JP2015047747A - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 - Google Patents

レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 Download PDF

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浩二 園川
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和博 ▲濱▼田
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Abstract

【課題】レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性、及びUVインキ耐刷性に優れるフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供すること。【解決手段】(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー、(成分B)親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有するポリマー、(成分C)重合性化合物、及び、(成分D)重合開始剤、を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法に関する。
レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻しフレキソ印刷版を製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。この方式では、フレキソ印刷版原版に直接レーザーを照射し、光熱変換により熱分解及び揮発を生じさせ凹部を形成する。このような直彫りCTP方式では、従来の製版工程、すなわち、ネガフィルム若しくはレリーフ形成層上に備えられたブラックレイヤーをレーザーで画像様にアブレーションして作製したマスクを介して紫外線照射し画像部を硬化させる「露光工程」、及び非画像部となる未露光部を除去する「現像工程」、その後の「乾燥工程」「後露光工程」などが不要となるので、製版工程を大幅に簡略化できるメリットは大きい。
この直彫りCTP方式で用いられる版材のレリーフ層バインダーとしては、疎水性のエラストマー(ゴム)を用いたもの(特許文献1)や、親水性のポリビニルアルコール誘導体を用いたもの(特許文献2)などが多数提案されている。
またこの直彫りCTP方式では、レリーフ形成層のレーザー彫刻時、その大部分は熱分解〜揮発により除去されるものの、その一部は版上にカスとして残存してしまうので、このカスを洗い流す「リンス工程」が必要となる。
リンス性を向上させる技術としては、レリーフ形成層に多孔質無機微粒子を含有させ該粒子に液状カスを吸着させ除去性を向上させる技術が提案されている(特許文献3)。また、レリーフ形成層に加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有させることで、特にアルカリ性リンス液での除去性が向上することが示されている(特許文献4)。更に、レーザー彫刻可能な感光性樹脂組成物中に、有機ケイ素化合物を含有させることで彫刻後のカス残率が減り(カスが付きにくくなり)、有機溶剤を含浸させた布で彫刻カスを拭き取りやすくなることが示されている(特許文献5)。熱可塑性エラストマーに親水性ポリマーをブレンドすることで水系リンス液でのリンス性が向上することが示されている(特許文献6)。
米国特許第5798202号明細書 特開2006−2061号公報 特開2004−174758号公報 特開2011−148299号公報 国際公開第2005/070691号パンフレット 特表2005−510383号公報
特許文献1に記載の疎水性のエラストマー(ゴム)を用いたものでは、疎水性であることからUVインキに対し膨潤しにくく耐刷性に優れるという特徴を有し、特許文献2に記載の親水性のポリビニルアルコール誘導体を用いたものではUVインキ適性が劣るものの水性インキに対して良好なインキ転移性を示す特徴を有する。
一方、特許文献2に記載の版材の彫刻カスは、組成物が親水性であることから水性リンス液でのリンス性が良好であるが、特許文献1に記載の疎水性エラストマーを用いたものではリンス性が劣る欠点があった。
特許文献3に記載された方法では、粒子を含有しているため彫刻形状(エッジ形状)がよくないという問題点があり、画質低下を引き起こす。また、特許文献4に記載された方法では、版材の経時によりUVインキでの耐刷性が低下してしまう欠点があり、UVインキ適性とリンス性とを十分なレベルで両立させることは困難であった。特許文献5に記載された組成物では環境適性に優れた水系リンス液では粘着性カスを除去することは困難であり、記載されている方法、すなわち有機溶剤を含浸させた布で粘着性カスを除去する方法では作業環境の溶剤臭が劣悪で、かつ溶剤によりレリーフがダメージを受けUVインキ耐刷性が低下する欠点があった。特許文献6に記載された印刷版原版では、リンス性の改良効果は認められるものの、レリーフ層の極性が高くなってしまいUVインキ適性が低下してしまう欠点があった。
本発明の目的は、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性、及びUVインキ耐刷性に優れるフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<8>、<10>、<12>又は<15>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<7>、<9>、<11>、<13>及び<14>と共に以下に記載する。
<1> (成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー、(成分B)親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有するポリマー、(成分C)重合性化合物、及び、(成分D)重合開始剤、を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、
<2> 成分Bにおいて、上記スチレン化合物に由来するモノマー単位が、下記式(I)で表されるモノマー単位である、<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
Figure 2015047747
(式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、これらの基が熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された基、又は、スルホン酸塩基を表し、nは1〜5の整数を表し、nが2以上である場合、複数存在するL及びXは同一でも異なっていてもよい。)
<3> 上記式(I)において、Xがヒドロキシ基、熱分解性基で保護されたヒドロキシ基、又は、加水分解性基で保護されたヒドロキシ基である、<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<4> 上記式(I)において、Xが熱分解性基で保護されたヒドロキシ基である、<2>又は<3>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<5> 成分Bにおいて、上記ポリマーが上記スチレン化合物に由来するモノマー単位を全モノマー単位に対して30モル%以上含有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<6> 成分Bにおいて、上記ポリマーが上記スチレン化合物に由来するモノマー単位を全モノマー単位に対して50モル%以上含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<7> (成分E)光熱変換剤を更に含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を、熱及び/又は光により架橋した架橋レリーフ形成層を有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<9> 上記架橋レリーフ形成層が熱により架橋されている、<8>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<10> <1>〜<7>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を熱及び/又は光により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含むことを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<11> 上記架橋工程において、レリーフ形成層を熱により架橋する、<10>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<12> <8>又は<9>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、或いは、<10>又は<11>に記載の製造方法により得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を準備する工程、上記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、及び、上記レリーフ層表面をリンス液によりリンス処理するリンス工程をこの順で含むことを特徴とするフレキソ印刷版の製版方法、
<13> 上記リンス液が、水性リンス液である、<12>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<14> 上記リンス液が、pH9.0以上のアルカリ水溶液である、<13>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<15> <12>〜<14>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたフレキソ印刷版。
本発明によれば、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性、及びUVインキ耐刷性に優れるフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。また、「(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー」等を単に「成分A」等ともいう。
また、「質量部」「質量%」は、それぞれ、「重量部」「重量%」と同義である。
以下の説明における好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
なお、本明細書では、フレキソ印刷版及びフレキソ印刷版原版の説明に関し、成分A〜成分Dを含有し、レーザー彫刻に供する画像形成層としての、表面が平坦な層であり、かつ未架橋の架橋性層をレリーフ形成層と称し、上記レリーフ形成層を架橋した層を架橋レリーフ形成層と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。なお、架橋レリーフ形成層及びレリーフ形成層の双方を意味する場合には、(架橋)レリーフ形成層とも記載する。
(レーザー彫刻用樹脂組成物)
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」ともいう。)は、(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー、(成分B)親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有するポリマー、(成分C)重合性化合物、及び、(成分D)重合開始剤、を含有することを特徴とする。
本発明者は、(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマーをバインダーポリマーとして使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版において、成分Bを併用することにより、本発明の効果、すなわちUVインキ適性を維持しつつ、彫刻カスのリンス性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。効果を発現する詳細な機構は不明であるが、以下のように推定される。
本発明の(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマーは、UVインキ適性が良好であるが彫刻時にカスとして版上に残存しやすい。これは成分A中のハードセグメントであるポリスチレン成分は、モノマーまで熱分解しづらく、オリゴマー〜ポリマーとなった熱分解成分は揮発せず結晶性を保ったまま版上に再付着し、水系のリンス液がこのスチレン由来の彫刻カスには浸透できず、溶解・分散できないためと推察している。これに対し、成分Bを併用すると、(架橋)レリーフ形成層の製膜時に成分Bが成分Aのハードセグメントと高い親和性を有するため、結晶性の上昇を抑制し、彫刻後のカスの凝集力が下がり、水系リンス液による浸透・溶解・分散が容易になったため、高いリンス性が得られると考えている。
本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻が施される樹脂造形物の形成用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物の適用態様として、具体的には、レーザー彫刻により画像形成を行う画像形成材料の画像形成層、凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版の(架橋)レリーフ形成層、凹版、孔版、スタンプ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻により画像形成を行う画像形成材料の画像形成層、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版における(架橋)レリーフ形成層に、特に好適に用いることができる。
以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
<(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明に用いられるレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマーを含有する。スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン系モノマーに由来するモノマー単位を有する熱可塑性エラストマーであれば、特に限定なく用いることができる。
熱可塑性エラストマーは、高温時では可塑化、流動し、常温ではゴム弾性を示す材料であり、ゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を示さないハードセグメントからなり、ハードセグメントの相とソフトセグメントの相とが微細に分散した多相構造を形成することが好ましい。
このような熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾性を示す。そのため、印刷時に被印刷物の凹凸に応じて変形可能なためインキ着肉性に優れ、かつ被印刷物から離れた後は元の形状が復元されるため耐刷性に優れる。更に、熱可塑性エラストマーは、加熱によって流動性が発現することから、素材の混合など取り扱いが容易である。以上の理由から、熱可塑性エラストマーは、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を、例えば、フレキソ版などの可撓性を必要とするフレキソ印刷版の製造に適用する場合に好適である。特にスチレン系熱可塑性エラストマーは、極性が低くUVインキ適性に優れる。
フレキソ印刷版の耐刷性及び硬度の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー中におけるハードセグメントの割合は、10〜70質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましい。またソフトセグメントは、柔軟性とゴム弾性発現の観点からガラス転移温度(Tg)が20℃以下のポリマーであることが好ましく、0℃以下のポリマーであることがより好ましい。ハードセグメントは、耐刷性の観点から、融点(Tm)が70℃以上のポリマーであることが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン系モノマーに由来するモノマー単位を主体とする重合体ブロック(ハードセグメント)と、共役ジエン化合物に由来するモノマー単位を主体とするブロック(ソフトセグメント)とのブロック共重合体、及び、該ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来するモノマー単位を水素添加したものを例示することができる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン及び少なくとも1つの置換基(ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基)により任意の位置で置換されたスチレン誘導体が挙げられる。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン又はt−ブチルスチレンが挙げられ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチルブタジエンが挙げられ、中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
これらは1種のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)又はスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等が挙げられ、中でも、SBS、SISが好ましく、SBSが最もUVインキ耐性と本発明のリンス液による彫刻カスのリンス性とが良好となる。
これは、ソフトセグメントの疎水性が高いほどUVインキ耐性が良好となり、一方でハードセグメントの凝集力が比較的弱いほどリンス性が良好となるためと考えている。後者のメカニズムとしては、彫刻カスの主成分はハードセグメントの分解凝集物と考えており、この凝集力が弱いほど、リンス液が浸透しやすく、かつ溶解・分散しやすくなっているものと予測している。
また、架橋レリーフ形成層のレーザー彫刻感度を向上させる目的で、これらのスチレン系熱可塑性エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。
形態保持性、レリーフ形成層を調製する際の溶剤への溶解性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000がより好ましく、15,000〜300,000が更に好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ法(GPC)法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作成する。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、上市されている製品を使用してもよい。
具体的には、Kraton(登録商標) D1101、D1102、D1116、D1133、D1152、D1153、D1155、D1184、D1186、D1189、D1191、D1192、DX405、DX408、DX410、DX414、DX415、D4141、D4150、D4153、D4158、D4270、D4271(以上SBS、Kraton Polymers社製)、Kraton(登録商標) D1111、D1113、D1114、D1117、D1119、D1124、D1126、D1161、D1162、D1163、D1164、D1165、D1183、D1193、DX406、D4433(以上SIS、Kraton Polymers社製)、Kraton(登録商標) D1170、D1171、D1173(以上SIBS、Kraton Polymers社製)、Kraton(登録商標) G1633、G1650、G1651、G1652、G1654、G1657、G1660、G4609、G4610(以上SEBS、Kraton Polymers社製)、Kraton(登録商標) G1730(SEPS、Kraton Polymers社製)、タフプレン(登録商標) A、125、126S(SBS、旭化成ケミカルズ(株)製)、アサプレン(登録商標) T−411、T−432、T−437、T−438、T−439(SBS、旭化成ケミカルズ(株)製)、JSR TR2000、TR2001、TR2003、TR2250、TR2500、TR2601、TR2630、TR2787、TR2827TR1086、TR1600(SBS、JSR(株)製)、JSR SIS5002、SIS5200、SIS5250、SIS5405、SIS5505(SIS、JSR(株)製)、ラバロン(登録商標) SJ4400、SJ5400、SJ6400、SJ7400、SJ8400、SJ9400、SJ4300C、SJ5300C、SJ6300C、SJ7300C、SJ8300C、SJ9300C(SEBS、三菱化学(株)製)、セプトン(登録商標) S2002、S2004、S2005、S2006、S2007、S2063、S2104(SEPS、(株)クラレ製)、セプトン(登録商標) S8004、S8006、S8007、S8076、S8104(SEBS、(株)クラレ製)、セプトン(登録商標) S4033、S4044、S4055、S4077、S4099、HG−252(SEEPS、(株)クラレ製)、ハイブラー(登録商標) 5125、5127、7125、7311(SIS、(株)クラレ製)、が例示される。
本発明において、スチレン系熱可塑性エラストマーは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。スチレン系熱可塑性エラストマーの好ましい含有量は、塗膜の形態保持性と彫刻感度のバランスから、樹脂組成物の全固形分中、10〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%である。
なお、全固形分とは、樹脂組成物を構成する成分から、溶剤などの揮発性成分を除いたものを意味する。
<(成分B)親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有するポリマー>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位(以下、特定スチレンモノマー単位ともいう。)を有するポリマーを含有する。
本発明の特徴である成分Bは、ベンゼン環上に置換基を有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有し、該置換基は、親水性基を有する基、及び、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基よりなる群から選択される。ここで、成分Bは、成分Aとは異なるポリマーである。すなわち、成分Aは、モノマー単位として、親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有さない。
成分Bの特定スチレンモノマー単位のベンゼン環上にある親水性基を有する基、及び親水性基を保護する熱分解性基、加水分解性基は、特に限定されるものではなく公知の官能基を用いることができる。
本発明において、成分Bが有する親水性基は、ヒドロキシ基、酸基、酸無水物基、塩を形成している酸基であることが好ましく、酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基が例示される。これらの中でも、親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホン酸塩基であることが好ましい。
なお、スルホン酸塩基とは、塩を形成しているスルホン酸基であり、対カチオン種としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンのような1価のアルカリ金属イオン、第1級、第2級、第3級又は第4級アンモニウムカチオンが例示される。スルホン酸塩基としては、−SO3Li、−SO3Na、−SO3Kが好ましく、−SO3Naがより好ましい。
本発明において、熱分解性基で保護された親水性基としては、熱分解性基で保護されたカルボキシ基又は熱分解性基で保護されたヒドロキシ基が好ましく例示される。
熱分解性基の中でも、アセタール系保護基、ケタール系保護基、カーボネート系保護基が好ましく用いられ、カーボネート系保護基が感度の点から好ましい。これは、アセタール系保護基及びケタール系保護基が、約300℃で分解するのに対し、カーボネート系保護基は、約150〜200℃で分解するため、より高い効果が得られるためである。
アセタール系又はケタール系保護基としては、下記式(A1)で表される基が挙げられる。なお、カルボキシ基が式(A1)で表されるアセタール又はケタールで保護された残基である場合、残基の全体としては、−C(=O)−O−CR12(OR3)の構造となっている。また、ヒドロキシ基が式(A1)で表されるアセタール又はケタールで保護された残基である場合、残基の全体としては、−O−CR12(OR3)となっている。
Figure 2015047747
(式(A1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方が上記アルキル基、又は、アリール基であり、R3は、アルキル基、又は、アリール基を表し、R1又はR2とR3とが連結して環状エーテルを形成してもよい。)
1、R2及びR3におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることが更に好ましい。
環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。中でも、単環状のものが好ましく、シクロヘキシル基が好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R1、R2、R3はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R1、R2、R3はアラルキル基となる。アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
1、R2及びR3におけるアリール基としては、炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、シリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示でき、フェニル基が好ましい。
また、R1、R2及びR3は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができる。R1とR2、R1とR3又はR2とR3が結合した場合の環構造としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基及びテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
なお、式(A1)において、R1及びR2のいずれか一方が、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
式(A1)で表される残基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、例えば、特開2009−098616号公報の段落0025〜0026に記載の方法等、公知の方法で合成したものを用いてもよい。
カーボネート系保護基としては、下記式(B1)で表される基が挙げられる。なお、ヒドロキシ基が式(B1)で表されるカーボネート系で保護された残基である場合、残基の全体としては、−O−C(=O)OR1の構造となっている。
Figure 2015047747
(式(B1)中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルキレン基を表す。)
式(B1)中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は置換されていてもよい。置換基としては、アリール基、ハロゲン原子、等が挙げられ、置換基は更に置換されていてもよい。
1としては炭素数1〜10の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜8の無置換の分岐アルキル基であることがより好ましく、炭素数3又は4の分岐アルキル基であることが更に好ましい。
カーボネート系保護基としては、イソプロピルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメトキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基が挙げられる。
本発明において、加水分解性基で保護された親水性基としては、加水分解性基で保護されたカルボキシ基、加水分解性基で保護されたスルホン酸基、又は加水分解性基で保護されたヒドロキシ基が好ましく例示される。
ヒドロキシ基を保護する加水分解性基としては、アシル系保護基、シリルエーテル系保護基が例示され、カルボキシル基又はスルホン酸基を保護する加水分解性基としては、エステル系保護基が好ましく例示される。
アシル系保護基としては、下記式(C1)で表される基が挙げられる。なお、ヒドロキシ基が式(C1)で表されるアシル系保護基で保護された残基である場合、残基の全体としては、−O−C(=O)R1の構造となっている。
Figure 2015047747
(式(C1)中、R1はアルキル基、又は、アリール基を表す。)
式(C1)中、R1におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましく、炭素数1又は2であることがより好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることが更に好ましい。
環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。中でも、単環状のものが好ましく、シクロヘキシル基が好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R1はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R1はアラルキル基となる。アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
1におけるアリール基としては、炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、シリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示でき、フェニル基が好ましい。
アシル系保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基が好ましく例示される。
シリルエーテル系保護基としては、下記式(D1)で表される基が挙げられる。なお、ヒドロキシ基が式(D1)で表されるシリルエーテル系保護基で保護された残基である場合、残基の全体としては、−O−Si−R123の構造となっている。
Figure 2015047747
(式(D1)中、R1〜R3は、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。)
式(D1)中、R1〜R3におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましく、炭素数1又は2であることがより好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることが更に好ましい。
環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。中でも、単環状のものが好ましく、シクロヘキシル基が好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R1はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R1はアラルキル基となる。アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
1におけるアリール基としては、炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、シリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示でき、フェニル基が好ましい。
シリルエーテル系保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基が例示される。
エステル系保護基としては、アルキル基又はアリール基が挙げられる。なお、カルボキシ基がエステル系保護基で保護された残基である場合、残基の全体としては、−C(=O)−O−R1の構造となっている(R1はアルキル基又はアリール基)。
上記R1におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましく、炭素数1又は2であることがより好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることが更に好ましい。
環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。中でも、単環状のものが好ましく、シクロヘキシル基が好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R1はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R1はアラルキル基となる。アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
1におけるアリール基としては、炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、シリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示でき、フェニル基が好ましい。
エステル系保護基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく例示され、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、が例示される。
本発明において、特定スチレンモノマー単位が、下記式(I)で表されるモノマー単位であることが好ましい。
Figure 2015047747
(式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、これらの基が熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された基、又は、スルホン酸塩基を表し、nは1〜5の整数を表し、nが2以上である場合、複数存在するL及びXは同一でも異なっていてもよい。)
上記式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R2及びR3は、少なくともいずれか1つが水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
式(I)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、単結合であることが好ましい。
Xがヒドロキシ基、又は、ヒドロキシ基が熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された基である場合には、Lが単結合であることが特に好ましい。
Lで表される2価の連結基としては、アルキレン基、アルキレン基と、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、チオノエステル結合、アミド結合、カルボニル基(−C(=O)−)、チオカルボニル基、−NR1−(R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)、及び、−N=CR2−(R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)よりなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。
上記アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基であることが更に好ましい。
アルキレン基と、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、チオノエステル結合、アミド結合、カルボニル基(−C(=O)−)、チオカルボニル基、−NR1−(R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)、及び、−N=CR2−(R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)よりなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせた2価の連結基としては、オキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基、等が例示される。
式(I)中、Xはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、これらの基が熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された基、又は、スルホン酸塩基を表し、ヒドロキシ基、熱分解性基で保護されたヒドロキシ基、又は加水分解性基で保護されたヒドロキシ基がより好ましく、熱分解性基で保護されたヒドロキシ基が更に好ましい。
熱分解性基で保護されたヒドロキシ基が好ましい理由としては、このような官能基を用いると、本発明の組成物、印刷版原版、及び製版後の印刷版の彫刻されていない領域では親水性が低い状態で存在するため、UVインキ適性が更に向上し、かつ、彫刻時の発熱で脱保護された成分は親水性となるので、この成分が版上に彫刻カスとして残存しても、水性リンス液による版上カス除去性が良好となるためであると考えている。
上述のように、ヒドロキシ基を熱分解性基で保護した官能基としては、アセタール系保護基、ケタール系保護基、又は、カーボネート系保護基が好ましく用いられ、カーボネート系保護基が最も好ましい。これは、アセタール系保護基は約300℃で分解するのに対し、カーボネート系保護基は約150〜200℃で分解するので、より効果が顕在化するためである。
また、ヒドロキシ基を加水分解性基で保護した官能基としては、アシル系保護基、若しくはシリルエーテル系保護基が好ましく用いられ、酸性基を加水分解性基で保護した官能基としては、エステル系保護基が好ましく用いられる。
nは1〜5の整数を表し、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
なお、nが2以上の整数を表す場合、複数存在する−L−Xは、同じでも異なっていてもよい。また、複数存在する−L−Xが結合して、例えば、酸無水物基を形成してもよい。
特定スチレンモノマー単位は、式(I’)で表されるスチレン化合物に由来するモノマー単位であることが好ましい。
Figure 2015047747
(上記式(I’)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、これらの基が熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された基、又は、スルホン酸塩基を表し、nは1〜5の整数を表し、nが2以上である場合、複数存在するL及びXは同一でも異なっていてもよい。)
上記式(I’)中、R1、R2、R3、L、X及びnは式(I)におけるR1、R2、R3、L、X及びnとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
式(I’)の具体的例示化合物としては、
(1)o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレン、2−(1−ヒドロキシエチル)スチレン、4−(2−ヒドロキシエチル)スチレン、2,6−ジ(3−ヒドロキシプロピル)スチレンなどのヒドロキシ基含有スチレン類、
(2)o−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸、p−スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸アンモニウム、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフェニル酢酸、3−(4−ビニルフェニル)プロピオン酸などの酸基又は塩含有スチレン類、
(3)p−(1−メトキシエトキシ)スチレン、p−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)−α−メチルスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−(1−シクロヘキシル−1−エトキシエトキシ)スチレン、p−[1−(1,1−ジメチルエトキシ)−1−メチルエトキシ]スチレン、m−[1−(2−クロロエトキシ)エトキシ]スチレン、p−[1−(2−クロロエトキシ)エトキシ]スチレン、p−(1−n−ブトキシエトキシ)スチレン、p−(1−イソブトキシエトキシ)スチレン、p−(1−シクロペンチルオキシエトキシ)スチレン、m−(1−シクロヘキシルオキシエトキシ)スチレン、p−(1−シクロヘキシルオキシエトキシ)スチレン、m−[1−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]スチレン、p−(1−ベンジルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−(1−メトキシ−n−プロピルオキシ)スチレン、p−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)スチレン、p−テトラヒドロピラニルオキシスチレンなどのヒドロキシ基を熱分解性のアセタール系保護基で保護したスチレン類、
(4)p−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)スチレン、p−(イソブトキシカルボニルオキシ)スチレン、p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレンなどのヒドロキシ基を熱分解性のカーボネート系保護基で保護したスチレン類、
(5)o−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−ベンゾイルオキシスチレンなどのヒドロキシ基を加水分解性のアシル系保護基で保護したスチレン類、
(6)p−トリメチルシロキシスチレン、p−トリエチルシロキシスチレン、p−トリイソプロピルシロキシスチレン、p−(t−ブチルジメチルシロキシ)スチレン、p−トリフェニルシロキシスチレン、p−(t−ブチルジフェニルシロキシ)スチレンなどのヒドロキシ基を加水分解性のシリルエーテル系保護基で保護したスチレン類、
(7)o−ビニル安息香酸メチル、p−ビニル安息香酸メチル、o−ビニル安息香酸エチル、p−ビニル安息香酸エチル、p−ビニル安息香酸n−プロピル、p−ビニル安息香酸t−ブチル、p−スチレンスルホン酸メチル、p−スチレンスルホン酸エチル、p−スチレンスルホン酸n−プロピル、p−スチレンスルホン酸t−ブチル、3−ビニルフタル酸ジメチル、4−ビニルフタル酸ジメチルなどの酸基を加水分解性のエステル系保護基で保護したスチレン類、が挙げられる。
本発明において、成分Bは、特定スチレンモノマー単位のホモポリマーでもよいし、他のモノマー成分と共重合したコポリマーでもよい。本発明において、成分Bのポリマーは特定スチレンモノマー単位を、ポリマー中の全モノマー単位に対して、10モル%以上含むことが好ましい。30モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に好ましい。
特定スチレンモノマー単位の含有量が上記範囲内であると、リンス性が良好であるので好ましい。
特定スチレン単位の含有量の上限は特に限定されず、成分Bのポリマーは、ホモポリマー、すなわち、特定スチレン単位を100モル%含有するポリマーであってもよい。
特定スチレンモノマー単位は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、共重合モノマー単位としては、特に限定されず、共重合可能なモノマー単位であれば如何なるものでも使用可能である。スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドなどが好ましく用いられる。
なお、成分Bは、共役ジエン化合物に由来するモノマー単位の含有量が10質量%未満であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが更に好ましい。
形態保持性、レリーフ形成層を調製する際の溶剤への溶解性の観点から、成分Bのポリマーの重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、5,000〜500,000がより好ましく、10,000〜400,000が更に好ましく、15,000〜300,000が特に好ましい。
成分Bは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分Bの好ましい含有量は、樹脂組成物の全固形分中、2〜50質量%の範囲であることが好ましい。2質量%以上とすることで本発明の効果であるリンス性改良効果が認められ、50質量%以下とすることで成分Aが元来有する良好な膜物性を損なうことを回避できる。5〜30質量%であることがより好ましく、8〜20質量%であることが更に好ましい。
<(成分C)重合性化合物>
レリーフ形成層中に架橋構造を形成する観点から、本発明に用いられるレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分C)重合性化合物を含有する。
重合性化合物は、エチレン性不飽和基を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好
ましくは2〜6個、更に好ましくは2個有する化合物の中から任意に選択することができ
る。重合性化合物としては、特開2009−255510号公報、特開2009−204
962号公報の段落0098〜0124に記載の重合性化合物を例示できる。
以下、エチレン性不飽和基を分子内に1つ有する単官能モノマー、及び、エチレン性不飽和基を分子内に2個以上有する多官能モノマーについて説明する。
本発明におけるレリーフ形成層中には、架橋構造を形成することが必要であることから、多官能モノマーが好ましく使用される。(成分C)重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、120〜3,000であることが好ましく、200〜2,000であることがより好ましい。
単官能モノマー及び多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
本発明においては、炭素数1〜20のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートが好ましく、直鎖又は分岐を有する炭素数2〜10のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートがより好ましく、直鎖の炭素数3〜6のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートが更に好ましい。上記アルキレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ヒドロキシ基が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に、重合性化合物を用いることにより、架橋レリーフ形成層における膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
また、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中の重合性化合物の含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、固形分換算で、5〜60質量%が好ましく、8〜30質量%の範囲がより好ましい。
<(成分D)重合開始剤>
本発明に用いられるレーザー彫刻用樹脂組成物では、更に(成分D)重合開始剤を含有する。成分Dは、成分Cの付加重合を促進するラジカル重合開始剤が好ましく、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に記載されている化合物を好ましく例示できる。
ラジカル重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。中でも彫刻感度と、フレキソ印刷版原版の架橋レリーフ形成層に適用した際にはレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、有機過酸化物又はアゾ系化合物がより好ましく、有機過酸化物が特に好ましい。
有機過酸化物としては、特開2008−63554号公報、特開2008−233244号公報に記載のものが好ましく、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシベンゾエートがより好ましい。
また、有機過酸化物の併用成分として、後述する光熱変換剤を組み合わせて用いることで彫刻感度が高くなるので好ましい。これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物はレーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなると推定される。
この効果は光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱し、成分A等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。本発明の樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、耐刷性の観点から、樹脂組成物の全固形分に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
<(成分E)光熱変換剤>
本発明に用いられるレーザー彫刻用樹脂組成物は、更に、(成分E)光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて製造したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、波長700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤として、波長700〜1,300nmに吸収を有する化合物を用いることが好ましく、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物中における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、樹脂組成物の全固形分の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、成分A〜成分Eの他に、本発明の効果を損なわない限りにおいて目的に応じて種々の化合物を併用することができる。本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、上記成分A,Bに加え、成分A,Bに包含されない公知のバインダーポリマーを併用することができる。例えば、柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂が選択される。これらの成分は、特開2008−163081号公報に記載されている。
このように、フレキソ印刷版の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔溶剤〕
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製する際に用いることのできる溶剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成成分を溶解・分散可能なものであれば如何なるものでもよい。
例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
更には、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、ゴムの分野で通常用いられている各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、加硫剤、充填剤、可塑剤、ワックス、プロセス油、有機酸、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、熱重合防止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロセス油を使用する場合、例えば芳香族系プロセス油、ナフテン系プロセス油、パラフィン系プロセス油を挙げることができる。その添加量は、成分A100質量部あたり1〜70質量部が好ましい。
有機酸は金属塩として、常套の加硫剤と組み合わせて、加硫促進のための助剤として使用することができる。有機酸としては例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ムラスチン酸を挙げることができる。併用される金属源としては酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化マグネシウム等の金属酸化物を挙げることができる。これらは加硫工程において、ゴム中で有機酸と金属酸化物が金属塩を形成し、硫黄等の加硫剤の活性化を促すとされている。このような金属塩を系中で形成させるための金属酸化物の添加量は、成分A100質量部あたり0.1〜10質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
有機酸の添加量は、成分A100質量部あたり0.1〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物の調製は、常法により行えばよく、例えば、成分Aを溶剤に溶解した後に、その他の成分を添加してもよく、全成分を同時に溶剤に溶解させてもよい。また、反応性を有する(成分C)重合性化合物や、(成分D)重合開始剤を調製の最後の段階で添加、混合することも好ましい。
また、レーザー彫刻用樹脂組成物の調製は、加温しながら行ってもよく、例えば成分Aを溶剤に溶解する際には加温し、反応性を有する成分Cや成分Dを添加した後は、熱重合を防止する観点から、90℃以下程度とすることが好ましい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版)
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、上記のレーザー彫刻用樹脂組成物を、熱及び/又は光により架橋した架橋レリーフ形成層を有する。
架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、レーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の上記架橋レリーフ形成層をいう。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、上記の(架橋)レリーフ形成層と、必要により、支持体、支持体と(架橋)レリーフ形成層との間の接着層、(架橋)レリーフ形成層上にカバーフィルムやスリップコート層を有していてもよい。
<(架橋)レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、上記のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層である。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版によるフレキソ印刷版の作製態様としては、架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してフレキソ印刷版を作製する態様である。架橋レリーフ形成層は架橋されていることにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するフレキソ印刷版を得ることができる。
レリーフ形成層は、レリーフ形成層用の上記の如き成分を有するレーザー彫刻用樹脂組成物を、シート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。レリーフ形成層は、通常、後述する支持体上に設けられるが、製版、印刷用の装置に備えられたシリンダーなどの部材表面に直接形成したり、そこに配置して固定化したりすることもでき、必ずしも支持体を必要としない。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
<支持体>
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、二トリル−ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
<接着層>
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、直接積層してもよいが、両者の間に層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<カバーフィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層上にカバーフィルムを設けてもよい。カバーフィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。カバーフィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またカバーフィルムの表面はマット化されていてもよい。カバーフィルムは、彫刻前若しくは印刷前に剥離除去される。
カバーフィルムが剥離困難な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法)
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物を溶液として調製し、この樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。又は、溶剤を用いずにバッチミキサーなどでレーザー彫刻用樹脂組成物を調製して上記同様に溶融押し出しする方法が挙げられる。更には、レーザー彫刻用樹脂組成物を、支持体上に流延しこれをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶剤を除去する方法でもよい。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、及び、前記レリーフ形成層を熱及び/又は光により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることが好ましい。
上記のように硬化させることにより、レーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、また、レーザー彫刻の差違に発生する彫刻カスの粘性が抑制されるので好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、熱により硬化させることが好ましい。すなわち、熱により溶剤を除去させると共に、熱による架橋反応を生起させることが好ましい。
なお、光により硬化させる場合には、加熱によって或る程度の溶剤を除去してから光の照射を行うことも好ましい。
溶剤の除去を行う場合には、溶剤の沸点未満の温度で行うことが好ましい。溶剤の突沸による気泡の発生が抑制されるので好ましい。
熱により架橋を行うための加熱手段としては、熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
光重合開始剤等を使用し、重合性化合物を重合し架橋を形成するため、光による硬化を行ってもよい。
レーザー彫刻用樹脂組成物が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる光(以下、「活性光線」ともいう。)を照射することで、レリーフ形成層を架橋(硬化)することができる。
光の照射は、レリーフ形成層の全面に行うことが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光、及び電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。支持体側を裏面とすれば、表面に光を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムであれば、更に裏面からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05〜10mmが好ましく、0.1〜5mmがより好ましく、0.3〜2mmが更に好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上にカバーフィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどでカバーフィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶剤を含浸させたレリーフ形成層にカバーフィルムを密着させることによって行うことができる。
カバーフィルムを用いる場合には、先ずカバーフィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップ
コート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布したカバーフィルムを用いることで対応できる。
(フレキソ印刷版の製版方法)
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、彫刻後の表面に付着した彫刻カスを洗い流すリンス工程を含み、その後必要に応じて更に、乾燥工程、後架橋工程を含んでもよい。
<彫刻工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含む。
彫刻工程は、上記レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度でレリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
又はファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会等に記載されている。
また、本発明のフレキソ印刷版の製版方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るフレキソ印刷版の製版に使用することができる。
<リンス工程>
本発明の製版方法では、上記彫刻工程の後、リンス液で彫刻表面の彫刻カスを洗い流すリンス工程が必須である。
彫刻からリンスまでの時間間隔(レリーフ形成層のある一点が彫刻された時点から、同一箇所がリンス液に接触するまでの時間)は特に制限されないが、短い方が好ましい。これは、彫刻後リンスしないまま時間が経つと、版上に残存した彫刻カスが徐々に凝集するためか、リンス性が低下する傾向があるためである。彫刻した日と同日にリンスすることが好ましく、彫刻後2時間以内にリンスすることがより好ましく、1時間以内にリンスすることが更に好ましい。
〔リンス液〕
本発明に用いることができるリンス液は水又は水を主成分とする水溶液が好ましく、pHは9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましく、12.5以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等の両性界面活性剤が好ましく挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、下記式(1)で表される化合物及び/又は下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015047747
(式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、R4は単結合、又は、2価の連結基を表し、AはPO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、R5は、水素原子、又は、1価の有機基を表し、R1〜R3のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよい。)
Figure 2015047747
(式(2)中、R6〜R8はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、R9は単結合、又は、2価の連結基を表し、BはPO(OR10)O-、OPO(OR10)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、R10は、水素原子、又は、1価の有機基を表し、R6〜R8のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよい。)
上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物は、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物であることが好ましい。なお、本発明において、アミンオキシド化合物のN=O、及び、ホスフィンオキシド化合物のP=Oの構造はそれぞれ、N+−O-、P+−O-と見なすものとする。
上記式(1)におけるR1〜R3はそれぞれ独立に、1価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
1〜R3における1価の有機基としては、特に制限はないが、アルキル基、ヒドロキシ基を有するアルキル基、アルキル鎖中にアミド結合を有するアルキル基、又は、アルキル鎖中にエーテル結合を有するアルキル基であることが好ましく、アルキル基、ヒドロキシ基を有するアルキル基、又は、アルキル鎖中にアミド結合を有するアルキル基であることがより好ましい。
また、上記1価の有機基におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、R1〜R3のうちの2つがメチル基である、すなわち、式(1)で表される化合物がN,N−ジメチル構造を有することが特に好ましい。上記構造であると、特に良好なリンス性を示す。
上記式(1)におけるR4は、単結合、又は、2価の連結基を表し、式(1)で表される化合物がアミンオキシド化合物である場合は単結合である。
4における2価の連結基としては、特に制限はないが、アルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有するアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜8のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜3のアルキレン基であることが更に好ましい。
上記式(1)におけるAは、PO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、O-、COO-、又は、SO3 -であることが好ましく、COO-であることがより好ましい。
-がO-である場合、R4は単結合であることが好ましい。
PO(OR5)O-及びOPO(OR5)O-におけるR5は、水素原子、又は、1価の有機基を表し、水素原子、又は、1以上の不飽和脂肪酸エステル構造を有するアルキル基であることが好ましい。
また、R4は、PO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、及び、SO3 -を有していない基であることが好ましい。
上記式(2)におけるR6〜R8はそれぞれ独立に、1価の有機基を表す。また、R6〜R8のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
6〜R8における1価の有機基としては、特に制限はないが、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましく、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
また、上記1価の有機基におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、R6〜R8のうちの2つがアリール基であることが特に好ましい。
上記式(2)におけるR9は、単結合、又は、2価の連結基を表し、式(2)で表される化合物がホスフィンオキシド化合物である場合は単結合である。
9における2価の連結基としては、特に制限はないが、アルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有するアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜8のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜3のアルキレン基であることが更に好ましい。
上記式(2)におけるBは、PO(OR10)O-、OPO(OR10)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、O-であることが好ましい。
-がO-である場合、R9は単結合であることが好ましい。
PO(OR10)O-及びOPO(OR10)O-おけるR10は、水素原子、又は、1価の有機基を表し、水素原子、又は、1以上の不飽和脂肪酸エステル構造を有するアルキル基であることが好ましい。
また、R9は、PO(OR10)O-、OPO(OR10)O-、O-、COO-、及び、SO3 -を有していない基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物としては、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015047747
(式(3)中、R1は1価の有機基を表し、R4は単結合、又は、2価の連結基を表し、AはPO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、R5は、水素原子、又は、1価の有機基を表す。)
式(3)におけるR1、A、及び、R5は、上記式(1)におけるR1、A、及び、R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2)で表される化合物としては、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015047747
(式(4)中、R6〜R8はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基を表す。ただし、R6〜R8の全てが同じ基となることはない。)
上記式(4)におけるR6〜R8はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基を表し、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物として具体的には、下記の化合物が好ましく例示できる。
Figure 2015047747
Figure 2015047747
Figure 2015047747
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の使用量は、特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
本発明に用いられるリンス液の主成分である水としては、如何なるものでも使用可能であり、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水、井水など、適宜使用できる。水道水や井水の硬度も特に限定されない。
本発明においてリンス液は、水を50質量%以上含有することが好ましく、65質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することが更に好ましく、90質量%以上含有することが特に好ましい。
≪その他添加剤≫
本発明のリンス液には、上記成分以外にも本発明の効果を損なわない限りにおいて目的に応じて種々の化合物を添加することができる。例えば、消泡剤、防腐剤、香料、着色剤等が挙げられる。
本発明のリンス液の作製は、リンス工程で使用する液濃度で作製してもよいし、濃縮液として作製しておき、使用時に規定の濃度となるように水で希釈してもよい。後者の方が、リンス液の運搬や保管の点で好ましい。
〔リンス方法〕
上記リンス液を用いて、彫刻されたフレキソ印刷版をリンスする方法としては、手作業でリンス液をレリーフ層表面に適用し馬毛ブラシや不織布などを用いて手で擦る方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機を用いる方法、リンス液を高圧スプレー噴射する方法、リンス液にフレキソ印刷版を浸した状態で超音波洗浄する方法、などが挙げられるがこれらに制限されるものではない。
<その他の工程>
上記リンス工程の後、彫刻・リンスされたレリーフ層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋である本工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
以上のようにして、所望の画像様にレリーフを有するフレキソ印刷版が得られる。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50〜90°であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点がフレキソ印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であるとベタ部での印刷かすれ(インキ着肉不良)を防止することができる。ショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例におけるポリマーの重
量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限り、GPC法で測定した値を表示している。
また、特に断りのない限り「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
以下に、実施例及び比較例のフレキソ印刷版原版に用いた成分A〜成分Eの化合物名を示す。
((成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー)
A−1:Kraton D1102JSZ(直鎖SBS、S/B比=30/70、重量平均分子量=11万、Kraton Polymers社製)
A−2:Kraton D1155BO(直鎖SBS、S/B比=40/60、重量平均分子量=9.0万、Kraton Polymers社製)
A−3:Kraton D1124PT(分岐SIS、S/I比=30/70、重量平均分子量=20万、Kraton Polymers社製)
A−4:Kraton G1650MU(直鎖SEBS、S/EB比=30/70、重量平均分子量=11万、Kraton Polymers社製)
A−5:Kraton G1730(直鎖SEPS、S/EP=20/80、重量平均分子量=9.3万、Kraton Polymers社製)
(成分A以外のポリマー)
A’−1:Nipol 1502 (SBR(加硫ゴム)、非熱可塑性エラストマー、重量平均分子量43万、日本ゼオン(株)製)
A’−2:サーモラン3555N(オレフィン系熱可塑性エラストマー、三菱化学(株)製)
A’−3:ミラクトランE390PNAT(ウレタン系熱可塑性エラストマー、日本ミラクトラン(株)製)
A’−4:プリマロイA1600N(エステル系熱可塑性エラストマー、三菱化学(株)製)
((成分B)親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有するポリマー)
B−1:ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、重量平均分子量=1.2万
B−2:p−ヒドロキシスチレン/スチレン コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=1.5万
B−3:p−ヒドロキシスチレン/スチレン コポリマー(mol比=40/60)、重量平均分子量=1.6万
B−4:p−ヒドロキシスチレン/スチレン コポリマー(mol比=20/80)、重量平均分子量=1.1万
B−5:ポリ(p−ビニル安息香酸)、重量平均分子量=5.2万
B−6:p−ビニル安息香酸/スチレン コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=6.5万
B−7:p−ビニル安息香酸/スチレン コポリマー(mol比=40/60)、重量平均分子量=4.6万
B−8:p−ビニル安息香酸/スチレン コポリマー(mol比=20/80)、重量平均分子量=5.1万
B−9:ポリ(p−スチレンスルホン酸)、重量平均分子量=1.0万
B−10:p−スチレンスルホン酸/スチレン コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=1.3万
B−11:p−スチレンスルホン酸/スチレン コポリマー(mol比=40/60)、重量平均分子量=1.4万
B−12:p−スチレンスルホン酸/スチレン コポリマー(mol比=20/80)、重量平均分子量=1.9万
B−13:ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、重量平均分子量=3.1万
B−14:p−スチレンスルホン酸ナトリウム/スチレン コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=3.2万
B−15:p−スチレンスルホン酸ナトリウム/スチレン コポリマー(mol比=40/60)、重量平均分子量=4.7万
B−16:p−スチレンスルホン酸ナトリウム/スチレン コポリマー(mol比=20/80)、重量平均分子量=5.4万
B−17:p−(1−エトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=6.2万
B−18:p−(1−エトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン コポリマー(mol比=40/60)、重量平均分子量=5.6万
B−19:p−(1−エトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン コポリマー(mol比=20/80)、重量平均分子量=5.0万
B−20:p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=3.8万
B−21:p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン コポリマー(mol比=40/60)、重量平均分子量=3.2万
B−22:p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン コポリマー(mol比=20/80)、重量平均分子量=3.0万
B−23:ポリ(p−アセトキシスチレン)、重量平均分子量=0.9万
B−24:ポリ[p−(t−ブチルジメチルシロキシ)スチレン]、重量平均分子量=0.8万
B−25:ポリ(p−ビニル安息香酸メチル)、重量平均分子量=1.0万
B−26:ポリ(p−スチレンスルホン酸エチル)、重量平均分子量=0.8万
<(成分B)のポリマーの合成例>
〔B−17の合成〕
p−t−ブトキシスチレン(和光純薬工業(株)製)90gをプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製)100gに溶解させ、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製)1gを添加した。添加後、75℃で8時間反応させることにより反応物を得た。得られた反応物をプロピレングリコールモノメチルエーテル350gで希釈した後、10質量%の硫酸水溶液を25g加え、90℃で5時間反応させることにより、重合体中のt−ブトキシ基を水酸基に変換させた。
水酸基に変換された重合体60gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬工業(株)製)240gに溶解させ、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(和光純薬工業(株)製)1.1gを添加した。この溶液を室温に保持し、エチルビニルエーテル(和光純薬工業(株)製)32.3gを滴下し、10時間反応させた。反応後、0.1質量%のアンモニア水溶液2.5Lに滴下した。滴下により沈澱した重合体を水洗した後、30℃で1晩乾燥させることにより水酸基の40%が1−エトキシエチル基で保護されたB−17を得た。得られた重合体の構造は1H−NMRスペクトルにより確認した。
〔B−20の合成法〕
1Lのフラスコに、テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)600ml、重合開始剤としてn−ブチルリチウム(和光純薬工業(株)製)0.0025molを添加し、−78℃に冷却した。冷却後、p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン(Boc Science社製)を30g添加し、1時間重合を行いメタノールを添加することにより重合を停止させた。得られた反応物をメタノールに沈澱させ、分離乾燥することにより白色の重合体を得た。
得られた重合体30gをアセトン750mlに溶解させ、少量の塩酸を添加し60℃で3時間撹拌した。撹拌後、水中に滴下して重合体を沈澱させたのち分離、乾燥させ一部のt−ブトキシカルボニル基が加水分解されたB−20を得た。得られた重合体の構造は1H−NMRスペクトルにより確認した。
〔その他の成分B(B−1〜B−16、B−18、B−19、B−21〜B−26)の合成法〕
目的のポリマー構造に合わせたモノマーを使用して、B−17又はB−20の合成例と同様にして、作製した。なお、重合反応後の脱保護反応については、目的のポリマー構造に合わせて、適宜行わなかったり、反応時間などの条件を変更して行った。
(成分B以外のポリマー)
B’−1:ポリスチレン、重量平均分子量=5.6万
B’−2:ポリ(p−メチルスチレン)、重量平均分子量=3.2万
B’−3:ポリ(α−メチルスチレン)、重量平均分子量=1.0万
B’−4:ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、重量平均分子量=6.5万
B’−5:メタクリル酸/メタクリル酸メチル コポリマー(mol比=60/40)、重量平均分子量=3.9万
B’−6:ポリアクリルアミド、重量平均分子量=3.0万
B’−7:Arcotex5−97(ポリビニルアルコール/ポリエチレンオキシド グラフトコポリマー、Harco社製)、重量平均分子量=5.3万
((成分C)重合性化合物)
C−1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(NKエステルA−HD−N、新中村化学工業(株)製)
((成分D)重合開始剤)
D−1:t−ブチルペロキシベンゾエート(パーブチルZ、日本油脂(株)製)
((成分E)光熱変換剤)
E−1:カーボンブラック(MA100、三菱化学(株)製)
(実施例1)
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽根及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(成分A)スチレン系熱可塑性エラストマーとしてA−1を82部、成分BとしてB−1を3部、溶剤としてジエチルケトン125部を入れ、撹拌しながら60℃で4時間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、更に(成分C)重合性化合物としてC−1を8部、(成分D)重合開始剤としてD−1を3部、(成分E)光熱変換剤としてE−1を4部、を添加して30分間撹拌した。このようにして流動性のあるレーザー彫刻用樹脂組成物1を得た。
2.レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、レーザー彫刻用樹脂組成物1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、80℃のオーブン中で1時間乾燥させて溶剤を揮発させ、続いて、流延した膜の表面に酸素遮断のための100μm厚PETを載せて120℃のオーブンで3時間加熱した。その後、膜の上下のPETフィルムを剥がし、宙吊りで膜の両面が非接触の状態で更に100℃3時間加熱した。このようにして厚さがおよそ0.9mmのレリーフ形成層を設けた。
このレリーフ形成層の片方の面にカバーフィルムとして15μm厚PP(ポリプロピレン)フィルムを貼り付け、レリーフ形成層の反対の面に、UV硬化性接着剤を用いて、厚さ0.19mmのPETフィルムをラミネート成型した。このときUV硬化性接着剤の厚さが0.05mmとなるようにラミネートのクリアランスを調整し、カバーフィルム以外の版材厚さが1.14mmのレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1を作製した。レリーフ形成層のショアA硬度を前述の測定方法により測定したところ、82°であった。
3.フレキソ印刷版の製版
得られた原版1のレリーフ形成層に対し、以下のレーザーにより彫刻した。
(FC−LDによる彫刻)
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長 915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,540DPIの条件で、30μmの凸細線を彫刻した。半導体レーザーで彫刻した場合は、元データをほぼ忠実に版上で再現することが可能で、レリーフ層に形成された凸細線は30μm幅であった。
4.リンス液の準備
<リンス液1>
以下の処方で調液した。
下記両性界面活性剤(1−B) 1.0質量%
水酸化ナトリウム pHが表1の値となるように調整
消泡剤(TSA731、東レ・ダウコーニング(株)製) 0.07質量%
蒸留水 上記成分を含む液全量が100質量%になるように調整
Figure 2015047747
<リンス液2>
Purple Power(登録商標) Industrial Strength Cleaner/Degreaser(AIKEN Chemical Company製、pH11.2、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル含有、希釈せず原液で使用)
5.フレキソ印刷版の評価
以下の項目でフレキソ印刷版の性能評価を行い、結果を表1に示した。
(リンス性)
上記方法にて彫刻したレリーフ層上に上記リンス液1を版表面が均一に濡れるようにスポイトで滴下(約100ml/m2)し、2分静置後、馬毛ブラシを用いて荷重200gfで版を縦方向に20回(30秒)擦り、引き続き版を横方向に20回(30秒)擦った。その後、流水にて版面を洗浄、版面の水分を除去し、1時間ほど自然乾燥した。
リンス済みの版の表面を倍率100倍のマイクロスコープ((株)キーエンス製)で観察し、版上の取れ残りカスを評価した。評価基準は以下の通りである。
1:版全面にカスが付着している。
2:版画像凸部に僅かにカスが残っており、また、画像底部(凹部)にカスが残っている。
3:版画像凸部に僅かにカスが残っており、また、画像底部(凹部)に僅かにカスが
残っている。
4:画像底部(凹部)に僅かにカスが残っているのみである。
5:まったく版上にカスが残っていない。
評価が4以上であれば、実用上問題がない。
(UVインキ耐刷性)
得られたフレキソ印刷版を印刷機((株)太陽機械製作所製)に、クッションテープとしてLohmann5.1+を用いてセットし、インクとしてUVフレキソ500藍(UVインキ、(株)T&K TOKA製)を用い、900lpiのアニロックスローラを用いて、印刷紙としてフルカラーフォームM 70(日本製紙(株)製、厚さ100μm)に印刷を行った。フレキソ印刷版とアニロックスローラとのタッチ圧はキスタッチから100μm押込み、フレキソ印刷版と印刷紙とのタッチ圧はキスタッチから160μm押込んだ条件で、部数50万まで印刷した。
得られた印刷物の細線画像をルーペで観察し、細線が途切れたり、よれたりした時点を刷了とし、刷了時までの印刷した部数を耐刷性の指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れる。
(実施例2〜169、比較例1〜20)
実施例1で用いた成分A及びBの化合物種、処方量を表に示すように変更し、更には、彫刻に用いたレーザー種、及びリンス液を、表に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を作製し、実施例1と同様にして評価した。
(CO2レーザーによる彫刻)
CO2レーザーによる彫刻は、以下のように行った。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)彫刻機として、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。レーザー彫刻用印刷版原版1からカバーフィルムを剥離後、炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,540DPIの条件で、30μm幅の凸細線を彫刻した。炭酸ガスレーザーで彫刻した場合は、元データに対する版上で画像再現性がやや悪く、レリーフ層に形成された凸細線は24μm幅であった。
(実施例170〜181)
実施例1に記載の(成分E)光熱変換剤を用いず、実施例1で用いた成分A、成分Bの化合物種、及び、処方量を表4に示すように変更し、更には彫刻に用いたレーザーをCO2レーザーとした以外は、実施例1と同様にして、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版とリンス液を作製し、実施例1と同様にして評価した。このときの元データに対する版上の画像再現性はやや悪く、レリーフ層に形成された凸細線は27μm幅であった。
Figure 2015047747
Figure 2015047747
Figure 2015047747
Figure 2015047747
*1:リンス性が悪く、細線画像が太っており、耐刷性評価ができなかった。
表1〜4から判るように、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製版方法を用いると、熱可塑性エラストマーをレリーフ層に用いた場合でも彫刻カスのリンス性に優れ、得られた本発明のフレキソ印刷版はUVインキでの耐刷性が良好である。

Claims (15)

  1. (成分A)スチレン系熱可塑性エラストマー、
    (成分B)親水性基を有する基、又は、熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された親水性基を有する基を置換基としてベンゼン環上に有するスチレン化合物に由来するモノマー単位を有するポリマー、
    (成分C)重合性化合物、及び、
    (成分D)重合開始剤、を含有することを特徴とする
    レーザー彫刻用樹脂組成物。
  2. 成分Bにおいて、前記スチレン化合物に由来するモノマー単位が、下記式(I)で表されるモノマー単位である、請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
    Figure 2015047747
    (式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、これらの基が熱分解性基若しくは加水分解性基で保護された基、又は、スルホン酸塩基を表し、nは1〜5の整数を表し、nが2以上である場合、複数存在するL及びXは同一でも異なっていてもよい。)
  3. 前記式(I)において、Xがヒドロキシ基、熱分解性基で保護されたヒドロキシ基、又は、加水分解性基で保護されたヒドロキシ基である、請求項2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  4. 前記式(I)において、Xが熱分解性基で保護されたヒドロキシ基である、請求項2又は3に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. 成分Bにおいて、前記ポリマーが前記スチレン化合物に由来するモノマー単位を全モノマー単位に対して30モル%以上含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  6. 成分Bにおいて、前記ポリマーが前記スチレン化合物に由来するモノマー単位を全モノマー単位に対して50モル%以上含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  7. (成分E)光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を、熱及び/又は光により架橋した架橋レリーフ形成層を有することを特徴とする
    レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  9. 前記架橋レリーフ形成層が熱により架橋されている、請求項8に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、
    前記レリーフ形成層を熱及び/又は光により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含むことを特徴とする
    レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  11. 前記架橋工程において、レリーフ形成層を熱により架橋する、請求項10に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  12. 請求項8又は9に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、或いは、請求項10又は11に記載の製造方法により得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を準備する工程、
    前記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、及び、
    前記レリーフ層表面をリンス液によりリンス処理するリンス工程をこの順で含むことを特徴とする
    フレキソ印刷版の製版方法。
  13. 前記リンス液が、水性リンス液である、請求項12に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  14. 前記リンス液が、pH9.0以上のアルカリ水溶液である、請求項13に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたフレキソ印刷版。
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