JP2015045617A - 長尺用超電導線材の臨界電流評価装置および評価方法 - Google Patents

長尺用超電導線材の臨界電流評価装置および評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、磁場に弱い部分を備えた超電導線材に対し磁場印加しながら評価することができる装置の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、超電導線材を冷媒内で搬送させる搬送手段と、前記冷媒内に配置される前記超電導線材の少なくとも一部に電流を流す通電手段と、前記通電手段による通電範囲内の超電導線材上の2つの電圧測定点間の電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手段による電圧測定区間の全体にわたって前記超電導線材に均一磁場を印加する磁場印加手段とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、長尺用超電導線材の臨界電流評価装置および評価方法に関する。
超電導コイル、超電導限流器、超電導ケーブル等に適用される酸化物超電導線材は、長手方向の臨界電流分布を評価する必要があり、一般的には4端子法を用いて位置毎の臨界電流値を測定し、酸化物超電導線材として臨界電流値を保証することがなされている。
酸化物超電導線材の長手方向に沿って臨界電流値を測定できる装置の一例として、液体窒素を満たした容器に所定長さの酸化物超電導線材を浸漬し、臨界温度以下に冷却した区間の酸化物超電導線材の臨界電流値を測定する装置が知られている。この測定装置は、送出側のリールから繰り出した酸化物超電導線材を液体窒素に所定長さ浸漬し、臨界電流値を測定した後、巻取側のリールに酸化物超電導線材を巻き取ることができる。この測定装置を用い、液体窒素に浸漬して臨界電流値を測定する区間を酸化物超電導線材の長さ方向に沿って順次移動しつつ測定を繰り返すことで、酸化物超電導線材の全長について臨界電流値を測定することができる。
この測定装置は、液体窒素に浸漬されている所定長さの酸化物超電導線材に対し、一対の電流電極から通電した状態でその通電区間内の酸化物超電導線材に発生する電圧を一対の電圧電極を用いて測定する。
酸化物超電導線材に通電する電流値を徐々に上げてゆき、超電導状態を維持できなくなって該当区間に発生している電圧が基準値に達した時点の電流値を臨界電流(Ic)値とする。
超電導線材を機器に使用する場合、その機器によって使用環境や磁場環境が異なり、超電導線材は磁場によって臨界電流が低くなるという性質があることから、特に磁場中での臨界電流値が重要である。
そこで、超電導線材に前述のような測定装置において、外部磁場を印加できる構成とした連続評価装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−197468号公報
特許文献1に記載の連続評価装置の概略構成を図9に示す。
液体窒素容器101の上方に設置された送出リール103から液体窒素容器101の内部に設けられた金属製の案内ローラ104、105、106、107に沿って酸化物超電導線材102を案内し、液体窒素容器101の上方に設置された巻取リール108に巻き取ることができる。
液体窒素容器101の内部中央側に電磁石110が設けられ、この電磁石110の鉄心111の磁極端112、112が案内ローラ105と案内ローラ106の間を通過する酸化物超電導線材102を上下から挟む位置に設けられている。
案内ローラ104、107には酸化物超電導線材102に通電するための電流源113が接続され、案内ローラ105、106には酸化物超電導線材102に生じる電圧を測定するための電圧計115が接続されている。
図9に示す構成の連続評価装置100によれば、電磁石110により酸化物超電導線材102に磁場を印加した状態において案内ローラ104、107間の酸化物超電導線材102に通電し、案内ローラ105、106間の電圧を計測することができる。この連続評価装置100により、酸化物超電導線材102への通電量を増加しつつ案内ローラ105、106間の電圧を計測し、発生した電圧が閾値に達したことを計測することで、磁場印加状態における酸化物超電導線材102のIc値を測定することができる。
図9に示す連続評価装置100によれば、磁場印加状態における酸化物超電導線材102のIc値の測定をその全長に渡り行うことができるものの、以下に説明する問題点を有していた。
Ic値の測定は、酸化物超電導線材102に対する電流量を徐々に大きく設定し、案内ローラ105、106間に生じる電圧が所定の閾値に達した時の電流値をIc値とする方法で行われる。しかし、図9に示す連続評価装置100によって酸化物超電導線材102に対し磁場を印加している範囲は、鉄心111の細い磁極端112、112で挟まれている狭い範囲に制限されている。
このため、例えば、磁極端112、112から酸化物超電導線材102に磁場を印加した領域以外の部分にIc値の低い欠陥部分あるいは劣化部分が存在していると、本来低Ic値を示す部分に磁場を印加していない状態の特性を測定していることになり、正確な評価ができない問題があった。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、超電導線材の全長に渡り磁場中の臨界電流を測定することが可能であって、超電導線材の一部分に欠陥部分や劣化部分が存在していた場合であっても、もれなく正確に測定が可能な評価装置および評価方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、超電導線材を冷媒内で搬送させる搬送手段と、 前記冷媒内に配置される前記超電導線材の少なくとも一部に電流を流す通電手段と、前記通電手段による通電範囲内の前記超電導線材上の2つの電圧測定点間の電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手段による電圧測定区間の全体にわたって前記超電導線材に均一磁場を印加する磁場印加手段と、を備える長尺用超電導線材の臨界電流評価装置に関する。
通電範囲内の超電導線材上の2つの電圧測定点間の電圧を該2つの電圧測定点間に均一磁場を印加しつつ測定することで臨界電流値を測定できる。
よって、電圧を測定する区間内の超電導線材のいずれの位置に欠陥部分や劣化部分を生じていたとしても、これらの部分に確実に磁場を印加しつつ臨界電流値を測定できる。このため、欠陥部分や劣化部分の影響を含めた超電導線材の臨界電流値の測定をもれなく正確に行うことができる。
本発明において、前記磁場印加手段が、RE123系の酸化物超電導コイルを含む構成でも良い。
RE123系の酸化物超電導コイルであるならば、超電導線材を超電導状態とするための冷媒あるいは冷却装置によりRE123系の酸化物超電導コイルも超電導状態となるように冷却できる。このため、冷媒使用の場合に別途酸化物超電導コイルを冷却するための冷媒を別途要することなくRE123系の酸化物超電導コイルを利用して磁場を印加できる。RE123系の酸化物超電導コイルであるならば、1Tを超える強い磁場を発生できるので、測定対象の超電導線材に必要な磁場印加条件を容易に作り出すことができ、目的の磁場印加状態における臨界電流値を測定できる。
本発明において、前記磁場印加手段が、長軸を前記2つの電圧測定点に沿って配置したレーストラック形状の酸化物超電導コイルを含む構成でも良い。
レーストラック形状の酸化物超電導コイルは、その長軸に沿った位置に均一な磁場を発生できる。レーストラック形状の酸化物超電導コイルの長軸を前記2つの電圧測定点に揃えて配置しているならば、前記2つの電圧測定点間に配置される測定対象としての超電導線材に均一磁場を印加することができる。このため、目的の磁場印加状態を加味した超電導線材の臨界電流値を測定できる。
本発明において、前記通電手段により前記通電範囲に流す電流値を徐々に高くなるように変化させるとともに、各電流値において前記電圧測定手段による電圧測定を行い、測定される電圧値が所定の閾値に達した時点の電流値を臨界電流値として取得する制御部を備える。
制御部を有していることにより、磁場印加状態における超電導線材の電圧測定結果から超電導線材の臨界電流値を自動的に求めることができる。
本発明において、前記制御部は、前記搬送手段により前記通電範囲以下の任意のピッチで前記超電導線材を移動させ、前記ピッチで前記超電導線材が移動するごとに前記臨界電流値の測定を行う。
ピッチ毎の磁場印加状態の臨界電流値を測定できるので、ピッチ毎に測定することで、長尺用の超電導線材の全長に渡り、磁場印加状態における臨界電流値の測定ができる。
本発明の超電導線材の評価方法は、冷媒によって超電導状態に維持された超電導線材に対して電流を供給し、前記超電導線材の通電範囲内に設定された電圧測定区間の電圧を測定する長尺用超電導線材の評価方法であって、前記電圧測定区間の全体にわたって前記超電導線材に均一磁場を印加した状態で前記電圧の測定を行う評価方法である。
電圧測定区間内の超電導線材のいずれの位置に欠陥部分や劣化部分を生じていたとしても、これらの部分に磁場を印加しつつ超電導線材の臨界電流値を測定できる。このため、欠陥部分や劣化部分の影響を含めた超電導線材の臨界電流値の測定をもれなく正確に行うことができる。
本発明の超電導線材の評価方法は、前記通電範囲に流す電流値を徐々に高くなるように変化させるとともに、各電流値において電圧測定を行い、測定される電圧値が所定の閾値に達した時点の電流値を臨界電流値として取得する。
この方法により、磁場印加状態における超電導線材の臨界電流値を正確に求めることができる。
本発明の超電導線材の評価方法は、前記均一磁場を印加する手段として、前記冷媒中に配置したRE123系の酸化物超電導コイルを用いる。
冷媒内に配置されるRE123系の酸化物超電導コイルであるならば、超電導線材を超電導状態とするための冷媒によりRE123系の酸化物超電導コイルも超電導状態となるように冷却できる。このため、別途酸化物超電導コイルを冷却するための冷媒を要することなくRE123系の酸化物超電導コイルを利用して磁場を印加できる。RE123系の酸化物超電導コイルであるならば、1Tを超える強い磁場を発生できるので、測定対象の酸化物超電導線材に必要な磁場印加条件を容易に作り出すことができ、目的の磁場印加状態における臨界電流値を測定できる。
本発明により、2つの電圧測定点間の超電導線材に均一磁場を印加する磁場印加手段により磁場印加しながら測定対象の超電導線材に通電しつつ臨界電流値を測定するので、2つの電圧測定点間の超電導線材の全体に均一磁場を印加した状態で臨界電流値を測定できる。よって、電圧を測定する区間内の超電導線材のいずれの位置に欠陥部分や劣化部分を生じていたとしても、これらの部分に確実に磁場を印加しつつ臨界電流値を測定できる。このため、欠陥部分や劣化部分の影響を含めた超電導線材の評価を正確かつ確実に行うことができる。
本発明に係る臨界電流評価装置の一例を示す構成図。 図1に示す臨界電流評価装置に設けられるレーストラックコイルの一例を示す構成図。 図1に示す臨界電流評価装置において超電導線材に対し磁場印加手段から均一磁場を印加している状態の一例を示す説明図。 図1に示す臨界電流評価装置に設けられる磁場印加手段の第2の例から超電導線材に対し磁場を印加している状態を示す説明図。 図1に示す臨界電流評価装置に設けられる磁場印加手段の第3の例から超電導線材に対し磁場を印加している状態を示す説明図。 図1に示す臨界電流評価装置に設けられる磁場印加手段の第4の例から超電導線材に対し磁場を印加している状態を示す構成図。 第1の実施例において得られた酸化物超電導線材の長さ方向の位置毎の臨界電流値の測定結果を第1の比較例の測定結果と対比して示すグラフ。 第2の実施例において得られた酸化物超電導線材の長さ方向の位置毎の臨界電流値の測定結果を第2の比較例の測定結果と対比して示すグラフ。 従来の臨界電流評価装置の一例を示す構成図。
以下、本発明に係る第一実施形態の超電導線材の評価装置につき図面に基づき説明する。なお、以下実施形態の説明で用いる図面は、本実施形態の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明は以下の各実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の臨界電流評価装置1は、送出リール2から繰り出したテープ状の超電導線材50を複数の案内リール4a〜4dを介して搬送し、巻取リール3に巻き取る間に、冷媒収容容器5に満たした液体窒素等の冷媒6により臨界温度以下に冷却し、この冷却した超電導線材50の臨界電流値(Ic値)を測定する装置である。
本実施形態の臨界電流評価装置1では、装置全体が樹脂からなる筐体7内に配され、該筐体7の内部が窒素ガスパージされていることが好ましい。
液体窒素等の冷媒6を用いて超電導線材50を冷却する場合、空気中の湿気による水分に注意する必要がある。超電導線材50に設けられる後述の酸化物超電導層の中には水分との反応性を有するものがあるので、水分の浸入を防止する目的で筐体7内に窒素ガスを流し込み、該筐体7の内部を窒素ガスパージする。これにより筐体7内への水分の浸入を防止する。
前記筐体7を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル板等が用いられる。
冷媒収容容器5は槽型の容器であり、冷媒収容容器5の一側上方に送出リール(供給手段)2が設けられ、冷媒収容容器5の他側上方に巻取リール(引出手段)3が設けられている。これらのリール2、3はそれらの回転軸をいずれも水平向きにして冷媒収容容器5の上方に設置され、テープ状の酸化物超電導線材50を送り出すか、巻き取ることができる。
前記送出リール2の近傍に第1の案内リール4aが設けられ、その下方に位置する冷媒収容容器5の一方の側壁5aの内側に第2の案内リール4bが設けられている。また、冷媒収容容器5の他方の側壁5bの内側に第3の案内リール4cが設けられ、この第3の案内リール4cの上方側であって前記巻取リール3の近傍に第4の案内リール4dが設けられている。
前記送出リール2から送り出されたテープ状の酸化物超電導線材50は、第1〜第4の案内リール4a〜4dに沿って順次案内された後、巻取リール3に巻き取られる。前記送出リール2と第1〜第4の案内リール4a、4b、4c、4dと巻取リール3により、超電導線材50を冷媒6内で搬送させる搬送手段8が構成されている。
前記冷媒収容容器5の内側であって、第2の案内リール4bと第3の案内リール4cとの間に、内側から順に、以下に説明する一対の電圧測定用電極11、12と、一対の電流電極13、14が設けられている。
前記電圧測定用電極11、12には電圧計17が接続され、前記電流電極13、14には電流源18が接続されている。
前記電圧測定用電極11は上部電極端子11aと下部電極端子11bとからなり、これらの電極端子11a、11bによりテープ状の超電導線材50の表裏面を挟み込んで超電導線材50に導通できる。電圧測定用電極12は上部電極端子12aと下部電極端子12bとからなり、これらの電極端子12a、12bによりテープ状の超電導線材50の表裏面を挟み込んで超電導線材50に導通できる。これらの電圧測定用電極11、12を超電導線材50に接続することで、電圧測定用電極11、12間に発生する電圧を電圧計17により測定することができる。
なお、図1では電極端子11a、11bと電極端子12a、12bを超電導線材50と接触していないように描いているが、これは図面を見やすくするためであり、これらの端子を実際は超電導線材50と接触するように設けている。
前記電流電極13は上部電極端子13aと下部電極端子13bとからなり、これらの電極端子13a、13bによりテープ状の超電導線材50の表裏面を挟み込んで接続できる。また、前記電流電極14は上部電極端子14aと下部電極端子14bとからなり、これらの電極端子14a、14bによりテープ状の超電導線材50の表裏面を挟み込んで接続できる。これらの電流電極13、14を超電導線材50に接続することで、電流源18から電極13、14間の線材部分に通電することができる。
前記一対の電流電極13、14は、上述の端子13a、13b、14a、14bにより超電導線材50に対し長さ方向に所定の距離離間した地点で接続され、電流源18に接続されることで、超電導線材50に定電流を供給するための定電流供給部(通電手段)20が構成されている。本実施形態において、通電手段20による通電範囲とは、電流電極13と電流電極14との区間である。
前記一対の電圧測定用電極11、12は、定電流供給部20から超電導線材50に対し通電された際に発生する電圧を電圧測定用電極11、12間で測定できる電圧検出部(電圧測定手段)21を構成している。本実施形態において、上述の各端子11a、11b、12a、12b、のうち、後述するテープ状の酸化物超電導線材に接触して電圧を測定する位置が電圧測定点となる。従って、例えば、上部電極端子11aと上部電極端子12aを電圧測定点とする場合、これらの端子間の電圧を2つの電圧測定点間の電圧とする。
更に、前記電圧計17と電流源18に対し駆動演算制御部(演算部)25が接続され、前記電圧計17と電流源18からの情報を基に、後述する如く臨界電流を算出することができる。
ここで以下に、本実施形態の臨界電流評価装置1において、測定対象とする超電導線材50の構造について説明する。
超電導線材50は、例えばテープ状の金属基材上に中間層と酸化物超電導層と金属安定化層を積層して構成されている。
前記金属基材は、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)に代表されるニッケル合金やステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金が適用される。
中間層は、Y、ZrO−Y(YSZ)、MgO、CeO等の金属酸化物からなる配向層を含み、例えば、IBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
酸化物超電導層は、REBaCu(REは希土類元素を示す)を用いることができる。金属安定化層にはAgやCuが用いられる。
また、Agシースの内部にBi系酸化物超電導体(BiSrCaCu10)のような多芯線を内包したテープ状のBi系酸化物超電導線材、あるいは、冷媒を変更することでMgBからなる超電導層を含むテープ状あるいは丸線状の超電導線材等も適用することができる。
以上のように構成されたテープ状の超電導線材50は、送出リール2から送り出され、案内リール4a〜4dを介して巻取リール3へと順次巻き取られる。また、超電導線材50は案内リール4aを通過してから冷媒収容容器5の冷媒(例えば液体窒素)に浸漬されて冷却され、超電導状態となる。
駆動演算制御部25は、送出リール2及び巻取リール3にこれらリールの回転制御信号を与え、送出リール2及び巻取リール3の回転を制御する。また、駆動演算制御部25は、送出リール2及び巻取リール3に駆動信号を与えることにより超電導線材50に加わる張力を適宜調整する。
電流源18は、駆動演算制御部25に接続されており、電流源13より得られたデータは、駆動演算制御部25に送られる。
電圧検出部21は、一対の電圧測定用電極11、12間の超電導線材50に発生する電圧を検出する。電圧計17は、駆動演算制御部25に接続されており、電圧計17より得られたデータは、駆動演算制御部25に送られる。
駆動演算制御部25は、前記電圧及び前記定電流に基づいて前記超電導線材50の臨界電流値を算出する。駆動演算制御部25は電流源18及び電圧計17と接続されているため、電流源18及び電圧計17で得られたデータから、さまざまな演算を行なうことができる。また、後述するように測定時において超電導線材50の電圧を監視し、所定の電流値で遮断するなどの制御も行う。
次に、本実施形態の臨界電流評価装置1において、冷媒収容容器5の底部側であって電圧測定用電極11、12の下方に、これらの電極11、12に隣接するように水平にレーストラック型の電磁石(磁場印加手段)30が設置されている。
この電磁石30は、図2に示すような平面視レーストラック形状の巻枠31に導線32を巻回してなる電磁石である。
前記巻枠31は、円周部31A、31Aと直線部31B、31Bとからなる平面視レーストラック形状であり、一例として、長軸方向の内径、数100mm(例えば500〜1200mm)程度、短軸方向の内径、数10mm(例えば40mm)程度の大きさに形成されている。この電磁石30は、前記電圧測定用電極11、12を望ましくは円周部31A、31Aの若干内側上方中央に配置できるような大きさに形成されている。このため、電磁石30の大きさは上述の値に限定されるものではなく、図1に示す臨界電流評価装置1の規模や大きさに合わせて望ましい大きさに形成される。換言すると、電磁石30は臨界電流評価装置1における電圧測定用電極11、12の間隔に対応した長さあるいは長径になるように形成されている。
電磁石30が平面視レーストラック形状であるならば、電磁石30の長軸と該長軸上に配置されるテープ状の超電導線材50を平行に位置合わせしておくことで超電導線材50に上向きの均一磁場を印加できるようになる。
また、電磁石30に巻回されている導線32は接続線34を介し冷媒収容容器5の外部に設けられた電源装置35に接続されている。この電源装置35から電磁石30の導線32に通電することで電極11、12間に位置する測定対象の超電導線材50に均一磁場を印加することができる。
なお、図1に示す電磁石30として、冷凍機冷却式の超電導磁石を用いる場合、電磁石30を冷媒容器の外部に設ける。電磁石30として常電導磁石を用いる場合にその設置位置は冷媒の内部でも外部でも良い。
次に、以上のように構成された臨界電流評価装置1を用いて超電導線材50の臨界電流値を測定する方法について説明する。
まず、必要長さの超電導線材50を用意する。超電導線材50を図1で示されるように配置する。即ち、送出リール2から送り出した超電導線材50を案内リール4a、4b、4c、4dに沿って送り出し、巻取リール3に巻き取るように配置する。なお、超電導線材50の全長に渡り臨界電流値を測定するために、超電導線材50の先端側にはテープ状のダミー線を接続しておき、送出リール2から巻取リール3側にダミー線を送り出し、ダミー線の後端を案内リール4cに接近させ、ダミー線の後端に続く超電導線材50の先端側を上部電極端子14aと下部電極端子14bに到達させた時点で測定開始とすることが好ましい。
超電導線材50の先端部が上部電極端子14aと下部電極端子14bに到達した時点で超電導線材50の移動を停止する。超電導線材50は図1に示すようにその表裏面を上部電極端子13a、11a、12a、14aと下部電極端子13b、11b、12b、14bで挟み込んだ状態で停止する。
また、電磁石30の導線32に電源装置35から通電して電磁石30から磁場を発生させる。電磁石30は平面視レーストラック形状であり、電磁石30は図3に示すように超電導線材50に対し均一磁場を印加する。
ここで作用させる磁場は、0.2Tなどのような磁界であるが、電磁石30を仮に超電導磁石としてより強い磁場を印加することもできる。例えば、酸化物超電導磁石とするならば、1T〜2Tなどのような強い磁場を容易に発生できるので、超電導線材50を超電導コイル用途に用いる場合に必要な強い磁場環境で臨界電流値を測定できる。磁場の強さは計測対象とする超電導線材50に必要とされる磁場特性に見合った任意の値を選択することができる。なお、電磁石30を酸化物超電導コイルとする場合の構成は後の例において説明する。
計測対象の超電導線材50に作用させるべき磁場は、強度差±5%以内、磁場角度±1゜以内であることが望ましい。上述のレーストラック形状の電磁石30あるいは超電導磁石であり、電磁石30の巻枠の範囲内であるならば、この条件を満たすことができる。また、磁場の強度差において、より望ましくは±1%以内であり、電磁石30の直線部31Bの内側であるならばより均一な磁場を印加する上で望ましい。
勿論、上述の磁場印加条件を満たすならば、電磁石30や酸化物超電導コイルはレーストラック形状には限らない。円環状の磁石や超電導コイルであっても良いが、円環状の磁石や超電導コイルの場合に設置面積を大きく取る必要が生じる。設置面積を少なくできるという利点においてはレーストラック形状の電磁石あるいは酸化物超電導コイルの方が円形状の電磁石あるいは酸化物超電導コイルより有利となる。
以上説明の磁場印加状態において、電流源18から電流電極13、14を介し所定の電流を超電導線材50の電流電極13、14間に流す。このときの電圧測定用電極11、12の間の電位差を電圧計17により計測する。電流源18及び電圧計17より得られたデータは、演算部(駆動演算制御部)25へ送られる。
電流源18から超電導線材50に通電する電流値を徐々に上げてゆきながら、電圧を測定する。超電導線材50の電流値が磁場印加状態の臨界値を超えると超電導層は常電導転移して抵抗を発生するようになるので、電圧計17が計測する電圧値が所定の閾値に達するようになる。そこで、上述の閾値に至った場合の電流値、即ち、臨界電流値を磁場印加状態において測定することができる。
演算部(駆動演算制御部)25のメモリには所定厚さの金属安定化層を介する電流電極13、14間の導通により発生する電圧値の閾値を予め記憶しておく。そして、繰り返しの電圧測定の際、電圧計17が示す値が前述の閾値に達した時点を超電導線材50の磁場印加状態の臨界電流値として把握し、最初の区間での超電導線材50の臨界電流値として記憶する。
最初の区間の超電導線材50の臨界電流値の計測が終了したならば、送出リール2から巻取リール3側に超電導線材50を所定長さ送り出す。送り出す長さは、超電導線材50の臨界電流値を計測していない次の区間を電流電極13、14間に配置できるような長さに設定する。
電流電極13、14間に新たな区間の超電導線材50を配置したならば、超電導線材50の移動を停止し、上述の磁場印加条件における臨界電流値測定操作を再度行う。
以上の臨界電流値測定操作を超電導線材50の全長に渡り繰り返し行うことにより、即ち、所定のピッチで行うことにより、超電導線材50の全体の臨界電流値を測定することができる。なお、超電導線材50を繰り返し送り出す場合のピッチは、電圧測定用電極11、12間の距離と等しい距離であっても良いし、それよりも短い任意の距離であっても良い。電圧測定用電極11、12間の距離と等しいピッチで計測する場合にできるだけ少ない回数で超電導線材50の全長を計測できるので、効率は良好であるが、超電導線材50の全長の臨界電流値を計測するために電圧測定用電極11、12間の距離よりも短いピッチで計測しても良い。
なお、電流電極13、14間に存在する超電導線材50に超電導コイル30により均一磁場を印加しつつ臨界電流値を測定しているので、磁場の影響下における臨界電流値を正確に測定することができる。
また、超電導線材50に設けられている超電導層に部分的な結晶の乱れや歪欠陥あるいは層間剥離等に起因する欠陥部分や劣化部分を生じていることがある。この場合、電流電極13、14間に存在する超電導線材50に広く均一磁場を印加しつつ臨界電流値を測定しているので、部分的に欠陥部分や劣化部分を有していたとしても、磁場の影響を受けて臨界電流特性に確実に影響する。このため、磁場の影響を勘案した正確な臨界電流値を超電導線材50の全長に渡り測定することができる。
なお、本実施形態で計測対象とする長尺の超電導線材50とは、電圧測定用電極11、12を用いて所定のピッチで超電導線材50を複数回送りながら臨界電流値の測定を行うということを考慮し、評価装置の規模から電圧測定用電極11、12の間隔を想定し、大旨50cm以上の長さの超電導線材を意味する。
図4は測定用の超電導線材50に対し均一磁場を印加する場合に用いる電磁石30の配置例を示すもので、図4に示すように超電導線材50の上下両方に複数の電磁石を同一平面位置(同軸位置)に配置する構成としてもよい。また、更に強い磁場を印加できるように、電磁石30を複数積層して超電導線材50の上方と下方に複数配置しても良い。
図5は測定用の超電導線材50に対し均一磁場を印加する場合に用いる電磁石30の他の配置例を示すもので、この例ではテープ状の超電導線材50の表面側と裏面側ではなく、テープ状の超電導線材50の幅方向両側に対向するように電磁石30を配置した例である。
図5に示すように電磁石30を配置することで、先の図3または図4に示す配置例と異なり、印加磁場の向きをテープ状の超電導線材50の面方向に沿うように配向させて磁場印加できる。先の図3または図4に示す配置例では、超電導線材50の面に対し垂直方向に磁場を印加しつつ臨界電流値を測定することとなる。
なお、テープ状の超電導線材50に対し、異なる角度から外部磁場を印加した場合、得られる臨界電流値には磁場角度依存性を有することが知られている。このため、電磁石30から測定用の超電導線材50に印加する磁場の角度を変更して評価することも重要である。図5の例の構造では、図3、図4の例の場合と90゜異なる方向の磁場を印加することができる。勿論、磁石30を超電導線材50に対し傾斜させる角度は任意で良く、図3、図4の配置から図5の配置のように90゜変更する間に、0〜90゜の範囲内で任意の範囲に設定することができる。
図6は超電導線材の評価装置に適用する磁場印加手段の他の例を示すもので、この例の磁場印加手段は、レーストラック形状の酸化物超電導コイル36から構成されている。この酸化物超電導コイル36は、円周部37A、37Aと直線部37B、37Bからなるレーストラック形状の巻枠37に酸化物超電導線材38を巻回してなる。
本発明では、酸化物超電導コイル36から評価用の超電導線材50に対し均一磁場を印加できればよいので、図6に示す構成の酸化物超電導コイル36であっても本発明の目的を達成できる。
磁場印加手段として酸化物超電導コイル36を用いる場合、用いる酸化物超電導線材38として、RE123系(REBaCu:REはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち、1種または2種以上の希土類元素を示す)の酸化物超電導層を備えた酸化物超電導線材38を例示できる。この酸化物超電導コイル36に適用される酸化物超電導層として、Y123(YBaCu7−X)、Gd123(GdBaCu7−X)、Ga123(GdBaCu7−X)、あるいは、Sm123(GdBaCu7−X)などを例示できる。
冷媒収容容器5内に配置されたRE123系の酸化物超電導コイル36であるならば、冷媒収容容器5に充填されて測定対象の超電導線材50を超電導状態とするための冷媒6により酸化物超電導コイル36も超電導状態となるように冷却できる。このため、別途酸化物超電導コイル36を冷却するための冷却設備を用意する必要がない。
RE123系の酸化物超電導コイル36であるならば、1Tを超える強い磁場を測定対象の超電導線材50に印加できるので、測定対象の超電導線材50に必要な磁場印加条件を容易に作り出すことができ、目的の磁場印加状態を加味したIc値を測定できる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
ハステロイC−276(米国ヘインズ社商品名)からなる幅10mm、厚さ0.1mm、長さ10.3mのテープ状の基材上に、Alの拡散防止層(厚さ80nm)と、Yのベッド層(厚さ30nm)と、イオンビームアシスト蒸着法によるMgOの中間層(厚さ10nm)と、PLD法によるCeOのキャップ層(厚さ300nm)及びYBaCu7−x層(膜厚1μm)を備え、その上に厚さ10μmのAgの保護層を形成したテープ状の測定用酸化物超電導線材を用意した。なお、この測定用の酸化物超電導線材については、先端から7.5mの位置に局所的な低Icの部分を有する超電導線材とした。具体的には、前記ハステロイC−276製の基材上にピンセットで基材幅方向に3mmの引っかき傷を付け、その上に各層を形成することで、各層の結晶粒が乱れた状態とすることにより形成した低Icの部分を有する。また、測定用の酸化物超電導線材の先端側と後端側にそれぞれ長さ5m、幅10mmのステンレステープのダミー線を溶接により接続した。
なお、基材表面は鏡面加工により平滑に加工されているので、基材表面に引っ掻き傷を形成することによりその上に形成される中間層とキャップ層の結晶配向性が乱れる結果、低Icの部分が生成する。
図1に示す構成の臨界電流評価装置の送出リール2に上述のダミー線付き測定用の酸化物超電導線材を巻き付け、送出リール2から案内リール4a〜4dを介し巻取リール3に巻き取ることができるようにセットした。
図1に示す構成の臨界電流評価装置において電流電極13、14の間隔は1.2m、電圧測定用電極11、12間の間隔は1m、レーストラック状の電磁石から酸化物超電導線材に対し均一磁場を発生できる空間を酸化物超電導線材の長さ方向に沿って1.2mに設定した。磁場印加用に用いたレーストラック状の電磁石の大きさは、長軸側内径1.3m、短軸側内径0.04mであり、発生磁場0.2Tの電磁石である。
冷媒収容容器に液体窒素を満たし、筐体7の内部を窒素ガス雰囲気に置換後、酸化物超電導線材の評価試験を行った。評価試験は、ダミー線を送出リール2から案内リール4a〜4dを介して巻取リール3側に送り出し、酸化物超電導線材の先端部が電流電極14に到達した時点で酸化物超電導線材の移動を停止し、その位置にて電流電極13、14の端子13a、13b、14a、14bから通電し、通電する電流量を徐々に上昇させながら、電圧測定用電極11、12の端子11a、11b、12a、12bにより電圧を監視するという手順で行った。臨界電流の測定基準(電圧)は1μV/cmとしている。
電圧測定用電極11、12間の間隔を1mに設定しているので、長さ10mの酸化物超電導線材に対し1m毎に移動して繰り返し臨界電流値を測定した。なお、最初の測定時、電圧測定用電極12の端子と電流電極14の端子間の0.1m分は測定対象外となり、酸化物超電導線材の先端から0.1〜1.1mの区間が測定される。また、2回目の測定からは酸化物超電導線材の先端から1mの位置を基点として1m毎に測定した。
臨界電流値を測定する際、電磁石による磁場を印加しない状態(自己磁場)で測定した結果と電磁石による磁場を外部磁場として印加した状態の両方について測定した。
測定結果を図7に示す。測定に用いた酸化物超電導線材の自己磁場中の臨界電流値は全長にわたり、概ね550Aであるが、先端から7.5mの位置に意図的に設けた低Icを含む酸化物超電導線材であるので、7.5mの位置を含む測定の際、即ち、図7の8mの計測位置において臨界電流値が大幅に低下することを確認できた。また、電磁石を用いて0.2Tの外部磁場を印加しつつ測定した結果を見ると、7.5mの位置を含む測定の際に、臨界電流値が低下することを明確に確認できた。なお、図7において、1mの位置の測定値は、実際は、0.1〜1.1mの範囲の測定値を意味する。
次に、比較例として、電磁石から均一に磁場印加する空間を狭くして試験した。
図1に示す臨界電流評価装置に設けるレーストラック形状の電磁石として、長軸側内径0.7m、短軸側内径0.04mであり、発生最大磁場0.2Tの電磁石を用いた。この電磁石の均一磁場発生空間は、酸化物超電導線材の長さ方向に0.6mである。
この電磁石を用いて磁場を印加しつつ先の実施例で用いたものと同じ酸化物超電導線材を用いて臨界電流値の測定を行った結果を図7に0.2T(従来法)として記載した。
図7に示す結果から、従来法の測定結果では、酸化物超電導線材の長さ7.5m位置に存在する低Ic値を示す領域の測定結果が他の領域と同等になっている。これは、長さ方向0.6mの範囲に磁場を印加しつつ臨界電流値を測定した場合、長さ7.5m位置の低Ic部分に磁場が印加されずに臨界電流値が測定された結果、低Ic部分の存在を発見できなかったことを意味する。即ち、従来法では低Ic部分を含んだ酸化物超電導線材の磁場中特性があたかも均一であるように誤って評価されてしまう。
これらの結果の対比から、電圧測定用電極間の領域を全て含むように酸化物超電導線材に磁場を印加しつつ臨界電流値の測定を行わなければ、磁場印加状態における酸化物超電導線材の正確な評価ができないことを意味している。
「実施例2」
先に用いた臨界電流評価装置において、電磁石を酸化物超電導コイルに置き換えて同様の評価試験を行った。酸化物超電導コイルとして、長軸内径500mm、短軸内径40mmのレーストラック状の酸化物超電導コイルを用いた。この酸化物超電導コイルは長軸内径500mm、短軸内径40mmのレーストラック状の巻き枠に、先の測定用酸化物超電導線材と同等構造の酸化物超電導線材を100ターン巻き付けてパンケーキ型コイルを構成し、このパンケーキ型コイルを2つ積層したダブルパンケーキ型コイルを図4に示す構成と同様に測定用の酸化物超電導線材の上下に2つずつ設置した。即ち、酸化物超電導線材の上下にそれぞれ4つずつパンケーキ型コイルを配置した構成である。
また、この例で用いる臨界電流評価装置において電圧測定用電極11、12間の間隔を400mmに変更している。
上述の酸化物超電導コイルに180A通電することで1Tの磁場を発生させ、臨界電流値の測定を行った。臨界電流値の測定を同じ酸化物超電導線材の全長に対し、2回連続で行った。なお、この測定に用いた酸化物超電導線材は先の低Ic部分などのような意図的な欠陥を含まない酸化物超電導線材を用いた。また、酸化物超電導コイルによる磁場印加を行わずに酸化物超電導線材の全長にわたり臨界電流値を測定した。これらの結果を併せて図8に示す。
図8において自己磁場と表記した結果は、酸化物超電導磁石による磁場を印加しないで測定した結果を示し、1T(1回目)は酸化物超電導磁石により磁場印加しつつ1回目に測定した結果を示し、1T(2回目)は酸化物超電導磁石により磁場印加しつつ2回目に測定した結果を示す。
図8に示すように酸化物超電導線材の臨界電流値を測定するにあたり、酸化物超電導コイルを用いて発生させた外部磁場を印加した状態において再現性良く臨界電流値の測定ができた。
上述の構成の酸化物超電導コイル(長軸内径500mm、短軸内径40mmのレーストラック状)に対し、印加磁場の観測を行ったところ、巻枠の直線部分間においては全ての領域で±5%以内の磁場強度分布であることを確認できた。即ち、巻枠の直線部分間においては、±5%の均一磁場を印加できている。この実施例では電圧印加用電極の間隔を400mmとしているので、電圧印加用電極間に位置する測定用の酸化物超電導線材には±5%以内の均一磁場を印加できていることがわかる。また、この範囲内の印加磁場の角度依存性は±1%であった。
酸化物超電導線材の臨界電流値は磁場の角度依存性を有するので、均一な強さの磁場を必要な角度範囲で印加できることも重要である。この面から見て、レーストラック形状の酸化物超電導コイルを用い、電圧測定用電極をレーストラック形状の直線部の内側に配置して磁場を印加しつつ酸化物超電導線材の臨界電流値を測定することが好適である。
本発明は、例えば超電導ケーブル、超電導モータ、限流器などに用いられ、磁場中における超電導特性の優れた酸化物超電導線材を評価できる技術に関する。
1…臨界電流値測定、2…送出リール(供給手段)、3…巻取リール(引出手段)、5…冷媒収容容器、6…冷媒、7…筐体、11、12…電圧測定用電極、13、14…電流電極、17…電圧計、18…電流源、20…定電流供給部(通電手段)、21…電圧検出部(電圧測定手段)、25…駆動演算制御部、30…電磁石(磁場印加手段)、30A…円周部、30B…直線部、31…巻き枠、32…導線、36…酸化物超電導コイル(磁場印加手段)、37…巻枠、37A…円周部、37B…直線部、38…酸化物超電導線材、50…酸化物超電導線材。

Claims (9)

  1. 超電導線材を冷媒内で搬送させる搬送手段と、
    前記冷媒内に配置される前記超電導線材の少なくとも一部に電流を流す通電手段と、
    前記通電手段による通電範囲内の前記超電導線材上の2つの電圧測定点間の電圧を測定する電圧測定手段と、
    前記電圧測定手段による電圧測定区間の全体にわたって前記超電導線材に均一磁場を印加する磁場印加手段と、
    を備える長尺用超電導線材の臨界電流評価装置。
  2. 前記磁場印加手段が、RE123系の酸化物超電導コイルを含む請求項1に記載の長尺用超電導線材の臨界電流評価装置。
  3. 前記磁場印加手段が、長軸を前記2つの電圧測定点に沿って配置したレーストラック形状の酸化物超電導コイルを含む請求項1または請求項2に記載の長尺用超電導線材の臨界電流評価装置。
  4. 前記通電手段により前記通電範囲に流す電流値を徐々に高くなるように変化させるとともに、各電流値において前記電圧測定手段による電圧測定を行い、測定される電圧値が所定の閾値に達した時点の電流値を臨界電流値として取得する制御部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の長尺用超電導線材の臨界電流評価装置。
  5. 前記制御部は、前記搬送手段により前記通電範囲以下の任意のピッチで前記超電導線材を移動させ、前記ピッチで前記超電導線材が移動するごとに前記臨界電流値の測定を行う請求項4に記載の長尺用超電導線材の臨界電流評価装置。
  6. 冷媒によって超電導状態に維持された超電導線材に対して電流を供給し、前記超電導線材の通電範囲内に設定された電圧測定区間の電圧を測定する長尺用超電導線材の評価方法であって、
    前記電圧測定区間の全体にわたって前記超電導線材に均一磁場を印加した状態で前記電圧の測定を行う長尺用超電導線材の評価方法。
  7. 前記通電範囲に流す電流値を徐々に高くなるように変化させるとともに、各電流値において電圧測定を行い、測定される電圧値が所定の閾値に達した時点の電流値を臨界電流値として取得する請求項6に記載の長尺用超電導線材の評価方法。
  8. 前記均一磁場を印加する手段として、前記冷媒中に配置したRE123系の酸化物超電導コイルを用いる請求項6または7に記載の長尺用超電導線材の評価方法。
  9. 前記均一磁場を印加する手段として、長軸を前記2つの電圧測定点に沿って前記冷媒中に配置したレーストラック形状の酸化物超電導コイルを用いる請求項6から8のいずれか一項に記載の長尺用超電導線材の評価方法。
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