JP2015036129A - 樹脂組成物、炭酸ガス分離膜、炭酸ガス分離膜モジュール及び炭酸ガス分離装置 - Google Patents

樹脂組成物、炭酸ガス分離膜、炭酸ガス分離膜モジュール及び炭酸ガス分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸ガス透過性能(パーミアンス)に優れた炭酸ガス分離膜を製造すること。【解決手段】吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアを含む樹脂組成物であって、下記要件(1)〜(3)の全てを満たす樹脂組成物。(1)前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマーの含有量に対して120質量%以上であること。(2)前記アミン系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマー及び前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して0.5〜100質量%であること。(3)前記アミン系炭酸ガスキャリアとして、アミン系炭酸ガスキャリア5?10−3molを水20mlに溶解させて得られる水溶液のpHが11.0以上となるアミン系炭酸ガスキャリアを用いること。【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸ガスを含む原料ガスから炭酸ガスを分離するための分離膜作成に有用な樹脂組成物、該樹脂組成物から得られる炭酸ガス分離膜、該分離膜を有する炭酸ガス分離膜モジュール及び該モジュールを少なくとも一種含む炭酸ガス分離装置に関する。
炭酸ガスを含む原料ガスから炭酸ガスを分離するための分離膜作成に有用な樹脂として、特許文献1にはビニルアルコール−アクリル酸ナトリウム塩共重合体を使用することが記載されている。
特開平7−112122号公報
しかしながら、上記の共重合体を使用して得られる炭酸ガス分離膜は、炭酸ガス透過性能(パーミアンス)が必ずしも十分に満足できるものではなかった。
本発明は、以下の〔1〕〜〔12〕記載の発明を含む。
〔1〕吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアを含む樹脂組成物であって、下記要件(1)〜(3)の全てを満たす樹脂組成物。
(1)前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマーの含有量に対して120質量%以上であること。
(2)前記アミン系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマー及び前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して0.5〜100質量%であること。
(3)前記アミン系炭酸ガスキャリアとして、アミン系炭酸ガスキャリア5×10−3molを水20mlに溶解させて得られる水溶液のpHが11.0以上となるアミン系炭酸ガスキャリアを用いること。
〔2〕前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ金属水酸化物である請求項1記載の樹脂組成物。
〔3〕前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩である請求項1記載の樹脂組成物。
〔4〕前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸ルビジウム又は炭酸水素ルビジウムである請求項1記載の樹脂組成物。
〔5〕前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、炭酸セシウムである請求項1記載の樹脂組成物。
〔6〕前記アミン系炭酸ガスキャリアが、2−アミノイソ酪酸ナトリウムケン化物、ヒスタミン又はピペラジンである請求項1から5のいずれか一項記載の樹脂組成物。
〔7〕前記アミン系炭酸ガスキャリアが、ピペラジンである請求項1から5のいずれか一項記載の樹脂組成物。
〔8〕請求項1から7のいずれか一項記載の樹脂組成物と、多孔膜とを用いてなる炭酸ガス分離膜。
〔9〕pHが9.80以上である請求項8記載の炭酸ガス分離膜。
〔10〕吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアを含む樹脂組成物層であって、下記要件(1)及び(2)を満たす樹脂組成物層と、多孔質膜とを有し、pHが9.80以上である炭酸ガス分離膜。
(1)前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマーの含有量に対して120質量%以上であること。
(2)前記アミン系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマー及び前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して0.5〜100質量%であること。
〔11〕pHが9.80以上である請求項8〜10のいずれか一項記載の炭酸ガス分離膜。
〔12〕請求項9〜11のいずれか一項記載の炭酸ガス分離膜を有する炭酸ガス分離膜モジュール。
〔13〕請求項12記載の炭酸ガス分離膜モジュールを少なくとも一種含む炭酸ガス分離装置。
本発明の共重合体を使用すれば、炭酸ガス透過性能(パーミアンス)に優れた炭酸ガス分離膜を製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<吸水性ポリマー>
本発明で用いられる吸水性ポリマーは、親水基を有し、且つ、三次元網目構造を有するものであり、水を内包して膨潤体となるものを表す。吸水性ポリマーは、架橋構造を有する高分子、すなわち、架橋高分子であることが好ましい。該架橋は架橋剤を用いて化学反応により形成されたものでもよいし、物理的な相互作用によって形成されたものでもよい。
なお、ここで言う親水基とは、水との相互作用を持つことができる極性基や解離基を含む原子団を表し、例えば、水酸基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、シアノ基、オキシエチレン基、カルボニル基、スルホ基、ホスホノ基、スルホニルイミド基、フェノール性水酸基等があげられる。該親水基はイオン交換基であることが好ましく、イオン交換基としては、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホニルイミド基、フェノール性水酸基があげられる。なお、これらのイオン交換基が有するプロトンは、部分的に又は全てが金属イオンや4級アンモニウムイオン等で交換されて塩を形成されていてもよい。
本発明で用いられる吸水性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)及び合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然又は半合成ポリマーを適宜選択して使用することができる。
吸水性ポリマーのうち、天然高分子及び半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製Supercolなど)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製Purity-21など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製National 78-1898など)など、微生物系多糖類としては、キサンタンガム(Kelco製Keltrol Tなど)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製Nadex360など)など、動物系天然高分子としては、ゼラチン(Croda製Crodyne B419など)、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製Cromoist CSなど)などがあげられる。セルロース系としては、エチルセルロース(I.C.I.製Cellofas WLDなど)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製CMCなど)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製HECなど)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製Klucelなど)、メチルセルロース(Henkel製Viscontranなど)、ニトロセルロース(Hercules製Isopropyl Wetなど)、カチオン化セルロース(Croda製Crodacel QMなど)などがあげられる。デンプン系としては、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical製National 78-1898など)、アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製Keltoneなど)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製Hi-care1000など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製Hyalureなど)があげられる。上記吸水性ポリマーはいずれも、市販品を使用することができ、例えば、それぞれの化合物名に添えて( )内に記載されるメーカーより提供される商品を使用することができる。
吸水性ポリマーのうち、合成高分子について詳しく説明する。アクリル系としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩又はその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ナフィオン、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、アクリル酸又はその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド又はその共重合体、ポリアミジン又はその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、水溶性ポリエステルなどが使用できる。また、市販品を使用してもよく、例えば、水溶性ポリエステル(互応化学(株)製プラスコートZ−221、Z−446、Z−561、Z−450、Z−565、Z−850、Z−3308、RZ−105、RZ−570、Z−730、RZ−142:いずれも商品名)などがあげられる。
樹脂組成物を形成する吸水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体のセシウムケン化物が特に好ましい。
前記吸水性ポリマーの含有量は、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの種類にもよるが、吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して、5〜80質量%であることが好ましく、7.5〜75質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましい。また、樹脂組成物を形成する吸水性ポリマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ここで言う吸水性ポリマーの含有量は絶乾状態のポリマーの含有量を表す。また、絶乾状態のポリマーとは、吸水性ポリマーを、水の沸点以上の温度に保持し、質量減少がほとんどなくなり質量の経時変化がほぼ一定値に収束したポリマーをいう。
<アルカリ金属系炭酸ガスキャリア>
本発明で用いられるアルカリ金属系炭酸ガスキャリアとは、炭酸ガスと可逆的に反応するアルカリ金属化合物である。炭酸ガスと、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアとの可逆的な反応としては、例えば、水の存在下において、下記反応式(1)で表されるような反応があげられる。
CO+CO 2−+HO → 2HCO ・・・・・・(1)
アルカリ金属系炭酸ガスキャリアとしては、例えば特開平7−112122号公報に記載されているような、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物等をあげることができる。アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩がより好ましく、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸ルビジウム又は炭酸水素ルビジウムがさらに好ましく、炭酸セシウムがさらにより好ましい。
アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量は、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの種類にもよるが、吸水性ポリマーの含有量に対して、120質量%以上である。また、600質量%以下であることがより好ましい。アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が120質量%より少ないと炭酸ガス分離膜として必要な炭酸ガス透過性(パーミアンス)が得られない。600質量%以下であると、膜が取り扱いやすくなり、好適である。
アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量は、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの種類にもよるが、吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して、46質量%以上であることが好ましく、また、85質量%以下であることがより好ましい。アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が46質量%以上であると炭酸ガス分離膜として炭酸ガス透過性(パーミアンス)に優れる。85質量%以下であると、膜が取り扱いやすくなり、好適である。
<アミン系炭酸ガスキャリア>
アミン系炭酸ガスキャリアとは、炭酸ガスと可逆的に反応するアミン化合物である。炭酸ガスと、アミン系炭酸ガスキャリアとの可逆的な反応としては、アミン系炭酸ガスキャリアが1級又は2級アミンである場合、例えば、下記反応式(2)、(3)及び(4)で表される反応からなる群より選ばれる1種以上の反応があげられ、アミン系炭酸ガスキャリアが3級アミンである場合、例えば下記反応式(5)で表される反応があげられる。なお、式中のR、R’、R’’はそれぞれ同一又は異なる一価の基を表し、それぞれ連結して環を形成していてもよい。
Figure 2015036129
Figure 2015036129
Figure 2015036129
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アミン系炭酸ガスキャリアとしては、例えば、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、タウリン、ジアミノプロピオン酸、2−アミノプロピオン酸、2−アミノイソ酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンなどのアミノ酸類及びアミノ酸類の酸基をアルカリ金属の化合物などを用いてケン化したアミノ酸ケン化物、ピリジン、ヒスタミン、ピペラジン、イミダゾール、トリアジン、キサントシン、2メチルピペラジン、cis−2,6−ジメチルピペラジン、アセトアルデヒドアンモニアトリマーなどのヘテロ化合物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、N−(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカノールアミン類や、クリプタンド〔2.1〕、クリプタンド〔2.2〕などの環状ポリエーテルアミン類、クリプタンド〔2.2.1〕、クリプタンド〔2.2.2〕などの双環式ポリエーテルアミン類やポルフィリン、フタロシアニン、エチレンジアミン四酢酸などを用いることができる。
好ましいアミン系炭酸ガスキャリアとしては、グリシン、ヒスチジン、2−アミノイソ酪酸などの酸基を有するアミン化合物類の酸基をアルカリ金属の化合物などを用いてケン化した化合物、ヒスタミン、ピペラジン、キサントシンなどのヘテロ化合物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、N−(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアルカノールアミン類があげられ、より好ましいアミン系炭酸ガスキャリアとしては、ピペラジン、ヒスタミン、2−アミノイソ酪酸ナトリウムケン化物があげられる。このようなアミン系炭酸ガスキャリアは、25℃の環境下で、アミン系炭酸ガスキャリア5×10−3molを水20mlに溶解させて得られる水溶液のpHが11.0以上となるため好ましい。
アミン系炭酸ガスキャリアの酸基をケン化するための好ましいアルカリ金属の化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの化合物があげられる。
前記アミン系炭酸ガスキャリアのケン化物は、例えば、前記アルカリ金属の化合物を水に溶解させ、アミン系炭酸ガスキャリアを少量ずつ加え、完全に溶解させたのち、エバポレータで水を除去することにより得られる。好ましいアルカリ金属の化合物としては、アルカリ金属の水酸化物があげられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどがあげられる。
アミン系炭酸ガスキャリアとしては、沸点が80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。このような沸点を有するアミン系炭酸ガスキャリアであると、前記樹脂組成物を炭酸ガス分離膜としたとき、高温条件下においてもアミン系炭酸ガスキャリアが揮発しにくくなる。
アミン系炭酸ガスキャリアは、炭酸ガス分離膜を得たとき、炭酸ガス透過性能(パーミアンス)が向上することから、1級アミン又は2級アミンであることが好ましい。かかる理由は明らかではないが、1級アミン又は2級アミンは、前記(2)及び(3)式で表されるように、化学式上、水が存在しなくても炭酸ガスと可逆的に反応することができるので、含水率が少ない炭酸ガス分離膜中においても炭酸ガスの透過反応が生じやすいためと考えられる。
アミン系炭酸ガスキャリアの含有量は、アミン系炭酸ガスキャリアの種類にもよるが、吸水性ポリマーと、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアとの合計含有量に対して、0.5質量%〜100質量%の範囲である。アミン系炭酸ガスキャリアの含有量が0.5質量%より少ないと炭酸ガス分離膜として必要な炭酸ガス透過性(パーミアンス)が得られず、100質量%より大きいとアミン系炭酸ガスキャリアが膜上に析出し、膜の取り扱い性が低下する。
アミン系炭酸ガスキャリアのpHは11.0以上である。ここで、アミン系炭酸ガスキャリアのpHとは、25℃の環境下で、前記アミン系炭酸ガスキャリア5×10−3molを水20mlに溶解させて得られた水溶液のpHは11.0以上である。pHは例えば、該水溶液中に膜面pHメータ(本体:HORIBA製pHメータ、D−51 電極:HORIBA製フラット型pH複合電極、6261−10C)を浸し、測定することにより得られる。測定は25℃の環境下で行われる。
アミン系炭酸ガスキャリアを複数用いる場合、アミン系炭酸ガスキャリアのpHは、25℃の環境下で、それぞれのアミン系炭酸ガスキャリアが同じモル比率で含まれたアミン系炭酸ガスキャリア混合物5×10−3molを水20mlに溶解させて得られた水溶液のpHを表す。
炭酸ガス分離膜のpHは9.80以上であり、9.90以上であることが好ましい。前記炭酸ガス分離膜のpHが低いと、炭酸ガス分離膜と二酸化炭素との親和性が低下し、二酸化炭素透過性能(パーミアンス)が低下する。
ここで、炭酸ガス分離膜のpHとは、前記樹脂組成物を用いて後述の方法により、塗布時に溶媒として水のみを用いて、炭酸ガス分離膜作製したとき、25℃の環境下で、炭酸ガス分離膜の、樹脂組成物が担持されている面に0.1ml水を滴下し、滴下した超純水に膜面pHメータ(本体:HORIBA製pHメータ、D−51 電極:HORIBA製フラット型pH複合電極、6261−10C)の電極を押し付けて測定することにより決定される。測定は25℃の環境下で行われる。
前記炭酸ガス分離膜のpHは樹脂組成物を形成する吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアの種類と添加量により調整することが出来る。具体的には、例えば、吸水性ポリマーが有する親水基を弱酸にすることや、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの添加量を増やすこと、アミン系炭酸ガスキャリアが酸基を持つ場合、酸基をアルカリ金属の化合物などを用いてケン化することなどにより、炭酸ガス分離膜のpHを高めることができる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、下記工程Aを含む製造方法により得られる。
A:アルカリ金属系炭酸ガスキャリアと、アミン系炭酸ガスキャリアと、吸水性ポリマーとを混合する工程
吸水性ポリマーは、反応混合物をそのままの状態で工程Aに供してもよいし、中和処理等の後処理を施した後に工程Aに供してもよい。
工程Aの混合において、さらに水を混合することが好ましい。水を混合する場合、その使用量は、得られる樹脂組成物が後述する工程Bに供する際に均一溶液として存在し得る量であることが好ましい。工程Aにおける混合順序は特に限定されず、混合温度は5℃〜90℃の範囲が好ましい。
<炭酸ガス分離膜及びその製造方法>
本発明の炭酸ガス分離膜は、上記本発明の樹脂組成物が多孔膜に担持されている。
多孔膜としては、フッ素樹脂製、ポリオレフィン製、ポリアミド系樹脂製、ポリスルホン系樹脂製、セラミックス製、金属製等があげられ、フッ素樹脂製のものが好ましい。なかでも、四フッ化エチレン共重合体(PTFE)多孔膜が好ましい。
多孔膜は、100℃以上の耐熱性、機械的強度及び上記本発明の樹脂組成物との密着性を有することが好ましい。また、空隙率が50%以上で、細孔径が0.01μm以上10μm以下の範囲であるものが好ましく、空隙率が55%以上で、細孔径が0.1μm以上1μm以下の範囲であるものがさらに好ましい。
多孔膜は親水性、疎水性のうちいずれも用いることができる。また、親水性の多孔膜と疎水性の多孔膜との積層体を用いることもできる。
本発明の炭酸ガス分離膜の製造方法は、下記工程A及びBを含む。
A:アルカリ金属系炭酸ガスキャリアと、アミン系炭酸ガスキャリアと、吸水性ポリマーとを混合して樹脂組成物を得る工程
B:樹脂組成物を多孔膜に塗布する工程
工程Aは、それぞれ上述したとおりである。工程Bにおける塗布は、上記多孔膜の少なくとも一方の面に、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアと、アミン系炭酸ガスキャリアと、吸水性ポリマーとを含む層を形成するように行うことが好ましい。
工程Bにおける塗布を容易にするために、工程Aにおいて、さらに水を混合することが好ましい。即ち、工程Bに供給される樹脂組成物は、水を含むことが好ましく、水溶液であることがより好ましい。
工程Bにおける塗布は、コーター(ドクターブレードともいう)による塗布、刷け塗りによる塗布等の工業的に通常行われる方法により行うことができる。樹脂組成物層の厚さは、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアとアミン系炭酸ガスキャリアと吸水性ポリマーとの量及び量比を調節することによって制御することができる。樹脂組成物層の厚さは25μmから200μmの範囲であると、炭酸ガス分離膜の炭酸ガス透過性能と、機械耐久性とのバランスに優れるため、好ましい。ここでいう組成物層の厚さとは、後述の工程Dにおいて炭酸ガス分離膜に熱処理を施した後、作成された炭酸ガス分離膜を室温まで冷まし、測定した該炭酸ガス分離膜の厚さと、前述の工程Bで多孔膜に樹脂組成物を塗布する前に測定した該多孔膜の厚さとの差を表す。
上記多孔膜の少なくとも一方の面に、アルカリ金属系炭酸ガスキャリアとアミン系炭酸ガスキャリアと吸水性ポリマーとを含む層を形成するために、工程Bに供給される樹脂組成物が水を含む場合、本発明の炭酸ガス分離膜の製造方法は、さらに工程C及びDを含むことが好ましい。
C:塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程
D:組成物層を熱処理する工程
工程Cにおける乾燥とは、塗布後の組成物に主に含まれる水を除去することを表す。かかる乾燥は、例えば、常温常圧下での自然乾燥、恒温槽やホットプレート等の加熱手段又は減圧装置等の減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該塗布膜から水を蒸発させることにより行われる。加熱手段や減圧手段の条件は、多孔膜の透気度を低下させない範囲で適宜選択でき、例えば恒温槽やホットプレートの場合、その温度設定を多孔膜の融点以下の範囲にすることが好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布物を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。
上記加熱手段における温度が、後述する工程Dの熱処理温度の範囲となる場合には、工程Cと工程Dとを連続して行うことができる。例えば、工程Cで塗布後の組成物を乾燥させ、そのままの条件で引き続き工程Dの熱処理を行うことができる。
工程Dの熱処理は、通常、恒温槽やホットプレート等の加熱手段により行われる。熱処理温度は、80℃〜160℃の範囲が好ましい。熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、10分〜4時間の範囲が好ましい。
<炭酸ガス分離膜モジュール及び炭酸ガス分離装置>
本発明の炭酸ガス分離膜は炭酸ガス分離膜モジュールとすることができる。また、本発明の炭酸ガス分離装置は、炭酸ガス分離膜又は炭酸ガス分離膜モジュールを含み、炭酸ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する。
本発明の炭酸ガス分離膜はモジュール化して好適に用いることができる。モジュールの型式の例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などがあげられる。また本発明の炭酸ガス分離膜は、例えば、特開2007−297605号に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
以下に、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれに限るものではない。
<二酸化炭素透過係数>
ガス透過測定装置(GTRテック(株)製、型式:GTR−30XAF3SC)を用いて、等圧法にて二酸化炭素透過係数[mol/m/sec/kPa]を測定した。炭酸ガス分離膜を挟むセルの温度は80℃に設定した。供給側には炭酸ガスを流し、透過側にはアルゴンガスを流した。供給・透過側のそれぞれのガスは、70℃に加熱したバブラーを通して加湿した。炭酸ガス、アルゴンガスの流量はそれぞれ20cc/minに設定した。背圧は供給側、透過側共に0kPaGとした。
<選択率>
ガス透過測定装置(GTRテック(株)製、型式:GTR−30XAF3SC)を用いて、等圧法にてヘリウム透過係数[mol/m/sec/kPa]を測定した。炭酸ガス分離膜を挟むセルの温度は80℃に設定した。供給側にはヘリウムガスを流し、透過側にはアルゴンガスを流した。供給・透過側のそれぞれのガスは、70℃に過熱したバブラーを通して加湿した。ヘリウムガス、アルゴンガスの流量はそれぞれ20cc/minに設定した。背圧は供給側、透過側共に0kPaGとした。得られたヘリウム透過係数と二酸化炭素透過係数を用いて、下記式より選択率を得た。
(選択率[-])=(二酸化炭素透過係数[mol/m/sec/kPa])/(ヘリウム透過係数[mol/m/sec/kPa])
<アミン系炭酸ガスキャリアのpH>
アミン系炭酸ガスキャリアのpHは、25℃の環境下で、該アミン系炭酸ガスキャリア5×10−3molを水20mlに溶解させて得られた水溶液にpHメータ(本体:HORIBA製pHメータ、D−51 電極:HORIBA製フラット型pH複合電極、6261−10C)の電極を浸して測定した。1回測定するごとに電極を超純水で洗浄し、計3回測定を行い、これらの平均値を樹脂組成物のpHとした。なお、測定前にはpH7の校正用緩衝液(YOKOGAWA製)とpH9の校正用緩衝液(YOKOGAWA製)を使った2点校正を行った。
<炭酸ガス分離膜のpH>
炭酸ガス分離膜のpHは、25℃の環境下で、炭酸ガス分離膜の、樹脂組成物が担持されている面に0.1ml水を滴下し、滴下した超純水に膜面pHメータ(本体:HORIBA製pHメータ、D−51 電極:HORIBA製フラット型pH複合電極、6261−10C)の電極を押し付けて測定した。1回測定するごとに電極を超純水で洗浄し、計3回測定を行い、これらの平均値を樹脂組成物のpHとした。なお、測定前にはpH7の校正用緩衝液(YOKOGAWA製)とpH9の校正用緩衝液(YOKOGAWA製)を使った2点校正を行った。
(合成例1)酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体の合成
撹拌機、温度計、Nガス導入管、還流冷却機及び滴下ロートを備えた容量2Lの反応槽に、水768g及び無水硫酸ナトリウム12gを仕込み、Nガスで系内を置換した。続いて部分鹸化ポリビニルアルコール(鹸化度88%)1g及びラウリルパーオキシド1gを仕込み内温60℃まで昇温した後、アクリル酸メチル104g(1.209mol)及び酢酸ビニル155g(1.802mol)の単量体を滴下ロートにより、それぞれ同時に4時間かけて適下した。適下中は、撹拌回転数600rpmにて内温を60℃に保持した。滴下終了後、さらに内温65℃で2時間攪拌した後、得られた混合物を遠心分離により脱水し、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体288g(10.4重量%含水)を得た。
(合成例2)ビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体の製造
撹拌機、温度計、Nガス導入管、還流冷却機及び滴下ロートを備えた容量2Lの反応槽に、メタノール500g、水410g、水酸化セシウム一水和物554.2g(3.3mol)及び合成例1で得られた酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体288g(10.4重量%含水)を仕込み、400rpmの撹拌下で30℃、3時間鹸化反応を行った。鹸化反応終了後、得られた反応混合物を600gのメタノールで3回洗浄、濾過し、70℃で6時間乾燥させることにより、ビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体308gを得た。
該ビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体308gを、ジェットミル(日本ニューマチック工業社製LJ)により粉砕し、微粉末状のビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体280gを得た。
(実施例1)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)9.34gに水166.7gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム19.7g、ピペラジン2.64g、イソプロピルアルコール4.27gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物1を得た。
(実施例2)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)5.11gに水91.12gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム10.77g、ピペラジン5.77g、イソプロピルアルコール2.33gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物2を得た。
(合成例3)2−アミノイソ酪酸ナトリウムケン化物の製造
150gの水をナスフラスコ300mlに入れ、水酸化ナトリウム3.52gを室温で溶解させ、発熱状態を確認しながら、2−アミノイソ酪酸(東京化成工業製 製品コード:A0323)9.05gを少量ずつ加えた。完全に溶解している事を確認し、攪拌子で室温で1h攪拌した後、エバポレータで水を留去し、2−アミノイソ酪酸ナトリウムケン化物を得た。
(実施例3)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)1.81gに水32.23gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム3.82g、実施例4で得られた2−アミノイソ酪酸ナトリウムケン化物0.74g、イソプロピルアルコール0.83gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物3を得た。
(実施例4)炭酸ガス分離膜の製造
実施例1で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物1を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−60、膜厚60μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜1を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは32μmであった。
(実施例5)炭酸ガス分離膜の製造
実施例2で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物2を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−50、膜厚50μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜2を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは39μmであった
(実施例6)炭酸ガス分離膜の製造
実施例3で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物3を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−50、膜厚50μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜3を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは37μmであった。
(比較例1)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)9.34gに水166.7gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム19.7g、イソプロピルアルコール4.27gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物4を得た。
(比較例2)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)9.34gに水166.6gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム19.7g、ピペラジン0.132g、イソプロピルアルコール4.27gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物5を得た。
(比較例3)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)2.80gに水50.03gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム5.91g、2−アミノイソ酪酸3.79g、イソプロピルアルコール1.28gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物6を得た。
(比較例4)炭酸ガス分離膜用樹脂組成物の製造
合成例2で得られたビニルアルコール−アクリル酸セシウム共重合体(ビニルアルコールに由来する構造単位:アクリル酸セシウムに由来する構造単位=60mol%:40mol%)3.27gに水58.34gを加えて室温で攪拌した後、炭酸セシウム3.45g、ピペラジン0.92g、イソプロピルアルコール1.49gを加えて室温で一昼夜攪拌して炭酸ガス分離膜用樹脂組成物7を得た。
(比較例5)炭酸ガス分離膜の製造
比較例1で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物4を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−50、膜厚50μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜4を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは29μmであった。
(比較例6)炭酸ガス分離膜の製造
比較例2で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物5を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−50、膜厚50μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜5を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは32μmであった。
(比較例7)炭酸ガス分離膜の製造
比較例3で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物5を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−50、膜厚50μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜6を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは59μmであった。
(比較例8)炭酸ガス分離膜の製造
比較例4で得られた炭酸ガス分離膜用樹脂組成物7を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー製、HP−010−50、膜厚50μm、細孔径0.1μm)の面上に、塗布した。次に、前記樹脂組成物塗布後の親水性PTFE多孔膜を90℃で1時間乾燥させた後、さらに120℃で2時間程度熱架橋させて炭酸ガス分離膜7を得た。乾燥後樹脂組成物層厚みは54μmであった。
炭酸ガス分離膜1〜7の二酸化炭素透過係数[mol/m/sec/kPa]、選択率[−]、結果を表1に表す。また、炭酸ガス分離膜1〜7のアルカリ金属系炭酸ガスキャリア含有量、アミン系炭酸ガスキャリア含有量及び樹脂組成物のpHを表2に表す。
Figure 2015036129
Figure 2015036129
*吸水性ポリマーの含有量に対するアルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有質量
**吸水性ポリマー及びアルカリ金属系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対するアミン系炭酸ガスキャリアの含有質量
本発明の共重合体を使用すれば、炭酸ガス透過性能(パーミアンス)に優れた炭酸ガス分離膜を製造できる。

Claims (13)

  1. 吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアを含む樹脂組成物であって、下記要件(1)〜(3)の全てを満たす樹脂組成物。
    (1)前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマーの含有量に対して120質量%以上であること。
    (2)前記アミン系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマー及び前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して0.5〜100質量%であること。
    (3)前記アミン系炭酸ガスキャリアとして、アミン系炭酸ガスキャリア5×10−3molを水20mlに溶解させて得られる水溶液のpHが11.0以上となるアミン系炭酸ガスキャリアを用いること。
  2. 前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ金属水酸化物である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸ルビジウム又は炭酸水素ルビジウムである請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアが、炭酸セシウムである請求項1記載の樹脂組成物。
  6. 前記アミン系炭酸ガスキャリアが、2−アミノイソ酪酸ナトリウムケン化物、ヒスタミン又はピペラジンである請求項1から5のいずれか一項記載の樹脂組成物。
  7. 前記アミン系炭酸ガスキャリアが、ピペラジンである請求項1から5のいずれか一項記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか一項記載の樹脂組成物と、多孔膜とを用いてなる炭酸ガス分離膜。
  9. pHが9.80以上である請求項8記載の炭酸ガス分離膜。
  10. 吸水性ポリマー、アルカリ金属系炭酸ガスキャリア及びアミン系炭酸ガスキャリアを含む樹脂組成物層であって、下記要件(1)及び(2)を満たす樹脂組成物層と、多孔質膜とを有し、pHが9.80以上である炭酸ガス分離膜。
    (1)前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマーの含有量に対して120質量%以上であること。
    (2)前記アミン系炭酸ガスキャリアの含有量が、前記吸水性ポリマー及び前記アルカリ金属系炭酸ガスキャリアの合計含有量に対して0.5〜100質量%であること。
  11. pHが9.80以上である請求項8〜10のいずれか一項記載の炭酸ガス分離膜。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項記載の炭酸ガス分離膜を有する炭酸ガス分離膜モジュール。
  13. 請求項12記載の炭酸ガス分離膜モジュールを少なくとも一種含む炭酸ガス分離装置。
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