以下、図面を参照して、本発明の綴じ装置の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の綴じ装置の構成例>
図1及び図2は、第1の実施の形態の綴じ装置の一例を示す構成図である。ここで、図1は、綴じ装置1Aの内部構成を示し、図2は、綴じ装置1Aの外観構成を示す。
第1の実施の形態の綴じ装置1Aは、シート束10を移動させることによるシート束10と片2との相対移動で、片2の一部をシート束10に貼着して片2を予備整形する構成で、図1及び図2に示すように、ベース部11と、ベース部11に対して回転可能に設けられるハンドル部12を備える。また、綴じ装置1Aは、綴じ対象のシート束10を挟持して移動する挟持部20Aと、挟持部20Aとの協働で片2を整形して、片2でシート束10を綴じる綴じ部40と、挟持部20Aとの協働でテープ5を送る片送り部の一例としての送り部50を備える。
ハンドル部12は操作部材の一例で、ベース部11の一方の端部側に設けられた軸支持部11mに、ハンドル部12の一方の端部側に設けられた軸12mが係合される。これにより、ハンドル部12は、一方の端部側が軸12mを支点として回転可能にベース部11に取り付けられ、他方の端部側が自由端となる。
綴じ装置1Aは、ハンドル部12の自由端側が操作されることで、ハンドル部12が軸12mを支点に回転し、このハンドル部12が回転する動作が、後述するように綴じ部40に伝達されて、綴じ部40が作動する。
ここで、綴じ装置1Aは、机等に載置して使用する形態が想定され、以下の説明では、ベース部11が設けられる側を、下面、下側、下方等、上下方向の下と定義し、ハンドル部12が設けられる側を、上面、上側、上方等、上下方向の上と定義する。また、ハンドル部12の自由端側を、前面、前側、前方等、前後方向の前と定義し、軸12mが設けられる側を、後面、後ろ側、後方等、前後方向の後と定義する。
ベース部11は、挟持部20Aを移動可能に支持する移動支持部11nと、テープ5のロール体7が収納されたカセット8が着脱可能に装着されるカセット収納部11pを備える。
移動支持部11nは、ハンドル部12の自由端側と対向してベース部11の前方上面側に設けられ、矢印F及び矢印R方向への挟持部20Aの移動をガイドする前後方向に沿って設けられた溝部で構成される。カセット収納部11pは、ベース部11の後方側に、本例ではハンドル部12の軸12mの位置に合わせて設けられる。
図3は、挟持部の一例を示す斜視図、図4は、挟持部の一例を示す平面図で、次に、各図を参照して挟持部20Aについて説明する。挟持部20Aは載置手段の一例で、ベース部11の前方上面に、移動支持部11nによって前後方向へ移動可能に取り付けられ、ハンドル部12の自由端側の下方に位置し、シート束10が挿抜される挿抜位置と、綴じ部40の下方に位置し、シート束10が片2で綴じられる綴じ位置との間を移動可能に構成される。
挟持部20Aは、綴じ対象物であるシート束10が載置されるトレイ23と、トレイ23に対して回転可能に取り付けられ、回転動作でシート束10をトレイ23に押さえ付ける押さえ部材24を備える。
尚、挟持部20Aは、後述するように、シート束10に片2を巻き付ける動作の一部に関わることから、片貼着手段を構成する。また、挟持部20Aは、テープ5を送る動作の一部に関わることから、搬送手段を構成する。
トレイ23は、ベース部11の形状に合わせて本例では矩形平板状の形状で構成され、シート束10が載置される載置部23aと、ベース部11の移動支持部11nに係合される係合ガイド部23bを備える。係合ガイド部23bは、載置部23aの下面から下方に突出する形状で、ベース部11の移動支持部11nに係合される。これにより、挟持部20Aは、係合ガイド部23bが移動支持部11nにガイドされて、挿抜位置と綴じ位置との間の移動が可能となる。
また、挟持部20Aは、載置部23aの後方側の端部に、押さえ部材24を回転可能に支持する回転軸23cが設けられる。更に、載置部23aの後端側には、幅方向略中央に、矩形状をなす切欠部23dが設けられている。切欠部23dは、挟持部20Aが綴じ位置に移動すると、シート束10を綴じる片2及び綴じ部40の後述する抜き刃44等が進入可能な開口を、片2の貼着位置を避けて載置部23aに設けて構成される。
挟持部20Aは、剥離紙4を保持する保持爪23eを備える。保持爪23eは搬送手段の一例で、剥離紙4の搬送経路に対向して係合ガイド部23bに設けられ、挟持部20Aの移動で矢印F及び矢印R方向に移動する。保持爪23eは、剥離紙4が引き出される搬送方向において、上流側に設けられた軸23fを支点とした回転動作で回転可能に構成され、バネ23gで剥離紙4方向に付勢される。
保持爪23eは、挟持部20Aを挿抜位置から綴じ位置に移動させる動作で矢印R方向に移動すると、バネ23gに抗して軸23fを支点に矢印G1方向に回転し、剥離紙4の搬送経路から退避する。これにより、剥離紙4の係合孔6とは係合せず、挟持部20Aを挿抜位置から綴じ位置に移動させる動作で、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
一方、保持爪23eは、挟持部20Aを綴じ位置から挿抜位置に移動させる動作で矢印F方向に移動すると、バネ23gの力で軸23fを支点に矢印G2方向に回転し、剥離紙4の搬送経路に突出する。これにより、保持爪23eが剥離紙4の係合孔6と係合し、挟持部20Aを綴じ位置から挿抜位置に移動させる動作で、テープ5及び剥離紙4が引き出される。
トレイ23は、シート束10の角部10cを片2で綴じる角綴じと称す動作で、シート束10の角部10cを、所定の第1の位置Pq1に合わせる第1の位置合わせ部23hを備える。
また、トレイ23は、シート束10の辺部10aを片2で綴じる平綴じと称す動作で、シート束10の辺部10aを、所定の第2の位置Pq2に合わせる第2の位置合わせ部23iを備える。更に、トレイ23は、回転軸23cを支持する支持部23jを備える。
シート束10は、トレイ23と押さえ部材24で挟持部20Aに挟持され、挟持部20Aの動作で矢印F及び矢印Rで示す前後方向へ移動し、矢印R方向への移動で片2が巻き付けられる。
角綴じ動作では、シート束10は、図4に破線で示すように、矢印F及び矢印Rで示す移動方向に対し、面に沿って略45°傾けられた角綴じ向きと称す状態で載置部23aに載置される。
第1の位置合わせ部23hは第1の位置合わせ手段の一例で、図4に破線で示す角綴じ向きでシート束10が載置部23aに載置された場合、シート束10の角部10cが入る部位で構成される。
平綴じ動作では、シート束10は、図4に一点鎖線で示すように、矢印F及び矢印Rで示す移動方向に対し、辺部10aが直交する平綴じ向きと称す状態で載置部23aに載置される。
第2の位置合わせ部23iは第2の位置合わせ手段の一例で、図4に一点鎖線で示す平綴じ向きでシート束10が載置部23aに載置された場合、シート束10の辺部10aが突き当てられる部位で構成される。
支持部23jは、載置部23aの後方側の端部から上方へ突出した形態で、切欠部23dの左右両側に設けられる。本例では、第1の位置合わせ部23hは、切欠部23dの左右両側に設けられる支持部23j及び支持部23jの間の空間で構成され、第2の位置合わせ部23iは、支持部23jで構成される。
挟持部20Aは、図4に破線で示すように、シート束10が角綴じ向きで載置部23aに載置された場合、第1の位置合わせ部23hを構成する支持部23jの間の空間にシート束10の角部10cが入り、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1に合わせられる。
また、挟持部20Aは、図4に一点鎖線で示すように、シート束10が平綴じ向きで載置部23aに載置された場合、辺部10aが第2の位置合わせ部23iを構成する支持部23jに突き当てられ、シート束10の辺部10aが第2の位置Pq2に合わせられる。
押さえ部材24は、後端側が回転軸23cにより支持部23jに回転可能に支持され、トレイ23に対して矢印H1及び矢印H2方向に回転して、トレイ23の前方側を開閉する。
押さえ部材24は、回転軸23cを支点とした矢印H2方向への回転動作で、トレイ23の前方側を開いた開放位置に移動する。挟持部20Aは、押さえ部材24が開放位置へ移動すると、載置部23aへのシート束10の載置及び載置部23aからのシート束10の取り出しが可能である。
また、押さえ部材24は、回転軸23cを支点とした矢印H1方向への回転動作で、トレイ23の前方側を閉じた挟持位置に移動する。挟持部20Aは、押さえ部材24が挟持位置へ移動すると、載置部23aに載置されたシート束10が、押さえ部材24とトレイ23で挟持される。
押さえ部材24は、弾性を有する材質で構成され、前方側を基端とした弾性片24bが一体で設けられる。
弾性片24bは、載置部23aの切欠部23dの左右両側に位置するように、押さえ部材24から2本の部材が突出する形態で設けられ、後端側が自由端となってトレイ23側に折曲している。そして、弾性片24bは、後端がトレイ23に当接し、押さえ部材24の全体を持ち上げた状態として、押さえ部材24を開放位置で保持する。
また、弾性片24bは、載置部23aにシート束10が載置されると、シート束10の厚さに応じて押し上げられて弾性変形し、シート束10を保持する。更に、弾性片24bは、押さえ部材24が挟持位置に移動すると、更に弾性変形して、押さえ部材24とトレイ23でシート束10を挟持する。
押さえ部材24は、シート束10の角部10cを折り返す折り曲げ部24cを備える。折り曲げ部24cは折り曲げ手段の一例で、トレイ23方向に所定の高さで突出する凸部を、押さえ部材24の回転軸23c側の部位で、シート束10の移動経路で待機する片2の両側を通過可能な左右の2か所に設けて構成される。
折り曲げ部24cは、回転軸23cを支点とした押さえ部材24の回転動作で、トレイ23に対して離接する方向に移動する。また、折り曲げ部24cは、押さえ部材24が挟持位置に回転した状態では、折り曲げ部24cの先端が、第1の位置Pq1と第2の位置Pq2の間で載置部23aより下方に突出する高さを有する。
これにより、シート束10を角綴じ向きで載置部23aに載置し、シート束10の角部10cを第1の位置Pq1に合わせて、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、折り曲げ部24cがシート束10を押圧する。押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、押さえ部材24とトレイ23によりシート束10が挟持される。また、シート束10の移動方向と直交する向きの折り目が付けられるように、シート束10の角部10cが折り曲げられる。シート束10の角部10cに折り目を付ける動作では、後述するシート束10の矢印R方向への移動により片2をシート束10に巻き付ける動作によって、角部10cを折り返すことが可能な所定の予備折り曲げ角度となるように、シート束10の角部10cが折り曲げられる。このように、シート束10を挟持する挟持部20Aを利用して、トレイ23、押さえ部材24及び折り曲げ部24cを用いてシート束10の角部10cを折り返すようにすることで、新たな部品を追加したり、新たな操作を追加して行うことなく、シート束10の角部10cを折り曲げられる。
これに対し、シート束10を平綴じ向きで載置部23aに載置し、シート束10の辺部10aを第2の位置Pq2に合わせて、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、折り曲げ部24cはシート束10に当接しない状態で、押さえ部材24とトレイ23によりシート束10が挟持される。
図5は、抜き刃の駆動機構を示す斜視図で、次に、各図を参照して、ハンドル部12の操作で綴じ部40及び抜き刃44を動作させる機構について説明する。
綴じ部40は、ハンドル部12の内側下面に設けられる駆動部材41を備える。また、綴じ部40は、駆動部材41の変位で上下方向に移動するガイドレバー42と、シート束10を綴じる片2を押圧する押圧レバー43と、シート束10を貫通する抜き刃44を部品配設部27に備える。
部品配設部27は、ベース部11と一体的に設けられ、挟持部20Aの移動経路に、綴じ位置へ移動する挟持部20Aが進入する進入溝28が設けられる。また、部品配設部27とベース部11は、剥離紙4から剥離された片2を待機させる片待機部28aが、進入溝28に挿入される挟持部20Aで挟持されたシート束10の移動経路に設けられる。進入溝28は、ベース部11と部品配設部27との間に離間して設けられた開口であり、挟持部20Aが進入することで、押さえ部材24をトレイ23に対して近接する矢印H1方向に押圧し、シート束10をトレイ23と押さえ部材24との間で挟持して保持する。挟持部20Aと進入溝28及び押圧レバー43は、挟持部20Aを移動させることによるシート束10と片2との相対移動で、片2をシート束10に貼着して片2を予備整形する片貼着手段を構成する。
綴じ部40は、押圧レバー43と抜き刃44が、進入溝28の上方に設けられ、ハンドル部12の動きを抜き刃44及びガイドレバー42を介して押圧レバー43に伝達する駆動部材41に第1のガイド孔41aと第2のガイド孔41bを備える。第1のガイド孔41aは、長孔に形成され、ガイドレバー42の凸部42aが係合される。第2のガイド孔41bは、長孔に形成され。抜き刃44が取り付けられた図5に示す取付部材49の凸部49aが係合される。
ハンドル部12の自由端側が操作されることで、ハンドル部12が軸12mを支点に回転すると、駆動部材41の第1のガイド孔41a及び第2のガイド孔41bの位置が上下方向に変位する。これにより、ハンドル部12が回転する動作で、ガイドレバー42を上下方向に直線移動させる。また、抜き刃44を上下方向に直線移動させる。
ガイドレバー42は、部品配設部27にガイドされて、上下方向に移動可能に設けられる。ガイドレバー42には、コイルバネ45等の弾性部材が巻挿される。コイルバネ45は、ハンドル部12の所謂リターンバネを構成し、部品配設部27の受け部46により下端部がベース部11で受けられる。また、コイルバネ45は、駆動部材41の第1のガイド孔41aに係合されたガイドレバー42の凸部42aにより、上端部がハンドル部12で受けられる。
これにより、ハンドル部12は、コイルバネ45によって、ベース部11から離間する矢印U方向に付勢される。また、ハンドル部12が矢印D方向に押されることで、コイルバネ45が収縮すると共に、ガイドレバー42が矢印D方向に直線移動する。ここで、第1のガイド孔41aを長穴形状とすることで、変位の軌跡が軸12mを中心とした円弧形状となる第1のガイド孔41aに沿って凸部42aが移動可能となり、凸部42aの変位の軌跡が円弧形状とならずにガイドレバー42が直線移動する。
押圧レバー43は、ガイドレバー42の前方側に設けられる。押圧レバー43は、シート束10に片2を押圧して貼着する押圧部43aを備える。押圧レバー43は、コイルバネ等の弾性体でなる押圧バネ47が巻挿されている。押圧バネ47は、一端が押圧部43aに係止され、他端がガイドレバー42と連動して移動する移動部材48に係止される。
抜き刃44は、押圧レバー43の前方側に設けられる。抜き刃44は、図5に示すように、刃部44aの上方近傍に、片2が挿通される挿通孔44bが形成される。抜き刃44は、取付部材49に取り付けられており、この取付部材49は、ガイドレバー42に接続されている。
抜き刃44は、ハンドル部12が操作されていない待機位置にある状態では、先端の刃部44aが進入溝28から下方に突出せず、ハンドル部12が矢印U方向に押されると、押圧レバー43の押圧部43aに押圧されているシート束10に貫通するように、刃部44aの高さ及び移動量が設定されている。
抜き刃44は、図5に示すように、取付部材49の左右の側方に凸部49aが突出し、各凸部49aが、駆動部材41の第2のガイド孔41bに係合されている。ここで、第2のガイド孔41bを長穴形状とすることで、変位の軌跡が軸12mを中心とした円弧形状となる第2のガイド孔41bに沿って凸部49aが移動可能となり、凸部49aの変位の軌跡が円弧形状とならずに抜き刃44が直線移動する。
以上のような綴じ部40は、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印D方向への回転動作で、駆動部材41の第2のガイド孔41bによって抜き刃44を駆動する凸部49aが押圧され、抜き刃44が矢印D方向に移動する。これにより、抜き刃44がシート束10を貫通する動作が行われる。
また、ハンドル部12が矢印U方向に押し上げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、駆動部材41の第2のガイド孔41bによって抜き刃44を駆動する凸部49aが押し上げられ、抜き刃44が矢印U方向に移動する。これにより、シート束10に貫通した抜き刃44が引き抜かれる動作が行われる。この抜き刃44が引き抜かれる動作では、後述するように、抜き刃44で保持した片2が、抜き刃44と連なって、シート束10の表面側に引き抜かれる動作が行われる。
次に、綴じ部40の一部を構成する押圧ローラ56について説明する。押圧ローラ56は、抜き刃44の前方側に設けられる。押圧ローラ56は、コイルバネ57等の弾性部材によって下方に付勢され、挟持部20Aが綴じ位置と挿抜位置との間を移動する動作で、シート束10を綴じた片2を押圧する。
次に、送り部50について説明する。送り部50は搬送手段の一例で、ベース部11に取り付けられ、挟持部20Aの動作で搬送される片2が剥離される前のテープ5及び片2が剥離された剥離紙4の搬送路51を構成する。
送り部50は、テープ5の搬送経路を第1の方向である上方に向ける第1のローラ52aと、第1のローラ52aの下流側で、テープ5の搬送経路を第2の方向である水平方向より下方に向ける第2のローラ52bを備え、屈曲した搬送経路を構成する。また、送り部50は、剥離紙4を保持する係止爪52cと、係止爪52cで保持された剥離紙4を退避させる退避部52dを備える。
送り部50は、第2のローラ52bで搬送経路を鋭角状に屈曲させることで、片2の剛性を利用してテープ5から片2を剥離させる剥離部52eを構成する。送り部50では、カセット収納部11pに収納されたカセット8から引き出されたテープ5が、第1のローラ52aにガイドされて上側に向けて搬送される。次いで、テープ5は、第2のローラ52bにガイドされて、鋭角状に折曲される。剥離紙4が剥離部52eで鋭角状に折曲されることで、剥離紙4に仮着されている片2のみが上方に直進し、片2は、折れ曲がることなく真っ直ぐな状態で、剥離紙4から半分程度剥離された状態となる。剥離紙4から剥離された片2は、図4に示す粘着層3を、挟持部20Aに挟まれて進入してくるシート束10側にして、シート束10を待ち受ける状態となる。第2のローラ52bより下流側の剥離紙4は、ベース部11の前方側へと搬送されて排出される。
係止爪52cは、第2のローラ52bの下流側に設けられ、前方に傾斜した形態で搬送路51に突出し、剥離紙4の係合孔6と係合する。退避部52dは、係止爪52cと対向する位置に、剥離紙4が入る空間を設けて構成される。
挟持部20Aを挿抜位置から綴じ位置に移動させることで、保持爪23eが矢印R方向に移動する動作で、テープ5及び剥離紙4に逆送りされる方向の力が加えられると、係止爪52cが剥離紙4の係合孔6と係合し、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
一方、挟持部20Aを綴じ位置から挿抜位置に移動させることで、保持爪23eが矢印F方向に移動する動作で、テープ5及び剥離紙4に順送りされる方向の力が加えられると、剥離紙4の係合孔6が係止爪52cから外れ、剥離紙4が退避部52dに入り、テープ5及び剥離紙4の順方向への搬送が可能となる。剥離紙4を搬送する力が加わらなくなると、剥離紙4の係合孔6が係止爪52cに係合する。
送り部50は、軸50aを支点とした回転動作でベース部11に対して開閉可能に構成され、第2のローラ52b及び係止爪52cが送り部50に設けられ、第1のローラ52aがベース部11に設けられる。これにより、送り部50をベース部11に対して開くことで、第2のローラ52b及び係止爪52cが搬送経路から退避して搬送路51が露出し、テープ5及び剥離紙4の着脱が容易に行える。
<第1の実施の形態の綴じ装置の動作例>
図6及び図7は、第1の実施の形態の綴じ装置において片でシート束の角部を綴じる動作の一例の概要を示す説明図、図8〜図13は、第1の実施の形態の綴じ装置を用いて片でシート束の角部を綴じる動作の一例を示す説明図であり、次に、各図を参照して、第1の実施の形態の綴じ装置1Aで片2によりシート束10の角部10cを綴じる角綴じ動作の一例について説明する。
綴じ装置1Aは、図1に示す待機状態では、ハンドル部12は操作されておらず、抜き刃44が進入溝28の上方の待機位置に退避している。また、挟持部20Aは、押さえ部材24が矢印H2方向に回転して、トレイ23に対して開いた状態となって、挿抜位置Pp1に位置する。
更に、片2は、剥離紙4から半分程度剥離した部分が片待機部28aに突出し、図6(a)に示すように、挟持部20Aで挟持されて挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2へと移動するシート束10の移動経路で待機する。
このような待機状態の綴じ装置1Aにおいて、図6(a)及び図8に示すように、シート束10が図7(a)に示す角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに置かれると、押さえ部材24及び弾性片24bが、シート束10の厚さに応じて弾性変形し、弾性片24bによって載置部23aに仮押さえされる。また、シート束10は、図4に破線で示すように、角綴じ向きで載置部23aに載置されると、第1の位置合わせ部23hを構成する支持部23jの間の空間にシート束10の角部10cが入り、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1に合わせられる。
図9に示すシート束10の保持状態では、押さえ部材24が作業者により矢印H1方向に押されることで、押さえ部材24が回転軸23cを支点に矢印H1方向に回転し、押さえ部材24及び弾性片24bが更に弾性変形する。押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、押さえ部材24とトレイ23間で、弾性片24bによってシート束10が保持される。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された場合、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、図6(b)に示すように、折り曲げ部24cがシート束10の角部10cの近傍を押圧し、図7(b)に示すように、シート束10の移動方向と交差する向きの折り目が付けられる。本実施の形態では、直交する向きの折り目10dが付けられて、シート束10の角部10cが折り曲げられる。シート束10の角部10cに折り目10dを付ける動作では、所定の予備折り曲げ角度となるように、シート束10の角部10cが折り曲げられる。予備折り曲げ角度は、本例では90°程度である。
図10に示す片2が予備整形される状態では、シート束10が保持された挟持部20Aが作業者により矢印Rに押されることにより、シート束10が挿抜位置Pp1から矢印R方向に移動する。
折り曲げ部24cは、シート束10の移動経路で待機する片2の両側を通過可能な左右の2か所に設けられるので、シート束10が挿抜位置Pp1から移動する動作で、片2と折り曲げ部24cが接することはなく、折り曲げ部24cがシート束10の移動の妨げになることはない。
角綴じ動作では、片待機部28aで待機している片2にシート束10の折り目10dが接する。シート束10が更に矢印R方向に移動すると、折り目10dで角部10cが所定の予備折り曲げ角度に折り曲げられたシート束10及びシート束10に押された片2が、押圧レバー43を押し上げて、折り目10dの側から押圧部43aと進入溝28との間に入る。
そして、挟持部20Aの動作でシート束10が綴じ位置Pp2まで移動すると、図6(c)及び図7(c)に示すように、シート束10の折り目10dが更に折り曲げられて、角部10cが裏面側に折り返された形態の折り返し部10eが形成される。また、片2は、一方の端部側が、シート束10の折り返し部10eと、押圧レバー43の押圧部43a及び進入溝28の形状に合わせて予備整形され、シート束10の折り返し部10eに巻き付けられると共に、剥離紙4から剥離される。
シート束10が保持された挟持部20Aが挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2まで移動する動作では、テープ5及び剥離紙4に逆送りされる方向の力が加えられ、係止爪52cが剥離紙4の係合孔6と係合する。また、保持爪23eがバネ23gに抗して軸23fを支点に矢印G1方向に回転し、剥離紙4の搬送経路から退避する。これにより、保持爪23eが剥離紙4の係合孔6とは係合せず、挟持部20Aを挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2に移動させる動作で、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
図11に示すシート束10が抜き刃44で穿孔される状態では、ハンドル部12がコイルバネ45の付勢力に抗して矢印D方向に押し下げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印D方向への回転動作で、駆動部材41の第1のガイド孔41aによってガイドレバー42の凸部42aが押圧され、ガイドレバー42が矢印D方向に移動する。
ガイドレバー42が矢印D方向に移動すると、ガイドレバー42で移動部材48が押圧され、押圧バネ47を介して押圧レバー43が押圧されて、押圧レバー43が矢印D方向に移動する。これにより、挟持部20Aで保持されて綴じ位置Pp2に移動したシート束10が、押圧レバー43の押圧部43aで押圧され、予備整形された片2において、押圧レバー43の押圧部43a及び進入溝28に挟まれる部位が、シート束10の表面及び裏面に貼着される。
また、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印D方向への回転動作で、駆動部材41の第2のガイド孔41bによって抜き刃44を駆動する凸部49aが押圧され、抜き刃44が矢印D方向に移動する。
そして、ハンドル部12が下死点に到達するまで押し下げられると、押圧レバー43でシート束10を押圧した状態で、図6(d)に示すように、抜き刃44がシート束10の折り返し部10eの近傍で、折り返された角部10cが重なっていない部位を貫通して貫通孔10bが形成される。抜き刃44がシート束10を貫通すると、抜き刃44の挿通孔44bに、片2においてシート束10に貼着されておらず、シート束10の裏面側で自由端となっている部位である他方の端部側が進入する。
図12に示す片2をシート束10に挿通させる状態では、ハンドル部12を押す力が弱まる等により、ハンドル部12を押圧する力が、コイルバネ45の復元力より弱くなると、復元しようとするコイルバネ45の力で、ガイドレバー42の凸部42aを介して駆動部材41の第1のガイド孔41aが押圧され、ハンドル部12が矢印U方向に押し上げられる。
ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、ガイドレバー42が矢印U方向に移動すると、押圧バネ47を介して押圧レバー43が押し上げられて、押圧レバー43が矢印U方向に移動し、シート束10の押圧が解放される。
また、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、駆動部材41の第2のガイド孔41bによって抜き刃44を駆動する凸部49aが押し上げられ、抜き刃44が矢印U方向に移動する。そして、図6(e)に示すように、抜き刃44の戻り動作、即ち、シート束10に貫通した抜き刃44が引き抜かれる動作で、挿通孔44bに挿通した片2の自由端が抜き刃44と連なって、貫通孔10bを通りシート束10の表面側に引き抜かれる。
図13に示す片2を本整形してシート束10を取り出す状態では、ハンドル部12が上死点まで押し上げられて待機位置まで戻った後、シート束10を保持している挟持部20Aを矢印F方向へ移動させる。挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1へ移動する動作で、図6(f)に示すように、シート束10を挿通した片2が、シート束10と押圧ローラ56との間に挟まれる。そして、片2が押圧ローラ56でシート束10に押圧されることで、片2は、図7(d)に示すように、シート束10に貼り付けられて本整形される。
挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1まで移動する動作では、保持爪23eが矢印F方向に移動することで、バネ23gの力で軸23fを支点に矢印G2方向に回転し、剥離紙4の搬送経路に突出する。これにより、保持爪23eが剥離紙4の係合孔6と係合し、剥離紙4を矢印F方向に移動させる力が加えられる。剥離紙4を矢印F方向に移動させる力が加えられると、剥離紙4の係合孔6が係止爪52cから外れ、剥離紙4が退避部52dに入る。
これにより、挟持部20Aを綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1に移動させる動作で、テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出される。挟持部20Aが停止して、剥離紙4を移動させる力が加わらなくなると、剥離紙4の係合孔6が係止爪52cに係合する。テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出されると、次の片2が、剥離紙4から半分程度剥離した部分が片待機部28aに突出する。
挟持部20Aを挿抜位置Pp1まで移動させた後、押さえ部材24を回転軸23cを支点に矢印H2方向に回転させ、押さえ部材24を開くことで、シート束10をトレイ23から取り出すことが可能となる。
図14及び図15は、片でシート束の辺部を綴じる動作の概要を示す説明図であり、次に、各図を参照して、第1の実施の形態の綴じ装置1Aで片2によりシート束10の辺部10aを綴じる平綴じ動作について説明する。詳しくは、シート束10の折り目10dと、シート束10の一の面及び他の面である上下面と、貫通孔10bにより形成される面の4面に巻き付く形態で片2を貼着させる片貼着手段の動作について説明する。
図1に示す待機状態の綴じ装置1Aにおいて、図14(a)に示すように、シート束10が図15(a)に示す平綴じ向きでトレイ23の載置部23aに置かれると、押さえ部材24及び弾性片24bが、シート束10の厚さに応じて弾性変形し、弾性片24bによって載置部23aに仮押さえされる。また、シート束10は、図4に一点鎖線で示すように、平綴じ向きで載置部23aに載置されると、辺部10aが第2の位置合わせ部23iを構成する支持部23jに突き当てられ、シート束10の辺部10aが第2の位置Pq2に合わせられる。
シート束10が平綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された状態で、押さえ部材24が作業者により矢印H1方向に押されると、押さえ部材24が回転軸23cを支点に矢印H1方向に回転し、押さえ部材24及び弾性片24bが更に弾性変形する。押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、押さえ部材24とトレイ23間で、弾性片24bによってシート束10が保持される。
シート束10が平綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された場合、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、図14(b)に示すように、折り曲げ部24cがシート束10に接しない。これにより、シート束10は辺部10aが折り曲げられない。
シート束10が保持された挟持部20Aが作業者により矢印Rに押されると、シート束10が挿抜位置Pp1から矢印R方向に移動する。平綴じ動作では、片待機部28aで待機している片2にシート束10の辺部10aが接する。シート束10が更に矢印R方向に移動すると、シート束10及びシート束10に押された片2が、押圧レバー43を押し上げて、押圧部43aと進入溝28との間に入る。
そして、挟持部20Aの動作でシート束10が綴じ位置Pp2まで移動すると、図14(c)及び図15(b)に示すように、片2は、一方の端部側が、シート束10の辺部10aと、押圧レバー43の押圧部43a及び進入溝28の形状に合わせて予備整形され、シート束10の辺部10aに巻き付けられると共に、剥離紙4から剥離される。
シート束10が保持された挟持部20Aが挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
シート束10を綴じ位置Pp2に移動させた後、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、挟持部20Aで保持されて綴じ位置Pp2に移動したシート束10が、押圧レバー43の押圧部43aで押圧される。これにより、予備整形された片2において、押圧レバー43の押圧部43a及び進入溝28に挟まれる部位が、シート束10の表面及び裏面に貼着される。
また、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、抜き刃44が矢印D方向に移動する。そして、ハンドル部12が下死点に到達するまで押し下げられると、押圧レバー43でシート束10を押圧した状態で、図14(d)に示すように、抜き刃44がシート束10を貫通して貫通孔10bが形成される。抜き刃44がシート束10を貫通すると、抜き刃44の挿通孔44bに、片2においてシート束10に貼着されておらず、シート束10の裏面側で自由端となっている部位である他方の端部側が進入する。
シート束10を貫通した抜き刃44で片2を保持した状態から、ハンドル部12が矢印U方向に押し上げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、シート束10の押圧が解放される。
また、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、抜き刃44が矢印U方向に移動する。そして、図14(e)に示すように、シート束10に貫通した抜き刃44が引き抜かれる動作で、挿通孔44bに挿通した片2の自由端が抜き刃44と連なって、シート束10の表面側に引き抜かれる。
ハンドル部12が待機位置まで戻った後、シート束10を保持している挟持部20Aを矢印F方向へ移動させる。挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1へ移動する動作で、図14(f)に示すように、シート束10を挿通した片2が、シート束10と押圧ローラ56との間に挟まれる。そして、片2が押圧ローラ56でシート束10に押圧されることで、片2は、図15(c)に示すように、シート束10に貼り付けられて本整形される。
挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出される。テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出されると、次の片2が、剥離紙4から半分程度剥離した部分が片待機部28aに突出する。
挟持部20Aを挿抜位置Pp1まで移動させた後、押さえ部材24を回転軸23cを支点に矢印H2方向に回転させ、押さえ部材24を開くことで、シート束10をトレイ23から取り出すことが可能となる。
第1の実施の形態の綴じ装置1Aでは、シート束10を挟持部20Aのトレイ23に載置する向きで、角綴じ動作と平綴じ動作を選択して行える。角綴じ動作では、押さえ部材24によりシート束10を挟持する動作と、シート束10を挟持した挟持部20Aを挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2へ移動させる動作で、角部10cを折り返して折り返し部10eが形成される
これにより、シート束10の移動で片2がシート束10に巻き付けられる動作で、シート束10は、折り返し部10eの折り目10dが片2に押し付けられるので、シート束10の角部10cが潰れるような変形をすることがない。従って、片2でシート束の角綴じが可能となる。
また、角綴じ動作では、シート束10の上下面と、折り目10dで形成されるシート束10の端部の面と、シート束10の貫通孔10bにより形成される面の4面に巻き付く形態で片2が貼着されることで、綴じ強度が向上する。更に、平綴じ動作でも、シート束10の上下面と、シート束10の辺部10aにより形成される面と、シート束10の貫通孔10bにより形成される面の4面に巻き付く形態で片2が貼着されることで、綴じ強度が向上する。
<第1の実施の形態の綴じ装置における角綴じ動作の変形例>
図16及び図17は、片でシート束の角部を綴じる動作の変形例の概要を示す説明図であり、次に、各図を参照して、第1の実施の形態の綴じ装置1Aで片2によりシート束10の角部10cを綴じる角綴じ動作の変形例について説明する。詳しくは、シート束10の一の面及び他の面である上下面と、貫通孔10bにより形成される面の3面に巻き付く形態で片2を貼着させる片貼着手段の動作について説明する。
待機状態の綴じ装置1Aでは、片2は、剥離紙4から剥離した部分が、シート束10の移動経路に対し、シート束10の一の面である下面側には接することが可能で、シート束10の他の面である上面側には突出しない程度の位置で片待機部28aに突出する。
待機状態の綴じ装置1Aにおいて、図16(a)に示すように、シート束10が図17(a)に示す角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに置かれると、押さえ部材24及び弾性片24bが、シート束10の厚さに応じて弾性変形し、弾性片24bによって載置部23aに仮押さえされる。また、シート束10は、図4に破線で示すように、角綴じ向きで載置部23aに載置されると、第1の位置合わせ部23hを構成する支持部23jの間の空間にシート束10の角部10cが入り、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1に合わせられる。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された状態で、押さえ部材24が作業者により矢印H1方向に押されると、押さえ部材24が回転軸23cを支点に矢印H1方向に回転し、押さえ部材24及び弾性片24bが更に弾性変形する。押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、押さえ部材24とトレイ23間で、弾性片24bによってシート束10が保持される。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された場合、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、図16(b)に示すように、折り曲げ部24cがシート束10の角部10cの近傍を押圧し、図17(b)に示すように、シート束10の移動方向と直交する向きの折り目10dが付けられて、シート束10の角部10cが所定の予備折り曲げ角度で折り曲げられる。
シート束10が保持された挟持部20Aが作業者により矢印Rに押されると、シート束10が挿抜位置Pp1から矢印R方向に移動する。角綴じ動作では、片待機部28aで待機している片2にシート束10の折り目10dが接する。シート束10が更に矢印R方向に移動すると、折り目10dで角部10cが所定の予備折り曲げ角度に折り曲げられたシート束10及びシート束10に押された片2が、押圧レバー43を押し上げて、折り目10dの側から押圧部43aと進入溝28との間に入る。
そして、挟持部20Aの動作でシート束10が綴じ位置Pp2まで移動すると、図16(c)及び図17(c)に示すように、シート束10の折り目10dが更に折り曲げられて、角部10cが裏面側に折り返された形態の折り返し部10eが形成される。また、片2は、シート束10の折り目10dが更に折り曲げられる過程で、一方の端部側が、シート束10の表面側に突出せずに角部10cに接して貼着され、シート束10の裏面側で進入溝28とシート束10の間に入ると共に、剥離紙4から剥離される。
シート束10が保持された挟持部20Aが挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
シート束10を綴じ位置Pp2に移動させた後、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、挟持部20Aで保持されて綴じ位置Pp2に移動したシート束10が、押圧レバー43の押圧部43aで押圧される。これにより、片2において、進入溝28に挟まれる部位が、シート束10の裏面に貼着される。
また、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、抜き刃44が矢印D方向に移動する。そして、ハンドル部12が下死点に到達するまで押し下げられると、押圧レバー43でシート束10を押圧した状態で、図16(d)に示すように、抜き刃44がシート束10を貫通して貫通孔10bが形成される。抜き刃44がシート束10を貫通すると、抜き刃44の挿通孔44bに、片2においてシート束10に貼着されておらず、シート束10の裏面側で自由端となっている部位である他方の端部側が進入する。
シート束10を貫通した抜き刃44で片2を保持した状態から、ハンドル部12が矢印U方向に押し上げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、シート束10の押圧が解放される。
また、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、抜き刃44が矢印U方向に移動する。そして、図16(e)に示すように、シート束10に貫通した抜き刃44が引き抜かれる動作で、挿通孔44bに挿通した片2の自由端が抜き刃44と連なって、シート束10の表面側に引き抜かれる。
ハンドル部12が待機位置まで戻った後、シート束10を保持している挟持部20Aを矢印F方向へ移動させる。挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1へ移動する動作で、図16(f)に示すように、シート束10を挿通した片2が、シート束10と押圧ローラ56との間に挟まれる。そして、片2が押圧ローラ56でシート束10に押圧されることで、片2は、図17(d)に示すように、シート束10に貼り付けられて本整形される。
挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出される。テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出されると、次の片2が、剥離紙4から半分程度剥離した部分が片待機部28aに突出する。
挟持部20Aを挿抜位置Pp1まで移動させた後、押さえ部材24を回転軸23cを支点に矢印H2方向に回転させ、押さえ部材24を開くことで、シート束10をトレイ23から取り出すことが可能となる。
角綴じ動作では、シート束10は、複数枚のシートが重ねられた状態で、角部10cが折り返されて折り返し部10eが形成されることで、折り目10dで形成されるシート束10の端部に片2を巻き付ける形態としなくても、シート束10がばらけにくい。
そこで、第1の実施の形態の綴じ装置1Aの変形例では、シート束10の上下面と、シート束10の貫通孔10bにより形成される面の3面に巻き付く形態で片2が貼着される。これにより、綴じ強度を低下させることなく、短い長さの片2を用いてシート束10を綴じることが可能である。
<第1の実施の形態の綴じ装置における挟持部の変形例>
図18は、挟持部の変形例を示す斜視図、図19は、挟持部の変形例を示す平面図で、次に、各図を参照して、第1の実施の形態の綴じ装置1Aにおける挟持部の変形例について説明する。なお、図1〜図17で説明した綴じ装置1Aと同等の構成については、同じ番号を付して説明する。
押さえ部材24は、シート束10の角部を折り曲げる折り曲げ部24dを備える。折り曲げ部24dは折り曲げ手段の一例で、トレイ23方向に所定の高さで突出する凸部を、押さえ部材24の回転軸23c側の部位で、シート束10の移動方向と直交する方向の中央付近の1か所に設けて構成される。
折り曲げ部24dは、回転軸23cを支点とした押さえ部材24の回転動作で、トレイ23に対して離接する方向に移動する。また、折り曲げ部24dは、押さえ部材24が挟持位置に回転した状態では、折り曲げ部24dの先端が、第1の位置Pq1と第2の位置Pq2の間で載置部23aより下方に突出する高さを有する。
これにより、シート束10を角綴じ向きで載置部23aに載置し、シート束10の角部10cを第1の位置Pq1に合わせて、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、折り曲げ部24dがシート束10を押圧する。押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、押さえ部材24とトレイ23によりシート束10が挟持される。また、シート束10の移動方向と直交する向きの折り目10dが付けられ、折り目10dが所定の予備折り曲げ角度となるように、シート束10の角部10cが折り曲げられる。
図20及び図21は、片でシート束の角部を綴じる動作の他の変形例の概要を示す説明図であり、次に、各図を参照して、第1の実施の形態の綴じ装置1Aで片2によりシート束10の角部10cを綴じる角綴じ動作の他の変形例について説明する。
待機状態の綴じ装置1Aでは、片2は、剥離紙4から剥離した部分が、シート束10の移動経路に対し、シート束10の一の面である下面側には接することが可能で、シート束10の他の面である上面側には突出しない程度の位置で片待機部28aに突出する。
待機状態の綴じ装置1Aにおいて、図20(a)に示すように、シート束10が図21(a)に示す角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに置かれると、押さえ部材24及び弾性片24bが、シート束10の厚さに応じて弾性変形し、弾性片24bによって載置部23aに仮押さえされる。また、シート束10は、図19に破線で示すように、角綴じ向きで載置部23aに載置されると、第1の位置合わせ部23hを構成する支持部23jの間の空間にシート束10の角部10cが入り、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1に合わせられる。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された状態で、押さえ部材24が作業者により矢印H1方向に押されると、押さえ部材24が回転軸23cを支点に矢印H1方向に回転し、押さえ部材24及び弾性片24bが更に弾性変形する。押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、押さえ部材24とトレイ23間で、弾性片24bによってシート束10が保持される。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された場合、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、図20(b)に示すように、折り曲げ部24dがシート束10の角部10cの近傍を押圧し、図21(b)に示すように、シート束10の移動方向と直交する向きの折り目10dが付けられて、シート束10の角部10cが所定の予備折り曲げ角度で折り曲げられる。
シート束10が保持された挟持部20Aが作業者により矢印Rに押されると、シート束10が挿抜位置Pp1から矢印R方向に移動する。シート束10が矢印R方向に移動する過程で、挟持部20Aは、折り曲げ部24dが押圧ローラ56を実線で示す状態から破線で示す位置に押し上げて通過する。
角綴じ動作では、片待機部28aで待機している片2にシート束10の折り目10dが接する。シート束10が更に矢印R方向に移動すると、折り目10dで角部10cが所定の予備折り曲げ角度に折り曲げられたシート束10及びシート束10に押された片2が、押圧レバー43を押し上げて、折り目10dの側から押圧部43aと進入溝28との間に入る。
そして、挟持部20Aの動作でシート束10が綴じ位置Pp2まで移動すると、図20(c)及び図21(c)に示すように、シート束10の折り目10dが更に折り曲げられて、角部10cが裏面側に折り返された形態の折り返し部10eが形成される。また、片2は、シート束10の折り目10dが更に折り曲げられる過程で、一方の端部側が、シート束10の表面側に突出せずに角部10cに接して貼着され、シート束10の裏面側で進入溝28とシート束10の間に入ると共に、剥離紙4から剥離される。
シート束10が保持された挟持部20Aが挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
シート束10を綴じ位置Pp2に移動させた後、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、挟持部20Aで保持されて綴じ位置Pp2に移動したシート束10が、押圧レバー43の押圧部43aで押圧される。これにより、片2において、進入溝28に挟まれる部位が、シート束10の裏面に貼着される。
また、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、抜き刃44が矢印D方向に移動する。そして、ハンドル部12が下死点に到達するまで押し下げられると、押圧レバー43でシート束10を押圧した状態で、図20(d)に示すように、抜き刃44がシート束10を貫通して貫通孔10bが形成される。抜き刃44がシート束10を貫通すると、抜き刃44の挿通孔44bに、片2においてシート束10に貼着されておらず、シート束10の裏面側で自由端となっている部位である他方の端部側が進入する。
シート束10を貫通した抜き刃44で片2を保持した状態から、ハンドル部12が矢印U方向に押し上げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、シート束10の押圧が解放される。
また、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、抜き刃44が矢印U方向に移動する。そして、図20(e)に示すように、シート束10に貫通した抜き刃44が引き抜かれる動作で、挿通孔44bに挿通した片2の自由端が抜き刃44と連なって、シート束10の表面側に引き抜かれる。
ハンドル部12が待機位置まで戻った後、シート束10を保持している挟持部20Aを矢印F方向へ移動させる。挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1へ移動する動作で、図20(f)に示すように、シート束10を挿通した片2が、シート束10と押圧ローラ56との間に挟まれる。そして、片2が押圧ローラ56でシート束10に押圧されることで、片2は、図21(d)に示すように、シート束10に貼り付けられて本整形される。
挟持部20Aが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出される。テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出されると、次の片2が、剥離紙4から半分程度剥離した部分が片待機部28aに突出する。
挟持部20Aを挿抜位置Pp1まで移動させた後、押さえ部材24を回転軸23cを支点に矢印H2方向に回転させ、押さえ部材24を開くことで、シート束10をトレイ23から取り出すことが可能となる。
角綴じ動作では、シート束10の上下面と、シート束10の貫通孔10bにより形成される面の3面に巻き付く形態で片2を貼着させることで、綴じ強度を低下させることなく、片2を用いてシート束10を綴じることが可能である。
これにより、挟持部20Aにおいて、折り曲げ部24dがシート束10の移動方向と直交する方向の中央付近の1か所に設けられることで、シート束10の表面側に片2を貼着することができない構成であっても、角綴じ動作で片2を用いてシート束10を綴じることが可能である。
<第2の実施の形態の綴じ装置の構成例>
図22は、第2の実施の形態の綴じ装置の一例を示す構成図、図23は、第2の実施の形態の挟持部を構成する押さえ部材の一例を示す斜視図、図24は、第2の実施の形態の挟持部の一例を示す平面図で、次に、各図を参照して、第2の実施の形態の綴じ装置について、挟持部20Bの構成を主に説明する。なお、以下の説明では、第1の実施の形態の綴じ装置1Aと同等の構成については、同じ番号を付して説明する。
第2の実施の形態の綴じ装置1Bは、ベース部11と、ベース部11に対して回転可能に設けられるハンドル部12を備える。また、綴じ装置1Bは、綴じ対象物であるシート束10を挟持して、シート束10の角部10cを折り返すと共に、シート束10を挟持して移動する挟持部20Bを備える。更に、綴じ装置1Bは、挟持部20Bとの協働で片2を整形して、片2でシート束10を綴じる綴じ部40と、挟持部20Aとの協働でテープ5を送る片送り部の一例としての送り部50を備える。
挟持部20Bは載置手段の一例で、ベース部11の前方上面に、移動支持部11nによって前後方向へ移動可能に取り付けられ、シート束10が挿抜される挿抜位置と、シート束10が片2で綴じられる綴じ位置との間を移動可能に構成される。
挟持部20Bは、シート束10が載置されるトレイ23と、トレイ23に対して回転可能に取り付けられ、回転動作でシート束10の角部10cを折り返すと共に、シート束10をトレイ23に押さえ付ける押さえ部材24aを備える。
シート束10は、トレイ23と押さえ部材24aで挟持部20Bに挟持され、挟持部20Bの動作で矢印F及び矢印Rで示す前後方向へ移動し、矢印R方向への移動で片2が巻き付けられる。
挟持部20Bは、シート束10が載置される載置部23aをトレイ23の上面に備える。また、挟持部20Bは、ベース部11の移動支持部11nに移動可能に係合され、挟持部20Bの移動をガイドする係合ガイド部23bをトレイ23の下面に備える。更に、挟持部20Bは、押さえ部材24を回転可能に支持する回転軸23cをトレイ23の後方側に備える。また、挟持部20Bは、片2及び抜き刃44が進入可能な切欠部23dをトレイ23に備える。
また、挟持部20Bは、テープ5を送る機構として、剥離紙4を保持する保持爪23eと、保持爪23eの回転動作の支点となる軸23fと、保持爪23eを剥離紙4方向に付勢するバネ23gを備える。
シート束10の角部10cを片2で綴じる角綴じ動作では、シート束10は、図24に破線で示すように、矢印F及び矢印Rで示す移動方向に対し、面に沿って略45°傾けられた角綴じ向きで載置部23aに載置される。
挟持部20Bは、角綴じ動作では、シート束10の角部10cを所定の第1の位置Pq1に合わせる第1の位置合わせ部24eを、押さえ部材24aに備える。
シート束10の辺部10aを片2で綴じる平綴じ動作では、シート束10は、図24に一点鎖線で示すように、矢印F及び矢印Rで示す移動方向に対し、辺部10aが直交する平綴じ向きで載置部23aに載置される。
挟持部20Bは、平綴じ動作では、シート束10の辺部10aを所定の第2の位置Pq2に合わせる第2の位置合わせ部23iを、トレイ23に備える。
押さえ部材24aは、トレイ23に設けた支持部23jに、後端側が回転軸23cによって回転可能に支持され、トレイ23に対して矢印H1及び矢印H2方向に回転して、トレイ23の前方側を開閉する。
押さえ部材24aは、回転軸23cを支点とした矢印H2方向への回転動作で、トレイ23の前方側を開いた開放位置に移動する。挟持部20Bは、押さえ部材24aが開放位置へ移動すると、載置部23aへのシート束10の載置及び載置部23aからのシート束10の取り出しが可能である。
また、押さえ部材24は、回転軸23cを支点とした矢印H1方向への回転動作で、トレイ23の前方側を閉じた挟持位置に移動する。
挟持部20Bは、押さえ部材24aが開放位置へ移動すると、載置部23aにシート束10を載置する動作で、角部10cが第1の位置合わせ部24eへ誘導されるように、トレイ23と押さえ部材24aの成す角が鈍角に設定される。
第1の位置合わせ部24eは第1の位置合わせ手段の一例で、角綴じ動作を行うため、図24に破線で示す角綴じ向きでシート束10が載置部23aに載置された場合に、シート束10の角部10cが突き当てられる部位を、押さえ部材24の回転軸23cで支持される側に設けて構成される。第1の位置合わせ部24eは、押さえ部材24aの回転軸23cを支点とした回転動作で変位する。
第2の位置合わせ部23iは第2の位置合わせ手段の一例で、図24に一点鎖線で示す平綴じ向きでシート束10が載置部23aに載置された場合、シート束10の辺部10aが突き当てられる部位で構成される。
支持部23jは、載置部23aの後方側の端部から上方へ突出した形態で、切欠部23dの左右両側に設けられ、本例では、第2の位置合わせ部23iが支持部23jで構成される。
挟持部20Bは、図24に破線で示すように、シート束10が角綴じ向きで載置部23aに載置された場合、第1の位置合わせ部24eにシート束10の角部10cが入り、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1に合わせられる。
また、挟持部20Bは、図24に一点鎖線で示すように、シート束10が平綴じ向きで載置部23aに載置された場合、辺部10aが第2の位置合わせ部23iを構成する支持部23jに突き当てられ、シート束10の辺部10aが第2の位置Pq2に合わせられる。
挟持部20Bは、押さえ部材24aが挟持位置へ移動すると、載置部23aに載置されたシート束10が、押さえ部材24とトレイ23で挟持される。角綴じ向きでシート束10が載置部23aに載置された角綴じ動作では、シート束10の角部10cが突き当てられる第1の位置Pq1まで進入した第1の位置合わせ部24eの変位により、シート束10の角部10cが折り返される。
これに対し、シート束10の辺部10aが第2の位置Pq2に合わせられた平綴じ向きでシート束10が載置部23aに載置された平綴じ動作では、押さえ部材24を挟持位置まで移動させると、シート束10は第1の位置合わせ部24eに当接せず、辺部10a側が折り曲げられることはない。
押さえ部材24は、弾性を有する材質で構成され、前方側を基端とした弾性片24bが一体で設けられる。弾性片24bは、押さえ部材24aから2本の部材が突出し、後端側が自由端となる形態で設けられ、押さえ部材24aが挟持位置に移動すると、シート束10を押圧することで弾性変形して、押さえ部材24aとトレイ23でシート束10を挟持する。
<第2の実施の形態の綴じ装置の動作例>
図25及び図26は、第2の実施の形態の綴じ装置において片でシート束の角部を綴じる動作の一例の概要を示す説明図であり、次に、各図を参照して、第2の実施の形態の綴じ装置1Bで片2によりシート束10の角部10cを綴じる角綴じ動作の一例について説明する。
図22に示す待機状態の綴じ装置1Aでは、片2は、剥離紙4から剥離した部分が、シート束10の移動経路に対し、シート束10の一の面である下面側には接することが可能で、シート束10の他の面である上面側には突出しない程度の位置で片待機部28aに突出する。
待機状態の綴じ装置1Aにおいて、図25(a)に示すように、シート束10が図27(a)に示す角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに置かれると、図24に破線で示すように、第1の位置合わせ部24eにシート束10の角部10cが入り、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1に合わせられる。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された状態で、押さえ部材24aが作業者により矢印H1方向に押されると、押さえ部材24aが回転軸23cを支点に矢印H1方向に回転する。押さえ部材24aを挟持位置まで移動させると、押さえ部材24aとトレイ23間で、弾性片24bによってシート束10が保持される。
シート束10が角綴じ向きでトレイ23の載置部23aに載置された場合、押さえ部材24aを矢印H1方向に回転させると、シート束10の角部10cが第1の位置Pq1まで進入した第1の位置合わせ部24eの変位により、シート束10の角部10cが折り曲げられ、シート束10の移動方向と直交する向きの折り目10dが付けられる。
そして、押さえ部材24aを挟持位置まで移動させると、図25(b)に示すように、シート束10の折り目10dが更に折り曲げられて、角部10cが表面側に折り返された形態の折り返し部10eが形成される。
シート束10が保持された挟持部20Aが作業者により矢印Rに押されると、シート束10が挿抜位置Pp1から矢印R方向に移動する。角綴じ動作では、片待機部28aで待機している片2にシート束10の折り目10dが接する。シート束10が更に矢印R方向に移動すると、折り返し部10eが形成されたシート束10及びシート束10に押された片2が、押圧レバー43を押し上げて、折り目10dの側から押圧部43aと進入溝28との間に入る。
そして、挟持部20Bの動作でシート束10が綴じ位置Pp2まで移動すると、図25(c)に示すように、片2は、一方の端部側が、シート束10の表面側に突出せずに角部10cに接して貼着され、シート束10の裏面側で進入溝28とシート束10の間に入ると共に、剥離紙4から剥離される。
シート束10が保持された挟持部20Bが挿抜位置Pp1から綴じ位置Pp2まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が逆送りされない。
シート束10を綴じ位置Pp2に移動させた後、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、挟持部20Bで保持されて綴じ位置Pp2に移動したシート束10が、押圧レバー43の押圧部43aで押圧される。これにより、片2において、進入溝28に挟まれる部位が、シート束10の裏面に貼着される。
また、ハンドル部12が矢印D方向に押し下げられると、抜き刃44が矢印D方向に移動する。そして、ハンドル部12が下死点に到達するまで押し下げられると、押圧レバー43でシート束10を押圧した状態で、図25(d)に示すように、抜き刃44がシート束10を貫通して貫通孔10bが形成される。抜き刃44がシート束10を貫通すると、抜き刃44の挿通孔44bに、片2においてシート束10に貼着されておらず、シート束10の裏面側で自由端となっている部位である他方の端部側が進入する。
シート束10を貫通した抜き刃44で片2を保持した状態から、ハンドル部12が矢印U方向に押し上げられると、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、シート束10の押圧が解放される。
また、ハンドル部12の軸12mを支点とした矢印U方向への回転動作で、抜き刃44が矢印U方向に移動する。そして、図25(e)に示すように、シート束10に貫通した抜き刃44が引き抜かれる動作で、挿通孔44bに挿通した片2の自由端が抜き刃44と連なって、シート束10の表面側に引き抜かれる。
ハンドル部12が待機位置まで戻った後、シート束10を保持している挟持部20Bを矢印F方向へ移動させる。挟持部20Bが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1へ移動する動作で、図25(f)に示すように、シート束10を挿通した片2が、シート束10と押圧ローラ56との間に挟まれる。そして、片2が押圧ローラ56でシート束10に押圧されることで、片2は、図26(d)に示すように、シート束10に貼り付けられて本整形される。
挟持部20Bが綴じ位置Pp2から挿抜位置Pp1まで移動する動作では、上述したように、テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出される。テープ5及び剥離紙4が、片2の1つ分の長さ引き出されると、次の片2が、剥離紙4から半分程度剥離した部分が片待機部28aに突出する。
挟持部20Bを挿抜位置Pp1まで移動させた後、押さえ部材24aを回転軸23cを支点に矢印H2方向に回転させ、押さえ部材24aを開くことで、シート束10をトレイ23から取り出すことが可能となる。
なお、第2の実施の形態の綴じ装置1Bにおいて、平綴じ動作は、第1の実施の形態の綴じ装置1Aと同様である。
第2の実施の形態の綴じ装置1Bにおいては、シート束10の角部10cを上方に折り返す構成として、角綴じ動作で片2を用いてシート束10を綴じることが可能である。
ここで、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態の綴じ装置において、シート束10を移動させる挟持部20の動作を、ハンドル部12の操作と連動させる構成としても良い。
また、抜き刃の直上に設けた操作部材を直線移動で昇降させる動作により、抜き刃を移動させる構成としても良い。
図27は、角綴じ動作の他の形態を示す構成図である。折り返し部10eでは、シートの枚数が倍になるので、上述した各実施の形態では、片2が挿通される貫通孔10bの形成位置を、シート束10の折り返し部10eの近傍で、折り返された角部10cが重なっていない部位とした。これにより、抜き刃44による所定の貫通可能枚数を増やすことなく、折り返し部10eが形成されたシート束10の角部を綴じることが可能である。
一方、図27に示すように、片2が挿通される貫通孔10bの形成位置を、シート束10の折り返し部10eの近傍で、折り返された角部10cが重なっている部位とすると、図27(a)に示すように、シート束10が巻き付けられる部位に段差が生じないので、綴じ強度を向上させることができる。