以下、本発明を適用した画像形成装置としての複写機について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機100の外観を正面側から示す斜視図である。この複写機100は、記録シートに対して画像を形成する役割を担うプリンター30と、タッチパネル等からなる操作パネル35と、束処理装置たる綴じ装置80と、周知の光学系によって原稿の画像を読み取るスキャナー90とを備えている。
スキャナー90は、読取光学系を搭載した読取部95と、原稿シートを一枚ずつ読取部95の画像読取素子による読取位置に自動搬送する自動原稿搬送装置(以下、ADFという)99とを有している。ADF99は、読取部95に対して開閉するように読取部95に蝶番によって固定されている。
操作者は、原稿を手動操作でスキャナー90に読み取らせる場合には、ADF99を読取部95に対して開いて、読取部95の上面位置に固定されたコンタクトガラス上に原稿を載置する。その後、ADF99を閉じてから、操作パネル35に対するタッチ操作により、スキャナー90に対して手動読取命令を行う。すると、読取部95内のコンタクトガラスの下に搭載された走行光学系が走行して、原稿の原稿面を走査しながら原稿面の画像を読み取る。読取によって得られた画像データは、プリンター30に送られる。プリンターがその画像データに基づいて記録シートに画像を形成する。これにより、原稿の複写が行われる。
また、操作者は、複数枚の原稿シートの画像を自動操作でスキャナー90に読み取らせる場合には、それらの原稿シートを重ねた状態でADF99の原稿トレイ上にセットする。その後、操作パネル35に対するタッチ操作により、スキャナー90に対して自動読取命令を行う。すると、ADF99が原稿シートを一枚ずつ読取部95の画像読取素子による読取位置の上を順に通過させて、画像読取素子に原稿シートの画像を読み取らせる。画像読取素子としては、原稿シートの第一面の画像を読み取るものと、第二面の画像を読み取るものとが設けられている。このため、ワンパスで原稿シートの両面の画像を読み取らせることが可能である。
なお、図1における矢印Aは、プリンター30に搭載された給紙カセット10の本体からの引き出し方向を示している。
綴じ装置80は、スリット状の差込部を有している。操作者によってその差込部に手差しされた記録シートの束を手差し検知センサーによって検知すると、綴じ手段としての電動ステープラを駆動して記録シートPの束(以下、シート束という)にステープル(綴じ針)を打ち込む。これによってシート束を綴じる。
図2は、コーナー綴じのために綴じ装置80の差込部に差し込まれたシート束を綴じ装置80とともに示す斜視図である。コーナー綴じは、シート束における四つのコーナー部のうち、一つのコーナー部だけを綴じる方法である。このコーナー綴じを行う場合には、図示のように、シート束のコーナー部分を綴じ装置80のスリット状の差込部に差し込む。
図3は、背表紙綴じのために綴じ装置80の差込部に差し込まれたシート束を綴じ装置80とともに示す斜視図である。背表紙綴じは、市販の本のように、背表紙の近傍でシート束を綴じる方法である。この背表紙綴じを行う場合には、図示のように、シート束の背表紙側の端部を綴じ装置80のスリット状の差込部に差し込む。そして、差し込んだシート束の背表紙に相当する側面を綴じ装置80の差込部内にある突き当たり面に密着させるように突き当てる。その後、突き当たり面に突き当てたシート束を突き当たり面の延在方向にスライド移動させながら、シート束の複数箇所を綴じていく。
図4は、プリンター30の内部構成を複写機100の右側面側から示す構成図である。同図における矢印Aも、プリンター30に搭載された給紙カセット10の本体からの引き出し方向を示している。
同図において、プリンター30は、潜像担持体たるドラム状の感光体1、現像手段たる現像装置3、帯電手段たる帯電装置4、転写手段たる転写ローラ5、光書込装置6、トナーカートリッジ7、給紙コロ8、レジストローラ対9などを備えている。また、給紙カセット10、定着装置11、排紙ローラ対12、ドラムクリーニング装置13、除電ランプ14なども備えている。
感光体1は、同図において反時計回り方向に回転駆動せしめられる。帯電装置4は、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体1の表面に当接あるいは近接させている。帯電ローラと感光体1との間で放電を発生させることで、感光体1の表面を帯電させる。これにより、この感光体1の表面の周方向における全域のうち、回転駆動に伴って帯電ローラとの対向位置を通過した領域は、例えば負極性の高電圧(例えば-700V)に一様に帯電する。
光書込装置6は、周知のレーザー光学系により、一様帯電した感光体1の表面を光走査する。感光体1の表面における全域のうち、前述の光走査によって光照射を受けた箇所は、電位を減衰せしめる。これにより、感光体1の表面には、地肌部(一様帯電したままの状態の部分)よりも低電位(例えば-50V)になった静電潜像が形成される。
静電潜像は、感光体1の回転駆動に伴って現像装置3との対向位置を通過する。現像装置3は、現像部材としての現像スリーブ3aを感光体1に対向させている。この現像スリーブ3aは、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を担持しており、自らの回転駆動に伴ってその現像剤を感光体1の表面に接触させる。現像スリーブ3aには、感光体1の地肌部電位や静電潜像電位と同極性(本例では負極性)の現像バイアスが印加されている。
現像バイアスの絶対値は、地肌部電位の絶対値よりも小さく、且つ静電潜像電位よりも大きい。このため、現像スリーブ3aと、感光体1の静電潜像との間には、負極性に帯電したトナーをスリーブ側から感光体側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブ3aと、感光体1の地肌部との間には、負極性に帯電したトナーを感光体側からスリーブ側に静電移動させる地肌ポテンシャルが作用する。それらの作用により、現像スリーブ3a上のトナーが感光体1の静電潜像に選択的に付着する。これにより、静電潜像が現像されてトナー像になる。
現像スリーブ3a上の現像剤は、現像スリーブ3aの回転駆動に伴って感光体1との対向位置を通過して静電潜像の現像に寄与した後、現像装置3の内部に戻される。そして、現像装置3のトナー濃度センサーによってトナー濃度が検知される。この検知結果が目標トナー濃度よりも低いと、トナーカートリッジ7が駆動されて、トナーカートリッジ内のトナーが現像装置3内に補給される。
転写ローラ5は、感光体1に当接して転写ニップを形成しながら、図中時計回り方向に回転駆動する。この転写ローラ5には、トナー、感光体1の地肌部、静電潜像のそれぞれの帯電極性とは逆極性(本例では正極性)の転写バイアスが印加されている。
給紙カセット10は、記録シートPを複数枚重ねた状態で収容している。それら記録シートPのうち、最上位の記録シートPには、給紙コロ8が押し当てられている。この給紙コロ8が所定のタイミングで回転駆動することで、最上位の記録シートPが給紙カセット10から送り出される。その記録シートPの先端がレジストローラ対9のレジストニップに突き当たるタイミングで給紙コロ8の回転駆動が一時停止される。
その後、レジストローラ対9及び給紙コロ8は、記録シートPを転写ニップで感光体1上のトナー像に同期させるタイミングで、回転駆動を開始する。この開始によって転写ニップを通過する記録シートPの表面には、ニップ圧や、転写バイアスの印加によって形成される転写電界の作用によって感光体1上のトナー像が転写される。
転写ニップを通過した感光体1の表面には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが僅かに付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置13によって感光体1の表面から除去される。
ドラムクリーニング装置13によるクリーニング処理が施された感光体1の表面は、感光体1の回転駆動によって除電ランプ14との対向位置を通過する際に、残留電荷が除電される。この除電によって初期化された感光体1の表面は、その後、帯電装置4によって再び一様に帯電せしめられる。
転写ニップを通過した記録シートPは、定着装置11に送られる。この定着装置11は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ11aと、これに向けて押圧される加圧ローラ11bとの当接によって定着ニップを形成している。定着装置11に送られた記録シートPは、その定着ニップを通過する際に、ニップ圧や、定着ローラ11aによる加圧の作用により、表面上にトナー像が定着せしめられる。
定着装置11を通過した記録シートPは、排紙ローラ対12の排紙ニップを通過した後、図中矢印Rで示されるように、プリンター30の筐体上面に形成されたスタック部29上にスタックされる。
以上の基本的な構成を備える複写機100においては、給紙コロ8、レジストローラ対9、感光体1、転写ローラ5、定着装置11、排紙ローラ対12、搬送ガイド部材などにより、記録シートPを搬送経路に沿って搬送する搬送手段が構成されている。その搬送経路は、給紙コロ8と給紙カセット10内の記録シートPとの当接位置から、レジストニップ、転写ニップ、定着ニップ、排紙ニップを順に経由する経路である。
また、複写機100においては、プリンター30が、記録シートPに対して画像記録処理を施す処理手段たる記録手段として機能している。
次に、複写機100の特徴的な構成について説明する。
図5は、綴じ装置を取り外した状態の複写機100の外観を正面側から示す斜視図である。図1と図5とを比較すると、プリンター30の右側面外装カバー28に固定されている綴じ装置80が、右側面外装カバー28から取り外せるようになっていることがわかる。
プリンター30の外装カバーは、正面(こちら側を向いている面)の水平方向(左右方向)のサイズよりも、背面(向こう側を向いている面)の水平方向のサイズの方が大きくなっている。これは、筐体内の背面側に、正面側には存在しない制御基板の設置スペースを設けているからである。つまり、プリンター30の筐体内スペースは、正面側よりも背面側の方が左右方向に大きくなっている。正面側を背面側よりも小さくすることで、プリンター30の大きさについて視覚的に小型なものであるという印象を与えつつ、デザイン性を向上させることができている。
プリンター30の筐体内スペースが正面側よりも背面側で左右方向に大きくなっていることに起因して、プリンター30の右側面外装カバー28には、段差面28cが形成されている。この段差面28cよりも正面側に存在する面が正面側側面28bである。また、段差面28cよりも背面側に存在する面が背面側側面28dである。
この複写機100では、右側面外装カバー28の正面側側面28bが、綴じ装置(図1の80)を雄ネジ(後述する図11の41)や両面テープ(後述する図11の39c)によって固定する被固定面になっている。
図6は、プリンター30から取り外された状態の綴じ装置80を示す斜視図である。同図において、これらの図に示されるように、綴じ装置80は、電動ステープラを具備する本体75と、本体75を着脱可能に保持する保持体50とを有している。本体75には、差込部51が設けられている。プリンター30のスタック部(図4の29)にスタックされた記録シートPの束は、操作者によってスタック部から取り上げられた後、必要に応じて綴じ装置80の差込部51に差し込まれることで、ステープルが打ち込まれて一つの束として綴じられる。
図7は、綴じ装置80の本体脱着を説明するための斜視図である。図6では、保持体50に対して本体75を装着した状態の綴じ装置80を示しているが、図7に示されるように、本体75を保持体50から取り外すことが可能である。
保持体50は、台座部36、天板部45、金属製の第一側板39、金属製の第二側板40などを有している。第一側板39及び第二側板40は、台座部36と天板部45とを上下方向に一定の距離をおいて対向させるように支持している。
台座部36の上面には、上面から突出しつつ、複写機100の左右方向(図7の矢印方向=図4の紙面に直交する方向)に延在する二本の凸レール37が、複写機100の前後方向(図4の左右方向)に所定の距離をおいて並ぶように設けられている。一方、本体75の底部には、前記左右方向に延在する二つの凹溝52が、前記前後方向に所定の距離をおいて並ぶように設けられている。本体75を保持体50に装着するときには、本体75の底を保持体50の台座部36の上面に擦り付けるように、本体75を台座部36上でスライド移動させる。このスライド移動に伴って、台座部36の二本の凸レール37が、本体75の二本の凹溝52に係合して、正規の装着方向への本体75のスライド移動を案内する。
このように、綴じ装置80は、本体75を保持体50に対してスライド移動によって着脱するように、本体75及び保持体50が構成されている。
台座部36の上面には、二本の凸レール37の他に、二個の係止凹部38が形成されている。これらの係止凹部38は、保持体50に正しく装着された本体75を正規の装着位置に係止するためのものである。
図8は、保持体50(図7参照)の台座部36と、保持体50への装着のために台座部36の上でスライド移動せしめられている本体75とを示す部分断面図である。本体75の底部には、バネ60によって付勢されるピン54が設けられている。装着のために台座部36の上でスライド移動せしめられている本体75のピン54は、バネ60の付勢力によって台座部36の上面に押し付けられながら、上面と摺擦する。
図9は、保持体50(図7参照)の台座部36と、保持体50の正規の装着位置に装着された状態の本体75とを示す部分断面図である。本体75が保持体50の正規の装着位置に装着されると、本体75のピン54が台座部36の係止凹部38に嵌り込んで、バネ60の付勢力によって係止凹部38内に拘束される。これにより、本体75が保持体50の正規の装着位置に係止される。
図10は、保持体50を示す背面図である。保持体50の第一側板39には、矩形の貫通用開口39aと、貫通穴39bとが設けられている。また、第一側板39の背面には、固定手段としての両面テープ39cが貼り付けられている。
図11は、プリンター30(図4参照)の右側面外装カバー28に取り付けられた状態の保持体50を示す正面図である。プリンター30の右側面外装カバー28の内側(図中左側)には、プリンター30のフレーム27が存在している。このフレーム27には、電気回路基板26が固定されている。また、電気回路基板26には、ドロワーコネクター(雌)25が固定されている。フレーム27、電気回路基板26、及びドロワーコネクター(雌)25は、何れもプリンター30の部品である。
電気回路基板26に立設せしめられたドロワーコネクター(雌)25は、右側面外装カバー28に設けられた矩形の貫通開口28aを通じて外部に露出している。
綴じ装置80(図7参照)の保持体50は、右側面外装カバー28とは別体になっていて、第一側板39に貼り付けられた両面テープ39cをプリンター30(図4参照)の右側面外装カバー28の外面に貼り付けることで、右側面外装カバー28に固定される。両面テープだけの固定では脆弱であるので、保持体50はネジ止め固定もされている。具体的には、保持体50の第一側板39の貫通穴39bに差し込まれた固定手段たる雄ネジ41のネジ部41aが、プリンター30の右側面外装カバー28の貫通穴にも貫通せしめられた後、フレーム27の雌ネジに螺合せしめられる。この螺合により、保持体50がフレーム27にネジ止め固定される。
図1に示されるプリンター30は、メンテナンスのために、右側面外装カバー28が本体から取り外せるようになっている。この取り外しにより、プリンター30の内部機器を外部に露出させて種々のメンテナンスを行うことが可能になる。このメンテナンスは、ユーザーレベルのメンテナンスではなく、サービスマンレベルのメンテナンスである。
図12は、プリンター30のフレーム27から雄ネジ41を取り外した状態の保持体50を示す正面図である。プリンター30の本体から右側面外装カバー28を取り外すときには、まず、図示のように、保持体50の雄ネジ41をプリンター30のフレーム27から取り外す。この状態では、保持体50はプリンター30のフレーム27には固定されておらず、両面テープ39cによってプリンター30の右側面外装カバー28の外面に貼り付けられているだけの状態になる。
図13は、プリンター30(図1参照)の本体から右側面外装カバー28が取り外されたときの保持体50の状態を説明するための正面図である。図12のように雄ネジ41を取り外すことで、図13のように右側面外装カバー28をプリンター30の本体から取り外すことが可能になる。メンテナンスを終えたら、右側面外装カバー28をプリンター30の本体に装着した後、雄ネジ41のネジ部41aをフレーム27の雌ネジに螺合させて、保持体50をフレーム27に固定する。
図14は、プリンター30(図1参照)に固定された保持体50に対する本体75の装着操作の途中段階を示す正面図である。綴じ装置80の本体75は、保持体50の台座部36の上面で、図中矢印方向にスライド移動せしめられることで、保持体50に装着されていく。本体75の側面からは、本体75のドロワーコネクター(雄)53が突出しており、装着のときには、プリンター30(図1参照)のドロワーコネクター(雌)25と対面している。
図15は、プリンター30(図1参照)に固定された保持体50に対する装着操作を終えた状態の本体75を示す正面図である。図示のように、保持体50に対して本体75が装着されると、本体75のドロワーコネクター(雄)53が、保持体50の第一側板39に設けられた貫通用開口39aを貫通する。そして、プリンター30(図1参照)の右側面外装カバー28に設けられた貫通開口28aに進入する。そして、プリンター30のドロワーコネクター(雌)25に係合する。この係合により、プリンター30と、綴じ装置80の本体75とが電気接続される。
このように、綴じ装置80においては、画像形成装置としてのプリンター30に設けられた外部コネクターたるドロワーコネクター(雌)25と係合するドロワーコネクター(雄)53を本体75に設けている。また、ドロワーコネクター(雄)53を貫通させるための貫通用開口39aを保持体50の第一側板39に設けている。そして、保持体50に対する本体75の装着操作に伴って、貫通用開口39aを通じて、ドロワーコネクター(雄)53をドロワーコネクター(雌)25に係合させて、プリンター30と、本体75の綴じ手段たる電動ステープラとを電気接続するようにしている。かかる構成では、つまり、本体75を保持体50に装着するのに伴って、本体75と電動ステープラとの電気接続を自動的に行うことができるため、電気接続のための作業を省いてメンテナンス性を向上させることができる。
電気接続がなされた状態では、本体75のスリット状の差込部51に記録シートPの束が差し込まれると、本体75に搭載された差し込み検知センサー(後述する図17の55)がシート束を検知する。この検知に基づいて、電動ステープラのステープラ駆動モーター(後述する図17の57)の駆動が行われて、記録シートPの束にステープルを打ち込む。
なお、保持体50から本体75を取り外すときには、装着操作と逆の手順を実行すればよい。保持体50から取り外した本体75については、自由に持ち運ぶことが可能である。
図16は、保持体50(図15参照)から取り外した本体75を裏側から示す斜視図である。図示のように、保持体50から取り外した本体75は、ステープル収納部61を露出させた状態になる。そのステープル収納部61に対し、必要に応じて替針ユニット74を差し込むことで、替針(ステープル)を本体75に容易に補充することができる。この補充作業については、作業者が本体75を手に持って自由な姿勢で行うことができることから、かがむ姿勢や背伸びの姿勢を強いられる場合とは異なり、メンテナンス性を向上させることができる。
また、この複写機100においては、図1に示されるように綴じ装置80をプリンター30の右側面外装カバー28に固定した状態で出荷してもよいし、綴じ装置80を図5に示されるように固定していない状態の複写機100を出荷してもよい。つまり、綴じ装置80を複写機100の本体側から切り離してオプション品として独自に出荷することが可能である。綴じ装置80の購入を希望しないユーザーに対しては、綴じ装置80を搭載していない図5の状態の複写機100を購入してもらうことが可能であるので、ユーザーの希望に柔軟に対応することができる。
図17は、プリンター30及び綴じ装置80の電気回路の要部を示すブロック図である。プリンター30のドロワーコネクター(雌)25と、綴じ装置80の本体75のドロワーコネクター53(雄)とが図示のように係合すると、ドロワーコネクター(雌)25の各種の電気接点と、ドロワーコネクター(雄)53の各種の電気接点とが接触する。前者の電気接点には、電源出力用電気接点が含まれる。また、後者の電気接点には、電源入力用電気接点が含まれる。両者が接触することで、プリンター30から綴じ装置80の本体75に電源が供給されるようになる。
綴じ装置80の本体75には、綴じ機たる電動ステープラ59、差し込み検知センサー55、及びモーター駆動制御回路56が搭載されている。電動ステープラ59は、ステープラ駆動モーター57や針打ち込み機構58などから構成される。ステープラ駆動モーター57の駆動力によって針打ち込み機構58を駆動することで、ステープル打ち込み動作が行われる。
プリンター30の電気回路基板26には、モーター電源回路24やセンサー電源回路23が搭載されている。モーター電源回路24から出力される電力は、ドロワーコネクター(雌)25とドロワーコネクター(雄)53とを介して、綴じ装置80の本体75のステープラ駆動モーター57やモーター駆動制御回路56に供給される。また、プリンター30のセンサー電源回路23から出力される電力は、ドロワーコネクター(雌)25とドロワーコネクター(雄)53とを介して、綴じ装置80の本体75の差し込み検知センサー55に供給される。
図15に示される本体75のスリット状の差込部51に記録シートPの束が差し込まれると、図17に示される差し込み検知センサー55がその記録シートPを検知して検知信号をモーター駆動制御回路56に出力する。すると、モーター駆動制御回路56は、ステープラ駆動モーター57を所定の駆動量だけ駆動させて電動ステープラ59の針打ち込み機構58に対して一回の打ち込み動作を行わせる。これにより、差込部51に差し込まれた記録シートPに対してステープルが打ち込まれる。
替針ユニット74(図16参照)を本体75の電動ステープラ59に補充するために、本体75を保持体50(図14参照)から取り外すと、プリンター30から本体75への電源供給が停止する。具体的には、本体75のドロワーコネクター(雄)53がプリンター30のドロワーコネクター(雌)25から抜けることで、両コネクターを介したプリンター30から本体75への電源供給が断たれる。これにより、電動ステープラ59が駆動することは無くなる。つまり、本体75を保持体50から取り外すと、同時に、電動ステープラ59が駆動できなくなる。
本体75を手に持っている状態で電動ステープラ59が誤動作をすると、手を怪我するおそれがある。しかしながら、この綴じ装置80のように、本体75を保持体50から取り外すのに伴って本体75の電動ステープラ59への電源供給が断たれる構成では、手に持った本体75の電動ステープラ59を誤動作させることがない。かかる構成では、誤操作防止のための専用の機構やセンサーを設けることなく誤動作を回避して低コスト化を実現することができる。
なお、本体75のドロワーコネクター(雄)53を、プリンター30のドロワーコネクター25に直接的に繋ぐようにした構成について説明したが、間接的に繋ぐようにしてもよい。例えば、本体75のスライド移動方向の都合で、前述のような直接的な繋ぎができない場合、次のようにしてもよい。即ち、本体75を保持体50に装着するのに伴って、本体75のドロワーコネクターと、保持体50の第一ドロワーコネクターとを係合させる。保持体50には、第一ドロワーコネクターとは別に、第二ドロワーコネクターを設けており、両者はハーネスによって繋がれている。そして、保持体50の第二ドロワーコネクターについては、保持体50をプリンター30の外面に固定するのに伴って、プリンター30のドロワーコネクターに係合させるようにする。
図18は、ステープルが打ち込まれたシート束と、本体75の差込部51の周囲とを示す部分断面図である。同図において、差込部51は、上カバー65の一部である第一壁65aと、これに間隙を介して相対向している第二壁66aとの間に、スリット状の空間を形成している。第二壁66aは、本体75の本体ケース66の一部である。
図中の白抜き矢印は、針打ち込み機構(後述する図19の58)によるステープル79の打ち込み方向を示している。差込部51の第一壁65a及び第二壁66aのうち、ステープル79の打ち込み側に存在しているのは第一壁65aである。
図19は、上カバー(図7の65)を取り外した状態の本体75を示す斜視図である。本体75は、図示のように上カバーを取り外すことで、内部を露出させることができる。内部には、電動ステープラ59が配設されている。この電動ステープラ59は、ステープラ駆動モーター(図17の57)の駆動により、綴じ機たる針打ち込み機構58を図中矢印B方向に往復移動させることができる。矢印B方向は、鉛直方向に沿った方向である。針打ち込み機構58のステープルの打ち込み動作は、鉛直方向上方から下方に向けて移動する動作である。下限位置まで移動した針打ち込み機構58は、受け台62との間にシート束を挟み込む。このとき、挟み込んだシート束に対してステープルを打ち込む。なお、同図の受け台62に示されているPsという符号が付された線は、ステープルの打ち込み位置を示している。
本体ケース66の一部によって構成される第二壁66aは、差込部(図7の51)に差し込まれたシート束を下方から支える役割を担っている。この第二壁66aの表面からは、本体ケース66の一部である第一突き当たり面66bが垂直に立ち上がっている。なお、本体75は、図示の第一突き当たり面66bの他、第二突き当たり面を有しているが、この第二突き当たり面については後述する。
図20は、背表紙綴じのために差込部(図7の51)に差し込まれたシート束を本体75とともに示す斜視図である。同図では、便宜上、上カバー(図7の65)を取り外した状態の本体75を示しているが、実際には、上カバーが装着された状態の本体75の差込部に対してシート束が差し込まれる。差込部に差し込まれたシート束は、図示のように、背表紙に相当する側の側面が本体ケース66の第一突き当たり面66bに密着するように突き当てられる。図中の白抜き矢印は、第一突き当たり面66bに対するシート束の突き当て方向を示している。
図21は、背表紙綴じのために本体75の差込部(図7の51)に差し込まれたシート束を本体75の本体ケース66とともに示す平面図である。本体ケース66の第一突き当たり面66bは、背表紙綴じを行うときに使用されるものである。シート束の背表紙に相当する側面をその第一突き当たり面66bに突き当てることで、図示のように、ステープル79をその側面の近傍箇所に打ち込むことができる。そのステープル79の延在方向は、シート束の背表紙に相当する側面の延在方向と同じになっている。なお、同図における矢印方向は、第一突き当たり面66bに対するシート束の突き当て方向を示している。また、図示の第一突き当たり面66bは、本体75の差込部における第一突き当たり位置(平面位置)に存在している。
図22は、本発明を適用していない綴じ装置の本体75と、コーナー綴じのために本体75の差込部に差し込まれたシート束とを示す平面図である。コーナー綴じをするためには、図示のように、シート束の四つのコーナー部における一つを本体75の差込部に差し込む。このときには、図示のように、シート束のコーナーを境にして互いに垂直に折れ曲がった姿勢になっている二つの側面のうちの一方を、本体75に設けられた二つの第一突き当たり面66bのうちの一方の端に突き当てることになる。また、シート束の他方の側面を他方の第一突き当たり面66bの端に突き当てることになる。このようにすると、ステープル79を本来であればシート束における目標位置Cpに打ち込むべきところ、図示のように、目標位置Cpよりもコーナーから遠ざかった位置に打ち込んでしまう。このため、第一突き当たり面66bをコーナー綴じのために使用することはできない。
そこで、この複写機100においては、本体75の突き当たり面とシート束との突き当たり位置を変更する位置変更手段を設けている。この位置変更手段は、第二突き当たり面を具備する可動突き当たり部材の移動により、シート束の突き当て対象となる突き当たり面を、第二突き当たり面と第一突き当たり面66bとで切り替える。これにより、シート束と突き当たり面との突き当たり位置を変更することができる。
図23は、第二突き当たり面を退避位置に退避させている状態の本体75の差込部51及びこの周囲を示す部分斜視図である。同図において、保持体としての本体ケース66は、図中矢印αで示されるように、可動突き当たり部材67を上下動可能に保持している。この可動突き当たり部材67は、第二突き当たり面として、第二右突き当たり面67aと、第二左突き当たり面67bとを具備している。同図では、可動突き当たり部材67が上下動可能範囲における下限位置に係止されている。この状態では、可動突き当たり部材67の第二右突き当たり面67a及び第二左突き当たり面67bが何れも、本体ケース66における第二壁66aの表面以下の高さ位置に存在している。差込部51は、第二壁66aよりも上であって且つ第一壁65aよりも下の領域に形成されているので、第二右突き当たり面67a及び第二左突き当たり面67bは何れも差込部51から退避する退避位置にある。
同図において、操作部材68は、本体ケース66の側面上で摺動するように設けられている。より詳しくは、本体ケース66には、上下方向に延在する長穴が設けられており、この長穴を通じて、操作部材68が本体ケース66の内部にある可動突き当たり部材67に固定されている。この固定により、操作部材68と可動突き当たり部材67とは一体となって上下動する。この上下動のときに、操作部材68が本体ケース66の側面上で摺動する。
図24は、第二突き当たり面を第二突き当たり位置に移動させた状態の本体75の差込部51及びこの周囲を示す部分斜視図である。操作部材68は、操作者の手作業によって可動突き当たり部材67を上下動させるときに操作されるものである。図中矢印で示されるように、操作者が操作部材68を下方から上方に向けて押し上げると、操作部材68と可動突き当たり部材67とが一体となって上方に向けてスライド移動する。これにより、可動突き当たり部材67の第二右突き当たり面67a及び第二左突き当たり面67bが差込部51の空間内に進入して、図示のように、第二突き当たり位置まで移動する。
第二突き当たり位置に存在する第二右突き当たり面67aや第二左突き当たり面67bは、図示のように、本体ケース66によって構成される第一突き当たり面66bよりも差込部51の入口側(シート差し込み方向の上流側)に存在している。よって、この状態では、差込部51に差し込まれたシート束は、第一突き当たり面66bよりも手前の第二右突き当たり面67aや第二左突き当たり面67bに突き当たる。つまり、第二右突き当たり面67a及び第二左突き当たり面67bを退避位置から第二突き当たり位置に移動させることで、次のような切り替えを行うことができる。即ち、シート束に対する突き当たり面を、第一突き当たり面66bから、第二右突き当たり面67a及び第二左突き当たり面67bに切り替えることができる。
操作部材68は、作業者の手に持たれた本体75を手に引っ掛けるための把手としても機能するようになっている。
以下、図23のように第二突き当たり面(67a、67b)を差込部51から退避させてシート束の突き当て対象を第一突き当たり面にしている設定を「背表紙対応設定」という。また、図24のように第二突き当たり面(67a、67b)を差込部51内の第二突き当たり位置に移動させてシート束の突き当て対象を第二突き当たり面にしている設定を「コーナー対応設定」という。
図25は、実施形態に係る複写機において、「コーナー対応設定」にされた本体75の差込部(図7の51)と、コーナー綴じのために差込部に差し込まれたシート束と示す平面図である。「コーナー対応設定」にされた本体75の差込部に対してシート束のコーナー部を差し込むと、図示のように、そのシート束を、第一突き当たり面66bよりも手前側に存在する第二右突き当たり面67a及び第二左突き当たり面67bに突き当てる。これにより、シート束に対するステープル79の打ち込み位置を、コーナー綴じに対応する目標位置(図22のCp)に合わせるコーナー綴じ用の綴じ位置決めを行うことができる。
図26は、本体75の差込部51における第二左突き当たり面67bを、この周囲とともに示す部分拡大斜視図である。可動突き当たり部材67において、第二左突き当たり面67bを構成する部分には、第二左突き当たり面67bよりも上側にスリット状の凹部67cが設けられている。シート束を構成する記録シートPの枚数が少ないと、差込部51に差し込まれたシート束のコーナー部分が上方に撓んで浮き上がることがある。このような浮き上がりが起こると、コーナー部分の目標位置にステープルが正しく打ち込まれなくなるが、この複写機100では、浮き上がろうとするコーナー部分が凹部67cに引っ掛かることで、コーナー部分の浮き上がりの発生を抑えることができる。なお、可動突き当たり部材67における第二右突き当たり面(図24の67a)を構成する部分にも、同様のスリット状の凹部が設けられている。
図27は、「コーナー対応設定」にされた本体(図25の75)の可動突き当たり部材67を、本体ケース66の内側から正面側に向けて眺めた図である。本体ケース66の正面板には、上下方向に延在する長穴66dが形成されており、可動突き当たり部材67はこの長穴66dの周囲に存在する周囲壁(本体ケース66の一部)によって上下動可能に保持されている。
本体ケース66の正面板の裏面には、可動突き当たり部材67を「コーナー対応設定」の高さ位置に形成するための係止部材66eが突設せしめられている。この係止部材66eは、二本のレール状部材を左右方向に所定の間隙を介して対向させている。それらレール状部材の下端部は他の部分よりも肉厚になっている。
同図は、可動突き当たり部材67を裏面側から示している。可動突き当たり部材67の裏面には、被係止部材67eが突設せしめられている。「コーナー対応設定」では、図示のように、可動突き当たり部材67の被係止部材67eが、本体ケース66の係止部材66eにおける二本のレール状部材の間に進入して前述の高さ位置に係止される。これにより、可動突き当たり部材67の第二左突き当たり面67bが第二突き当たり位置に係止される。
なお、同図では、可動突き当たり部材67の第二右突き当たり面(図24の67a)が部材本体に隠れて見えなくなっている。また、操作部材68の扁平凹本体部から本体ケース66に向けて突出している円柱状突起が、本体ケース66の長穴66dを通じて、本体ケース66の内部にある可動突き当たり部材67に到達し、可動突き当たり部材67に設けられた丸穴に嵌合している。この嵌合によって操作部材68が可動突き当たり部材67に固定されている。操作部材68の扁平状本体は、本体ケース66の外側に位置しつつ、可動突き当たり部材67との間に本体ケース66を挟み込んでいる。
図28は、「背表紙対応設定」にされた本体(図25の75)の可動突き当たり部材67を、本体ケース66の内側から正面側に向けて眺めた図である。図27に示された「コーナー対応設定」の本体75の操作部材68を操作者が上方から下方に向けて押し下げると、図28に示される「背表紙対応設定」になる。図27示される「コーナー対応設定」から図28に示される「背表紙対応設定」に変化する過程で、可動突き当たり部材67は操作部材68と一体となって上下動可能範囲の上端近くから下端まで移動する。このとき、本体ケース66の係止部材66eにおける二本のレール状部材の間に進入していた、可動突き当たり部材67の被係止部材67eは、二本のレール状部材の肉厚部分に圧接しながら変形することで、二本のレール状部材の間から抜け出る。その後、操作部材68の扁平状本体から突出している円柱状突起が、本体ケース66の長穴(図27の66d)の下端壁に突き当たることで、可動突き当たり部材67が上下動可能範囲の下限位置に係止される。
可動突き当たり部材67は、本体ケース66の一つの長穴(図27の66d)だけに保持されている。つまり、一点保持になっている。長穴は、可動突き当たり部材67の水平方向の重心位置を保持するようになっている。その重心位置は、水平面における重心の位置ではなく、可動突き当たり部材67の被保持位置を境にした水平方向の一端側部分の重量と他端側部分の重量とが互いに同じになる位置である。かかる重心位置で可動突き当たり部材67を保持することで、重心位置とは異なる位置で保持する構成に比べて、可動突き当たり部材67の姿勢を安定させることができる。
図29は、プリンター(図1の30)の前カバー22及び右側面外装カバー28と、綴じ装置(図1の80)の本体75とを示す平面図である。同図において、一点鎖線は、本体75の第一突き当たり面66bの延在方向の延長線である。図示のように、プリンターの前カバー22の角部は、第一突き当たり面66bの延長線上に位置している。
図30は、プリンター(図1の30)の前カバー22及び右側面外装カバー28と、背表紙綴じのためにシート束が差し込まれた綴じ装置(図1の80)の本体75とを示す平面図である。図示のように、この綴じ装置(図1の80)では、背表紙綴じのために本体75に差し込んだシート束の姿勢を、背表紙綴じに対応する正しい姿勢に規制するための規制部として、前カバー22の角部を利用することができる。これは、第一突き当たり面66bの延在方向の延長線上に前カバー22の角部を位置させているからである。
第二突き当たり面(第二右突き当たり面67a、第二左突き当たり面67b)の移動により、シート束の突き当て体賞を第二突き当たり面と第一突き当たり面66bとで変更する構成の綴じ装置について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、一つの突き当たり面を複数の位置の間で移動させることで突き当たり位置を複数の位置の間で変更するようにしてもよい。
また、画像形成装置としてのプリンター30に綴じ装置80を固定した複写機100について説明したが、プリンター30とは異なる処理装置、例えば記録シートにパンチ穴を開けるなどの後処理装置や、シートインサーターに綴じ装置80を固定してもよい。
また、トナーによって静電潜像を現像する電子写真方式のプリンター30に搭載される綴じ装置80について説明したが、電子写真方式とは異なる方式で画像を形成するプリンターに綴じ装置80を搭載してもよい。例えば、インクジェットヘッドを用いて記録シートPに画像を形成するインクジェットプリンターであってもよい。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、複数枚のシート(例えば記録シートP)からなるシート束を差し込む差込部(例えば差込部51)と、前記差込部に差し込まれたシート束に突き当たる突き当たり面(例えば第二右突き当たり面67a、第二左突き当たり面67b、第一突き当たり面66b)と、前記差込部に差し込まれたシート束を綴じる綴じ機(例えば針打ち込み機構58)とを有する綴じ装置(例えば綴じ装置80)において、前記突き当たり面とシート束との突き当たり位置を変更する位置変更手段(例えば操作部材68、可動突き当たり部材67、長穴66dなどから構成されるもの)を設けたことを特徴とするものである。
第1態様においては、綴じ装置の差込部の突き当たり面と、差込部に差し込まれたシート束との突き当たり位置を、位置変更手段により、複数種類のシート束綴じ方のそれぞれに対応する位置に変更する。このように突き当たり位置を変更することで、それぞれの綴じ方に対応する複数種類の綴じ位置決めを行うことができる。
[第2態様]
第2態様は、前記突き当たり面として、前記差込部の中における第一突き当たり位置に固定された第一突き当たり面(例えば第一突き当たり面66b)、及び前記第一突き当たり面よりも入口側の第二突き当たり位置と前記差込部の中から退避する退避位置との間で移動可能な第二突き当たり面(例えば第二右突き当たり面67a、第二左突き当たり面67b)を設け、前記第二突き当たり面の移動により、前記差込部に差し込まれたシート束の突き当たり対象となる面を前記第二突き当たり面と前記第一突き当たり面とで切り替えるように、前記位置変更手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、シート束と突き当たり面との突き当たり位置を第一突き当たり位置とこれよりも入口側の第二突き当たり位置とで切り替えることで、背表紙綴じのための綴じ位置決めと、コーナー綴じのための綴じ位置決めとで位置決め方法を切り替えることができる。
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記位置変更手段の構成要素として、前記第二突き当たり面を具備する可動突き当たり部材(例えば可動突き当たり部材67)を前記差込部内に差し込まれた場合のシート束の厚み方向に移動可能に保持する保持体(例えば本体ケース66)を設け、前記可動突き当たり部材の移動に伴って前記第二突き当たり面を前記第二突き当たり位置と前記退避位置との間で移動させるようにしたことを特徴とするものである。かかる構成では、可動突き当たり部材をシート束の厚み程度の僅かな移動距離で移動させるだけで、突き当たり位置を第二突き当たり位置と第一突き当たり位置とで切り替えることができる。
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記差込部に差し込まれたシート束の角を境にして互いに繋がる二つの側面の一方に突き当たる前記第二突き当たり面と、他方に突き当たる前記第二突き当たり面とを前記可動突き当たり部材に設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、コーナー綴じのために差込部に差し込まれたシート束の角を境にして互いに繋がる二つの側面のそれぞれに対して第二突き当たり面を突き当てて、コーナー綴じのための綴じ位置決めを行うことができる。
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記可動突き当たり部材の水平方向の重心位置を保持するように、前記保持体を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、一点保持を採用しても、可動突き当たり部材の姿勢を安定化させることができる。
[第6態様]
第6態様は、第5態様において、前記可動突き当たり部材を操作者の手作業によって移動操作するための操作部材(例えば操作部材68)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、操作部材を操作することで、突き当たり位置を第二突き当たり位置と第一突き当たり位置とで切り替えることができる。
[第7態様]
第7態様は、複数枚のシートからなるシート束を綴じる綴じ装置が固定されたシート処理装置(例えばスキャナー90)において、前記綴じ装置として、第1態様~第6態様の何れか一つの態様を用いたことを特徴とするものである。
[第8態様]
第8態様は、複数枚のシートからなるシート束を綴じる綴じ装置が固定された画像形成装置(例えばプリンター30)において、前記綴じ装置として、第一態様~第6態様の何れか一つの態様を用いたことを特徴とするものである。
[第9態様]
第9態様は、第8態様において、前記綴じ装置として、第2乃至第6態様の何れか一つを用い、前記第二突き当たり面をコーナー綴じのためにシート束を突き当たる面として機能させ、且つ、前記第一突き当たり面を背表紙綴じのためにシート束を突き当たる面として機能させるようにしたことを特徴とするものである。かかる構成では、突き当たり位置の変更により、背表紙綴じのための綴じ位置決めと、コーナー綴じのための綴じ位置決めとを行うことができる。
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、前記綴じ装置が固定される筐体(例えば前カバー22)の角部を、前記第一突き当たり面の延在方向の延長線上に位置させたことを特徴とするものである。かかる構成では、背表紙綴じのために差込部に差し込んだシート束の姿勢を、背表紙綴じに対応する正しい姿勢に規制するための規制部として、筐体の角部を利用することができる。