以下、本発明を具体化した実施例1〜6を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1の倉庫システムは、図1に示すように、倉庫本体1と、エレベータ装置3と、スロープ装置5と、作業用コンピュータ7とを備えている。また、この倉庫システムでは、倉庫本体1に入庫される前の荷物9を待機させる待機所11と、倉庫本体1から出庫された選択荷物90を受取可能な受取所13とが設けられている。
倉庫本体1は矩形状に形成されたハウジング17を有している。このハウジング17には、第1〜4入庫口17a〜17dが開口している。また、ハウジング17には、第1〜4出庫口17e〜17hが開口している。各第1〜4入庫口17a〜17d及び各第1〜4出庫口17e〜17hは、それぞれハウジング17の高さ方向に配置されている。
ハウジング17内には、第1〜4棚ユニット19a〜19dが設けられている。これらの各第1〜4棚ユニット19a〜19dは、ハウジング17の高さ方向に層状に配置されている。これにより、ハウジング1内において、第1棚ユニット19aが最下層に位置しており、第4棚ユニット19dが最上層に位置している。なお、ハウジング17内に設けられる棚ユニット個数は、適宜設計することが可能である。また、棚ユニット個数の個数に応じて、ハウジング17に形成される入庫口及び出庫口の個数は適宜設計することが可能である。
第1棚ユニット19aは、第1入庫口17aと第1出庫口17eとに接続している。第2棚ユニット19bは、第2入庫口17bと第2出庫口17fとに接続している。第3棚ユニット19cは、第3入庫口17cと第3出庫口17gとに接続している。第4棚ユニット19dは、第4入庫口17dと第4出庫口17hとに接続している。
第1棚ユニット19aは、保管棚21aと搬送棚23aと搬入通路25aとによって形成されている。第2棚ユニット19bは、保管棚21bと搬送棚23bと搬入通路25bとによって形成されている。第3棚ユニット19cは、保管棚21cと搬送棚23cと搬入通路25cとによって形成されている。第4棚ユニット19dは、保管棚21dと搬送棚23dと搬入通路25dとによって形成されている。
また、ハウジング17には、第1〜4ゲート装置27a〜27dが設けられている。これらの第1〜4ゲート装置27a〜27dは、それぞれ、装置本体271と、装置本体271に対して各々揺動可能に取り付けられた遮蔽板272とを有している。各装置本体271には、遮蔽板272を揺動させるための図示しない駆動装置等がそれぞれ設けられている。各第1〜4ゲート装置27a〜27dは、それぞれ作業用コンピュータ7と情報伝達可能に接続されている。これらの第1〜4ゲート装置27a〜27dが本発明における切替手段に相当する。
第1ゲート装置27aは、第1棚ユニット19aの搬送棚23aに設置されている。同様に、第2〜4ゲート装置27b〜27dは、それぞれ第2〜4棚ユニット19b〜19d搬送棚23b〜23dに設置されている。
保管棚21a、搬送棚23a及び搬送通路25aは、それぞれ第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって延びている。保管棚21b、搬送棚23b及び搬送通路25bは、それぞれ第2入庫口17b側から第2出庫口17fに向かって延びている。保管棚21c、搬送棚23c及び搬送通路25cは、それぞれ第3入庫口17c側から第3出庫口17gに向かって延びている。保管棚21d、搬送棚23d及び搬送通路25dは、それぞれ第4入庫口17d側から第4出庫口17hに向かって延びている。保管棚21a〜21dの他の構成は、ほぼ同一である。また、搬送棚23a〜23dの他の構成は、ほぼ同一である。さらに、搬入通路25a〜25dの他の構成は、ほぼ同一である。以下、第1棚ユニット19aを形成する保管棚21a、保管棚23a及び搬入通路25aを例に、各構成について具体的に説明する。
図2に示すように、保管棚21aは、第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって延びる板状に形成されている。この保管棚21aの表面は平滑に形成されている。また、保管棚21aの周囲には、壁面210が立設されている。さらに、保管棚21a上には、板状の係止片28が突設されている。この係止片28は、第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって、保管棚21aと平行に延びている。
図1に示すように、保管棚21aは、第1入庫口17a側から第1出庫口17e側に向かって、すなわち、第1入庫口17aから離反する方向に向かって下り傾斜となるように形成されている。また、図3に示すように、保管棚21aの前方には、搬送棚23aが設けられている。そして、保管棚21aは、後方側から前方側に向かって、すなわち、搬送棚23aに向かって下り傾斜となるように形成されている。また、図2に示すように、保管棚21aは、複数の荷物9が並列した状態で移動することがないように、幅方向の大きさが規制されている。
搬送棚23aは、第1入庫口17a側から第1出庫口17e側に向かって延びる板状に形成されている。搬送棚23aは、第1出庫口17eにおいて、後述するスロープ装置5の螺旋通路5bと接続している。この搬送棚23aの表面も平滑に形成されている。搬送棚23aは、一部が保管棚21aと連続している。また、搬送棚23aの周囲には、壁面230が立設されている。
図1に示すように、搬送棚23aも、第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって、下り傾斜となるように形成されている。この際の搬送棚23aにおける傾斜角度と保管棚21aにおける傾斜角度とは等しくなっている。なお、搬送棚23aにおける傾斜角度について、保管棚21aにおける傾斜角度と異なるように形成しても良い。
また、図2に示すように、搬送棚23aについても、後述する複数の選択荷物90が並列した状態で移動することがないように、幅方向の大きさが規制されている。ここで、搬送棚23aの幅方向の大きさは、保管棚21aの幅方向の大きさよりも小さくなっている。さらに、搬送棚23aの第1出庫口17e側には、第1ゲート装置27aが取り付けられている。遮蔽板272は、装置本体271に対して揺動することにより、搬送棚23aとスロープ装置5とを連通させる場合と非連通にする場合とを切替可能となっている。これにより、第1ゲート装置27aは、第1出庫口17eを開放状態と閉鎖状態とに切替可能となっている。
搬入通路25aは、第1入庫口17a側から第1出庫口17e側に向かって延びる板状に形成されている。搬入通路25aは保管棚21aと接続しており、保管棚21aの一部として機能している。この搬入通路25aの表面も平滑に形成されている。また、搬入通路25aの周囲には、壁面250が立設されている。
図1に示すように、搬入通路25aも、第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって、下り傾斜となるように形成されている。ここで、搬入通路25aにおける傾斜角度についても、保管棚21aの傾斜角度及び搬送棚23aにおける傾斜角度と等しくなっている。なお、搬送棚25aにおける傾斜角度についても、保管棚21a及び搬送棚23aにおける各傾斜角度と異なるように形成しても良い。
また、搬入通路25aは、第1入庫口17aから一定の距離までは、前後方向が水平になるように形成されている一方、第1入庫口17aから離反するに従って、後方側から前方側に向かって下り傾斜となるように形成されている。これにより、搬入通路25aは、後方側から前方側に向かって下り傾斜となった状態において、保管棚21aと接続している。図2に示すように、搬入通路25aについても、複数の荷物9が並列した状態で移動することがないように、幅方向の大きさが規制されている。この搬入通路25aの幅方向の大きさは、保管棚21aの幅方向の大きさと等しくなっている。
図1に示すエレベータ装置3は、水平方向に延びる複数の載置台3aと、各載置台3aと直交しつつ、垂直方向に延びる複数のガイドレール3bと、装置本体3cとを有している。装置本体3cには、各載置台3aを移動させるための図示しない動力装置が設けられている。このエレベータ装置3では、ガイドレール3bに沿って各載置台3aが高さ方向に各々周回する。これにより、このエレベータ装置3では、待機所11に待機する荷物9を後述するパレット29と共に載置台3aに載置させつつ、これらを倉庫本体1の第1〜4入庫口17a〜17dまで自動で搬送することが可能となっている。このエレベータ装置3が本発明における第1搬送手段に相当する。
スロープ装置5は、支柱5aと、支柱5aを中心に螺旋状に形成された螺旋通路5bとを有している。螺旋通路5bは、スロープ装置5の高さ方向に対して下り傾斜となるように形成されている。この螺旋通路5bは、上端側が第4出庫口17hと接続し、下端側が受取所13まで延びている。これにより、螺旋通路5bは、後述する選択荷物90がパレット29と共に移動可能となっている。また、螺旋通路5bは、上端側から下端側までの間において、第1〜3出庫口17a〜17cとそれぞれ接続している。図2に示すように、螺旋通路5bの周囲には、壁面50が立設されている。また、螺旋通路5bは、第1〜4搬送棚23a〜23dと等しい幅で形成されている。これにより、このスロープ装置5では、図1に示すように、第1〜4出庫口17a〜17dからそれぞれ出庫された選択荷物90をパレット29と共に受取所13まで自動で搬送することが可能となっている。このスロープ装置5が本発明における第2搬送手段に相当する。
図4に示すように、荷物9は、板状のパレット29に載置されている。このパレット29が本発明における搬送部材に相当する。また、パレット29には、係止治具31と複数のボールキャスタ33とが設けられている。これらのボールキャスタ33は、パレット29の下面に取り付けられている。ここで、このパレット29には、ボールキャスタ33を走行させるためのモータ等の動力装置は設けられていない。このため、このパレット29は、自走することが不可能となっている。なお、パレット29に取り付けられるボールキャスタ33の個数は、荷物9の重量やパレット29の大きさ等に基づいて適宜変更が可能である。
また、パレット29には、複数の数字及び英文字等の文字記号からなる識別標識35が貼付されている。識別標識35は、貼付されるパレット29毎に文字記号が異なるように作成されている。つまり、パレット29毎に異なる識別標識35が付与されている。なお、識別標識35が貼付される位置は適宜変更することが可能である。
係止治具31は、治具本体310と、ストッパ311と、駆動装置312とを有している。治具本体310は、パレット29の下方に取り付けられており、パレット29に固定されている。ストッパ311は、板状に形成されており、連結軸313によって、冶具本体310に対して揺動可能に設けられている。ストッパ311は冶具本体310の前方下部に位置している。駆動装置312は、冶具本体310に取り付けられており、冶具本体310の前方下部に位置している。この駆動装置312は、図1に示す作業用コンピュータ7と情報伝達可能に接続されている。
図4に示す駆動装置312は、図示しないモータやギヤ等を有しており、同図において破線矢印で示すように、連結軸313周りでストッパ311を係止位置と係止解除位置との間で揺動させることが可能となっている。係止位置とは、同図の実線で示すように、治具本体310に対してストッパ311が上下方向に略垂直となる位置である。一方、係止解除位置とは、同図の二点鎖線で示すように、治具本体310に対してストッパ311が前後方向に略水平となる位置である。ここで、図3に示すように、ストッパ311が係止位置にある場合には、ストッパ311と係止片28とが当接し、ストッパ311が係止片28に係止された状態となる。一方、図5に示すように、ストッパ311が係止解除位置にある場合には、ストッパ311と係止片28とが当接しなくなり、係止片28に対するストッパ311の係止が解除された状態となる。
図1に示す作業用コンピュータ7は、コンピュータ本体7aと、ディスプレイ7bと、キーボード7cとを有している。この作業用コンピュータ7は、倉庫本体1から遠隔した位置に配置されている。
コンピュータ本体7a内には、ROM70、CPU71及び記憶媒体72等が設けられている。ROM70には、第1〜4ゲート装置27a〜27dを制御するためのプログラムの他、駆動装置312を制御するためのプログラム等の倉庫システムを運用するための各種のプログラム記憶されている。CPU71は、第1〜4ゲート装置27a〜27dを制御するためのプログラムを実行することにより、第1〜4ゲート装置27a〜27dに対して個別に制御信号を送信する。また、CPU71は、駆動装置312を制御するためのプログラムを実行することにより、駆動装置312に対して係止開始信号又は係止解除信号を送信する。さらに、CPU71は、倉庫システムを運用するための各種のプログラムに基づき、倉庫システムの運用を制御する。
記憶媒体72には、各パレット29に貼付された識別標識35がそれぞれ記憶されている。また、記憶媒体72には、各識別標識35に基づき、各パレット29上にそれぞれ載置された荷物9の内容を記憶している。これらにより、コンピュータ本体7aは本発明における記憶装置、出力装置、制御手段として機能する。また、作業用コンピュータ7は本発明における係止解除装置に相当する。
ディスプレイ7bには、各識別標識35の情報と、各識別標識35に基づく荷物9の内容等の情報とが表示される。キーボード7cは、ディスプレイ7b上に表示された各識別標識35及び荷物9の内容等に基づき、係止信号及び係止解除信号を送信する駆動装置312を選択可能である他、図示しない作業者が倉庫システムの運用を制御するための各種の操作を行うことが可能である。
これらの作業用コンピュータ7、係止片28係止治具31及び各識別標識35により、本発明における選択手段が構成されている。
この倉庫システムでは、以下のようにして複数の荷物9を倉庫本体1内に入庫して保管するとともに、保管された各荷物9のうち、出庫すべき選択荷物90を倉庫本体1から出庫することが可能である。
まず、荷物9を倉庫本体1内に入庫して保管する場合、作業者は待機所11において、パレット29と共に荷物9を載置台3aに載置する。また、この際、作業者は作業用コンピュータ7を操作し、駆動装置312に対して係止信号を送信する。
載置台3aに載置された荷物9は、パレット29と共にエレベータ装置3によって倉庫本体1の高さ方向に移動し、第1〜4入庫口17a〜17dのいずれかから倉庫本体1内に入庫される。ここで、この倉庫システムでは、各荷物9及びパレット29が第1〜4入庫口17a〜17dのいずれから倉庫本体1内に入庫されるかについては問題とはならず、各保管棚21a〜21dにおける各荷物9の保管状況に応じて、入庫可能な第1〜4入庫口17a〜17dが選択される。
そして、例えば、第1入庫口17aから入庫された荷物9及びパレット29は、図2に示すように、搬入通路25a上を移動する。上記のように、搬入通路25aは、第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって、下り傾斜となるように形成されているとともに、パレット29には、各ボールキャスタ33が取り付けられている。これらのため、図1に示すように、第1〜4入庫口17a〜17dから入庫された荷物9及びパレット29は、それぞれ自重によって搬入通路25a〜25d上をそれぞれ保管棚21a〜21dに向かって移動する。この際、壁面250により、搬入通路25a〜25dから荷物9やパレット29が落下することが防止されている。
例えば、搬入通路25aから保管棚21aに至った荷物9及びパレット29は、図2に示すように、保管棚21a上を移動する。ここでも、保管棚21aが第1入庫口17aから離反する方向に向かって下り傾斜となるように形成されているため、荷物9は、パレット29と共に図2の白色矢印で示すように、自重によって保管棚21a上を第1出庫口17e側に向かって移動する。この際、保管棚21aに他の荷物9が保管されていない状態では、保管棚21a上を移動する荷物9及びパレット29は、保管棚21aにおける第1出庫口17e側の端部において、壁面210と当接する。これにより、保管棚21aの最も第1出庫口17e側となる位置において、荷物9及びパレット29は停止する。一方、保管棚21aに他の荷物9が保管されている状態では、保管棚21a上を移動する荷物9及びパレット29は、既に保管されている他の荷物9と当接することにより、保管棚21a上で停止する。
また、駆動装置312に対して係止信号が送信されていることから、図3に示すように、ストッパ311が係止状態となっている。これにより、ストッパ311が係止片28に係止された状態となる。このため、保管棚21a上の荷物9及びパレット29は、搬送棚23a側に向かって移動することが不可能となる。こうして、パレット29と共に荷物9が保管棚21aに係止され、保管棚21a上で荷物9が静止する。これにより、保管棚21aに荷物9がパレット29と共に保管される。この際、保管棚21a上において、複数の荷物9及びパレット29が一列に整列した状態で保管される。また、図3に示すように、荷物9及びパレット29は、前方側に傾斜した状態で保管棚21a上に保管されることとなる。第2〜4入庫口17b〜17dから入庫し、保管棚21b〜21dに荷物9が保管される場合も同様である。こうして、荷物9がパレット29と共に倉庫本体1内に保管される。
次に、選択荷物90を倉庫本体1から出庫する場合、作業者は、ディスプレイ7bに表示された識別標識35及び荷物9の各情報に基づき、倉庫本体1内に保管された荷物9から、出庫の対象となる荷物9を選択する。この選択された荷物9が選択荷物90となる。以下、保管棚21aに保管された荷物9が選択荷物90とされた場合を例に説明する。
作業者は、ディスプレイ7bに表示された識別標識35を基に、選択荷物90が載置されたパレット29を選択する。そして、作業者はキーボード7cを操作し、作業用コンピュータ7から当該パレット29における駆動装置312に対して係止解除信号を送信する。
これにより、図5に示すように、パレット29では、ストッパ311が係止状態から係止解除状態へ揺動し、保管棚21aにおける選択荷物90及びパレット29の係止が解除される。このため、同図の実線矢印で示すように、保管棚21a上の選択荷物90は、パレット29と共に搬送棚23a側に向かって移動する。上記のように、保管棚21aは搬送棚23aに向かって下り傾斜となるように形成されているため、選択荷物90及びパレット29は、自重によって保管棚21aから搬送棚23aへ移動する。この際、壁面230により、搬送棚23aへ移動する選択荷物90等が搬送棚23aから落下することが防止されている。
搬送棚23aへ移動した選択荷物90及びパレット29は、図2の黒色矢印で示すように、搬送棚23a上を第1出庫口17eに向かって移動する。ここでも、搬送棚23aが第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって、下り傾斜となるように形成されていることから、選択荷物90及びパレット29における上記の移動は自重によって行われる。
一方、保管棚21aでは、他の保管されている荷物9及びパレット29が、移動した選択荷物90及びパレット29の隙間を埋めるように、保管棚21a上を第1出庫口17e側に向かって移動することとなる。これにより、保管棚21aでは、他の荷物9を収納可能な範囲が自動的に確保される。
また、作業者は、作業用コンピュータ7を通じて第1ゲート装置27aを操作することにより、第1出庫口17eを開放状態又は閉鎖状態に切り替える。第1出庫口17eが解放状態であれば、第1出庫口17eまで至った選択荷物90及びパレット29は、螺旋通路5bに合流する。一方、第1出庫口17eを閉鎖状態にした場合には、選択荷物90及びパレット29が螺旋通路5bに合流することが不可能となり、選択荷物90及びパレット29は、搬送棚23a上において第1出庫口17eが開放状態となるまで待機する。選択荷物90及びパレット29が螺旋通路5bに合流することにより、第1出庫口17eからの選択荷物90の出庫が完了する。搬送棚23b〜23d上における選択荷物90の出庫についても同様である。こうして、選択荷物90がパレット29と共に倉庫本体1内から出庫される。
倉庫本体1から出庫された選択荷物90及びパレット29は、螺旋通路5b上を移動する。この螺旋通路5bについても、高さ方向に対して下り傾斜となるように形成されているため、選択荷物90及びパレット29は自重によって螺旋通路5bを下端側まで移動する。そして、受取所13において作業者は、パレット29と共に選択荷物90を受け取ることが可能となる。これにより、作業者は、選択荷物90を仕向地に向けて更に搬送する等の作業を行うことが可能となる。
このように、この倉庫システムでは、第1〜4入庫口17a〜17dまでパレット29と共に荷物9を搬送すれば、その後は、スタッカークレーン等によって、荷物9を直接保管棚21a〜21dに保管したり、保管棚21a〜21dから選択荷物90を直接取り出して出庫させたりする必要がない。このため、この倉庫システムでは、荷物9の保管作業と選択荷物90の出庫作業とを別々に行うことが可能である。そして、この倉庫システムでは、保管棚21a〜21d、搬入通路25a〜25d、係止片28、係止治具31及び作業用コンピュータ7により、第1〜4入庫口17a〜17hからそれぞれ入庫された荷物9をパレット29と共に順次保管棚21a〜21dに保管できる。また、この倉庫システムでは、保管棚21a〜21dのいずれの箇所に荷物9が保管されていても、その保管位置に関係なく、識別標識35を基に作業用コンピュータ7によって、各パレット29の係止を個々に解除できる。
さらに、この倉庫システムでは、保管棚21aにおける荷物9の保管は、他の保管棚21b〜21dにおける荷物9の保管とは独立して行われる。また、保管棚21aから搬送棚23aへの選択荷物90及びパレット29の移動、ひいては、第1出庫口17eからの選択荷物90及びパレット29の出庫についても、他の保管棚21bから搬送棚23bの選択荷物90等の移動とは独立して行われる。このため、この倉庫システムによれば、複数の荷物9の入庫作業と、複数の選択荷物90の出庫作業とを同時に行うことが可能である。
そして、この倉庫システムでは、係止片28と、係止冶具31におけるストッパ311とが係合することにより、パレット29と共にパレット29上の荷物9を保管棚21a〜21dに係止によって静止させることが可能となっている。このため、この倉庫システムでは、比較的簡素な構成によって、荷物9を保管棚21a〜21dに係止することが可能となっている。さらに、係止冶具31の駆動装置312と作業用コンピュータ7とが情報伝達可能に接続されていることにより、この倉庫システムでは、作業者の遠隔操作によって、パレット29の係止とその解除とを行うことが可能となっている。
また、この倉庫システムでは、保管棚21a〜21d、搬送棚23a〜23d及び搬入通路25a〜25dがそれぞれ、第1〜4入庫口17a〜17e側から第1〜4出庫口17e〜17h側に向かって下り傾斜となるように形成されている。さらに、保管棚21a〜21dについては、それぞれ搬送棚23a〜23dに向かって下り傾斜となるように形成されている。
これらのため、この倉庫システムでは、第1〜4入庫口17a〜17dから入庫された荷物9及びパレット29について、搬入通路25a〜25d上及び保管棚21a〜21d上を移動させる当たり、専用の動力が不要となっている。また、選択荷物90及びパレット29を保管棚21a〜21dから搬送棚23a〜23dへ移動させるに当たっても、専用の動力が不要となっている。さらに、選択荷物90及びパレット29を搬送棚23a〜23dから第1〜4出庫口17e〜17hへ移動させるに当たっても、専用の動力が不要となっている。
また、この倉庫システムは、エレベータ装置3とスロープ装置5とを備えている。これにより、この倉庫システムでは、待機所11から第1〜4入庫口17a〜17dまで、荷物9と共にパレット29を容易に搬送することが可能となっている他、第1〜4出庫口17e〜17hから受取所13まで容易に選択荷物90及びパレット29を搬送することが可能となっている。
したがって、実施例1の倉庫システムによれば、効率高く荷物9の保管作業と選択荷物90の出庫作業とを行うとともに、低コスト化を実現可能である。
特に、この倉庫システムでは、第1〜4ゲート装置27a〜27dにより、第1〜4出庫口17e〜17hをそれぞれ解放状態と閉鎖状態とに切り替えることが可能となっている。これにより、この倉庫システムでは、第1〜4出庫口17e〜17hを開放状態と閉鎖状態とに切り替える時期を調整することによって、仕向地毎に複数の選択荷物90を揃えた状態で第1〜4出庫口17e〜17hからそれぞれ出庫させることが可能となっている。このため、この倉庫システムでは、出庫後の選択荷物90に対する荷送作業等が容易となっている。
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の倉庫システムでは、第1棚ユニット19aにおける保管棚21aが第1保管棚37aと第2保管棚39aとによって構成されている。これらの第1保管棚37aと第2保管棚39aとは、搬送棚23aを挟んで対向して配置されている。また、第1保管棚37a及び第2保管棚39aと搬入通路25aとの間に分岐通路41aが接続されている。この分岐通路41aには、フラッパ装置43aが設けられている。この倉庫システムでは、これらの第1保管棚37a、第2保管棚39a、搬送棚23a、搬入通路25a、分岐通路41a及びフラッパ装置43aによって第1棚ユニット19aが形成されている。図示を省略するものの、他の第2〜4棚ユニット19b〜19dについても同様である。
第1保管棚37a及び第2保管棚39aは、実施例1の倉庫システムにおける保管棚21aと同様の構成であり、第1入庫口17a側から第1出庫口17eに向かって延びる板状に形成され、それぞれの表面は平滑に形成されている。また、第1保管棚37aの周囲には壁面370が立設されており、第2保管棚39aの周囲には壁面390が立設されている。さらに、第1保管棚37a上及び第2保管棚39a上には、それぞれ係止片28が突設されている。
第1保管棚37a及び第2保管棚39aについても、それぞれ第1入庫口17aから離反する方向に向かって下り傾斜となるように形成されている。また、図7に示すように、第1保管棚37aの前方に搬送棚23a位置しており、第1保管棚37aは、搬送棚23aに向かって下り傾斜となるように形成されている。同様に、第2保管棚39aの後方に搬送棚23a位置しており、第2保管棚39aは、搬送棚23aに向かって下り傾斜となるように形成されている。
図6に示すように、分岐通路41aは、搬入通路25aから第1保管棚37a及び第2保管棚39aへなだらかに接続するように、外縁側から中央側に向かって下り傾斜となる略擂鉢状に形成されている。また、分岐通路41aについても、第1入庫口17aから離反する方向に向かって下り傾斜となるように形成されている。この分岐通路41aの周囲には壁面410が立設されている。
フラッパ装置43aは、分岐通路41aの中央に設けられている。フラッパ装置43aは、支点部材430と、支点部材430に対して揺動可能に設けられた揺動部材431とを有している。フラッパ装置43aは、揺動部材431が揺動することにより、搬入通路25aを移動した荷物9及びパレット29が合流通路41aを経て第1保管棚37aのみへ移動可能な場合と、合流通路41aを経て第2保管棚39aのみへ移動可能な場合とを切り替えることが可能となっている。このフラッパ装置43aは、図1に示す作業用コンピュータ7に情報伝達可能に接続されている。作業用コンピュータ7のROM70には、フラッパ装置43aを制御するためのプログラムが記憶されている。この倉庫システムにおける他の構成は実施例1の倉庫システムと同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
この倉庫システムでは、例えば、第1入庫口17aから荷物9及びパレット29が入庫されることにより、この荷物9及びパレット29は搬入通路25aを自重によって移動し、分岐通路41aに至る。ここで、フラッパ装置43aは作業用コンピュータ7によって制御されており、荷物9及びパレット29が第1保管棚37aのみへ移動可能な場合と、第2保管棚39aのみへ移動可能な場合とを交互に切り替える。これにより、第1入庫口17aから入庫された荷物9及びパレット29は、順次、第1保管棚37a又は第2保管棚39aへ移動する。第1保管棚37aや第2保管棚39aを移動する荷物9及びパレット29は、実施例1の倉庫システムと同様、ストッパ311が係止片28に係止されることにより、第1保管棚37a又は第2保管棚39aに保管される。この倉庫システムでは、第1保管棚37aや第2保管棚39aに保管された荷物9及びパレット29は、図7に示すように、搬送棚23aを挟んで対向した状態となる。第2〜4入庫口17b〜17dから入庫した荷物9及びパレット29についても同様である。
第1保管棚37aや第2保管棚39aに保管された荷物9が選択荷物90となった場合は、実施例1と同様に、係止が解除された選択荷物90がパレット29と共に第1保管棚37aや第2保管棚39aから搬送棚23aに移動し、第1出庫口17eから出庫される。
このように、この倉庫システムでは、第1保管棚37a及び第2保管棚39aを有することにより、実施例1の倉庫システムと比較して、より多くの荷物9を保管することが可能となっている。この倉庫システムにおける他の作用は実施例1の倉庫システムと同様である。
(実施例3)
図8に示すように、実施例3の倉庫システムでは、倉庫本体1に入庫される荷物9が普通荷物91と、移動用荷物92と、区別用荷物93とを含んでいる。なお、移動用荷物92や区別用荷物93の個数は適宜選択することが可能である。
図9の(A)に示すように、普通荷物91は、実施例1、2における荷物9と同様、自走不可能なパレット29上に載置されている。この普通荷物91が倉庫本体1に保管される主たる対象である。なお、このパレット29には、実施例1、2と同様に係止治具31と複数のボールキャスタ33とが設けられている。
同図の(B)に示すように、移動用荷物92は、パレット47上に載置されている。このパレット47には、パレット29と同様に係止治具31と複数のボールキャスタ33とが設けられている他、下面に動力装置49が設けられている。この動力装置49は、図示しないモータ等を有しており、各ボールキャスタ33に動力を伝達することが可能となっている。これにより、パレット47は、自走することが可能となっている。動力装置49は、図8に示す作業用コンピュータ7に情報伝達可能に接続されている。また、作業用コンピュータ7のROM70には、動力装置49を制御するためのプログラムが記憶されている。
図9の(C)に示すように、区別用荷物93は、普通荷物91と同様に自走不可能なパレット29上に載置されている。この区別用荷物93及び移動用荷物92は、普通荷物91と明確に判別することが可能なように、普通荷物91とは色彩を異ならせている。なお、区別用荷物93及び移動用荷物92について、普通荷物91と異なる形状としても良い。この倉庫システムにおける他の構成は実施例1の倉庫システムと同様である。
図8に示すように、この倉庫システムでは、普通荷物91、移動用荷物92及び区別用荷物93がそれぞれパレット29、47と共に倉庫本体1に入庫される。これにより、普通荷物91と共に移動用荷物92及び区別用荷物93が各保管棚21a〜21dに保管される。そして、この倉庫システムでは、普通荷物91を選択荷物90として出庫する際、選択荷物90及びパレット29の係止を解除すると共に、区別用荷物93及び区別用荷物93を載置したパレット29の係止も解除する。これにより、第1〜4出庫口17e〜17hからは、選択荷物90と区別用荷物93とがそれぞれパレット29と共に出庫され、これらは螺旋通路5b上を移動する。これにより、この倉庫システムでは、倉庫本体1から出庫された複数の選択荷物90について、区別用荷物93よりも先に出庫された選択荷物90と、区別用荷物93よりも後に出庫された選択荷物90とに明確に区別することが可能となる。このため、この倉庫システムでは、受取所13において作業者は、仕向地や目的に応じて複数の選択荷物90を容易に区別することが可能となっている。
また、この倉庫システムでも、各保管棚21a〜21d、各搬送棚23a〜23d、搬入通路25a〜25d及び螺旋通路5bにおける各傾斜を利用して普通荷物90や区別用荷物93等をパレット29と共に移動させる。このため、例えば、螺旋通路5b等において選択荷物90がスタックを生じさせる可能性がある。この場合、作業者は、作業用コンピュータ7を操作し、倉庫本体1内に保管されている少なくとも一つのパレット47における動力装置49を作動させつつ、係止解除信号を送信してパレット47の係止を解除する。これにより、移動用荷物92がパレット47と共に自走しつつ、倉庫本体1から出庫され、螺旋通路5bを走行する。そして、この移動用荷物92及びパレット47は、螺旋通路5b上でスタックした選択荷物90と接触する。こうして、移動用荷物92は、選択荷物90に対して動力を付与しつつ移動補助を行うことにより、選択荷物90のスタックを解消させることが可能となる。搬送棚23a〜23dや搬入通路25a〜25dにおいて普通荷物91や区別用荷物93にスタックが生じた場合も同様である。
これらのように、この倉庫システムでは、より効率高く荷物の保管作業と選択荷物の出庫作業とを行うことが可能であると共に、出庫後の選択荷物90に対する荷送作業等が容易となっている。この倉庫システムにおける他の作用は実施例1の倉庫システムと同様である。
(実施例4)
図10に示すように、実施例4の倉庫システムでは、実施例1の倉庫システムにおける倉庫本体1に換えて倉庫本体2を備えている。この倉庫本体2は、略区形状に形成されたハウジング18を有している。また、この倉庫システムでは、スロープ装置5が設けられていない。
ハウジング18には、高さ方向の上方となる位置に入庫口18aが形成されており、高さ方向の下方となる位置に出庫口18bが形成されている。また、ハウジング18内には、保管棚21a〜21cと、搬送棚23a〜23cと、搬入通路25aと、搬出通路51とが設けられている。
保管棚21a〜21c同士は、ハウジング18の高さ方向に層状に配置されている。また、搬送棚23a〜23c同士も、ハウジング18の高さ方向に層状に配置されている。保管棚21a、搬送棚23a及び搬入通路25aは、入庫口18a側から出庫口18b側に向かって、下り傾斜となるように形成されている。また、保管棚21b及び搬送棚23bは、出庫口18b側から入庫口18a側に向かって、下り傾斜となるように形成されている。そして、保管棚21c及び搬送棚23cは、入庫口18a側から出庫口18b側に向かって、下り傾斜となるように形成されている。
保管棚21aと保管棚21bとは、保管棚21aから保管棚21bへ荷物9及びパレット29が移動可能に配置されている。保管棚21bと保管棚21cとは、保管棚21bから保管棚21cへ荷物9及びパレット29が移動可能に配置されている。保管棚21aには、搬入通路25aが接続されており、保管棚21aと入庫口18aとが接続されている。
また、搬送棚23aと搬送棚23bとは、搬送棚23aから搬送棚23bへ選択荷物90及びパレット29が移動可能に配置されている。搬送棚23bと搬送棚23cとは、搬送棚23bから搬送棚23cへ選択荷物90及びパレット29が移動可能に配置されている。搬送棚23cには、第1ゲート装置27と搬出通路51が接続されている。搬出通路51は、出庫口18bを経て受取所13まで伸びている。この倉庫システムにおける他の構成は実施例1の倉庫システムと同様である。
この倉庫システムでは、エレベータ装置3によって荷物9がパレット29と共に入庫口18aから順次入庫される。入庫口18aから入庫された荷物9及びパレット29は、搬入通路25aを経て保管棚21aを移動する。保管棚21aを移動する荷物9及びパレット29は、保管棚21aの出庫口18b側となる端部まで至ることにより、保管棚21bへ移動する。保管棚21bを移動する荷物9及びパレット29は、保管棚21bの入庫口18a側となる端部まで至ることにより、保管棚21cへ移動する。こうして、この倉庫システムでは、下層に位置する保管棚21cから順にパレット29と共に荷物9が保管される。
保管棚21cに保管された荷物9が選択荷物90とされた場合、選択荷物90及びパレット29は、保管棚21cから搬送棚23cに移動する。一方、例えば、保管棚21aに保管された荷物9が選択荷物90とされた場合、選択荷物90及びパレット29は、保管棚21aから搬送棚23aに移動する。そして、保管棚21a〜21cを荷物9及びパレット29が移動する場合と同様、搬送棚23aの出庫口18b側となる端部まで移動した選択荷物90及びパレット29は、搬送棚23bに移動し、更に、搬送棚21bの入庫口18a側となる端部まで移動することにより、搬送棚23cに移動する。搬送棚23cを移動する選択荷物90及びパレット29は、第1ゲート装置27aを経て搬出通路51を移動し、出庫口18bから出庫されて受取所13に至ることとなる。
このように、この倉庫システムでは、構成を簡素化しつつ、多くの荷物9を容易に保管できるとともに、選択荷物90を効率良く出庫することが可能となっている。この倉庫システムにおける他の作用は実施例1の倉庫システムと同様である。
(実施例5)
図11の(A)に示すように、実施例5の倉庫システムでは、実施例1の倉庫システムにおける係止治具31を一部変更して構成している。具体的には、この倉庫システムにおける係止治具31では、ストッパ311が冶具本体310の下部において、冶具本体310の前後方向の略中央となる位置に設けられている。また、同図の(B)、(C)に示すように、この倉庫システムでは、ストッパ311の位置に応じて、保管棚21a〜21dに設けられる係止片28の位置が調整されている。この倉庫システムにおける他の構成は実施例1の倉庫システムと同様である。
図11の(B)に示すように、この倉庫システムでは、ストッパ311が係止状態となることにより、各ボールキャスタ33同士の間において、ストッパ311が係止片28に係止された状態となる。これにより、荷物9及びパレット29が保管棚21b〜21dに保管される。そして、同図の(C)に示すように、ストッパ311が係止状態から係止解除状態へ揺動することにより、保管棚21a〜21dにおける選択荷物90及びパレット29の係止が解除される。このため、同図の実線矢印で示すように、保管棚21a〜21d上の選択荷物90は、パレット29と共に搬送棚23a〜23d側に向かって移動することとなる。この倉庫システムにおける他の作用は実施例1の倉庫システムと同様である。
(実施例6)
図12の(A)に示すように、実施例5の倉庫システムでは、パレット29に換えてコンテナ53を採用している。そして、この倉庫システムでは、荷物9がコンテナ53内に収納されている。このコンテナ53が本発明における搬送部材に相当する。このコンテナ53には、パレット29と同様、ボールキャスタ33と識別標識35とが設けられている。また、このコンテナ53の後方には、クリップ装置55が取り付けられている。
クリップ装置55は、固定板550と係止板551と揺動装置552とを有している。固定板550は下端側がコンテナ53の後端側に固定されている。固定板550の上端側には揺動装置552が取り付けられている。係止板551は、固定板550と一定の間隔を設けつつ、上端側が揺動装置552に取り付けられている。揺動装置552は、図示しないモータや揺動機構等によって構成されている。この揺動装置552は、図1に示す作業用コンピュータ7に対して情報伝達可能に接続されている。
図12の(A)において破線矢印で示すように、揺動装置552は、係止板551を係止位置と係止解除位置との間で揺動させることが可能となっている。係止位置とは、同図の実線で示すように、揺動装置552に対して係止板551が上下方向に略垂直となる位置である。一方、係止解除位置とは、同図の二点鎖線で示すように、揺動装置552に対して揺動板551が前後方向に略水平となる位置である。同図の(B)に示すように、揺動板551が係止位置にある場合には、クリップ装置55では、コンテナ53と揺動板551とにより、壁面210を挟持することが可能となる。一方、同図の(C)に示すように、揺動板551が係止解除位置にある場合には、壁面210を挟持することが不可能となる。この揺動装置552が本発明における揺動部材に相当する。
この倉庫システムでは、各保管棚21a〜21dに対して、係止片28が設けられてない。そして、この倉庫システムでは、各保管棚21a〜21dにおける壁面210がクリップ装置55と共に係止装置として機能する。また、作業用コンピュータ7ROM70には、駆動装置312を制御するためのプログラムに換えて、揺動装置552を制御するためのプログラムが記憶されている。この倉庫システムにおける他の構成は、実施例1の倉庫システムと同様である。
この倉庫システムにおいて、荷物9を倉庫本体1内に入庫して保管する場合、作業者は作業用コンピュータ7を操作し、揺動装置552に対して係止信号を送信する。これにより、係止板551は係止位置に揺動する。この状態において、各荷物9をコンテナ53に収納し、エレベータ装置3によって、第1〜4入庫口17a〜17dまで搬送する。
例えば、荷物9を収納したコンテナ53が第1入庫口17aから倉庫本体1に入庫された場合、このコンテナ53は、実施例1の倉庫システムと同様、搬入通路25aに至る。この際、係止板551が係止位置にあることから、クリップ装置55は壁面250を挟持する。これにより、荷物9を収納したコンテナ53は、壁面250を案内部材として機能させつつ、搬入通路25aを自重によって移動し、保管棚21aに向かうこととなる。
保管棚21aに至った上記のコンテナ53は、搬入通路25aと同様、壁面210を案内部材として機能させつつ、保管棚21aを自重によって移動する。そして、既に保管されている他の荷物9を収納したコンテナ53に当接する等により、このコンテナ53は保管棚21a上で停止する。
この際、図12の(B)に示すように、係止板551が係止位置にあるため、係止板551が壁面210に係止される状態となる。このため、荷物9を収納したコンテナ53は、保管棚21aから搬送棚23aに向かって移動することが不可能となる。こうして、コンテナ53と共に、コンテナ53に収納された荷物9が保管棚21aに係止され、保管棚21a上で荷物9が静止する。これにより、保管棚21aに荷物9コンテナ53と共に保管される。
保管棚21aに保管された上記の荷物9が選択荷物90とされた場合、作業者は、作業用コンピュータ7から当該選択荷物90が収納されたコンテナ53における揺動装置552に対して係止解除信号を送信する。
これにより、同図の(C)に示すように、クリップ装置55では、係止板551が係止状態から係止解除状態へ揺動し、選択荷物90が収納されたコンテナ53の係止が解除される。このため、同図の実線矢印で示すように、選択荷物90が収納されたコンテナ53は、保管棚21aから搬送棚23aに向かって移動する。そして、選択荷物90が収納されたコンテナ53は、実施例1の倉庫システムと同様に、搬送棚23aから第1出庫口17eに向かって移動し、第1出庫口17eから出庫された後、スロープ装置5によって、受取所13まで搬送されることとなる。他の第2〜4入庫口17b〜17dに荷物9及びコンテナ53が入庫され、第2〜4出庫口17f〜17hから選択荷物90及びコンテナ53が出庫される場合も同様である。
このように、この倉庫システムにおいても、簡素な構成によって荷物9を保管することが可能であると共に、選択荷物90を出庫することが可能となっている。また、この倉庫システムでは、壁面210、250を案内部材として機能させることが可能であるため、荷物9を収納したコンテナ53について、搬入通路25a〜25dや保管棚21a〜21dを好適に移動させることが可能となっている。この倉庫システムにおける他の作用は実施例1の倉庫システムと同様である。
以上において、本発明を実施例1〜6に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜6に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1〜6の倉庫システムを適宜組み合わせることにより、倉庫システムを構成しても良い。
また、実施例1〜6の倉庫システムにおいて、保管棚21a〜21d、搬送棚23a〜23d及び搬入通路25a〜25dについて、それぞれ、第1〜4入庫口17a〜17d側から第1出庫口17e〜17h側まで水平となるように形成することもできる。この場合、保管棚21a〜21d、搬送棚23a〜23d及び搬入通路25a〜25dに対し、荷物9や選択荷物90の他、パレット29、47やコンテナ53を移動させるためのベルト式のコンベア装置等を設けても良い。この場合、荷物9や選択荷物90を好適に移動させることが可能となるとともに、荷物9や選択荷物90におけるスタックの発生を好適に抑制することが可能となる。このように、保管棚21a〜21d、搬送棚23a〜23d及び搬入通路25a〜25dに対してベルト式のコンベア装置等を設ける場合には、パレット29、47やコンテナ53に対してボールキャスタ33を設けなくても良い。さらに、保管棚21a〜21d、搬送棚23a〜23d及び搬入通路25a〜25dについて、実施例1等のように傾斜させつつ、更に、ベルト式のコンベア装置等を設けても良い。
また、実施例1等の倉庫システムにおいて、スロープ装置5に換えて、第1〜4出庫口17e〜17hから受取所13までエレベータ装置3によって選択荷物90及びパレット29等を搬送しても良い。
さらに、実施例1〜6の倉庫システムにおいて、荷物9やパレット29等の大きさを全て同一としているが、これに限らず、大きさの異なる荷物9やパレット29を混在させても良い。