JP2015062939A - 板材分離装置及び板材分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多量の流体を吹き付けることなく、積み重ねた板材を1枚ずつ確実に取り出すことができ、且つ、多くの板材を整然と積み置くことが可能な板材分離装置及び板材分離方法の提供。【解決手段】板材分離装置30は、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aを介して、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流体Fを吹き込むことが可能な吹付部材32と、吹付部材32によって最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流体Fが吹き込まれた後、最上段の金属板1を上方に移動させて取り出す移動部材31とを備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、板材分離装置及び板材分離方法に係り、特に、上下方向に積み重ねた金属板等の板材を1枚ずつ取り出すことが可能な板材分離装置及び板材分離方法に関するものである。
従来から、金属製品(例えば、自動車車体の部品)は、金属板を所定の長さに切断するブランキング工程、切断された金属板を上下方向に積み重ねる金属板積重工程、積み重ねた金属板のうち、最上段の金属板を取り出す金属板取出工程、及び、取り出された金属板をプレス加工等することによって成形加工する成形加工工程等を経ることによって製造される。
一般に、金属板を上下方向に積み重ねると、当該金属板自体の自重や金属板に塗布された防錆油等によって相互に密着しやすい。このため、上記金属板取出工程において、最上段の金属板を取り出す際、この金属板に隣接する他の金属板(上から2番目の金属板)も同時に取り出されてしまい、成形加工工程において使用される装置(例えば、プレス加工機)に複数枚の金属板が投入されてしまうといった問題があった。
そこで、上記金属板積重工程を行う前に金属板の端部に凹凸を形成する凹凸形成工程を行い、その後の金属板取出工程において上記金属板の端部にエアを吹き付ける技術が提案されている(特許文献1参照)。
このような技術によれば、上記金属板積重工程において金属板を積み重ねると、上下2枚の金属板の間には、上記凹凸によって、その端部側に僅かな間隙が形成される。そして、上記金属板取出工程において最上段の金属板と上から2番目の金属板との間に形成される間隙にエアを吹き付けると、これら金属板の間にエア膜(空間)を形成することができる。すなわち、特許文献1に記載の技術によれば、上記エア膜によって上下2枚の金属板が互いに分離されるため、最上段の金属板を取り出す際、他の金属板も同時に取り出されるといった事態を抑制することが可能である。
特公平07−110722号
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上記間隙にエアを吹き付けた際、当該エアが、上下2枚の金属板の間に入り込むことなく、外部に漏出してしまう場合が少なくない。すなわち、特許文献1に記載の技術では、上記間隙に、比較的多量のエア(金属板間に入り込ませるエア及び上記漏出分のエア)を吹き付けなければ、上下2枚の金属板の間にエア膜(空間)を形成することができないといった問題、すなわち、エアの吹付量や吹付位置等によっては、最上段の金属板を上から2番目の金属板から分離することができないといった問題があった。
また、一般に、エアをノズルから勢いよく吹き出す(噴射する)と、比較的大きな音(騒音)が発生する。このため、特許文献1に記載の技術では、上述したような、多量のエアの吹き付けによって、大きな騒音が発生するといった問題も生じる。
さらに、特許文献1に記載の技術では、上記凹凸が金属板の表面から積み重ね方向に突出しているため、当該金属板を上下方向に積み重ねた際、積み重ね高さが高くなってしまい、積み重ね場所等によっては、多くの金属板を積み置くことができないといった問題もあった。
しかも、特許文献1に記載の技術では、上記凹凸が金属板の端部側に形成されているため、金属板を互いに平行で且つ水平に積み重ねることができず、多くの金属板を積み置くことができないばかりか、整然と積み置くことができないといった問題もある。
本発明は、上記不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、積み重ねた板材を1枚ずつ確実に取り出すことができ、且つ、多くの板材を整然と積み置くことが可能な板材分離装置及び板材分離方法を提供することにある。
前記課題は、本発明の板材分離装置によれば、上下方向に積み重ねられた板材のうち、最上段の前記板材を該最上段の板材に隣接する他の前記板材から分離する板材分離装置であって、前記最上段の板材に形成された板厚方向に貫通する貫通孔を介して、前記最上段の板材と前記他の板材との間に流体を吹き込む流体吹込手段と、前記流体吹込手段によって前記流体が前記最上段の板材と前記他の板材との間に吹き込まれた後に前記最上段の板材を移動させて取り出す板材取出手段と、を備えることにより解決される。
また、前記課題は、本発明の板材分離方法によれば、板材に板厚方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔形成工程を行った後、前記貫通孔が形成された前記板材を上下方向に積み重ねる板材積重工程と、前記板材積重工程を行った後、積み重ねた前記板材のうち、最上段の前記板材を該最上段の板材に隣接する他の前記板材から分離する板材分離工程と、を備え、前記板材分離工程は、前記最上段の板材に形成された前記貫通孔を介して流体を吹き込むことによって、前記最上段の板材と前記他の板材との間に間隙を形成する間隙形成工程と、前記間隙形成工程を行った後に前記最上段の板材を移動させて取り出す板材取出工程と、を含むことにより解決される。
上記何れの構成も、板材には、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されているだけなので、当該板材を上下方向に積み重ねた場合、これら板材同士を互いに密着させることも可能である。このため、上記構成によれば、多くの板材を積み重ねた場合であっても、積み重ね高さを抑えつつ、整然と積み置くことができる。
また、上記構成では、最上段の板材に形成された貫通孔を介して、流体を吹き込むことにより、最上段の板材と他の板材との間に間隙が形成されるようになっている。すなわち、このような構成では、貫通孔から吹き込まれた流体を、そのまま、最上段の板材と他の板材との間に流通させることが可能である。このため、上記構成では、例えば、板材の端部に流体を吹き付けることによって、最上段の板材と他の板材との間に間隙を形成する方式と比べた場合、これら板材の間に吹き込まれることなく漏出する、流体の量を確実に低減することが可能である。従って、上記構成によれば、比較的少量の流体で、最上段の板材と他の板材との間に間隙を形成することができる。
さらに、上記構成では、上述したように、比較的少量の流体で板材間に間隙を形成することが可能なため、流体吹込手段(例えば、噴射ノズル)による流体の吹き付けによって生じる、騒音の発生をも抑制することができる。
また、上記構成では、最上段の板材に形成された貫通孔を介して、流体を最上段の板材と上から2番目の他の板材との間に吹き込んだ後に、板材取出手段(例えば、バキュームカップ)によって最上段の板材が取り出されるようになっている。すなわち、上記構成によれば、最上段の板材は、他の板材との間に間隙が形成された後に取り出される(上方等に移動される)こととなるため、最上段の板材と他の板材とが同時に取り出されるといった事態を抑制することが可能である。
以上のように、本発明に係る板材分離装置及び板材分離方法によれば、簡単な構成で、多くの板材を整然と積み置くことができるとともに、比較的少量の流体を吹き付けることによって板材を1枚ずつ取り出すことができる。
本実施形態に係る金属製品の製造工程の概略を示す概略説明図である。 金属製品の製造工程を示すフロー図である。 金属板切断加工装置の要部拡大断面図であって、(a)は金属板を切断する前の状態を示す図、(b)は金属板を切断した直後の状態を示す図、(c)は(b)の後の状態を示す図である。 金属板分離装置の要部拡大断面図であって、(a)は吹付部材及び吸着部材が最上段の金属板に当接する前の状態を示す図、(b)は吹付部材及び吸着部材が最上段の金属板に当接した状態を示す図、(c)は最上段の金属板に形成された貫通孔を介して流体を吹き込んでいる状態を示す図である。 金属板分離装置の他の例を示す要部拡大断面図である。 金属板分離装置のさらに他の例を示す要部拡大断面図であり、(a)は吸着吹付部材が最上段の金属板に当接する前の状態を示す図、(b)は最上段の金属板に形成された貫通孔を介して流体を吹き込んでいる状態を示す図、(c)は最上段の金属板を取り出している状態を示す図である。 金属板分離装置のさらに他の例を示す要部拡大断面図であり、(a)は吸着吹付部材が最上段の金属板に当接する前の状態を示す図、(b)は最上段の金属板に形成された貫通孔を介して流体を吹き込んでいる状態を示す図である。 他の金属板を取り出す金属板分離装置の要部拡大断面図であり、(a)は吹付部材及び吸着部材が最上段の金属板に当接する前の状態を示す図、(b)は最上段の金属板に形成された貫通孔を介して流体を吹き込んでいる状態を示す図、(c)は最上段の金属板を取り出している状態を示す図である。 金属板に形成される貫通孔の変形例を示す断面図である。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る金属製品の製造工程の概略を示す概略説明図、図2は金属製品の製造工程を示すフロー図、図3は金属板切断加工装置の要部拡大断面図であって、(a)は金属板を切断する前の状態を示す図、(b)は金属板を切断した直後の状態を示す図、(c)は(b)の後の状態を示す図、図4は金属板分離装置の要部拡大断面図であって、(a)は吹付部材及び吸着部材が最上段の金属板に当接する前の状態を示す図、(b)は吹付部材及び吸着部材が最上段の金属板に当接した状態を示す図、(c)は最上段の金属板に形成された貫通孔を介して流体を吹き込んでいる状態を示す図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る金属製品(例えば、自動車車体)の製造工程は、金属板送出工程Aと、金属板送出工程Aの次工程である金属板切断加工工程Bと、金属板切断加工工程Bの次工程である金属板積重工程Cと、金属板積重工程Cの次工程である金属板分離工程Dと、金属板分離工程Dの次工程である金属板成形工程Eとを備えている。なお、上記金属板積重工程Cと、金属板分離工程Dとが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「板材積重工程」と、「板材分離工程」とに該当する。
図1に示すように、金属板送出工程Aでは、非磁性の金属板1(例えば、アルミ材)を、金属板切断加工工程Bにおいて用いられる金属板切断加工装置10に搬送する作業を行う。なお、上記金属板1が特許請求の範囲に記載の「板材」に該当する。
本実施形態で用いられる金属板1は、金属板送出工程Aが行われる前の状態で、コイル状に券回されており、金属板券解装置(アンコイラ)2によって巻き解かれるようになっている。
金属板券解装置2によって巻き解かれた金属板1は、上下一対の送りローラ7の駆動によって、ガイドローラ6及び送りローラ7を介して金属板切断加工装置10に搬送されるようになっている。なお、本実施形態では、送りローラ7や、後述する搬送コンベア19等の各駆動装置が駆動されることによって、金属板1が、金属板送出工程Aの後工程である、金属板切断加工工程B、金属板積重工程C、金属板分離工程D及び金属板成形工程Eに、順次、搬送されるように構成されている。
次に、金属板送出工程Aの次工程である金属板切断加工工程Bについて図1及び図3を参照して説明する。
図1及び図3に示すように、金属板切断加工工程Bでは、金属板切断加工装置10を用いて、金属板1に板厚方向に貫通する貫通孔1aを形成するとともに、金属板1をその送り方向(以下、単に「送り方向」と称す)と直交する方向(以下、「直交方向」と称す)で切断する作業を行う。なお、上記貫通孔1aは、略円筒状、略楕円筒状及び略直方体状などの形状に形成することが可能である。また、上記金属板1に貫通孔1aを形成する作業が、特許請求の範囲に記載の「貫通孔形成工程」に該当する。
詳しくは後述するが、本実施形態では、上記金属板1の切断及び貫通孔1aの形成は、第1切断部材12及び第1貫通孔形成部材13を有する昇降部材11が下降することによって、ほぼ同時に行われるように構成されている。また、本実施形態において、上記昇降部材11の下降は、切断された金属板1の送り方向の長さがほぼ同一となるタイミングで行われるようになっている。
図3に示すように、金属板切断加工装置10は、金属板1を送り方向に移動させることが可能なワーク面16Aを有するワーク台16と、ワーク台16に対して上下方向に移動することが可能な昇降部材11とを有している。
昇降部材11には、第1切断部材12及び第1貫通孔形成部材13が、その底面から突出するように設けられている。一方、ワーク台16には、第2切断部材17及び第2貫通孔形成部材18が設けられている。本実施形態では、金属板1を切断する部材として、上記第1切断部材12及び第2切断部材17を、また、貫通孔1aを形成する部材として、上記第1貫通孔形成部材13及び第2貫通孔形成部材18を、それぞれ採用している。
第1切断部材12及び第2切断部材17は、何れも金属製の部材により形成されている。第1切断部材12は、昇降部材11の送り方向側で直交方向に延設されている。また、上記第2切断部材17は、ワーク台16のワーク面16Aと連続する連続面17Aを有し、ワーク台16の送り方向側で直交方向に延設されている。
第1切断部材12は、昇降部材11が最も下降する最下降位置に位置した状態で、その送り方向とは反対の方向(以下、「反送り方向」と称す)側の側面が、第2切断部材17の送り方向側の側面と接するようになっている(図3(b)参照)。金属板1は、昇降部材11が最下降位置に移動した際(第1切断部材12と第2切断部材17とが接した際)に切断されるようになっている。
なお、本実施形態では、送りローラ7(図1参照)の駆動によって、金属板1が切断される位置まで移動したときに、送りローラ7及び搬送コンベア19の駆動がそれぞれ一旦停止されるとともに、昇降部材11の下方への移動が開始されるように構成されている。一方、最下降位置に位置していた昇降部材11が、例えば、当該昇降部材11が最も上昇する最上昇位置まで移動したときに、今まで停止していた送りローラ7及び搬送コンベア19が駆動され、金属板1の送り方向への移動が再開されるようになっている。
第1貫通孔形成部材13は、略棒状の金属製の部材からなり、送り方向に所定の間隔を空けて複数(本実施形態では2本)設けられている。第1貫通孔形成部材13A,13Bは、それぞれ、昇降部材11の底面から下方に突設され、昇降部材11の昇降に伴って、昇降部材11に対して上下方向に進退するように構成されている。
上記第1貫通孔形成部材13A,13Bは、何れか一方が、昇降部材11の底面から下方に最も突出する第1位置に位置している場合、他方が、昇降部材11の底面から下方に僅かに突出する第2位置に位置するようになっている。また、第1貫通孔形成部材13A,13Bは、例えば、昇降部材11が最下降位置から最上昇位置へ移動する度に、モータ等の動力源(図示省略)によって交互に進退されるように構成されている。
例えば、送り方向側の第1貫通孔形成部材13Aと、反送り方向側の第1貫通孔形成部材13Bとが、それぞれ、第1位置と、第2位置とに保持されている状態で(図3(a)及び図3(b)参照)、昇降部材11が最下降位置から最上昇位置に移動すると、第1貫通孔形成部材13Aが上昇して第2位置に保持されるとともに、第1貫通孔形成部材13Bが下降して第1位置に保持されるようになっている(図3(c)参照)。その後、昇降部材11が、再び、最下降位置から最上昇位置に移動すると、第1貫通孔形成部材13Aが下降して第1位置に保持されるとともに、第1貫通孔形成部材13Bが上昇して第2位置に保持されるようになっている。
第2貫通孔形成部材18は、第1貫通孔形成部材13と同様に、金属製の部材により形成されている。この第2貫通孔形成部材18は、ワーク台16のワーク面16Aと連続する連続面18Aを有し、連続面18Aの所定位置には、孔部18a及び孔部18bが形成されている。
孔部18a(または孔部18b)には、昇降部材11が最下降位置に移動した際、第1位置に位置する第1貫通孔形成部材13A(または第1貫通孔形成部材13B)が挿入されるようになっている。
このように、本実施形態では、昇降部材11が最下降位置に移動した際に、金属板1の所定位置に貫通孔1aが形成されるとともに、当該金属板1が切断され、昇降部材11が最上昇位置に移動する度に、第1貫通孔形成部材13A及び第1貫通孔形成部材13Bが交互に進退するように構成されている。すなわち、貫通孔1aは、金属板1が切断される度に、第1貫通孔形成部材13A及び第1貫通孔形成部材13Bの何れか一方によって、異なる位置で形成されるようになっている。
次に、金属板切断加工工程Bの次工程である金属板積重工程Cについて図1及び図4を参照して説明する。
図1に示すように、金属板積重工程Cでは、前工程である金属板切断加工工程Bを行うことによって切断された金属板1を、ストッカー21内に溜め置く作業を行う。
具体的に、金属板切断加工工程Bにおいて切断された金属板1は、搬送コンベア19の駆動により、ストッカー21へ向けて移動され、当該金属板1が所定位置まで移動したときに、自重等によって、ストッカー21内に収納される。また、金属板1は、搬送コンベア19の駆動によって順次搬送され、ストッカー21の送り方向側の内壁面21aに当接または近接した状態で、上下方向に積み重ねられるようになっている。
本実施形態では、複数枚の金属板1がストッカー21に収納された状態で、金属板1に形成される貫通孔1aが、上下方向に互い違いにずれて配置されるようになっている(図4参照)。
次に、金属板積重工程Cの次工程である金属板分離工程Dについて図1、図2及び図4を参照して説明する。
図1、図2及び図4に示すように、金属板分離工程Dは、間隙形成工程D−1と、間隙形成工程D−1の次工程である金属板取出工程D−2とを備えている。間隙形成工程D−1及び金属板取出工程D−2では、金属板分離装置30を用いることによって、これらの作業が行われるようになっている。なお、上記間隙形成工程D−1と、金属板取出工程D−2と、金属板分離装置30とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「間隙形成工程」と、「板材取出工程」と、「板材分離装置」とに該当する。
間隙形成工程D−1では、ストッカー21内に収納される、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に空間Sを形成する作業を行う。金属板取出工程D−2では、最上段の金属板1を次工程の金属板成形工程Eにおいて用いられる、プレス加工機等の装置(以下、「金属板成形装置」と称す、図示省略)に搬送する作業を行う。なお、上記最上段の金属板1と上から2番目の金属板1とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「最上段の板材」と、「他の板材」とに該当する。
図1及び図4に示すように、金属板分離装置30は、ストッカー21の上方に設けられ、上下方向等に移動することが可能な移動部材31を備えている。この移動部材31は、駆動装置(図示省略)の駆動によって移動されるようになっている。
移動部材31には、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aを介して、流体Fを吹き込むことが可能な複数(本実施形態では送り方向側及び反送り方向側の2個)の吹付部材32と、最上段の金属板1の上面に吸着する複数の吸着部材37とが取り付けられている。なお、上記吹付部材32から吹き付けられる流体Fとしては、液体を含まない流体、及び、液体などを採用することが可能である。また、上記吹付部材32と、吸着部材37が取り付けられた移動部材31と、吸着部材37とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「流体吹込手段」と、「板材取出手段」と、「吸着部材」とに該当する。
吹付部材32は、移動部材31に固定されるパイプ部材33と、パイプ部材33の下端部に取り付けられる蛇腹状のパット部材34とを有している。なお、上記パット部材34が特許請求の範囲に記載の「被覆部材」に該当する。
パイプ部材33は、流体Fを流通させることが可能な流路33aを有し、その上端部が管路51に連結されている。このパイプ部材33に連結される管路51は、その他方が、所定圧力の流体を生成する流体圧縮装置(図示省略)に接続されている。
パット部材34は、中空略円錐台状に形成され、その頂部側と底部側とに、それぞれ、開口部34aと開口部34bとを有している。パット部材34は、その頂部(開口部34a)側がパイプ部材33の上端部に接続され、パイプ部材33の流路33aから供給される流体Fを、開口部34bから吹き出すことが可能なように構成されている。
送り方向側のパット部材34と、反送り方向側のパット部材34とは、それそれ、移動部材31が下方に移動した際、金属板1に形成された、送り方向側の貫通孔1aの開口周縁部と、反送り方向側の貫通孔1aの開口周縁部とを上方から覆うことが可能な位置に配置されている。
なお、本実施形態において、金属板1は、ストッカー21の送り方向側の内壁面21aに当接または近接した状態で積み重ねられるように構成されている(図1参照)。すなわち、本実施形態では、金属板1の送り方向の両端部をそれぞれ上下方向にほぼ揃えた状態で、金属板1を積み重ねることができるようになっている。
ここで、一般に、本実施形態で用いられるような、コイル状の金属板1は、その直交方向の長さが不均一である場合が少なくない。斯かる場合、金属板1の直交方向の両端部においては、送り方向の両端部とは異なり、上下方向に揃えた状態で、金属板1を積み重ねることが困難である。すなわち、このような金属板1をストッカー21において積み重ねた場合、金属板1に形成される貫通孔1aの位置が直交方向に大きくずれる可能性、すなわち、パット部材34によって貫通孔1aを上方から覆うことができないおそれ(貫通孔1aを介して流体Fを吹き込むことができないおそれ)がある。
このような場合には、上記貫通孔1aのずれを考慮して、平面視における貫通孔1aの形状を略円状ではなく直交方向に延びる長穴状に形成するのが好ましい。また、開口部34bの径方向の長さが大きく設定された、パット部材34を採用することによってもこのような問題を解消することが可能である。
吸着部材37は、吹付部材32と同様、移動部材31に固定されるパイプ部材38と、パイプ部材38の下端部に取り付けられる蛇腹状のパット部材39とを有している。
パイプ部材38は、空気を吸引することが可能な流路38aを有し、その上端部が管路52に連結されている。このパイプ部材38に連結される管路52は、その他方が、空気を吸引する吸引装置(例えば、真空発生装置、図示省略)に接続されている。
パット部材39は、吹付部材32のパット部材34と同様、中空略円錐台状に形成され、その頂部側と底部側とに、それぞれ、開口部39aと開口部39bとを有している。パット部材39は、その頂部(開口部39a)側がパイプ部材38の下端部に接続され、開口部39bから空気を吸引して、当該吸引した空気をパイプ部材38の流路38aを介して排出する。
本実施形態において、吹付部材32のパット部材34及び吸着部材37のパット部材39は、それぞれ、移動部材31が下降した際に、ほぼ同時に最上段の金属板1の上面に当接するように配置されている(図4(b)参照)。
次に、金属板分離工程Dにおいて行われる作業を、図4を参照して説明する。
本実施形態における金属板分離工程Dは、所定のタイミング、例えば、搬送コンベア19(図1参照)の駆動が一旦停止したタイミングで開始されるようになっている。上述したように、金属板分離工程Dでは、間隙形成工程D−1を行った後、金属板取出工程D−2を行うように構成されている。
金属板取出工程Dにおける作業は、上記所定のタイミングとなった際、移動部材31を、ストッカー21に収納される金属板1に向けて移動(下降)させることから始まる(図4(a)及び図4(b)参照)。
移動部材31は、パット部材34(吹付部材32)及びパット部材39(吸着部材37)のそれぞれが、最上段の金属板1の上面に当接する位置まで下降した際、その移動が停止されるように構成されている(図4(b)参照)。この状態では、複数のパット部材34のうち、一方のパット部材34が、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aの開口周縁部を上方から覆う位置に配置される。図4(b)に示す例では、反送り方向側のパット部材34が、反送り方向側に形成された貫通孔1aの開口周縁部を上方から覆っている状態を示している。
本実施形態では、この状態で、間隙形成工程D−1が行われるように構成されている(図4(c)参照)。この間隙形成工程D−1では、最上段の金属板1の貫通孔1aを介して、一方(反送り方向側)の吹付部材32から最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流体Fを吹き込む作業を行う。この際、他方(送り方向側)の吹付部材32からは流体Fを吹き出さないようにしている。なお、次の金属板(図4(c)に示す例では上から2番目の金属板)1を取り出す場合、他方(送り方向側)の吹付部材32からは流体Fを吹き出すようにし、一方(反送り方向側)の吹付部材32からは流体Fを吹き出さないようにしている。
このようにして、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流体Fが吹き込まれると、最上段の金属板1は、その貫通孔1aが形成される部分を中心として、徐々に持ち上がるように浮上していき、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間には、空間Sが形成されることとなる。この際、パット部材34及びパット部材39の上下方向における長さは、最上段の金属板1の浮上に伴って、それぞれ、短縮されるようになっている。なお、上記空間Sが特許請求の範囲に記載の「間隙」に該当する。
本実施形態では、上記貫通孔1aを介して流体Fが吹き込まれた後、所定条件が成立したときに、金属板取出工程D−2を行うように構成されている。この所定条件としては、例えば、上記流体Fの吹き込み後、所定時間が経過した場合、または、最上段の金属板1が所定距離上方へ浮上した場合が挙げられる。
金属板取出工程D−2では、上記所定条件の成立時に、先ず、複数の吸着部材37によって最上段の金属板1を吸着する作業を行う。なお、上記一方の吹付部材32による流体Fの吹き付けの停止は、上記所定開始条件の成立時に行ってもよく、また、上記所定開始条件が成立した後、予め定めた時間が経過したときに行ってもよい。
そうすると、最上段の金属板1は、複数の吸着部材37による吸着によって、さらに上方に浮上され、上から2番目の金属板1との間には、上記空間S(図4(c)参照)よりも大きな空間が形成されることとなる。この際、パット部材34及びパット部材39の上下方向における距離は、それぞれ、最上段の金属板1のさらなる浮上に伴って、さらに短縮されるようになっている。
次に、この金属板取出工程D−2では、複数の吸着部材37が最上段の金属板1を吸着している状態で、移動部材31を、上方へ移動させ、そのまま、次工程の金属板成形工程Eにおいて用いられる金属板成形装置に搬送する作業を行う。これにより、金属板分離工程Dにおける金属板1、1枚分の分離(取出)作業が終了することとなる。
その後、新たに最上段となった金属板(以下、「新最上段の金属板」と称す)1の取出作業、すなわち、新最上段の金属板1を金属板成形装置に搬送するための、間隙形成工程D−1及び金属板取出工程D−2が再び行われることとなる(図4(a)〜図4(c)参照)。なお、図4に示すように、上記新最上段の金属板(図4の例では上から2番目の金属板)1では、既に取り出された金属板(図4の例では最上段の金属板)1とは異なり、貫通孔1aの形成される位置が、送り方向側となっている。このため、上記新最上段の金属板1を取り出す、間隙形成工程D−1においては、流体Fを、送り方向側(他方)の吹付部材32から吹き出し、反送り方向側(一方)の吹付部材32からは吹き出さないようにしている。
次に、金属板分離工程Dの次工程である金属板成形工程Eについて説明する。
金属板成形工程Eでは、金属板成形装置に搬送された金属板1を、打ち抜き加工やプレス加工等を行うことによって、所定形状の金属製品を製造(生成)する作業を行う。
以上のように、本実施形態によれば、金属板1には板厚方向に貫通する貫通孔1aが形成されているだけなので、当該金属板1を上下方向に積み重ねた場合、上下2枚の金属板1同士を互いに密着させることが可能である。このため、本実施形態によれば、多くの金属板1を積み重ねた場合であっても、積み重ね高さを抑えつつ、整然と積み置くことができる。
また、本実施形態では、最上段の金属板1を取り出す金属板取出工程D−1は、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に空間Sが形成された後(間隙形成工程D−2を行った後)に行われるようになっている。このため、本実施形態によれば、防錆油の塗布等によって、積み重ねた状態で互いに密着しやすい金属板1でありながらも、最上段の金属板1のみを取り出すことができる。
しかも、本実施形態では、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aを介して流体Fを吹き込むことにより、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に空間Sが形成されるようになっている。すなわち、本実施形態では、貫通孔1aを介して吹き込まれた流体Fは、直接、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流通することとなるため、これら金属板1,1の間に吹き込まれることなく外部に漏出する流体Fの量を、確実に低減することができる。従って、本実施形態によれば、比較的少量の流体Fで、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に空間Sを形成することが可能である。
また、流体Fの使用量が低減されることによって、吹付部材32から流体Fを吹き出す際に生じる騒音の発生をも抑制することができる。
さらに、本実施形態によれば、流体Fを吹き出すパット部材34は、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aの開口周縁部を上方から覆うことが可能な形状を有している。このため、ストッカー21に収納される金属板1の位置が多少ずれたとしても、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aを介して流体Fを吹き込むことが可能である。
[その他の実施形態]
なお、上記第1の実施形態では、最上段の金属板1に形成される、送り方向側の貫通孔1aと、反送り方向側の貫通孔1aとに対応させて、それぞれ、送り方向側の吹付部材32と、反送り方向側の吹付部材32とを設けた。しかしながら、上記第1の実施形態のように、必ずしも、吹付部材32を、貫通孔1aが形成される位置の数(本実施形態では2つ)に対応させて複数用意する必要がなく、例えば、1個のみで構成することも可能である。
このような構成は、例えば、図5に示すように、流体Fを吹き出すパット部材34´の開口部34b´を、金属板1に形成される全ての貫通孔1aの開口周縁部を覆うことが可能な大きさに形成することで実現することができる。
また、このように構成する他、例えば、上記第1の実施形態(図4参照)で示した、一方の吹付部材32を削除するとともに、他方の吹付部材32を、現時点での最上段の金属板1に形成される貫通孔1aの位置に応じて、その都度、移動させるように構成することで実現することが可能である。
さらに、上記第1の実施形態では、吹付部材32と吸着部材37とを別体としたが、これらを一つの部材(以下、「吸着吹付部材」と称す)として構成することも可能である。
このような吸着吹付部材について、図6を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様な構成には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、間隙形成工程D−1及び金属板取出工程D−2(図2参照)において用いられる金属板分離装置130は、移動部材31(図4参照)に、吸着吹付部材132が設けられている。この吸着吹付部材132は、移動部材31に取り付けられるパイプ部材133と、パイプ部材133の先端周縁部に取り付けられる蛇腹状のパット部材134と、パイプ部材133の先端中央部に取り付けられる嵌入部材137とを備えている。なお、上記パット部材134と、嵌入部材137とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「吸着部材」と、「嵌入部」とに該当する。
パイプ部材133には、流体Fを送出することが可能な流路133aと、空気を吸引することが可能な流路133bとが形成されている。
流路133aは、その下端部が、パイプ部材133の先端中央部において開口するとともに、上端部が、所定圧力の流体Fを生成する流体圧縮装置(図示省略)に接続された、管路51(図4参照)に連結されている。流路133bは、その下端部が、流路133aの下端部(パイプ部材133の先端中央部)と、パイプ部材133の外周縁部との間で開口するとともに、上端部が、空気を吸引する吸引装置(図示省略)から延びる管路52(図4参照)に連結されている。
嵌入部材137は、例えば、弾性変形することが可能な部材(例えば、ゴム)からなり、略筒状に形成されている。この嵌入部材137は、その上端部が、パイプ部材133の流路133aに連結されるとともに、下端部が、金属板1の貫通孔1aに嵌入することが可能な形状に形成されている。また、この嵌入部材137は、軸方向に押し潰す力が作用した際、外径方向に拡径変形する弾性変形部137aを有している。このように構成された嵌入部材137は、流体圧縮装置(図示省略)から所定圧力の流体Fが供給された場合、下端部から流体Fを吹き出すようになっている。
パット部材134は、中空略円錐台状に形成され、その底部側から空気を吸引して、当該吸引した空気をパイプ部材133の流路133bを介して排出する。
次に、金属板取出工程Dにおける、吸着吹付部材132の動作について図2及び図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記吹付部材32及び吸着部材37を用いた金属板取出工程Dと重複する構成については、その説明を省略する。
吸着吹付部材132が取り付けられた移動部材31は、金属板分離工程Dを開始する所定のタイミングとなった場合、ストッカー21(図1参照)に収納された金属板1に向けて下降するように構成されている(図6(a)参照)。
移動部材31は、嵌入部材137が、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aに嵌入される位置まで下降すると、その移動が停止されるようになっている。この状態では、パット部材134が最上段の金属板1の上面に当接するようになっている。
本実施形態では、この状態で、金属板分離工程Dを構成する間隙形成工程D−1が開始されるように構成されている(図6(b)参照)。この間隙形成工程D−1では、最上段の金属板1の貫通孔1aを介して、嵌入部材137から最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流体Fを吹き込む作業を行う。
そうすると、最上段の金属板1は、その貫通孔1aが形成される部分を中心として、徐々に持ち上がるように浮上していき、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間には、空間S1が形成されることとなる。この際、嵌入部材137は、最上段の金属板1の浮上に伴って、弾性変形部137aが拡径する方向に弾性変形しながら、軸方向(上下方向)に沿って押し潰され、パット部材134も、最上段の金属板1の浮上に伴って、上下方向における長さが短縮される。
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aを介して、嵌入部材137から流体Fを吹き込んだ後、所定条件(例えば、流体Fの吹き込み後、所定時間経過した場合)の成立時に、金属板取出工程D−2が行われるように構成されている。
この金属板取出工程D−2では、先ず、吸引装置を駆動させて、吸着吹付部材132(パット部材134)を最上段の金属板1に吸着させる作業を行う(図6(c)参照)。このような吸着吹付部材132による吸着によって、最上段の金属板1は、さらに上方に浮上されるため、当該最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間には、上記空間S1よりも大きな空間S2が形成されることとなる。嵌入部材137及びパット部材134は、最上段の金属板1のさらなる浮上によって、それぞれの上下方向における距離が、さらに短縮されるようになっている。
その後、この金属板取出工程D−2では、上記のようにして最上段の金属板1を吸着している状態で、移動部材31を、上方へ移動し、そのまま、次工程の金属板成形工程Eにおいて用いられる金属板成形装置に搬送する作業を行う。
このように、本実施形態によれば、流体Fを吹き出す部材(例えば、図4に示す吹付部材32)と、金属板1を吸着する部材(例えば、図4に示す吸着部材37)といった、2種類の部材を用意する必要がないため、部品点数の削減を図ることができる等の利点がある。
また、本実施形態では、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aに嵌入部材137を嵌入させた状態で、流体Fが吹き込まれるように構成されている。すなわち、本実施形態によれば、流体Fを、漏出させることなく、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1と間に流通させることが可能なため、より少量の流体Fで、これら金属板1,1の間に空間Sを形成することができる。なお、本実施形態では、最上段の金属板1に吸着するパット部材134と、流体Fを吹き出す嵌入部材137とを一体的に設けたが、これらを別体で設けることも可能である。
なお、上記第1の実施形態では、貫通孔1aの開口周縁部を上方から覆うことができ、且つ、貫通孔1aから流体Fを吹き入れることが可能な部材として、中空略円錐台状のパット部材34を採用したが、これに代えて、例えば、図7に示すパット部材234を採用することも可能である。
このパット部材234を有する吹付部材232について図7を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様な構成には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、パット部材234は、弾性変形することが可能な部材(例えば、ゴム)からなり、略筒状に形成されている。このパット部材234は、その上端部がパイプ部材33の流路33aに連結されるとともに、下端部が、貫通孔1aの開口周縁部に当接することが可能な形状に形成されている。また、このパット部材234は、軸方向に押し潰す力が作用した際、径方向に拡径変形するように構成されている。
このようなパット部材234は、移動部材31(図4参照)が下降した際に、その下端部が貫通孔1aの開口周縁部に当接する位置に配置され(図7(a)及び(b)参照)、流体Fの吹き付けによる、最上段の金属板1の上昇に伴って、押し潰されるようになっている(図7(b)参照)。
吹付部材232をこのように構成した場合であっても、第1の実施形態と同様、流体Fを、漏出させることなく、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1と間に流通させることが可能なため、少量の流体Fで、これら金属板1,1の間に空間Sを形成することができる。
なお、上記第1の実施形態では、切断された金属板1毎に、貫通孔1aを1つずつ形成したが、それ以上の数の貫通孔1aを形成することも可能である。
また、上記実施形態では、上下2枚の金属板1において、貫通孔1aを、それぞれ互い違いとなる位置で形成したが、これに限らず、図8に示すように、同じ位置で形成することも可能である。
ここで、金属板1に貫通孔1aを同じ位置で形成した場合について、図2及び図8を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様な構成には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2及び図8(a)に示すように、本実施形態に係る間隙形成工程D−1では、上記第1の実施形態と同様、移動部材31の下降によって、吹付部材32のパット部材34及び吸着部材37のパット部材39のそれぞれが、最上段の金属板1の上面に当接した際、最上段の金属板1に形成された貫通孔1aを介して流体Fを吹き込むように構成されている。
吹付部材32から吹き出された流体Fが、複数の金属板1のそれぞれに形成された貫通孔1a全てに行き渡って充満すると、当該流体Fは、図8(b)に示すように、各上下2枚の金属板1,1の間に入り込むように流通する。そうすると、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に空間Sが形成されるのみならず、その他の上下2枚の金属板1,1の間にも、それぞれ、空間Sが形成されることとなる。
本実施形態では、この状態で、吸着部材37を最上段の金属板1に吸着させるとともに、移動部材31を上方へ移動させることで、最上段の金属板1のみを取り出すことができる(図8(c)参照)。
このように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態のように、交互に位置をずらして貫通孔1aを形成する必要がなく、また、金属板1に形成される貫通孔1aの位置に応じて、吹付部材32から交互に流体Fを吹き出すといった複雑な制御等を省略することができるなどの利点がある。
なお、上記第1の実施形態では、金属板1に形成される貫通孔1aを、略円筒状、略楕円筒状及び略直方体状等、板厚方向に沿って(略真直ぐに)貫通する形状としたが(図3等参照)、これに限られず、例えば、図9(a)〜(c)に示す形状とすることも可能である。
図9(a)の例では、貫通孔101aの断面形状を、上面側を短辺、下面側を長辺とする、略台形状に形成している。このような形状を有する貫通孔101aを介して流体Fを吹き込むと、当該流体Fは、貫通孔101aの周面によって案内され、下方へ向けて略放射状に流通することとなる。すなわち、この例では、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に流体Fが進入しやすくなるため、これら金属板1,1の間に空間Sをスムーズに形成することが可能となる。
図9(b)の例では、貫通孔102aの断面形状を、上面側を長辺、下面側を短辺とする、略台形状に形成している。このような形状を有する貫通孔102aを介して流体Fを吹き込むと、当該流体Fの流速は、下方へ向かうのに従って増加することとなる。すなわち、この例では、貫通孔102aの下側の開口部から勢いよく流出する流体Fによって、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間に空間Sが形成されやすくなる。
図9(c)の例では、貫通孔103aの断面形状を、略平行四辺形状(略菱形状)に形成している。このような形状を有する貫通孔103aを介して流体Fを吹き込むと、当該流体Fは、貫通孔1aの周面によって案内され、貫通孔103aの下側の開口部から一定の方向(図9(c)の例では、送り方向)へ向けて吹き出されることとなる。すなわち、この例では、最上段の金属板1のうち貫通孔103aよりも送り方向側の部分を、上から2番目の金属板1から離間するように浮上させることが可能である。
このような構成では、例えば、図9(c)に示すように、貫通孔103aよりも送り方向側に、上記吸着部材37を配置することも可能である。すなわち、最上段の金属板1の送り方向側の部分が流体Fの吹き込みによって浮上した際、当該部分を、吸着部材37で吸着し、そのまま、上方へ移動させることによって、最上段の金属板1を上から2番目の金属板1から効率良く分離させることができる。
なお、上記貫通孔1a,101a,102a,103aは、金属板1の所望の位置に形成することが可能であるが、このような貫通孔は、成形加工された最終的な金属製品に、本来、あってはならないものである。このため、このような貫通孔は、金属板1をプレス加工や打ち抜き加工等する際に廃棄される部分(例えば、自動車車体のドアの窓部)に形成するのが好ましい。
また、このような貫通孔は、流体Fを、最上段の金属板1と上から2番目の金属板1との間にまんべんなく流通させることを考慮すれば、金属板1の端部側よりも中央部側に形成するのが好ましいが、その他の位置(例えば、端部側)に形成してもよいことはいうまでもない。
なお、上記実施形態では、板材として金属を用いたが、金属以外の材料(例えば、樹脂や木材)により形成してもよい。また、本実施形態では、非磁性の材料を用いたが、磁性の材料(例えば、鉄)を用いることも可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本考案の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
1 金属板
1A 上面
1a,101a,102a,103a 貫通孔
2 金属板券解装置
6 ガイドローラ
7 送りローラ
10 金属板切断加工装置
11 昇降部材
12 第1切断部材
13,13A,13B 第1貫通孔形成部材
16 ワーク台
16A ワーク面
17 第2切断部材
17A 連続面
18 第2貫通孔形成部材
18A 連続面
18a,18b 孔部
19 搬送コンベア
21 ストッカー
21a 内壁面
30,130 金属板分離装置
31 移動部材
32,232 吹付部材
33,133 パイプ部材
33a,133a,133b 流路
34,34´,134,234 パット部材
34a,34b,34b´ 開口部
37 吸着部材
38 パイプ部材
38a 流路
39 パット部材
39a,39b 開口部
51,52 管路
132 吸着吹付部材
137 嵌入部材
137a 弾性変形部
A 金属板送出工程
B 金属板切断加工工程
C 金属板積重工程
D 金属板分離工程
D−1 間隙形成工程
D−2 金属板取出工程
E 金属板成形工程
F 流体
S,S1,S2 空間

Claims (7)

  1. 上下方向に積み重ねられた板材のうち、最上段の前記板材を該最上段の板材に隣接する他の前記板材から分離する板材分離装置であって、
    前記最上段の板材に形成された板厚方向に貫通する貫通孔を介して、前記最上段の板材と前記他の板材との間に流体を吹き込む流体吹込手段と、
    前記流体吹込手段によって前記流体が前記最上段の板材と前記他の板材との間に吹き込まれた後に前記最上段の板材を移動させて取り出す板材取出手段と、を備えた
    ことを特徴とする板材分離装置。
  2. 前記流体吹込手段は、前記最上段の板材に形成された前記貫通孔の開口周縁部を上方から覆うことが可能な被覆部材を有し、
    前記被覆部材には、前記流体を吹き出す流体吹出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の板材分離装置。
  3. 前記流体吹込手段は、前記最上段の板材に形成された前記貫通孔に嵌入することが可能な嵌入部を有し、
    前記嵌入部には、前記流体を吹き出す流体吹出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の板材分離装置。
  4. 前記板材取出手段は、前記最上段の板材の上面に吸着する吸着部材を有し、
    前記嵌入部は、前記吸着部材の吸着側から下方に突出するように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の板材分離装置。
  5. 前記板材は、非磁性の金属であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の板材分離装置。
  6. 板材に板厚方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    前記貫通孔形成工程を行った後、前記貫通孔が形成された前記板材を上下方向に積み重ねる板材積重工程と、
    前記板材積重工程を行った後、積み重ねた前記板材のうち、最上段の前記板材を該最上段の板材に隣接する他の前記板材から分離する板材分離工程と、を備え、
    前記板材分離工程は、
    前記最上段の板材に形成された前記貫通孔を介して流体を吹き込むことによって、前記最上段の板材と前記他の板材との間に間隙を形成する間隙形成工程と、
    前記間隙形成工程を行った後に前記最上段の板材を移動させて取り出す板材取出工程と、を含む
    ことを特徴とする板材分離方法。
  7. 前記板材は、非磁性の金属であることを特徴とする請求項6に記載の板材分離方法。
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