JPH0618900U - 回転炉床式加熱炉の炉床耐火物構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転炉床式加熱炉の被加熱材の断面周方向に
おける偏熱を防止し、穿孔工程における偏肉を抑制す
る。 【構成】 回転炉床式加熱炉の移動炉床１の炉床耐火物
において、移動炉床１の内外周端炉床端耐火物２、３間
に周方向に数条の凹溝４を配設すると共に、炉床面径方
向に所定間隔で凹溝５を配設し、各凹溝４と凹溝５間に
被加熱物７を載置する表面に凹部８を形成した独立支持
耐火部６を形成する。 【効果】 均熱時間を長くしたり、装入間隔を大きくし
て加熱効率を低下させることなく、被加熱材の断面周方
向の温度バラツキを低減でき、穿孔工程における偏肉率
を小さくできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、継目無管製造のためのマンネスマンミル用加熱炉として広く採用 されている回転炉床式加熱炉の炉床耐火物構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

継目無鋼管の製造における偏肉発生の要因は、製造工程の中で種々あり、例え ば、穿孔工程における素材の径方向の偏熱、穿孔プラグの傾斜偏芯、圧延工程に おける圧延機の圧延設定、圧延機、工具類の芯不良等が挙げられる。 製管用素材は、通常回転炉床式加熱炉で長手方向、断面方向に均一に加熱され 、ついで穿孔機によって中空素管に穿孔される。

【０００３】 マンネスマンミル用加熱炉として一般に広く採用されている回転炉床式加熱炉 の炉体は、図３および図４に示すとおり、固定炉壁２１および天井２２とドーナ ツ形の移動炉床２３から構成されている。移動炉床２３は、炉床下部に設置され た図示しないラックに噛合うピニオン２４により駆動され、レール上を移動する 。車輪は炉床側に取付ける場合と固定側に取付ける場合があり、固定側に車輪を 取付けた場合にはレールは炉床側に取付けられる。燃焼バーナーの取付けは、サ イドバーナー方式、軸流バーナ方式、ルーフバーナー方式があり、廃ガスは抽出 口側から装入口側に向かって流れダウンテークを経て煙道に導かれる。

【０００４】 移動炉床２３の表層面耐火物２５は、扇形の定形耐火物および／または不定形 耐火物で構築され、表面の平坦部に素材２６を炉床に対して放射状に並べて載置 し、移動炉床２３が１周する間に穿孔に必要な所定の温度に加熱する。 炉内から素材２６への熱伝達は、放射と対流であるが、連続加熱炉では急速加 熱型でほとんどが放射によるものであるが、素材２６の表層面耐火物２５との接 触面の温度と、それ以外の部分の温度に差が生じる。素材断面の温度を比べた場 合、表層面耐火物２５との接触部が他の部分に比べて２０〜３０℃低い温度とな っている。 また、素材が丸鋼の場合は、移動炉床の起動、停止に際して拘束されていない ため、転がって隣接する丸鋼同士が接触する場合がある。この場合にも前記素材 の表層面耐火物との接触面の温度と、それ以外の部分の温度に差が生じるのと同 様に、丸鋼同士の接触面の温度と他の部分の温度に差が生じる。

【０００５】 このような加熱状態の素材は、穿孔機を用い穿孔して中空素管にすると、円周 方向の温度差が変形抵抗の差となって現れ、中空素管の断面の肉厚分布が一定と ならず、加熱炉で炉床表層面耐火物と接触していた温度の低い箇所や、転がって 隣接する丸鋼同士が接触して温度の低い箇所に相当する部分の肉厚が厚くなり、 それと１８０°反対側が逆に肉厚が薄くなり、偏肉率を求めると大きな値となる 。中空素管の偏肉は、以降のプラグミルやマンドレルミル等の圧延工程で肉厚調 整されるが、製品としての許容値を超え、不良品となる場合がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記穿孔機による穿孔において、素材の円周方向の温度差に起因する中空素管 の偏肉を防止するには、均熱時間を十分にとるとともに素材の装入間隔を大きく し、均熱化を図ることのが効果的である。しかし、均熱時間を長くしたり、装入 間隔を大きくすることは、生産性が低下するため得策ではない。また、素材と炉 床表層面耐火物とを接触させない方法が考えられるが、素材を浮かせることは現 実的には不可能である。さらに素材を加熱中に回転させ、均熱化を図ることも考 えられるが、回転炉床上で素材を回転させるための装置が必要となる。

【０００７】 この考案の目的は、上記製管用素材の周方向における偏熱を防止するため、素 材と炉床表層面耐火物との接触面積を極力少なくし、見掛け上素材を炉床と接触 させないようにすると共に、炉床の起動、停止時の振動による素材の転がりを防 止できる回転炉床式加熱炉の炉床耐火物構造を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】 本考案者らは、上記目的を達成すべく種々試験研究を行った。その結果、炉床 内外周端耐火物の間に炉床面周方向に数条の凹溝を配設すると共に、炉床面径方 向に所定間隔で凹溝を配設し、各凹溝と凹溝間に被加熱物を載置する表面に凹部 を形成した独立支持耐火部を形成することによって、均熱時間を長くしたり、装 入間隔を大きくすることなく素材の周方向における偏熱を大幅に改善できると共 に、炉床の起動、停止時の振動による素材の転がりを防止できることを確認し、 この考案に到達した。

【０００９】 すなわちこの考案は、回転炉床式加熱炉の移動炉床の炉床耐火物において、移 動炉床の内外周端炉床端耐火物間に周方向に数条の凹溝を配設すると共に、炉床 面径方向に所定間隔で凹溝を配設し、各凹溝と凹溝間に被加熱物を載置する表面 に凹部を形成した独立支持耐火部を形成してなる回転炉床式加熱炉の炉床耐火物 構造である。

【００１０】

【作用】

この考案において、炉床表層面に配設する凹溝と凹溝間で形成される上面に凹 部を形成した独立支持耐火部は、炉床半径方向に最低２か所必要であるが、被加 熱材は単一長さの素材ばかりでなく、数十種類の長さがある。このため、素材長 さによって炉床半径方向に１列または２列に装入するので、上面に凹部を形成し た独立支持耐火部は数箇所形成するのが好ましい。 また、独立支持耐火部と独立支持耐火部の炉床半径方向の間隔が長すぎると、 被加熱材を加熱した際、自重により被加熱材に曲りが発生し問題となる。 したがって、加熱する被加熱材の長さや、加熱時の曲りを考慮して独立支持耐 火部の炉床半径方向の間隔、すなわち凹溝の幅や数を設定する。 独立支持耐火部の炉床径方向の幅は、各独立支持耐火部に加わる荷重と耐火物 の強度に応じ、若干の安全率を考慮して最小幅となるよう設定する。

【００１１】 さらに、独立支持耐火部の炉床円周方向の間隔は、被加熱材の載置間隔で決定 される。被加熱材の載置間隔は、隣接する被加熱材同士の間隔が狭すぎると、炉 床耐火物からの輻射熱が少なくなり、また逆に間隔が大きすぎると、処理量が少 なくなって生産性が低下する。このため、独立支持耐火部の炉床周方向の最適な 間隔は、計算値、実験値、経験値により決まってくる。したがって、独立支持耐 火部の炉床円周方向の間隔は、被加熱材の最適な間隔によって決定される。また 、独立支持耐火部の表面は、載置する被加熱材の軸方向と直交する方向に凹部が 設けられているため、炉床の起動、停止時の振動による炉床の周方向への転がり が防止できる。

【００１２】 この考案においては、炉床表層面に配設した数条の凹溝を高温ガスが流れ、こ のため支持耐火部に載置した被加熱材の断面の周方向の温度バラツキが大幅に改 善され、従来の平坦な炉床に比較し、偏熱が大きく改善される。 また、独立支持耐火部表面には、被加熱材の半径よりも大きく、深さ１０ｍｍ 程度の凹部を設けたから、該凹部に載置された被加熱材の移動炉床の起動、停止 に伴う振動による転がりが抑制され、隣接する被加熱材同士の接触が防止される 。

【００１３】

【実施例】

以下にこの考案の詳細を実施の具体例を示す図１ないし図２に基いて説明する 。図１はこの考案の炉床耐火物の要部斜視図、図２はこの考案の炉床耐火物の要 部拡大図で、（ａ）図は独立支持耐火部表面の湾曲した凹部、（ｂ）図はＶ字状 の凹部、（ｃ）図はＵ字状の凹部を示す。

【００１４】 図１はこの考案の炉床内外周端耐火物間に５条の凹溝を配設した炉床耐火物構 造の炉床の要部斜視図で、移動炉床１の内外周端耐火物２、３間に凹溝４を５ケ 所配設すると共に、移動炉床１の周方向に所定間隔で放射状に凹溝５を設け、凹 溝４と凹溝５間に独立支持耐火部６を形成する。独立支持耐火部６は、図２（ａ ）〜（ｃ）図に示すとおり、表面に載置する被加熱材７の半径より大きく、深さ １０ｍｍ前後の凹部８が設けられ、被加熱材７は炉床に対して放射状の独立支持 耐火部６の凹部８に載置するよう構成する。

【００１５】 上記のとおり構成したから、移動炉床１上に放射状に配置された独立支持耐火 部６の凹部８に載置されて被加熱材７は、独立支持耐火部６、６の凹部８により 支持され、従来の平坦な移動炉床の場合に比較し、被加熱材６の炉床耐火物との 接触部が大幅に少なくなる。しかも、凹溝４、４内および凹溝５、５内には、高 温ガスが流れるので、独立支持耐火部６、６により支持された被加熱材７は、上 部からの放射熱と凹溝４、４および凹溝５、５を通過する高温ガスの双方によっ て加熱される。このため、被加熱材７の断面周方向の温度バラツキが大幅に改善 される。

【００１６】 また、被加熱材７を載置する独立支持耐火部６表面には、被加熱材７の軸方向 と直交する方向に被加熱材７の半径より大きい、深さ１０ｍｍ前後の凹部８を設 けたから、移動炉床１への被加熱材７の装入ならびに移動炉床１からの被加熱材 ７の抽出に伴う起動、停止時の振動によって、被加熱材７が炉床周方向への転が りが抑制され、隣接する被加熱材７、７同士の接触が防止できる。

【００１７】

【考案の効果】

以上述べたとおり、この考案の炉床耐火物は、被加熱材を数条設けた独立支持 耐火部表面の湾曲溝に載置するから、被加熱材と炉床耐火物との接触箇所が減少 すると共に、移動炉床の起動、停止に伴う振動による被加熱材の転がりが抑制さ れ、均熱時間を長くしたり、装入間隔を大きくして、加熱効率を低下させること なく、被加熱材の断面周方向の温度バラツキが大幅に低減し、穿孔圧延における 偏肉率を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の炉床耐火物の要部斜視図である。

【図２】この考案の炉床耐火物の要部拡大図で、（ａ）
図は独立支持耐火部表面の湾曲した凹部、（ｂ）図はＶ
字状の凹部、（ｃ）図はＵ字状の凹部を示す。

【図３】回転炉床式加熱炉の概略説明図である。

【図４】従来の移動炉床の要部斜視図である。

【符号の説明】

１、２３ 移動炉床 ２ 炉床内周端耐火物 ３ 炉床外周端耐火物 ４、５ 凹溝 ６ 独立支持耐火部 ７ 被加熱材 ８ 凹部 ２１ 固定炉壁 ２２ 天井 ２４ ピニオン ２５ 表層面耐火物 ２６ 素材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転炉床式加熱炉の移動炉床の炉床耐火
   物において、移動炉床の内外周端炉床端耐火物間に周方
   向に数条の凹溝を配設すると共に、炉床面径方向に所定
   間隔で凹溝を配設し、各凹溝と凹溝間に被加熱物を載置
   する表面に凹部を形成した独立支持耐火部を形成してな
   る回転炉床式加熱炉の炉床耐火物構造。