JP2015053788A - インバータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータのスイッチングによるノイズをより認識されにくくする。【解決手段】マスキング期間(マスキング領域)の間、キャリア周波数fcを、キャリア周波数初期値(例えば、周波数f1〜f3など))から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行ない、マスキング期間をランダムな期間(例えば、時間T1〜T3など)に設定し、キャリア周波数初期値を設定したマスキング期間が短いほど高い値に設定する。この結果、インバータのスイッチングによるノイズをより認識されにくくすることができる。【選択図】図2
Description
本発明は、インバータの制御装置に関し、詳しくは、モータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御し、パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を徐々に高くする期間であるマスキング期間とキャリア周波数初期値とを設定し、設定したマスキング期間の間、キャリア周波数を設定したキャリア周波数初期値から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なうインバータの制御装置に関する。
従来、この種のインバータの制御装置としては、パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を所定時間毎に切り替えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、こうしたキャリア周波数の切り替えにより、インバータのスイッチングによるノイズのピークレベルを低減できるとしている。
しかしながら、上述の制御装置では、インバータのスイッチングによるノイズが一定周期で発生するため、ノイズが認識されやすくなってしまう。したがって、ノイズをより認識されにくくする制御が望まれている。
本発明のインバータの制御装置は、インバータのスイッチングによるノイズをより認識されにくくすることを主目的とする。
本発明のインバータの制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のインバータの制御装置は、
モータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御し、前記パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を徐々に高くする期間であるマスキング期間とキャリア周波数初期値とを設定し、前記設定したマスキング期間の間、前記キャリア周波数を前記設定したキャリア周波数初期値から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なうインバータの制御装置であって、
前記マスキング期間を、ランダムな期間に設定し、
前記キャリア周波数初期値を、前記設定したマスキング期間が短いほど高い値に設定する
ことを特徴とする。
モータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御し、前記パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を徐々に高くする期間であるマスキング期間とキャリア周波数初期値とを設定し、前記設定したマスキング期間の間、前記キャリア周波数を前記設定したキャリア周波数初期値から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なうインバータの制御装置であって、
前記マスキング期間を、ランダムな期間に設定し、
前記キャリア周波数初期値を、前記設定したマスキング期間が短いほど高い値に設定する
ことを特徴とする。
この本発明のインバータの制御装置では、モータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御し、パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を徐々に高くする期間であるマスキング期間とキャリア周波数初期値とを設定し、設定したマスキング期間の間、キャリア周波数を設定したキャリア周波数初期値から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なう。一般に、音のレベルは周波数が高いほど低くなる。また、ある音が鳴った後の一定時間はその音よりレベルの低い音は認識されにくくなる。したがって、パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を設定されたキャリア周波数初期値から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なうことにより、キャリア周波数を固定するものに比して、キャリア周波数初期値より高い周波数の音を認識されにくくすることができる。そして、マスキング期間を、ランダムな期間に設定する。これにより、周波数がキャリア周波数初期値の音の発生周期がランダムになり、音の発生周期が一定のものに比して、より認識されにくくなる。さらに、キャリア周波数初期値を、設定したマスキング期間が短いほど高い値に設定する。これにより、周波数がキャリア周波数初期値の音が発生する周期が短くなるほど音のレベルを低くすることができる。この結果、インバータのスイッチングによるノイズをより認識されにくくすることができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのインバータの制御装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、駆動輪26a,26bにデファレンシャルギヤ24を介して接続された駆動軸22に動力を入出力可能なモータ32と、モータ32を駆動するためのインバータ34と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ34を介してモータ32と電力をやりとりするバッテリ36と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット50と、を備える。なお、実施例では、電子制御ユニット50が「インバータの制御装置」に該当する。
電子制御ユニット50は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。電子制御ユニット50には、モータ32のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサからのモータ32のロータの回転位置や、モータ32の三相コイルの各相に流れる相電流を検出する電流センサからの相電流,バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサからの端子間電圧,バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサからの充放電電流,バッテリ36に取り付けられた温度センサからの電池温度,イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)60からのイグニッション信号,シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSP,アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ68からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50からは、インバータ34の図示しないスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、電子制御ユニット50は、回転位置検出センサにより検出されたモータ32のロータの回転位置θmに基づいてモータ32のロータの電気角θeや回転角速度ωm,回転数Nmを演算したり、電流センサにより検出されたバッテリ36の充放電電流Ibに基づいてそのときのバッテリ36から放電可能な電力量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度とに基づいてバッテリ36を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、アクセル開度Accと車速Vとに応じて駆動軸22に出力すべき要求トルクTr*を設定し、バッテリ36の入出力制限Win,Woutをモータ32の回転数Nmで除してモータ32から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを設定し、要求トルクTr*をトルク制限Tmin,Tmaxで制限してモータ32から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm*を設定し、設定したトルク指令Tm*でモータ32が駆動されるようインバータ34のスイッチング素子をスイッチング制御する。インバータ34の制御は、実施例では、変調波(搬送波)とモータ32の電圧指令との比較によってインバータ34のスイッチング素子のオン時間の割合を調節するパルス幅変調制御によって行なうものとした。
図2は、変調波の周波数としてのキャリア周波数fcの時間変化の様子の一例を示す説明図である。キャリア周波数fcは、キャリア周波数fcを徐々に高くするマスキング期間Tmaskとキャリア周波数初期値fcsetとを設定した後、設定したマスキング期間Tmaskの間、キャリア周波数初期値fcsetから徐々に高くするものとした。
ここで、マスキング期間Tmaskは、後述する時間マスキングを考慮して、時間T1(例えば、100msecなど)、時間T2(時間T1より短い時間、例えば、80msecなど)、時間T3(時間T2より短い時間、例えば、60msecなど)などランダムに設定されるものとした。
また、キャリア周波数初期値fcsetは、設定されたマスキング期間Tmaskが短いほど高い値に設定されるものとした。キャリア周波数初期値fcsetは、例えば、マスキング期間Tmaskが時間T1であるときには周波数f1(例えば、1kHzなど)に設定され、マスキング期間Tmaskが時間T1より短い時間T2であるときには周波数f1より高い周波数f2(例えば、1.01kHzなど)に設定され、マスキング期間Tmaskが時間T2より短い時間T3であるときには周波数f2より高い周波数f3(例えば、1.03kHzなど)に設定するものとした。
このようにキャリア周波数fcを変化させるのは以下の理由による。図3は、音圧のレベルの時間変化の一例を示す説明図である。一般に、音のレベルは周波数が高いほど低くなる。また、ある刺激音、すなわち、突然大きな音がしたときには、その刺激音がなくなっても、その直後に続く音圧レベルの低い短い音は前の音にかき消されて聞こえにくくなる。これは、時間マスキングと呼ばれるものであり、図3における「プリ」と「ポスト」の領域はマスキングされて聞こえにくくなる。実施例では、この「時間マスキング」を考慮して、マスキング期間Tmaskの間、キャリア周波数fcを、キャリア周波数初期値fcsetから徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なう。これにより、マスキング期間Tmaskの間、キャリア周波数初期値fcsetより高い周波数の音を認識しにくくすることができる。
また、マスキング期間Tmaskを、ランダムな期間に設定するから、周波数がキャリア周波数初期値fcsetの音の発生周期がランダムになる。これにより、音の発生周期が一定のものに比して、周波数がキャリア周波数初期値fcsetの音をより認識されにくくすることができる。
さらに、キャリア周波数初期値fcsetを、設定したマスキング期間Maskが短いほど高い値に設定するから、周波数がキャリア周波数初期値fcsetの音の発生周期が短くなるほど音のレベルを低くすることができ、周波数がキャリア周波数初期値fcsetの音を認識されにくくすることができる。この結果、インバータ34のスイッチングによるノイズをより認識されにくくすることができる。
以上説明した実施例の電気自動車20では、マスキング期間Tmaskの間、キャリア周波数fcを、キャリア周波数初期値fcsetから徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行ない、マスキング期間Tmaskをランダムな期間に設定し、キャリア周波数初期値fcsetを設定したマスキング期間Maskが短いほど高い値に設定する。この結果、ノイズをより認識されにくくすることができる。
実施例の電気自動車20では、マスキング期間Tmaskをランダムな期間に設定し、キャリア周波数初期値fcsetを設定したマスキング期間Maskが短いほど高い値に設定するものとしたが、図4に例示するように、マスキング期間Tmaskをランダムな期間に設定し、キャリア周波数初期値fcsetをマスキング期間Maskに拘わらず周波数f1の一定値としてもよいし、図5に例示するように、マスキング期間Tmaskを時間T1に設定し、キャリア周波数初期値fcsetを周波数f1から周波数f3の間でランダムに変更するものとしてもよい。
実施例では、本発明を電気自動車に搭載されるモータを駆動するためのインバータの制御を行なう装置に適用するものとしたが、車載されるものに限定されるものではなく、モータを駆動するためのインバータを制御するものであれば如何なるものに搭載するものに適用してもよい。
実施例では、本発明をモータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御する制御装置に適用するものとしたが、モータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御するものであれば如何なるものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、インバータの制御装置の製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22 駆動軸、24 デファレンシャルギヤ、26a、26b 駆動輪、32 モータ、34 インバータ、36 バッテリ、50 電子制御ユニット、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ。
Claims (1)
- モータを駆動するためのインバータをパルス幅変調制御によって制御し、前記パルス幅変調制御に用いるキャリア周波数を徐々に高くする期間であるマスキング期間とキャリア周波数初期値とを設定し、前記設定したマスキング期間の間、前記キャリア周波数を前記設定したキャリア周波数初期値から徐々に高くするキャリア周波数変更を繰り返し行なうインバータの制御装置であって、
前記マスキング期間を、ランダムな期間に設定し、
前記キャリア周波数初期値を、前記設定したマスキング期間が短いほど高い値に設定する
ことを特徴とするインバータの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013184913A JP2015053788A (ja) | 2013-09-06 | 2013-09-06 | インバータの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013184913A Pending JP2015053788A (ja) | 2013-09-06 | 2013-09-06 | インバータの制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018181785A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動装置 |
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2013
- 2013-09-06 JP JP2013184913A patent/JP2015053788A/ja active Pending
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WO2018181785A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動装置 |
CN110536816A (zh) * | 2017-03-31 | 2019-12-03 | 株式会社爱德克斯 | 车辆的制动装置 |
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