JP2015037858A - 画像形成装置 - Google Patents

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貴彦 松本
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貴彦 松本
学 瀬尾
Manabu Seo
学 瀬尾
祐馬 臼井
Yuma Usui
祐馬 臼井
愛乃 長谷川
Yoshino Hasegawa
愛乃 長谷川
鈴木 亮太
Ryota Suzuki
亮太 鈴木
英臣 佐久間
Hideomi Sakuma
英臣 佐久間
宏之 山下
Hiroyuki Yamashita
宏之 山下
大島 久慶
Hisayoshi Oshima
久慶 大島
健 日原
Takeshi Hihara
健 日原
瑞樹 小田切
Mizuki Odagiri
瑞樹 小田切
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Abstract

【課題】中間転写方式を用いたインクジェット方式の画像形成装置において、エレクトロウェッティング効果を生じさせることでビーディングを抑制すると共に記録液中の固形分が中間転写体表面に固着することを防ぐことで転写率を向上する。
【解決手段】画像形成装置200は、記録液102を吐出するノズル61bを備えたヘッド61Y、61M、61C、61BKと、導電性部材37Aと該導電性部材37Aの表面を覆う絶縁性部材37Bとで構成される中間転写体37とを有する。また、画像形成装置200は、絶縁性部材37B表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせるために、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の導電性部材37Aとの間に電圧を加える電圧印加手段107を有する。また、画像形成装置200は、記録液102によって中間転写体37上に担持された画像を転写紙Sに転写する転写手段64を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、インク等の記録液をヘッドから吐出して中間転写体に担持させ画像形成を行う中間転写方式を採用したインクジェット方式の画像形成装置に関する。
ピエゾ方式に代表される可動アクチュエータ方式、サーマル方式に代表される加熱膜沸騰方式等により、画像情報に応じてインク等の記録液をヘッドから吐出して画像形成を行うインクジェット方式の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
このようなインクジェット方式の画像形成装置の中でも、ヘッドから吐出された記録液を担持する中間転写部材である中間転写体を備えた中間転写方式の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
この中間転写方式の画像形成装置では、用紙等の被記録媒体が、通常、ヘッドに対向する位置を通過することがないため、一般的に、次のような利点が得られる。即ち、被記録媒体がヘッドに触れることで、ノズル等が損傷したり、被記録媒体に付着している紙粉、埃等がノズル等に付着したりすることが防止される。そのため、ノズルから吐出される液滴の飛翔方向が乱れたり、ノズルが目詰まり・閉塞したりして、画像品質や信頼性が低下することが回避されるという利点を有する。
その一方で、かかる中間転写方式の画像形成装置において、中間転写体上でのインク液滴の合一、所謂「ビーディング」と呼ばれる不具合現象の抑制が必須となっている。このビーディングは、中間転写体上に着弾したインク滴の位置ずれや、混色の原因となるため、良好な転写画像を得るために解決するべき課題の1つである。
特許文献1や2では、中間転写体上のビーディングを防ぐために、インクジェット記録液以外の反応液や処理液、粉末などを使用しているため、消耗品が多く、装置が複雑化してしまう、という問題がある。
また、別の課題として、転写率の向上、あるいはクリーニング性能の向上が挙げられる。中間転写体を用いて連続的に印刷プロセスを行うためには、インク中の色材や定着性樹脂に代表されるような中間転写体上の付着物を除去し、常に良好な状態に初期化されている必要がある。この点に関し、特許文献3記載の技術が提案されている。特許文献3では、液中通電プロセスによるビーディングの抑制効果と、クリーニング性能の向上効果とが得られている。しかしながら、巻き取り可能なウェブとクリーニングブレードの設置、さらにクリーニングブレードに電圧を印加することで凝集物を再分散させるための機構が加わっている。そのため、装置構成が複雑であり、省エネ、装置小型化の観点からは問題がある。
中間転写体を用いた印刷プロセスに関する上記従来技術の中に、一見すると、本発明に記載のエレクトロウェッティングの効果と類似しているものが幾つかあり、以下それらについて述べる(特許文献4、5参照)。
特許文献4では、表層に絶縁層を設けた感光体からなる中間転写体の内側から露光手段によって静電潜像が描かれた中間転写体上に、負電位を印加された導電性インクを付与し、エレクトロウェッティング効果により静電潜像上に導電性インクを選択的に付着させる。中間転写体から記録媒体に導電性インクが転写されるが、導電性インクが中間転写体に付与された時点から、転写するまでに要する時間の間に、絶縁層に蓄えられた電荷量が減衰するように絶縁層の体積抵抗率を選択している。これにより、転写時にはエレクトロウェッティング効果が十分に消失しているため、転写率を高くすることが可能な構成となっている。このように特許文献4は、系に電位を印加することで中間転写体上でエレクトロウェッティングを発動させる点において、一見すると本発明と装置構成が類似している。しかしながら、本発明では微小液滴のビーディングを抑制することと中間転写体表面にインク中の固形分が固着するのを抑制することが狙いであるのに対して、特許文献4は静電潜像上に導電性インクを選択的に付与することが狙いであり、目的と作用効果が異なる。
特許文献5では、表層に絶縁層を設けた感光体からなる中間転写体の周囲に、インク槽、露光源、転写部、エレクトロウェッティングの作用に有効な電位が印加された電解槽が設置されている。露光は、電解槽を通過して行われるため、中間転写体の静電潜像上に電解槽の中の電解質が付着する。その後インク槽から中間転写体にインクが付与され、中間転写体表面のうちで電解質によって湿らせられていない領域が、インク槽中のインクによって選択的に湿らせられることで、バリアブルでオンデマンドな印刷に適用可能なシステムを提供している。特許文献5では、特許文献4と同様、エレクトロウェッティング効果を利用して中間転写体上に選択的にインクを付与することが狙いであることから、本発明とは作用効果が異なる。
本発明の目的は、中間転写方式を用いたインクジェット方式の画像形成装置において、エレクトロウェッティング効果を生じさせることでビーディングを抑制すると共に記録液中の固形分が中間転写体表面に固着することを防ぐことで転写率を向上することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、記録液を吐出するノズルを備えたヘッドと、導電性部材と該導電性部材の表面を覆う絶縁性部材とで構成される中間転写体と、前記中間転写体の前記絶縁性部材表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせるために、前記ヘッド又はアースと前記中間転写体の前記導電性部材との間に電圧を加える電圧印加手段と、前記記録液によって前記中間転写体上に担持された画像を被記録媒体に転写する転写手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、上記簡単な構成により、中間転写体の絶縁性部材表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせることでビーディングが抑制されると共に、記録液中の固形分が中間転写体表面に固着することが抑制されることで転写率を向上することができる。
実施形態1を示す画像形成装置の概略正面図である。 図1に示した画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。 実施形態1において、電圧印加手段により中間転写体の導電性部材に電圧を印加した場合の、エレクトロウェッティング効果を説明するための模式図である。 (a)は中間転写体表面上に着弾した2つの記録液滴の接触線の移動速度を説明する図、(b)は2つの記録液滴がビーディングする状態を示す図である。 変形例1の画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。 変形例2の画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。 変形例3の画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。
(実施形態1)
図1〜図4を用いて、実施形態1を説明する(請求項1、2、6〜8)。図1は、実施形態1の画像形成装置を示す概略正面図である。図2は、図1に示した画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。
まず、図1を用いて本発明を適用した画像形成装置の概略を説明する。画像形成装置200は、インクジェットプリンタとしてのプリンタであってフルカラーの画像形成を行うことが可能なインクジェット記録装置である。画像形成装置200は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行う。
画像形成装置200は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体である被記録媒体としてこれに画像形成を行うことが可能である。画像形成装置200は、被記録媒体の一例としての用紙等の転写紙Sの片面に画像形成可能な片面画像形成装置であるが、転写紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置であっても良い。
画像形成装置200は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な、当該色のインクとしての記録液を吐出するヘッド61Y、61M、61C、61BKを有している。ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、かかる記録液を吐出する記録液吐出体としての記録ヘッドであるインクジェットヘッドとして機能する。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、画像形成装置200の本体99の略中央部に配置されたドラム状をなす中間転写体37の外周面に対向する位置に配設(配置して設けること、又は位置を決めて設けることを意味する)されている。ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、中間転写体37の移動方向であって図1において時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。同図において各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の部材であることを示している。
中間転写体37は、導電性部材37Aと該導電性部材37Aの表面を覆う絶縁性部材37Bとで構成されている。即ち、中間転写体37は、中央部において円柱状をなす導電性部材37Aと、該導電性部材37Aの表層を被覆する円筒状をなす絶縁性部材37Bとの2層構造となっている。
図1、図2に示すように、中間転写体37の導電性部材37Aは、良導電性である必要があり、好適には金属やその合金が用いられる。導電性部材37Aは、必要な機械的強度があれば、金属やその合金に限らず、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料にカーボンブラックやカーボンナノチューブ、金や銀などの金属微粒子を混入させた導電性ゴムも使用可能である。
中間転写体37の絶縁性部材37Bは、良好な絶縁性を示す材料が好適であり、アルミナ、ステアタイト、雲母、水晶、蛍石、ソーダガラス、鉛ガラス、紙、ゴム、テフロン(登録商標)が用いられる。絶縁性部材37Bの厚みは、1mm以下程度が良く、20〜200μmが好適である。
中間転写体37は、上記したものに限らず、導電性ゴム材料の表層にスキン層(薄い絶縁層)を設けた2層構造からなるものを用いても良い。なお、中間転写体37は、このようなドラム状でなく、無端ベルト状の構成であっても良い。この場合、中間転写体は、例えば基体が薄い金属製ベルトの表層にスキン層(薄い絶縁層)を設けた2層構造の無端ベルトを用い、金属製ベルト側を導電性材料で形成された複数のローラ状部材で走行回転可能に支持する。そして、上記ローラ状部材を介して上記無端ベルトの金属製ベルト側とヘッド61Y、61M、61C、61BKとの間に電圧を加える電圧印加手段107を設ければ良い。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための記録液吐出装置であるインク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられている。なお、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、図1の紙面に垂直な方向に複数が並設された態様で、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
中間転写体37は、A1方向に回転している状態で、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向する領域で、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKからイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクが順次重ね合わされる態様で吐出されて付与される。これにより、中間転写体37は、その表面上にインク画像が形成される。このように、画像形成装置200は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37に対向させA1方向に並設したタンデム構造となっている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKによる中間転写体37に対するインクの吐出即ち付与は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像領域が中間転写体37上の同じ位置に重なるように行われる。そのため、ヘッド61Y、61M、61C、61BKによる中間転写体37に対するインクの吐出は、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
画像形成装置200は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKをそれぞれ備えたインク吐出装置60Y、60M、60C、60BKを有している。
画像形成装置200は、また、搬送ユニット10と、給紙ユニット20と、排紙台25と、を有している。
搬送ユニット10は、中間転写体37を備え中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写紙Sを搬送する用紙搬送ユニットとしての搬送装置である。給紙ユニット20は、転写紙Sを多数枚積載可能であり、積載した転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する。排紙台25は、搬送ユニット10によって搬送されてきた画像形成済み、言い換えるとプリント済みの転写紙Sを多数積載可能な構成を有する。
画像形成装置200は、また、インク等が転写紙Sに転写された後の中間転写体37から、中間転写体37上に残留している残インク等を除去してクリーニングするためのクリーニング手段106を有している。
画像形成装置200は、また、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを一体に支持したヘッド支持体としてのキャリッジ50を有している。
画像形成装置200は、また、中間転写体37の絶縁性部材37B表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせるために、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の導電性部材37Aとの間に電圧を加える電圧印加手段107を有している。以下、「電圧を加える」ことを、「電圧を印加する」とも言う。電圧印加手段107は、物理学的に言い換えると、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の導電性部材37Aとの間に電位を加える電位印加手段でもある。
画像形成装置200は、また、画像形成装置200の動作全般を制御するCPU、メモリ等を含む制御手段としての図示しない制御部と、上記各装置等に動作指示を与える指示手段、及び各種状態等を表示する表示手段等を備えた図示しない操作部とを有している。
搬送ユニット10は、中間転写体37の他に、中間転写体37に対向して配置され中間転写体37との間の領域である転写部31を転写紙Sが通過するときに中間転写体37上に担持された記録液による画像をその転写紙Sに転写する転写手段64を有している。
搬送ユニット10は、また、給紙ユニット20から給送されてきた転写紙Sを転写部31に案内するとともに、転写部31を通過した転写紙Sを排紙台25に案内するガイド板39を有している。
搬送ユニット10は、また、中間転写体37をA1方向に回転駆動する駆動手段としての駆動モータ等を有している。上記図示しない駆動モータは、中間転写体37の駆動速度即ち回転速度を可変である。該モータによる中間転写体37の回転速度は、上記図示しない制御部によって制御され、設定される。このように、画像形成装置200は、転写紙Sへの画像形成を中間転写体37を用いて間接的に行う間接方式の画像形成装置となっている。
転写手段64は、中間転写体37に従動回転する従動回転部材としてのローラ状をなす転写体38と、転写体38を中間転写体37に圧接し転写体38を加圧ローラとして機能させる加圧手段としての図示しないばねとを有している。このように、転写手段64は、中間転写体37と転写体38との間において転写紙Sを加圧挟持搬送するようになっている。
転写体38は、機械的強度が高いものが好ましく、好適には金属やその合金が用いられる。金属としては、特に限定されないが、アルミニウム、アルミ合金、銅、ステンレス等が挙げられる。なお、転写体38は、ローラ状に限らず、無端ベルト状の構成であっても良い。
図1に示すように、給紙ユニット20は、転写紙Sを多数枚積載可能な給紙トレイ21と、給紙トレイ21に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ローラ22とを有している。給紙ユニット20は、また、給紙トレイ21及び給紙ローラ22を支持した筐体23を有している。
給紙ユニット20は、また、給紙ローラ22を、ヘッド61Y、61M、61C、61BKにおける記録液の吐出タイミングに合わせるように回転駆動し転写紙Sを給送させる図示しない駆動手段としてのモータ等を有している。
クリーニング手段106は、中間転写体37上に形成された画像を構成する記録液のうち転写紙Sに転写されなかった記録液を残留液である残インクとして中間転写体37表面から掻き落とす、清掃部材としてのクリーニングブレードを用いることが好適である。クリーニングブレードを中間転写体37表面に当接(突き当てた状態に接することを意味する)させ、中間転写体37上の残インクを除去する。クリーニングブレードは、中間転写体37に対して所謂カウンター当接の態様で当接している。
クリーニングブレードの材料は、シリコーンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、EPDM、エラストマーなどの弾性材料のほか、ステンレス、アルミなど金属、非鉄材料を用いることが可能である。残インク除去は、クリーニングブレード先端の状態が乾燥状態から保湿状態へ切り替わるときに、除去不良が起きやすく、クリーニングブレードをインクがすり抜けてしまう。そのため、印字中は保湿状態を保ちながら、クリーニングを行うのが良い。印字前にインクを吐出し、クリーニングブレード先端を保水する制御があると性能が安定することが分かっている。
キャリッジ50は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKに劣化等が生じたときにこれらが新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。キャリッジ50は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと一体で、本体99に対して着脱可能となっている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKもそれぞれ、劣化等が生じたときに新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、独立して本体99に対して着脱可能となっている。
これらによって、交換作業、メンテナンス作業が容易化されている。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、用いる記録液の色が異なるものの、その余の点では互いに略同様の構成となっている。インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、画像形成装置200は、ヘッド固定式のフルライン型となっている。このように、中間転写体を用いたインクジェット方式の画像形成装置200では、特に高速な画像形成に用いられるため、ラインヘッド構成を用いられることが多い。
なお、ヘッドの構成としては、ラインヘッド構成に限らず、画像形成領域幅に対して往復運動を行うことで画像形成を行うシャトル方式に対応した小型なヘッド構成を取ることも可能である。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、複数のヘッド61Y、61M、61C、61BKに供給される当該色の記録液を収容したメインタンクとしての記録液カートリッジであるインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKを有している。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、また、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK内に収容された記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに送液するポンプ82Y、82M、82C、82BKを有している。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、記録液をヘッド61Y、61M、61C、61BKに供給する記録液供給部として機能するものである。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、内部の記録液が消費されて残り少なくなったときあるいはなくなったとき等に新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、内部の記録液が消費されるにつれてしぼむことが可能なように比較的やわらかいプラスチック素材で形成された袋状のインクパックとなっている。ただし、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、比較的適合性の高いプラスチック素材で形成されていても良い。
図2に示す記録液102としては、水を含む水性インク、あるいは有機溶媒を含む油系インクが使用可能であり、色材である顔料と定着性樹脂とを含んでいる。定着性樹脂は、転写紙等の被記録媒体上に残留して顔料を定着させる機能を有する。なお、記録液102は、厳密には各ヘッド61Y、61M、61C、61BKにそれぞれ対応した色の記録液102Y、102M、102C、102BKであるが、以下、説明の簡明化のためこれらを総括的に表す符号「102」を用いることとする。
油系インクの有機溶剤としては、公知の各種有機溶媒を使用できる。モノー及びポリアルキレングリコール誘導体(以下、「(ポリ)アルキレングリコール誘導体」と総称する)や、メトキシブチルアセテート誘導体が好適に用いられる。これらの有機溶媒は、インク組成物全重量に対して、通常30〜99重量%、好ましくは50〜98重量%の割合で用いられる。
このような(ポリ)アルキレングリコール誘導体としては、エチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、テトラエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、テトラプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエステル、ジエチレングリコールジアルキルエステル、トリエチレングリコールジアルキルエステル、プロピレングリコールジアルキルエステル、ジプロピレングリコールジアルキルエステル、トリプロピレングリコールジアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
メトキシブチルアセテート誘導体として、具体的には、1−メトキシブチルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテートがある。一般的には、3−メトキシブチルアセテートが安価であることから、よく用いられる。
顔料としては、公知の各種顔料を使用できる。顔料には、無彩色及び有彩色の無機顔料や有機顔料などが包含される。これら顔料の使用量は、着色力やインクの流動性などの観点から、インク組成物全重量に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%、より好ましくは0.3〜6重量%である。
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、リトポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが用いられる。
有機顔料としては、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ジアセトアセトアリライド系などがある。
カラー用としては、シアンインク組成物に含まれる顔料として、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60などが挙げられる。マゼンタインク組成物に含まれる顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112,122,123、168、184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。イエローインク組成物に含まれる顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、130、138、150、151、154、155、180、185などが挙げられる。
顔料分散剤としては、アニオン性、カチオン性の高分子分散剤を用いるのが良い。高分子分散剤として、具体的には、ルーブリゾール社製「SOLSPERSE」、ビックケミー社製「DISPERBYK」、エフカアディティブズ社製「EFKA」、コグニス社製「TEXAPHOR」などが市販されており、本発明のインク組成物として好ましく用いることができる。また、高分子分散剤は、印刷物の強度、耐水性、耐擦過性を向上させるもたらすため、高分子分散剤の種類により、顔料の分散安定効果と、定着性樹脂としての効果の両方を得ることが可能となる。
水性インクの場合、上述の高分子分散剤の他に、界面活性剤のような低分子分散剤を加えても良い。低分子分散剤を加えることで、顔料の分散性が向上する。
アニオン性基を有する低分子タイプの分散剤としては、具体的には、オレイン酸及びその塩、ラウリン酸及びその塩、ベヘン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、またそのような脂肪酸及びその塩、ドデシルスルホン酸及びその塩、デシルスルホン酸及びその塩、またそのようなアルキルスルホン酸及びその塩、ラウリル硫酸塩、オレイル硫酸塩などのアルキル硫酸エルテル類、ドデシルベンゼンスルホン酸及びその塩、ラウリルベンゼンスルホン酸及びその塩、またそのようなアルキルベンゼンスルホン酸とその塩、ジオクチルスルホ琥珀酸及びその塩、ジヘキシルスルホ琥珀酸及びその塩、またそのようなジアルキルスルホ琥珀酸及びその塩、ナフチルスルホン酸及びその塩、ナフチルカルボン酸及びその塩、またそのような芳香族アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、フッ素化アルキルカルボン酸及びその塩、フッ素化アルキルスルホン酸及びその塩等のフッ素系アニオン性界面活性剤などを用いた分散剤が挙げられる。
カチオン性基を有する低分子タイプの分散剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩などを用いた分散剤が挙げられる。
定着性樹脂としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などが使用可能である。これは、樹脂中の官能基、構造などを変えることで分散安定性を容易にコントロールできることから、官能基を改質し、アニオン性あるいはカチオン性として分散安定性を高めたものが使用可能である。
このような定着性樹脂は、重量平均分子量が5,000〜100,000であるのが好ましく、5,000〜70,000であるのがより好ましく、10,000〜50,000であるのが最も好ましい。重量平均分子量が5,000未満では、媒体と顔料粒子との定着性を高める効果が得られにくく、また、100,000を超えると、効果が飽和するとともに、インクの粘度が高くなり、流動性が十分に発揮されないおそれがある。また、上述のように、定着性樹脂としての効果を発揮する高分子分散剤を用いることも可能である。
図2に示すように、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、同図において下方を向く記録液吐出側に配設された導電性のノズル部材であるノズル板61aを有している。各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、また、ノズル板61aに形成され、中間転写体37側に開口し、記録液102を液滴として吐出するノズル61bを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、ポンプ82Y、82M、82C、82BKによってインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKから記録液102を供給され記録液102を充填されて保持する液室であるインク室61cを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、また、インク室61c内の記録液102をノズル61bから吐出させる図示しないインク吐出手段を有している。
ノズル板61a、ノズル61b、インク室61c、インク吐出手段はこれらが1組となって、それぞれ各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに多数備えられているが、同図においてはそのうちの1組のみを図示している。
ノズル板61aは、全体が導電性であっても良いし、インク室61c側の面のみを導電処理された部材であっても良いし、インク室61c側に配設された導電性部材と中間転写体37側に配設された絶縁性部材とによって構成しても良い。
インク吐出手段は、各ノズル61bから記録液102を液滴化して吐出させ中間転写体37に着弾させるための圧力印加を行うアクチュエータとして圧電素子を有している。具体的には、インク吐出手段は、上記図示しない制御部による制御によって圧電素子に印加される電圧パルスに応じてノズル61bから記録液102を吐出するようになっている。この点、制御部40は、インク吐出制御手段として機能する。
インク吐出制御手段として機能する制御部40は、かかる圧電素子を駆動するための電圧パルスを所定の信号波形でかかる圧電素子のそれぞれに入力する。インク吐出制御手段として機能する制御部40は、各ノズル61bから吐出された記録液102により、任意のパターン即ち画像を形成するように、各圧電素子を時系列に駆動する。この点、制御部40は、画像制御装置として機能する。インク室61c内の圧力はノズル61bから記録液102が吐出、排出されるとき以外は負圧に保たれるようになっている。
インク吐出手段のアクチュエータは、ピエゾ方式等の、形状変形素子方式である他の方式の可動アクチュエータであっても良い。またかかるアクチュエータは、サーマル方式等の加熱ヒータ方式を採用した加熱手段による記録液の沸騰によってノズル61bから記録液を吐出させるものであっても良いし、電圧印加手段による静電引力によって記録液吐出するものであっても良い。このように、かかるアクチュエータは、あらゆる方法で記録液を吐出するものを採用可能である。
電圧印加手段107は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の導電性部材37Aとの間に電圧(電位)を印加することで、中間転写体37表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせる。中間転写体37表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせることで、記録液滴(インク滴)の接触角が低減してビーディングが抑制され、さらに、記録液滴(インク滴)中の顔料と定着性樹脂とが中間転写体37表面に留まりにくくする。
図2において、電圧印加手段107は、同図に示す電源107aと、電源107aを接続する特に図示しない電気回路と、電源107aをオン/オフ制御する上記図示しない制御部とを有している。上記図示しない電気回路は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル板61aと中間転写体37の導電部位である導電性部材37Aとに接続した回路を含む。
電圧印加手段107による上記電圧の印加は、上記図示しない制御部からの指令によって、ヘッド61Y、61M、61C、61BK駆動時である画像形成中に渡り行われる。
ここで、図3〜図4を用いて、実施形態1でのエレクトロウェッティング効果の説明をする。図3は、中間転写体の導電性部材に高電圧を印加した場合の、エレクトロウェッティング効果を説明するための、中間転写体の導電性部材、絶縁性部材、着弾した記録液滴の帯電・分極状態を示す模式図である。図4(a)は中間転写体表面上に着弾した2つの記録液滴の接触線の移動速度を説明する図、図4(b)は2つの記録液滴がビーディングする状態を示す図である。
図3では、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを基準電位として、中間転写体37の導電性部位である導電性部材37Aに高電圧(高電位)を印加する場合を示している。図3に示すように、中間転写体37の導電性部位である導電性部材37Aにプラス極性の高電圧Vを印加した場合、導電性部材37Aが+(プラス)電荷に帯電する。同時に、導電性部材37Aと対向接触している中間転写体37の絶縁性部材37Bが−(マイナス)に分極し、逆側の絶縁性部材37B表面が+に分極する。絶縁性部材37B表面に着弾した記録液滴102Aの下方の絶縁性部材37B表面に近い部分は−に分極し、記録液滴102Aの上方表面部分は+に分極する。また、記録液滴102A中内には、分散剤により静電反発している黒丸で示す顔料、静電反発により分散している定着性樹脂としての波形模様で示すポリマーが存在している。
図3において、中間転写体37の導電性部材37Aに高電圧Vを印加した場合、下記(1)式に従って、着弾した記録液滴102Aと中間転写体37の絶縁部位である絶縁性部材37Bとの界面張力γSLが低下することが知られている(例えば、非特許文献1)。
Figure 2015037858
ここで、γSLは絶縁層に電圧(電位)Vを加えた場合の記録液滴102Aと中間転写体37の絶縁性部材37Bとの界面張力を、γSL,V=0は電圧(電位)を加ない場合の界面張力を、ε0は真空の誘電率を、εrは比誘電率を、dは中間転写体37の絶縁層である絶縁性部材37Bの厚みを、それぞれ表している。
(1)式をヤングの関係式(2)、(3)に代入すると、(4)式が得られる。
Figure 2015037858
Figure 2015037858
Figure 2015037858
ここで、γは記録液と空気の界面張力(表面張力)であり、cosθV=0は電圧(電位)を印加していない場合の記録液(着弾した記録液滴102A)の接触角を、γSOは中間転写体37の絶縁性部材37Bと空気の界面張力を、cosθは電圧(電位)Vを印加した場合の記録液(着弾した記録液滴102A)の接触角を、それぞれ表している。
上記(4)式より、電圧(電位)Vを印加することによって接触角が低下する(θ<θV=0である)ことが分かる。また、電圧(電位)Vが2乗されていることから、中間転写体37の導電部材37Aに負電圧(電位)を印加した場合においても、記録液の接触角が低減する作用が得られることが確認できる。このように、中間転写体37の導電部材37Aに電圧(電位)を印加することによって、中間転写体37上に着弾した記録液滴102Aの接触角が低下する。
中間転写体37表面に着弾した記録液滴102Aが接触すると、図4(a)〜図4(b)に示すように、下記(5)式で表される接触線の移動速度Uに従って2液滴がビーディングする場合がある。
Figure 2015037858
(5)式から、エレクトロウェッティング効果を生じさせることによって着弾した記録液滴102Aの接触角が低減するため、着弾した記録液滴102Aの移動速度Uが大幅に低下し、ビーディング抑制効果が得られることが分かる。
また、図3に示すように、中間転写体37の導電性部材37Aが高電位であることから、記録液滴102Aの内部に電場Eが発生する。この電場Eに誘起されて、記録液滴102A中の水あるいは有機溶媒が分極して、内部電場E’を発生させるため、最終的に記録液滴102A内部には、中間転写体37からヘッド61Y、61M、61C、61BKに向かう電場E’’が形成される。電場E’’によって、+(プラス)電荷で静電分散している顔料及びポリマー等の定着性樹脂が中間転写体37から離れる向きの力を受けるため、転写の際に顔料及び定着性樹脂が中間転写体37側に残存する割合が低くなるため、転写率が向上する。
電場E’’による顔料及びポリマー等の定着性樹脂の移動は、有機溶媒を含む油性インクの場合は効果が比較的大きい。けれども、水性インクの場合は、水が若干量電離しているため、記録液滴102Aと空気の界面、及び記録液滴102Aと中間転写体37との間に電気2重層が発生しやすく、電場E’’が弱められてしまうために、得られる効果は比較的小さい。しかしながら、記録液滴102A内部では中間転写体37との界面に負電荷が比較的多く存在しているため、電圧を印加しない場合と比較した場合、顔料や定着性樹脂は中間転写体側37に存在する割合は小さいと言える。これにより、水性インクの場合でも転写率が向上することとなる。
上述したとおり、本実施形態1では、記録液102が、中間転写体37表面に着弾した記録液滴102Aにおいて、中間転写体37の導電性部材37Aに印加された電圧(電位)と同極性で分散している顔料と水とを含む。また、記録液102が、中間転写体37表面に着弾した記録液滴102Aにおいて、中間転写体37の導電性部材37Aに印加された電圧(電位)と同極性で分散している顔料と有機溶媒とを含む。また、記録液102が、中間転写体37表面に着弾した記録液滴102Aにおいて、中間転写体37の導電性部材37Aに印加された電圧(電位)と同極性で分散している定着性樹脂を含んでいる。
図2及び図3において、ヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル61bと中間転写体37表面とのギャップが、狭ギャップで構成されていても良い。狭ギャップ構成にすることによって、記録液滴102Aの着弾バラツキが軽減されるため、広ギャップの構成の場合と比較してビーディング抑制効果が顕著になる。広ギャップの場合は着弾位置バラツキが大きいため、着弾した記録液滴102A間距離が近い場合には合一・ビーディングし易く、エレクトロウェッティング効果が確認しづらくなるからである。ヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル61bと中間転写体37表面とのギャップは、50〜500μmであることが好ましい。ギャップが50μm未満であると、ギャップを維持することが困難になることがあり、500μmを超えると、着弾位置バラツキが顕著になり、エレクトロウェッティング効果を確認しづらくなることがある。
以上、図3を用いて、中間転写体37の導電性部材37Aを高電位に印加する場合のエレクトロウェッティング効果の説明をしたが、逆に電圧を印加した場合(導電性部材37A側が負(マイナス)電圧)においてもエレクトロウェッティング効果は得られる。この場合、記録液滴102A中の顔料及び定着性樹脂は、マイナス電荷で静電分散している系である必要がある。
図1〜図3を用いて、本実施形態1の全体動作を説明する。図1に示す画像形成装置200においては、画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、中間転写体37が各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向しながらA1方向に回転を開始する。中間転写体37が各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向しながらA1方向に回転している状態で、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル61bから、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの記録液が吐出される。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKからの各色の記録液の吐出は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像領域が中間転写体37の同位置に重なるよう、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で行われる。これにより、中間転写体37上に一時的に画像が担持される。このように、中間転写体37は、図2に示すノズル61bから吐出され付与された記録液102によって形成される像を担持する像担持体として機能する。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKからの各色の記録液が吐出されるとき、電圧印加制御手段としての上記図示しない制御部により、電圧印加手段107が駆動される。これにより、電源107aからヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル板61aと中間転写体37の導電性部材37Aとの間に電圧が印加されている。
この状態で、記録液102が、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル61bから中間転写体37上に吐出・付与される。この際、図3を用いて詳述したエレクトロウェッティング効果が得られた状態で、着弾した記録液滴102Aが中間転写体37に担持され、中間転写体37上に記録液滴102Aによる画像が形成される。
中間転写体37上に担持された画像の先端がニップ部でもある転写部31に到達するタイミングに合わせて、給紙ユニット20から給送された1枚の転写紙Sが転写部31に供給される。そうすると、転写体38が連れ回りしながら、転写部31を通過する転写紙Sに、中間転写体37上に担持されている画像が転写され、転写紙Sの表面に画像が形成される。画像が形成された転写紙Sは、排紙台25に案内され排紙台25上に積載される。
転写部31における転写により、転写部31を通過した中間転写体37上には、記録液に起因する成分はほとんど残っていないが、中間転写体37はクリーニング手段106によるクリーニングを受けることで清掃される。
以上説明したとおり、本実施形態1によれば、簡単な構成によって、中間転写体の絶縁性部材表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせることでビーディングが抑制される。同時に、記録液中の顔料や定着性樹脂に代表される固形分が中間転写体表面に固着することが抑制されることで、転写率を向上することができる。
また、中間転写体に印加された電圧(電位)と同極性で分散している顔料及び定着性樹脂が、中間転写体との界面から離れ易くなるため、転写残りが軽減される。
(変形例1)
図5を用いて、実施形態1の変形例1を説明する(請求項3、6〜8)。図5は、変形例1の画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。
変形例1は、実施形態1と比較して、画像形成装置200に代えた画像形成装置200Aを用いる点が相違する。変形例1の画像形成装置200Aは、実施形態1の画像形成装置200と比較して、転写手段64に代えて、転写手段64Aを用いる点、及び電圧印加手段107に代えて、電圧印加手段107Aを用いる点が主に相違する。これら相違点以外の変形例1の構成は、実施形態1と同様である。
転写手段64Aは、転写手段64と比較して、転写体38に代えて、導電性部材からなる導電性転写体38Aである点のみ相違する。この相違点以外の転写手段64Aの構成は、転写手段64と同様である。
具体的には、画像形成装置200Aは、実施形態1と同様の、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと、中間転写体37と、クリーニング手段106とを有している。
画像形成装置200Aは、また、中間転写体37に対向して配置され中間転写体37との間の領域である転写部31を転写紙Sが通過するときに中間転写体37上に担持された記録液による画像をその転写紙Sに転写する転写手段64Aを有している。
画像形成装置200Aは、また、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとをつなぐ電圧印加手段107Aを有している。
電圧印加手段107Aは、電圧印加手段107と比較して、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと導電性転写体38Aとの間に電圧を印加し、かつ、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体37Bとの電位を等しくさせる構成である点のみ相違する。
電圧印加手段107Aは、同図に示す電源107aと、電源107aを接続する特に図示しない電気回路と、電源107aをオン/オフ制御する上記図示しない制御部とを有している。上記図示しない電気回路は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル板61aと中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体37Bとに接続した回路を含む。
電圧印加手段107Aは、中間転写体37の絶縁性部材37B表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせると共に、転写部31でエレクトロウェッティング効果を消失させる機能を有する。以下、実施形態1と相違する点を中心に変形例1を説明する。
導電性転写体38Aは、良導電性である必要があり、好適には金属やその合金が用いられる。あるいは、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料にカーボンブラックやカーボンナノチューブ、金や銀などの金属微粒子を混入させた導電性ゴムも使用可能である。
電圧印加手段107Aによって、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとが等電圧(電位)になっているため、転写部31で中間転写体37の絶縁層である絶縁性部材37Bに蓄えられた静電エネルギーがなくなる。そのため、転写部31でエレクトロウェッティング効果が消失する。エレクトロウェッティング効果が消失することによって、中間転写体37の絶縁性部材37Bの表層と記録液滴(図示せず)との界面張力が下がる。言い換えると、中間転写体37表面の表面エネルギーが低下するため、転写時に中間転写体37側に記録液滴が残存しにくくなり、良好な転写が行われる。また、クリーニングブレードでのクリーニング性能も向上する。
エレクトロウェッティング効果が高い構成の場合には、中間転写体37の絶縁性部材37Bの表面に記録液を弾く材料、例えば旭硝子製のサイトップ(商標名)を塗布しておいても良い。これによって、電位を印加しない場合、中間転写体37上の記録液滴の接触角は高くなるため転写性能が向上し、さらに、高いエレクトロウェッティング効果によってビーディングを抑制する効果も保つことができる。
また、導電性転写体38Aは、ローラ状に限らず、無端ベルト状の構成であっても良い。
以上説明したとおり、本変形例1によれば、実施形態1と同様の効果を奏する。加えて、中間転写体37と導電性転写体38Aとの転写部31でエレクトロウェッティング効果を消失させることによって、転写残りを軽減することができ、これにより転写率及びクリーニング性能をさらに向上することができる。
(変形例2)
図6を用いて、実施形態1の変形例2を説明する(請求項4、6〜8)。図6は、変形例2の画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。
変形例2は、実施形態1と比較して、画像形成装置200に代えた画像形成装置200Bを用いる点が相違する。変形例2の画像形成装置200Bは、実施形態1の画像形成装置200と比較して、電圧印加手段107に代えて、電圧印加手段107Bを用いる点、及びヘッド61Y、61M、61C、61BKがアース接地されている点が主に相違する。これら相違点以外の変形例2の構成は、実施形態1と同様である。以下、実施形態1と相違する点を中心に変形例2を説明する。
具体的には、画像形成装置200Bは、実施形態1と同様の、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと、中間転写体37と、転写体38と、クリーニング手段106とを有している。
画像形成装置200Bは、また、エレクトロウェッティング効果を生じさせるために中間転写体37の導電性部材37Aとアース110とをつなぐ電圧印加手段107Bを有している。
電圧印加手段107Bは、電圧印加手段107と電気回路的には等価の構成と言える。
電圧印加手段107Bは、同図に示す電源107aと、電源107aを接続する特に図示しない電気回路と、電源107aをオン/オフ制御する上記図示しない制御部とを有している。上記図示しない電気回路は、アース110と中間転写体37の導電性部材37Aとに接続した回路を含む。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、エレクトロウェッティング効果を高めるためにアース線111を介してアース110に接続されている。ヘッド61Y、61M、61C、61BKがアース接地されていることで、同ヘッドから吐出した記録液102はアース110と等電位であるため、中間転写体37上に着弾後に十分なエレクトロウェッティング効果が得られる構成となっている。
以上、図6を用いて、中間転写体37の導電性部材37Aを高電圧(電位)に印加した場合のエレクトロウェッティング効果の説明をしたが、逆に電圧を印加した場合(導電性部材37A側が負(マイナス)電圧)においてもエレクトロウェッティング効果は得られる。この場合、記録液滴102A中の顔料及び定着性樹脂は、マイナス電荷で静電分散している系である必要がある。
以上説明したとおり、本変形例2によれば、実施形態1とほぼ同様の効果を奏する。ヘッド61Y、61M、61C、61BKがアース接地されていることにより、同ヘッドから吐出した記録液102はアース110と等電位となるため、中間転写体37上に着弾後に十分なエレクトロウェッティング効果が得られる。
(変形例3)
図7を用いて、変形例2の変形例3を説明する(請求項5〜8)。図7は、変形例3の画像形成装置の要部を模式的に示す概略正面図である。
変形例3は、変形例2と比較して、画像形成装置200Bに代えた画像形成装置200Cを用いる点が相違する。変形例3の画像形成装置200Cは、変形例2の画像形成装置200Bと比較して、転写手段64に代えて、転写手段64Aを用いる点、及び電圧印加手段107Bに代えて、電圧印加手段107Cを用いる点が主に相違する。これら相違点以外の変形例3の構成は、変形例2と同様である。
転写手段64Aは、転写手段64と比較して、転写体38に代えて、導電性部材からなる導電性転写体38Aである点のみ相違する。この相違点以外の転写手段64Aの構成は、転写手段64と同様である。
具体的には、画像形成装置200Cは、変形例2と同様の、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと、中間転写体37と、クリーニング手段106とを有している。
画像形成装置200Cは、また、エレクトロウェッティング効果を生じさせるために中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとアース110とをつなぐ電圧印加手段107Cを有している。
電圧印加手段107Cは、同図に示す電源107aと、電源107aを接続する特に図示しない電気回路と、電源107aをオン/オフ制御する上記図示しない制御部とを有している。上記図示しない電気回路は、アース110と中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとに接続した回路を含む。
電圧印加手段107Cは、電圧印加手段107Bと比較して、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとの間に電圧を印加し、かつ、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体37Bとの電位を等しくさせる構成である点のみ相違する。
電圧印加手段107Cは、中間転写体37の絶縁性部材37B表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせると共に、転写部31でエレクトロウェッティング効果を消失させる機能を有する。以下、変形例2と相違する点を中心に変形例3を説明する。
導電性転写体38Aは、変形例1と同様に良導電性である必要があり、変形例1で説明したと同様のものが使用可能である。
電圧印加手段107Cによって、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとが等電位(等電圧)になっているため、転写部31で中間転写体37の絶縁層である絶縁性部材37Bに蓄えられた静電エネルギーがなくなる。そのため、転写部31でエレクトロウェッティング効果が消失する。エレクトロウェッティング効果が消失することによって、中間転写体37の絶縁性部材37Bの表層と記録液滴(図示せず)との界面張力が下がる。言い換えると、中間転写体37表面の表面エネルギーが低下するため、転写時に中間転写体37側に記録液滴が残存しにくくなり、良好な転写が行われる。また、クリーニングブレードでのクリーニング性能も向上する。
エレクトロウェッティング効果が高い構成の場合には、変形例1と同様に中間転写体37の絶縁性部材37Bの表面に記録液を弾く材料、例えば旭硝子製のサイトップ(商標名)を塗布しておいても良い。これによって、電位を印加しない場合、中間転写体37上の記録液滴の接触角は高くなるため転写性能が向上し、さらに、高いエレクトロウェッティング効果によってビーディングを抑制する効果も保つことができる。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、エレクトロウェッティング効果を高めるためにアース線111を介してアース110に接続されている。ヘッド61Y、61M、61C、61BKがアース接地されていることで、同ヘッドから吐出した記録液102はアース110と等電位であるため、中間転写体37上に着弾後に十分なエレクトロウェッティング効果が得られる構成となっている。
以上説明したとおり、本変形例3によれば、実施形態1と同様の効果を奏する。加えて、中間転写体37と導電性転写体38Aとの転写部31でエレクトロウェッティング効果を消失させることによって、転写残りを軽減することができ、これにより転写率及びクリーニング性能をさらに向上することができる。また、ヘッド61Y、61M、61C、61BKがアース接地されていることにより、同ヘッドから吐出した記録液102はアース110と等電位となるため、中間転写体37上に着弾後に十分なエレクトロウェッティング効果が得られる。
(実施例1)
図1及び図2に示す構成の画像形成装置200を用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(被記録媒体である転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした(後述の表1参照)。ビーディング評価は、中間転写体37上の記録液滴の合一の様子を官能評価することで判断した。転写残り量の評価は、中間転写体37上に残った記録液を乾燥させて、透明な剥離テープで残存物を除去したものを白紙に貼り付けて、転写残りの画像濃度を測定することによって行った。評価にあたり、後述の表1において、「非常に良好」を記号◎で、「良好」を記号○で、「悪い」を記号×で、「良好」と「悪い」の中間を記号△で評価した。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKとして、市販のインクジェットプリンタ(株式会社リコー製「GX-5000」)を用いて、ブラック記録液の全面ベタ画像を中間転写体37上に吐出し、転写体38を通じて転写紙Sに転写させた。ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37(の絶縁性部材37B表面)との距離は、100μmとして、電圧印加手段107による電圧は300Vとした。電圧は、中間転写体37側が高電位になる方向に印加した。
中間転写体37の導電性部材37Aは、アルミ製の直径60mmの素管であり、導電性部材37Aの表層に、絶縁性部材37Bとしてテフロン(登録商標)製の厚さ10μmの絶縁層を設けている。転写体38は、直径50mmの素管であり、荷重20kgf/cm(=196×10Pa)で中間転写体37に押し当てられている。クリーニング手段106として、厚み6mmのフッ素ゴムからなるクリーニングブレードを使用し、中間転写体37に押し当てることによって転写残存物を除去する構成とした。
記録液は、ブラックの油性インクを用いた。
以下の手順で液Aを作製した。
カーボンブラックMA8(三菱化学製)を25wt%、disperBYK-109(ビッグケミージャパン株式会社)を12wt%、プロピレングリコールジアセテートを63wt%混合し、0.3mmジルコニアビーズと共に容器に封入し、ミックスロータを用いて24時間攪拌して、液Aを作製した。この液Aと以下の材料をスターラで攪拌することで、インクを作製した。
<ブラック記録液>
・液A ・・・14wt%
・エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート ・・・40wt%
・ジプロピレングリコールジメチルエーテル ・・・25wt%
・N-メチル-2-ピロリドン ・・・21wt%
(実施例2)
図1及び図2に示す構成の画像形成装置200を用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。
以下の2点のみ実施例1と異なるが、その他の構成は実施例1と同様である。
・ブラックの油性インクの組成が実施例1と異なる。
・電圧は中間転写体37が低電位になる方向に印加した。
記録液は、ブラックの油性インクを用いた。
以下の手順で液Aを作成した。
カーボンブラックMA8(三菱化学製)を25wt%、ソルスパース24000(日本ルーブリゾール社製)を12wt%、プロピレングリコールジアセテートを63wt%を混合し、0.3mmジルコニアビーズと共に容器に封入し、ミックスロータを用いて24時間攪拌して、液Aを作製した。この液Aと以下の材料をスターラで攪拌することで、インクを作製した。
なお、ソルスパース24000(日本ルーブリゾール社製)は、実施例1のdisperBYK-109(ビッグケミージャパン株式会社)と比較して、電荷の正負が相違する。ソルスパース24000(日本ルーブリゾール社製)はマイナス帯電しており、disperBYK-109(ビッグケミージャパン株式会社)はプラス帯電している。
ちなみに、実施例9以降の水性インクを用いた結果に関しても同様に、disperBYK2090(ビッグケミージャパン株式会社)とdisperBYK-183/185(ビッグケミージャパン株式会社)は、それぞれ電荷の正負が異なる。disperBYK2090はマイナス帯電、disperBYK-183/185はプラス帯電している。
<ブラック記録液>
・液A ・・・14wt%
・エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート ・・・40wt%
・ジプロピレングリコールジメチルエーテル ・・・25wt%
・N-メチル-2-ピロリドン ・・・21wt%
(実施例3)
図5に示す構成の画像形成装置200Aを用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。電圧印加手段107Aによって、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aとが等しく高電位である点においてのみ実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様である。なお、実施例1の転写体38はアルミ製であるため、導電性転写体としての機能を持つ。
(実施例4)
図5に示す構成の画像形成装置200Aを用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。電圧印加手段107Aによって、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aが等しく低電位である点においてのみ実施例2と異なり、その他の構成は実施例2と同様である。なお、実施例2の転写体38はアルミ製であるため、導電性転写体としての機能を持つ。
(実施例5)
図6に示す構成の画像形成装置200Bを用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。ビーディング評価の具体的内容は、実施例1で説明したと同様である。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKとして、市販のインクジェットプリンタ(株式会社リコー製「GX-5000」)を用いて、ブラック記録液の全面ベタ画像を中間転写体37上に吐出し、転写体38を通じて転写紙Sに転写させた。ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37(の絶縁性部材37B表面)との距離は、100μmとして、電圧印加手段107Bによる電圧は300Vとした。電圧は、中間転写体37の導電性部材37Aとアース110を接続し、中間転写体37側が高電位になる方向に印加した。
また、エレクトロウェッティング効果を高めるために、ヘッド61Y、61M、61C、61BKをアース接地した。
中間転写体37の導電性部材37Aは、アルミ製の直径60mmの素管であり、導電性部材37Aの表層に、絶縁性部材37Bとしてテフロン(登録商標)製の厚さ10μmの絶縁層を設けている。転写体38は、直径50mmの素管であり、荷重20kgf/cm(=196×10Pa)で中間転写体37に押し当てられている。クリーニング手段106として、厚み6mmのフッ素ゴムからなるクリーニングブレードを使用し、中間転写体37に押し当てることによって転写残存物を除去する構成とした。
用いた記録液の組成、及び作製方法は、実施例1のものと同じである。
(実施例6)
図6に示す構成の画像形成装置200Bを用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。
以下の2点のみ実施例5と異なるが、その他の構成は実施例5と同様である。
・ブラックの油性インクの組成が実施例5と異なる。ブラックの油性インクの組成、作製方法は、実施例2のものと同じである。
・電圧は中間転写体37が低電位になる方向に印加した。
(実施例7)
図7に示す構成の画像形成装置200Cを用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。電圧印加手段107Cによって、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aが等しく高電位である点においてのみ実施例5と異なり、その他の構成は実施例5と同様である。なお、実施例5の転写体38はアルミ製であるため、導電性転写体としての機能を持つ。
(実施例8)
図7に示す構成の画像形成装置200Cを用いて、中間転写体37上のビーディング評価、転写残り量(転写紙Sに転写されずに中間転写体37に残留した記録液量)の評価をした。電圧印加手段107Cによって、中間転写体37の導電性部材37Aと導電性転写体38Aが等しく低電位である点においてのみ実施例6と異なり、その他の構成は実施例6と同様である。なお、実施例6の転写体38はアルミ製であるため、導電性転写体としての機能を持つ。
(実施例9)
実施例9の実施内容は、実施例1とほぼ同様であり、記録液として以下の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
記録液はブラックの水性インクを用いた。
以下の手順で液Aを作製した。
カーボンブラックMA8(三菱化学製)を25wt%、disperBYK-183/185(ビッグケミージャパン株式会社)を12wt%、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドを5wt%、イオン交換水を58wt%を混合し、0.3mmジルコニアビーズと共に容器に封入し、ミックスロータを用いて24時間攪拌して、液Aを作製した。この液Aと以下の材料をスターラで攪拌することで、インクを作製した。
<ブラック記録液>
・液A ・・・14wt%
・イオン交換水 ・・・65wt%
・グリセリン ・・・21wt%
(実施例10)
実施例10の実施内容は、実施例2とほぼ同様であり、記録液として以下の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
記録液はブラックの水性インクを用いた。
以下の手順で液Aを作製した。
カーボンブラックMA8(三菱化学製)を25wt%、disperBYK2090(ビッグケミージャパン株式会社)を12wt%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを5wt%、イオン交換水を58wt%を混合し、0.3mmジルコニアビーズと共に容器に封入し、ミックスロータを用いて24時間攪拌して、液Aを作製した。この液Aと以下の材料をスターラで攪拌することで、インクを作製した。
<ブラック記録液>
・液A ・・・14wt%
・イオン交換水 ・・・65wt%
・グリセリン ・・・21wt%
(実施例11)
実施例11の実施内容は、実施例3とほぼ同様であり、記録液として実施例9に記載の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
(実施例12)
実施例12の実施内容は、実施例4とほぼ同様であり、記録液として実施例10に記載の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
(実施例13)
実施例13の実施内容は、実施例5とほぼ同様であり、記録液として実施例9に記載の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
(実施例14)
実施例14の実施内容は実施例6とほぼ同様であり、記録液として実施例10に記載の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
(実施例15)
実施例15の実施内容は、実施例7とほぼ同様であり、記録液として実施例9に記載の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
(実施例16)
実施例16の実施内容は、実施例8とほぼ同様であり、記録液として実施例10に記載の水性インクを用いて行った点においてのみ異なる。
(比較例1〜16)
比較例1〜16の実施内容は、それぞれ、実施例1〜16における電圧印加手段107、107A、107B、107Cの電圧を0Vに設定した場合の結果に相当する。
以上説明した実施例1〜16、比較例1〜16のビーディング及び転写残りの評価結果を表1にまとめて示す。なお、表1に示す記号◎、○、△は画像形成装置で採用可能なレベルであることを、記号×は画像形成装置で採用不可であることを、それぞれ表わしている。
Figure 2015037858
表1のビーディング及び転写残りの評価結果より、本発明による実施例1〜16ではエレクトロウェッティング効果によってビーディングの抑制、及び転写残りの軽減効果が得られていることが分かる。また、転写体と中間転写体の転写部でエレクトロウェッティング効果を消失させることにより、さらに転写残りの軽減効果が向上することが確認できた。
本発明を適用する画像形成装置は、上述のタイプの画像形成装置に限らず、他のタイプの画像形成装置であっても良い。即ち、本発明を適用する画像形成装置は、ヘッドに関してシャトル型であっても良い。また、本発明を適用する画像形成装置は、複写機、ファクシミリの単体、あるいはこれらの複合機、これらに関するモノクロ機等の複合機であっても良い。その他、本発明を適用する画像形成装置は、電気回路形成に用いられる画像形成装置、バイオテクノロジー分野において所定の画像を形成するのに用いられる画像形成装置であっても良い。
ヘッドの数は画像形成装置の用途に応じて増減されるものであり、複数であっても、1つであっても良い。
本発明の実施形態1、変形例1〜3や実施例1〜16等に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態や実施例1〜16等に記載されたものに限定されるものではない。
31 転写部
37 中間転写体
37A 導電性部材
37B 絶縁性部材
38 転写体
38A 導電性転写体
61b ノズル
61Y、61M、61C、61BK ヘッド
64、64A 転写手段
102 記録液
102A 記録液滴
106 クリーニング手段
107、107A、107B、107C 電圧印加手段
110 アース
200、200A、200B、200C 画像形成装置
A1 相対移動の方向
特開2008−062397号公報 特開平11−188858号公報 特開2013−103475号公報 特開2012−131193号公報 特開2007−168432号公報
ドゥジェンヌら、「表面張力の物理学」、吉岡書店、136〜148頁

Claims (8)

  1. 記録液を吐出するノズルを備えたヘッドと、
    導電性部材と該導電性部材の表面を覆う絶縁性部材とで構成される中間転写体と、
    前記中間転写体の前記絶縁性部材表面にエレクトロウェッティング効果を生じさせるために、前記ヘッド又はアースと前記中間転写体の前記導電性部材との間に電圧を加える電圧印加手段と、
    前記記録液によって前記中間転写体上に担持された画像を被記録媒体に転写する転写手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記電圧印加手段が、前記ヘッドと前記中間転写体の前記導電性部材との間に電圧を加えることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2記載の画像形成装置において、
    前記転写手段が、導電性部材からなる導電性転写体であり、
    前記電圧印加手段が、前記ヘッドと前記導電性転写体との間に電圧を加え、かつ、前記中間転写体の前記導電性部材と前記導電性転写体との電位が等しいことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記電圧印加手段が、前記中間転写体の前記導電性部材と前記アースとの間に電圧を加え、
    前記ヘッドが、アース接地されていることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4記載の画像形成装置において、
    前記転写手段が、導電性部材からなる導電性転写体であり、
    前記電圧印加手段が、前記中間転写体の前記導電性部材と前記アースとの間、及び前記導電性転写体と前記アースとの間に電圧を加え、かつ、前記中間転写体の前記導電性部材と前記導電性転写体との電位が等しいことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記記録液が、前記中間転写体の前記導電性部材に加えられた電圧と同極性で分散している顔料と水とを含むことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記記録液が、前記中間転写体の前記導電性部材に加えられた電圧と同極性で分散している顔料と有機溶媒とを含むことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項6又は7記載の画像形成装置において、
    前記記録液が、前記中間転写体の前記導電性部材に加えられた電圧と同極性で分散している定着性樹脂を含むことを特徴とする画像形成装置。
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