JP7369115B2 - 微生物の細胞の測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被検試料中の微生物の細胞を測定する方法に関する。
現在、乳製品をはじめとして、乳酸菌などの微生物を添加した食品が広く消費者に受け入れられている(非特許文献1~非特許文献4)。ここで、乳酸菌などの微生物を含む食品を提供するにあたり、食品等の出荷検査や受け入れ先の受け入れ検査等で食品中の微生物含有量を測定する必要がある。
微生物の検出・定量の技術として、例えば、乳酸菌が存在しない飲料中における乳酸菌生細胞による汚染の検出・定量を目的として、被検試料をメンブランフィルターでろ過後、適当な培地中で培養し、生育したコロニーを観察する方法が知られている(特許文献1)。
また、乳酸菌検出培地として改変NBB培地を使用する方法(非特許文献5)、KOT培地を使用する方法(非特許文献6)も知られている。さらに、菌体中のATPを利用し、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応による化学発光を用いる方法(非特許文献7、非特許文献8)、また、培地中の菌の生育を培地の電気伝導度の変化で捕らえる方法(非特許文献9)も知られている。
特開平6-311894号公報
Yoshikawa, T. et al. 2009. Biosci. Biotechnol. Biochem. 73: 1439-1442. Inoue, R. et al. 2010. Immunol Med Microbiol. 61: 94-102. Iwabuchi, N. et al. 2012. Immunol Med Microbiol. 66: 230-239. Nishibayashi, R. et al. 2015. Plos One | DOI:10.1371/journal.pone.0129806. Back, W. 1980. Brauwelt. 120: 1562. Taguchi, H. et al. 1990. J. Am. Soc. Brew. Chem. 48: 72. Hysert, D. W. et al. 1976. J. Am. Soc. Brew. Chem. 34: 145. Soejima, T. et al. 2009. FEMS Microbiol. Lett. 294: 74-81. Vogel, H. & Bohak, I. 1990. Brauwelt. 130: 414.
ところで、製造、出荷、受け入れ、検査等で受けたさまざまな処理、例えば熱処理等によって、細胞中のDNAが切断することがある。細胞中のDNAが切断している場合には、デジタルPCRで測定した被検試料中の細胞のDNA量を被検試料中の細胞数とすると、誤差が生じる。
前述した背景において、被検試料中の微生物の細胞を精度よく測定することのできる技術が求められていた。すなわち、本発明は、被検試料中の微生物の細胞数を精度よく測定する方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は、
被検試料中の微生物の細胞数を測定する方法であって、
前記微生物の細胞を含む前記被検試料に対してDNAの抽出操作を行うことにより、当該被検試料に含まれるDNAを回収するDNA回収工程と、
前記DNA回収工程で回収したDNAを含む被検測定用試料を調製する調製工程と、
前記被検測定用試料中の前記微生物固有のDNAのターゲット領域をデジタルPCR法により増幅させる増幅工程と、
前記増幅工程で得た測定結果に基づいて、前記被検試料中の前記微生物の細胞数を算出する細胞数算出工程と、
を有し、
前記細胞数算出工程は、
前記増幅産物の測定結果を予め用意したDNA切断係数で割ることにより、前記被検試料中の前記微生物の細胞数を測定することを特徴とする。
そして、前記DNA切断係数は、
被検試料と同一の処理を受けた基準試料を用いて、被検試料と同一の操作によりDNAを回収し、基準測定用試料を調製する工程と、
基準測定用試料中の前記微生物固有のDNAのターゲット領域及び前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物を測定する工程と、
前記微生物固有のDNAのターゲット領域の増幅産物の測定結果を、前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物の測定結果で割る工程、によって算出されることを特徴とする。
このような形態とすることで、微生物中のDNAの切断による測定の誤差を解消することができるため、例えば、熱処理を受けたような被検試料中の微生物の細胞数を精度よく測定することができる。
なお、本明細書において「DNA切断係数」は、製造、出荷、受け入れ、検査等の過程で微生物が受けたDNAの切断の程度に関する係数を意味する。
ここで、「DNA切断係数」は、菌種、菌株ごとに割り当てられた微生物固有のDNAのターゲット領域の数、及び、微生物が製造、出荷、受け入れ、検査等の過程で受けた処理(例えば熱処理等)の程度に依存し変化し得る係数である。
また、本発明において「基準試料」とは、被検試料と同一の処理を受けた試料をいう。また、「被検試料と同一の処理」は、同じ条件のもとに製造された製品において、製造、出荷、受け入れ、検査等で受けた処理、例えば熱処理等の条件が実質的に同一であることを意味する。
本発明の好ましい形態では、前記細胞数算出工程は、さらに、前記増幅産物の測定結果を予め用意した前記微生物由来のDNA回収率で割ることにより、前記被検試料中の前記微生物の細胞数を測定することを特徴とする。
そして、前記DNA回収率は、
被検試料と同一の処理を受けた基準試料、及び、微生物の細胞を含まない対照試料中のDNAを、被検試料と同一の操作により回収する工程と、
前記基準試料、及び、前記対照試料中の総DNA量を測定する総DNA量測定工程と、
前記基準試料中の総DNA量から前記対照試料の総DNA量を引くことにより、前記基準試料中の前記微生物由来のDNA回収量を算出する工程と、
算出した前記微生物由来のDNA回収量を、前記基準試料に添加した前記微生物の理論添加量で割る工程、によって算出されることを特徴とする。
このような形態とすることで、抽出操作による測定の誤差を解消することができるため、被検試料中の微生物の細胞数をより精度よく測定することができる。
本発明の好ましい形態では、前記総DNA量測定工程は、分光光度計を用いて前記基準試料、及び、前記対照試料中の総DNA量を測定することを含む。
このような形態とすることで、被検試料中の微生物の細胞数をより精度よく測定することができる。
本発明の好ましい形態では、前記細胞が生細胞である。
本発明の好ましい形態では、前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域は、耐熱性タンパク質由来の遺伝子、pheS遺伝子、rpoB遺伝子、及びtuf遺伝子からなる群から選択されるいずれかの遺伝子のターゲット領域である。
このような形態とすることで、DNA切断係数をより精度よく算出することができるため、被検試料中の微生物の細胞数をより精度よく測定することができる。
本発明の好ましい形態では、前記耐熱性タンパク質はヒートショックプロテインである。
このような形態とすることで、DNA切断係数をより精度よく算出することができるため、被検試料中の微生物の細胞数をより精度よく測定することができる。
本発明の好ましい形態では、前記ヒートショックプロテインはヒートショックプロテイン60である。
本発明によれば、被検試料中の微生物の細胞を精度よく測定することができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができる。
<1>微生物の細胞の測定方法
本発明は、被検試料中の微生物の細胞数を測定する方法である。
本発明の方法は、微生物の細胞の数を決定する方法に限定されず、微生物の細胞の存在を細胞数についての測定値と共に検出する方法も含む。
測定対象となる微生物の細胞としては、該微生物のDNAを増幅し得る限り特に制限されないが、例えば、細菌、糸状菌、酵母等の細胞を挙げることができる。
また、本発明の方法は、微生物の生細胞を測定対象とすることが好ましい。
中でも、本発明の方法は、グラム陽性細菌の細胞を対象とすることが好ましい。グラム陽性細菌としては、ラクトバチルス(Lactobacillus)属細菌、オルセネラ(Olsenella)属細菌、カルノバクテリウム(Carnobacterium)属細菌、ウェイセラ(Weissella)属細菌、エンテロコッカス(Enterococcus)属細菌、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌等を挙げることができる。
特にラクトバチルス属細菌には人体に有利な生理活性を示すものがあることから、本発明の方法は、ラクトバチルス属細菌の細胞数の測定に適用することが好ましい。
ラクトバチルス属細菌としては、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
gasseri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)等を挙げることができる。
また、本発明の方法に用いられる被検試料は、例えば熱処理を受けたものである。熱処理としては、加熱、均質化、殺菌などの処理を挙げることができる。なお、当該被検試料は熱処理の有無にかかわらず、本発明の被検試料に採用することができる。
ここで、本発明の方法に用いることのできる被検試料に特に制限はなく、例えば、食品、生体試料、ワクチン製剤、飲料水、工業用水、環境用水、排水、土壌、又は拭き取り試料等を挙げることができる。
特に、生体に有利な生理活性を有する微生物の細胞を測定することの有用性の観点から、食品を被検試料とすることが好ましい。食品として、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調製用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;チョコレート、キャラメル、キャンディ、ケーキ、ビスケット、クッキー等の菓子;ミルク、加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;経腸栄養食品等の高栄養流動食品、育児用ミルク、スポーツ飲料;特定保健用食品、健康補助食品等の機能性食品を挙げることができる。
本発明において、被検試料は、前述の食品、生体試料、ワクチン製剤、飲料水、工業用水、環境用水、排水、土壌、又は拭き取り試料等そのものであってもよく、これらを希釈もしくは濃縮したもの、又はその他任意の前処理をしたものであってもよい。前処理としては、加熱処理、濾過、遠心分離等を好ましく挙げることができる。
また、被検試料中に存在する測定対象の微生物の細胞以外の細胞、タンパク質コロイド粒子、脂肪及び糖質等の夾雑物は、これらを分解する活性を有する酵素による処理等によって除去又は低減させてもよい。被検試料が乳、乳製品、乳又は乳製品を原料とする食品である場合には、被検試料中に存在する微生物の細胞以外の細胞としてウシ白血球及び乳腺上皮細胞等を挙げることができる。
前記酵素としては、夾雑物を分解することができるものであれば特に制限されないが、例えば、脂質分解酵素、タンパク質分解酵素、及び糖質分解酵素を挙げることができる。酵素は、1種類の酵素を単独で用いてもよいし、2種又はそれ以上の酵素を併用してもよい。中でも、脂質分解酵素及びタンパク質分解酵素の両方、又は脂質分解酵素、タンパク質分解酵素、及び糖質分解酵素の全てを用いることが好ましい。
脂質分解酵素としては、リパーゼ、フォスファターゼ等を挙げることができる。
また、タンパク質分解酵素としてはセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、プロテイナーゼK、プロナーゼ(登録商標)等を挙げることができる。
また、糖質分解酵素としてはアミラーゼ、セルラーゼ、N-アセチルムラミダーゼ等を挙げることができる。
<2> 本発明の方法における各工程について
以下、本発明の方法における各工程について、詳細に説明する。
(1)DNA回収工程
DNA回収工程は、微生物の細胞を含む被検試料に対してDNAの抽出操作を行うことにより、被検試料に含まれるDNAを回収する工程である。
DNAの抽出操作としては、被検試料に対して冷却遠心分離処理とガラスビーズを用いた細胞の破砕操作を好ましく挙げることができる。なお、DNAの抽出操作に特に制限はない。また、DNAの抽出操作には、市販のDNA抽出キットを用いることもできる。
(2)被検測定用試料の調製工程
被検測定用試料の調製工程は、被検試料に必要な試薬の添加や処理を行い、PCR法を用いた増幅産物の測定に供するための被検測定用試料(核酸増幅反応液)を調製する工程である。
調製工程では、デジタルPCR法に通常用いられる試薬を添加する。具体的には、後述するターゲット領域を増幅するためのプライマー、増幅産物を測定するためのプローブのほか、dNTP 混合液、DNAポリメラーゼ等通常のデジタルPCRに用いられる試薬を添加する。プライマー及びプローブ以外の試薬としては、例えば後述するデジタルPCR装置を用いる場合には、QuantStudio(登録商標) 3D digital
PCR Master Mix v2(×2)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いることができる。
また、調製工程では、被検試料に核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤を添加することが好ましい。
被検試料に核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤を添加することで、後述する増幅工程での定量性を向上することができる。
ここで「核酸増幅阻害物質」とは、核酸増幅反応又は核酸伸張反応を阻害する物質であって、例えば、DNAの鋳型に吸着する正電荷阻害物質、又は核酸合成酵素(DNAポリメラーゼなど)に吸着する負電荷阻害物質等を挙げることができる。正電荷阻害物質としては、カルシウムイオン、ポリアミン、ヘム(heme)等を挙げることができる。また、負電荷阻害物質としては、フェノール、フェノール系化合物、ヘパリン、グラム陰性菌の細胞壁外膜等を挙げることができる。食品や臨床検体中には、このような核酸増幅反応を阻害する物質が多く含まれているといわれている。
前述したような核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤としては、アルブミン、デキストラン、T4ジーン32プロテイン、アセトアミド、ベタイン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、グリセロール、ポリエチレングリコール、大豆トリプシンインヒビター、α2-マクログロブリン、テトラメチルアンモニウムクロライド、リゾチームから、ホスホリラーゼ、及び乳酸脱水素酵素等の親水性薬剤が例示できる。これら親水性薬剤は1種のみを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
前述した親水性薬剤のうち、ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール400又はポリエチレングリコール4000が好ましく例示できる。ベタインとしては、トリメチルグリシンやその誘導体等を挙げることができる。また、ホスホリラーゼ及び乳酸脱水素酵素としては、ウサギ筋肉由来のグリコーゲンホスホリラーゼ及び乳酸脱水素酵素を挙げることができる。なお、グリコーゲンホスホリラーゼとしては、グリコーゲンホスホリラーゼbを好ましく挙げることができる。
特に、アルブミン、デキストラン、T4ジーン32プロテイン、及びリゾチームを使用することが好ましい。
BSA(ウシ血清アルブミン)に代表されるアルブミンは、ヘム(heme)のような核酸増幅阻害物質に結合することにより、核酸増幅阻害を低減させている可能性が示唆されている(Abu Al-Soudら)。
また、T4ジーン32プロテインは1本鎖DNA結合性タンパク質であり、核酸増幅過程で鋳型となっている1本鎖DNAに予め結合することにより鋳型が核酸分解酵素によって分解されることを防いでいるか、または、BSAと同様の核酸増幅阻害物質に結合することにより核酸増幅阻害を低減しているのであろうと考えられている(Abu Al-Soud, W. et al, Journal of Clinical Microbiology, 38:4463-4470, 2000))。
さらに、BSA、T4ジーン32プロテイン、及びタンパク質分解酵素阻害剤(proteinase inhibitor)は、タンパク質分解酵素(proteinase)に結合することによりタンパク質分解活性を低減させ、核酸合成酵素の働きを最大限に引き出す可能性が示唆されている。事実、牛乳や血液にはタンパク質分解酵素が残存していることもあり、その際BSA又はタンパク質分解酵素阻害剤(大豆トリプシンインヒビターやα2-マクログロブリン)の添加により核酸合成酵素が分解を受けずに核酸増幅反応が良好に進行したケースも紹介されている(Abu Al-Soudら)。
また、デキストランは一般にグルコースを原料として乳酸菌が合成する多糖類である。ムチンという同様の多糖類-ペプチド複合体が腸管粘膜に接着することも報告されており(Ruas-Madiedo, P., Applied and Environmental Microbiology, 74:1936-1940, 2008)、デキストランが負電荷阻害物質(核酸合成酵素に吸着)、又は正電荷阻害物質(核酸に吸着)に予め吸着することにより、それら阻害物質に結合する可能性は十分あるものと推察される。
また、リゾチームは牛乳中に多数含まれていると考えられる核酸増幅阻害物質と吸着しているものと推察される(前記Abu Al-Soudら)。
以上のことから、アルブミン、T4ジーン32プロテイン、デキストラン、及びリゾチームに代表される親水性薬剤は、核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤であるといえる。
アルブミンとしては、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、乳アルブミン、ヒト血清アルブミン等を挙げることができる。これらの中ではウシ血清アルブミン(BSA)が好ましく例示できる。アルブミンは精製品でもよく、本発明の効果を損なわない限りグロブリン等の他の成分と組み合わせて用いてもよい。また、アルブミンは分画物であってもよい。
被検測定用試料(核酸増幅反応液)中のアルブミンの濃度は、例えば、通常0.0001~1質量%であり、好ましくは0.01~1質量%であり、より好ましくは0.2~0.6質量%である。
調製工程においては、被検測定用試料におけるアルブミンの濃度が前記範囲となるように、被検試料にアルブミンを添加することが好ましい。
デキストランとしては、デキストラン40やデキストラン500等が挙げられ、特にデキストラン40を好ましく挙げることができる。
被検測定用試料(核酸増幅反応液)中のデキストランの濃度は、例えば、通常1~8%であり、好ましくは1~6%であり、より好ましくは1~4%である。
調製工程においては、被検測定用試料におけるデキストランの濃度が前記範囲となるように、被検試料にデキストランを添加することが好ましい。
T4ジーン32プロテインとしては、市販品(例えば、ロシュ社製:gp32とも呼ばれる)を用いてもよい。
T4ジーン32プロテインの被検測定用試料(核酸増幅反応液)中の濃度は、通常0.01~1%であり、好ましくは0.01~0.1%であり、より好ましくは0.01~0.02%である。
調製工程においては、被検測定用試料におけるT4ジーン32プロテインの濃度が前記範囲となるように、被検試料にT4ジーン32プロテインを添加することが好ましい。
リゾチームとしては、卵白由来のリゾチームを好ましく挙げることができる。
被検測定用試料(核酸増幅反応液)中のリゾチームの濃度は、例えば、通常1~20μg/mLであり、好ましくは6~15μg/mLであり、より好ましくは9~13μg/mLである。
調製工程においては、被検測定用試料におけるリゾチームの濃度が前記範囲となるように、被検試料にリゾチームを添加することが好ましい。
調製工程においては、核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤として、リゾチーム及びポリエチレングリコールの少なくとも一方を用いることが好ましい。
リゾチームとポリエチレングリコールは食品に含まれる蛋白質由来の核酸増幅阻害物質を阻害するため、これらを被検試料に添加することにより、微生物の細胞の定量性を向上させることができる。
また調製工程において、核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤として、リゾチーム及びポリエチレングリコールを組み合わせて用いることが特に好ましい。
リゾチームとポリエチレングリコールが核酸増幅阻害物質に協奏的に作用し核酸増幅阻害物質の表面構造を変質させるため、これらを組み合わせて用いれば、被検試料に含まれる蛋白質由来の核酸増幅阻害物質をより効率的に阻害することができる。
また、調製工程においては、被検試料又は被検試料より抽出したDNAの溶液にマグネシウム塩、有機酸塩又はリン酸塩等を添加することが好ましい。
マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。
被検測定用試料(核酸増幅反応液)中のマグネシウム塩の濃度が、例えば、1~10mM、好ましくは2~6mM、より好ましくは2~5mMとなるように、被検試料又は被検試料より抽出したDNAの溶液にマグネシウム塩を添加することが好ましい。
有機酸塩としては、クエン酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸等の塩を挙げることができる。塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができる。また、リン酸塩として、ピロリン酸等を挙げることができる。これらは1種でもよく、2種又は3種以上の混合物であってもよい。
被検測定用試料(核酸増幅反応液)中の有機酸塩又はリン酸塩の濃度が、例えば、合計量で0.1~20mM、好ましくは1~10mM、より好ましくは1~5mMとなるように、被検試料又は被検試料より抽出したDNAの溶液に有機酸塩又はリン酸塩を添加することが好ましい。
なお、調製工程において、前述したプライマー、プローブを含むデジタルPCR法を用いた核酸増幅、増幅産物の測定のための試薬、核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤、マグネシウム塩、機酸塩又はリン酸塩の添加の順序は問わず、また、同時に(あらかじめ混合する形態を含む)添加してもよい。
(3)増幅工程
増幅工程は、調製工程で調製した被検測定用試料中の細胞のDNAのターゲット領域をデジタルPCR法により増幅し、増幅産物を測定する工程である。ただし、細胞のDNAのターゲット領域を増幅する手段は、デジタルPCR法に限られない。
ここで、デジタルPCR法は、一般的には、測定対象となるDNAを含む試料を多数のウェルを備えるチップに分配し、ウェルごとに個別に核酸増幅を行い、各ウェルでの「増幅の有無」を検出する方法である。
デジタルPCR法には、市販のデジタルPCR装置を用いることができる。デジタルPCRとして、例えば、20000ウェルを備える疎水性のチップにより解析を行うQuantStudio(登録商標) 3D digital PCR(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いることが好ましい。
核酸増幅反応の条件は特に限定されず、DNAのターゲット領域の長さ、プライマーのTM値などを考慮して適宜設定することができる。
各ウェルにおける核酸増幅の有無は、蛍光分子などで標識されたプローブを増幅産物にハイブリダイズさせることにより判別することができる。すなわち、核酸増幅反応が起こったウェルではプローブに由来するシグナルが観察される。蛍光分子で標識されたプローブを用いる場合には、ケミルミフォトメータなどの装置によってウェルから発する蛍光を検出することができる。
本発明において「DNAのターゲット領域」とは、測定対象である微生物のDNAのうち、デジタルPCRによる増幅の目的とする領域である。例えば、被検試料に測定対象の微生物と異なる種類の細胞が含まれる場合には、DNAのターゲット領域は、測定対象の微生物に特異的な配列を含むように設定することが好ましい。また、目的によっては複数種の微生物に共通する配列を有するものであってもよい。さらに、DNAのターゲット領域は単一であっても、複数であってもよい。
DNAのターゲット領域の長さとしては、通常50~5000塩基、又は50~3000塩基を挙げることができる。核酸の増幅に用いるプライマーは核酸増幅法の原理に基づいて適宜設定することが可能であって、上記DNAのターゲット領域を特異的に増幅することができるものであれば特に制限されない。
特に、ラクトバチルス・パラカゼイの細胞を測定対象とする場合には、配列番号1及び配列番号2に示すプライマーセット、配列番号3に示すプローブを用いることができる(表4参照)。
また、複数種の微生物に共通するプライマーを用いると、被検試料中の複数種の微生物の細胞を測定することができる。また、特定の微生物に特異的なプライマーを用いると、被検試料中の特定の微生物の細胞を測定することができる。
(4)細胞数算出工程
細胞数算出工程は、前述の増幅工程で得た測定結果に基づいて、被検試料中の微生物の細胞数を算出する工程である。
そして、細胞数算出工程は、前述の増幅工程で得た増幅産物の測定結果を予め用意したDNA切断係数で割ることにより、被検試料中の微生物の細胞数を測定することを含む。
このような形態とすることで、微生物中のDNAの切断による測定の誤差を解消することができるため、より精度よく被検試料中の微生物の細胞数を測定することができる。
また、細胞数算出工程は、さらに、増幅産物の測定結果を予め用意した微生物由来のDNA回収率で割ることにより、被検試料中の微生物の細胞数を測定することがより好ましい。
このような形態とすることで、抽出操作による測定の誤差を解消することができるため、より精度よく被検試料中の微生物の細胞数を測定することができる。
また、細胞数算出工程は、さらに、増幅産物の測定結果を予め算出したPCRマスターミックスの反応率で割ることにより、被験試料中の細胞数を算出することがより好ましい。予め算出したPCRマスターミックスの反応率を用いて被験試料中の細胞数を算出することで、増幅工程で反応しないPCRマスターミックスによる測定の誤差を解消することができるため、より精度の高い測定結果を得ることができる。
また、細胞数算出工程は、さらに、増幅産物の測定結果に測定用試料調製までの希釈倍率を乗ずることにより、被験試料中の細胞数を算出することがより好ましい。測定用試料調製までの希釈倍率を用いて被験試料中の細胞数を算出することで、希釈による測定の誤差を解消することができるため、より精度の高い測定結果を得ることができる。
上述のDNA切断係数、微生物由来のDNA回収率、PCRマスターミックスの反応率の三種の係数は、予め算出する。以下、各種係数の算出方法について、説明する。
(A)DNA切断係数
DNA切断係数は、基準試料を用いて、被検試料と同一の操作によりDNAを回収し、基準測定用試料を調製する工程と、
基準測定用試料中の微生物固有のDNAのターゲット領域及び微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物を測定する工程と、
微生物固有のDNAのターゲット領域の増幅産物の測定結果を、微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物の測定結果で割る工程と、によって算出される。
「微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域」としては、例えば、耐熱性タンパク質由来の遺伝子、pheS遺伝子、rpoB遺伝子、及びtuf遺伝子を好ましく挙げることができる。
中でも、微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域は、耐熱性タンパク質由来の遺伝子であることが好ましい。微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域が耐熱性タンパク質由来の遺伝子であることで、熱処理の影響を受けることなく、DNA切断係数を算出することができる。
耐熱性タンパク質由来の遺伝子としては、ヒートショックプロテインを好ましく挙げることができる。中でも、ヒートショックプロテイン60をより好ましく挙げることができる。
なお、基準測定用試料中の前述の微生物固有のDNAのターゲット領域及び微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物を測定する方法は、前述の増幅工程と同様の方法を採ることができる。
ラクトバチルス・パラカゼイ由来のヒートショックプロテイン60を測定対象とする場合には、配列番号4及び配列番号5に示すプライマーセット、配列番号6に示すプローブを用いることができる(表5参照)。
また、ラクトバチルス・パラカゼイ由来のpheS遺伝子を測定対象とする場合には、配列番号8及び配列番号9に示すプライマーセット、配列番号10に示すプローブを用いることができる(表9参照)。
また、ラクトバチルス・パラカゼイ由来のrpoB遺伝子を測定対象とする場合には、配列番号11及び配列番号12に示すプライマーセット、配列番号13に示すプローブを用いることができる(表10参照)。
また、ラクトバチルス・パラカゼイ由来のtuf遺伝子を測定対象とする場合には、配列番号14及び配列番号15に示すプライマーセット、配列番号16に示すプローブを用いることができる(表11参照)。
ここで、微生物固有のDNAのターゲット領域及び微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物を同時に測定することがより好ましい。このような形態とすることで、DNA切断係数を精度よく算出することができるため、被検試料中の微生物の細胞をより精度よく測定することができる。
微生物固有のDNAのターゲット領域及び微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物を同時に測定する方法としては、二種の蛍光標識(例えば、FAM標識とHEX標識)の検出を同時に行う方法を特に好ましく挙げることができる。
(B)微生物由来のDNA回収率
微生物由来のDNA回収率は、
被検試料と同一の処理を受けた基準試料、及び、微生物の細胞を含まない対照試料中のDNAを、被検試料と同一の操作により回収する工程と、
基準試料、及び、対照試料中の総DNA量を測定する総DNA量測定工程と、
基準試料中の総DNA量から対照試料の総DNA量を引くことにより、基準試料中の微生物由来のDNA回収量を算出する工程と、
算出した微生物由来のDNA回収量を、基準試料に添加した微生物の理論添加量で割る工程と、によって算出される。
ここで、DNA量測定工程は、分光光度計を用いて基準試料、及び、対照試料中の総DNA量を測定することが、より好ましい。このような形態とすることで、より精度よく被検試料中の微生物の細胞数を測定することができる。
また、基準試料に添加した微生物の理論添加量としては、微生物1セルあたりの重量の理論値を好ましく挙げることができる。
(C)PCRマスターミックスの反応率
PCRマスターミックスの反応率は、測定対象となる細胞のDNAのターゲット領域を有する人工合成遺伝子を含む試験試料を用いて、被検試料と同一の操作により反応率算出の対象となるPCRマスターミックスを用いてPCR法による増幅を行う工程と、
増幅産物の結果をPCRマスターミックスの反応率を算出する方法と、によって算出される。
また、増幅産物の結果からPCRマスターミックスの反応率を算出する方法としては、増幅産物の測定結果を、試験試料中の人工合成遺伝子濃度で割る方法を好ましく挙げることができる。このような形態とすることで、より精度よく被検試料中の微生物の細胞数を測定することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、熱処理を受けた被検試料中の微生物の細胞数の測定を行った。
(1)DNA回収率の算出
(1-1)DNA回収量算出用試料(基準試料)の調製
表1に示すクリニカル食品と同一の条件で製造したクリニカル食品に、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)菌体をその菌体濃度が2.0×10cells/ml(1.0ng/μl(ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)1cell=5fg での換算 ))となるよう添加し、菌体の添加後0.1%Tween80-PBSを用いて3倍希釈し、DNA回収量算出用試料(基準試料)(菌体濃度5.0×10cells/ml(2.5ng/μl))を調製した。
また、菌体を含まないクリニカル食品を対照試料とした。
そして、DNA回収量算出用試料(基準試料)及び対照試料に対し、同一の条件での加熱処理を施した。
(1-2)DNAの回収
まず、DNA回収量算出用試料(基準試料)1.5mLに対し、冷却遠心処理(8000×G、10分、4℃)を施すことにより上清を除去した。
次に、ジルコニアビーズ(Zr-beads)900mg(直径0.5mmジルコニアビーズ450mg、直径3.0mmジルコニアビーズ450mg)を加え、激しく1分間撹拌することにより、菌体破砕処理を行った。菌体破砕処理後の破砕物から、KURABO DNA extraction Kit(倉敷紡績社)を用いてDNAを抽出し、0.2mlのDNA回収量算出用DNA精製溶液を得た。
また、対照試料に対しても同様の操作を施すことにより、対照DNA精製溶液を得た。
(1-3)DNA回収率の算出
分光光度計を用いて、DNA回収量算出用試料及び対照DNA精製溶液のOD260nm吸光度を測定した。その後、DNA回収量算出用試料のOD260nm吸光度から対照DNA精製溶液のOD260nm吸光度を引くことにより、試料中のラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)のDNA回収量を算出した。
併せて、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)のDNA回収量を理論添加量(2.5ng/μl)で割ることにより、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来のDNAの回収率を算出した。
Figure 0007369115000001
(2)DNA切断係数の算出
(2-1)DNA切断係数算出用測定用試料(基準測定用試料)の調製
DNA回収工程後のDNA精製溶液2μlを表2に示すPCRマスターミックスに加えることで、DNA切断係数算出用測定用試料(基準測定用試料)を調製した。
Figure 0007369115000002
ここで、表2中のcDBC(濃縮ダイレクトコンポーネントの略)は核酸増幅阻害物質の働きを抑制する薬剤である。そしてcDBCは、ウシ血清アルブミン(シグマ社、以下、BSAと表記)、クエン酸三ナトリウム2水和物(関東化学社、以下、TSCと表記)、塩化マグネシウム6水和物(ナカライテスク社、以下、MgClと表記)、卵白リゾチーム(和光純薬、以下、単にリゾチームと表記)、Brij58(登録商標:シグマ社)を、表3に示す濃度となるように混合することにより、調製することができる。
Figure 0007369115000003
また、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)16SrDNA遺伝子(微生物固有のDNAのターゲット領域)を測定するために使用したフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにTaqMan(登録商標)プローブの配列を表4に示す。
Figure 0007369115000004
また、ヒートショックプロテイン60遺伝子(微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域)を測定するために使用したフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにTaqMan(登録商標)プローブの配列を表5に示す。
Figure 0007369115000005
(2-2)微生物固有のDNAのターゲット領域、及び微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅
調製したDNA切断係数算出用測定用試料(基準測定用試料)を、QuantStudio(登録商標)3D Digital PCR 20K Chip Kit v2(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)のチップ中の各ウェル(およそ18,000ウェル)に、専用のローダーを用いて865pLずつ分注した。分注後、デジタルPCR装置(QuantStudio(登録商標) 3D Digital PCR System、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、表6に示すPCRサーマルサイクル条件により、デジタルPCRを実施した。二種の蛍光標識(FAM標識とHEX標識)の検出を同時に行うことにより、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)16SrDNA遺伝子(微生物固有のDNAのターゲット領域)及び、ヒートショックプロテイン60遺伝子(微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域)の増幅産物の有無の確認を行った。
Figure 0007369115000006
測定結果を表7に示す。また、測定したラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)16SrDNA量をhsp60遺伝子量で割ることにより、DNA切断係数を算出した。DNA切断係数を表7に示す。
Figure 0007369115000007
表7のとおり、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)16SrDNA遺伝子(微生物固有のDNAのターゲット領域)の測定結果をヒートショックプロテイン60遺伝子(微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域)の測定結果を割ることで、DNA切断係数を算出した。
(3)cDBCを含むPCRマスターミックスの反応率の算出
次に、cDBCを含むPCRマスターミックスを用いてPCRを行った場合の、該PCRマスターミックスの反応率の算出を行った。
(3-1)試験溶液の調製
(hsp60遺伝子)TTTTT(phesS遺伝子)TTTTT(rpoB遺伝子)TTTTT(tuf遺伝子)TTTTT(ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)16SrDNA特異領域)を人工的に連結した人工合成遺伝子連結体gBlocks (Integrated DNA Technologes 製 配列番号7、及び、表8 参照)をTEバッファーを用いて表12に示す濃度となるよう希釈し、試験溶液を調製した。
Figure 0007369115000008
(3-2)cDBCを含むPCRマスターミックスの反応率の算出
前述の増幅産物の測定と同様の方法により、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)16SrDNA量及びhsp60遺伝子量を測定した。測定した値を基に、表2のPCRマスターミックスの反応率を算出した。
結果を表12に示す。なお、対照として、cDBCを含むPCRマスターミックス中(表2 参照)のcDBCを蒸留水に置換したPCRマスターミックス(cDBC非含有PCRマスターミックス)についても測定を行った。
なお、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)pheS遺伝子(微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域)を測定する場合に使用することのできるフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにプローブの配列を表9に示す。
Figure 0007369115000009
また、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)rpoB遺伝子(微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域)を測定する場合に使用することのできるフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにプローブの配列を表10に示す。
Figure 0007369115000010
また、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)tuf遺伝子(微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域)を測定する場合に使用することのできるフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにプローブの配列を表11に示す。
Figure 0007369115000011
Figure 0007369115000012
表12の反応率の結果から、cDBCを含むPCRマスターミックスは、その反応率が高いことがわかった。そして、cDBCを含むPCRマスターミックスを用いることで、PCRによる測定(検出)限界が優れるものとなるため、より精度よく細胞数の測定をすることができることがわかった。
(4)細胞数の測定
次に、上述の結果を用いて被験試料中の細胞数の測定を行った。
(4-1)被検試料の調製
表2に示すクリニカル食品と同一の条件で製造したクリニカル食品に、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)菌体をその菌体濃度が2.0×10cells/ml(1.0ng/μl(ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)1cell=5fg での換算 ))となるよう添加し、菌体の添加後0.1%Tween80-PBSを用いて3倍希釈し、被検試料を調製した。
その後、DNA回収量算出用試料(基準試料)と同一の条件での加熱処理を施した。
(4-2)DNAの回収
まず、被検試料(1.5mL)に対してDNAの抽出操作を行うことにより、被験試料中のDNA(0.2mL)の回収を行った。ここで、DNAの抽出は、前述の(1-2)と同様の方法により行った。
(4-3)被検測定用試料の調製
次に、回収したDNAを含む被検測定用試料の調製を行った。ここで、被検測定用試料の調製は、前述の(2-1)と同様の方法により行った。
(4-4)微生物固有のDNAのターゲット領域の増幅及び、細胞数の算出
被検測定用試料を用いて、微生物固有のDNAのターゲット領域の増幅を行った。微生物固有のDNAのターゲット領域の増幅は、前述の(2-2)と同様の方法により行った。
(4-5)細胞数の算出
増幅産物の測定結果から得たラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)固有のDNAのターゲット領域の測定結果を、測定したDNA切断係数と、測定したラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来のDNAの回収率と、cDBCを含むPCRマスターミックスの反応率とで割り、かつ測定用試料調製までの希釈倍率を乗じることで、微生物中のDNAの切断による測定の誤差と、抽出操作による測定の誤差と、増幅工程で反応しないPCRマスターミックスによる測定の誤差と、希釈による測定の誤差と、を解消させ、被検試料中のラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の高精度な細胞数の値を算出した。
本発明は、出荷、受け入れ、検査の過程でのさまざまな処理、例えば熱処理等を受けた被検試料中の微生物の細胞数の測定に応用することができる。

Claims (7)

  1. 被検試料中の微生物の細胞数を測定する方法であって、
    前記微生物の細胞を含む前記被検試料に対してDNAの抽出操作を行うことにより、当該被検試料に含まれるDNAを回収するDNA回収工程と、
    前記DNA回収工程で回収したDNAを含む被検測定用試料を調製する調製工程と、
    前記被検測定用試料中の前記微生物固有のDNAのターゲット領域をデジタルPCR法により増幅させる増幅工程と、
    前記増幅工程で得た測定結果に基づいて、前記被検試料中の前記微生物の細胞数を算出する細胞数算出工程と、
    を有し、
    前記細胞数算出工程は、
    前記増幅産物の測定結果を予め用意したDNA切断係数で割ることにより、前記被検試料中の前記微生物の細胞数を測定することを含み、
    前記DNA切断係数は以下の工程によって算出されることを特徴とする、方法:
    前記DNA切断係数は、
    被検試料と同一の処理を受けた基準試料を用いて、被検試料と同一の操作によりDNAを回収し、基準測定用試料を調製する工程と、
    基準測定用試料中の前記微生物固有のDNAのターゲット領域及び前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物を測定する工程と、
    前記微生物固有のDNAのターゲット領域の増幅産物の測定結果を、前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域の増幅産物の測定結果で割る工程と、によって算出され、
    前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域は、耐熱性タンパク質をコードする遺伝子、pheS遺伝子、rpoB遺伝子、及びtuf遺伝子からなる群から選択されるいずれかの遺伝子のターゲット領域であることを特徴とする。
  2. 前記微生物の細胞の単体が単一で備える遺伝子のターゲット領域が、耐熱性タンパク質をコードする遺伝子であり、
    前記耐熱性タンパク質は、ヒートショックプロテインであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヒートショックプロテインは、ヒートショックプロテイン60であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記基準試料が、被検試料と同じ条件のもとに製造された製品において、製造、出荷、受け入れ、検査等で受けた処理、熱処理の条件が実質的に同一な試料である、請求項1~3何れか一項に記載の方法。
  5. 前記細胞数算出工程は、さらに、前記増幅産物の測定結果を予め用意した前記微生物由来のDNA回収率で割ることにより、前記被検試料中の前記微生物の細胞数を測定することを含み、
    前記DNA回収率は以下の工程によって算出されることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法:
    被検試料と同一の処理を受けた基準試料、及び、微生物の細胞を含まない対照試料中のDNAを、被検試料と同一の操作により回収する工程と、
    前記基準試料、及び、前記対照試料中の総DNA量を測定する総DNA量測定工程と、
    前記基準試料中の総DNA量から前記対照試料の総DNA量を引くことにより、前記基準試料中の前記微生物由来のDNA回収量を算出する工程と、
    算出した前記微生物由来のDNA回収量を、前記基準試料に添加した前記微生物の理論添加量で割る工程。
  6. 前記総DNA量測定工程は、分光光度計を用いて前記基準試料、及び、前記対照試料中の総DNA量を測定することを含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記細胞が生細胞である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
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