図1〜図17は本発明の実施形態の一例を示している。この実施形態の結束装置は、主に同一金種の紙幣を複数枚積み重ねて束ねた小束をさらに複数束積み重ねて一まとめの紙幣の大束Aとした直方体形状の被結束物を、熱によって溶着可能な結束帯B(接着可能なテープ状の帯封紙)を巻き付けて長手方向及び幅方向の十文字に結束するための結束装置である。この結束装置は、図1に示すように可搬箱型の装置本体1を有する。そして、図2に示すように、この結束装置の装置本体1の内部には、上部に、大束Aの結束動作を行うための結束機構2が設けられ、下部に、結束帯Bを収納して上部の結束機構2へ送り出す収納送り出し機構3が設けられている。
装置本体1下部の収納送り出し機構3は、円筒状に巻かれた結束帯Bを収納する収納部301と、大束Aに結束帯Bを巻き付ける際に巻き戻した結束帯Bを一時的に保留する保留部302を有し、収納部301と保留部302との間と、保留部302と装置本体1上部の結束機構2との間に、結束帯Bが搬送される下部搬送路303を有している。
収納部301は、円筒状に巻かれた結束帯Bの束を収納受け面の中央部に起立して設けられた支持回転部305に差し込んで、回転可能に支持した状態で収納するもので、収納受け面の上部が鉛直方向に対して装置本体1の後方側へ傾いた斜めの状態で設定されている。収納部301がこのように斜めに設けられていることで、結束帯Bを取り替える際に、円筒状に巻かれた結束帯Bの束を支持回転部305に引っ掛けるようにして結束帯Bの中心部を位置決めすることができ、取り替えを容易に行える。なお、収納部301の下部所定位置には、結束帯Bが所定の巻き量以下となった時に利用者に結束帯Bの残量が少なくなっていることを知らせるニアエンプティセンサ(図示せず)が設けられている。
保留部302は、上面開放の箱形状で、結束動作時に先立って、収納部301に収納された円筒状に巻かれた結束帯Bの束から予め所定量の長さだけ結束帯Bを引き出して保留部302に一時保留することで、結束動作時に結束帯Bを送り出す際の負荷を小さくするとともに、後述のように結束帯Bを装置本体1上部の結束機構2にて紙幣の大束Aに巻き付けるよう引き戻して引き締めるときの引き戻した分の結束帯Bを一時保留するためのものである。
下部搬送路303は、下部搬送ガイド304によって形成されたもので、その下部搬送路303は、通路幅については、結束帯Bの幅方向の通路幅(横幅)が結束帯Bの横幅よりも少し大きく、結束帯Bの厚み方向の通路幅(厚み幅)も、結束帯Bの通過に支障の無い十分な間隔ができる大きさで、結束帯Bがスムーズに搬送されるようになっている。
そして、下部搬送路303に沿って結束帯Bを搬送するよう、保留部302と装置本体1上部の結束機構2との間の距離をおいた2箇所に、下部搬送路303内に臨むように駆動ローラ307が設置されるとともに、収納部301と保留部302との間の1箇所に、下部搬送路303内に臨むように駆動ローラ308が設置されている。これらの駆動ローラ307、308は、正回転することで、結束帯Bを装置本体1上部の結束機構2へと送り出す。また、保留部302と結束機構2との間に設置された駆動ローラ307のみが逆回転可能で、これが逆回転することで、結束帯Bを引き戻し、後述のように結束帯Bを大束Aの周囲に密着させる。
また、保留部302と装置本体1上部の結束機構2との間の下部搬送路303には、駆動ローラ307のほかに、結束帯Bに日付や結束する紙幣の種類、店舗名等の結束情報を押印するスタンプ機構4、結束情報を印刷する印字機構5がそれぞれ設けられている。
スタンプ機構4は、保留部302と装置本体1上部の結束機構2との間の駆動ローラ307よりも結束帯Bを結束機構2へ向けて送り出す結束帯送り出し方向上流側の下部搬送ガイド304の所定位置に結束帯Bの横幅より小サイズのスタンプ進退用のスタンプ孔(図示せず)を設け、このスタンプ孔の位置に合わせて下部搬送ガイド304の側方に、進退可能なスタンプ(図示せず)を有しインクを充填可能なスタンプユニット402を設置したもので、スタンプユニット402のスタンプをスタンプ孔から下部搬送路303内へ突入させて結束帯Bに押印し、押印後はスタンプをスタンプ孔から退出させて待機させ、次にまた突入させて結束帯Bに押印できるようになっている。
印字機構5は、保留部302と装置本体1上部の結束機構2との間の駆動ローラ307よりも結束帯送り出し方向上流側の下部搬送ガイド304の側方所定位置に印字ユニット501を設け、下部搬送路303を挟んで印字ユニット501と対向する位置にプラテン板6(板状のプラテン)を設けたものである。
印字ユニット501は、下部搬送路303内の結束帯Bに対して進退可能で、下部搬送路303内に突出することで結束帯Bの帯面にインクリボンを使って結束情報の文字を印刷する印字ヘッド(図示せず)を備えている。
保留部302と結束機構2との間に設置された駆動ローラ307は、印字機構5およびスタンプ機構4よりも結束帯送り出し方向下流側に位置している。そのため、印字機構5およびスタンプ機構4の位置では、結束帯Bが下部搬送路303内で引っ張られて緊張した状態となり、スタンプの押印および印字をスムーズに行える。
また、装置本体1上部の結束機構2は、大束Aを結束するための結束空間7を有し、この結束空間7内で大束Aの周囲を囲むように結束帯Bをループ状にして待機させるためのゲート機構15と、ゲート機構15の下方位置に設けられ、ゲート機構15により形成された結束帯Bのループを巻き戻して大束Aの周囲に密着させた後、切断および溶着を行う切断溶着機構8と、結束空間7内のゲート機構15の前方及び後方から大束Aを所定位置に固定保持すると共に、大束Aの長手方向又は幅方向の一方の結束を行った後、他方の結束を行うために大束Aを90度回転させて保持する保持機構9とで構成されている。
そして、装置本体1の上部前面には、結束空間7の前方位置に、外部から被結束物である紙幣の大束Aを投入するための開口である大きく開いた投入口10が設けられており、その投入口10の前面底部から装置本体1の外部へ張り出すように、結束に備えて紙幣等の被結束物を一時的に置くためのテーブル11が設けられている。また、装置本体1の上部前面には、投入口10の上方に、電源ボタン33、表示部34、スタートボタン35等が設けられている。
また、投入口10の奥の結束空間7の内部下方には、図5に示すように大束Aを載置する載置面を有する載置台12が、投入口10側である装置本体1の前側から結束空間7の奥側に向かって下方へ傾斜するように設けられている。そして、載置台12には、所定位置に大束Aを置いたときの大束Aの底面の前後方向のほぼ中央部である結束位置に対応する前後方向の中央部に、結束帯Bを載置台12の左右横方向全域に渡って載置台12を横切って通過させて大束Aの周囲に密着させるための左右方向に長いガイド溝13が形成されている。
ゲート機構15は、結束空間7の内部の、載置台12の左右方向に長いガイド溝13の前後に渡る位置に、ガイド溝13に平行で且つ載置台12の載置面に対し略垂直な平面に沿って、下方部で載置台12のガイド溝13の左右方向の中央部付近に、後述の切断溶着機構8を進退させる切欠穴16となる隙間を空けた状態で、載置台12の周囲の下方、左側方、上方、右側方、そして再度下方へと、結束空間7内でループ状にぐるりと載置台12の周囲を取り囲むように、装置本体1の前面側から見て略四角形状に形成されたループガイド151(結束帯ガイド)を備えている。
ループガイド151は、ループガイド151内に搬送路152(図6参照)を形成するもので、該搬送路152のループ内側の壁面と装置本体前方側の側壁を形成して、結束帯Bのループ内側のテープ面と結束帯Bの装置本体前方側の側縁部とを保持し、載置台12の載置面に対して平行に装置本体前方側へスライド移動可能な断面L字形状の内側ループガイド153と、ガイド溝13の設けられている位置でガイド溝13に平行且つ載置台12の載置面に対し略垂直に固定され、ループガイド151内の搬送路152のループ外側の壁面と装置本体後側の側壁を形成して、結束帯Bのループ外側の面と結束帯Bの装置本体後側の側縁部とを保持する断面L字形状の外側ループガイド154とからなり、内側および外側の2つのループガイド153、154が合わさることで、図6の(a)に示すように、結束帯Bが通過可能な断面長方形状の搬送路152を形成する。
なお、図示の例では、ループガイド151は装置本体1の前面から見て略四角形状のループを形成しているが、ループガイド151は装置本体1の前面から見て略円形のループを形成するものであってもよい。
ゲート機構15は、図3に示すように内側ループガイド153および外側ループガイド154を組み込んだ一つのユニットとなっている。そして、このゲート機構15のユニットには、装置本体1の前側から見てループガイド151の左右方向略全域に渡る大きさの棒状部(長尺部材からなる圧縮部材)を有する上押さえ17が、載置台12のガイド溝13の位置で、ループガイド151の搬送路152の幅寸法(搬送される結束帯Bの幅方向の寸法)よりやや広い間隔で前後に並んで、ガイド溝13に平行で且つ載置台12の載置面に対し略垂直な平面に沿い、ループガイド151の左右方向略全域に渡って上下に動作するよう組み込まれ、また、これら内側ループガイド153、外側ループガイド154、上押さえ17を駆動する駆動モータ14が設置されている。
ループガイド151は、内側ループガイド153が、駆動モータ14によって装置本体1の前側から見て奥側へ載置台12の載置面に対して平行に(搬送路152のループ内側の壁面が搬送路152のループ外側の壁面に対して平行に)スライド移動することにより、図6の(a)に示すように、外側ループガイド154と内側ループガイド153が合わさって、ループガイド151の搬送路152を形成する。また、内側ループガイド153が、駆動モータ14によって載置台12の載置面に対して平行に装置本体1前方側へスライド移動することにより、図6の(b)に示すように、ループガイド151の搬送路152のループ内側の壁面が開放され、結束テープBがループ内側へ解放される。
また、図2に示すように、ルーフガイド151のループ四隅には、搬送路152内に臨むように補助ローラ155が設けられている。これらの補助ローラ155は、駆動モータ14によって回転駆動される。結束帯Bはループガイド151内へ送り込まれる際にこれらの補助ローラ155の回転によって誘導され、スムーズに送り込まれる。
そして、このゲート機構15のユニットは、装置本体1内の結束空間7の前方から見て奥側に向かって下方へ傾斜する載置台12の載置面に対してループガイド151が略垂直になるように、載置台12の傾斜と同様に結束空間7の奥側へ向かって下方へ傾倒した状態で設置されている。ループガイド151内に送り込まれている結束帯Bは、自重で外側ループガイド154の装置本体1後方側の側壁に当接した状態で保持されていて、内側ループガイド153がスライド移動してループガイド151の搬送路152が開放されたときには、自重で外側ループガイド154の装置本体1後方側の側壁に当接しつつ、載置台12に載置されている大束Aの所定結束位置でガイド溝13に平行で且つ載置台12に対し略垂直な平面に沿って、ゆっくりと大束Aの所定結束位置へと落下する。
また、保持機構9は、図7に示すように、結束空間7の前部の左右側方位置(投入口10とループガイド151との間のループガイド151の左右側方付近)に設けられて、載置台12の載置面に長手方向を左右に向けて載置された被結束物である大束Aの載置面に対して起立する側面の一つである大束Aの前面の左右側縁部付近を保持する一対の前押さえ18(側面保持体)と、載置台12の載置面に長手方向を左右に向けて載置された被結束物である大束Aの載置面に対して起立する側面の内の互いに隣接する二つの側面である大束Aの前面と左右側面が接する前面側左右の側辺にそれぞれ斜め側方から当接して該側辺を押さえる一対の側辺押さえ19(側辺保持体)を備え、また、図9に示すように、結束空間7の後部の左右側方部(ループガイド151の後方の左右側方部)に、大束Aの後面の左右側縁部付近を保持すると共に大束Aの左右側面の後方側縁部付近を保持する一対の後押さえ20を備え、また、結束空間7の後部で左右方向の中央付近(ループガイド151の後方で左右方向の中央付近)に、前後方向に進退可能で、前押さえ18と後押さえ20がそれぞれ保持位置から退避して開放位置にある時に図9に示すように大束Aを前面中央部付近と後面中央部付近とで挟み込む形で挟持固定し、載置台12の載置面に対して垂直な軸線を中心に大束Aを90度回転させる回転保持体22を備えている。
前押さえ18は、結束空間7の前部の左右側方位置に設置される前押さえ台座部185と、各前押さえ台座部185に保持された駆動モータ186と、各前押さえ台座部185の先端部分に載置台12の載置面に対して垂直な回転軸184を介して回転可能に設けられ、駆動モータ186で回転する前押さえ基部183と、大束Aの前面の左右側縁部付近の大束Aの高さ方向の略全域に当接して大束Aを前方から保持固定する前保持平面181を有し、各前押さえ基部183の先端側に取り付けられて、前押さえ基部183の回転により大束Aを前方から保持固定する前保持位置へ移動可能な前保持部材182とからなっている。
前押さえ18は、前押さえ基部183が、結束空間7の前部で前保持部材182の前保持平面181によって長手方向を左右に向けて載置された大束Aの前面の左右側縁部付近を保持固定するとともに、側辺押さえ部材182によって大束Aの前面側左右の側辺を保持固定する前保持位置と、結束空間7の左右側方部付近(ループガイド151左右側方付近)まで回動退避して、大束Aの前面と前面側左右の側辺を開放する前開放位置との間でほぼ90度の回動が可能で、駆動モータ186の回転力で大束Aの前面の左右側縁部付近を高さ方向の略全域に渡って保持する保持力を発生させている。
また、側辺押さえ19は、大束Aの側辺を保持するための側辺保持平面191を備える側辺保持部材192と、側辺保持部材192を載置台12の載置面に対して垂直な軸線で回動可能に軸支する回転軸193と、側辺保持部材192を大束Aの前面側左右の側辺へ向かう方向(結束空間7の前側から奥側へ向かう方向)へ回転させる方向へ付勢するバネ部材194とからなるもので、側辺保持部材192を回転可能に軸支する回転軸193が、前押さえ18の前保持部材182に支承されている。そして、前保持部材182が前固定位置へ移動したときに、側辺保持部材192の側辺保持平面191が大束Aの前面側左右の側辺に当接し、バネ部材194の付勢力で長手方向を左右に向けて載置された大束Aの前面側左右の側辺を押さえて保持固定する。
側辺保持部材192は、長手方向を左右に向けて載置された大束Aの前面側左右の側辺に当接する際に、大束Aの前面側左右の側辺の位置に応じて、バネ部材194の付勢力により、あるいは付勢力に抗して回転し、大束Aの前面側左右の側辺を側辺保持平面191上で滑らせるようにして移動する。そのため、載置台12の載置面に載置した大束Aの装置本体前側から見て左右の長さが種々異なっても、側辺保持平面191の一部で大束Aの前面側左右の側辺を高さ方向の略全域に渡って保持固定することができる
なお、この実施形態では、前押さえ18の前保持部材182は、前押さえ基部183に固定しているが、これは、被結束物が紙幣束である場合、現紙幣は金種によらず短辺側の幅寸法が同一であるためで、短辺側の幅寸法が種々異なる被結束物を結束するのに使用する場合は、前保持部材182を、載置台12の載置面に対して垂直な軸線の回転軸により前押さえ基部183に回転可能に軸支すると共に、前保持部材182を被結束物の前面の左右側縁部付近へ向けてバネ部材で付勢するようにしてもよい。そうすることで、被結束物の前後(奥行き)方向の幅寸法に合わせて前保持部材182を回転させ、前固定位置で常に被結束物の前面の左右側縁部付近を高さ方向の略全域に渡って保持するようにできる。
その際、前保持部材182の回転可能範囲は、前保持部材182の前保持平面181が、前押さえ基部183が前固定位置に位置した時に、前後方向の幅寸法が最も小さい種類の被結束物の前面側の左右側縁部付近を高さ方向の略全域に渡ってしっかりと保持可能なように、前後方向の幅寸法が最も短い種類の被結束物の前面と前保持平面181がほぼ平行になる位置から、結束空間7の前側(投入口側)へ向けて回動可能とする。これにより、駆動モータ186の回転で前押さえ基部183を前保持位置と前開放位置へ選択的に回転移動させることができると共に、前保持位置へ回転移動した時に、バネ部材の付勢力によって前保持部材182を被結束物の前面の左右側縁部付近を高さ方向の略全域に渡って押圧保持することができ、被結束物の前後(奥行き方向)の幅寸法によっては、バネ部材の付勢に対抗して前保持部材182を前方側にいくらか回転させるようにして、被結束物の奥行き方向の幅寸法の大きさが種々異なっても、前保持位置では前保持平面181の一部で被結束物を前面側からしっかりと保持できるようになる。
また、左右の後押さえ20は、それぞれ、後端部を回転可能に軸支された後押さえ基部204と、その後押さえ基部204の前端部に前後に並ぶ配置で取り付けられた3枚の板バネからなる後保持部201とを有する。後保持部201の3枚の板バネは、一番前側の板バネが、長手方向を左右に向けて載置された大束Aの左右両側面の後縁部付近を高さ方向の略全域に渡って板バネの先端部で板バネの反発力により押圧保持する後側方保持部材202であり、その後側の板バネが、後側方保持部材202よりも結束空間7の中央に近い位置まで突出して、板バネ材の前側平面部分で大束Aの後面の左右側縁部付近を高さ方向の略全域に渡って板バネの反発力により押圧保持する後面保持部材203であり、一番後側の板バネが、大束Aを長手方向を左右に向けた状態から90度回転させ後の大束Aの左右側面(長辺側の側面)の後縁部付近に当接する位置まで突出して、その90度回転させ後の大束Aの左右側面の後縁部付近を高さ方向の略全域に渡って板バネの先端部で板バネの反発力により押圧保持する長手後押さえ部材205である。
そして、これら左右の後押さえ20は、通常は、後方の後保持位置で待機していて、回転保持体22が前進するときに、回転保持体22の前進に合わせて徐々に左右の後押さえ基部204の前端部の互いの間隔が開いていって、回転保持体22の回転動作時の邪魔にならない開放状態となる後開放位置(大束Aを90度回転させる時に、後側方保持部材202と後面保持部材203がぶつからない位置まで左右外方向へ開いた位置)に移動し、回転保持体22の後退に合わせて徐々に左右の後押さえ基部204の前端部の互いの間隔が狭まっていって、大束Aの後部を保持する後保持位置に移動するように、左右の後押さえ基部204が回転固定体22とリンク部材(図示せず)でリンク結合されている。つまり、左右の後押さえ基部204に、前端側へいくにしたがって徐々に結束空間7の中央側へ曲がったリンク溝(図示せず)が形成されて、このリンク溝に両端が嵌まり込んだリンク部材の中央部が回転固定体22に取り付けられ、回転固定体22の前進に合わせて後開放位置に移動し、後退にあわせて後保持位置に移動するようになっている。
駆動モータ225の動作によって回転保持体22が後退すると、それに伴って後押さえ基部204の前端部が結束空間7の中央側へ移動して左右から閉じていき、後側方保持部材202の先端部が大束7の長辺側の左右両側面の後縁部付近の高さ方向の略全域に当接すると共に、後面保持部材203の平面部が大束Aの後面の左右側縁付近の高さ方向の略全域に当接する後保持位置となり、また、駆動モータ225の動作によって回転保持体22が前進すると、それに伴って後押さえ基部204の前端部が結束空間7の左右側方側へ移動して開いていき、後側方保持部材202の先端部が大束Aの長辺側の左右両側面の後縁部付近の高さ方向の略全域から離れると共に、後面保持部材203の平面部が大束7の後面の左右側縁付近の高さ方向の略全域から離れて、大束7の後部を開放し、回転保持体22の回転動作時の邪魔にならない後開放位置となる。
被結束物である大束Aを載置台12の所定位置へ置く際には、後押さえ20は後保持位置で待機していて、大束Aの位置決め用ガイドを兼ねるため、スムーズに大束Aを所定位置へ載置することができる。
後面保持部材203は、後押さえ20が後保持位置にあるときに、大束Aの後面の側縁部付近を保持する前側平面部分が、結束空間7の所定位置(長手方向を左右に向けて載置される大束Aの短辺と直交する長手方向の中心線と、ループガイド151の搬送路152のループ中央線とが、載置台12の載置面に対する同一の左右方向垂直平面上に位置する場所)に載置される大束Aの後面に当接する位置に設けられる。これにより、被結束物である大束Aを長手方向を左右に向けて載置台12の載置面に載置する際に、大束Aを左右の後側方保持部材202の間に嵌め込むようにして後面保持部203に押し当てて載置台12に載置することで、大束Aの長手方向の中央部分がガイド溝13の位置となる所定位置へ載置することができる。
後面保持部材203と後側方保持部材202は、板バネでできているため、結束する大束Aの寸法が多少異なっていても板バネの弾力で変形し反発力によって大束Aの後面の側縁付近と左右側面の後縁付近をそれぞれ押圧保持できる。
回転保持体22は、図10に示すように、載置台12の載置面に対して垂直な軸線を有する回転軸221を中心に90度回転する回転保持基部222と、回転保持基部222を前後に移動させる駆動モータ225と、回転保持基部222の後側に固定されて、回転保持基部222が前進した時に、載置台12の載置面に長手方向を左右に向けて載置された被結束物である大束Aの後面中央部付近に当接する後保持部材223と、回転保持基部222の前側に上下方向へ回動可能に取り付けられて、通常は、図10に破線で示すように上方へ退避した位置にあって、回転保持基部222が前進して、後保持部材223が大束Aの後面中央部付近に当接した後、モータ(図示せず)の回転により下方へ回動して大束Aの前面中央部付近に当接して大束A挟持固定する前保持部材224とからなっている。
大束Aは、まず、載置台12の載置面に長手方向を左右に向けて載置し、長手方向の中心線に沿って結束帯Bで結束する。そして、大束Aの長手方向の中心線に沿った結束が終了すると、前押さえ18を前押さえ基部183が前保持位置から退避して前開放位置へ移動させ、回転保持体22を駆動モータ225によって前進させて、後保持部材223を大束Aの後面中央部付近に当接させる。それに伴い、後押さえ20は回転保持体22の前進移動に連動して後保持位置から退避して後開放位置に移動する。そして、回転保持体22の前保持部材224を上方の退避位置から下方へ回動させて大束Aの前面中央部付近に当接させ、前保持部材224と後保持部材223とで大束Aを挟持固定し、その後、回転軸221を回転させて大束Aを90度回転させる。そして、前保持部材224を上方向へ回転移動させて大束Aの前面中央部を開放し、回転保持体22を再び後方へ退避させる。そうすることで、後押さえ20が後保持位置へと移動し、大束Aは、90度回転して、載置台12の載置面に長手方向を前後に向けて載置された状態となる。このとき、後押さえ20の後押さえ基部204に取り付けてある長手後押さえ部材205によって、90度回転させ後の大束Aの左右側面の後縁部付近が高さ方向の略全域に渡って押圧保持され、位置ズレが防止される。
また、切断溶着機構8は、上記のように載置台12のガイド溝13の左右方向の中央部付近に位置するゲート機構15の切欠穴16の下方に設けられ、ゲート機構15により形成された結束帯Bのループを巻き戻して大束Aの周囲に密着させた後、切断および溶着を行うもので、図11に示すように、結束帯Bの溶着を行うヒータ24と、結束帯Bの切断を行うカッター23と、結束帯Bを押さえて保持する第1押さえ部材25、第2押さえ部材27および第3押さえ部材28と、結束帯巻き戻し時に結束帯Bに接触する最外層及びその近傍の紙幣の端面がめくれるように折り曲がる現象(コバ折れ)を防止するよう結束帯Bを挟んで大束Aの底面端部付近を押圧する下押さえ40(押圧機構)と、これらを駆動する駆動モータ29と、駆動モータ29により回転し、第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、下押さえ40、第3押さえ部材28、ヒータ24およびカッター23をそれぞれの動作タイミングで駆動させる駆動偏心カム30a〜30eを有するカム駆動機構30とからなっている。そして、結束帯Bを下部搬送路303からループガイド151の左下端部へと導く間の搬送経路に、下部搬送路303側から、第1押さえ部材25および第3押さえ部材28、カッター23、ヒータ24、第2押さえ部材27、下押さえ40の順に並んでいる。
また、載置台12のガイド溝13の位置には、後方から前方へ進退可能に突出する第1仕切り板31と第2仕切り板32が設けられている。第1仕切り板31と第2仕切り板32が共に前方へ突出したとき、これら2つの仕切り板31、32とガイド溝13とで、ループガイド151の右下端部から送り出される結束帯Bを切欠孔6の中央部まで案内してループ状にするためのガイドの一部が形成される。また、結束動作前や結束完了後で、切断溶着機構8が動作を行わないときには、外部から結束機構2を触れることができないように、第2仕切り板32がガイド溝13の下方で前方に突出し、安全蓋の役目をする。
第1押さえ部材25は、上下方向にスライド移動可能で、第1押さえ部材25上面部と第1仕切り板31の下面とで、ループガイド151の右下端部から送り出された結束帯Bの先端部近傍を挟持することで保持固定することができる。
また、第1押さえ部材25には、下部搬送路303から送られてきた結束帯Bを通過させる結束帯テープ通路26が形成されている。下部搬送路303側から送られてきた結束帯Bは、この結束帯通路26を通過し、カッター23、ヒータ24および第2押さえ部材27の上方で第2仕切り板32との間を通過して、ループガイド151の左下端部へと送り込まれ、ループガイド151内の搬送路152に沿って送られて、先端部がループガイド151の右下端部から第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方となる位置まで送り出され、結束帯Bの、第1押さえ部材25の結束帯通路26の搬送方向下流側で第1押さえ部材25と第2押さえ部材27の間に位置している部分と、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方となる位置まで送り出された先端部とが重畳した状態でループを形成する。
第3押さえ部材28は、第1押さえ部材25の結束帯通路26内に上下方向へスライド移動可能に設けられており、第3押さえ部材28が上昇したときに、第1押さえ部材25内の結束帯通路26の天井部と第3押さえ部材28の上面とによって、結束帯通路26内で結束帯Bの上流側部分が挟持されて保持固定される。
第2押さえ部材27は、上下方向にスライド移動可能で、第2押さえ部材27の上面と第1仕切り板31の下面とで、ループガイド151の右下端部から送り出されて第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方に位置している結束帯Bの先端部と、下部搬送路303からループガイド151の左下端部へ向けて送り出されて第1押さえ部材25の結束帯通路26の搬送方向下流側で第1押さえ部材25と第2押さえ部材27の間に位置している部分とを重ね合わせた状態で挟持して保持固定する。
ヒータ24は、上下方向へスライド移動可能で、結束帯Bの重畳している部分を第1仕切り板31の下面との間に挟持するようにヒータ24を押し付け、ヒータ24の熱によって結束テープBを溶着することができるようになっている。
カッター23は、上下方向へスライド移動可能で、第1押さえ部材25と第3押さえ部材28で挟持されている部分と、第2押さえ部材27と第1仕切り板31とで挟持されている部分で結束帯Bを、第1押さえ部材25に近接する位置で押し切って切断することができるようになっている。
なお、第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、下押さえ40、第3押さえ部材28、ヒータ24、およびカッター23の上下方向とは、装置本体1の奥側に向かって下方へ傾斜する載置台12の載置面に対し垂直な方向という意味である。
これら第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、下押さえ40、第3押さえ部材28、ヒータ24、およびカッター23は、カム駆動機構30のそれぞれの駆動偏心カム30a〜30eに駆動連結されている。
そして、図12の(a)に示す結束待機状態で、スタートボタン35が押されて、駆動モータ29により駆動されて駆動偏心カム30が回転することにより、図12の(b)に示すように、第1押さえ部材25が上方へスライド動作して(このとき、第2仕切り板32は後退する)、ループガイド151の右下端部から送り出される結束帯Bの先端部近傍をループガイド151の右下端部近傍で保持する。
そして、ループガイド151が開放された後、結束帯Bが巻き戻されるのに先立って、図12の(c)に示すように、下押さえ40と第2押さえ部材27が一体に上方へスライド動作して第1段階の上昇位置まで上昇して、第2押さえ部材27は大束Aの底面との間に結束帯Bを引き戻し可能な隙間を残した状態で、下押さえ40のみが、結束帯Bを挟んだ状態で大束Aの底面端部付近を押圧する。この状態で結束帯Bが巻き戻され、巻き締められる。
そして、結束帯Bが巻き戻された後、さらに駆動モータ29が回転し、駆動偏心カム30が回転することにより、図12の(d)に示すように、下押さえ40と第2押さえ部材27がさらに上方へスライド動作して、第2段階の上昇位置まで上昇し、ループを形成している結束帯Bの先端部と、その下方で重畳する結束帯Bを重ね合わせた状態で保持する。その際、下押さえ40の上部(プレート部402、ベアリング部408)は、既に結束帯Bを挟んで大束Aの底面に当接しているので、連結バネ403が圧縮され、第2押さえ部材27が結束帯Bを挟んで大束Aに底面に当接する位置までスライド上昇する。
そして、さらに駆動偏心カム30の回転が続くことにより、図12の(e)に示すように、第3押さえ部材28が上方へスライド動作して、第1押さえ部材25のテープ通路26内で結束帯Bを保持固定する。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転することにより、図12の(f)に示すように、カッター23及びヒータ24が上方へスライド動作して、切断および溶着が行われ、最後に切断溶着機構8の全ての部材が下方へスライド移動するという順番となり、駆動偏心カム30を駆動モータ29によって動作させることで、順番に切断溶着機構の動作を行わせることができる。
下押さえ40は、第2押さえ部材27と共に、駆動モータ29により回転するカム駆動機構30の同一の駆動偏心カム30eによって上下方向に第1段階と第2段階の二段階にスライド移動可能である。そして、そのスライド移動による第1段階の上昇位置では、第2押さえ部材27は大束Aの底面との間に結束帯Bを引き戻し可能な隙間を残して、結束帯巻き戻し時のコバ折れを防止するために、下押さえ40のみが、結束帯Bを挟んだ状態で大束Aの底面を押圧する。そして、第1段階の上昇位置よりさらに上昇した第2段階の上昇位置では、下押さえ40と第2押さえ部材27とが、共に、結束帯Bを挟んだ状態で大束Aの底面を押圧する。また、結束帯送り出し時は、下押さえ40は下方へ退避させる。
この結束装置では、紙幣の大束Aが、上押さえ17と前押さえ18および側辺押さえ19と後押さえ20とで、載置台12の所定位置に保持固定された状態で、ループガイド151の右下端部から送り出されている結束帯Bの先端部近傍がループガイド151の右下端部近傍で、第1押さえ部材25により第1仕切り板31との間に保持固定された後、ループガイド151が開放されて、結束帯Bが引き戻されることで、大束Aに巻き回されている結束帯Bが巻き締められる。その際、巻き締められる結束帯Bが大束Aに密着して動くと、摩擦により、大束Aの最下層及びその近傍の紙幣の、巻き戻し方向前側(図では左側)の端部に、めくり分力が作用し、それがコバ折れ(結束テープBに接触する最外層及びその近傍の紙幣の端面がめくれるように折り曲がる現象)が発生する要因になる。
このコバ折れを防止するために、下押さえ40が設けられている。巻き締め時には、下押さえ40が第1段階の上昇位置に保持されて、結束帯Bを挟んだ状態で大束Aの底面を押圧することにより、大束Aの最下層の紙幣の、巻き戻し方向前側(図では左側)の端部に作用するめくり方向の分力を極力小さくし、コバ折れの発生を防止することができる。
この実施形態では、下押さえ40は、第2押さえ部材27と一体に構成されている。下押さえ40は、第2押さえ部材27を含む切断溶着機構8とは別の独立した機構としてもよく、駆動機構も独立したものとしてもよいが、この実施形態のように下押さえ40を第2押さえ部材27と一体に構成し、第2押さえ部材27を含む切断溶着機構8の一部として、一つの駆動源(駆動モータ29)により駆動することで、駆動機構を簡略化できる。
下押さえ40(ガイド機構)は、詳細には、例えば図13に示すように、ベース部401とプレート状の平面ガイド部402とを、一対の圧縮バネ403を挟んで連結した構造とされている。
圧縮バネ403は、ベース部401のビス穴409とプレート部402のビス穴410から内側に向けて挿通したビス414により位置決めされている。
そして、ベース部401には、上部前後に、垂直に起立した一対の折り曲げ部404が形成され、その前後一対の折り曲げ部404に、支持軸405(回転中心軸)が挿通されている。
そして、前部カバー406及び後部カバー407には、中央部に上向きに開口した切欠411が形成され、前部カバー406と後部カバー407は、それらの切欠411に支持軸405の両端を挿入した状態でベース部401に取り付けられている。
そして、それら前部カバー406及び後部カバー407は、それぞれ上部が水平方向に折り曲げられており、平面ガイド部402の上部のネジ穴412から挿通されたネジ413によって、平面ガイド部402に連結固定されている。
また、前部カバー406及び後部カバー407には、それぞれ、一端側が相互に対向して斜め上方へ延設部が設けられ、それら延設部が対向し、複数個(図の例では5個)のローラからなるベアリングガイド部408を回転可能に軸支している。
平面ガイド部402は、圧縮バネ403によりベース部401に対して上方向に付勢され、切欠411と軸405の係合により規制されているだけで、支持軸405を中心に回動可能であり、切欠411に沿って上下にスライド可能で、また、前後方向にも揺動可能である。
ループガイド151の下方端部付近には、内側ループガイド153及び外側ループガイド154に、下押さえ40がスライド移動するときにループガイド151が干渉しないよう、下押さえ40を通過させるのに十分な大きさの通し穴155が形成されている(図3参照)。
通常動作では、下押さえ40が第1段階の上昇位置にスライド移動するとき(図12の(c)の状態)には、ループガイド151は、内側ループガイド153は前方へスライド移動されて、ループガイド151が開放した状態となり、下押さえ40と内側ループガイド153が干渉することはないため、内側ループガイド153の通し穴155は必要でなく、外側ループガイド154のみに通し穴155があればよい。しかし、下押さえ40の動作テスト等のために、ループガイド151が閉鎖された状態でも下押さえ40をスライド移動させたい場合がある。そのため、内側ループガイド153にも通し穴155が形成されている。
そして、その通し穴155は、結束テープBが、ループガイド151に送り出される時に、引っかからないでスムーズに搬送路152に入るように、テープ送り出し方向の先端側の穴端部が、送り出し時のテープ進行方向に尖がった形状とされている。そして、この通し穴155の形状に合わせて、下押さえ40のプレート部402が形成されている。
下押さえ40及び第2押さえ部材27をスライド移動させるカム駆動機構30のカム30eは、第1段階と第2段階のスライド移動を行うためにカム面の高さが二段階に形成されており、下押さえ40は、第2押さえ部材27と共に、カム30eによって、上下方向に第1段階と第2段階の二段階にスライド移動可能となっている。
巻き締め時に紙幣の端部折れ(コバ折れ)を防止するためには、下押さえ40によって大束Aの底面端部を確実に押圧し、結束帯Bの引っ張り方向を可能な限り水平方向に維持する必要がある。その反面、結束帯Bと下押さえ40との摩擦力および結束帯Bと大束Aとの摩擦力が、結束帯Bの巻き戻し力を上回らないようにする必要もある。これらの条件を満たすように、第1段階の上昇位置および下押さえ40の連結バネ403の強さ等が調整される。
下押さえ40(ガイド機構)及び第2押さえ部材27の動作は基本的に図14に示すとおりである。なお、図14は、基本動作を説明する模式図であって、機構自体は簡略化して記載している。
図14の(a)に示すように、結束帯Bが送り出される時は、下押さえ40及び第2押さえ部材27は、大束Aの底面との間に結束帯を自由に通すよう下方に下がった退避位置にある。
そして、カム30eが回転すると、図14の(b)に示すように、下押さえ40及び第2押さえ部材27は、カム30eの第1段階のカム面により押し上げられてスライド移動し、第1段階の上昇位置に保持されて、第2押さえ部材27は大束Aの底面との間に結束帯Bを引き戻し可能な隙間を残し、下押さえ40のみが、結束帯巻き締め時のコバ折れを防止するよう、結束帯Bを挟んだ状態で大束Aの底面を押圧する。大束Aを一周した結束帯Bが、先端部が第1押さえ部材25(図示せず)により保持された状態で、巻き締めのために巻き戻される。
そして、カム30eがさらに回転すると、図14の(c)に示すように、下押さえ40及び第2押さえ部材27は、カム30eの第2段階のカム面により押し上げられてスライド移動し、第1段階の上昇位置よりさらに上昇した第2段階の上昇位置に保持されて、下押さえ40と第2押さえ部材27とが、共に、結束帯Bを挟んだ状態で大束Aの底面を押圧する。
なお、図14は上記のように簡略化して記載した模式図であって、この実施形態における結束装置の下押さえ40及び第2押さえ部材27の構造は、詳細には、図11〜図13に示すとおりであり、下押さえ40については、平面ガイド部402に対して段差をもってベアリングガイド部408が設けられた構造であって、紙幣の大束Aを長手方向と短手方向に十字結束する場合に、長手結束時は、下押さえ40を平面ガイド部402とベアリングガイド部408を2箇所で結束帯Bを挟んで大束Aの底面に接触させ、また、短手結束時は、結束帯Bを挟んでベアリングガイド部のみを大束Aの底面に接触させるのであり、いずれの場合も、下押さえ40は単に平面的に押さえるようにはならない。
下押さえ40は、コバ折れ対策としては、平面的に押さえることで事足りるが、単に平面的に押さえたのでは、摩擦力が大きくなって、結束帯Bを巻き戻せなくなる恐れがある。特に、下押さえ40(ガイド機構)が、図14のように、単に大束Aの底面と平行なガイド面を有するだけのものであると、長手結束と短手結束の両方に対応させようとしたときに、長手結束の際の接触面積が一段と大きくなり、摩擦力が大きくなって、結束帯Bを巻き戻せなくなる。そこで、下押さえ40は、大束Aの底面と平行なガイド面を有する平面ガイド部402と、複数個のローラからなるベアリングガイド部408を設けたものとし、この二つを段差をつけて配置することで、長手結束時には、図15の(a)に示すように、下押さえ40(ガイド機構)を平面ガイド部402とベアリングガイド部408の2箇所で接触させ、短手結束時には、図15の(b)に示すように、ベアリングガイド部408のみで一箇所で回転接触して押さえるようにしている。なお、図15は、基本動作を説明する模式図であって、機構自体は簡略化して記載している。
また、下押さえ40は、平面ガイド部402とベアリングガイド部408が、圧縮バネ403の伸縮により上下にスライド可能で、前後にも揺動可能であることにより、大束Aの最下層の紙幣底面の位置に追従して、フレキシブルに押さえることができるようになっている。そのため、下押さえ40が大束Aの最下層の紙幣底面に追従してフレキシブルにスライド移動し、紙幣の質によって最下層の紙幣底面の位置が変動するのに対応して、大束Aの底面との間に結束帯巻き戻しのための適正な間隔を保持することができる。また、ベアリングガイド部408が回転接触することで、結束帯Bの表面凹凸による騒音の発生を抑制することができる。
上押さえ17は、図16に示すように、横長板状の本体部171の上部を補強のために折り返した構造とされたもので、下辺が紙幣の大束Aの上面に当接するよう形成されている。そして、その下辺は、全体として略水平で、中央に、被結束物である大束Aの最大長さよりやや小さい幅にわたって、水平部と曲線部からなる実質なだらかな曲線状の、湾曲して上方に後退した凹部172が形成されている。そして、上押さえ17には、凹部172の、結束帯Bの巻き締め時に最上層及びその近傍の紙幣の巻き戻し方向後側に当接する側の端部近傍(図では右側の端部)に、凹部172から更に上方に後退した第1の切欠部173が形成され、その同じ端部近傍で、第1の切欠部173と間隔を隔てた内側の位置に、凹部172から更に上方に、第1の切欠部173よりも更に後退した第2の切欠部174が形成されている。
これら第1の切欠部173及び第2の切欠部174を有する凹部172の具体的仕様は、例えば、現在の日本銀行券を扱う結束装置の場合、第1の切欠部173は、横幅aが17mmで、下辺からの後退幅bが4mm、第1の切欠部173と第2の切欠部174との間の接続部175は、横幅cが24mmで、下辺からの後退幅dが2mm、第2の切欠部174は、横幅eが13mmで、下辺からの後退幅fが6mm、残りの凹部172の幅gは93mで、凹部172全体の幅hが149mmである。
この場合、大束Aを横方向に置いたとき(長手結束時)は、図4の(a)に示すとおりで、大束Aの上面右端は、上押さえ17の下辺に対し、第1の切欠部173より右側6mm程度の位置に当接する。そして、大束Aの上面左端の当接位置は、1万円券(横幅160mm)の場合は凹部172の左端から左側へ5mmの位置、5千円券(横幅156mm)の場合は凹部172の左端から左側へ1mmの位置、千円券(横幅150mm)の場合は凹部172の左端から右側へ5mmの位置となる。
また、大束Aを縦方向に置いたとき(短手結束時)は、図4の(b)に示すとおりで、大束Aの上面右端は、上押さえ17の下辺に対し、第2の切欠部174より右側6mm程度の位置に当接する。そして、大束Aの上面左端の当接位置は、凹部172左端から右側へ36mmの位置となる。現在の日本銀行券は、すべての金種で縦幅は共通(76mm)である。
結束帯Bが巻き戻される時に、結束帯Bが大束Aに密着して動くと、大束Aには、最下層及びその近傍の巻き戻し方向前側(図では左側)の紙幣端部だけでなく、最上層及びその近傍の巻き戻し方向後側(図では右側)の紙幣端部にも、摩擦力によって、めくり方向の分力が作用する。そして、上押さえ17に第1の切欠部173及び第2の切欠部174が無いと、図17の(a)に示すように、一対の上押さえ17によって、紙葉束(大束A)を圧縮することで、図17の(b)に示すように、一対の上押さえ部材17の間で、上面側の紙幣束が上押さえ17に沿って結束帯Bの長手方向に紙幣束の端部まで盛り上がり、最上層及びその近傍の紙幣の端部がめくれやすい状態となる。それがコバ折れの要因となる。
この実施形態では、このような紙幣束(大束A)の最上層及びその近傍の巻き戻し方向後側の紙幣端部にコバ折れが発生するのを、上記第1の切欠部173及び第2の切欠部174を有する上押さえ17の形状によって防止している。
図17の(c)に示すように、一対の上押さえ17によって、紙葉束(大束A)を圧縮すると、図17の(c)に示すように、紙幣束表面の端部付近が盛り上がって、結束帯Bと交差する方向の凸条が形成される。これにより、紙幣束表面が、結束帯の長手方向に盛り上がるのを防止することができ、図17の(d)に示すように、紙幣束端部を圧縮状態に維持することができて、コバ折れを防止できる。
第1の切欠部173及び第2の切欠部174は、各切欠部の両端が、それぞれ第1の圧縮部及び第2の圧縮部を構成している。そして、それら第1の切欠部173及び第2の切欠部174の、それぞれの両端が構成する第1の圧縮部と第2の圧縮部は、図17の(c)に示すように、段差sがあり、圧縮開始時に、第1の圧縮部が第2の圧縮部より先に紙葉表面に接触する。そのため、先に接触する第1の圧縮部によって紙幣に撓みが生じ、その撓みが、後で接触する第2の圧縮部との間で挟まれる状態になって、結束帯と交差する方向の凸条が形成されやすくなる。
また、このように段差sがあることで、第1の圧縮部による圧縮量が第2の圧縮部による圧縮量より大きくなる。そのため、第1の圧縮部による圧縮で紙葉端部から内側へ向けて撓みが生じ、その撓みが、内側の第2の圧縮部によって挟まれる形となるため、結束帯と交差する方向の凸条が一層形成されやすくなる。
そして、紙幣束端部の角部分に集中的に力が加わるため、圧縮量が大きくなり、結束力が増大する。
また、圧縮部材を構成する上押さえ17が、結束帯の両側辺に沿って平行な配置で、一対設けられていることで、結束帯Bと交差する方向の凸条が形成されやすくなる。
また、こうして紙幣束上面端部のコバ折れ防止を、ガイド等の別部材を設けることなく、上押さえ17を利用して行えるため、部材追加によるコストアップを回避できる。
なお、図17は、基本動作を説明する模式図であって、第1の機構自体は簡略化して記載している。また、図17の(c)及び(d)は、第2の切欠部174の動作を示すものであるが、長手結束時の場合の第1の切欠部173の動作もこれと同様である。
この実施形態の結束装置は、結束動作のモードとして、通常モードと低速モードを有し、それらを設定で切替えることが可能になっている。以下、通常モードと低速モードのそれぞれの基本的な動作を説明する。
通常モードでは、装置本体1上部前面の電源ボタン33を押すと、収納部301から所定長さだけ結束帯Bが、駆動ローラ308によって送り出されて貯留部302へ貯留され、更に、下部搬送路303を駆動ローラ307によって搬送されて、結束帯Bの先端部が第1押さえ部材25の結束帯通路26を通過し、カッター23、ヒータ24、第2押さえ部材27の上方で第2仕切り板32との間を通過して、ループガイド151の左下端部からループガイド151に送り込まれる。
そして、その結束帯Bは、ループガイド151の左下端部から、左側方部、上方部、右側方部、右下端部へと送り込まれて、ループガイド151の右下端部から、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間のガイド溝13で、第2押さえ部材27の上方付近の位置まで結束帯Bの先端部が送られ、その時点で駆動ローラ307、308が停止する。これにより、第1押さえ部材25の結束帯通路26の搬送方向下流側で第1押さえ部材25と第2押さえ部材27の間に位置している部分と、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方となる位置まで送り出された先端部とが重畳した状態でループが形成される。これで結束可能な状態となる。そして、結束可能であることを表示部34の表示やランプ等で知らせ、結束待機状態に入る。図2の(a)は、この結束待機状態を示している。
結束待機状態で、利用者は、紙幣の束を上下方向に積み重ねた状態の大束Aを、大束Aの長手方向を左右に向けて、後押さえ20の左右の後側方保持部材202の間で後面保持部材203に当接させて載置台12の所定位置(ガイド溝13に大束Aの長手方向の中心線が重なる位置)に載置する。そして、結束スタートのスタートボタン35を押下する。
すると、ゲート機構15のユニットの上部にある上押さえ17が降下して、大束Aを上方から押圧保持すると共に、結束空間7の前部にある前押さえ18の前押さえ基部183が回転して、前保持部材182により大束Aの前面の側縁付近を高さ方向の略全域に渡って保持し、前押さえ18に付設されている側辺押さえ19が大束Aの前面側の左右側辺を高さ方向の略全域に渡って保持する。こうして、上押さえ17と、前押さえ18および側辺押さえ19と、後押さえ20とによって、大束Aが所定位置に保持固定される。
こうして大束Aが保持固定されると、第2仕切り板32を後退させて、切欠穴16の下方を開放しつつ、駆動偏心カム30を回転させて第1押さえ部材25を上昇させ、ループガイド151の右下端部から送り出されている結束帯Bの先端部近傍をループガイド151の右下端部近傍で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定し、その後、ループガイド151の内側ループガイド153を前方へスライド移動させてループガイド151を開放する。
すると、ループガイド151内の結束帯Bは自重で外側ループガイド154の後方側の側壁に案内されながら、大束Aの結束位置へゆっくり降下し始める。そのときに、装置本体1下部のテープ保留部302と装置本体1上部の結束機構2の間の下部搬送路303の駆動ローラ307によって、ループを形成している結束帯Bを送り出し方向上流側へ引き戻す。すると、結束帯Bは、先端部が第1押さえ部材25によって保持固定されている状態で引き戻されることにより、大束Aの周囲の結束帯Bのループ径が小さくなって、大束Aの周囲に密着する。図2の(b)は、この結束帯Bを引き戻す動作を示している。
その後、さらに駆動偏心カム30が回転することによって、第2押さえ部材27が上昇し、ループを形成している結束帯Bの先端部と、その下方に重畳する結束帯Bを重ね合わせた状態で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定し、さらに駆動偏心カム30が回転して、第3押さえ部材28が上昇し、第1押さえ部材25のテープ通路26内で結束帯Bを結束帯通路26の天井部と第3押さえ部材28との間に挟持して保持固定する。これにより、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間で、結束帯Bが緊張した状態で保持固定される。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転することにより、カッター23が上昇して、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間の、第1押さえ部材25の近傍位置で、結束帯Bが切断され、次いで、ヒータ24が上昇して、切断されて送り出し方向上流側から切り離されたループ状の結束帯Bの送り出し方向上流側の端部と、その上方に位置する結束帯Bの先端部との重畳部分をヒータ24の熱により溶着固定する。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転して、第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、第3押さえ部材28、ヒータ24、カッター23をそれぞれ降下させて、結束テープBを開放し、その後、第1仕切り板31を結束帯Bと大束Aの下面との間から引き抜く。そして、前押さえ18を回転させて前開放位置へ移動させると共に、上押さえ18を上昇させて、大束Aを開放する。これで、大束Aの長手方向の結束が完了する。
その後、内側ループガイド153を後側へスライド移動させてループガイド151を閉鎖し、ループガイド151の搬送路152を形成すると共に、第1仕切り板31を突出させて切欠穴16を塞ぎ、第2仕切り板32も突出させて、第1仕切り板31と第2仕切り板32とで切欠穴16の部分にループガイド151の右下端部から続く搬送路を再び形成する。
つぎに、さらに大束Aの長手方向の中央部において短辺に沿った方向の結束を行う場合は、まず、長手方向の結束の場合と同様に、収納部301から所定長さだけ結束帯Bが、駆動ローラ308によって送り出されて貯留部302へ貯留され、更に、下部搬送路303を駆動ローラ307によって搬送されて、結束帯Bの先端部が第1押さえ部材25の結束帯通路26を通過し、カッター23、ヒータ24、第2押さえ部材27の上方で第2仕切り板32との間を通過して、ループガイド151の左下端部からループガイド151に送り込まれる。
そして、その結束帯Bは、ループガイド151の左下端部から、左側方部、上方部、右側方部、右下端部へと送り込まれて、ループガイド151の右下端部から、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間のガイド溝13で、第2押さえ部材27の上方付近の位置まで結束帯Bの先端部が送られ、その時点で駆動ローラ307、308が停止する。これにより、第1押さえ部材25の結束帯通路26の搬送方向下流側で第1押さえ部材25と第2押さえ部材27の間に位置している部分と、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方となる位置まで送り出された先端部とが重畳した状態でループが形成される。これで結束可能な状態となる。そして、結束可能であることを表示部34の表示やランプ等で知らせ、結束待機状態に入る。
そして、この状態で、回転保持体22を前進させ、それに伴って後押さえ20の後押さえ基部204を後開放位置まで回転移動させる。そして、回転保持体22の後保持部材223が大束Aの後面中央付近に当接したら、回転保持体22の前保持部材224を上方から下方へ大束Aの前面中央付近まで回転移動させて、前保持部材224と後保持部材223とで大束Aを挟持し、次いで、回転保持基部222を反時計回りに90度回転させて、大束Aの長手方向が前後に向くようにする。
そして、回転保持体22の前保持部材224を上方へ回転移動させて、90度回転前の前面であった大束Aの長手方向の右側面を開放しつつ、回転保持体22を後退させる。このとき、回転保持体22は回転保持基部222を時計回りに回転させつつ後退させ、後退しきったときには、回転保持基部222が90度時計回りに回転し終わって、元の向きとなる。
そして、回転保持部材22の後退に伴って、後押さえ20が後保持位置へと回転移動する。すると、後押さえ20の後押さえ基部204に設けてある長手後押さえ部材205の先端部が、90度回転後の大束Aの左右側面後方部に当接し、大束Aを左右から保持する。そして、ゲート機構15のユニットに組み込まれている上押さえ17が降下して、大束Aを上方から押圧固定する。そして、この状態で、長手方向の結束の場合と同様の結束動作が開始される。
つまり、第2仕切り板32を後退させて、切欠穴16の下方を開放しつつ、駆動偏心カム30を回転させて第1押さえ部材25を上昇させ、ループガイド151の右下端部から送り出されている結束帯Bの先端部近傍をループガイド151の右下端部近傍で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定し、その後、ループガイド151の内側ループガイド153を前方へスライド移動させてループガイド151を開放する。
すると、ループガイド151内の結束帯Bは自重で外側ループガイド154の後方側の側壁に案内されながら、大束Aの結束位置へゆっくり降下し始める。そのときに、装置本体1下部の結束帯保留部302と装置本体1上部の結束機構2の間の下部搬送路303の駆動ローラ307によって、ループを形成している結束帯Bを送り出し方向上流側へ引き戻す。すると、結束帯Bは、先端部が第1押さえ部材25によって保持固定されている状態で引き戻されることにより、大束Aの周囲の結束帯Bのループ径が小さくなって、大束Aの周囲に密着する。
その後、さらに駆動偏心カム30が回転することによって、第2押さえ部材27が上昇し、ループを形成している結束帯Bの先端部と、その下方に重畳する結束帯Bを重ね合わせた状態で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定し、さらに駆動偏心カム30が回転して、第3押さえ部材28が上昇し、第1押さえ部材25の結束帯通路26内で結束帯Bを結束帯通路26の天井部と第3押さえ部材28との間に挟持して保持固定する。これにより、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間で、結束帯Bが緊張した状態で保持固定される。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転することにより、カッター23が上昇して、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間の、第1押さえ部材25の近傍位置で、結束帯Bが切断され、次いで、ヒータ24が上昇して、切断されて送り出し方向上流側から切り離されたループ状の結束帯Bの送り出し方向上流側の端部と、その上方に位置する結束帯Bの先端部との重畳部分をヒータ24の熱により溶着固定する。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転して、第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、第3押さえ部材28、ヒータ24、カッター23をそれぞれ降下させて、結束帯Bを開放し、その後、第1仕切り板31を結束帯Bと大束Aの下面との間から引き抜く。そして、前押さえ18を回転させて前開放位置へ移動させると共に、上押さえ18を上昇させて、大束Aを開放する。これで、長手方向の中央部における短辺方向の結束が完了する。
その後、内側ループガイド153を後側へスライド移動させてループガイド151を閉鎖し、ループガイド151の搬送路152を形成すると共に、第1仕切り板31を突出させて切欠穴16を塞ぎ、第2仕切り板32も突出させて、第1仕切り板31と第2仕切り板32とで切欠穴16の部分にループガイド151の右下端部から続く搬送路を再び形成することで、結束待機状態に戻る。これで、長手方向の中心線に沿った結束と、長手方向の中央部における短辺方向の結束の両方が完了となる。
結束帯Bへの印字、押印については、設定により、大束Aを長手方向に結束する部分に印字、押印するか、長手方向の中央部において短辺方向の結束する部分に印字、押印するかを選択できるようになっていて、その選択内容によって、印字、押印するタイミングを変える。
長手方向に結束する部分に印字、押印する場合には、結束帯Bを最初にループガイド151に送り出す前に、印字、押印する所定位置において駆動ローラ307、308を停止させ、結束帯Bの搬送を止めて印字、押印する。
押印の場合は、スタンプ機構4のスタンプをスタンプ孔から突出させて結束帯Bに押印し、押印が終わったら、スタンプをスタンプ孔から退避させる。そして、押印終了後に結束動作を開始する。
また、印字の場合には、ソレノイド604によってプラテン板6を平面部602が印字ヘッド502側の搬送ガイド壁面と平行になるように接近させ、その後、印字ヘッド502を印字ヘッド孔505から結束テープBを挟んでプラテン板6に押し付けて、結束帯Bに印字する。そして、印字が終わったら、印字ヘッド502を印字ヘッド孔505から退避させ、ソレノイド604によりプラテン板6を回転移動させて、印字ヘッド502側の搬送ガイド壁面から遠ざけて、結束帯Bの厚み方向の印字部搬送路503の幅を確保する。そして、印字終了後に結束動作を開始する。
また、大束Aを長手方向の中央部において短辺に沿った方向の結束する部分に印字、押印する場合は、長手方向の結束動作が終了した後、短辺に沿った方向の結束動作のための結束帯Bをループガイド151に送り出す前に、印字、押印する所定位置において駆動ローラ307、308を停止させ、結束帯Bの搬送を止めて印字、押印する。
また、低速モードでは、通常モードと同じく、装置本体1上部前面の電源ボタン33を押すと、収納部301から所定長さだけ結束帯Bが、駆動ローラ308によって送り出されて貯留部302へ貯留され、更に、下部搬送路303を駆動ローラ307によって搬送されて、結束帯Bの先端部が第1押さえ部材25の結束帯通路26を通過し、カッター23、ヒータ24、第2押さえ部材27の上方で第2仕切り板32との間を通過して、ループガイド151の左下端部からループガイド151に送り込まれる。
そして、その結束帯Bは、ループガイド151の左下端部から、左側方部、上方部、右側方部、右下端部へと送り込まれて、ループガイド151の右下端部から、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間のガイド溝13で、第2押さえ部材27の上方付近の位置まで結束帯Bの先端部が送られ、その時点で駆動ローラ307、308が停止する。これにより、第1押さえ部材25の結束帯通路26の搬送方向下流側で第1押さえ部材25と第2押さえ部材27の間に位置している部分と、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方となる位置まで送り出された先端部とが重畳した状態でループが形成される。これで結束可能な状態となる。そして、結束可能であることを表示部34の表示やランプ等で知らせ、結束待機状態(図2の(a)に示す)に入る。
結束待機状態で、利用者は、紙幣の束を上下方向に積み重ねた状態の大束Aを、大束Aの長手方向を左右に向けて、後押さえ20の左右の後側方保持部材202の間で後面保持部材203に当接させて載置台12の所定位置(ガイド溝13に大束Aの長手方向の中心線が重なる位置)に載置する。そして、結束スタートのスタートボタン35を押下する。
すると、ゲート機構15のユニットの上部にある上押さえ17が降下して、大束Aを上方から押圧保持すると共に、結束空間7の前部にある前押さえ18の前押さえ基部183が回転して、前保持部材182により大束Aの前面の側縁付近を高さ方向の略全域に渡って保持し、前押さえ18に付設されている側辺押さえ19が大束Aの前面側の左右側辺を高さ方向の略全域に渡って保持する。こうして、上押さえ17と、前押さえ18および側辺押さえ19と、後押さえ20とによって、大束Aが所定位置に保持固定される。
こうして大束Aが保持固定されると、第2仕切り板32を後退させて、切欠穴16の下方を開放しつつ、駆動偏心カム30を回転させて第1押さえ部材25を上昇させ、ループガイド151の右下端部から送り出されている結束帯Bの先端部近傍をループガイド151の右下端部近傍で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定し、その後、駆動偏心カム30の動作を停止させる。そして、ループガイド151の内側ループガイド153を前方へスライド移動させてループガイド151を開放する。
すると、ループガイド151内の結束帯Bは自重で外側ループガイド154の後方側の側壁に案内されながら、大束Aの結束位置へゆっくり降下し始める。そのとき、所定時間(1〜数秒程度)の間、駆動モータ29と駆動ローラ307の動作を完全に停止し、その後、装置本体1下部の保留部302と装置本体1上部の結束機構2の間の下部搬送路303の駆動ローラ307によって、ループを形成している結束帯Bを送り出し方向上流側へ引き戻す。このときの引き戻し速度は、通常のモードに比べてゆっくりとした速度とし、ゆっくりと引き戻し動作を行う。そして、結束帯Bは、先端部が第1押さえ部材25によって保持固定されている状態で引き戻されることにより、大束Aの周囲の結束テープBのループ径が小さくなって、大束Aの周囲に密着する手前の状態で、駆動ローラ307の引き戻し力の負荷が所定以上に大きくなると、駆動ローラ307の回転速度を通常モードの引き戻し速度まで速めるか、引き戻し力を強めて、結束帯Bを引き締める。これで、結束帯Bは大束Aの周囲に密着した状態(図2の(b)に示す)となる。そして、所定時間巻き締めを行った後、駆動偏心カム30の動作を再開させる。
そして、駆動偏心カム30が回転することによって、第2押さえ部材27が上昇し、ループを形成している結束帯Bの先端部と、その下方に重畳する結束帯Bを重ね合わせた状態で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定する。そして、さらに駆動偏心カム30が回転して、第3押さえ部材28が上昇し、第1押さえ部材25の結束帯通路26内で結束帯Bを結束帯通路26の天井部と第3押さえ部材28との間に挟持して保持固定する。これにより、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間で、結束帯Bが緊張した状態で保持固定される。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転することにより、カッター23が上昇して、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間の、第1押さえ部材25の近傍位置で、結束帯Bが切断され、次いで、ヒータ24が上昇して、切断されて送り出し方向上流側から切り離されたループ状の結束帯Bの送り出し方向上流側の端部と、その上方に位置する結束帯Bの先端部との重畳部分をヒータ24の熱により溶着固定する。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転して、第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、第3押さえ部材28、ヒータ24、カッター23をそれぞれ降下させて、結束帯Bを開放し、その後、第1仕切り板31を結束帯Bと大束Aの下面との間から引き抜く。そして、前押さえ18を回転させて前開放位置へ移動させると共に、上押さえ18を上昇させて、大束Aを開放する。これで、大束Aの長手方向の結束が完了する。
その後、内側ループガイド153を後側へスライド移動させてループガイド151を閉鎖し、ループガイド151の搬送路152を形成すると共に、第1仕切り板31を突出させて切欠穴16を塞ぎ、第2仕切り板32も突出させて、第1仕切り板31と第2仕切り板32とで切欠穴16の部分にループガイド151の右下端部から続く搬送路を再び形成する。
つぎに、さらに大束Aの長手方向の中央部において短辺に沿った方向の結束を行う場合は、まず、長手方向の結束の場合と同様に、収納部301から所定長さだけ結束帯Bが、駆動ローラ308によって送り出されて貯留部302へ貯留され、更に、下部搬送路303を駆動ローラ307によって搬送されて、結束帯Bの先端部が第1押さえ部材25の結束帯通路26を通過し、カッター23、ヒータ24、第2押さえ部材27の上方で第2仕切り板32との間を通過して、ループガイド151の左下端部からループガイド151に送り込まれる。
そして、その結束帯Bは、ループガイド151の左下端部から、左側方部、上方部、右側方部、右下端部へと送り込まれて、ループガイド151の右下端部から、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間のガイド溝13で、第2押さえ部材27の上方付近の位置まで結束帯Bの先端部が送られ、その時点で駆動ローラ307、308が停止する。これにより、第1押さえ部材25のテープ通路26の搬送方向下流側で第1押さえ部材25と第2押さえ部材27の間に位置している部分と、第1仕切り板31と第2仕切り板32の間の第2押さえ部材27の上方となる位置まで送り出された先端部とが重畳した状態でループが形成される。これで結束可能な状態となる。そして、結束可能であることを表示部34の表示やランプ等で知らせ、結束待機状態に入る。
そして、この状態で、回転保持体22を前進させ、それに伴って後押さえ20の後押さえ基部204を後開放位置まで回転移動させる。そして、回転保持体22の後保持部材223が大束Aの後面中央付近に当接したら、回転保持体22の前保持部材224を上方から下方へ大束Aの前面中央付近まで回転移動させて、前保持部材224と後保持部材223とで大束Aを挟持し、次いで、回転保持基部222を反時計回りに90度回転させて、大束Aの長手方向が前後に向くようにする。
そして、回転保持体22の前保持部材224を上方へ回転移動させて、90度回転前の前面であった大束Aの長手方向の右側面を開放しつつ、回転保持体22を後退させる。このとき、回転保持体22は回転保持基部222を時計回りに回転させつつ後退させ、後退しきったときには、回転保持基部222が90度時計回りに回転し終わって、元の向きとなる。
そして、回転保持部材22の後退に伴って、後押さえ20が後保持位置へと回転移動する。すると、後押さえ20の後押さえ基部204に設けてある長手後押さえ部材205の先端部が、90度回転後の大束Aの左右側面後方部に当接し、大束Aを左右から保持する。そして、ゲート機構15のユニットに組み込まれている上押さえ17が降下して、大束Aを上方から押圧固定する。そして、この状態で、長手方向の結束の場合と同様の結束動作が開始される。
そして、第2仕切り板32を後退させて、切欠穴16の下方を開放しつつ、駆動偏心カム30を回転させて第1押さえ部材25を上昇させ、ループガイド151の右下端部から送り出されている結束帯Bの先端部近傍をループガイド151の右下端部近傍で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定し、その後、駆動偏心カム30の動作を停止させる。そして、ループガイド151の内側ループガイド153を前方へスライド移動させてループガイド151を開放する。
すると、ループガイド151内の結束帯Bは自重で外側ループガイド154の後方側の側壁に案内されながら、大束Aの結束位置へゆっくり降下し始める。そのとき、所定時間(1〜数秒程度)の間、駆動モータ29と駆動ローラ307の動作を完全に停止し、その後、装置本体1下部の保留部302と装置本体1上部の結束機構2の間の下部搬送路303の駆動ローラ307によって、ループを形成している結束帯Bを送り出し方向上流側へ引き戻す。このときの引き戻し速度は、通常のモードに比べてゆっくりとした速度とし、ゆっくりと引き戻し動作を行う。そして、結束帯Bは、先端部が第1押さえ部材25によって保持固定されている状態で引き戻されることにより、大束Aの周囲の結束帯Bのループ径が小さくなって、大束Aの周囲に密着する手前の状態で、駆動ローラ307の引き戻し力の負荷が所定以上に大きくなると、駆動ローラ307の回転速度を通常モードの引き戻し速度まで速めるか、引き戻し力を強めて、結束帯Bを引き締める。これで、結束帯Bは大束Aの周囲に密着した状態となる。そして、所定時間巻き締めを行った後、駆動偏心カム30の動作を再開させる。
そして、駆動偏心カム30が回転することによって、第2押さえ部材27が上昇し、ループを形成している結束帯Bの先端部と、その下方に重畳する結束帯Bを重ね合わせた状態で第1仕切り板31との間に挟持して保持固定する。そして、さらに駆動偏心カム30が回転して、第3押さえ部材28が上昇し、第1押さえ部材25の結束帯通路26内で結束帯Bを結束帯通路26の天井部と第3押さえ部材28との間に挟持して保持固定する。これにより、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間で、結束帯Bが緊張した状態で保持固定される。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転することにより、カッター23が上昇して、第2押さえ部材27と第1押さえ部材25との間の、第1押さえ部材25の近傍位置で、結束帯Bが切断され、次いで、ヒータ24が上昇して、切断されて送り出し方向上流側から切り離されたループ状の結束帯Bの送り出し方向上流側の端部と、その上方に位置する結束帯Bの先端部との重畳部分をヒータ24の熱により溶着固定する。
そして、さらに駆動偏心カム30が回転して、第1押さえ部材25、第2押さえ部材27、第3押さえ部材28、ヒータ24、カッター23をそれぞれ降下させて、結束テープBを開放し、その後、第1仕切り板31を結束帯Bと大束Aの下面との間から引き抜く。そして、前押さえ18を回転させて前開放位置へ移動させると共に、上押さえ18を上昇させて、大束Aを開放する。これで、長手方向の中央部における短辺方向の結束が完了する。
その後、内側ループガイド153を後側へスライド移動させてループガイド151を閉鎖し、ループガイド151の搬送路152を形成すると共に、第1仕切り板31を突出させて切欠穴16を塞ぎ、第2仕切り板32も突出させて、第1仕切り板31と第2仕切り板32とで切欠穴16の部分にループガイド151の右下端部から続く搬送路を再び形成することで、結束待機状態に戻る。これで、低速モードでの長手方向の中心線に沿った結束と、長手方向の中央部における短辺方向の結束の両方が完了となる。
低速モードによれば、ループガイド151を開放して結束帯Bを解放した後、所定時間動作を停止し、その後、結束帯Bをゆっくり引き戻す工程を経て被結束物である大束Aの周囲に密着させることで、解放後の結束帯Bの動作を安定させて、被結束物の定められた位置へ結束帯を導くことができ、より正確な結束を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、低速モードで、ループガイド開放後に所定時間だけ駆動モータ29と駆動ローラ307を停止させているが、駆動モータ29のみを停止させ、駆動ローラ307については、低速で巻き戻し動作を行うようにしてもよい。また、本実施形態では、低速モードで、駆動ローラ307の回転速度を複数段階に分けて駆動しているが、低速のみの一段階でもよい。