リチウムイオン電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、液状、ゲル状又は高分子ポリマー状の電解質を持ち、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。このリチウムイオン電池は、充電時には正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物中のリチウム原子(Li)がリチウムイオン(Li+)となって負極の炭素層間に入り込み(インターカレーション)、放電時にはリチウムイオン(Li+)が炭素層間から離脱(デインターカレーション)して正極に移動し、元のリチウム化合物となることにより充放電反応が進行する電池であり、ニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池より出力電圧が高く、高エネルギー密度である上、浅い放電と再充電を繰り返すことにより見掛け上の放電容量が低下する、いわゆるメモリー効果がないという優れた特長を有している。
また、リチウムイオン電池の構成は、正極集電材/正極活性物質層/電解質層/負極活性物質層/負極集電材及び、これらを包装する外装体からなり、外装体を形成する包装材料として従来、金属をプレス加工し円筒状または直方体状等に容器化した金属製缶が用いられていた。
しかし、金属製缶は、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が限定されてしまい、ハード側を電池に合わせて設計する必要から形状の自由度がないため、近年、金属製缶に替わって多層フィルムが包装材料として用いられる傾向にある。
図4は従来の包装材料30の層構成を示す断面図であり、図4に示すように、従来の包装材料30は、少なくとも基材層31、金属箔層32、熱接着性樹脂層35で構成され、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とは接着剤層34により接着され、基材層31と金属箔層32とは接着剤層37により接着されている。
この包装材料30を袋状に加工し、内部に電池本体を収納するパウチタイプの電池用外装体、または、包装材料30をプレス加工して凹部を形成し、凹部内部に電池本体を収納するエンボスタイプの電池用外装体を作製することができる。図5は、パウチタイプの電池用外装体40を用いたリチウムイオン電池41の斜視図であり、図6は、図5に示したリチウムイオン電池41を分解して示す分解斜視図である。図5及び図6に示すように、パウチタイプの電池用外装体40を用いたリチウムイオン電池41は最内層の熱接着性樹脂層35(図4参照)同士を重ね合わせ、外装体40の周縁部であるヒートシール部40aをヒートシールして作製された電池用外装体40内部に、リチウムイオン電池本体42を密封収納して構成される。
また、図7はエンボスタイプの電池用外装体50を用いたリチウムイオン電池51の斜視図であり、図8は図7に示したリチウムイオン電池51を分解して示す分解斜視図である。図7及び図8に示すように、エンボスタイプの電池用外装体50を用いたリチウムイオン電池51はエンボス部が形成されたトレイ50tの内部にリチウムイオン電池本体52を収納し、トレイ50tとシート50sの熱接着性樹脂層35(図4参照)同士を重ね合わせヒートシール部50aをヒートシールすることにより、電池用外装体50内部にリチウムイオン電池本体52を密封収納して構成される。
なお、リチウムイオン電池本体42、52は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と(いずれも図示せず)を含むセル(蓄電部)と、セル内の正極及び負極に連結されるとともに先端が電池用外装体40、50の外部に突出する金属端子44、54から構成されている。
また、図9は従来のエンボスタイプの電池用外装体60を用いたリチウムイオン電池61の斜視図であり、図10は図9に示すリチウムイオン電池61のB−B’における断面図である。図10に示すように、外装体60は最内層の熱接着性樹脂層35同士を重ね合わせ、外装体周縁部(ヒートシール部60a)を接着して、外装体60内部にリチウムイオン電池本体62を密封収納している。しかし、第1領域60bにおいて、リチウムイオン電池61の長期間の使用又は急速な充電により、リチウムイオン電池本体62が発熱し、外装体60の最内層に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融することがある。このとき、外装体60内部に充填された電解質が溶融した熱接着性樹脂層35の一部から金属箔層32に浸透し、リチウムイオン電池61が短絡することが問題となっていた。このため、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とを接着する接着剤層34にリチウムイオン電池本体62が発熱した場合にも溶融しない一定以上の耐熱性を有する樹脂を用い、包装材料全体の耐熱性向上を図る必要があった。
また、図10に示すように、ヒートシールされた外装体60端面において、接着剤層34から水蒸気ガスが外装体60内部に透過することがある。このとき、外装体60内部に浸透した水蒸気ガスが、外装体60内部に充填された電解質と反応し、フッ化水素ガスが発生すると外装体60が膨張し破裂することが問題となっていた。このため、接着剤層34に水蒸気ガスが透過しない一定以上の水蒸気ガスバリア性を有する樹脂を用い、包装材料全体の水蒸気ガスバリア性向上を図る必要があった。
また、包装材料をプレス加工しトレイ50tを成形する際、図4に示すように、包装材料を構成する金属箔層32と熱接着性樹脂層35とは延伸性が異なるため、接着剤層34に十分な追従性がない場合、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とが剥離することが問題となっていた。このため、接着剤層34には一定以上の追従性、弾力性を有する樹脂を用い、包装材料全体の成形性向上を図る必要があった。
また、熱接着性樹脂層35から浸透した電解質により接着剤層34が経年劣化し、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とが剥離することが問題となっていた。このため、接着剤層34は一定以上の耐電解液性を有する樹脂を用い、包装材料全体の耐電解液性向上を図る必要があった。
従来、上記課題を解決するために接着剤層34には酸変性ポリオレフィン樹脂や、特許文献1に示されるポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂が用いられていた。接着剤層34に酸変性ポリオレフィン樹脂を用いた場合、酸変性ポリオレフィン樹脂は水蒸気ガスバリア性、追従性、弾力性、耐電解液性に優れるため、上記問題を解決して包装材料全体に安定した水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性を付与することができる。しかし、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は熱接着性樹脂層と融点が同程度であるため、リチウムイオン電池本体が発熱し、外装体最内層側に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融したとき、酸変性ポリオレフィン樹脂も溶融し、外装体内部に充填された電解質が金属箔層32に浸透し、リチウムイオン電池が短絡する問題が残った。
また、接着剤層34にポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂を用いた場合、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂は耐熱性に優れるため、リチウムイオン電池本体が発熱し、外装体の最内層に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融したときでも、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂は溶融し難い。このため、電解質が金属箔層32に浸透するのを接着剤層34が遮断し、リチウムイオン電池が短絡するのを防ぐことができる。しかし、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂は水蒸気ガスバリア性、耐電解液性に劣るため、包装材料全体に安定した水蒸気ガスバリア性、耐電解液性を付与することができず、上記問題を全て解決することはできなかった。
本発明は、耐熱性、耐電解液性、水蒸気ガスバリア性、成形性に優れる電気化学セル用包装材料である。本発明の電気化学セル用包装材料の一実施形態について図等を利用してさらに詳細に説明する。なお、従来例の図4〜図10と共通する部分は説明を省略する。
図1は、本実施形態の電気化学セル用包装材料10の層構成を示す断面図であり、図1を用いて本実施形態の電気化学セル用包装材料10を構成する各層について説明する。本実施形態の電気化学セル用包装材料10は各層が基材層11/接着剤層17/金属箔層12/化成処理層13/酸変性ポリオレフィン層14a/接着促進剤層18/ポリエチレンナフタレートフィルム16/接着促進剤層18/酸変性ポリオレフィン層14b/熱接着性樹脂層15の順に積層されて構成されている。ここで、積層部分最外層には基材層11、最内層には熱接着性樹脂層15、その間に金属箔層12が配され、熱接着性樹脂層15と金属箔層12の間にはポリエチレンナフタレートフィルム16が酸変性ポリオレフィン層14a、14bを介して接着している。以下、金属箔層12とポリエチレンナフタレートフィルム16との間に配された酸変性ポリオレフィン層14aを第1酸変性ポリオレフィン層14aと呼称し、熱接着性樹脂層15とポリエチレンナフタレートフィルム16との間に配された酸変性ポリオレフィン層14bを第2酸変性ポリオレフィン層14bと呼称する。なお、本発明の請求項1で記載された「酸変性ポリオレフィン層」は本実施形態における第2酸変性ポリオレフィン層14bに相当し、本発明の請求項3で記載された「酸変性ポリオレフィン層」は本実施形態における第1酸変性ポリオレフィン層14aに相当する。なお、本発明の電気化学セル用包装材料10は上記各層を含むとともに各層間に異なる層を介在させた場合も本発明の技術範囲に含むものとする。
また、図2は本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて形成されたパウチ型の外装体20内部にリチウムイオン電池本体22(図2中、不図示)を密封収納したリチウムイオン電池21の斜視図であり、図3は図2中のリチウムイオン電池21のA−A’における断面図である。図2及び図3に示すように、外装体20は金属端子24を挟持した状態で、熱接着樹脂層15同士が対向するように電化化学セル用包装材料10を重ね合わせ、金属端子24の挟持部分を含む周縁部をヒートシール(以下、ヒートシールされた部分をヒートシール部20aとする)して、外装体20内部に電解質を含むリチウムイオン電池本体22を封止する。このとき、リチウムイオン電池本体22とは、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質で構成される。このように、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は複数の層を積層して構成され、電気化学セル用包装材料10を裁断及び変形させて外装体20の形状を自由に設計することができる。
また、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は金属箔層12と熱接着性樹脂層15との間にポリエチレンナフタレートフィルム16が形成されている。図3に示すように、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20内部に収納したリチウムイオン電池本体22が発熱し、外装体20の最内層に配された熱接着性樹脂層15の一部が溶融した場合でも、ポリエチレンナフタレートフィルム16が容易に溶融しない。これにより、外装体20内部に充填された電解質が溶融した熱接着性樹脂層15の一部から金属箔層12に浸透するのをポリエチレンナフタレートフィルム16が遮断し、電解質と金属箔層12とが接触してリチウムイオン電池21が短絡するのを防ぐことができる。したがって、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は優れた耐熱性を有し、本構成の電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体20は外装体内部の発熱に対して優れた絶縁性を有する。
また、図2に示すように、外装体20はリチウムイオン電池本体22から延出する金属端子24を挟持した状態で、その挟持部分を含む周縁部(ヒートシール部20a)をヒートシールする。したがって、過充電等が原因で外装体20内部の温度が上昇したとき、金属端子24が発熱し、外装体20最内層である熱接着性樹脂層15の金属端子24挟持部分が溶融することがある。しかし、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20は、金属端子24の挟持部分において、金属箔層12とポリエチレンナフタレートフィルム16との間にポリエチレンナフタレートフィルム16が配されている。このため、金属端子24挟持部分が溶融した場合でも、ポリエチレンナフタレートフィルム16は溶融せず、金属端子24と金属箔層12とが接触するのを防ぐことができる。これにより、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20を用いるリチウムイオン電池21が短絡するのを防ぐことができ、絶縁性に優れる。
さらに、ポリエチレンナフタレートフィルム16は水蒸気透過度が低いため、図3に示すように、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20の端面から外装体20内部に浸透しようとする水蒸気を遮断し、外装体内部に収納された電解質と水蒸気の反応によるフッ化水素酸の生成を抑制することができる。
また、ポリエチレンナフタレートフィルム16は第2酸変性ポリオレフィン層14bを介して熱接着性樹脂層15と接着し、ポリエチレンナフタレートフィルム16の熱接着性樹脂層15側の面にブラスト処理16aされている。このとき、ポリエチレンナフタレートフィルム16と熱接着性樹脂15とを接着する第2酸変性ポリオレフィン層14bはポリエチレンナフタレートフィルム16及び熱接着性樹脂層15に対して安定した接着性を示すので、第2酸変性ポリオレフィン層14bにより熱接着性樹脂層15とポリエチレンナフタレートフィルム16とは強固に接着されている。また、第2酸変性ポリオレフィン層14bは水蒸気ガスバリア性、追従性、弾力性、耐電解液性にも優れるため、本実施形態の電気化学セル用包装材料10全体に安定した水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性を付与することができる。さらに、ポリエチレンナフタレートフィルム16の熱接着性樹脂層側の面がブラスト処理16aされているため、ブラスト処理されたポリエチレンナフタレートフィルム16表面は、微細な凹凸が発現し、第2酸変性ポリオレフィン層14bとの界面においてより接着性が向上する。したがって、ポリエチレンナフタレートフィルム16と熱接着性樹脂15との接着性がより安定している。
また、ポリエチレンナフタレートフィルム16は金属箔層12との間で第1酸変性ポリオレフィン層14aを介して接着している。ここで、酸変性ポリオレフィン樹脂は金属箔に対して安定した接着性を示すので、第1酸変性ポリオレフィン層14aにより金属箔層12とポリエチレンナフタレートフィルム16とも強固に接着されている。
また、本実施形態の電気化学セル用包装材料10において、図1に示すように、ポリエチレンナフタレートフィルム16は、第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bと接する両面にアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する接着促進剤層18が形成されている。これにより、ポリエチレンナフタレートフィルム16と第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bとの間の層間強度をより安定させることができる。
次に、図1に示した本実施形態の電気化学セル用包装材料10を構成する各層について具体的に説明する。最内層の熱接着性樹脂層15は、リチウム電池本体22の金属端子24(図2参照)を外側に突出した状態で挟持して熱接着する。このとき、熱接着性樹脂層15と金属端子24との間に金属接着性を有する金属端子密封用接着性フィルムを介在させるか否かで熱接着性樹脂層15を構成するプロピレンの種類は異なる。金属端子密封用接着性フィルムを介在させる場合には、プロピレン系樹脂の単体ないし混合物などからなるフィルムを用いればよいが、金属端子密封用接着性フィルムを介在させない場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂からなるフィルムを用いる必要がある。
なお、熱接着性樹脂層15としてはポリプロピレンが好適に用いられるが、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層、または、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのブレンド樹脂からなる単層または多層からなるフィルムも使用できる。また、ポリプロピレンには、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレン等各タイプに分けることができる。
また、上記各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。
また、本発明に係る熱接着性樹脂層15は上記各タイプのポリプロピレン層を適時組み合わせて多層化してもよい。
次に基材層11について説明する。基材層11は、一般に、延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
また、基材層11は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、ポリエステルフィルム又はナイロンフィルムの他、異なる材質のフィルムを積層化することも可能である。基材層11を積層体化する場合、基材層が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の厚みが6μm以上、好ましくは、6〜25μmである。基材層を積層化する例としては、図示はしないが次の1)〜7)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
2)延伸ナイロン/延伸ポリエチレンテレフタレート
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化)
なお、3)〜7)に示すように、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工とてリチウムイオン電池用の外装体20をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と基材層11との摩擦抵抗を小さくする目的あるいは電解液が付着した場合に基材層11を保護するために、基材層11を多層化、基材層表面にフッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、及びこれらのブレンド物層等の保護層(図1中、不図示)を設けることが好ましい。
また、上記延伸ポリエチレンテレフタレートの代わりに延伸ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを用いた場合にも同様の効果が得られる。また、基材層11は金属箔層12と、ドライラミネーション法等により接着剤層17を介して貼り合わされる。
次に金属箔層12について説明する。金属箔層12は、外部からリチウムイオン電池の内部に水蒸気が浸入することを防止するための層で、金属箔層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば、酸化珪素、アルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げられるが、金属箔層12として好ましくは厚さが20〜100μmのアルミニウムとする。
また、ピンホールの発生を改善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするために、金属箔層12として用いるアルミニウムの材質を、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることが望ましい。
これによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、外装体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、包装材料をエンボス成形する時に側壁を容易に形成することができる。なお、鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、包装材料として製袋性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。
すなわち焼きなましの条件は、加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定すればよい。たとえば、エンボス成形時のしわやピンホールを防止するためには、成形の程度に応じて焼きなましされた軟質アルミニウムを用いることができる。
また、金属箔層12であるアルミニウムの表、裏面に化成処理を施し化成処理層13を形成することによって、接着剤との接着強度を向上させることができる。
次にこの化成処理層13について説明する。図1に示すように、化成処理層13は少なくとも金属箔層12の熱接着性樹脂層15側の面に形成するものである。化成処理層13は第1酸変性ポリオレフィン層14aと金属箔層12とを安定的に接着し、金属箔層12と熱接着性樹脂層15のデラミネーションを防止することができる。また、化成処理層13は金属箔層12の腐食を防止する働きも有る。
具体的には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによってエンボス成形時の金属箔層12と第1酸変性ポリオレフィン層14aとの間のデラミネーション防止と、リチウムイオン電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性を向上させることができる。
化成処理層13は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により金属箔層12面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にアミノ化フェノール重合体、3価クロム化合物、リン化合物、を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。
また、化成処理層13の形成方法としては、処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を選択して成形すればよい。また、化成処理層13を形成する前に金属箔層12表面に、予め、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、化成処理層13の機能を最大限に発現させるとともに、長期間維持することができる点から好ましい。
次に第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bについて説明する。第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bはそれぞれ金属箔層12とポリエチレンナフタレートフィルム16及び熱接着性樹脂層15とポリエチレンナフタレートフィルム16とを接着するために設ける層であり、第2酸変性ポリオレフィン層14bは熱接着性樹脂層15に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要がある。第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bには、酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることができ、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等であり、必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよいものである。
また、第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bは酸変性ポリプロピレンを用いることで、耐電解質性、接着強度に優れた外装体20を提供することができる。
酸変性ポリプロピレンを用いる場合、
(1)ビガット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ、
(2)ビガット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物等を用いることができる。
また、第1酸変性ポリオレフィン層14aの代わりにフッ素系接着剤を用いて金属箔層12とポリエチレンナフタレートフィルム16とをドライラミネーション法により接着させることができる。ここで、フッ素系接着剤とはフッ素系樹脂で構成される接着剤であり、水蒸気透過性をサーマルラミネーション法と同程度に抑えることができるため、生産性よく耐電解液性、耐腐食性等の物性において優れた積層体を提供することができる。
フッ素系接着剤は、水酸基を含有するフッ素含有共重合体と該フッ素含有共重合体と反応する硬化剤とにより形成される層である。水酸基を含有するフッ素含有共重合体としては、有機溶剤可溶性で分子中に架橋部位を有するものであり、架橋部位としてはアルコール性水酸基(OH基)などである。
このようなフッ素含有共重合体としては、たとえば、
1)式:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるフルオロオレフィン単量体、
2)式:CH2=CR(CH2)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体、
3)式:CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2又は−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体、および、
4)架橋性官能基を有さず、かつ、前記単量体1)、2)、3)と共重合し得る他の単量体から導かれるフッ素含有共重合体を挙げることができる。
フルオロオレフィン単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等を挙げることができる。また、β−メチル置換α−オレフィン単量体としては、例えば、イソブチレン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。また、水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル等を挙げることができる。
また、フルオロオレフィン単量体、β−メチル置換α−オレフィン単量体、水酸基含有単量体と共重合し得る他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,(イソ)酪酸ビニル,カプロン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,キサフルオロプロピオン酸ビニル,リフルオロ酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、マレイン酸又はフマル酸ジメチル,ジエチル,ジプロピル,ジブチル,ジトリフルオロメチル,ジトリフルオロメチル,ジヘキサフルオロプロピルなどのマレイン酸又はフマル酸のジエステル、メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,n−プロピルビニルエーテル,iso−ブチルビニルエーテル,tert−ブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル,シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等の芳香族基を有するビニルエーテル類、あるいは、パーフルオロエチルビニルエーテル,パーフルオロプロピルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル類等の他に、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸、スチレン等を挙げることができる。
水酸基を有するフッ素含有共重合体は、上記式1)〜4)の単量体を乳化重合、溶液重合、懸濁重合等の周知の方法で共重合することにより得ることができる。水酸基を有するフッ素含有共重合体はGPCで測定する数平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは、3,000〜100,000のものが用いられる。
また、硬化剤としては、架橋部位である水酸基との反応性の高い有機ポリイソシアネート化合物が適当であり、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、および、これらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類等を挙げることができる。
このような水酸基を含有するフッ素含有共重合体と硬化剤とを反応させてフッ素系樹脂で構成されるフッ素系接着剤を形成する。例えば、フッ素含有共重合体を溶媒に溶解し、該フッ素含有共重合体中の水酸基(−OH基)1当量に対して0.3当量以上、好ましくは0.5〜2.0当量となるように上記硬化剤を添加するのが適当である。0.3当量未満の場合はラミネート強度が得られず、また、2.0当量超の場合は未反応のイソシアネート基が多量に残存し、ラミネート強度が低下する恐れがある。
次に、ポリエチレンナフタレートフィルム16について説明する。ポリエチレンナフタレートフィルム16は、ポリエチレンテレフタレートフィルムや外装体の熱接着性樹脂層15を形成する一般ポリオレフィン系樹脂や第1、第2酸変性ポリオレフィン層14a、14bを形成する酸変性ポリオレフィン樹脂と比べて融点・ガラス転移点が高く水蒸気ガスバリア性に優れる。ポリエチレンテレフタレートフィルム16の厚さとしては、6μm以上であり、好ましくは12〜25μmである。6μm未満では短絡の虞があり、25μm超ではコスト対効果(短絡防止効果)において顕著な向上効果が見られない。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム16の表面には必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の周知の易接着手段を講じることができるが、本実施形態に係るポリエチレンナフタレートフィルム16は熱接着性樹脂層15側の面にブラスト処理16aが施されている。
ブラスト処理16aは固体の微細な粒子と液体を均一に混ぜた混合液を噴射ノズルから高速に噴射して、ポリエチレンナフタレートフィルム16表面に微細な凹凸が発現させるウェットブラスト処理により行なうことができる。ウェットブラスト処理により、ポリエチレンナフタレートフィルム16の耐熱性樹脂としての機能を劣化させることなく、表面のみに微細な凸凹加工を施すことにより、接着力を向上させることができる。
次に、接着促進剤層18について説明する。接着促進剤層18はポリエチレンナフタレートフィルム16と第1、第2酸変性ポリオレフィン層14a、14bとを強固に接着する目的で設けるものであり、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系等の周知の接着促進剤を用いることができるが、実験の結果では、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものがラミネート強度に優れ、かつ、電解液浸漬後のラミネート強度の低下が少なかった。
特にトリイソシアネートモノマーであるトリフェニルメタン−4,4',4"−トリイソシアネートやポリメリックMDIであるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有率が約30%、粘度が200〜700mPa・s)からなる接着促進剤を用いた場合に最も良好な結果を得ることができた。次いで、同じくトリイソシアネートモノマーであるトリス(p−イソシアネートフェニル)チオフォスフェイトや、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤が良好な結果を示すものであった。
接着促進剤層18の形成は、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布法で塗布・乾燥することにより形成することができ、塗布量としては、トリイソシアネートからなる接着促進剤の場合は、20〜100mg/m2、好ましくは40〜60mg/m2であり、ポリメリックMDIからなる接着促進剤の場合は、40〜150mg/m2、好ましくは60〜100mg/m2であり、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤の場合は、5〜50mg/m2、好ましくは10〜30mg/m2である。なお、トリイソシアネートモノマーは、1分子中にイソシアネート基を3個持つモノマーであり、ポリメリックMDIは、MDIおよびMDIが重合したMDIオリゴマーの混合物であり、下記式(1)で示されるものである。
また、接着促進剤層18としては、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する接着促進剤を用いて形成することもでき、形成方法としては、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布法で塗布・焼付けすることにより形成することができる。まず、アミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、下記式(2)、(3)、(4)、(5)で表される繰返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。
下記式(2)〜(5)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、下記式(2)〜(5)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
また、下記式(2)、(4)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して下記式(2)ないし(4)で表される繰返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R1R2NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR1R2)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する接着促進剤を用いて形成する接着促進剤層18としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5〜約150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け)するのが適当である。さらに、図1に示す積層構成とした後に第1酸変性ポリオレフィン層14a、第2酸変性ポリオレフィン層14bを構成する樹脂の軟化点を超える温度で後加熱処理を行なうと著しく層間接着強度を向上させることができる。
また、前記の各層には、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理をしてもよい。
次に本実施形態の電気化学セル用包装材料10の積層方法について具体的に説明する。例えば、図1に示される本実施形態の電気化学セル用包装材料10は、まず金属箔層12であるアルミニウムの両面に化成処理を施し化成処理層13を形成し、一方の面にドライラミネート法により接着剤(接着剤層17)を用いて基材層11となる延伸ポリエステルフィルムを積層する。次に化成処理層13が形成されたもう一方の面にエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂(第1酸変性ポリオレフィン層14a)を溶融押出しする。次に酸変性ポリプロピレン樹脂の上からポリエチレンナフタレートフィルム16を貼り合わせる。このとき、ポリエチレンナフタレートフィルム16は片面にのみブラスト処理16aが施され、第1酸変性ポリオレフィン層14aとの界面にはブラスト処理16aが施されていない面を配して貼り合わせる。またポリエチレンナフタレートフィルム16の両面にはイソシアネート系の接着促進剤層18を予め形成しておく。次に、ポリエチレンナフタレートフィルム16のブラスト処理16aが施された面の上から酸変性ポリプロピレン樹脂(第2酸変性ポリオレフィン層14b)を溶融押出しする。次に、溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂(第2酸変性ポリオレフィン層14b)を後加熱してポリプロピレンフィルムを貼り合わせ熱接着性樹脂層15を形成する。なお、熱接着性樹脂層15はポリプロピレンフィルムを貼り合わせる以外にも滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を第2酸変性ポリオレフィン層14b上に溶融押出して形成することもできる。上記積層方法によると、金属箔層12と熱接着性樹脂層15の間に第1酸変性ポリオレフィン層14a/ポリエチレンナフタレートフィルム16/第2酸変性ポリオレフィン層14bから構成される積層部分を配し、これら各層を安定して積層することができる。そして、耐熱性、耐電解液性、水蒸気ガスバリア性、成形性に優れる電気化学セル用包装材料を作製することができる。また、上記積層方法において、第1酸変性ポリオレフィン層14aの代わりにフッ素系接着剤を用いて金属箔層12とポリエチレンナフタレートフィルム16とをドライラミネーション法により接着しても耐熱性、耐電解液性、水蒸気ガスバリア性、成形性に優れる電気化学セル用包装材料を作製することができる。
以下、本発明の作用及び効果について、実施例を用いて具体的に説明する。実施例1は、電気化学セル用包装材料の、水蒸気ガスバリア性、耐電解液ラミネート強度、ヒートシール時の短絡発生および成形性について評価したものである。
[包装材料のサンプル作製]
金属箔層となるアルミニウムの両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、基材層となる延伸ナイロンフィルムを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせ第1積層体を作製した。次に、片面にのみブラスト処理が施されたポリエチレンナフタレートフィルムのブラスト処理されていない面を前記第1積層体のアルミニウム箔面と対向させ、溶融押出しした酸変性ポリプロピレン樹脂によりラミネートした。その後、ポリエチレンナフタレートフィルムのブラスト処理が施された面の上に接着促進剤を塗布して乾燥させた後、酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出するとともに、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出し、さらに160℃に加熱し、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/接着促進剤/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される本発明1にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、本発明1にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは118nmであった。
なお、本実施例において、化成処理層には、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる処理液をロールコート法により塗布し、皮膜温度が150℃以上となる条件において焼付けた。ここで、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/接着促進剤/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される本発明2にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、本発明2にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは212nmであった。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/接着促進剤/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される本発明3にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、本発明3にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは325nmであった。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、アルミニウムの化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出ししてポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせる代わりに、フッ素系接着剤を介してドライラミネート法によりアルミニウムの化成処理面とポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせ、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/フッ素系接着剤(厚さ4μm)/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される本発明4にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、ポリエチレンナフタレートフィルムのフッ素系接着剤が接着する面に接着促進剤を塗布せず、酸変性ポリプロピレン樹脂側の界面にブラスト処理が施された面を配した。また、本発明4にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは118nmであった。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、アルミニウムの化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出ししてポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせる代わりに、フッ素系接着剤を介してドライラミネート法によりアルミニウムの化成処理面とポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせ、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/フッ素系接着剤(厚さ4μm)/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される本発明5にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、ポリエチレンナフタレートフィルムのフッ素系接着剤が接着する面に接着促進剤を塗布せず、酸変性ポリプロピレン樹脂側の界面にブラスト処理が施された面を配した。また、本発明5にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは212nmであった。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、アルミニウムの化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出ししてポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせる代わりに、フッ素系接着剤を介してドライラミネート法によりアルミニウムの化成処理面とポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせ、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/フッ素系接着剤(厚さ4μm)/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される本発明6にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、ポリエチレンナフタレートフィルムのフッ素系接着剤が接着する面に接着促進剤を塗布せず、酸変性ポリプロピレン樹脂側の界面にブラスト処理が施された面を配した。また、本発明6にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは325nmであった。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/接着促進剤/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される比較例1にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、比較例1にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムにブラスト処理は施されていない。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、ポリエチレンナフタレートフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/接着促進剤/ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される比較例2にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、比較例2にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンテレフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは118nmであった。
次に、金属箔層となるアルミニウムの両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、基材層となる延伸ナイロンフィルムを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせ、もう一方の化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出して、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ36μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ36μm)から構成される比較例3にかかる電気化学セル用包装材料を得た。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、アルミニウムの化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出ししてポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせる代わりに、フッ素系接着剤を介してドライラミネート法によりアルミニウムの化成処理面とポリエチレンナフタレートフィルムを貼り合わせ、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/フッ素系接着剤(厚さ4μm)/ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される比較例4にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、ポリエチレンナフタレートフィルムのフッ素系接着剤が接着する面に接着促進剤を塗布しなかった。また、比較例4にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムにブラスト処理は施されていない。
次に、上記本発明1で得られた包装材料の積層方法において、ポリエチレンナフタレートフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、アルミニウムの化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出ししてポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせる代わりに、フッ素系接着剤を介してドライラミネート法によりアルミニウムの化成処理面とポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/フッ素系接着剤(厚さ4μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着促進剤/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される比較例5にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムのフッ素系接着剤が接着する面に接着促進剤を塗布せず、酸変性ポリプロピレン樹脂側の界面にブラスト処理が施された面を配した。また、比較例5にかかる電気化学セル用包装材料ではポリエチレンナフタレートフィルムに施されたブラスト処理面の中心線表面粗さRaは212nmであった。
次に、金属箔層となるアルミニウムの両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、基材層となる延伸ナイロンフィルムを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせ、もう一方の化成処理面に酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出して、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)/ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)から構成される比較例6にかかる電気化学セル用包装材料を得た。
[耐電解液ラミネート強度の測定による評価]
次に、上記作製した各包装材料を60mm(MD方向)×150mm(TD方向)に裁断しTD方向に2つ折りにし、対向する2辺を加熱及び加圧により熱接着し(シール条件:シール温度190℃、面圧1.0MPa、シール時間3秒)、折り返し辺と対向する辺が開口するパウチを形成した。次に、開口部から3gの電解液(6フッ化リン酸リチウムを混合液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液)に溶解し、1mol/Lの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの)を注入し、開口部を7mm幅で熱接着(シール条件:シール温度190℃、面圧1.0MPa、シール時間3秒)した。次に開口部を上向きにして60℃の恒温槽に168時間保存した。
次に、上記保存前の各サンプルと保存後の各サンプルを恒温層から取り出して電解液を捨てた後、折り返し部を15mm巾の短冊状に切り取り、積層された電気化学セル用包装材料の最内層である熱接着性樹脂層とアルミニウム間を引張り機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))で50mm/分の速度で引張り、ラミネート強度を測定しこの値を耐電解液ラミネート強度とした。なお、単位はN/15mm巾である。以上、本発明1〜6及び比較例1〜6の電気化学セル用包装材料について測定した耐電解液ラミネート強度を表1に示す。なお、保存前の各サンプルの耐電解液ラミネート強度については表1内で0時間後のデータとする。
表1から明らかなように本発明1〜3にかかる電気化学セル用包装材料は比較例1に係る電気化学セル用包装材料と比較して耐電解液ラミネート強度の著しい低下がみられなかった。また、本発明4〜6にかかる電気化学セル用包装材料は比較例4に係る電気化学セル用包装材料と比較して耐電解液ラミネート強度の著しい低下がみられなかった。このことから、ブラスト処理したポリエチレンナフタレートフィルムを用いることにより、ブラスト処理していないポリエチレンナフタレートフィルムを用いた場合と比較して、電気化学セル用包装材料の経時的耐電解液ラミネート強度の低下を抑えることができることがわかった。
[ヒートシール時の短絡発生の評価]
次に、上記作製した各包装材料を60mm(MD方向)×150mm(TD方向)に裁断しTD方向に2つ折りにし、ニッケルタブ(幅4mm×長さ80mm×厚さ70μm)を挟持した。次に、テスターの正極端子をニッケルタブにセットし、負極端子を包装材を構成するアルミニウムにセットした。次に、正極端子および負極端子間に電圧25Vを印加し、ニッケルタブを挟持した部分を含み、ニッケルタブの長さ方向と垂直な方向に7mm幅でシール温度190℃、シール圧1.0MPaでそれぞれシールを行い、ニッケルタブとアルミニウム間の絶縁性が低下し短絡が発生する抵抗値が1000MΩ以下になる時間(以下、絶縁性破壊時間(秒)とする)をそれぞれ測定し、下記の表2にまとめた。
表2から明らかなように融点の高いポリエチレンナフタレートフィルムを含む本発明1〜6にかかる電気化学セル用包装材料は、ポリエチレンナフタレートフィルムを含まない比較例3と比較例6にかかる電気化学セル用包装材料と比較して、ヒートシール時に短絡が発生し難いことがわかった。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。