JP2015035977A - 核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法 - Google Patents

核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015035977A
JP2015035977A JP2013168355A JP2013168355A JP2015035977A JP 2015035977 A JP2015035977 A JP 2015035977A JP 2013168355 A JP2013168355 A JP 2013168355A JP 2013168355 A JP2013168355 A JP 2013168355A JP 2015035977 A JP2015035977 A JP 2015035977A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
degree
acid sequence
evaluating
amplification
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013168355A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6120279B2 (ja
Inventor
潤一 真野
Junichi Mano
潤一 真野
和美 橘田
Kazumi Kitsuta
和美 橘田
令王奈 高畠
Reona Takabatake
令王奈 高畠
泰之 西辻
Yasuyuki Nishitsuji
泰之 西辻
洋介 菊池
Yosuke Kikuchi
洋介 菊池
福留 真一
Shinichi Fukutome
真一 福留
洋一 栗本
Yoichi Kurimoto
洋一 栗本
川上 裕之
Hiroyuki Kawakami
裕之 川上
拓也 林田
Takuya Hayashida
拓也 林田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Seifun Group Inc
National Agriculture and Food Research Organization
NIPPN Corp
Original Assignee
Nippon Flour Mills Co Ltd
Nisshin Seifun Group Inc
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Flour Mills Co Ltd, Nisshin Seifun Group Inc, National Agriculture and Food Research Organization filed Critical Nippon Flour Mills Co Ltd
Priority to JP2013168355A priority Critical patent/JP6120279B2/ja
Publication of JP2015035977A publication Critical patent/JP2015035977A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6120279B2 publication Critical patent/JP6120279B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】核酸の損傷の程度の評価方法を提供する。【解決手段】分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、分解作用を受けた鋳型核酸配列から、複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、鋳型核酸配列の損傷の程度を求めることと、を含む、核酸の損傷の程度の評価方法。【選択図】 図1

Description

本発明は遺伝子技術に関し、特に核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法に関する。
食品分野において、遺伝子組換え作物が食品に混入したか否かを検査する定性試験及び定量試験には、デオキシリボ核酸(DNA)検査が多く利用されている。一方、食品が加工されるに従って、熱、pH変化、及び物理的な力等によって、DNAは断片化することが知られている(例えば、非特許文献1ないし3参照。)。また、食品が加工されることによって、DNAが断片化すること、遺伝子組換えの定量値に誤差が生じることも確認されている(例えば、非特許文献4参照。)。
しかし、DNA等の核酸の断片化等の損傷の程度を評価するのは容易ではない。大豆及びトウモロコシ加工食品中のゲノムDNAを定量PCR法で定量し、DNAの分解度を測定している例はある(例えば、非特許文献5、6参照。)。しかし、非特許文献5、6に開示された方法では、DNA分解度の評価のために各検出DNA領域についての検量線に基づいて未処理試料と加工試料のDNA量を定量し、その結果から計算しなければならず、同文献中には、DNAの断片化程度を簡便に数値化する方法は開示されていない。また、非特許文献5、6には、大豆、トウモロコシに特異的な配列を検出するプライマー、プローブセットを用いた定量PCR法の条件しか開示されていない。
Nicolas Gryson., Anal. Bioanal. Chem. 2010; 396, 2003-2022 Yoshimura, T et al., J.Agric. Food chem. 2005, 53, 2052-2059 Nakamura, K et al., Jpn. J. Food Chem. Safety. 2010, 17(2), 123-129 Yoshimura, T et al., J.Agric. Food chem. 2005, 53, 2060-2069 Sarah R Murray et al., J. Sci. Food Agric. 2009, 89, 1137-1144 Sarah R Murray et al., J. Agric. Food Chem. 2007, 55, 2231-2239
核酸の損傷の程度を容易に評価可能な方法が求められている。そこで、本発明は、核酸の損傷の程度の評価方法、並びに核酸の損傷の程度の評価方法を応用した食品の加工の程度の評価方法及び核酸の定量方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の態様によれば、(a)分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、(b)調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、分解作用を受けた鋳型核酸配列から、複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、(c)分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、分解作用による鋳型核酸配列の損傷の程度を求めることと、を含む、核酸の損傷の程度の評価方法が提供される。
また、本発明の態様によれば、(a)分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、(b)調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、食品から採取した分解作用を受けた鋳型核酸配列から、複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、(c)分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、食品の加工の程度を求めることと、を含む、食品の加工の程度の評価方法が提供される。
さらに、本発明の態様によれば、(a)分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、(b)調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、分解作用を受けた鋳型核酸配列から、複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、(c)分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、分解作用を受ける前の鋳型核酸配列の量を求めることと、を含む、核酸の定量方法が提供される。
本発明によれば、核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法を提供可能である。
本発明の実施例に係るPCRの条件が調整された場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の参考例に係るPCRの条件が調整されなかった場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る100bpの増幅産物を得るためのプライマーペアの植物特異性を示す増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る200bpの増幅産物を得るためのプライマーペアの植物特異性を示す増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る400bpの増幅産物を得るためのプライマーペアの植物特異性を示す増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る800bpの増幅産物を得るためのプライマーペアの植物特異性を示す増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る鋳型DNAの濃度を5段階に振った場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る鋳型DNAの濃度とCt値との関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る未加熱のコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る15分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る30分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る60分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る120分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る未加熱のコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る15分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る30分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る60分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る120分加熱されたコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る未加熱の大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る15分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る30分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る60分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る120分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る未加熱の大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る15分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る30分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る60分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る120分加熱された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る未加熱のトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る15分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る30分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る60分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る120分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線のグラフである。 本発明の実施例に係る未加熱のトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る15分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る30分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る60分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る120分加熱されたトウモロコシから抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅産物の配列長と、Ct値と、の関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係るコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係るコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係るコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係るコムギから抽出されたDNAを鋳型とした場合のデジタルPCRの増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合にプライマー濃度を振った場合の増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合に118bpの増幅産物の増幅曲線と、412bpの増幅産物の増幅曲線と、が重なった場合を示すグラフである。 本発明の実施例に係る大豆から抽出されたDNAを鋳型とし、鋳型DNA溶液の濃度を振った場合の増幅曲線を示すグラフである。 本発明の実施例に係る110℃で加圧加熱処理された大豆から抽出されたDNAを鋳型とした場合の増幅曲線を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下の実施の形態が本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る核酸の損傷の程度の評価方法は、分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、PCRの条件を調整することと、調整されたPCRの条件の下、分解作用を受けた鋳型核酸配列から、PCRの条件を調整した時と同じ複数のプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、分解作用による鋳型核酸配列の損傷の程度を求めることと、を含む。
鋳型核酸配列としては、任意の核酸配列が使用可能である。分解作用とは、加熱による分解作用、酵素による分解作用、酸による分解作用、アルカリによる分解作用、物理的な力による分解作用、及び菌等の微生物による発酵等による分解作用等を含む。分解作用を受けていない鋳型核酸配列とは、例えば、実質的に断片化されていない核酸配列である。鋳型核酸配列は、例えば、植物に特異的なDNA配列の少なくとも一部である。植物のDNAの断片化を評価する際には、例えば、18SrRNAをコードするDNA配列内の植物特異的配列を設定することができる。18SrRNAをコードする遺伝子はゲノムDNAあたりのコピー数が多く、DNAの断片化が進んだサンプルにおいても比較的検出が容易であるため、高加工度品への適用も可能である。あるいは、鋳型核酸配列は、動物に特異的なDNA配列の少なくとも一部であってもよい。さらに、鋳型核酸配列は、生物種に特異的な内在性遺伝子配列の少なくとも一部であってもよい。PCRは、例えば、リアルタイムPCR、もしくは、デジタルPCRを用いることができる。
複数の異なるプライマーペアのそれぞれの配列は、増幅産物の配列長が異なるよう、設定される。例えば、複数の異なるプライマーペアにおいては、フォワードプライマーが共通し、リバースプライマーが異なっている。例えば、100bpの増幅産物が得られる第1のプライマーペア、200bpの増幅産物が得られる第2のプライマーペア、400bpの増幅産物が得られる第3のプライマーペア、及び800bpの増幅産物が得られる第4のプライマーペアが用意される。ただし、増幅産物の配列長は、これらに限定されない。
増幅産物の生成効率とは、PCRがリアルタイムPCRである場合、例えば、増幅産物が所定の量生成される時のPCRのサイクル数を表す、閾値サイクル(Ct)値で表される。PCRの条件を調整することとは、例えば、温度条件を調整すること、反応時間を調整すること、複数のプライマーペアのそれぞれの配列を調整すること、及び複数のプライマーペアのそれぞれの濃度を調整することの少なくとも一つを指す。PCRの条件を調整して複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになると、例えば、グラフの横軸にPCRのサイクル数、縦軸に増幅産物の生成量(プローブの蛍光強度)をとって得られる複数の増幅産物のそれぞれの増幅曲線が、実質的に同じになる。
また、増幅産物の生成効率とは、PCRがデジタルPCRである場合、PCRを複数回実施した際に増幅産物が生成する確率、もしくは、PCRを所定の回数実施した際に増幅産物が生成する回数で表される。より具体的には、増幅産物の生成効率とは、PCRプレート上の複数のウェルで所定のPCRを行い、増幅産物が観察されたウェルの数(以下、「陽性ウェルの数」ともいう。)で表される。さらには、増幅産物の生成効率とは、デジタルPCR実施後の陽性ウェルの数又は割合をポアソン分布モデルに適合させて解析して算出したコピー数で表される。PCRの条件を調整することとは、例えば、温度条件を調整すること、反応時間を調整すること、複数のプライマーペアのそれぞれの配列を調整すること、及び複数のプライマーペアのそれぞれの濃度を調整することの少なくとも一つを指す。PCRの条件を調整して複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになると、例えば、PCRを複数回実施したうち、増幅産物が生じた確率、もしくは、PCRを所定の回数実施した際に増幅産物が生じた回数が、実質的に同じになる。より具体的には、複数のウェルでPCRを行い、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の異なるプライマー毎に陽性ウェルの数が、実質的に同じになる。さらには、陽性ウェルの数又は割合をポアソン分布モデルに適合させて解析して算出されるコピー数等の、陽性ウェルの数に基づく数値が、実質的に同じになる。
なお、リアルタイムPCRとデジタルPCRは、測定対象DNAの濃度域や増幅産物の測定方法に違いがあるものの、DNA増幅の原理においては共通しており、いずれにおいても、配列長が短い方が増幅しやすく、配列長が長い方が増幅しにくい傾向にある。したがって、上述したように、PCRの条件を調整しない限りは、配列長の短い増幅産物の生成効率と、配列長の長い増幅産物の生成効率と、は、実質的に異なる傾向にある。
分解作用を受けた鋳型核酸配列においては、例えば、少なくとも部分的に断片化された核酸配列が混在する。ここで、鋳型核酸配列が分解作用を受けた場合、例えば、鋳型核酸配列の短い部分配列と、鋳型核酸配列の長い部分配列と、を比較すると、短い部分配列の方が分解作用の影響を受けにくく、断片化されずに残存する確率が高くなる傾向にある。また、長い部分配列の方が分解作用の影響を受けやすく、断片化されずに残存する確率が低くなる傾向にある。
鋳型核酸配列が分解作用を受けていない場合に、配列長が異なる複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、PCRの条件を調整しても、鋳型核酸配列が分解作用を受けると、断片化されずに残存する確率が高い短い部分配列から複製される増幅産物と比較して、断片化されずに残存する確率が低い長い部分配列から複製される増幅産物は、生成効率が悪くなる傾向にある。そのため、配列長が異なる複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が異なってくる。具体的には、リアルタイムPCRにおいては、配列長が短い増幅産物のCt値と比較して、配列長が長い増幅産物のCt値が大きくなる傾向にある。また、デジタルPCRにおいては、配列長が短い増幅産物が確認されるウェルの数又はコピー数と比較して、配列長が長い増幅産物が確認されるウェルの数又はコピー数が減少する傾向にある。
さらに、鋳型核酸配列の損傷の程度が大きくなるほど、配列長が短い増幅産物の生成効率と、配列長が長い増幅産物の生成効率と、の差は大きくなる。したがって、分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された、配列長が異なる複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、鋳型核酸配列の損傷の程度を求めることが可能となる。
鋳型核酸配列の損傷の程度を求めることにおいて、例えば、リアルタイムPCRの場合、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸にCt値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似する。得られた一次関数の正の傾きは、配列長に対するCt値の増加率を表している。配列長に対するCt値の増加率が低いほど、鋳型核酸配列の損傷の程度は小さく、配列長に対するCt値の増加率が高いほど、鋳型核酸配列の損傷の程度は大きい。よって、得られた一次関数の傾きに基づいて、鋳型核酸配列の損傷の程度を求めてもよい。
また、デジタルPCRの場合、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸に増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の対数値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似する。得られた一次関数の負の傾きは、配列長に対する、増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の減少率を表している。配列長に対する増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の減少率が小さいほど、鋳型核酸配列の損傷の程度は小さく、配列長に対する増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の減少率が大きいほど、鋳型核酸配列の損傷の程度は大きい。よって、デジタルPCRの場合においても、得られた一次関数の傾きに基づいて、鋳型核酸配列の損傷の程度を求めてもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る食品の加工の程度の評価方法は、分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、PCRで、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、PCRの条件を調整することと、調整されたPCRの条件の下、食品から採取した分解作用を受けた鋳型核酸配列から、PCRの条件を調整した時と同じ複数のプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、食品の加工の程度を求めることと、を含む。
鋳型核酸配列としては、任意の核酸配列が使用可能である。分解作用を受けていない鋳型核酸配列とは、例えば、食品として加工される前の植物及び動物等に含まれる核酸配列であり、実質的に断片化されていない核酸配列である。鋳型核酸配列は、例えば、植物に特異的なDNA配列の少なくとも一部である。植物のDNAの断片化を評価する際には、例えば、18SrRNAをコードするDNA配列内の植物特異的配列を設定することができる。18SrRNAはコピー数が多く、DNAの断片化が進んだサンプルにおいても検出可能であるため、高加工度品への適用が可能である。あるいは、鋳型核酸配列は、動物に特異的なDNA配列の少なくとも一部であってもよい。さらに、鋳型核酸配列は、生物種に特異的な内在性遺伝子配列の少なくとも一部であってもよい。PCRは、例えば、リアルタイムPCR、もしくは、デジタルPCRを用いることができる。
複数の異なるプライマーペア、増幅産物の生成効率、及びPCRの条件の調整等については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
食品から採取した分解作用を受けた鋳型核酸配列においては、少なくとも部分的に断片化された核酸配列が混在する。ここで、食品が加工された場合、例えば、食品に含まれる鋳型核酸配列の短い部分配列と、長い部分配列と、を比較すると、短い部分配列の方が分解作用の影響を受けにくく、断片化されずに残存する確率が高くなる傾向にある。また、長い部分配列の方が分解作用の影響を受けやすく、断片化されずに残存する確率が低くなる傾向にある。
鋳型核酸配列が分解作用を受けていない場合に、配列長が異なる複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、PCRの条件を調整しても、食品加工により鋳型核酸配列が分解作用を受けると、断片化されずに残存する確率が高い短い部分配列から複製される増幅産物と比較して、断片化されずに残存する確率が低い長い部分配列から複製される増幅産物は、生成効率が悪くなる傾向にある。そのため、鋳型核酸配列が含まれていた食品が加工されると、それぞれ配列長が異なる複数の増幅産物のそれぞれの生成効率は異なってくる。具体的には、PCRがリアルタイムPCRである場合、配列長が短い増幅産物のCt値と比較して、配列長が長い増幅産物のCt値が大きくなる傾向にある。また、デジタルPCRにおいては、配列長が短い増幅産物が確認されるウェルの数又はコピー数と比較して、配列長が長い増幅産物が確認されるウェルの数又はコピー数が減少する傾向にある。
さらに、食品の加工の程度が大きく、鋳型核酸配列の損傷の程度が大きくなるほど、配列長が短い増幅産物の生成効率と、配列長が長い増幅産物の生成効率と、の差は大きくなる。したがって、食品から採取した分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された、配列長が異なる複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、食品の加工の程度を求めることが可能となる。
食品の加工の程度を求めることにおいて、例えば、リアルタイムPCRの場合、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸にCt値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似する。得られた一次関数の正の傾きは、配列長に対するCt値の増加率を表している。配列長に対するCt値の増加率が低いほど、食品の加工の程度は小さく、配列長に対するCt値の増加率が高いほど、食品の加工の程度は大きい。よって、得られた一次関数の傾きに基づいて、食品の加工の程度を求めてもよい。
また、デジタルPCRの場合、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸に増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の対数値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似する。得られた一次関数の負の傾きは、配列長に対する増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の減少率を表している。配列長に対する増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の減少率が小さいほど、食品の加工の程度は小さく、配列長に対する増幅が確認されたウェルの数又はコピー数の減少率が大きいほど、食品の加工の程度は大きい。よって、デジタルPCRの場合においても、得られた一次関数の傾きに基づいて、食品の加工の程度を求めてもよい。
なお、食品がパンであり、コムギの加工の程度を求めたい場合、18SrRNA等の植物に特異的なDNA配列の少なくとも一部を鋳型核酸配列として選択することにより、酵母の影響を排除することが可能となる。あるいは、食品が納豆であり、大豆の加工の程度を求めたい場合も、植物に特異的なDNA配列の少なくとも一部を鋳型核酸配列として選択することにより、納豆菌の影響を排除することが可能となる。さらに、食品が肉類と野菜類とを含んでおり、肉類の加工の程度を求めたい場合も、動物に特異的なDNA配列の少なくとも一部を鋳型核酸配列として選択することにより、野菜類の影響を排除することが可能となる。
また、求められた食品の加工の程度に基づき、食品に対して、遺伝子組換え作物検出試験を行うか否かを決定してもよい。食品の加工度が進むほど、遺伝子組換え作物検出試験の精度は低下する。したがって、例えば、求められた加工の程度が所定の程度を下回る場合は、遺伝子組換え作物検出試験を行うと決定し、求められた加工の程度が所定の程度を上回る場合は、遺伝子組換え作物検出試験を行わないと決定してもよい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る核酸の定量方法は、分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、PCRで、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、PCRの条件を調整することと、調整されたPCRの条件の下、分解作用を受けた鋳型核酸配列から、PCRの条件を調整した時と同じ複数のプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成し、複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、分解作用を受ける前の鋳型核酸配列の量を求めることと、を含む。
分解作用、鋳型核酸配列、プライマーペア、及びPCRの条件等については、第1及び第2の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
分解作用を受ける前の鋳型核酸配列の量を求めることにおいては、例えば、分解作用を受けた鋳型核酸配列から増幅された複数の増幅産物のうち、短い配列長の増幅産物の生成効率と、長い配列長の増幅産物の生成効率と、の差を求める。生成効率は、PCRがリアルタイムPCRである場合、例えばCt値で表される。この場合、分解作用を受けた鋳型核酸配列から増幅された複数の増幅産物のうち、短い配列長の増幅産物のCt値と、長い配列長の増幅産物のCt値と、の差を求める。さらに、Ct値の差に基づいて、分解作用を受ける前の鋳型核酸配列のうち、分解作用を受けた後も未損傷で残っている鋳型核酸配列の割合を算出する。
また、生成効率は、PCRがデジタルPCRである場合、PCRを複数回実施した際に増幅産物が生成する確率、もしくは、PCRを所定の回数実施した際に増幅産物が生成する回数で表される。より具体的には、生成効率は、PCRプレート上の複数のウェルで所定のPCRを行い、増幅産物が観察されたウェルの数又はコピー数で表される。分解作用を受けた鋳型核酸配列から増幅された複数の増幅産物のうち、短い配列長の増幅産物が確認されたウェルの数又はコピー数と、長い配列長の増幅産物が確認されたウェルの数又はコピー数と、の比を求める。さらに、ウェルの数又はコピー数の差に基づいて、分解作用を受ける前の鋳型核酸配列のうち、分解作用を受けた後も未損傷で残っている鋳型核酸配列の割合を算出する。
ここで、分解作用を受けた鋳型核酸配列の量を測定する。分解作用を受けた鋳型核酸配列の量の測定は、公知の方法により実施可能である。さらに、分解作用を受けた鋳型核酸配列の測定された量を、未損傷で残っている鋳型核酸配列の割合で除することにより、分解作用を受ける前の鋳型核酸配列の量を算出する。第3の実施の形態に係る核酸の定量方法によれば、加工される前の食品の入手が困難である場合であっても、食品から抽出した鋳型核酸配列の量と、配列長の異なる増幅産物の生成効率の差と、に基づいて、加工される前の食品に含まれる鋳型核酸配列の量を見積もることが可能となる。
(実施例)
以下に本発明の実施の形態を説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されないことはもちろんである。
(鋳型DNA溶液の調製)
TOPO TA Cloning Kit(Life Technologies社製)を用いて、分解作用を受けていないコムギ18SrRNA配列(Accession No.AY049040)をプラスミドDNAに導入した。得られた組換えプラスミドDNAをEcoRVを用いて切断し、分解作用を受けていない18SrRNA遺伝子が挿入された直鎖状組換えプラスミドDNAを含む鋳型DNA溶液を調製した。
(リアルタイムPCRの条件の調整)
表1に記載の4つのプライマーペアと、蛍光標識核酸プローブと、を用意した。4つのプライマーペアは、配列番号1の共通するフォワードプライマーを有する。また、第1のプライマーペアは配列番号2のリバースプライマーを有し、第2のプライマーペアは配列番号3のリバースプライマーを有し、第3のプライマーペアは配列番号4のリバースプライマーを有し、第4のプライマーペアは配列番号5のリバースプライマーを有する。
第1のプライマーペアにより、鋳型DNAから配列長が約100bpの増幅産物が得られる。第2のプライマーペアにより、鋳型DNAから配列長が約200bpの増幅産物が得られる。第3のプライマーペアにより、鋳型DNAから配列長が約400bpの増幅産物が得られる。第4のプライマーペアにより、鋳型DNAから配列長が約800bpの増幅産物が得られる。なお、実際の配列長は、3’−オーバーハングにより、計算上の配列長から僅かに変化する。配列番号6の蛍光標識核酸プローブは、5’末端をカルボキシフルオレセイン(FAM)で修飾し、3’末端をカルボキシメチルテトラローダミン(TAMRA)で修飾して合成した。
次に、5μLのTaqMan Universal PCR Master Mix(2X)(Life Technologies社製)、1μLの濃度が2μmol/Lであるフォワードプライマー溶液、1μLのリバースプライマー溶液、1μLの濃度が2μmol/Lである蛍光標識核酸プローブ、及び1μLの滅菌水を十分に混合して、9μLの反応液を、第1ないし第4のプライマーペアのそれぞれに対して調製した。なお、リバースプライマーが配列番号2の場合、リバースプライマーの濃度を0.5μmol/Lとした。リバースプライマーが配列番号3の場合、リバースプライマーの濃度を0.25μmol/Lとした。リバースプライマーが配列番号4の場合、リバースプライマーの濃度を0.7μmol/Lとした。リバースプライマーが配列番号5の場合、リバースプライマーの濃度を2.0μmol/Lとした。リバースプライマーのそれぞれの濃度は、増幅産物のそれぞれのCt値が実質的に同じになるよう、上記の値に調整された。その後、反応液に、濃度が107コピー/μLの鋳型プラスミド溶液1μLを添加して、反応液の全量を10μLに調整した。
次に、調製された4つの反応液のそれぞれを用いて、リアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRにおいて、反応液を50℃で2分間保持後、95℃で10分間保持し、以後95℃で15秒保持、60℃で15秒保持、及び72℃で2分保持を1サイクルとして、45サイクルの反復を実施した。なお、リアルタイムPCRの温度条件及び反応時間は、増幅産物のそれぞれのCt値が実質的に同じになるよう、上記の値に調整された。その結果、グラフの横軸にリアルタイムPCRのサイクル数、縦軸に増幅産物の生成量を表すプローブの蛍光強度をとって得られる、配列長が約100bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約200bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約400bpの増幅産物の増幅曲線、及び配列長が約800bpの増幅産物の増幅曲線が、図1に示すように、実質的に同じになった。また、増幅曲線の蛍光強度の閾値を0.256に設定した場合のCt値も、19.89〜20.34と、実質的に同じになった。なお、Ct値を求めるための蛍光強度の閾値は任意に設定可能である。
参考例として、PCRの条件を調整しなかった場合は、図2に示すように、配列長が約100bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約200bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約400bpの増幅産物の増幅曲線、及び配列長が約800bpの増幅産物の増幅曲線は、一致しなかった。
(プライマーペアの特異性の確認)
上記の10μLの反応液の鋳型プラスミドに代えて、動物由来のDNA、酵母由来のDNA、及び微生物由来のDNAをそれぞれ20ng加えた反応液を調製した。これらの非植物由来のDNAを加えた以外は上記の調整されたPCRの条件を用いて、リアルタイムPCRを実施した。その結果、図3ないし図6に示すように、植物由来の鋳型DNAのみが増幅されて、増幅産物が増幅曲線としてグラフに現れた。動物由来のDNA、酵母由来のDNA、及び微生物由来のDNAは増幅されず、増幅曲線は現れなかった。したがって、表1に示す第1ないし第4のプライマーペアのいずれもが、動物由来のDNA、酵母由来のDNA、及び微生物由来のDNAと交差しないことが確認された。
(鋳型DNAの濃度の影響)
上記の10μLの反応液において、鋳型DNA溶液における鋳型DNAのコピー数を5種類に分けた反応液を用意した。鋳型DNAのコピー数以外は上記の調整されたPCRの条件を用いて、リアルタイムPCRを実施した。その結果、図7に示すように、鋳型DNA溶液における鋳型DNAのコピー数がいずれであっても、配列長が約100bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約200bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約400bpの増幅産物の増幅曲線、及び配列長が約800bpの増幅産物の増幅曲線が、実質的に同じになった。また、図8に示すように、鋳型DNAのコピー数が減少するにつれて、Ct値が高くなる傾向にあったが、鋳型DNAのコピー数が同一である場合は、配列長が約100bpの増幅産物のCt値、配列長が約200bpの増幅産物のCt値、配列長が約400bpの増幅産物のCt値、及び配列長が約800bpの増幅産物のCt値が、実質的に同じになった。したがって、鋳型DNAの広い濃度範囲において、増幅産物の配列長による生成効率の違いが生じないことが確認された。
(コムギの加工度の評価)
コムギ粒7gをマルチビーズショッカー(安井器械社製)で粉砕し、コムギ粉砕物を得た。加熱していないコムギ粉砕物から、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けていないDNAを抽出した。また、120℃で15分、30分、60分、及び120分加熱したコムギ粉砕物のそれぞれから、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けたDNAを抽出した。その後、コムギ粉砕物から抽出したDNAを鋳型DNAとして用いた以外は、上記の調整されたPCRの条件を用いて、リアルタイムPCRを実施した。
その結果、図9に示すように、コムギ粉砕物が加熱されていない場合、配列長が約100bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約200bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約400bpの増幅産物の増幅曲線、及び配列長が約800bpの増幅産物の増幅曲線が、実質的に同じになった。しかし、図10ないし図13に示すように、コムギ粉砕物が加熱された場合、加熱時間が長くなるにつれて、配列長が短い増幅産物と比較して、配列長が長い増幅産物の生成効率が低下し、増幅曲線の違いが大きくなっていった。
また、図14ないし図18に示すように、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸に増幅曲線の蛍光強度の閾値を0.256に設定した場合のCt値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似した。いずれも決定係数R2は良好であった。得られた一次関数の傾きは、配列長に対するCt値の増加率を表している。コムギが加熱により加工された場合、増幅産物の配列長と、Ct値と、は相関しており、加熱時間が長くなるほど、配列長に対するCt値の増加率が大きくなる傾向にあることが示された。加熱時間が長くなるほど、DNAの損傷の程度は大きくなる。したがって、配列長に対するCt値の増加率が低い場合は、DNAの損傷の程度が小さく、コムギの加工の程度も小さいと評価可能であり、配列長に対するCt値の増加率が高い場合は、DNAの損傷の程度が大きく、コムギの加工の程度も大きいと評価可能であることが示された。
(大豆の加工度の評価)
大豆粒7gをマルチビーズショッカー(安井器械社製)で粉砕し、大豆粉砕物を得た。加熱していない大豆粉砕物から、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けていないDNAを抽出した。また、160℃で15分、30分、60分、及び120分加熱した大豆粉砕物のそれぞれから、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けたDNAを抽出した。その後、大豆粉砕物から抽出したDNAを鋳型DNAとして用いた以外は、上記の調整されたPCRの条件を用いて、リアルタイムPCRを実施した。
その結果、図19に示すように、大豆粉砕物が加熱されていない場合、配列長が約100bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約200bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約400bpの増幅産物の増幅曲線、及び配列長が約800bpの増幅産物の増幅曲線が、実質的に同じになった。しかし、図20ないし図23に示すように、大豆粉砕物が加熱された場合、加熱時間が長くなるにつれて、配列長が短い増幅産物と比較して、配列長が長い増幅産物の生成効率が低下し、増幅曲線の違いが大きくなっていった。
また、図24ないし図28に示すように、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸に増幅曲線の蛍光強度の閾値を0.256に設定した場合のCt値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似した。いずれも決定係数R2は良好であった。得られた一次関数の傾きは、配列長に対するCt値の増加率を表している。大豆が加熱により加工された場合、増幅産物の配列長と、Ct値と、は相関しており、加熱時間が長くなるほど、配列長に対するCt値の増加率が大きくなる傾向にあることが示された。加熱時間が長くなるほど、DNAの損傷の程度は大きくなる。したがって、配列長に対するCt値の増加率が低い場合は、DNAの損傷の程度が小さく、大豆の加工の程度も小さいと評価可能であり、配列長に対するCt値の増加率が高い場合は、DNAの損傷の程度が大きく、大豆の加工の程度も大きいと評価可能であることが示された。
(トウモロコシの加工度の評価)
トウモロコシ粒7gをマルチビーズショッカー(安井器械社製)で粉砕し、トウモロコシ粉砕物を得た。加熱していないトウモロコシ粉砕物から、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けていないDNAを抽出した。また、140℃で15分、30分、60分、及び120分加熱したトウモロコシ粉砕物のそれぞれからも、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けたDNAを抽出した。その後、トウモロコシ粉砕物から抽出したDNAを鋳型DNAとして用いた以外は、上記の調整されたPCRの条件を用いて、リアルタイムPCRを実施した。
その結果、図29に示すように、トウモロコシ粉砕物が加熱されていない場合、配列長が約100bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約200bpの増幅産物の増幅曲線、配列長が約400bpの増幅産物の増幅曲線、及び配列長が約800bpの増幅産物の増幅曲線が、実質的に同じになった。しかし、図30ないし図33に示すように、トウモロコシ粉砕物が加熱された場合、加熱時間が長くなるにつれて、配列長が短い増幅産物と比較して、配列長が長い増幅産物の生成効率が低下し、増幅曲線の違いが大きくなっていった。
また、図34ないし図38に示すように、グラフの横軸に増幅産物の配列長、縦軸に増幅曲線の蛍光強度の閾値を0.256に設定した場合のCt値をとってプロットし、プロットを最小二乗法によって一次関数に近似した。いずれも決定係数R2は良好であった。得られた一次関数の傾きは、配列長に対するCt値の増加率を表している。トウモロコシが加熱により加工された場合、増幅産物の配列長と、Ct値と、は相関しており、加熱時間が長くなるほど、配列長に対するCt値の増加率が大きくなる傾向にあることが示された。加熱時間が長くなるほど、DNAの損傷の程度は大きくなる。したがって、配列長に対するCt値の増加率が低い場合は、DNAの損傷の程度が小さく、トウモロコシの加工の程度も小さいと評価可能であり、配列長に対するCt値の増加率が高い場合は、DNAの損傷の程度が大きく、トウモロコシの加工の程度も大きいと評価可能であることが示された。
(食品の加工度の評価)
コムギ、大豆、及びトウモロコシの結果から、種によらず、配列長に対するCt値の増加率が低い場合は、DNAの損傷の程度が小さく、食品の加工の程度も小さいと評価可能であり、配列長に対するCt値の増加率が高い場合は、DNAの損傷の程度が大きく、食品の加工の程度も大きいと評価可能であることが示された。
(加工度の数値化)
コムギを例にとり、食品の加工度を、以下のように定義し、算出した。加熱等の加工されたコムギから抽出された鋳型DNA中の100bpのある部分配列が断片化せずに残存している確率をa(0≦a≦1)とすると、鋳型DNA中の100bp当たりの分解率は(1−a)で表される。この100bp当たりの分解率(1−a)は、コムギの加熱による加工度と相関するから、(1−a)をコムギの加工度と定義した。図14ないし図18に示した近似一次関数のそれぞれの傾きをk、PCRの1サイクルあたりの増幅率をbとすると、100bpあたりのCt値の差(増加量)は100kであり、PCR後の鋳型DNA中のある部分配列のコピー数NWLに対して、配列長が100bp短いある部分配列のコピー数NWSの比NWS/NWLはb100kである。この場合、鋳型DNA中の100bpのある部分配列が断片化せずに残存している確率aは、1/(b100k)であり、100bp当たりの分解率(1−a)、すなわち、コムギの加工度(1−a)は、1−1/(b100k)である。
理想的なPCRでは、1サイクルあたりの増幅率bは2である。この場合、図14ないし図18に示した近似一次関数のそれぞれの傾きをkから導かれるコムギの加工度(1−a)は、表2に示すとおりであった。
このように複数のリアルタイムPCRの結果を用いることにより、鋳型DNAの断片化の程度を数値化し、かつ、鋳型DNAを抽出した食品の加工度を表すことも可能となることが示された。なお、PCRの1サイクルあたりの増幅率bは、使用するプライマーペアにおいて、サンプルの段階希釈系列でリアルタイムPCRを実施し、検量線を作成した上で、定法に従ってその傾きから決定してもよい。
(遺伝子組換え作物検出試験への応用)
遺伝子組換え作物(GMO)混入食品として、モンサント社のラウンドアップレディー大豆(RRS)が1%混入している大豆サンプルを用意した(IRMMより購入。Code:ERM−BF410DK)。次に、未加熱の大豆サンプルから、鋳型DNAを抽出した。また、160℃で、15分、30分、60分、及び120分加熱した大豆サンプルのそれぞれからも、鋳型DNAを抽出した。その後、上記の方法と同様に、加工度を算出したところ、表3に示すとおりであった。例えば、GMO検出試験を行う場合には、偽陰性が5%未満であること要求され、これは、21回試験を行い、20回以上、GMOを検出できることに相当する。表3に示すように、加工度0.5までは、21回中21回、RRSを検出できたが、加工度0.75では、21回中、RRSを検出できたのは16回だけであった。よって、加工度が0.5以下であれば、正確にRRSの検出試験を行えることが示された。
食品が遺伝子組換え作物(GMO)を含有しているか否かを検査する場合、食品の加工が進むと正確な検査が行えない場合がある。しかし、食品の加工の程度は明らかではないため、検査が可能かどうかの判断ができなかった。これに対し、事前に食品の加工度を知ることで、正確な検査実施の可否が判断できるようになり、検査を行える食品の対象を広げられる可能性が示された。
(デジタルPCRの利用例1)
未加工の大豆をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で粉砕し、大豆粉砕物を得た。加熱していない大豆粉砕物から、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けていないDNAを抽出した。その後、抽出したDNAを希釈した後、鋳型DNAとし、大豆内在性遺伝子であるレクチン遺伝子(Le1)を標的として、表4に示す第D1及び第D2のプライマーペア、並びにプローブを用いてデジタルPCRを行った。
第D1のプライマーペアは、フォワードプライマーとして配列番号7の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、リバースプライマーとして配列番号8の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、を備え、レクチン遺伝子(Le1)の異なる2箇所にハイブリダイズし、PCRにより塩基対数118bpの増幅産物を生じさせる。また、第D2のプライマーペアは、フォワードプライマーとして配列番号7の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、リバースプライマーとして配列番号11の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、を備え、レクチン遺伝子(Le1)の異なる2箇所にハイブリダイズし、PCRにより塩基対数286bpの増幅産物を生じさせる。プローブは、配列番号10の塩基配列を有する。
次に、2.5μLのTaqMan Universal PCR Master Mix(2X)(Life Technologies社製)、0.5μLの濃度が5μmol/Lのフォワードプライマー、0.5μLの濃度が5μmol/Lのリバースプライマー溶液、0.5μLの濃度が2μmol/Lである蛍光標識核酸プローブ、0.5μLの鋳型DNAを十分に混合して、滅菌水で5μLに調整した。この反応液を96ウェルPCRプレートの全ウェルに添加した。鋳型DNAには、加熱による分解作用を受けていない大豆由来DNAを2pg/μLに希釈したものを用いた。これにより、一つのウェルに鋳型DNAが実質的に1コピー以下しか存在しないようにした。プライマーペアは第D1のものと第D2のものの2種類を用いた。リアルタイムPCR装置で、反応液を50℃で2分間保持後、95℃で10分間保持し、以後95℃で15秒保持、60℃で15秒保持、及び72℃で2分保持を1サイクルとして、50サイクルの反復を実施した。図39に示すように第D1のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数118bpの増幅産物が96ウェル中1回目は26ウェル、2回目は24ウェル、3回目は27ウェルで確認された。一方、図40に示すように第D2のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数286bpの増幅産物が生じたウェルの数は、96ウェル中、1回目は22ウェル、2回目は30ウェル、3回目は29ウェルであった。両増幅産物が得られた回数及び割合は、t検定の結果、有意差はなく、実質的に同じと判断された。よって、これを調整されたPCRの条件とした。
調整されたPCRの条件の下、鋳型DNA溶液に95℃15分の加熱処理を加えてから、同様の分析を行った。図41に示すように第D1のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数118bpの増幅産物は、96ウェル中1回目は12ウェル、2回目は12ウェル、3回目は16ウェルで確認された。一方、図42に示すように第D2のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数286bpの増幅産物は、96ウェル中、1回目は3ウェル、2回目は3ウェル、3回目は4ウェルでのみ確認された。塩基対数118bpの増幅産物と塩基対数286bpの増幅産物が得られた回数及び割合には、有意な差が確認された。断片化を受けたDNAを分析した場合に、増幅長が長いほど、生成効率が低下する現象は、リアルタイムPCRのCt値を生成効率として分析を行った結果と合致している。このことから、PCRとしてデジタルPCRを用い、PCRで増幅産物が確認される回数もしくは割合を生成効率とした場合でも、DNAの断片化の程度を評価することが可能であることが明らかとなった。
(デジタルPCRの利用例2)
未加工のコムギをマルチビーズショッカー(安井器械社製)で粉砕し、コムギ粉砕物を得た。加熱していないコムギ粉砕物から、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けていないDNAを抽出した。その後、抽出したDNAを希釈した後、鋳型DNAとし、18SrRNAをコードするDNA配列内の植物特異的配列を標的として、表1に示した第1及び第2のプライマーペア、並びにプローブを用いてデジタルPCRを行った。
次に、2.5μLのTaqMan Universal PCR Master Mix(2X)(Life Technologies社製)、0.5μLの濃度が2μmol/Lのフォワードプライマー、0.5μLの濃度が2μmol/Lのリバースプライマー溶液、0.5μLの濃度が2μmol/Lである蛍光標識核酸プローブ、0.5μLの鋳型DNAを十分に混合して、滅菌水で5μLに調整した。この反応液を96ウェルPCRプレートの全ウェルに添加した。鋳型DNAには、加熱による分解作用を受けていないコムギ由来DNAを2.5×10-3pg/μLに希釈したものを用いた。これにより、一つのウェルに鋳型DNAが実質的に1コピー以下しか存在しないようにした。プライマーペアは第1のものと第2のものの2種類を用いた。リアルタイムPCR装置で、反応液を50℃で2分間保持後、95℃で10分間保持し、以後95℃で15秒保持、60℃で15秒保持、及び72℃で2分保持を1サイクルとして、50サイクルの反復を実施した。図43に示すように第1のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数約100bpの増幅産物が96ウェル中1回目は16ウェル、2回目は16ウェル、3回目は20ウェルで確認された。一方、図44に示すように第2のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数約200bpの増幅産物が生じたウェルの数は、96ウェル中、1回目は16ウェル、2回目は21ウェル、3回目は12ウェルであった。両増幅産物が得られた回数及び割合は、t検定の結果、有意差はなく、実質的に同じと判断された。よって、これを調整されたPCRの条件とした。なお、このようにPCRの条件を調整しなかった場合は、両増幅産物が得られた回数及び割合は、有意差があった。
調整されたPCRの条件の下、鋳型DNA溶液に95℃15分の加熱処理を加えてから、同様の分析を行った。図45に示すように第1のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数約100bpの増幅産物は、96ウェル中1回目は11ウェル、2回目は9ウェル、3回目は11ウェルで確認された。一方、図46に示すように第2のプライマーペアを用いた測定を3回実施したところ、塩基対数約200bpの増幅産物は、96ウェル中、1回目は4ウェル、2回目は1ウェル、3回目は5ウェルでのみ確認された。塩基対数約100bpの増幅産物と塩基対数約200bpの増幅産物が得られた回数及び割合には、有意な差が確認された。コムギ由来のDNAにおいても、断片化を受けたDNAを分析した場合に、増幅長が長いほど、生成効率が低下する現象は、リアルタイムPCRのCt値を生成効率として分析を行った結果と合致している。このことから、PCRとしてデジタルPCRを用い、PCRで増幅産物が確認される回数もしくは割合を生成効率とした場合でも、DNAの断片化の程度を評価することが可能であることが明らかとなった。
(加工前のDNA数の推定)
大豆粉をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で粉砕し、大豆粉砕物を得た。加熱していない大豆粉砕物から、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けていないDNAを抽出した。その後、抽出したDNAを鋳型DNAとし、大豆内在性遺伝子であるレクチン遺伝子(Le1)を標的として、表5に示す第5及び第6のプライマーペア、並びにプローブを用いてリアルタイムPCRを行った。
第5のプライマーペアは、フォワードプライマーとして配列番号7の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、リバースプライマーとして配列番号8の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、を備え、レクチン遺伝子(Le1)の異なる2箇所にハイブリダイズし、リアルタイムPCRにより塩基対数118bpの増幅産物を生じさせる。また、第6のプライマーペアは、フォワードプライマーとして配列番号7の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、リバースプライマーとして配列番号9の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、を備え、レクチン遺伝子(Le1)の異なる2箇所にハイブリダイズし、リアルタイムPCRにより塩基対数412bpの増幅産物を生じさせる。プローブは、配列番号10の塩基配列を有する。
リアルタイムPCRの際、図47に示すように、第5のプライマーペアのリバースプライマーの濃度を0.04μmol/L、0.02μmol/L、0.01μmol/L、及び0.005μmol/Lに振ったところ、0.04μmol/Lのときに、図48に示すように、塩基対数118bpの増幅産物の増幅曲線と、塩基対数412bpの増幅産物の増幅曲線と、が実質的に重なり、Ct値が実質的に同じになった。よって、これを調整されたPCRの条件とした。
調整されたPCRの条件の下、鋳型DNA溶液の濃度を、1倍、1/10倍、1/100倍、及び1/1000倍に振って、リアルタイムPCRを実施した。その結果、図49に示すように、鋳型DNAの濃度が減少するにつれて、Ct値が高くなる傾向にあったが、各濃度においては、塩基対数118bpの増幅産物の増幅曲線と、塩基対数412bpの増幅産物の増幅曲線と、が実質的に重なり、Ct値が実質的に同じになった。したがって、鋳型DNAの広い濃度範囲において、増幅産物の配列長による生成効率の違いが生じないことが確認された。
次に、110℃で5分加圧加熱処理した大豆粉砕物からも、Dneasy Plant Maxi kitを用いて、加熱による分解作用を受けたDNAを抽出した。その後、第5及び第6のプライマーペアを用い、上記の調整されたPCRの条件の下、リアルタイムPCRを実施した。その結果、図50に示すように、塩基対数118bpの増幅産物の増幅曲線と、塩基対数412bpの増幅産物の増幅曲線と、が重ならなくなり、Ct値の差が5.18あった。
公知の手法を用いて、段階的に希釈したプラスミドを用いて検量線を作成し、加圧加熱処理されなかった大豆粉砕物から抽出されたLe1のコピー数を求めたところ、53,417であった。また、同様に、加圧加熱処理された大豆粉砕物から抽出されたLe1のコピー数を求めたところ、19,028であった。
ここで、食品から抽出された鋳型DNAの長い部分配列のコピー数をNSL、食品から抽出された鋳型DNAの短い部分配列のコピー数をNSS、食品から抽出された鋳型DNAが加工により断片化せずに残存している確率をd、長い部分配列の配列長をLL、短い部分配列の配列長をLS、PCRの1サイクルあたりの増幅率をb、短い部分配列と長い部分配列の増幅産物のCt値の差をΔCtとすると、下記(1)式及び(2)式が成立する。
SL=NSS×d^(LL/LS) ・・・(1)
SL=NSS÷b^ΔCt ・・・(2)
(1)式及び(2)式のLLに412、LSに118、bに2、ΔCtに5.18を代入すると、下記(3)式及び(4)式が得られる。
SL=NSS×d^(412/118) ・・・(3)
SL=NSS÷2^5.18 ・・・(4)
(3)式及び(4)式の連立方程式を解くと、加圧加熱処理された大豆粉砕物から抽出されたLe1が断片化せずに残存している確率dは、0.36であった。
上述したように、加熱された大豆粉砕物から抽出されたLe1のコピー数は19,028であったから、加熱されなかった大豆粉砕物から抽出されたLe1のコピー数は、下記(5)式より52,855と見積もられた。
19,028÷0.36=52,855 ・・・(5)
上述したように、公知の手法により求められた加熱されなかった大豆粉砕物から抽出されたLe1のコピー数は、53,417であったため、見積もられたコピー数の精度は高かった。したがって、加工される前の食品の入手が困難である場合であっても、加工した食品から抽出したDNAに含まれる鋳型核酸配列の量と、増幅産物のCt値の差と、に基づいて、加工される前の食品に含まれる鋳型核酸配列の量を見積もることが可能であることが示された。

Claims (50)

  1. 分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、前記複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、
    前記調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、分解作用を受けた前記鋳型核酸配列から、前記複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、
    前記分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、前記分解作用による前記鋳型核酸配列の損傷の程度を求めることと、
    を含む、核酸の損傷の程度の評価方法。
  2. 前記損傷の程度を求めることにおいて、前記複数の増幅産物のうち、短い配列長の増幅産物の生成効率と、長い配列長の増幅産物の生成効率と、の差に基づいて、前記鋳型核酸配列の損傷の程度を求める、請求項1に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  3. 前記生成効率が、前記増幅産物が所定の量生成される時の前記ポリメラーゼ連鎖反応のサイクル数を表す、閾値サイクル値で表される、請求項1又は2に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  4. 前記損傷の程度を求めることにおいて、前記増幅産物の配列長に対する前記閾値サイクル値の増加率を求める、請求項3に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  5. 前記損傷の程度を求めることにおいて、前記増加率が高いほど、前記損傷の程度が大きいと評価する、請求項4に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  6. 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、リアルタイムPCRである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  7. 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、デジタルPCRである、請求項1又は2に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  8. 前記生成効率が、前記ポリメラーゼ連鎖反応を複数回実施した際に前記増幅産物が生成する確率、もしくは、前記ポリメラーゼ連鎖反応を所定の回数実施した際に前記増幅産物が生成する回数で表される、請求項7に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  9. 前記生成効率が、増幅が観察されたウェルの数又は当該増幅が観察されたウェルの数に基づく数値で表される、請求項7又は8に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  10. 前記損傷の程度を求めることにおいて、前記増幅産物の配列長に対する前記生成効率の減少率を求める、請求項8又は9に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  11. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、温度条件である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  12. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、前記複数のプライマーペアのそれぞれの配列である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  13. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、前記複数のプライマーペアのそれぞれの濃度である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  14. 前記鋳型核酸配列が、植物に特異的な核酸配列の少なくとも一部である、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  15. 前記鋳型核酸配列が、18SrRNAをコードする核酸配列の少なくとも一部である、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  16. 前記鋳型核酸配列が、動物に特異的な核酸配列の少なくとも一部である、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の核酸の損傷の程度の評価方法。
  17. 分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、前記複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、
    前記調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、食品から採取した分解作用を受けた前記鋳型核酸配列から、前記複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、
    前記分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、前記食品の加工の程度を求めることと、
    を含む、食品の加工の程度の評価方法。
  18. 前記食品の加工の程度を求めることにおいて、前記複数の増幅産物のうち、短い配列長の増幅産物の生成効率と、長い配列長の増幅産物の生成効率と、の差に基づいて、前記食品の加工の程度を求める、請求項17に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  19. 前記生成効率が、前記増幅産物が所定の量生成される時の前記ポリメラーゼ連鎖反応のサイクル数を表す、閾値サイクル値で表される、請求項17又は18に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  20. 前記食品の加工の程度を求めることにおいて、前記増幅産物の配列長に対する前記閾値サイクル値の増加率を求める、請求項19に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  21. 前記食品の加工の程度を求めることにおいて、前記増加率が高いほど、前記食品の加工の程度が大きいと評価する、請求項20に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  22. 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、リアルタイムPCRである、請求項17ないし21のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  23. 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、デジタルPCRである、請求項17又は18に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  24. 前記生成効率が、前記ポリメラーゼ連鎖反応を複数回実施した際に前記増幅産物が生成する確率、もしくは、前記ポリメラーゼ連鎖反応を所定の回数実施した際に前記増幅産物が生成する回数で表される、請求項23に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  25. 前記生成効率が、増幅が観察されたウェルの数又は当該増幅が観察されたウェルの数に基づく数値で表される、請求項23又は24に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  26. 前記損傷の程度を求めることにおいて、前記増幅産物の配列長に対する前記生成効率の減少率を求める、請求項24又は25に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  27. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、温度条件である、請求項17ないし26のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  28. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、前記複数のプライマーペアのそれぞれの配列である、請求項17ないし26のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  29. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、前記複数のプライマーペアのそれぞれの濃度である、請求項17ないし26のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  30. 前記鋳型核酸配列が、植物に特異的なDNA配列の少なくとも一部である、請求項17ないし29のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  31. 前記鋳型核酸配列が、18SrRNAをコードするDNA配列の少なくとも一部である、請求項17ないし30のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  32. 前記鋳型核酸配列が、動物に特異的なDNA配列の少なくとも一部である、請求項17ないし29のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  33. 前記求められた食品の加工の程度に基づき、前記食品に対して、遺伝子組換え作物検出試験を行うか否かを決定することを更に含む、請求項17ないし32のいずれか1項に記載の食品の加工の程度の評価方法。
  34. 分解作用を受けていない鋳型核酸配列から、ポリメラーゼ連鎖反応で、複数の異なるプライマーペアを用いてそれぞれ配列長が異なる複数の増幅産物を生成した場合に、前記複数の増幅産物のそれぞれの生成効率が実質的に同じになるよう、前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件を調整することと、
    前記調整されたポリメラーゼ連鎖反応の条件の下、分解作用を受けた前記鋳型核酸配列から、前記複数のプライマーペアを用いて複数の増幅産物を生成し、前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率を求めることと、
    前記分解作用を受けた鋳型核酸配列から生成された前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量を求めることと、
    を含む、核酸の定量方法。
  35. 分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量を求めることにおいて、前記複数の増幅産物のうち、短い配列長の増幅産物の生成効率と、長い配列長の増幅産物の生成効率と、の差に基づいて、分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量の程度を求める、請求項34に記載の核酸の定量方法。
  36. 前記生成効率が、前記増幅産物が所定の量生成される時の前記ポリメラーゼ連鎖反応のサイクル数を表す、閾値サイクル値で表される、請求項34又は35に記載の核酸の定量方法。
  37. 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、リアルタイムPCRである、請求項34ないし36のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  38. 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、デジタルPCRである、請求項34又は35に記載の核酸の定量方法。
  39. 前記生成効率が、前記ポリメラーゼ連鎖反応を複数回実施した際に前記増幅産物が生成する確率、もしくは、前記ポリメラーゼ連鎖反応を所定の回数実施した際に前記増幅産物が生成する回数で表される、請求項38に記載の核酸の定量方法。
  40. 前記生成効率が、増幅が観察されたウェルの数又は当該増幅が観察されたウェルの数に基づく数値で表される、請求項38又は39に記載の核酸の定量方法。
  41. 分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量を求めることが、前記複数の増幅産物のそれぞれ異なる生成効率に基づいて、前記分解作用を受けた鋳型核酸配列のうち、未損傷で残っている鋳型核酸配列の割合を算出することを含む、請求項34ないし40のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  42. 分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量を求めることが、前記分解作用を受けた鋳型核酸配列の量を測定することを更に含む、請求項41に記載の核酸の定量方法。
  43. 分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量を求めることが、前記測定された分解作用を受けた鋳型核酸配列の量を、前記未損傷で残っている鋳型核酸配列の割合で除することにより、分解作用を受ける前の前記鋳型核酸配列の量を算出することを更に含む、請求項42に記載の核酸の定量方法。
  44. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、温度条件である、請求項34ないし43のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  45. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、前記複数のプライマーペアのそれぞれの配列である、請求項34ないし43のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  46. 前記ポリメラーゼ連鎖反応の条件が、前記複数のプライマーペアのそれぞれの濃度である、請求項34ないし43のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  47. 前記鋳型核酸配列が、植物に特異的なDNA配列の少なくとも一部である、請求項34ないし46のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  48. 前記鋳型核酸配列が、18SrRNAをコードするDNA配列の少なくとも一部である、請求項34ないし47のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  49. 前記鋳型核酸配列が、動物に特異的なDNA配列の少なくとも一部である、請求項34ないし46のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
  50. 前記鋳型核酸配列が、生物種に特異的な内在性遺伝子配列の少なくとも一部である、請求項34ないし46のいずれか1項に記載の核酸の定量方法。
JP2013168355A 2013-08-13 2013-08-13 核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法 Active JP6120279B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013168355A JP6120279B2 (ja) 2013-08-13 2013-08-13 核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013168355A JP6120279B2 (ja) 2013-08-13 2013-08-13 核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015035977A true JP2015035977A (ja) 2015-02-23
JP6120279B2 JP6120279B2 (ja) 2017-04-26

Family

ID=52686711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013168355A Active JP6120279B2 (ja) 2013-08-13 2013-08-13 核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6120279B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016220595A (ja) * 2015-05-28 2016-12-28 株式会社千代田テクノル 放射線照射食品の識別方法
JP2019027966A (ja) * 2017-08-01 2019-02-21 株式会社日清製粉グループ本社 食品中の物質が受けた加熱処理の強度の判定方法
WO2019188553A1 (ja) * 2018-03-29 2019-10-03 森永乳業株式会社 微生物の細胞の測定方法
JP2020162586A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物の死亡時期の判定方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001245697A (ja) * 2000-03-08 2001-09-11 Japan Science & Technology Corp 遺伝子発現定量法
JP2011244692A (ja) * 2010-05-21 2011-12-08 National Agriculture & Food Research Organization 青果物の鮮度評価方法および鮮度評価用プライマーセット

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001245697A (ja) * 2000-03-08 2001-09-11 Japan Science & Technology Corp 遺伝子発現定量法
JP2011244692A (ja) * 2010-05-21 2011-12-08 National Agriculture & Food Research Organization 青果物の鮮度評価方法および鮮度評価用プライマーセット

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016220595A (ja) * 2015-05-28 2016-12-28 株式会社千代田テクノル 放射線照射食品の識別方法
JP2019027966A (ja) * 2017-08-01 2019-02-21 株式会社日清製粉グループ本社 食品中の物質が受けた加熱処理の強度の判定方法
WO2019188553A1 (ja) * 2018-03-29 2019-10-03 森永乳業株式会社 微生物の細胞の測定方法
JPWO2019188553A1 (ja) * 2018-03-29 2021-03-25 森永乳業株式会社 微生物の細胞の測定方法
JP7369115B2 (ja) 2018-03-29 2023-10-25 森永乳業株式会社 微生物の細胞の測定方法
JP2020162586A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物の死亡時期の判定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6120279B2 (ja) 2017-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6120279B2 (ja) 核酸の損傷の程度の評価方法、食品の加工の程度の評価方法、及び核酸の定量方法
Ballari et al. Assessment of DNA degradation induced by thermal and UV radiation processing: Implications for quantification of genetically modified organisms
Mano et al. Quantification of DNA fragmentation in processed foods using real-time PCR
CN110964814B (zh) 用于核酸序列变异检测的引物、组合物及方法
EP3087198B1 (en) Metagenomic analysis of samples
EP2518146A1 (en) Method for detection and quantification of wheat endogenous gene
JP2019509051A5 (ja)
Ganopoulos et al. Microsatellite genotyping with HRM (High Resolution Melting) analysis for identification of the PGI common bean variety Plake Megalosperma Prespon
CN103154268A (zh) 用于检测存在于肉中的驴肉的试剂盒
KR101159866B1 (ko) 소맥 내재성 dna 서열의 검출 및 정량 방법
Samson et al. Quantitative detection method for Roundup Ready soybean in food using duplex real‐time PCR MGB chemistry
US20120264128A1 (en) Method for qualitative and quantitative detection of common wheat
KR102098773B1 (ko) 뱀장어 Anguilla japonica(극동산 뱀장어) 종과 A. bicolor, A. rostrata, A. anguilla, A. marmorata 구별을 위한 프라이머 및 이를 이용한 Real-time PCR 검출 방법
US20100062432A1 (en) Method of detecting or quantitating endogenous wheat dna and method of determining contamination rate of genetically modified wheat in test sample
KR20160057655A (ko) 고추 탄저병 검출용 조성물 및 이를 이용한 고추 탄저병 검출 방법
JP4925607B2 (ja) 遺伝子組換え加工食品の定量的検知方法
JP7386655B2 (ja) 遺伝子組換え体の検出方法
JP7091237B2 (ja) 遺伝子組換え作物の検出方法
KR101906217B1 (ko) 돼지 젤라틴 검출 키트 및 이를 이용한 돼지 젤라틴 검출 방법
La Mura et al. Application of QUIZ for GM quantification in food
JP2023147730A (ja) 遺伝子組換え体の検出方法
CN111733280B (zh) 一种转基因棉花cot102品系的双重荧光定量pcr检测
WO2011023675A1 (en) Combination of dna markers for characterizing and fingerprinting a lactobacillus sakei isolate
JP2009195204A (ja) 細菌属特異的プライマーおよび該プライマーを用いた細菌の検出方法
CN112646866A (zh) 一种基于ddPCR检测CRISPR/Cas诱导的基因突变和基因编辑频率的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170321

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6120279

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250