以下、本発明を適用した片巻き装置1について図面を参照して説明する。
<1.片巻き装置の全体構成の説明>
<2.ベースユニットの構成の説明>
<3.ハンドルの構成の説明>
<4.片送り機構の構成の説明>
<5.巻付け機構の構成の説明>
<5−1.巻き爪の説明>
<5−2.回動機構の説明>
<6.穿孔ユニットの構成の説明>
<6−1.穿孔ユニットのスライドの説明>
<6−2.シート束の突当部の説明>
<6−3.抜き刃の説明>
<6−4.押さえ部材及び押上部材の説明>
<6−5.押圧接着部材の説明>
<6−6.巻き爪とシート押さえ部材との関係の説明>
<7.動作説明>
<7−1.ハンドルの往路の動作説明>
<7−2.ハンドルの復路の動作説明>
<8.シート押さえ保持機構>
<9.抜き刃とシート押さえ部材の連動動作の変形例の説明>
<10.巻付け機構の変形例の説明>
<11.片を3面に接着する変形例の説明>
<12.ハンドルの往路の動作で抜き刃と巻き具を動作させる変形例の説明>
<13.排出部や巻き具を露出させる変形例の説明>
<1.片巻き装置の全体構成の説明>
図1及び図2に示すように、本発明が適用された片巻き装置10は、複数枚のシートが積層されたシート束1に孔2を空け、孔2に片3を巻き付けることで、シート束1を綴じる装置である。シート束1は、図3(A)〜図3(D)に示すように、書類等の用紙や、金属材料又は樹脂材料等で形成されたシート状部材等を積層したものである。シート束1の挿入端側の端部の近傍には、厚さ方向に貫通された孔2が形成されている。この孔2は、片巻き装置10にシート束1が挿入された後に抜き刃67によってシート束1に形成されるパンチ孔である。シート束1には、一方の面1a、挿入端側の端面1c、他方の面1b、孔2の孔端面2a、及び、一方の面1aに亘って、片3が1周以上(ここでは5面)巻き付けられている。この際、シート束1は、シートが複数枚重ねられた状態(例えばシートが少ない枚数のシート束〜多い枚数の厚いシート束)で片3が巻き付けられる。勿論、シートが一枚だけの状態で片3が巻き付けられるようにしても良い。
片3は、図4(A)及び図4(B)に示すように、例えば、平面視略矩形状に形成されており、他方の面3bに粘着層4を有し、例えば、長尺な剥離紙5に、長手方向に所定の間隔をあけて複数個仮着されている。これにより、片3は、長期間待機された後に使用される場合であっても、粘着層4の粘着力の低下を防止することができる。更に、片3及び剥離紙5で構成される帯状体6は、例えば、ロール状に巻回されロール体8(図1参照)となって、片巻き装置10のベースユニット11に設けられたロール収容部13に回転自在に収容されている。帯状体6の剥離紙5には、帯状体6を送り出すための係合部材36が係合される係合孔7が長手方向に所定の間隔をあけて複数個形成されている。なお、係合孔7は、片3と剥離紙5とを貫通する孔であってもよい。
なお、片3の長さは、シート束1の孔2にどれだけ巻くかによって決められるものであり、ここでは、一方の面1a、挿入端側の端面1c、他方の面1b、孔2の孔端面2a、及び、一方の面1aに亘って、片3が1周以上(ここでは5面)巻き付け可能な長さに形成されている。したがって、一方の面1a、挿入端側の端面1c、他方の面1b、及び、孔2の孔端面2aの4面巻く場合には、それに応じて短くなり、また、一方の面1a、挿入端側の端面1c、及び、他方の面1bの3面を巻く場合には、それに応じて更に短くなる。また、片3は、孔2に6面以上巻くようにしてもよい。片3は、孔2により多く巻かれる方が、より強固にシート束1を結束することができる。
図1及び図2に示すように、片巻き装置10は、綴じるシート束1が載置されるベース部となるベースユニット11と、このベースユニット11に対して回動可能に設けられる操作部となるハンドル12とを備える。また、ベースユニット11には、ハンドル12の回動支点側に、シート束1を綴じる片3の帯状体6をロール状に巻回してなるロール体8を回転自在に収容するロール収容部13が設けられている。ベースユニット11とハンドル12に跨る位置には、ロール収容部13から導出された帯状体6から片3を抽出する片送り機構14が設けられている。更に、ベースユニット11には、ハンドル12の回動支点近傍に、片3をシート束1の孔2に巻き付ける巻付け機構15が設けられている。更に、ベースユニット11上には、シート束1に孔2を穿孔する穿孔ユニット16が設けられている。
片巻き装置10では、ベースユニット11と穿孔ユニット16との間に、シート束1が挿入され、ハンドル12が回動操作されると、片送り機構14から1枚の片3が巻付け機構15に排出される。これと共に、シート束1には、穿孔ユニット16によって、孔2が穿孔され、次いで、孔2には、図3(D)に示すように、片3が巻付け機構15によって一方の面1a、挿入端側の端面1c、他方の面1b、孔2の孔端面2aに亘って巻き付けられる。この後、ハンドル12が元の位置に戻り、シート束1が引き出されると、シート束1は、最後に片3が、該一方の面1aに貼着された片3に更に重なるように貼着されることで、綴じられた状態となる。以下、片巻き装置10を構成する各機構について図面を参照して説明する。
<2.ベースユニットの構成の説明>
図1及び図2に示すように、ベースユニット11は、例えば矩形箱状に形成されており、長手方向の一端側に、ロール収容部13が設けられていると共に、ベースユニット11の相対する立ち上がり片に設けられた支軸22によって、ハンドル12が回動可能に支持されている。ベースユニット11には、ハンドル12の回動支点側に、片3の巻付け機構15が内蔵されており、また、巻付け機構15と対向するようにして、ベースユニット11の上面23に、穿孔ユニット16が設けられている。穿孔ユニット16は、この上面23上を、スライド可能に取り付けられている。詳細は省略するが、穿孔ユニット16は、上面23上を、巻付け機構15と対向する穿孔位置とベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)のメンテナンス位置とに亘ってスライドし、メンテナンス位置にあるとき、巻付け機構15を外部に露出させ、メンテナンス作業を容易に行うことができるようにしている(図16(A)及び(B)参照)。
図1及び図5に示すように、ベースユニット11には、その底面側に、穿孔ユニット16の抜き刃67によってシート束1に孔2を穿孔した際に発生した略円形のダストを貯めるダストケース24が配設されている。ダストケース24に貯まるダストを拡散させないと、ダストが一箇所にたまってしまい、ダストケース24の容積を十分に活用できないことがある。ダストがダストケース内からあふれると片3にダストが貼り付き、綴り不良が発生する可能性がある。そのため、ダストケース24は、ベースユニット11の底面側に設けられたケース収納部24aに収納可能であり、ベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)からスライドさせてベースユニット11の底面部に取り付けられる。ダストケース24は、少なくとも、穿孔ユニット16の抜き刃67と対向する位置が開口されており、ダストを受容できるように構成されている。
このダストの落下地点の底面25bには、ケース収納部24aへの挿入面25cとのコーナ部に突出部25が形成されている。突出部25は、穿孔ユニット16の抜き刃67側が高く形成され、抜き刃67から離れるに連れて低くなるように形成されている。また、突出部25の頂面は、例えば、平面で構成された傾斜面25aとなっている。抜き刃67によって打ち抜かれたダストは、最初に、突出部25の高い部分に当たり、その後、突出部25の左右に別れ底面25bに落ち、また、傾斜面25aに沿って底面25bに滑り落ちたりする。これにより、ダストは、ダストケース24内に分散して落下されることになり、ダストが穿孔ユニット16の抜き刃67の下に積もることによって、抜き刃が動作不良になることを防止することができる。このダストケース24は、ベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)から突出部25側の側面を挿入端として、ケース収納部24aにスライドさせて収納され、また、出し入れされる。勿論、ダストケース24の突出部25は、傾斜面25aが設けられていない矩形片で構成されていてもよいし、頂面が平面ではなく断面視山切り状になっていてもよい。
<3.ハンドルの構成の説明>
ベースユニット11に回動可能に設けられるハンドル12は、図1に示すように、ベースユニット11の相対する立ち上がり片に設けられた支軸22によって、ハンドル12が回動可能に支持されている。ハンドル12は、捻りコイルバネやコイルバネ等の付勢部材によって、ベースユニット11の上面23から離間する方向に回動付勢されている。付勢部材は、一端をハンドル12に係止し他端をベースユニット11の立ち上がり片に係止することによって、支軸22を中心にハンドル12をベースユニット11の上面23から離間する図1中A方向に回動付勢する。
<4.片送り機構の構成の説明>
図1に示すように、ベースユニット11には、長手方向の一端側に、ロール収容部13が設けられ、ロール収容部13からは、回転自在に収納されたロール体8から片3を支持した帯状体6がハンドル12の回動に連動して片送り機構14によって送られる。そして、1枚の片3が巻付け機構15上に排出される。この際、片3の送り量を一定にしないと片3の巻き付け位置が変化し、安定して片3を巻くことができない虞がある。具体的に、片送り機構14は、ベースユニット11には、図1及び図6(A)に示すように、片3を排出する排出部31の位置で帯状体6を折り返す折り返しガイド部材32を有する。折り返しガイド部材32は、ベースユニット11側に設けられたロール体8から延出され帯状体6を下側から支持する支持ガイド部材33と対向して設けられている。折り返しガイド部材32は、片3の排出部31の近傍において、C字状の折り返し部32aを有し、折り返し部32aの両側に、支持ガイド部材33と対向する前半ガイド部32bと片3が剥がれた帯状体6をガイドする後半ガイド部32cとが設けられている。
片3が剥離されていない帯状体6は、支持ガイド部材33と前半ガイド部32bとの間を通って排出部31へと送り出され、折り返し部32aで走行路が折り返される。このとき、帯状体6は、折り返し部32aに沿って折れ曲がることによって、片3が剥離紙5から剥離され、片3のみが排出部31へ排出される。片3が剥離された剥離紙5でなる帯状体6は、後半ガイド部32cにガイドされて外部に排出されていく。片3は、シート束1の一方の面1aと対向するように、粘着層4が上向きの状態、すなわち、粘着層4が前半ガイド部32bと対向する状態で、排出部31から排出されることになる。
剥離紙5から剥離された片3を排出する排出部31は、図6(A)−図6(C)に示すように、下ガイド部材34と上ガイド部材35とがほぼ片3が通過できる距離だけ離間して対向配置されている。下ガイド部材34は、図6(A)及び(B)に示すように、剥離紙5から剥離された片3の粘着層4とは反対側の面を支持する。上ガイド部材35は、片3の粘着層4と対応する部材であるため、粘着層4との接触を避けるべく、図6(C)に示すように、断面C字状に形成されている。また、上ガイド部材35は、各端部が山切りされており、内側の傾斜面35a,35aが片3の長手方向両側縁に当接し、ガイドする。ロール体8は、片3が内側となるように帯状体6を巻回しており、したがって、帯状体6は、ロール体8から引き出されると、下ガイド部材34の方向に巻き癖が付いた状態で引き出され、剥離紙5から片3が剥離された際にも粘着層4が上ガイド部材35に付きにくくなっている。上ガイド部材35は、剥離する片3が上下する挙動を抑えて確実にシート束の下方に片を挿入できる。
片送り機構14は、更に、図6及び図7に示すように、帯状体6を送る係合部材36と、係合部材36を移動する送り部材37とを備えている。係合部材36は、ロール収容部13又はベースユニット11に設けられた移動ガイド部材36aに移動可能に設けられており、連結ピン36bが送り部材37の連結溝37dに係合されることで連結される。係合部材36は、帯状体6の係合孔7に係合する係合突起36cが形成されている。係合突起36cは、帯状体6の送り方向である矢印B方向が開口した鈎状の突起であり、帯状体6の係合孔7(図4参照)と容易に係合し得る形状をなし、さらに片3が外れにくい形状になっている。また、係合部材36は、コイルバネ等の弾性体36dによって、帯状体6の方向に弾性付勢され、係合突起36cが帯状体6の係合孔7に容易に係合できるようにしている。
以上のような係合部材36は、送り部材37によってハンドル12の回動に連動して矢印B方向に移動される。送り部材37は、第1の部材37aと第2の部材37bとが回動可能に連結されて構成されている。具体的に、第1の部材37aと第2の部材37bとは、それぞれの軸孔がベースユニット11の立ち上がり片に架け渡された支軸37cに挿通されて回動可能に軸支されている。図1及び図7に示すように、第1の部材37aは、先端部がハンドル12の回動時に、ハンドル12の内面に押圧される被押圧部材である。第1の部材に対して回動可能な第2の部材37bは、係合部材36を操作する操作部材である。第2の部材37bは、係合部材36の連結ピン36bが長孔状の連結溝37dと係合することで連結される。第1の部材37aと第2の37bとは、支軸37cの位置で、捻りコイルバネ等の付勢部材38によって矢印C方向に付勢され、待機状態において、直線的な位置関係となるようにしいる。
図1に示すように、ハンドル12がベースユニット11から離間した待機状態にあるとき、送り部材37の第1の部材37aに先端部は、ハンドル12の内面に押圧されていない状態にある。ハンドル12が反矢印A方向に回動されると、ハンドル12の内面は、第1の部材37aの先端部に当接し、ハンドル12が更に回動されると、付勢部材38に抗して、第1の部材37aが第2の部材37bに対して支軸37cを中心に回動する。すると、第2の部材37bを介して連結されている係合部材36は、図6(B)に示すように、矢印B方向に移動し、これにより、片3の一枚分を送り操作する。係合部材36の送り動作は、図7に示すように、第2の部材37bがストッパとなる支軸22に突き当たることで停止する。係合部材36は付勢部材38により付勢されながら支軸22に突き当たることで、他の部品の寸法精度に影響されず、1回の片3の送り量を一定にすることができ、送り不良等によるジャム等を防止することができる。ハンドル12は、更に矢印A方向に回動されることで、シート束1に孔2を形成する穿孔動作に移るが、この際には、第1の部材37aがストッパとなる支軸22に突き当たっていることで、この後は、付勢部材38の付勢力に抗して第1の部材37aに対して第2の部材37bが支軸37cを中心に更に回動する。これにより、ハンドル12が更に回動した際に、片巻き装置10は、穿孔動作に移行することが可能となる。
<5.巻付け機構の構成の説明>
<5−1.巻き爪の説明>
図1及び図8に示すように、排出部31より排出された片3をシート束1の孔2に巻き付ける巻付け機構15は、巻き具40を有する。この巻き具40には、排出部31より排出された片3をシート束1の孔2に巻き付ける巻き爪41が設けられている。この巻き爪41は、図8(A)〜(C)に示すように、例えばC字状に湾曲又は折り曲げられて形成されており、回転軸42を中心に回動自在に設けられている。具体的に、巻き爪41は、先端部41aが、ベースユニット11の上面23側に位置するように設けられた待機状態から、図8(C)に示すように回動されて、シート束1の一方の面1aに貼着された片3の自由端(シート束1の一方の面1aに貼着されていない部分)を、押しながら、シート束1の端面1c、シート束1の他方の面1b、孔2の孔端面2aの順に巻き付ける。なお、片3の巻き付けが終了すると、巻き具40は逆転し、待機状態に戻る。
なお、図9(A)及び(B)に示すように、巻き爪41は、先端部41aが片3の自由端を押しながら、シート束1の端面1c、シート束1の他方の面1b、孔2の孔端面2aの順に巻き付ける際に、巻き爪41の内周面の中程の内周押圧面41bが孔端面2aの位置を押圧することによって、シート束1の枚数に拘わらず、片3の粘着層4を孔端面2aに押し付ける。このように、巻き爪41の内周押圧面41bがシート束1の孔2の孔端面2aと互いに干渉することによって、片2をシート束1の厚さに拘わらずに確実に貼り付けることができる。例えば、図9(A)では、少ない枚数のシート束の場合を示し、図9(B)では、多い枚数の厚いシート束1の場合を示している。何れの場合においても、巻き爪41の内周押圧面41bは、シート束1の孔2の孔端面2aの位置において、片3の粘着層4を確実に押圧し、接着することができる。
<5−2.回動機構の説明>
次に、以上のように構成された巻き爪41を有する巻き具40を回動する巻付け機構15の一部を構成する回動機構51について図10〜図15を参照して説明する。図10〜図14に示すように、回動機構51は、ハンドル12の基端側に設けられた円弧状ギヤ52と、ハンドル12の円弧状ギヤ52によって回転される駆動ギヤ部材53と、駆動ギヤ部材53によりスライドされるラックリンク部材54と、ラックリンク部材54と一体的にスライドし巻き具40を回動するラック部材55とを備える。
駆動ギヤ部材53は、ベースユニット11の立ち上がり片に回転自在に軸支されており、ハンドル12の円弧状ギヤ52と噛合されるギヤ部53aを有する。また、駆動ギヤ部材53には、ラックリンク部材54やラック部材55をスライドさせる駆動ピン53bが形成されている。ラックリンク部材54は、長尺な矩形状部材であり、ベースユニット11の立ち上がり片にスライド自在に取り付けられている。このラックリンク部材54には、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bが係合される第1の係合片54aが形成されている。ラック部材55は、ラックリンク部材54と重なるようにベースユニット11の立ち上がり片に取り付けられ、ラックリンク部材54と一体的にスライドする。ラック部材55は、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bが係合される第2の係合片55aが形成されている。また、ラックリンク部材54とラック部材55とは、コイルバネ等の弾性体56で接続されており、ラックリンク部材54は、この弾性体56の弾性力に抗して、ラック部材55に対してスライドする。また、ラックリンク部材54は、ラック部材55とのスライドをガイドするガイドピン54bが形成されており、ガイドピン54bは、ラック部材55のガイド孔55bに係合されている。
また、ラック部材55には、第1〜第3の係合凹部55c,55d,55eが並んで形成されている。第1〜第3の係合凹部55c,55d,55eには、順次、巻き具40の係合ピンが係合する。これにより、巻き具40は、ラック部材55のスライドに合わせて回動する。巻き具40は、回転軸42に円形状の回動駆動部43が形成されている。回動駆動部43には、第1〜第3の係合凹部55c,55d,55eに係合する係合部44,44,44が複数形成されている。ラック部材55がスライドすることで、第1〜第3の係合凹部55c,55d,55eには、係合部44,44,44の何れか一が順に係合する。これにより、巻き具40は、係合部44,44,44が第1〜第3の係合凹部55c,55d,55eの立壁を押すことで、ラック部材55のスライドに合わせて回動することになる。
次に、巻き具40を回動する動作について説明する。図12(A)に示すように、ハンドル12が待機位置にあるときは、巻き爪41がベースユニット11の上面23の下側に退避した状態にある。ハンドル12の回動操作を開始すると、図12(B)に示すように、ハンドル12の円弧状ギヤ52がD1方向に移動することで、円弧状ギヤ52と噛合している駆動ギヤ部材53は、E1方向に回転する。この際、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bは、第1の係合片54aから離間するE1方向に移動する。すなわち、駆動ギヤ部材53は、回転を開始してから暫くの間空転する。図12(B)に示すように、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bがラックリンク部材54の第1の係合片54aに当接すると、駆動ピン53bは、駆動ギヤ部材53のE1方向の回転に従って第1の係合片54aを押圧する。これにより、ラックリンク部材54は、弾性体56を圧縮してラック部材55に対して矢印F1方向にスライドする。図13(A)に示すように、ハンドル12が下死点に降下するまで、駆動ギヤ部材53がE1方向に回転し続け、駆動ピン53bが第1の係合片54aを押し続け、第1の係合片54aから離れると、ラックリンク部材54は、弾性体56の弾性復帰力に従って矢印F2方向にスライドし元の位置に戻る。なお、この図12(B)〜図13(A)の状態では、後述する抜き刃67が降下し、シート束1に孔2を空ける動作をしている。
図13(B)に示すように、ハンドル12が下死点から上昇するときには、ハンドル12の円弧状ギヤ52がD2方向に移動することで、円弧状ギヤ52と噛合している駆動ギヤ部材53がE2方向に回転する。すると、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bは、第1の係合片54aを押圧し、ラックリンク部材54と一体的なラック部材55を矢印F2方向にスライドする。ラック部材55の矢印F2方向のスライドにより、最初、ラック部材55の第1の係合凹部55cに係合している1番目の係合部44が押され、巻き具40がG1方向に回転する。次いで、2番目の係合部44が第2の係合凹部55dに係合し、2番目の係合部44が押されることで、更に、巻き具40がG1方向に回転する。更に、3番面の係合部44が第3の係合凹部55eに係合し、3番目の係合部44が押されることで、更に巻き具40がG1方向に回転する。かくして、巻き具40の巻き爪41は、ハンドル12が上昇するときに回転し、先端部41aで片3の自由端を押圧し、片3を、シート束1の端面1c、シート束1の他方の面1b、孔2の孔端面2aの順に巻き付けることができる。
更に、ハンドル12が上昇すると、図13(B)及び図14に示すように、円弧状ギヤ52と噛合している駆動ギヤ部材53は、更にE2方向に回転する。すると、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bは、第1の係合片54aから離れ、空転の後、ラック部材55の第2の係合片55aを押圧する。すると、ラック部材55は、矢印F1方向にスライドする。すると、巻き具40の係合部44,44,44が第3の係合凹部55eから順に第2の係合凹部55d、第1の係合凹部55cに係合する。これにより、巻き具40は、矢印G2方向に回転して、片3を巻き付けた位置から上面23の下の待機位置に戻ることになる。
片3は、抜き刃67によってシート束1に孔2が穿孔された後、抜き刃67によって穿孔された孔2に、巻き爪41で巻き付けられる。したがって、回動機構51では、巻き爪41の可動領域が、抜き刃67の可動領域と重なり、同時に動作すると、互いに衝突してしまう。そこで、回動機構51は、ハンドル12の往動作のとき、抜き刃67でシート束1に孔2を穿孔するようにし、戻りの復動作のとき、巻き爪41を回転し、往動作で穿孔された孔2に片3を挿通し巻き付けるようにし、互いに干渉することを防止している。この構成によれば、ハンドル12を動作途中で上下動させたとしても、抜き刃67と巻き爪41とは干渉することが無い。
ところで、巻き爪41の可動領域に異物45が存在した場合に無理にハンドル12を回動すると、巻き具40、ラックリンク部材54、ラック部材55等が破損してしまうおそれがある。そこで、図15(A)及び(B)の例では、緩衝レバー57と弾性部材58とを設けるようにしている。すなわち、緩衝レバー57は、ラックリンク部材54と一体的な部材であって、ラックリンク部材54に設けられた支軸57aに回動自在に設けられている。この緩衝レバー57には、先の例ではラックリンク部材54に形成されていた第1の係合片54aが設けられている。ラックリンク部材54と緩衝レバー57との間には、捻りコイルバネといった弾性部材58が架け渡されている。弾性部材58は、図15(A)中反矢印H方向に緩衝レバー57を回動付勢している。
図15(A)に示すように、巻き爪41の可動領域内に異物45がある場合、巻き爪41の先端部41aが異物45に当接すると、巻き爪41は、更にG1方向に回動することができなくなる。一方で、ハンドル12は上昇し、円弧状ギヤ52はD2方向に移動し、駆動ギヤ部材53は、矢印E2方向に回転し、駆動ピン53bで緩衝レバー57の第1の係合片54aを押圧し、ラックリンク部材54を矢印F2方向にスライドさせようとする。すると、緩衝レバー57は、弾性部材58の付勢力に抗して支軸57aを中心に矢印H方向に回動し、駆動ピン53bは、図15(B)に示すように、第1の係合片54aを乗り越えることができる。これにより、駆動ピン53bは、第1の係合片54aを無理に押圧することがなくなり、折れたり、巻き爪41が折れたりすることを防止することができる。この後は、図14に示すように、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bが、第1の係合片54aから離れ、空転の後、ラック部材55の第2の係合片55aを押圧し、ラック部材55が、矢印F1方向にスライドし、巻き具40が、矢印G2方向に回転して、片3を巻き付けた位置から上面23の下の待機位置に戻ることになる。
<6.穿孔ユニットの構成の説明>
<6−1.穿孔ユニットのスライドの説明>
シート束1に孔2を穿孔する穿孔ユニット16は、図2、図16(A)及び(B)に示すように、ベースユニット11の上面23に長手方向にスライド可能に取り付けられている。穿孔ユニット16が固定されている場合には、片3が巻き付け装置内に付着してしまった場合などに、付着した片の除去が困難となるためである。すなわち、穿孔ユニット16は、ベースユニット11の巻付け機構15と対向する穿孔位置とベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)のメンテナンス位置とに亘ってスライドし、メンテナンス位置にあるとき、排出部31や巻付け機構15を外部に露出させ、メンテナンス作業を容易に行うことができるようにしている。すなわち、穿孔ユニット16が待機位置にあるときには、巻付け機構15が外部に露出しているので、巻付け機構15の巻き爪41に付着した接着剤や、巻き爪41に貼り付いた片3や、穿孔ユニット16の抜き刃67及びその周辺に付着してしまった片3等を取り除く作業を容易に行うことができる。また、巻き具40の交換等も容易に行うことができる。
図17に示すように、穿孔ユニット16は、スライドベース61を有し、このスライドベース61は、ベースユニット11の上面23上を長手方向にスライドする。スライドベース61は、ベースユニット11の上面23の両側に形成されたガイドレール62a,62aに係合するガイド片62b,62bが形成され、ガイド片62b,62bは、ガイドレール62a,62aの外側の面と係合している。更に、ガイド片62b,62bの内側には、係合ガイド片63b,63bが形成され、係合ガイド片63b,63bは、ベースユニット11の上面に長手方向に沿って形成されたガイド溝63a,63aに係合される。かくして、穿孔ユニット16は、ベースユニット11の上面23において、ベースユニット11の長手方向に沿って移動することができる。
また、スライドベース61には、図19及び図20に示すように、両側に、穿孔ユニット16を穿孔位置にロックするロック部材64が設けられている。ロック部材64は、図示しないが、ベースユニット11の上面23のガイドレール62a,62aに形成された係合部に係合することによって、穿孔ユニット16を穿孔位置にロックする。ロック部材64は、ガイドレール62a,62a側の係合部に係合するロック方向に常時付勢されており、ユーザによって操作されることによって、係合部とのロック状態が解除され、待機位置の方向にスライド可能となる。勿論、ロック部材64は、一方の側に設けるだけでもよい。
<6−2.シート束の突当部の説明>
ところで、この穿孔ユニット16は、スライドベース61の上側に抜き刃が設けられ、更に、スライドベース61の上面に、抜き刃67の受けとなるダイ67bが一体的に設けられ、抜き刃とダイ67bとをスライドするユニットに設けることで、ダイ67bをベースユニット11側に設けた場合よりも、抜き刃とダイ67bとの位置精度を高めている。具体的に、スライドベース61の上面は、シート束1が載置される載置面65となっており、載置面65の奥は、図18に示すように、立ち上がり片が形成されており、シート束1の先端部が突き当てられる突当部66,66となっている。これは、シート束1の端面に対して、片3が傾いて貼られると、後工程でシート束1の孔にテープを挿通できないためである。そのため、突当部66,66は、外部に露出し、ユーザが挿入したシート束1が確実に突当部66,66に突き当たっているかどうかを確認できるようになっている。
<6−3.抜き刃の説明>
以上のようなスライドベース61には、図1や図8(A)〜(C)に示すように、抜き刃67が載置面65に対して直交する方向にスライド可能に取り付けられており、抜き刃67は、コイルバネといった弾性体68によって、ダイ67bと離間する矢印I方向に弾性付勢されている。抜き刃67は、ハンドル12の回動操作に従って押圧されて、シート束1を穿孔する矢印I方向に押圧されスライドされる。抜き刃67は、一端側がシート束1を打ち抜く刃部となっており、ダイ67bの貫通孔67cに進入する。他端部67aがハンドル12によって押圧される被押圧部となっている。この他端部67aは、外側に張り出して形成されている。抜き刃67を押圧するハンドル12には、図1、図2及び図7に示すように、その内面に、抜き刃67の他端部67aを押圧する抜き刃押圧部70が設けられている。抜き刃押圧部70は、穿孔時(ハンドル12が往路にあるとき)、抜き刃67を矢印I方向に押圧する。抜き刃67の他端部67aは、ハンドル12が戻るとき、復路動作の前半において、抜き刃押圧部70に形成された係合片70aと係合し、後半において係合片70aと係合した状態が解除される。この後、抜き刃67は、弾性体68の弾性復帰力によって最初の位置に戻ることになる。
スライドベース61には、図8(A)〜(C)に示すように、シート束1が挿入される空間を挟んでダイ67bと対向する位置に、抜き刃67が移動するガイド孔69が形成されている。ガイド孔69の先端部には、シート束1が載置される載置空間に位置する空間部に臨むようにして、シート束1を穿孔した際、上昇する抜き刃67につられて浮き上がるシート束1を押さえ付ける浮き上がり規制部69aが形成されている。
<6−4.押さえ部材及び押上部材の説明>
図19及び図20に示すように、スライドベース61には、抜き刃67の周囲に、挿入され突当部66,66に突き当てられ位置決めがされたシート束1を押さえるシート押さえ部材71が設けられている。このシート押さえ部材71は、図示しないがスライドベース61と一体的なガイド手段によって、抜き刃67と同方向のスライドがガイドされている。シート押さえ部材71は、抜き刃67が挿通される貫通孔72が形成され、この貫通孔72の両側には、抜き刃67の移動量を規制する移動量規制溝73が形成されている。移動量規制溝73は、抜き刃67に形成された規制突起74が係合されている。移動量規制溝73は、ハンドル12によって抜き刃67が押された際に、下側の一端部73aに規制突起74が突き当り、シート押さえ部材71を矢印I方向に押圧する。これにより、抜き刃67の穿孔動作と連動して、シート押さえ部材71も、打ち抜き方向にスライドしている抜き刃67と同方向にスライドする。
図21及び図23に示すように、シート押さえ部材71は、抜き刃67を挟んで両側に一対のシート押さえ部75,75を有する。シート押さえ部75,75は、抜き刃67でシート束1を打ち抜くとき、抜き刃67の両側を押さえ付け、打ち抜き時に、シート束1が位置ずれすることを防止する。また、片3を孔2に巻き付けるときには、若干、孔2が形成されたシート束1から離間した状態に位置して、シート束の上面を枚数に係わらず一定の位置にすることができる。
シート押さえ部75,75と対向する位置には、スライドベース61の載置面65にあるシート束1を押し上げるシート押上部材76,76が設けられている。シート押上部材76,76は、載置面65に設けられた例えば板バネであり、シート束1が挿入されたとき、シート束1の挿入端を載置面65から離間させるように持ち上げる。載置面65とシート束1の下面との間には、隙間80が形成され、この隙間80において、一対のシート押上部材76,76の間には、片送り機構14から送られ排出部31から排出された片3が進入する。片3は、粘着層4がシート束1の一方の面1aと対向して、一方の面1aの下側に挿入されるが、シート束1は、シート押上部材76に押し上げられ、十分な隙間80が形成されているので、片3が排出されている最中に、シート束1の一方の面1aに貼り付いてしまうことを防止することができ、シート束1の一方の面1aに安定して片3を貼り付けることができる。
図22及び図23に示すように、ハンドル12が操作されると、抜き刃67が矢印I方向に押され、更に、抜き刃67のスライドに連動してシート押さえ部材71も同方向にスライドする。これにより、シート押さえ部材71のシート押さえ部75,75は、抜き刃67の両側を、シート押上部材76とでシート束1を挟み込む。この際、ダイ67bに支持されているシート束1の抜き刃67の両側は、シート押さえ部75,75に押圧されることで、シート押上部材76の押上力に抗して沈み込む。これによって、シート押さえ部75,75の両側に位置する片3の粘着層4は、シート束1の一方の面1aにしっかりと貼り付けられる。
ところで、シート束1がシート押さえ部75,75で押され沈み込んだ位置とダイ67bの位置の距離は、大きいほど、片3の粘着層4をシート束1の一方の面1aの面に押さえ付ける力が大きくなる。そこで、図24に示すように、載置面65のダイ67b近傍には、シート押さえ部75,75でシート束1を押さえ込んでいるときに、ダイ67bの位置においてシート束1の位置を高くする凸部77,77を形成してもよい。また、図25に示すように、所定幅の突条部78を形成してもよい。
ここで、図26(A)は、少ない枚数のシート束が挿入された状態を示す。シート押さえ部75,75は、最下点がシート束1より下に設定されており、図27(A)に示すように、最大枚数である多い枚数の厚いシート束1が挿入されたときには、最下点で最大荷重が加わるようになる。そして、図26(B)に示すように、シート押さえ部75,75は、一度最下点まで下りた後、ハンドル12の復路の動作に追従しシート束1に負荷の加わらない箇所にまで退避する。図27(B)に示すように、多い枚数の厚いシート束1のときには、丁度、シート束1とシート押さえ部75,75の押さえ面とが当接する程度となる。
なお、以上説明したシート押さえ部75,75は、図28(A)に示すように、抜き刃67を挟んで両側に設けた例を説明したが、図28(B)に示すように、抜き刃の周囲をC字状の箇所で示される領域内の一部をシート押さえ部75で構成してもよい。この場合、シート押さえ部75は、対峙するシート押上部材76と略同じ形状となり、また、抜き刃67の3方向を囲むことができ、2カ所で押さえる場合よりも、一層確実に、シート束1をダイ67bの下まで沈み込ませることができる。
また、以上の例で説明したシート押上部材76は、板バネで形成した場合を説明したが、図29(A)に示すように、傾斜面の押上面76aを有する樹脂成形等されたシート押上部材76を、コイルバネ76bで押上方向に弾性付勢するようにしてもよい。また、シート押上部材76を平板を、く字状に折曲して形成し、これを載置面65に回動自在に取り付ける。シート押上部材76は、シート束1を押し上げる一方の片を捻りコイルバネ76cで押上方向に弾性付勢するようにしてもよい。更に、図29(C)に示すように、押上面76aを有するシート押上部材76にラック76dを形成し、このラック76dにギヤ76eを噛合し、ギヤ76eをモータで回転するようにして、シート押上部材76を昇降させるようにしてもよい。
更に、上述したシート押さえ部材71は、図19及び図20に示すように、抜き刃67の規制突起74を移動量規制溝73に係合させて、一端部73aが押圧されることで、抜き刃67と連動してスライドしたが、図30(A)及び図30(B)に示すように、モータ等を駆動源とする駆動部79で、シート押さえ部材71を抜き刃67と連動させてスライドさせるようにしてもよい。この場合、ハンドル12で押される抜き刃67のスライドをスイッチで検出して、駆動部79でシート押さえ部材71をスライドさせるようにすればよい。勿論、駆動部79は、モータに代えて、コイルバネ等の弾性体で、シート束1の押圧方向に押圧付勢するようにしてもよい。
<6−5.押圧接着部材の説明>
図31(A)〜(C)及び図32(A)〜(C)に示すように、穿孔ユニット16には、抜き刃67に対してシート束1の挿入方向の上流側に、巻き爪41によって孔2に巻かれた片3を、シート束1を引き抜く際に押圧し、片3を確実にシート束1に接着する押圧接着部材81が設けられている。この押圧接着部材81は、C字状の弾性片で、図31(A)中K方向から挿入されるシート束1に対して矢印J方向に弾性変位可能に設けられている。すなわち、押圧接着部材81は、挿入されるシート束1を迎え入れる側の片と挿入されるシート束1とのなす角θが鋭角となるように設けられ、シート束1を円滑に、すなわち小さい力で挿入できるようになっている。一方、シート束1を引き抜く際には、挿入されるシート束1を迎え入れる側の片3の角度による楔効果によって、孔2に巻き付けられた片3を扱くようにして押圧するようになっている。この押圧接着部材81は、シート束1との接触部81aも円弧状をなし、シート束1や片3の表面を汚損しないようにしている。これにより、片3の先端部は、シート束1の一方の面1aにおいて、片3の巻き始めの部分に重なる貼り付けられることになる。
また、図17に示すように、穿孔ユニット16には、シート束1の挿入側に回動自在に設けられた回動レバー86に、一対のシート送りローラ87,87が設けられている。一対のシート送りローラ87,87は、図36に示すように、シート束1を挿入するとき、回動レバー86を持ち上げることで、載置面65から離間するように回動され、シート束1を挿入する際の抵抗にならないようにする。シート束1を引き抜くときには、図1に示すように回動レバー86が下がった状態にして、シート送りローラ87,87をシート束1に接触させて、真っ直ぐにシート束1を引き抜くことができるようにする。また、穿孔ユニット16には、孔2に巻かれた片3の通路上に、片3を押圧する押圧ローラ88が設けられている。この押圧ローラ88は、シート送りローラ87,87と異なり、シート束1の挿入時も引き抜き時も、シート束1と接触するローラであり、シート束1の挿入時には、真っ直ぐに挿入できるようにする、シート束1の挿入ガイドローラとしても機能する。なお、この押圧ローラ88は、押圧接着部材81と略同じ機能を有するものであり、穿孔ユニット16には、押圧接着部材81と押圧ローラ88の両方を設けてもよいし、何れか一方だけを設けるようにしてもよい。
なお、押圧接着部材81は、図33(A)〜(C)のように構成することもできる。すなわち、図33(A)〜(C)の例では、押圧接着部材81は、半円柱状に形成され、円弧状面がシート束1と接触する接触部となる。また、押圧接着部材81は、円弧状面の反対側の平面にガイド片81bが形成されている。また、この押圧接着部材81は、傾斜ガイド部材82によってガイドされている。傾斜ガイド部材82は、ガイド溝82aが形成され、ガイド溝82aには、ガイド片81bが係合される。ガイド片81bは、固定部84との間に架け渡された弾性体であるコイルバネ83によって引っ張られており、押圧接着部材81は、常時、シート束1を押圧する方向に弾性付勢されている。図33(A)に示すように、シート束1は、挿入されるときには、円滑に、すなわち小さい力で押圧接着部材81を押し上げることができ、図33(B)に示すように、シート束1を引き出す際は、楔効果で、孔2に巻かれた片3の部分を扱くようにして押圧する。
図34(A)及び(B)の例では、押圧接着部材81がローラで構成されており、このローラが傾斜ガイド部材82によってガイドされている。また、この押圧接着部材81は、コイルバネ83によって引っ張られており、常時、シート束1を押圧する方向に弾性付勢されている。図34(A)に示すように、シート束1は、挿入されるときには、円滑に、すなわち小さい力で押圧接着部材81を押し上げることができ、図34(B)に示すように、シート束1を引き出す際は、傾斜ガイド部材82の斜面の構成による楔効果で、孔2に巻かれた片3の部分を扱くようにして押圧する。
図35(A)及び(B)の例では、押圧接着部材81は、プレス機構となっており、モータ等の駆動部85によって昇降される。図35(A)に示すように、シート束1を挿入するときには、載置面65から離間しており、円滑に挿入できるようになっている。図35(B)に示すように、シート束1を引き抜くときには、押圧接着部材81は、シート束1を扱くようため降下し、孔2に巻かれた片3を扱くようになっている。シート束1の引抜き時に押圧ローラ等で弾性的に片3を押圧しようとした場合、厚いシート束1を片巻き装置10に挿入する際の負荷が大きくなってしまっていたが、これらの構成からシート束1を挿入際の負荷を低減し、シート束1に片3を巻いた後に、シート束1を引き抜くときには、片3に荷重をかけて扱くことができ、片3のはがれを防止することができる。
<6−6.巻き爪とシート押さえ部材との関係の説明>
図31(A)に示すように、シート束1が挿入される前は、巻き爪41が載置面65の下側に位置しており、また、抜き刃67及びシート押さえ部75も、載置面65から離間した状態にある。そして、シート束1が矢印K方向から挿入されると、シート束1は、突当部66,66に突き当てられるまで挿入され、これにより、穿孔位置の位置決めがされる。この際、シート束1の挿入端は、押上部材76によって押し上げられ、載置面65との間に隙間80が形成され、片送り機構14から送り出される片3が進入可能な状態となる。
ハンドル12が回動されると、図31(B)に示すように、先ず、片送り機構14の排出部31から片3が送り出される。片3は、粘着層4がシート束1の一方の面1aと対向して、一方の面1aの下側に挿入されるが、シート束1は、シート押上部材76に押し上げられ、載置面65との間に十分な隙間が形成されているので、片3が排出されている最中に誤って、シート束1の一方の面1aに貼り付いてしまうことはない。
更に、ハンドル12が回動されると、図31(C)に示すように、押上部材76がシート束1を押し上げている部分に、シート押さえ部材71のシート押さえ部75,75が降下する。そして、シート束1は、シート押さえ部75,75によって押圧されると共に、押上部材76とシート押さえ部75,75によって挟み込まれる。これにより、片3の一部は、シート束1の一方の面1aに確実に貼り付けられる。シート押さえ部材71の動作に連動して、抜き刃67も、シート束1の方向に降下し、シート束1を打ち抜いて孔2を形成する。なお、シート押上部材76の降下する動作と抜き刃67の降下する動作は、どちらが先行していてもよい。
ハンドル12が下死点まで回動された後、戻り始めると、図32(A)に示すように、ハンドル12の回動に連動して巻き爪41が矢印G1方向に回動し始める。このとき、抜き刃67は、抜き刃67の昇降領域と巻き爪41の可動領域と重なるので、巻き爪41の回動前に上昇し、巻き爪41が回動可能な状態にする。そして、巻き爪41は、上述した回動機構51によってハンドル12の回動に連動して回動する。これにより、シート束1の一方の面1aに貼着された片3は、シート束1の一方の面1aに貼着されていない自由端が巻き爪41の先端部41aに押されることで、シート束1の端面1c、シート束1の他方の面1b、孔2の孔端面2aの順に巻き付ける。図32(B)に示すように、片3の巻き付けが終了すると、巻き具40は逆転し、待機状態に戻る。
図32(C)に示すように、ハンドル12が元に戻り、シート束1は、反矢印K方向に引き抜かれる。すると、押圧接着部材81は、楔効果などの押圧構造によって、孔2に巻き付けられた片3を扱くようにして押圧する。これにより、片3は、シート束1の一方の面1a側に、最初に貼着された片3の部分に重なるようにして貼着される。これにより、片3は、孔2に、略1周以上巻き付けられることになる。
<7.動作説明>
<7−1.ハンドルの往路の動作説明>
図37に示すように、シート束1を挿入する前は、ハンドル12がベースユニット11に対して例えば45°矢印A方向に回動した待機状態にある。また、穿孔ユニット16は、図16(A)に示すように、穿孔位置に移動した状態にある。この状態で、シート束1は、矢印K方向から穿孔ユニット16の載置面65に沿うように、図18に示す突当部66,66に突き当たるまで挿入され、挿入方向の位置決めがされる。この際、シート束1が挿入される際、回動レバー86は、図36に示すように、ユーザによって持ち上げられる。また、図31(A)に示すように、押圧接着部材81は、挿入されるシート束1を迎え入れる側の片3と挿入されるシート束1とのなす角θが鋭角となるように設けられているので、円滑に、すなわち小さい力で挿入できる。また、挿入されたシート束1は、図31(A)に示すように、シート押上部材76によって押し上げられ、載置面65との間に間隙が形成され、片送り機構14から送り出される片3が進入可能な状態となる。
図38に示すように、ハンドル12が反矢印A方向に回動され始めると、図7に示すように、片3を送る片送り機構14の第1の部材37aと第2の部材37bとが回動可能に連結された送り部材37は、第1の部材37aの先端部がハンドル12の内面に押圧されることで、支軸37cを中心に回動し始める。更に、図39に示すように、ハンドル12が回動されると、付勢部材38に抗して、第1の部材37aが第2の部材37bに対して支軸37cを中心に回動する。すると、第2の部材37bを介して連結されている係合部材36は、図6(B)に示すように、矢印B方向に移動し、これにより、片3の一枚分を送り操作する。これにより、片3は、排出部31からシート押上部材76によって押し上げられたシート束1と載置面65との間に隙間80に粘着層4がシート束1の一方の面1aと対向するようにして排出される。
なお、係合部材36の送り動作は、図7に示すように、第2の部材37bがストッパである支軸22に突き当たることで停止する。ハンドル12が更に回動されることで、シート束1に孔2を形成する穿孔動作に移るが、この際には、第1の部材37aがストッパとなる支軸22に突き当たっていることで、この後は、付勢部材38の付勢力に抗して第1の部材37aに対して第2の部材37bが支軸37cを中心に更に回動する。これにより、ハンドル12が更に回動した際に、片巻き装置10は、穿孔動作に移行することが可能となる。
図40に示すように、ハンドル12が更に回動されると、ハンドル12の内面にある抜き刃押圧部70によって、抜き刃67の他端部67aが押圧され、抜き刃67は、シート束1を打ち抜く矢印Iにスライドされる。図40に示す例では、最大枚数である多い枚数の厚いシート束1が挿入されており、抜き刃67の刃先がシート束1に接触した状態を示している。更に、ハンドル12が回動されると、図41に示すように、抜き刃67の規制突起74がシート押さえ部材71の移動量規制溝73の一端部73aをI方向に押圧する(図19及び図20参照)。これにより、抜き刃67の穿孔動作と連動して、シート押さえ部材71も、打ち抜き方向にスライドしている抜き刃67と同方向にスライドする。そして、更に、ハンドル12が回動されることで、図42に示すように、抜き刃67がシート束1を貫通し、シート束1に孔2を穿孔する。
図43に示すように、ハンドル12が下死点まで回動したときには、シート押さえ部材71のシート押さえ部75,75は、抜き刃67の両側を、シート押上部材76とでシート束1を挟み込む。この際、ダイ67bに支持されているシート束1の抜き刃67の両側は、シート押さえ部75,75に押圧されることで、シート押上部材76の押上力に抗して沈み込む(図22及び図23参照)。これによって、シート押さえ部75,75の両側に位置する片3の粘着層4は、シート束1の一方の面1aにしっかりと貼り付けられる(第1接着工程)。図44に示すように、ハンドル12が下死点から上昇し始めると、弾性体68の付勢力によって若干シート束1から離間する。
<7−2.ハンドルの復路の動作説明>
ところで、図37に示すハンドル12を回動操作し始めてから下死点に至るまでの間は、巻付け機構15の巻き具40は回動しない。図12(A)及び(B)に示すように、ラックリンク部材54及びラック部材55が矢印F2方向にスライドせず、巻き具40の係合部44,44,44が第1乃至第3の係合凹部55c,55d,55eに係合して接続されている巻き具40がG1方向に回転しないからである。
図13(A)及び(B)並びに図15に示すように、ハンドル12が下死点から上昇するときには、ハンドル12の円弧状ギヤ52がD2方向に移動することで、円弧状ギヤ52と噛合している駆動ギヤ部材53がE2方向に回転し、駆動ギヤ部材53の駆動ピン53bが、第1の係合片54aを押圧し、ラックリンク部材54と一体的なラック部材55を矢印F2方向にスライドする。これにより、最初、ラック部材55の第1の係合凹部55cに係合している1番目の係合部44が押され、巻き具40が矢印G1方向に回転する。次いで、2番目の係合部44が第2の係合凹部55dに係合し、2番目の係合部44が押されることで、更に、巻き具40が矢印G1方向に回転する。更に、3番面の係合部44が第3の係合凹部55eに係合し、3番目の係合部44が押されることで、更に巻き具40が矢印G1方向に回転する。かくして、巻き具40の巻き爪41は、ハンドル12が上昇するときに矢印G1方向に回転し、先端部41aで片3の自由端を押圧し、片3を、シート束1の端面1c、シート束1の他方の面1b、孔2の孔端面2aの順に巻き付けることができる。
これを、ハンドル12の動作と合わせて説明すると、図45に示すように、図44の状態よりハンドル12が矢印A方向に回動すると、ラック部材55の第1の係合凹部55cに係合している1番目の係合部44が押され始め、巻き具40の巻き爪41が矢印G1方向に回転し始める。次いで、図46に示すように、回転し始めた巻き爪41の先端部41aとシート束1を貫通している抜き刃67との干渉を避けるべく、抜き刃67が弾性体68の復帰力によって反矢印I方向にスライドし、シート束1から退避する。巻き爪41は、抜き刃67が穿孔したシート束1の孔2に進入することによって、片3を孔2に巻き付けるものであり、抜き刃67が退避しないと、先端部41aが抜き刃67と衝突するからである。
更に、ハンドル12が矢印A方向に回動すると、図47に示すように、回転する巻き爪41は、片3を持ち上げながら回転し、その内周押圧面41bがシート束1の挿入端側の端面1c(図3参照)に接触する。更に、ハンドル12が矢印A方向に回動すると、図48に示すように、巻き爪41の先端部41aは、片3の自由端を孔2に押し込むようにして孔2に進入する(図8(C)参照)。これにより、巻き爪41は、シート束1の上面23側の面1aに貼着された片3を、押しながら、シート束1の端面1c、シート束1の他方の面1b、孔2の孔端面2aの順に巻き付ける。この際に、巻き爪41の内周面の中程の内周押圧面41bが孔端面2aの位置を押圧することによって、シート束1の枚数に拘わらず、片3の粘着層4を孔端面2aに押し付けることができる(第2接着工程)。
更に、ハンドル12が矢印A方向に回動すると、図49に示すように、巻き爪41は、矢印G2方向に回動し始める。具体的に、図14に示すように、ラック部材55が、矢印F1方向にスライドし、巻き具40の係合部44,44,44が第3の係合凹部55eから順に第2の係合凹部55d、第1の係合凹部55cに係合する。これにより、巻き具40は、矢印G2方向に回転して、図50に示すように、片3を巻き付けた位置から上面23の下の待機位置に戻る。また、この状態において、ハンドル12は初期の待機位置に戻る。この後、シート束1は、図32(C)に示すように、反矢印K方向に引き抜かれる。すると、押圧接着部材81は、楔効果によって、孔2に巻き付けられた片3を扱くようにして押圧する。片3は、押圧ローラ88によっても押圧される(図17参照)。これにより、片3は、シート束1の一方の面1a側に、最初に貼着された片3の部分に重なるようにして貼着される(第3接着工程)。これにより、片3は、孔2に、略1周半巻き付けられることになる。
以上のように、片巻き装置10は、孔2を有するシート束1に片3を巻き付ける際に、巻き爪41の先端部41aが片3の自由端を押しながらシート束1の端部側からシート束1の孔2まで移動するように、巻き爪41が回動されることで、シート束1の一方の面1aに取り付けられた片3が、シート束1の一方の面1aから他方の面1bに亘って巻き付けられ、シート束1の他方の面1bから孔端面2aに挿入されて、孔2を有するシート束1に片3が巻き付けられ、四面に亘って片が巻き付けられるので、片3を強固にシート束1に巻き付けることができる。
また、片巻き装置10は、ハンドル12が回動操作されると、ハンドル12に押圧される抜き刃67のスライドに連動して、巻き爪41を有する巻き具40も回動し、片3を、シート束1の孔2に巻き付ける。すなわち、ハンドル12が回動する動作の中で、抜き刃67の動作と巻き具40の動作が連動するので,正確な位置に孔2を穿孔し、孔2に正確に片3を巻き付けることができる。また、ハンドル12の一連の回動操作の中で、穿孔動作と片3の巻き付け動作を行うことができ、操作性の向上を図ることができる。穿孔動作後にシート束1が動いてしまうと、片3を巻く際の動作が行えなくなることがあるが、この構成によれば、穿孔動作後にシート束1が動くことが無いので、シート束1の孔2の位置と片3の巻き付け位置がずれることがなく、片3を巻きつける際に、ずれたシート束1の孔2に挿入された片3が衝突し、ジャムが発生することを防止できる。
<8.シート押さえ保持機構>
図26(A)及び(B)並びに図27(A)及び(B)に示すように、シート押さえ部材71のシート押さえ部75,75は、最下点がシート束1より下に設定されており、図27(A)に示すように、最大枚数である多い枚数の厚いシート束1が挿入されたときには、最下点で最大荷重が加わるようになる。そして、図26(B)に示すように、シート押さえ部75,75は、一度最下点まで下りた後、ハンドル12の復路の動作に追従しシート束1に負荷の加わらない箇所にまで退避する。図27(B)に示すように、多い枚数の厚いシート束1のときには、丁度、シート束1とシート押さえ部75,75の押さえ面とが当接する程度となる。
このようなシート押さえ部材71の動作は、図51〜図55に示すように、シート押さえ保持機構91によって制御される。シート押さえ保持機構91を構成するシート押さえ部材71は、上述のように、抜き刃67の動作に連動してスライドするものであり、図51(A)及び(B)並びに図52に示すように、上述のようにシート押さえ部75,75の他に、保持部材94を押圧する押圧突起92が設けられている。また、シート押さえ部材71は、保持部材94によって、シート束1から離間する反矢印I方向にスライドすることを制御する制御突起93が設けられている。
シート押さえ保持機構91は、更に、シート押さえ部材71のスライドをロックする保持部材94を有する。保持部材94は、スライドベース61に支軸94aによって回動可能に取り付けられている。保持部材94は、コイルバネ等の弾性体でなる切換部材95によって、図52に示す位置と図53に示す位置に切り換えられる。切換部材95は、一端がスライドベース61に係止され、他端が保持部材94に係止されている。更に、保持部材94には、シート押さえ部材71の押圧突起92によって押圧される被押圧部96が形成されている。更に、保持部材94には、シート押さえ部材71の制御突起93が当接される係合段部97が形成されている。
図52に示すように、ハンドル12が待機状態にあるとき、シート押さえ部材71は、抜き刃67と共に弾性体68によって反矢印I方向に弾性付勢された状態にある。この際、保持部材94は、支軸94aを中心に、切換部材95によって、矢印L方向に回動付勢されており、シート押さえ部材71の押圧突起92は、保持部材94の被押圧部96から離間した状態にある。
ハンドル12が回動され、抜き刃67がシート束1を打ち抜くとき(図26(A)及び(B)並びに図27(A)及び(B)参照)、抜き刃67と共に矢印I方向にスライドするシート押さえ部材71は、押圧突起92で保持部材94の被押圧部96を押圧する。すると、図52及び図53に示すように、保持部材94は、支軸94aを中心に反矢印L方向に回動する。すると、保持部材94の係合段部97の下側に、シート押さえ部材71の制御突起93が僅かに離間して位置する。図26(A)及び(B)に示すように、シート束1の枚数が少ないときには、制御突起93と係合段部97との間の隙間97aの分だけがたつきを有し、シート押上部材76によって、シート束1がシート押さえ部75,75側に押し上げられた状態となり、この状態で、シート束1を軽く押さえ付けるようにしている。
図27(A)及び(B)に示すように、最大枚数のシート束1が挿入されているときには、図54に示すように、シート押さえ部材71の制御突起93は、保持部材94の係合段部97と当接する程度まで押し上げられ、この状態で、シート束1を押さえ付けるようにする。
ハンドル12が復路において上昇するとき、ハンドル12の解除片98は、図54に示すように、保持部材94の係合突起99を蹴り上げる。すると、保持部材94は、切換部材95の付勢力によって、矢印L方向に回動し、図55の初期状態に戻る。シートの枚数が少ないときと枚数が多いとき、すなわちシート束の厚みが薄いときと厚いときにシート束の位置が一定の位置にないと片3をシート束1の孔2に挿入するのが不安定になるが、この構成により、シート束1の枚数が少ないときと枚数が多いとき、すなわちシート束1の厚みが薄いときと厚いときに係わらず、シート束1の他方の面の高さを一定の位置に保つことができ、片3をシート束1の孔2に挿入する際の動作を安定させることができる。
<9.抜き刃とシート押さえ部材の連動動作の変形例の説明>
以上の例では、抜き刃67のスライドと巻き具40の回転を、機械的にハンドル12の回動に連動させて行う場合を説明したが、図56(A)〜(C)に示すように、抜き刃67のスライドと巻き具40の回転をモータ101,102を用いて行い、コントローラ100で、モータ101,102の駆動を連動させるようにしてもよい。すなわち、図56(A)に示すように、抜き刃67は、ラック103が設けられており、モータ101の出力と接続されたギヤ104と噛合されている。また、巻き具40も、駆動ギヤ105が設けられており、モータ102の出力と接続されたギヤ106と噛合されている。
以上のように電動で抜き刃67のスライドと巻き具40の回転を行う場合、コントローラ100は、図56(A)に示すように、抜き刃67と巻き具40とを待機状態にする。すなわち、抜き刃67は、反矢印I方向にスライドされ、巻き具40は、矢印G2方向に回動され、載置面65より下側に退避している。図56(B)に示すように、シート束1を穿孔するとき、コントローラ100は、モータ101を駆動し、抜き刃67を矢印I方向にスライドさせる。図56(C)に示すように、片3を巻き付けるとき、コントローラ100は、モータ101を逆転駆動し、抜き刃67を反矢印I方向にスライドさせて、退避させる。この後、コントローラ100は、モータ102を駆動し、巻き具40を矢印G1方向に回転させて、シート束1に穿孔された孔2に片3を巻き付ける。なお、シート押上部材76のスライド動作は、抜き刃67のスライド動作と機械的に又は電動で連動させることができる。
この後、シート束1は、図32(C)に示すように、反矢印K方向に引き抜かれる。すると、押圧接着部材81は、楔効果によって、孔2に巻き付けられた片3を扱くようにして押圧する。これにより、片3は、シート束1の一方の面1a側に、最初に貼着された片3の部分に重なるようにして貼着される(第3接着工程)。
<10.巻付け機構の変形例の説明>
以上の例では、巻き具40の巻き爪41によって、片3を、シート束1の孔2に巻き付ける場合を説明したが、更に、複数の部材によって、片3を、シート束1の孔2に巻き付けるようにしてもよい。これを、図57(A)〜(D)及び(E)〜(H)を参照して説明する。なお、図57(A)〜(D)と(E)〜(H)は、(A)〜(D)にはシート押さえ部75があり、(E)〜(H)にはシート押さえ部75がないだけの相違なので、以下、まとめて説明する。
この巻付け機構111は、シート束1の一方の面1aに貼着された片3を押圧し、シート束1の挿入端側の端面1cに沿うように略垂直に折曲する第1の押圧レバー112と、第1の押圧レバー112で折曲された片3をシート束1の他方の面1bに沿うように略垂直に折曲する第2の押圧レバー113と、第2の押圧レバー113で折曲された片3を孔2内に挿入する第3の押圧レバー114とを有する。
片3を孔2に巻き付ける前は、図57(A)及び(E)に示すように、第1乃至第3の押圧レバー112〜114が退避した状態にあり、シート束1に孔2が穿孔されると、図57(B)及び(F)に示すように、第1の押圧レバー112が一方の面1aに対して略垂直に進出し、片3を、シート束1の一方の面1aに対して略垂直に折曲し、シート束1の挿入端側の端面1cに接着する。次いで、図57(C)及び(G)に示すように、第2の押圧レバー113が第1の押圧レバー112とは略垂直な方向に進出し、片3を略垂直に折曲し、シート束1の他方の面1bに接着する。次いで、図57(D)及び(H)に示すように、第3の押圧レバー114が他方の面1bに対して略垂直に進出し、片3を略垂直に折曲し、片3を孔2に挿入し孔端面2aに接着する。
この後、シート束1は、図32(C)に示すように、反矢印K方向に引き抜かれる。すると、押圧接着部材81は、楔効果等の押圧構造によって、孔2に巻き付けられた片3を扱くようにして押圧する。これにより、片3は、シート束1の一方の面1a側に、最初に貼着された片3の部分に重なるようにして貼着される(第3接着工程)。
<11.片を3面に接着する変形例の説明>
以上の例では、片3を、一方の面1a、挿入端側の端面1c、他方の面1b、孔2の孔端面2a、及び、一方の面1a(5面)に亘って、片3が巻回された場合を説明したが、片3は、3面に巻かれるものであってもよい。図58(A)に示すように、片3は、シート束1の一方の面1a上に孔2上に延在するようにして仮着されており、巻き爪41が矢印G1方向に回動されると、孔2上の片3を先端部41aで押圧し、孔2内に進入させる。図58(B)に示すように、更に、巻き爪41が矢印G1方向に回動されると、孔2内に進入した片3は、シート束1の他方の面1bに押し付けられる。これにより、片3は、シート束1の一方の面1a、孔2の孔端面2a、及び、他方の面1bの3面に貼り付けられることになる。
また、片3をシート束1の3面に貼着する場合であっても、上述したように、図57で示したように押圧レバーを用いてもよい。具体的に、図59(A)に示すように、この巻付け機構121は、シート束1の一方の面1aに貼着された片3を押圧し、シート束1の孔2の孔端面2aに沿うように略垂直に折曲する第1の押圧レバー122と、第1の押圧レバー122で折曲された片3をシート束1の他方の面1bに沿うように略垂直に折曲する第2の押圧レバー123とを有する。
片3を孔2に巻き付ける前は、図59(A)に示すように、第1及び第2の押圧レバー122,123が退避した状態にあり、シート束1に孔2が穿孔されると、図59(B)に示すように、第1の押圧レバー122がシート束1の一方の面1aに対して略垂直に進出し、片3を、シート束1の一方の面1aに対して略垂直に折曲し、シート束1の孔2の孔端面2aに接着する。次いで、図59(C)に示すように、第2の押圧レバー123が第1の押圧レバー122とは略垂直な方向に進出し、片3を略垂直に折曲し、シート束1の他方の面1bに接着する。これにより、片3は、シート束1の一方の面1a、孔端面2a、及び、他方の面1bの3面に貼着されることになる。
なお、図58及び図59の例では、片3を、シート束1の一方の面1a、孔端面2a、他方の面1bの順に巻く場合を説明したが、この他に、片3を、一方の面1a、孔端面2aとは反対側の端面1c、他方の面1bの順に巻くようにしてもよい。また、片3を、他方の面1b、孔端面2a/端面1c、一方の面1aの順に巻くようにしてもよい。
<12.ハンドルの往路の動作で抜き刃と巻き具を動作させる変形例の説明>
以上の例では、ハンドル12の往動作で抜き刃67をスライドしてシート束1に孔2を穿孔し、ハンドル12の復路で巻き具40を回転して片3を孔2に巻き付ける場合を説明したが、次に説明するように、ハンドル12の往動作のみで、抜き刃67をスライドしてシート束1に孔2を穿孔し、更に、巻き具40を回転して片3を孔2に巻き付けるようにしてもよい。
図60に示すように、この片巻き装置200は、ベースユニット201にハンドル202が支軸203で回動可能に取り付けられている。ハンドル202は、コイルバネ等の付勢部材204によって、待機状態となる矢印A方向に付勢されている。ベースユニット201には、抜き刃205が取り付けられており、抜き刃205は、コイルバネ等の弾性体206によって、待機位置の方向となる反矢印I方向に付勢されている。
また、ベースユニット201には、巻き具210が矢印G1方向に回動可能に取り付けられている。巻き具207は、ベースユニット201に設けられたスライダ207のラック部208に、ギヤ部209が噛合している。ハンドル202には、スライダ207の係合片211に係合して、スライダ207を矢印X方向に操作するスライド操作片212が設けられている。ハンドル202は、スライド操作片212がベースユニット201側に設けられたストッパ218に係合されることによって、矢印A方向に回動範囲が規制されている。ハンドル202には、抜き刃205を押圧する押圧操作部材213が設けられている。
押圧操作部材213は、ハンドル202の内面に支軸214によって回動可能に取り付けられており、また、引っ張り部材であるコイルバネ215によって矢印Y方向に回動付勢されている。押圧操作部材213は、内部に、操作体216がコイルバネである付勢部材217によって矢印Z方向に付勢されている。操作体216は、倣いピン219が設けられており、倣いピン219は、ハンドル202が矢印A方向に回動した際に、ベースユニット201側の受け部221に当接する。
図60に示すように、ハンドル202が矢印A方向に回動し待機状態にあるとき、抜き刃205は、弾性体206の弾性力によって、反矢印I方向にスライドしており、押圧操作部材213は、抜き刃205に対して傾いた状態で、操作体216が抜き刃205の先端部に当接した状態にある。また、スライダ207は、反矢印X方向にスライドした状態にあり、巻き具210は、反矢印G1方向に回動し、退避した状態にある。
図61(A)に示すように、ハンドル202が反矢印A方向に回動操作されると、先ず、押圧操作部材213が支軸214を中心に反矢印Y方向に回動し、抜き刃205と押圧操作部材213とが直線状となる。更に、ハンドル202が回動操作されると、図61(B)に示すように、押圧操作部材213は、弾性体206の弾性力に抗して抜き刃205を矢印I方向に押圧する。この状態で、シート束1には、抜き刃205によって孔2が穿孔される。このとき、押圧操作部材213は、抜き刃205に対して更に反対側に傾く。
図62(A)に示すように、ハンドル202が更に回動操作されると、押圧操作部材213は、抜き刃205に対する傾きが更に大きくなり、操作体216は、押圧している抜き刃205の先端部から外れ、倣いピン219がベースユニット201側の受け部221に当接する。すると、抜き刃205は、弾性体206の弾性復帰力によって反矢印I方向にスライドし、待機位置に戻る。これにより、孔2が開いたシート束1からは、抜き刃205が退避し、巻き具210が動作可能な状態になる。
図62(B)に示すように、ハンドル202が更に回動され続け、図63(A)に示す状態にまで移動されると、ハンドル202のスライド操作片212がスライダ207の係合片211に係合する。更に、ハンドル202が回動され続けると、図63(B)に示すように、スライダ207は、ハンドル202のスライド操作片212によって押されることで、矢印X方向にスライドする。すると、スライダ207のラック部208にギヤ部209が噛合している巻き具210は、矢印G1方向に回動する。これにより、抜き刃205によって穿孔されたシート束1の孔2には、片3が巻き付けられることになる。この後、ハンドル202は、付勢部材204の付勢力によって、矢印A方向に回動し、待機状態に戻る。
なお、ここで巻き付けられる片3は、3面に巻き付けられるものであってもよいし、4面以上巻き付けられるものであってもよい。
<13.排出部や巻き具を露出させる変形例の説明>
図16(A)及び(B)に示すように、シート束1に孔2を穿孔する穿孔ユニット16は、ベースユニット11の上面23に長手方向にスライド可能に取り付けられ、ベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)のメンテナンス位置にスライドしたとき、排出部31や巻付け機構15の巻き具40の巻き爪41や抜き刃67を外部に露出させ、メンテナンス作業を容易に行うことができるようにしている。
このように片巻き装置10では、片3を排出する排出部31や巻き爪41をメンテナンスのため露出できればよいので、穿孔ユニット16が図16(A)及び(B)に示すスライド動作以外の動作をしてもよい。
例えば、図64(A)は、穿孔ユニット16が穿孔位置に装着された基本状態を示しており、図64(B)のように、穿孔ユニット16を、ベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)のメンテナンス位置にスライドさせてもよい(図16(A)及び(B)と同じ動き)。また、図64(C)に示すように、穿孔ユニット16は、ロール収容部13と共に、反対側にスライドさせてもよい。
図64(D)は、穿孔ユニット16が着脱可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。穿孔ユニット16は、図64(E)に示すように、ベースユニット11から取り外すことで、排出部31や巻き爪41や抜き刃67を露出させることができる。
更に、図64(F)は、穿孔ユニット16がベースユニット11に対して近接離間するように昇降可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。図64(G)に示すように、穿孔ユニット16は、ベースユニット11に対して上昇させ離間させることで、排出部31や巻き爪41や抜き刃67を露出させることができる。
更に、図64(H)は、穿孔ユニット16がベースユニット11に対して回動可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。図64(I)に示すように、穿孔ユニット16は、ベースユニット11に対して回動されることで、排出部31や巻き爪41や抜き刃67を露出させることができる。
図65(A)〜(I)では、排出部31がベースユニット11に設けられ、片3がベースユニット11の下側の排出部31からからベースユニット11に対して略垂直に排出される例を示している。図65(A)は、ベースユニット11に排出部31が設けられており、穿孔ユニット16が穿孔位置に装着された基本状態を示している。そして、図65(B)のように、穿孔ユニット16を、ベースユニット11の他端側(シート束1の挿入側)のメンテナンス位置にスライドさせてもよい。また、図65(C)に示すように、穿孔ユニット16は、ロール収容部13と共に、反対側にスライドさせてもよい。
図65(D)は、穿孔ユニット16が着脱可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。穿孔ユニット16は、図65(E)に示すように、ベースユニット11から取り外すことで、排出部31や抜き刃67を露出させることができる。
更に、図65(F)は、穿孔ユニット16がベースユニット11に対して近接離間するように昇降可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。図65(G)に示すように、穿孔ユニット16は、ベースユニット11に対して上昇させ離間させることで、排出部31や抜き刃67を露出させることができる。
更に、図65(H)は、穿孔ユニット16がベースユニット11に対して回動可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。図65(I)に示すように、穿孔ユニット16は、ベースユニット11に対して回動させることで、排出部31や抜き刃67を露出させることができる。
更に、図66(A)〜(D)では、排出部31が穿孔ユニット16に設けられている。図66(A)及び(C)では、穿孔ユニット16がベースユニット11に対して回動可能であり、穿孔ユニット16がベースユニット11に装着された状態を示している。図66(B)及び(D)に示すように、排出部31が設けられた穿孔ユニット16は、ベースユニット11に対して回動されることで、排出部31や抜き刃67を露出させることができる。