JP2015059187A - コーティング処理前の水性乳化バフ研磨用組成物及びこれを用いた下地処理方法 - Google Patents

コーティング処理前の水性乳化バフ研磨用組成物及びこれを用いた下地処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シングル回転のポリッシャーを用いたバフ研磨のみで、塗装面の微細な傷を除去し、かつシングル回転ポリッシャーによる回転傷を残さないコーティング処理用に最適な水性乳化バフ研磨用組成物及びこれを用いた下地処理方法を提供する。
【解決手段】(イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫、(ロ)水溶性溶剤、(ハ)シリコーンレジン、(ニ)シリコーンオイル、(ホ)界面活性剤、(へ)増粘剤及び水を含有することを特徴とする水性乳化バフ研磨用組成物及びこれを用いたシングル回転のポリッシャーのみを用いてバフ研磨するだけで塗装用ポリシロキサン系コーティングの下地処理することを特徴とする下地処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車塗装などの塗装面にコーティング処理を施す前の水性乳化バフ研磨用組成物及びその処理方法に関する。
従来より、自動車塗装などの塗装面には光沢、撥水性、防汚性などを高める目的でコーティング処理を施す場合がある。
その際、コーティング膜は透明な薄膜であるために、処理面(塗装面)に微細な傷などがあるとその上にコーティング処理しても微細な傷が透けて見えるため、外観を損なう場合があった。そのため、塗装研磨用のコンパウンド(研磨組成物)を用いて微細な傷を除去する必要があったが、シングル回転(一定方向回転)のポリッシャーを用いて最終仕上げ(バフ研磨)すると一定方向の回転傷が残るため、回転傷を目立たなくするために、更にダブルアクション(振動偏芯回転)のポリッシャーを用いてシングル回転のポリッシャーによる回転傷を除去する必要があった。(特許文献1参照)
また、自動車の劣化した塗膜や塗膜上の小傷を修復して塗膜の美観を回復させるための乳化艶出し剤が知られている(特許文献2)。すなわち、(1)アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、アクリルスチレン共重合樹脂、アルキッド樹脂、変性アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、変性酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂、エポキシ樹脂から選ばれる最低造膜温度が50℃以下の造膜性合成樹脂水分散液、(2)沸点100℃以上の水溶性含酸素系有機溶剤、(3)25℃における粘度が10〜10万csのオルガノポリシロキサン油からなる成分を水に乳化分散させた自動車用劣化塗膜用及び小傷修復件用の艶出し剤が開示されている。しかし、艶出し剤自体に耐久性がなく、その上にコーティング処理してもコーティングの本来の耐久性を損なう場合があった。
特開2010−163553号公報 特許第3668852号明細書
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであって、シングル回転のポリッシャーを用いたバフ研磨のみで、塗装面の微細な傷を除去し、かつシングル回転ポリッシャーによる回転傷を残さないコーティング処理用に最適な水性乳化バフ研磨用組成物及びその処理方法を提供することを目的とする。
これによって、従来必要であったダブルアクションポリッシャーによる最終工程が不要となり、工程短縮できるとともに労力軽減できる。
本発明者らは、鋭意研究した結果、シングル回転のポリッシャーを用いたバフ研磨のみで、塗装面の微細な傷を除去し、かつシングル回転ポリッシャーの回転傷を残さないコーティング処理前の最適な塗装面を得ることが可能な水性乳化バフ研磨用組成物及びその処理方法を見出した。
すなわち、本発明は、(イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫、(ロ)水溶性溶剤、(ハ)シリコーンレジン、(ニ)シリコーンオイル、(ホ)界面活性剤、(へ)増粘剤及び水を含有することを特徴とする水性乳化バフ研磨用組成物である。
また、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物は、(イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫2〜20質量%、(ロ)水溶性溶剤2〜20質量%、(ハ)シリコーンレジン1〜5質量%、(ニ)シリコーンオイル2〜10質量%、(ホ)界面活性剤(ヘ)増粘剤及び残部が水であることを特徴とする。
また、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物においては、(イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫の90%体積平均粒子径は6μm以下とすることが好ましい。
さらに、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物においては、(ロ)水溶性溶剤の沸点が180℃以上であって、溶解パラメータ(SP値)が10以上とすることができる。
また、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物においては、(ロ)水溶性溶剤がエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び又はグリセリンからなる群より選ばれる1種若しくは2種以上とすることができる。
さらに、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物においては、(ハ)シリコーンレジンをシリコーンオイルに溶解するメチルシリコーンレジンとすることが好ましい。
また、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物においては、(ニ)シリコーンオイルをジメチルシリコーンオイルとすることが好ましい。
さらに、本発明は、これらの水性乳化バフ研磨用組成物のいずれかひとつで、バフ研磨処理した表面を、塗装用ポリシロキサン系コーティング処理するに際して、水性乳化バフ研磨用組成物を、ダブルアクションポリッシャーを用いることなく、シングル回転のポリッシャーのみを用いてバフ研磨するだけで塗装用ポリシロキサン系コーティングの下地処理することを特徴とする下地処理方法である。
また、本発明の下地処理方法においては、塗装用ポリシロキサン系コーティングの樹脂をポリアルキルシロキサンとすることが好ましい。
さらに、本発明の下地処理方法においては、塗装用ポリシロキサン系コーティングが自動車塗装用とすることができる。
さらに、本発明は、(イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫2〜20質量%、(ロ)水溶性溶剤2〜20質量%、(ハ)シリコーンレジン1〜5質量%、(ニ)シリコーンオイル2〜10質量%、(ホ)界面活性剤0.1〜0.5質量%、(ヘ)増粘剤0.1〜0.5質量%及び水を含有することを特徴とする水性乳化バフ研磨用組成物である。
さらに、本発明で用いる(ハ)シリコーンレジン、とりわけメチルシリコーンレジンはポリシロキサン系コーティング膜の組成と類似しているため、バフ研磨後の下地処理面に残ったシリコーンレジンは、その後のポリシロキサン系コーティング膜の成分とよく馴染み、悪い影響を及ぼさないのである。
本発明の水性乳化バフ研磨用組成物を用いて、シングル回転ポリッシャーでバフ研磨すると、表1の結果から明らかなように、塗装面上の微細なキズの除去性に優れ、シングル回転ポリッシャー特有の回転傷を残さず、非常に光沢のよい好適な塗装用ポリシロキサン系コーティング処理前の下地を形成させることができた。さらに、本件発明の水性乳化バフ研磨用組成物で下地処理してから、塗装用ポリシロキサン系コーティングを施す場合には、回転傷が見えないばかりか、格段の耐久性を有するポリシロキサン系コーティング保護膜が得られる。
実施例1の処理面のAFM解析結果 比較例5の処理面のAFM解析結果
本発明の水性乳化バフ研磨用組成物はO/W型の水性乳化分散組成物であって、分散質(又は溶質)は基本的に、50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫、水溶性溶剤、シリコーンレジン、シリコーンオイル、界面活性剤、及び増粘剤から構成されている。
本発明で用いる(イ)酸化第二錫の50%体積平均粒子径は0.5〜3μmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜2μmである。酸化第二錫の50%体積平均粒子径が0.5μm未満では、研磨力が著しく低下し、3μmを超えると酸化第二錫自身の磨き傷が目立つようになる。
本発明で用いる50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫の含有量は組成物全体の2〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15質量%である。50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫の含有量が2質量%未満では研磨力が著しく低下し、20質量%を超えるとバフ研磨の際のハンドリング性が低下する。
本発明で用いる(ロ)水溶性溶剤は、沸点が180℃以上であって、溶解パラメータ(SP値)が10以上であればよく、より具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び又はグリセリンを用いることができる。これらの水溶性溶剤は、酸化第二錫の研磨力を向上させる効果があり、沸点が高く、乾燥が遅いため、研磨の持続性も高まるのである。さらに、溶解パラメータ(SP値)が高いため、塗装面を膨潤させる恐れが少なく、好適に使用できる。
本発明で用いる水溶性溶剤の含有量は組成物全体の2〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15質量%であり、酸化第二錫の含有量に対して0.5倍〜1.5倍が好ましい。水溶性溶剤の含有量が2質量%未満又は20質量%を超えると研磨力が低下する。
本発明で用いる(ハ)シリコーンレジン、とりわけメチルシリコーンレジンはポリシロキサン系コーティング膜の組成と類似しているため、バフ研磨後の下地処理面に残ったシリコーンレジンは、その後のポリシロキサン系コーティング膜の成分とよく馴染み、悪い影響を及ぼさないのである。
本発明で用いるシリコーンレジンの含有量は組成物全体の1〜5質量%が好ましく、さらに好ましくは2〜4質量%であり、酸化第二錫の含有量に対して0.1倍〜0.5倍が好ましい。シリコーンレジンの含有量が1質量%未満では光沢が低下し、5質量%を超えると研磨力が低下する。シリコーンレジンの種類は、シリコーンオイルに溶解するメチルシリコーンレジン、例えばレジンの分子構造がQユニット(-Si-O-)nとMユニット{-O-Si-(CH3)3}からなるMQレジンが特に好ましい。
本発明で用いる(ニ)シリコーンオイル、とりわけジメチルシリコーンオイルは、(ハ)シリコーンレジンの溶剤として使用でき、滑性や展延性に優れ、バフ研磨の際の潤滑油として好適であり、(ハ)シリコーンレジンを処理面に斑なく均一に残すことができる。
本発明で用いるシリコーンオイルの含有量は組成物全体の2〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは4〜8質量%であり、シリコーンレジンの含有量に対して1倍〜3倍が好ましい。シリコーンオイルの含有量が2質量%未満ではハンドリング性が低下し、10質量%を超えると研磨力が低下する。シリコーンオイルの種類は特に限定されないが、ジメチルシリコーンが特に好ましい。シリコーンオイルの粘度は特に限定されないが、100〜500cstが好ましい。
本発明で用いる界面活性剤及び増粘剤の含有量はシリコーンオイルやシリコーンレジンの乳化安定性を損なわない程度でできるだけ少ない方がよい。
界面活性剤の種類は特に限定されないが、シリコーンオイルやシリコーンレジンの乳化の安定性を図る目的で使用できるものであれば何でもよく、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性のいずれでもよい。
増粘剤の種類も特に限定されないが、酸化第二錫の分散安定性を図る目的で使用できるものであれば何でもよく、セルロース系誘導体、アルカリ会合型のカルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの多糖類誘導体などの水溶性有機高分子類が好適に使用できる。
水は研磨組成物を水性乳化物とするための必須成分であって、安全に取り扱うことができる組成物を構成することを目的としている。本発明の水性乳化組成物は液状から高粘度ペースト状まで任意の状態に調整することができ、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で種々の研磨性粒子、界面活性剤、水溶性溶剤、ワックス類、防錆剤、防腐剤、色素、香料などを配合することができる。
本発明で用いる(ロ)水溶性溶剤の沸点は180℃以上であって、溶解パラメータ(SP値)は10以上である。水溶性溶剤の沸点が180℃未満では、バフ研磨の際に乾燥が速すぎて仕上がり性やハンドリング性が低下する。水溶性溶剤の溶解パラメータ(SP値)が10未満では仕上がり性の低下や塗膜の膨潤などの悪影響が現れる。好適な水溶性溶剤の例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
本発明の水性乳化バフ研磨組成物でコーティング前の下地処理を施すと良好な処理面が形成される理由は明らかではないが、バフ研磨した処理面をAFM(原子間力顕微鏡)で観察した結果、実施例1は比較例5と比較して、表面粗さと最大高低差がより小さくなっており、表面がより平滑になっていることが判明した。(表1、図1、図2)
Figure 2015059187
本発明の実施の形態をまとめると以下の通りである。
(1) (イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫、(ロ)水溶性溶剤、(ハ)シリコーンレジン、(ニ)シリコーンオイル、(ホ)界面活性剤、(へ)増粘剤及び水を含有することを特徴とする水性乳化バフ研磨用組成物
(2) (イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫2〜20質量%、(ロ)水溶性溶剤2〜20質量%、(ハ)シリコーンレジン1〜5質量%、(ニ)シリコーンオイル2〜10質量%、(ホ)界面活性剤0.1〜0.5重量%(ヘ)増粘剤0.1〜0.5重量%及び残部が水であることを特徴とする水性乳化バフ研磨用組成物。
(3) (イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫の90%体積平均粒子径が6μm以下である請求項1又は2に記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
(4) (ロ)水溶性溶剤の沸点が180℃以上であって、溶解パラメータ(SP値)が10以上である上記(1)又は上記(2)に記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
(5) (ロ)水溶性溶剤がエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び又はグリセリンからなる群より選ばれる1種若しくは2種以上であることを特徴とする上記(1)又は上記(2)に記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
(6) (ハ)シリコーンレジンがシリコーンオイルに溶解するメチルシリコーンレジンであることを特徴とする上記(1)〜上記(4)のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
(7) (ニ)シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイルであることを特徴とする上記(1)〜上記(5)のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
(8)上記(1)〜上記(6)に記載の水性乳化バフ研磨用組成物でバフ研磨処理した表面を塗装用ポリシロキサン系コーティング処理するに際して、水性乳化バフ研磨用組成物を、ダブルアクションポリッシャーを用いることなく、シングル回転のポリッシャーのみを用いてバフ研磨するだけで塗装用ポリシロキサン系コーティングの下地処理することを特徴とする下地処理方法。
(9) 塗装用ポリシロキサン系コーティングの樹脂がポリアルキルシロキサンであることを特徴とする上記(7)に記載した下地処理方法。
(10) 塗装用ポリシロキサン系コーティングが自動車塗装用であることを特徴とする上記(7)又は上記(8)のいずれかに記載した下地処理方法。
次に実施例によって本発明をさらに具体的に詳細に亘って説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例に記載のSP値は、プラスチック素材辞典より引用した。
(シリコーンレジン乳化物の調整)
メチルシリコーンレジン約35質量%をジメチルシリコーンオイルに溶解させたもの(東レ・ダウコーニング(株)製DC593)40質量%及び界面活性剤ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製エマルゲン103:花王(株)製エマルゲン120=1:2混合物)3質量%に57質量%の水を配合し、ホモミキサーで撹拌しながら転相法により水性乳化物を得た後、ホモジナイザー(高圧乳化機)処理によって乳化物を安定化させた。
水61.7g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてプロピレングリコール(SP値12.6)10gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径1.5μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−S)10gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物17g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)1gを加えて均一に混合し、実施例1の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
水61.7g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてエチレングリコール(SP値14.6)10gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径0.8μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−Sをボールミルで粉砕して粒度調整したもの)10gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物17g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)1gを加えて均一に混合し、実施例2の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
水61.7g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてグリセリン(SP値16.5)10gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径2.5μmの酸化第二錫{日本化学産業(株)製SH(50%体積平均粒子径5μm)をボールミルで粉砕して粒度調整したもの}10gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物17g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)1gを加えて均一に混合し、実施例3の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
水41.7g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてプロピレングリコール15gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径1.5μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−S)15gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物26g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)2gを加えて均一に混合し、実施例4の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
水80.2g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてプロピレングリコール5gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径1.5μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−S)5gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物9g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)0.5gを加えて均一に混合し、実施例5の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
水61.7g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてジエチレングリコール(SP値12.1)10gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径1.5μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−S)10gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物17g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)1gを加えて均一に混合し、実施例6の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
水61.7g中に増粘安定化剤としてキサンタンガム(三晶(株)製ケルザン)0.3gを完全に溶解させた後、水溶性溶剤としてジプロピレングリコール(SP値10)10gを均一に混合溶解し、50%体積平均粒子径1.5μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−S)10gを均一に分散させた。その後、シリコーンレジン乳化物17g、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)1gを加えて均一に混合し、実施例7の水性乳化バフ研磨用組成物100gを得た。
実車のボンネットに実施例1の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例1の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
実車のボンネットに実施例2の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例2の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
実車のボンネットに実施例3の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例3の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
実車のボンネットに実施例4の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例4の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
実車のボンネットに実施例5の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例5の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
実車のボンネットに実施例6の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例6の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
実車のボンネットに実施例7の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に実施例7の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
(比較例1)
実施例1で50%体積平均粒子径0.3μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SH−Sをボールミルで粉砕して粒度調整したもの)を使用した。
(比較例2)
実施例1で50%体積平均粒子径4.2μmの酸化第二錫(日本化学産業(株)製SHをボールミルで粉砕して粒度調整したもの)を使用した。
(比較例3)
実施例1で水溶性溶剤を使用せず、水の量を71.7gとした。
(比較例4)
実施例1でシリコーンレジン乳化物を使用せず、ジメチルシリコーンオイルエマルション(東レダウコーニング(株)製SM7036EX/有効成分濃度38%、オイル粘度350cst)の量を6g、水の量を73.7gとした。
(比較例5)
実施例1で酸化第二錫をアルミナ(50%体積平均粒子径1.5μm)に置き換えた。
(比較例6)
市販のアクリル樹脂を配合したコーティング((株)スピーディ製オーロラカットEJ001)の下地処理剤を用いた。
(比較例7)
実車のボンネットに比較例6の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、3カ月間実車走行後の撥水性を目視評価した。(性能評価A参照)また、試験用塗装板に比較例6の下地処理剤を用いて下地処理した後、ポリシロキサン系コーティングを施し、洗浄試験機を用いた撥水耐久性試験を行った。(性能評価B参照)
(性能評価A)
実車(黒色塗装/トヨタカローラ平成20年式)のボンネットを粗磨き用コンパウンド(石原薬品(株)製FMC8000−L)とウールバフ(石原薬品(株)製B−100)を用いてバフ研磨を行い、全体に均一に磨き傷を残した。その後、本発明の水性乳化バフ研磨用組成物(及び比較例1〜5)とスポンジバフ(石原薬品(株)製B−20)を用いてバフ研磨による下地処理を行ない、粗磨き用コンパウンドの磨き傷の除去状態、処理面上の回転傷の残り具合について目視評価した。特に処理面上の回転傷の残り具合は、オーロラマークと呼ばれ、蛍光灯下では視認できないため、水銀灯下で行なった。光沢は、20°の鏡面光沢度計を用いて評価した。また、実施例1〜7及び比較例6の処理面にポリシロキサン系コーティングを施し(実施例8〜14及び比較例7)、3か月間実車走行した(その間5回洗車実施)後、水洗後の撥水性を比較してコーティング膜の耐久性を評価した。
バフ研磨条件
電動ポリッシャー(リョービ(株)製PE―2000/シングル回転式)
ポリッシャー回転速度・・・1200rpm
ポリッシャー移動速度・・・6cm/秒
バフ・・・スポンジバフ(石原薬品(株)製B−20)
押圧荷重・・・4kg

それぞれの評価結果を表2に表わす。
Figure 2015059187
(評価基準)
(1)傷除去性:目視評価(蛍光灯下)
○・・・線傷は完全に除去できる
△・・・線傷はやや残る
×・・・線傷は除去できない
(2)回転傷残り性:目視評価(水銀灯下)
○・・・回転傷は全く残らない
△・・・回転傷はやや残る
×・・・回転傷は残る
(3)光沢:20°鏡面光沢度計
○・・・光沢良好(光沢度90以上)
△・・・光沢やや劣る(光沢度85〜90)
×・・・光沢不良(光沢度85以下)
(性能評価B)
試験用塗装板に実施例1〜7及び比較例6で下地処理した後、塗装用ポリシロキサン系コーティングを行い、コーティング処理後の初期撥水性及び撥水耐久性(洗浄試験機による耐久試験JIS
K2396)について評価した。
ポリシロキサンコーティングの実施例
Iシリコーンアルコキシオリゴマー(越化学工業製KR−500)・・・10.0%
IIチタン系触媒(信越化学工業製D−25)・・・1.0%
III変性シリコーン(信越化学工I業製X−22−176DX)・・・2.0%
IVイソパラフィン溶剤(出光興産製IPソルベント1620)・・・87.0%

洗浄試験機による耐久試験
JIS K2396 9.12 撥水持続性の評価試験に準拠
洗浄液・・・炭酸ナトリウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムより調整(pH11)
500gの重りにマイクロクロスを巻き付け、洗浄試験機にセットして、コーティング処理した試験用塗装板の表面に洗浄液を滴下しながら5000回洗浄し、水で濯いで乾燥後に接触角計を用いて撥水角を測定した。
Figure 2015059187
(評価基準)
(4)コーティング初期撥水性:処理直後の撥水角
○・・・撥水角(98°〜100°)
△・・・撥水角(95°〜97°)
×・・・撥水角(95°未満)
(5)コーティング撥水耐久性(JIS耐洗浄性試験):耐久試験後の撥水角
○・・・撥水角(95°以上)
△・・・撥水角(90°〜95°)
×・・・撥水角(90°未満)
(6)コーティング撥水耐久性(3か月実車走行試験):目視撥水性
○・・・よく撥水している
△・・・やや撥水性が劣る
×・・・撥水性が悪い
本発明の水性乳化バフ研磨用組成物は、シングル回転ポリッシャーを用いて塗膜上の微細なキズを除去し、かつ回転傷を残さず、光沢の良いポリシロキサン系コーティングの良好な下地を形成することができるため、産業上の利用価値が高い。

Claims (10)

  1. (イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫、(ロ)水溶性溶剤、(ハ)シリコーンレジン、(ニ)シリコーンオイル、(ホ)界面活性剤、(へ)増粘剤及び水を含有することを特徴とする水性乳化バフ研磨用組成物。
  2. (イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫2〜20質量%、(ロ)水溶性溶剤2〜20質量%、(ハ)シリコーンレジン1〜5質量%、(ニ)シリコーンオイル2〜10質量%、(ホ)界面活性剤0.1〜0.5重量%(ヘ)増粘剤0.1〜0.5重量%及び残部が水であることを特徴とする請求項1に記載した水性乳化バフ研磨用組成物。
  3. (イ)50%体積平均粒子径が0.5〜3μmである酸化第二錫の90%体積平均粒子径が6μm以下である請求項1又は2に記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
  4. (ロ)水溶性溶剤の沸点が180℃以上であって、溶解パラメータ(SP値)が10以上である請求項1〜3のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物
  5. (ロ)水溶性溶剤がエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び又はグリセリンからなる群れより選ばれる1種若しくは2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
  6. (ハ)シリコーンレジンがシリコーンオイルに溶解するメチルシリコーンレジンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
  7. (ニ)シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の水性乳化バフ研磨用組成物でバフ研磨処理した表面を、塗装用ポリシロキサン系コーティング処理するに際して、水性乳化バフ研磨用組成物を、ダブルアクションポリッシャーを用いることなく、シングル回転のポリッシャーのみを用いてバフ研磨するだけで塗装用ポリシロキサン系コーティングの下地処理することを特徴とする下地処理方法。
  9. 塗装用ポリシロキサン系コーティングの樹脂がポリアルキルシロキサンであることを特徴とする請求項8に記載した下地処理方法。
  10. 塗装用ポリシロキサン系コーティングが自動車塗装用であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載した下地処理方法。
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