JP2015052555A - 炉内耐火物損耗状態の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炉体の内部に内張された耐火物の表面形状を測定することによって、耐火物の損耗状態を検出する炉内耐火物損耗状態の測定方法であって、耐火物に対して測定光を照射することにより炉内の2次元形状を測定する測定手段10を、移動手段によって炉内で移動させつつ複数回測定することにより炉内の3次元形状を求め、求めた前記3次元形状に基づいて耐火物の損耗状態を測定する。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1は、炉壁までの距離を計測する非接触の距離計測手段と、該距離計測手段を炉内に挿入し炉壁面に沿って2次元的に走査するための走査手段と、炉内を走査される前記距離計測手段を炉外から撮像するための画像撮像手段とを有し、該画像撮像手段により前記距離計測手段を撮像して該距離計測手段の2次元的な走査軌跡を算出し、前記距離計測手段により計測された炉壁までの距離の測定値と前記走査軌跡とにより、炉壁面の面形状を計測する炉壁形状計測方法を開示する。この技術により、コークス炉等の炉内壁面全体の2次元的な凹凸形状を正確に計測することを可能としている。
まず、特許文献1の技術は、計測ヘッド部を炉内に挿入する機構がアーム構造であるため、アームの届く直線状の範囲しか計測できない。また、挿入距離が長くなるとアームのたわみや振動が無視できなくなり、またそれらを補正するための基準点が補正用カメラから見えにくくなり、補正精度が落ちる。これらの問題により、サイズの大きい炉や内部が湾曲した形状の炉には適用できないといった難点を有する。
すなわち、本発明に係る炉内耐火物損耗状態の測定方法は、炉体の内部に内張された耐火物の表面形状を測定することによって、前記耐火物の損耗状態を検出する炉内耐火物損耗状態の測定方法であって、前記耐火物に対して測定光を照射することにより炉内の2次元形状を測定する測定手段を、移動手段によって前記炉内で移動させつつ複数回測定することにより前記炉内の3次元形状を求め、求めた前記3次元形状に基づいて前記耐火物の損耗状態を測定することを特徴とする。
好ましくは、前記測定手段として、ライン状の測定光を耐火物へ向けて照射した上で光切断法に基づいて当該耐火物の2次元形状を測定する光切断型距離センサを採用するとよい。
好ましくは、前記2次元形状は、炉内の側壁部及び天井部の形状であるとよい。
好ましくは、前記炉体の補修直後に、測定して得られた炉内の3次元形状を基準データとし、前記炉体の操業後に、測定して得られた炉内の3次元形状を操業後データとし、前記基準データと操業後データとの差を基に、前記耐火物の損耗状態を求めるとよい。
好ましくは、前記位置決めターゲットの形状を半球形状とし、半球形状の位置決めターゲットに測定光を照射したときの3次元形状に基づいて、位置決めターゲットの中心座標を求め、求めた中心座標に基づいて、前記基準データと操業後データとの原点合わせを行うとよい。
好ましくは、前記基準データと操業後データとの差を求めるに際し、測定手段によって走査した同一走査面に形状を示す測定値が存在しない場合には、測定値を補間したうえでで基準データと操業後データとの差を求めるとよい。
[第1実施形態]
製鉄分野では様々な炉体、例えば、高炉、転炉、加熱炉などが用いられる。これら炉体の内側には耐火物が内張りされている。この実施形態では、炉体として、内部が湾曲した形状を有するU字型炉1を例に挙げ説明する。
U字型炉1の内部の側壁部4と天井部5(天井部)には、耐火物9が張られている。U字型炉1の底部(炉床)6は、移動可能とされており、この移動式の炉床6は、敷設されたレール7上を移動することで、湾曲部2の曲率に沿って移動する。この炉床6上には、例えば、鋳片などの処理対象などが載置され、炉床6がU字型炉の湾曲部2を移動するにしたがって、処理対象の鋳片が昇温されることとなる。この実施形態では、U字型炉1を例にあげ説明しているが、当然の如く、本発明は、その他の炉体も適用可能である。例えば、ペレット等の製鉄原料を炉床6に装入して、炉床6をレール7に沿って回転させながら反応を進める回転炉にも適用することができる。
本実施形態における距離センサ10は、レーザ光(測定光)を耐火物に照射し、耐火物に当たって反射した光(反射光)を受光センサで受けて、照射したレーザ光との時間差を検出し、時間差と光源とから耐火物までの距離を求めるTOF型距離センサである。
図2(a)に示すように、炉床6の幅方向の中央部に距離センサ10を設置する。例えば、距離センサ10を、炉床6の湾曲部2に設置するにあたっては、円弧状となっている湾曲部2の半径方向(径方向)の中央部(幅方向の中央部と同じ)に設置する。
距離センサ10の設置時には、レーザ光Lの走査面が湾曲部2の半径方向に沿うように、当該距離センサ10の向きを合わせる。距離センサ10の設置後は、例えば、外側の側壁部4a(外側壁部4aという)の下端の耐火物に向けてレーザ光Lを照射して距離センサ10から耐火物9上のレーザ反射点までの距離を測定する。次に、レーザ光Lの照射を徐々に天井部5に向けて移動させながら走査し、走査中に一定の移動角度毎にレーザ光反射点までの距離を測定していく。内側の側壁部4b(内側壁部4bという)の下側の耐火物に照射した時点で、レーザ光Lの照射及び走査を終了する。
次に、所定位置での炉内の走査が終了すると、移動手段によって距離センサ10を移動させる。図2(b)に示すように、炉床6をレール7に沿って移動(回転)させることにより距離センサ10の位置を変えることができる。
次に、耐火物の損耗状態の測定について説明する。
損耗状態を測定する方法として、(a)炉体の外側形状と内側形状の形状差から耐火物の損耗状態(耐火物の残厚)を求める方法(第1方法)と、(b)耐火物の損耗が無いときの内側形状(補修直後の内側形状)を推定しておき、補修直後の内側形状と炉体の操業後の内側形状とを比較して耐火物の損耗状態を求める方法(第2方法)とがある。
詳しくは、まず、炉内の耐火物を補修した後、補修直後に炉内に距離センサ10を設置する。図2に示したように、距離センサ10によって炉内の2次元形状を複数取得し、2次元形状から得られた3次元形状を基準データとする。その後、炉を所定期間操業し、例えば、耐火物の定期補修や状況確認を行うときのタイミングで距離センサ10を設置する。距離センサ10によって炉内の2次元形状を複数取得し、2次元形状から得られた3次元形状を操業後データとする。そして、操業後データによって得られる操業後の3次元形状と、基準データによって得られる操業前(補修直後)の3次元形状とを比較して、耐火物の損耗分布や損耗速度分布などを求める。
図4に示すように、炉体の側壁部4a、4bには、炉内の状況を見たり、点検のために人が出入りするための点検口16が備えられている。補修直後や操業後に炉内の3次元形状を測定する際には、半球状に形成された位置決めターゲット15を点検口16に取り付ける。詳しくは、図3及び図4に示すように、半球状の本体部17を点検口16に挿入し、取り付けステー19の両側を点検口16の縁部にある取付部18に固定することにより位置決めターゲット15を炉体1に設置する。なお、位置決めターゲット15は、点検口16に取り付けるようにしているため、取付と取り外しを繰り返したとしても炉体全体に対する位置は変化しない。
本発明では、補修直後に計測した位置決めターゲット15の基準座標(測定値から得られた座標)と、操業後に計測した位置決めターゲット15の基準座標(測定値から得られた座標)とが一致するように、操業後に測定値(2次元形状又は3次元形状の元となる測定値)を補正する(原点位置を合わせる補正を行う)ことにより、距離センサ10の設置ずれによる影響を無くしている。
以上述べた第1実施形態の炉内耐火物損耗状態の測定方法によれば、サイズの大きい炉や、回転炉のように内部が湾曲した形状の炉体であっても、炉内の耐火物の形状を確実に計測することができる。
以降述べる第2実施形態では、更に測定精度を向上させるべく、様々なデータ補正を行う実施形態について説明する。すなわち、第2実施形態は、距離センサ10によって測定した測定値について、コンピュータ等を用いて様々な補正処理を行うようにしたものである。なお、第2実施形態における処理は、コンピュータにより行うとし説明する。また、第2実施形態においても、炉内の3次元形状の取得方法は、第1実施形態と略同じである。
形状変更処理では、図6に示すように、炉体の所定位置(例えば、U字型炉1であれば、湾曲部2の中心)を原点とし、鉛直方向(上下方向)をZ軸とするワールド座標を設定する。あるいは、炉体が回転炉であれば、回転炉の中心を原点とする。
設置面誤差処理において、高さの誤差ΔVを求めるにあたっては、図8(b)に示すように、まず、第1ターゲット15aの基準座標に基づき、第1ターゲット15aの高さである「測定値V1」を求める。また、同様に、第2ターゲット15bの基準座標に基づき、第2ターゲット15bの高さである「測定値V2」を求める。
同様に、第2ターゲット15bにおける設計上の高さ(測定値V20)と、測定値による高さ(測定値V2)とに基づき、第2ターゲット15bにおける高さ誤差ΔV2を求める(ΔV2=V2−V20)。そして、第1ターゲット15aの高さ誤差ΔV1と、第2ターゲット15bの高さ誤差ΔV2との平均を計算し、この平均値を高さ誤差ΔVとして代表する[ΔV=(ΔV1+ΔV2)/2)]。
走査ライン誤差処理では、設置面誤差処理と同様に、複数(例えば、2つ)の位置決めターゲットの基準座標を用いる。図9(a)に示すように、第1ターゲット15aのY座標の測定値(Y1)と、第1ターゲット15aのY座標の設計値(Y10)との差を求める(ΔY1=Y1−Y10)。また、第2ターゲット15bのY座標の測定値(Y2)と、第1ターゲット15aのY座標の設計値(Y20)との差を求める(ΔY2=Y2−Y20)。そして、「ΔY1、ΔY2」を用いて、走査方向と理想的な走査面(炉体の軸線方向に対して直交する面)との傾き(傾斜角度Δθ)を求める。具体的には、次式を用いて、傾斜角度θを求める。
形状比較処理では、補正走査面S上の全ての測定値に対して、側壁部4に相当する測定値と、天井部5に相当する測定値とに分ける。具体的には、図10に示すように、設計上の高さV0、炉壁までの距離L10,L20は予め分かるため、まず、側壁部4と天井部5の境界となるコーナ部8の座標を求める。そして、コーナ部8の座標からX軸方向に対するコーナ部角度θ1、θ2を求める。
図10(b)に示すように、リサンプリングでは、サンプリングピッチを設定し、サンプリングピッチの間隔で測定値を補間する。なお、リサンプリングでは、走査ライン誤差処理等で補正した測定値を用い、線形補間を用いる。
2 湾曲部
4 側壁部
4a 外側壁部
4b 内側壁部
5 天井部
6 炉床
7 レール
8 コーナ部
10 距離センサ
15 位置決めターゲット
16 点検口
17 本体部
18 取付部
19 取付ステー
Claims (10)
- 炉体の内部に内張された耐火物の表面形状を測定することによって、前記耐火物の損耗状態を検出する炉内耐火物損耗状態の測定方法であって、
前記耐火物に対して測定光を照射することにより炉内の2次元形状を測定する測定手段を、移動手段によって前記炉内で移動させつつ複数回測定することにより前記炉内の3次元形状を求め、求めた前記3次元形状に基づいて前記耐火物の損耗状態を測定することを特徴とする炉内耐火物損耗状態の測定方法。 - 前記測定手段として、測定光を耐火物へ向けて照射することにより、当該耐火物までの距離を測定するTOF型距離センサを採用していることを特徴とする請求項1に記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
- 前記測定手段として、ライン状の測定光を耐火物へ向けて照射した上で光切断法に基づいて当該耐火物の2次元形状を測定する光切断型距離センサを採用していることを特徴とする請求項1に記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
- 前記移動手段は、前記炉体の底部側に配置された移動式の炉床であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
- 前記2次元形状は、炉内の側壁部及び天井部の形状であることを特徴とする請求項4に記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
- 前記炉体の補修直後に、測定して得られた炉内の3次元形状を基準データとし、
前記炉体の操業後に、測定して得られた炉内の3次元形状を操業後データとし、
前記基準データと操業後データとの差を基に、前記耐火物の損耗状態を求めることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。 - 前記炉内に位置決めターゲットを設置して、当該位置決めターゲットの座標を求め、
求めた位置決めターゲットの座標を基にして、前記基準データと操業後データとの原点合わせを行った上で、前記基準データと操業後データとの差を求めることを特徴とする請求項6に記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。 - 前記位置決めターゲットの形状を半球形状とし、半球形状の位置決めターゲットに測定光を照射したときの3次元形状に基づいて、位置決めターゲットの中心座標を求め、求めた中心座標に基づいて、前記基準データと操業後データとの原点合わせを行うことを特徴とする請求項7に記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
- 前記炉床上に設置した測定手段の設置位置の誤差を、前記位置決めターゲットの3次元形状に基づいて補正することを特徴とする請求項7又は8に記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
- 前記基準データと操業後データとの差を求めるに際し、測定手段によって走査した同一走査面に形状を示す測定値が存在しない場合には、測定値を補間したうえでで基準データと操業後データとの差を求めることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の炉内耐火物損耗状態の測定方法。
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