使用される熱収縮性ラベルとしては、低温収縮性に優れることからポリスチレン系樹脂フィルムが主流である。
しかしながら、1つの材料のみからなるフィルムを用いたのでは、熱収縮性ラベルに要求される性能を全て満たすことは困難な場合が多い。例えば、ポリスチレン系樹脂フィルムは剛性が低いことから、機械に詰まる等の不具合が発生しやすく、耐熱性及び耐溶剤性も不充分である。ポリスチレン系樹脂フィルムに代えて、耐熱性及び耐溶剤性に優れたポリエステル系樹脂フィルムを用いる試みもなされているが、ポリエステル系樹脂フィルムは低温収縮性が悪く、急激に収縮するため収縮仕上がり性が不充分である。また、熱収縮性ラベルには、容器をリサイクルするために使用後の容器から容易に熱収縮性ラベルを引き剥がせるようにミシン目が設けられていることが多いが、ポリエステル系樹脂フィルムはこのミシン目におけるカット性が悪い。
このような問題を解決するために、ポリスチレン系樹脂からなる中間層と、ポリエステル系樹脂からなる表裏層とを有する多層フィルムが検討されている(例えば、特許文献1〜3)。しかしながら、これらの多層フィルムは、ポリスチレン系樹脂からなる層と、ポリエステル系樹脂からなる層との収縮挙動(軟化挙動)が大きく異なるため、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合には、収縮仕上り性が不充分となる。また、これらの多層フィルムには、時間が経つと低温収縮性が低下し、収縮仕上り性が更に悪化するという問題もある。
ポリスチレン系樹脂からなる層と、ポリエステル系樹脂からなる層との収縮挙動(軟化挙動)の差を調整した多層フィルムとして、例えば、特許文献4に、ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂組成物からなる第1層と、ポリスチレン系樹脂を主成分として含有する樹脂組成物からなる第2層を少なくとも有する積層体において、積層される樹脂組成物の各温度における貯蔵弾性率の差を所定の範囲に収めた積層体が開示されている。
しかしながら、このような積層体であっても、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合には、依然として収縮仕上り性が不充分である。また、時間が経つと低温収縮性が低下するという問題も解決されていない。
特開昭61−41543号公報 特開2002−351332号公報 特開2006−15745号公報 特開2010−240891号公報
本発明は、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、低温収縮性及び収縮仕上り性に優れ、かつ、経時での低温収縮性の低下が少ない熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
本発明は、ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、前記表裏層の70℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa未満である熱収縮性多層フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とを有する熱収縮性多層フィルムにおいて、表裏層の70℃での貯蔵弾性率を所定の範囲とすることで、優れた低温収縮性及び収縮仕上り性が得られることを見出した。本発明者らは、このような優れた低温収縮性は、時間が経っても低下しにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とを有する。
なお、本明細書中、表裏層とは、表面層と裏面層との両方を意味する。従って、本発明の熱収縮性多層フィルムは、中間層が表面層と裏面層とに挟まれた構造を有する。
上記表裏層は、70℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa未満である。70℃での貯蔵弾性率を上記のように比較的低い範囲とすることで、70℃程度の比較的低い温度から、上記表裏層の収縮(軟化)を開始させることができる。即ち、上記表裏層の低温収縮性を高めることができる。これにより、熱収縮性多層フィルム全体の低温収縮性を高めるとともに、上記表裏層と上記中間層との収縮挙動(軟化挙動)の差を緩和し、優れた収縮仕上り性を得ることができる。また、このような優れた低温収縮性は、時間が経っても低下しにくい。
なお、上記貯蔵弾性率は、例えばRheogelE−4000(UBM社製)等の粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度−120℃から150℃、引張モードの条件で測定することができる。
70℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であると、熱収縮性多層フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったりする。なお、自然収縮とは、熱収縮性多層フィルムを常温(20〜23℃)で保管したときにわずかに収縮が生じてしまうことをいう。自然収縮率が大きいと、容器径よりも熱収縮性多層フィルムの径が小さくなり、熱収縮性多層フィルムを容器に装着できないことがある。70℃での貯蔵弾性率の好ましい下限は2.5×10Pa、より好ましい下限は5.0×10Paである。
70℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりする。70℃での貯蔵弾性率の好ましい上限は9.0×10Pa、より好ましい上限は8.0×10Paである。
上記表裏層の70℃以外の温度での貯蔵弾性率は特に限定されないが、75℃では好ましくは1.0×10〜5.0×10Pa、より好ましくは5.0×10〜2.5×10Paであり、80℃では好ましくは1.0×10〜1.0×10Pa、より好ましくは2.5×10〜7.5×10Paであり、90℃では好ましくは1.0×10〜2.5×10Pa、より好ましくは2.0×10〜1.0×10Paであり、100℃では好ましくは8.0×10〜1.0×10Pa、より好ましくは1.0×10〜8.0×10Paである。
また、75〜100℃、好ましくは70〜100℃において、上記表裏層の貯蔵弾性率が上記中間層の貯蔵弾性率よりも小さい([表裏層の貯蔵弾性率]<[中間層の貯蔵弾性率])ことが好ましい。
上記表裏層の貯蔵弾性率を上記中間層の貯蔵弾性率よりも小さくすることで、上記表裏層の収縮(軟化)を、上記中間層の収縮(軟化)よりも先に開始させることができる。これにより、熱収縮性多層フィルムの収縮仕上り性をより一層向上させることができる。この理由としては、下記のように推測される。
一般的に、上記表裏層よりも上記中間層のほうが厚い層構成であることが多い。従って、上記表裏層の貯蔵弾性率が上記中間層の貯蔵弾性率以上であり([表裏層の貯蔵弾性率]≧[中間層の貯蔵弾性率])、上記表裏層よりも先に、上記中間層が収縮(軟化)を開始する場合には、上記中間層が収縮を開始したときに上記表裏層に加えられる応力は比較的大きくなる。そのため、上記中間層が先に収縮を開始すると熱収縮性多層フィルムに負荷が加わり変形するため、シワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が生じやすい。
一方、上記表裏層が、上記中間層よりも先に収縮(軟化)を開始する場合には、上記表裏層が収縮を開始したときに上記中間層に加えられる応力は比較的小さくなる。そのため、上記表裏層が収縮を開始したときには上記中間層は形状を維持することができ、その後、上記中間層が収縮を開始することにより熱収縮性多層フィルム全体が均一に収縮するため、シワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が生じにくい。
上記表裏層の上述した温度での貯蔵弾性率を所望の範囲に調整する方法としては、上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂の組成を調整する方法が好ましい。
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸に由来する成分(ジカルボン酸成分)と、ジオールに由来する成分(ジオール成分)とを有するものである。
上記ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等に由来する成分を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、70℃から75℃のような低温域での貯蔵弾性率を所望の範囲に調整するためには、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸に由来する成分が好適である。
上記ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等に由来する成分を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、70℃から75℃のような低温域での貯蔵弾性率を所望の範囲に調整するためには、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに由来する成分が好適である。
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂としては、具体的には、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有するポリエステル系樹脂を含有することが好ましい。
上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有するポリエステル系樹脂は、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有することが好ましい。このようなポリエステル系樹脂を用いることにより、熱収縮性多層フィルムに高い耐自然収縮性、低温収縮性、耐低温性、耐熱性等を付与することができる。
なかでも、耐低温性及び耐熱性をより高めたい場合には、ジオール成分100モル%のうち、エチレングリコールに由来する成分の含有量が60〜80モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分の含有量が10〜40モル%であることが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、更に、ジオール成分100モル%のうち、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%含有してもよい。ジエチレングリコールに由来する成分を含有させることにより、熱収縮性多層フィルムにより一層高い低温収縮性を付与でき、経時での低温収縮性の低下もより一層抑制することができる。ジエチレングリコールに由来する成分が30モル%を超えると、低温収縮性が高くなりすぎ、容器に熱収縮性多層フィルムを被せた時にシワが入りやすくなったり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。
また、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有するポリエステル系樹脂は、ジオール成分として1,4−ブタンジオールに由来する成分を含有することが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、一般に、ポリブチレンテレフタレート系樹脂と呼ばれる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、70℃から75℃のような低温域では貯蔵弾性率が低く、90℃から100℃以上の高温域では結晶化することで貯蔵弾性率が大きい傾向にある。そのため、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂を用いることで、70℃から75℃のような低温域での貯蔵弾性率だけではなく、90℃から100℃以上の高温域での貯蔵弾性率も所望の範囲に調整しやすくなる。これにより、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性をより一層向上させるとともに、経時での低温収縮性の低下をより一層抑制することができる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するポリエステル系樹脂と、併用されることが好ましい。このような混合樹脂を用いることで、上記表裏層の上述した温度での貯蔵弾性率を所望の範囲に更に調整しやすくなる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、テレフタル酸に由来する成分と1,4−ブタンジオールに由来する成分のみからなるポリブチレンテレフタレート系樹脂のほか、テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分及び/又は1,4−ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分を含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂であってもよい。
なお、上記テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分の含有量は、ジカルボン酸成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%を超えると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。また、上記1,4−ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分の含有量は、ジオール成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%を超えると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂のガラス転移温度の好ましい下限は0℃、好ましい上限は60℃である。上記ガラス転移温度が0℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。上記ガラス転移温度が60℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりすることがある。
なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)で測定することができる。
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂全体における上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量は、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が30重量%である。上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が5重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりすることがある。上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が30重量%を超えると、熱収縮性多層フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったり、印刷時のインキ飛びの要因となるフィッシュアイが多くなったりすることがある。上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は25重量%である。
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は55℃、好ましい上限は95℃である。上記ビカット軟化温度が55℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。上記ビカット軟化温度が95℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりすることがある。上記ビカット軟化温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は90℃である。
なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で測定することができる。
上記表裏層を構成するポリステル系樹脂の市販品としては、例えば、「EmbraceLv」(イーストマンケミカル社製)、「ベルペット」(ベルポリエステルプロダクツ社製)、「ノバデュラン」(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)等が挙げられる。
上記中間層の貯蔵弾性率は特に限定されないが、70℃では好ましくは1.0×10〜1.0×10Pa、より好ましくは2.5×10〜9.0〜10Paであり、75℃では好ましくは5.0×10〜8.0×10Pa、より好ましくは7.5×10〜6.0×10Paであり、80℃では好ましくは2.5×10〜5.0×10Pa、より好ましくは5.0×10〜2.5×10Paであり、90℃では好ましくは5.0×10〜7.5×10Pa、より好ましくは7.5×10〜5.0×10Paであり、100℃では好ましくは1.0×10〜5.0×10Pa、より好ましくは2.0×10〜2.5×10Paである。
上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂の組成を調整することにより、上記中間層の上述した温度での貯蔵弾性率を所望の範囲に調整することができる。
具体的には、例えば、上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂として、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体とゴム変性耐衝撃性ポリスチレンとの混合樹脂、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体やゴム変性耐衝撃性ポリスチレンを単独で用いることが好ましい。
これらのポリスチレン系樹脂を用いることで、本発明の熱収縮性多層フィルムは低温から収縮を開始することができ、また、高収縮性を有する。
本明細書中、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体とは、芳香族ビニル炭化水素に由来する成分と、共役ジエンに由来する成分とを含有する共重合体をいう。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記共役ジエンは特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、特に熱収縮性に優れることから、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)を含有することが好ましい。
なお、上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂としてSBS樹脂を用いる場合、上記中間層の貯蔵弾性率は、SBS樹脂の構造に起因する。そのため、SBS樹脂の構造を調整することで、上記中間層の上述した温度での貯蔵弾性率を所望の範囲に調整することができる。例えば、SBS樹脂がピュアブロック構造である場合、SBS樹脂の動的粘弾性は、低温域では−100℃から−80℃に、高温域では65℃から85℃に大きな変曲点を有する。上記高温域の変曲点を低温側に変化させる方法としては、例えば、ランダム構造を加える方法を挙げることができる。また、上記高温域の変曲点を高温側に変化させる方法としては、例えば、グラフト構造やホモポリスチレンを加える方法を挙げることができる。
また、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、よりフィッシュアイの少ない熱収縮性多層フィルムを作製するためには、上記共役ジエンとして2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を用いたスチレン−イソプレン共重合体(SIS樹脂)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBS)等を含有することが好ましい。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体がSBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂を単独又は複数で含有する場合には、特に熱収縮性に優れた熱収縮性多層フィルムが得られることから、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜35重量%であることが好ましい。上記スチレン含有量が90重量%を超えるか、上記共役ジエン含有量が10重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムにテンションをかけたときに切れ易くなったり、印刷等の加工時に思いもよらず破断したりすることがある。上記スチレン含有量が65重量%未満であるか、上記共役ジエン含有量が35重量%を超えると、成形加工時にゲル等の異物が発生しやすくなったり、熱収縮性多層フィルムの腰が弱くなったりして、取り扱い性が悪化することがある。
本明細書中、芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、芳香族ビニル炭化水素に由来する成分と、脂肪族不飽和カルボン酸エステルに由来する成分とを含有する共重合体をいう。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体において例示した芳香族ビニル炭化水素と同様の芳香族ビニル炭化水素を用いることができる。上記脂肪族不飽和カルボン酸エステルは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの両方を示す。
上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体として、スチレン−ブチルアクリレート共重合体を用いる場合には、上記スチレン−ブチルアクリレート共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が60〜90重量%、ブチルアクリレート含有量が10〜40重量%であることが好ましい。このような組成の芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体を用いることで、熱収縮性に優れた熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂は特に限定されないが、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体20〜80重量%と、上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体20〜80重量%との混合樹脂であることが好ましい。
上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンとは、スチレン、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルの3元共重合体からなる連続相と、共役ジエンを主体とするゴム成分からなる分散相とで構成されるものを基本とするものである。
上記連続相を形成するメタクリル酸アルキルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が、アクリル酸アルキルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
上記連続相を形成する共重合体中のスチレンの割合は20〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。メタクリル酸アルキルの割合は10〜50重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルの割合は1〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分としては、ポリブタジエン、又は、スチレン含有量が5〜30重量%のスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分の粒子径は0.1〜1.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.3〜0.8μmである。粒子径が0.1μmを下回ると、耐衝撃性が不充分となることがあり、1.2μmを上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンにおいて、スチレン、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルの3元共重合体からなる連続相の割合は70〜95重量%、共役ジエンを主体とするゴム成分からなる分散相の割合は5〜20重量%が好ましい。上記分散相の割合が5重量%を下回ると、耐衝撃性が不充分となることがあり、20重量%を上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は60℃、好ましい上限は85℃である。上記ビカット軟化温度が60℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。上記ビカット軟化温度が85℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりすることがある。上記ビカット軟化温度のより好ましい下限は65℃、より好ましい上限は80℃である。
なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で測定することができる。
上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂の200℃でのMFR(melt flow rate)の好ましい下限は1g/10分、好ましい上限は15g/10分である。200℃でのMFRが1g/10分未満であると、連続生産工程において熱収縮性多層フィルムが滞留し、ゲル等の異物が発生しやすくなることがある。200℃でのMFRが15g/10分を超えると、製膜工程において圧力が充分にかからず、熱収縮性多層フィルムの厚み変動が大きくなることがある。200℃でのMFRのより好ましい下限は1.5g/10分、より好ましい上限は10g/10分である。
なお、MFRは、ISO1133に準拠した方法で測定することができる。
上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂の市販品としては、例えば、「クリアレン」(電気化学工業社製)、「アサフレックス」(旭化成ケミカルズ社製)、「Styrolux」(BASF社製)、「PSJ−ポリスチレン」(PSジャパン社製)等が挙げられる。
上記表裏層と上記中間層との間により高い層間接着強度が求められる場合には、本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記表裏層と上記中間層とが、接着層を介して積層されてなることが好ましい。
上記接着層を構成する接着性樹脂としては、一般的に市販されているものであれば特に限定されないが、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、又は、これらの変性物、或いは、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂(本明細書中、混合樹脂(a)ともいう)、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの混合樹脂(本明細書中、混合樹脂(b)ともいう)が好ましい。このような接着層は、上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂、上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂のいずれもと親和性が高く、両者を高い強度で接着することができる。また、上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂を溶解する溶剤に溶解又は膨潤することから、センターシール時には、溶剤が熱収縮性多層フィルムの内部にまで浸透することができ、その後の熱収縮時に層間剥離が生じるのを防止することができる。更に、上記中間層と上記表裏層とともに共押出法により成形可能であることから、生産性にも優れる。
上記スチレン系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、ポリイソプレン又はポリブタジエンとポリイソプレンとの共重合体とからなる樹脂、及び、これらの水素添加物等が挙げられる。なお、上記水素添加物は、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
上記スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、「タフテック」、「タフプレン」(いずれも旭化成ケミカルズ社製)、「クレイトン」(クレイトンポリマージャパン社製)、「ダイナロン」(JSR社製)、「セプトン」(クラレ社製)等が挙げられる。
上記スチレン系エラストマーの変性物としては、例えば、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基及び水酸基等の官能基によって変性されたものが挙げられる。
上記スチレン系エラストマーの変性物における上記官能基の含有量の好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は5.0重量%である。上記官能基の含有量が0.05重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。上記官能基の含有量が5.0重量%を超えると、上記官能基を付加する際にスチレン系エラストマーが熱劣化し、ゲル等の異物が発生しやすくなることがある。上記官能基の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3.0重量%である。
上記ポリエステル系エラストマーは、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとしての芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントとしてのポリアルキレンエーテルグリコール又は脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。更に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
上記ポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、(i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、(ii)芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルと、(iii)ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが好ましい。
上記炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオール、並びに、上記芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとしては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般的に用いられるものを用いることができる。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び/又は1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量の好ましい下限は400、好ましい上限は6000である。数平均分子量を400以上とすることで、共重合体のブロック性が高くなる。数平均分子量を6000以下とすることで、系内での相分離が起こり難く、ポリマー物性が発現しやすくなる。数平均分子量のより好ましい下限は500、より好ましい上限は3000、更に好ましい下限は600である。
なお、上記数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものをいう。また、上記GPCのキャリブレーションは、例えば、POLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキット(英国POLYMER LABORATORIES社製)を使用することにより行うことができる。
上記ポリエステルポリエーテルブロック共重合体における上記ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が90重量%である。上記ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が5重量%以上であると、ブロック共重合体が柔軟性及び耐衝撃性に優れるものとなる。上記ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が90重量%以下であると、ブロック共重合体が硬度及び機械強度に優れるものとなる。上記ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量のより好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は80重量%であり、更に好ましい下限は55重量%である。
なお、上記ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を用い、水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
上記ポリエステル系エラストマーの市販品としては、「プリマロイ」(三菱化学社製)、「ペルプレン」(東洋紡績社製)、「ハイトレル」(東レ・デュポン社製)等が挙げられる。
上記ポリエステル系エラストマーの変性物(以下、変性ポリエステル系エラストマーともいう)とは、上記ポリエステル系エラストマーを、変性剤を用いて変性させたものである。
上記変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性反応は、例えば、上記ポリエステル系エラストマーに変性剤としてのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を反応させることによって行われる。上記変性反応に際しては、ラジカル発生剤を使用するのが好ましい。
上記変性反応においては、上記ポリエステル系エラストマーに上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体が付加するグラフト反応が主として起こるが、分解反応も起こる。その結果、上記変性ポリエステル系エラストマーは、分子量が低下して溶融粘度が低くなる。
また、上記変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応等も起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料等を含む組成物となる。この場合、得られる反応物中の上記変性ポリエステル系エラストマーの含有量の好ましい下限は10重量%、より好ましい下限は30重量%である。また、上記変性ポリエステル系リラストマーの含有量は、100重量%に近いほど好ましい。
上記変性ポリエステル系エラストマーの変性率(グラフト量)の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10.0重量%である。変性率が0.01重量%以上であることで、上記変性ポリエステル系エラストマーと、ポリエステルとの親和性が高くなる。変性率が10.0重量%以下であることで、変性時の分子劣化による強度低下を小さくすることができる。変性率のより好ましい下限は0.03重量%、より好ましい上限は7.0重量%であり、更に好ましい下限は0.05重量%、更に好ましい上限は5.0重量%である。
上記変性ポリエステル系エラストマーの変性率(グラフト量)は、H1−NMR測定により得られるスペクトルから、下記式(1)に従って求めることができる。なお、上記H1−NMR測定に使用する機器としては、例えば、「GSX−400」(日本電子社製)等を用いることができる。
グラフト量(重量%)=100×[(C÷3×98)/{(A×148÷4)+(B×72÷4)+(C÷3×98)}] (1)
式(1)中、Aは7.8〜8.4ppmにおける積分値、Bは1.2〜2.2ppmにおける積分値、Cは2.4〜2.9ppmにおける積分値を表す。
上記変性反応によって得られる変性ポリエステル系エラストマーを含有する反応物のJIS−D硬度の好ましい下限は10、好ましい上限は80である。JIS−D硬度を10以上とすることで、上記接着層の機械的強度が向上する。JIS−D硬度を80以下とすることで、上記接着層の柔軟性及び耐衝撃性が向上する。JIS−D硬度のより好ましい下限は15、より好ましい上限は70、更に好ましい下限は20、更に好ましい上限は60である。
なお、上記JIS−D硬度は、JIS K 6253に準拠して方法でデュロメータ タイプDを用いることにより測定することができる。
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂(本明細書中、混合樹脂(a)ともいう)を構成するポリエステル系樹脂としては、上述した表裏層を構成するポリエステル系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。特に、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するものが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、更に、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%含有していてもよい。
上記混合樹脂(a)において、上記ポリエステル系樹脂の含有量の好ましい下限は55重量%、好ましい上限は85重量%である。上記ポリエステル系樹脂の含有量が55重量%未満であると、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリエステル系樹脂の含有量が85重量%を超えると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがあり、また、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリエステル系樹脂の含有量のより好ましい下限は65重量%、より好ましい上限は80重量%である。
上記混合樹脂(a)を構成するポリスチレン系樹脂としては、上述した中間層を構成するポリスチレン系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。
上記混合樹脂(a)を構成するポリスチレン系樹脂がスチレン−共役ジエン共重合体である場合、上記スチレン−共役ジエン共重合体100重量%に占める共役ジエン含有量が50重量%未満であることが好ましい。上記共役ジエン含有量が50重量%以上であると、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。
上記混合樹脂(a)において、上記ポリスチレン系樹脂の含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。上記ポリスチレン系樹脂の含有量が10重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがあり、また、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリスチレン系樹脂の含有量が40重量%を超えると、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリスチレン系樹脂の含有量のより好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は35重量%である。
上記混合樹脂(a)は、更に、ポリブテン系樹脂を含有してもよい。上記ポリブテン系樹脂を用いることにより、上記混合樹脂(a)の均一変形性を高め、熱収縮性多層フィルムに優れたミシン目適性を付与することができる。即ち、熱収縮性多層フィルムのミシン目を裂いて容器から剥がす際に層間剥離が生じ、熱収縮性多層フィルムの内面側の表裏層のみが容器に残ってしまうことを防止することができる。
上記ポリブテン系樹脂としては、ブテン成分の単独重合体であってもよいし、ブテン成分以外の成分とブテン成分との共重合体であってもよい。このような共重合体としては、例えば、ブテン−プロピレン共重合体、ブテン−エチレン共重合体等が挙げられる。
上記ポリブテン系樹脂が共重合体である場合には、耐熱性の観点から、上記ブテン成分以外の成分の含有量が30重量%以下であることが好ましい。
上記ポリブテン系樹脂のブテン成分としては、1−ブテン、イソブテン等が挙げられる。なかでも、1−ブテンは均一変形性に優れることから、上記接着層に負荷がかかった際に応力が分散するため好ましい。
上記ポリブテン系樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は5000、好ましい上限は60万である。重量平均分子量が5000未満であると、上記混合樹脂(a)の流動性が高まり、上記接着層が均一な厚み分布を取りにくくなることがある。重量平均分子量が60万を超えると、熱収縮性多層フィルムの連続生産性が低下することがある。重量平均分子量のより好ましい下限は1万、より好ましい上限は45万である。
上記ポリブテン系樹脂の市販品としては、「BL4000」、「BL7000」、「BL2481」、「BL3110」(以上、三井化学社製)、「PB0300M」、「DP8220M」、「SP2101C」(以上、lyondellbasell社製)等が挙げられる。
上記混合樹脂(a)において、上記ポリブテン系樹脂の含有量の好ましい上限は20重量%である。上記ポリブテン系樹脂の含有量が20重量%を超えると、熱収縮性多層フィルムの透明性が低下することがあり、また、上記混合樹脂(a)における各樹脂の相溶性が低下し、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリブテン系樹脂の含有量のより好ましい上限は15重量%である。
上記ポリブテン系樹脂の含有量の下限は特に限定されず、0重量%であってもよいが、好ましい下限は2重量%である。
上記ポリスチレン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの混合樹脂(本明細書中、混合樹脂(b)ともいう)を構成するポリスチレン系樹脂としては、上述した中間層を構成するポリスチレン系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよいが、中間層を構成するポリスチレン系樹脂よりも柔らかいものが好ましい。
上記混合樹脂(b)を構成するポリスチレン系樹脂がスチレン−共役ジエン共重合体である場合、上記スチレン−共役ジエン共重合体100重量%に占める共役ジエン含有量が50重量%未満であることが好ましい。上記共役ジエン含有量が50重量%以上であると、容器装着時に溶剤シール部分から剥離が発生することがあり、また、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。
上記混合樹脂(b)において、上記ポリスチレン系樹脂の含有量の好ましい下限は50重量%、好ましい上限は95重量%である。上記ポリスチレン系樹脂の含有量が50重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムが強く折られた際に、折り目部分に白色化(白化現象)が生じ、外観が損なわれることがある。上記ポリスチレン系樹脂の含有量が95重量%を超えると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがあり、また、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリスチレン系樹脂の含有量のより好ましい下限は55重量%、更に好ましい下限は60重量%であり、より好ましい上限は90重量%、更に好ましい上限は85重量%である。
上記混合樹脂(b)を構成するポリエステル系エラストマーとしては、上述した接着層を構成するポリエステル系エラストマーと同様のものを使用することが好ましい。
上記混合樹脂(b)を構成するポリステル系エラストマーの融点は、120〜200℃が好ましい。融点が120℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの耐熱性が低下し、容器装着時に溶剤シール部分から剥離が発生することがある。融点が200℃を超えると、充分な接着強度が得られないことがある。融点のより好ましい下限は130℃、より好ましい上限は190℃である。
なお、上記混合樹脂(b)を構成するポリエステル系エラストマーの融点は、例えば、ハードセグメントである芳香族ポリエテルと、ソフトセグメントであるポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合比率、構造等に起因する。なかでも、上記ポリエステル系エラストマーの融点は、ポリアルキレンエーテルグリコールの共重合量に依存しやすく、ポリアルキレンエーテルグリコールの共重合量が多いと融点が低く、少ないと融点が高くなる。
上記混合樹脂(b)において、上記ポリエステル系エラストマーの含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は50重量%である。上記ポリエステル系エラストマーの含有量が5重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがあり、また容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき、又は、ミシン目を裂いたときには、熱収縮性多層フィルムの層間剥離が生じることがある。上記ポリエステル系エラストマーの含有量が50重量%を超えると、熱収縮性多層フィルムが強く折られた際に、折り目部分に白色化(白化現象)が生じ、外観が損なわれることがある。上記ポリエステル系エラストマーの含有量のより好ましい下限は10重量%、更に好ましい下限は15重量%であり、より好ましい上限は45重量%、更に好ましい上限は40重量%である。
本発明の熱収縮性多層フィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を添加してもよい。特に、熱安定剤又は酸化防止剤を添加することでゲルの発生を抑制することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムの70℃25%10秒間での乾熱収縮率の好ましい下限は10%、好ましい上限は30%である。70℃25%10秒間での乾熱収縮率が10%未満であると、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、熱収縮性多層フィルムにシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することがあり、30%を超えると、熱収縮性多層フィルムの自然収縮率が大きくなり、ハンドリングが難しくなることがある。70℃25%10秒間での乾熱収縮率のより好ましい下限は12%、より好ましい上限は28%である。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムは、30℃の雰囲気下で5日間静置した後、70℃25%10秒間での乾熱収縮率の好ましい下限は8%、好ましい上限は25%である。30℃の雰囲気下で5日間静置した後、70℃25%10秒間での乾熱収縮率が上記範囲を外れると、長期保管後に乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、熱収縮性多層フィルムにシワ、印刷柄の歪み、収縮ムラ等の不具合が発生することがある。30℃の雰囲気下で5日間静置した後、70℃25%10秒間での乾熱収縮率のより好ましい下限は10%、より好ましい上限は23%である。
なお、上記70℃25%10秒間での乾熱収縮率は、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合の低温収縮性を示すものであり、下記の方法により測定することができる。
熱収縮性多層フィルムを、主収縮方向が長さ方向となるように、長さ300mm、幅25mmとなるようにカットし、標線間距離が200mmとなるように標線を引き、測定サンプルとする(図1参照)。次いで、長さ520mmの指示棒に測定サンプルの両端を固定し、固定部の熱収縮性多層フィルムを外側に折り曲げ(図2参照)、温度:70℃、湿度:25%に設定した恒温恒湿槽(ナガノサイエンス社製、LH31−12M)に横穴から投入する。投入から10秒後に熱収縮性多層フィルムを取り出し、標線間距離を測定し、下記式(2)から標線間の収縮率を算出する。
収縮率={(200−収縮後の標線間距離(mm))/200}×100 (2)
なお、収縮率はn=3としてその平均値を用いる。また、平均値よりも2%以上離れた値はカウントしないこととする。
本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さの好ましい下限は20μm、好ましい上限は80μmである。熱収縮性多層フィルム全体の厚さを上記範囲内とすることで、経済性に優れるとともに、取り扱いやすいものとなる。
本発明の熱収縮性多層フィルムの各層の厚み比率は、表面層/中間層/裏面層が1/3/1〜1/12/1の範囲となることが好ましい。本発明の熱収縮性多層フィルムが上記接着層を有する場合にも、上記表裏層と上記中間層とが上記範囲となることで、優れた収縮仕上り性を実現することができる。
例えば、本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さが40μmである場合、上記中間層の厚さの好ましい下限は24μm、好ましい上限は34.4μmである。厚さが24μm未満であると、熱収縮性多層フィルムのミシン目におけるカット性が低下することがある。厚さが34.4μmを超えると、熱収縮性多層フィルムの耐熱性が低下することがある。上記中間層の厚さのより好ましい下限は26μm、より好ましい上限は33μmである。
また、本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さが40μmである場合、上記表裏層の厚さ(表面層及び裏面層のそれぞれの厚さ)の好ましい下限は2.8μm、好ましい上限は8μmである。厚さが2.8μm未満であると、熱収縮性多層フィルムの耐溶剤性又は耐熱性が低下することがある。厚さが8μmを超えると、熱収縮性多層フィルムのミシン目におけるカット性が低下することがある。上記表裏層の厚さのより好ましい下限は3μm、より好ましい上限は7μmである。
また、本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さが40μmであって、上記接着層を有する場合、上記接着層の厚さの好ましい下限は0.2μm、好ましい上限は2μmである。厚さが0.2μm未満であると、安定した製膜ができないことがある。厚さが2μmを超えると、熱収縮性多層フィルムの熱収縮特性又は光学特性が悪化することがある。上記接着層の厚さのより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は1.5μmである。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては特に限定されないが、共押出法により各層を同時に成形する方法が好適である。例えば、Tダイによる共押出では、積層の方法として、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
具体的には例えば、上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂、上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂、上記接着層を構成する樹脂をそれぞれ押出機に投入し、多層ダイスにより、シート状に押し出し、引き取りロールにて冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸する方法を用いることができる。延伸温度はフィルムを構成している樹脂の軟化温度又は熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性によって変更する必要があるが、延伸温度の好ましい下限は70℃、好ましい上限は120℃、より好ましい下限は75℃、より好ましい上限は115℃である。
本発明の熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとして使用することにより、熱収縮性ラベルを得ることができる。このような熱収縮性ラベルもまた本発明の1つである。
本発明の熱収縮性ラベルは、本発明の熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとして、必要に応じて、帯電防止層や印刷層等の他の層を有していてもよい。
本発明の熱収縮性ラベルを容器に装着する方法としては、通常、溶剤を用いて本発明の熱収縮性ラベルの端部同士を接着してチューブ状に加工(センターシール加工)した後、容器を覆った状態で本発明の熱収縮性ラベルを加熱して収縮させる方法が採用される。
本発明によれば、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、低温収縮性及び収縮仕上り性に優れ、かつ、経時での低温収縮性の低下が少ない熱収縮性多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することができる。
乾熱収縮率測定における測定サンプルを示す模式図である。 乾熱収縮率測定の測定方法を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(各層を構成する樹脂)
各層を構成する樹脂として、表1に示すポリエステル系樹脂、表2に示すポリスチレン系樹脂、表3に示すその他の熱可塑性樹脂を用いた。
なお、ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で、各樹脂から試験片を採取した後、試験片に置いた針状圧子に10Nの荷重を加えながら120℃/hの速度で昇温し、針状圧子が1mm進入したときの温度を確認することにより測定した。また、200℃及び190℃でのMFRは、ISO1133に準拠した方法で、各樹脂を、それぞれ200℃又は190℃にて溶融し5kg荷重条件下での10分換算での樹脂の吐出量を計測することにより測定した。
Figure 2015063023
Figure 2015063023
Figure 2015063023
(実施例1〜9及び比較例1〜2)
表1、2又は3に示す樹脂を、表4に示す添加量でバレル温度が160〜250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから5層構造のシート状に押出し、30℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、予熱ゾーン100℃、延伸ゾーン90℃、熱固定ゾーン80℃のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にて延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、主収縮方向がTD、主収縮方向と直交する方向がMDとなる熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが40μmであり、表裏層(4.0μm)/接着層(0.9μm)/中間層(30.2μm)/接着層(0.9μm)/表裏層(4.0μm)の5層構造であった。
なお、表裏層及び中間層の70℃、75℃、80℃、90℃及び100℃での貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(RheogelE−4000、UBM社製)を用いて、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度−120℃から150℃、引張モードの条件で測定した。結果を表4に示した。
(実施例10〜11)
表1、2又は3に示す樹脂を、表4に示す添加量でバレル温度が160〜250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから5層構造のシート状に押出し、30℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、予熱ゾーン90℃、延伸ゾーン85℃、熱固定ゾーン80℃のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にて延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、主収縮方向がTD、主収縮方向と直交する方向がMDとなる熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが50μmであり、表裏層(5.5μm)/接着層(1.0μm)/中間層(37μm)/接着層(1.0μm)/表裏層(5.5μm)の5層構造であった。
なお、表裏層及び中間層の70℃、75℃、80℃、90℃及び100℃での貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(RheogelE−4000、UBM社製)を用いて、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度−120℃から150℃、引張モードの条件で測定した。結果を表4に示した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて、下記の評価を行った。結果を表4に示した。
(1)低温収縮性(乾熱収縮率測定)
得られた熱収縮性多層フィルムを、主収縮方向が長さ方向となるように、長さ300mm、幅25mmとなるようにカットし、標線間距離が200mmとなるように標線を引き、測定サンプルとした(図1参照)。次いで、長さ520mmの指示棒に測定サンプルの両端を固定し、固定部の熱収縮性多層フィルムを外側に折り曲げ(図2参照)、温度:70℃、80℃、90℃又は100℃、湿度:25%に設定した恒温恒湿槽(ナガノサイエンス社製、LH31−12M)に横穴から投入した。投入から10秒後に熱収縮性多層フィルムを取り出し、標線間距離を測定し、下記式(2)から標線間の収縮率を算出した。
収縮率={(200−収縮後の標線間距離(mm))/200}×100 (2)
なお、収縮率はn=3としてその平均値を用いた。また、平均値よりも2%以上離れた値はカウントしないこととした。
また、上記と同様にして、測定サンプルを30℃の雰囲気下で5日間静置した後の70℃25%10秒間での乾熱収縮率を測定した。また、30℃の雰囲気下で5日間静置する前の70℃25%10秒間での乾熱収縮率に対する静置後の70℃25%10秒間での乾熱収縮率の比率(保持率)を算出した。保持率が81%以上であった場合を「◎」、71〜80%であった場合を「○」、51〜70%であった場合を「△」、50%以下であった場合を「×」とした。
(2)収縮仕上り性
得られた熱収縮性多層フィルムを用いて、折径102.5mm、長さ113.5mmの測定サンプルを、実施例及び比較例ごとに10枚ずつ作製した。
ユニバーサルシュリンカーVL−2000FA(協和電気社製、以下「トンネル1」)の温調器1を80℃、温調器2を85℃、風量を20Hz、ベルト速度を25Hzに設定し、熱風吹出し口を下から1番目のみ開けた。また、PURE−2001(日本テクノロジーソリューション社製、以下「トンネル2」)の予熱部を95℃、加熱部を160℃、風量を予熱部20Hz・加熱部35Hz、ベルト速度を25Hzに設定し、熱風吹出し口を下から1番〜4番まで開けた。
40℃に調整された最大部直径70mm、最小部直径47mm、高さ110mmのPEカップに、得られた測定サンプルを長さ方向に4つの折り目をつけて装着し、トンネル1を通過させた後、常温雰囲気下を7秒通過させ、次いで、トンネル2を通過させ、収縮仕上り性を確認した。10枚の測定サンプルのうち、全てにシワ、収縮ムラが無かった場合を「◎」、1枚にシワ、収縮ムラがあった場合を「○」、2〜4枚にシワ、収縮ムラがあった場合を「△」、5枚以上にシワ、収縮ムラがあった場合を「×」とした。
Figure 2015063023
本発明によれば、乾熱収縮用の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、低温収縮性及び収縮仕上り性に優れ、かつ、経時での低温収縮性の低下が少ない熱収縮性多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、
    前記表裏層の70℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa未満である
    ことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  2. 75〜100℃において、表裏層の貯蔵弾性率が中間層の貯蔵弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. 表裏層と中間層とが、接着層を介して積層されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. 請求項1、2又は3記載の熱収縮性多層フィルムを用いてなることを特徴とする熱収縮性ラベル。
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