JP2015035891A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷へ電力を供給する電力変換装置の変換効率向上と電流高調波抑制機能の両立とを図る。【解決手段】コントローラは、電力変換回路を流れる回路電流と交流電源の電圧とに基づいて、パルス信号を第1のスイッチと第2のスイッチとに出力する。第1のスイッチは、第2のスイッチと交互に開閉する。この開閉により、電力変換回路には、交流電源の低周波成分に高周波成分が混在した電流が流れる。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、交流電源から得られる交流電圧を直流電圧に変換して負荷へ電力を供給する電力変換装置に関する。
交流電圧を直流電圧に変換する方法として、次の2つの方法が一般的に知られている。
第1の方法は、ダイオードブリッジ回路と平滑コンデンサとを用いる。ダイオードブリッジ回路は、交流電源からの交流を全波整流する。平滑コンデンサは、全波整流後の直流を平滑する。
この第1の方法は、交流電圧が正または負のいずれの場合においても、常に2つのダイオードの直列回路を電流が流れる。このとき、2つのダイオードでは、それぞれダイオードを流れる電流とダイオードの順方向電圧との積に相当する電力損失が発生する。
第2の方法は、第1の方法のダイオードブリッジ回路と平滑コンデンサとの間に力率改善コンバータ(PFC)を介在させる。力率改善コンバータは、ダイオードブリッジ回路で全波整流された直流の電圧を昇圧する。
この第2の方法も、全波整流の際に2つのダイオードの直列回路を電流が流れるため、電力損失が発生する。それに加えて、力率改善コンバータを構成する電界効果トランジスタ(FET)とダイオードに交互に電流が流れるため、さらなる損失が生じる。
また、力率改善コンバータは、入力電流の波形を正弦波にする必要上、出力電圧を入力電圧よりも高く設定しなければならない。ところが、負荷で必要な電圧は、必ずしも入力電圧より高い電圧であるとは限らない。その場合は、力率改善コンバータの後段に降圧コンバータを接続する。そして、力率改善コンバータで昇圧された電圧を所望の電圧まで降圧する。この降圧の際にも損失が発生する。電力変換装置全体としては、AC-DC変換、DC-DC(昇圧)変換、DC-DC(降圧)変換の3段の構成になり、電力損失はこれらの積となって現れる。例えば、一段あたりの効率0.95とした場合、3段では、0.95×0.95×0.95=0.86となる。つまり、効率95%の優れた変換であっても3段接続では86%まで落ちてしまう。このように、個々の変換効率は良くても、多段にすることで変換効率は著しく低下する。
昨今、巷では電子機器の省電力化要求が高まっている。また同時に、外部環境に悪影響を及ぼさないように電流高調波ノイズを出さないことも必須の条件である。このため、負荷へ電力を供給する電力変換装置の変換効率向上と電流高調波抑制機能の両立とが求められている。
特開2007−110869号公報 特開2008−295248号公報
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、負荷へ電力を供給する電力変換装置の変換効率向上と電流高調波抑制機能の両立とを図ることにある。
一実施形態において、電力変換装置は、電力変換回路と、回路電流検出手段と、電源電圧検出手段と、制御手段とを含む。
電力変換回路は、第1のスイッチと第2のスイッチとを直列に接続するとともに、第1のコンデンサと第2のコンデンサとを直列に接続し、前記第1のスイッチと前記第1のコンデンサ及び前記第2のスイッチと前記第2のコンデンサをそれぞれ接続して閉ループを形成し、さらに前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの接続点と前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点との間を、交流電源,ローパスフィルタ、インダクタ及び負荷の直列回路で接続するとともに、前記交流電源と前記ローパスフィルタとをバイパスする経路を備える。
回路電流検出手段は、前記電力変換回路を流れる回路電流を検出する。
電源電圧検出手段は、前記交流電源の電圧を検出する。
制御手段は、前記回路電流検出手段により検出される回路電流と前記電源電圧検出手段により検出される電源電圧とに基づいて、前記交流電源の低周波成分に高周波成分が混在した電流が前記電力変換回路を流れるように前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとを交互に開閉させるためのパルス信号を前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとに出力する。
第1の実施形態における電力変換装置の回路構成図。 第1の実施形態において、電力変換回路を流れる主要な電流の波形図。 第1の実施形態において、エンベロープ生成手順の説明に用いる波形図。 第1の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第1の実施形態において、コントローラの動作説明に用いる波形図。 第2の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第2の実施形態において、コントローラの動作説明に用いる波形図。 第3の実施形態における電力変換装置の回路構成図。 第3の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第3の実施形態において、電力変換装置の作用説明に用いる波形図。 第4の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第4の実施形態において、電力変換装置の作用説明に用いる波形図。 第5の実施形態における電力変換装置の回路構成図。 第5の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第6の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第6の実施形態において、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの容量電圧にアンバランスが生じた例を示す波形図。 第6の実施形態において、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの容量電圧にアンバランスが生じた際の補償手順を説明するのに用いる波形図。 第6の実施形態において、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの容量電圧にアンバランスが生じた際の補償手順を説明するのに用いる波形図。 第7の実施形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図。 第7の実施形態において、コントローラの動作説明に用いる波形図。
以下、電力変換装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における電力変換装置1-1の回路構成図である。電力変換装置1-1は、電力変換回路11-1とそのコントローラ(制御手段)12-1とを備える。
電力変換回路11-1は、第1及び第2の半導体スイッチ(以下、単にスイッチと称する)S1,S2と、第1及び第2の平滑コンデンサ(以下、単にコンデンサと称する)C1,C2と、インダクタL1と、ローパスフィルタLPFと、ハイパスフィルタHPFとを含む。第1及び第2のスイッチS1,S2は、いずれもN型チャネルのMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)を使用する。
電力変換回路11-1は、第1のスイッチS1のソース端子を第2のスイッチS2のドレイン端子に接続する。また、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とを直列に接続する。さらに、第1のコンデンサC1の前記第2のコンデンサC2とは接続されていない側の端子を前記第1のスイッチのドレイン端子に接続し、第2のコンデンサC2の前記第1のコンデンサC1とは接続されていない側の端子を前記第2のスイッチのソース端子に接続する。
電力変換回路11-1は、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2との接続点に交流電源Eを接続し、この交流電源Eに対して直列にローパスフィルタLPFを接続する。さらに、ローパスフィルタLPFに対して直列に負荷Mを接続し、この負荷Mを第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との接続点に接続する。また電力変換回路11は、交流電源EとローパスフィルタLPFとの直列回路に対して並列にハイパスフィルタHPFを接続する。
かくして電力変換回路11-1は、交流電源E及びローパスフィルタLPFの直列回路とハイパスフィルタHPFとの並列回路と、インダクタL1と、負荷Mと、第1のコンデンサC1と、第1のスイッチS1とからなる第1の閉ループ回路111と、同並列回路と、インダクタL1と、負荷Mと、第2のコンデンサC2と、第2のスイッチS2とからなる第2の閉ループ回路112とを形成する。
電力変換装置1-1は、電力変換回路11-1の回路電流Isを検出する回路電流検出ユニット(回路電流検出手段)13と、電力変換回路11-1の電源電圧Vinを検出する電源電圧検出ユニット(電源電圧検出手段)14とを含む。回路電流検出ユニット13は、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2との接続点と、交流電源EとハイパスフィルタHPFとの接続点との間に介挿され、第1及び第2の閉ループ回路111,112を流れる回路電流Isを検出する。電源電圧検出ユニット14は、交流電源Eに対して並列に接続されており、交流電源Eの電圧Vinを検出する。
回路電流検出ユニット13は、検出した回路電流Isをコントローラ12-1に与える。電源電圧検出ユニット14も、検出した電源電圧Vinをコントローラ12-1に与える。
コントローラ12-1は、回路電流Isと電源電圧Vinとに基づいて、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とをスイッチング動作させるための第1及び第2のパルス信号P1,P2を生成する。そしてコントローラ12-1は、第1のパルス信号P1を第1のスイッチS1のゲート端子に供給し、第2のパルス信号P2を第2のスイッチS2のゲート端子に供給する。
第1のスイッチS1は、ゲート端子に第1のパルス信号P1が供給されている間、導通する。第1のスイッチS1が導通すると、第1の閉ループ回路111を回路電流Isが流れる。第2のスイッチS2は、ゲート端子に第2のパルス信号P2が供給されている間、導通する。第2のスイッチS2が導通すると、第2の閉ループ回路112を回路電流Isが流れる。
本実施形態では、100V[ボルト]で50Hz[ヘルツ]の商用電源を交流電源Eとして使用する。そしてこの交流電源Eが生じる50Hzの回路電流Isに100KHzの高周波成分が混在するように、コントローラ12-1は、第1のパルス信号P1と第2のパルス信号P2とを生成する。
図2は、電力変換回路11-1を流れる主要な電流の波形図である。同図において、波形Waは、回路電流検出ユニット13で検出される回路電流Isを示す。波形Wbは、ローパスフィルタLPFを通過する電流を示す。波形Wcは、ハイパスフィルタHPFを通過する電流を示す。図示するように、回路電流Isは、ローパスフィルタLPFを通過する低周波成分(50Hz)の電流と、ハイパスフィルタHPFを通過する高周波成分(100KHz)の電流とが混在する。そして前記並列回路の交流電源E側には、ローパスフィルタLPFの作用により、低周波成分(50Hz)の電流のみが通過する。一方、ハイパスフィルタHPF側には、該ハイパスフィルタHPFの作用により、高周波成分(100KHz)の電流のみが通過する。かくして、電力変換回路11の全体では、これら2種類の周波数が異なる交流が混在して動作する。
高周波成分(100KHz)の電流は、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とを交互に高速で開閉させることによって得られる。そのためには、回路電流Isのピークを規定する正負一対の正弦波状のエンベロープを生成し、これらエンベロープの間で電流の向きが切り替わるように、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とを交互にスイッチングさせればよい。この手順について、図3を用いて説明する。
図3の波形Wdは、電源電圧Vinを示す。交流電源Eの場合、電源電圧Vinは、正弦波状に変化する。交流電源Eが100Vの商用電源の場合、電源電圧検出ユニット14で検出される電源電圧Vinの波形は、波形Waに示すように正のピーク値が141Vで、負のピーク値が−141Vの正弦波となる。そこで本実施形態では、電源電圧Vinの波形を基に正弦波状のエンベロープを作成する。
ここで、電力変換装置1-1は、100Vの交流電源Eから200W[ワット]の電力を負荷Mに供給するものと仮定する。この場合、電源電圧は、100Vである。したがって、この電源電圧と等しい周期の正弦波状で2A[アンペア]の入力電流が得られれば、100Vの交流電源Eから200W[ワット]の電力を負荷Mに供給できる。
図3の波形Weは、電源電圧と等しい周期の正弦波状で2Aの電流波形を示す。図示するように、この波形の正のピーク値は2.82Aとなり、負のピーク値は−2.82Aとなる。すなわち、電源電圧Vinに対して係数k=0.02を乗算した値が目標となる電流値Itとなる。
図3の波形Wfは、回路電流Isの向きが切り替わる基準として必要な正弦波状のエンベロープ(電流ピーク目標値)を示す。エンベロープには、正の回路電流Isの向きが切り替わる基準を決定する正のエンベロープ+eと、負の回路電流Isの向きが切り替わる基準を決定する負のエンベロープ−eとがある。正のエンベロープ+eは、目標となる電流値Itに対して幅dを加算することで生成される。負のエンベロープ−eは、目標となる電流値Itに対して幅dを減算することで生成される。幅dは、正(負)のエンベロープ+e(−e)の負(正)のピーク値に対して若干のマージンを加えた値とする。その理由は、電流値が負(正)のピークのときに正(負)側にエンベロープを残すためである。
波形Weは、正のピーク値が2.82Aであり、負のピーク値が−2.82Aである。この波形Weを目標となる電流値Itとすると、幅dは例えば“3”とする。そうすることにより、電流が負側のピークのとき、正のエンベロープ+eは0.18(=−2.82+3)となって、正の領域にエンベロープ+eを維持できる。同様に、電流が正側のピークのとき、負のエンベロープ−eは−0.18(=2.82−3)となって、負の領域にエンベロープ−eを維持できる。
コントローラ12-1は、回路電流Isが正のエンベロープ+eに達したときと負のエンベロープ−eに達したときに、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2との開閉が逆になるように、第1のパルス信号P1と第2のパルス信号P2とを生成する。そうすると、回路電流Isは、波形Wgに示すように、電源電圧と等しい周期の低周波成分(50Hz)に、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2との開閉により生じる高周波成分(100KHz)が混在したものとなる。なお、高周波成分の周波数は、固定ではなく、あくまで正負のエンベロープ+e,−eによって決まる。
図4は、コントローラ12-1の具体的構成を示すブロック図である。コントローラ12-1は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124及びラッチ回路125を備える。
電流目標値決定部121は、電源電圧検出ユニット14で検出される電源電圧Vinの信号を入力とし、この信号に対して所定の係数kを乗算して、目標となる電流値Itを決定する。そして電流目標値決定部121は、この電流値Itに相当する信号をエンベロープ生成部122に供給する(決定手段)。
エンベロープ生成部122は、電流値Itに相当する信号に幅dを加算して正のエンベロープ+eを生成する。またエンベロープ生成部122は、電流値Itに相当する信号から幅dを減算して負のエンベロープ−eを生成する。そしてエンベロープ生成部122は、正のエンベロープ+eに相当する信号を上判定部123の第1の入力端子に供給し、負のエンベロープ−eに相当する信号を下判定部124の第1の入力端子に供給する(エンベロープ生成手段)。
上判定部123及び下判定部124の各第2の入力端子には、回路電流検出ユニット13で検出される回路電流Isの信号がそれぞれ供給される。上判定部123は、エンベロープ間、つまりは正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの間を上昇する回路電流Isが正のエンベロープ+eに接したか否かを判定するもので、接したことを検知する毎にトリガ信号Tr1をラッチ回路125の第1の入力端子に供給する。下判定部124は、上記エンベロープ間を下降する回路電流Isが負のエンベロープ−eに接したか否かを判定するもので、接したことを検知する毎にトリガ信号Tr2をラッチ回路125の第2の入力端子に供給する(判定手段)。
ラッチ回路125は、第1の入力端子にトリガ信号Tr1が入力された場合に、第1のパルス信号P1を“0”、第2のパルス信号P2を“1”の状態に保持する。また、ラッチ回路125は、第2の入力端子にトリガ信号Tr2が入力された場合に、第1のパルス信号P1を“1”、第2のパルス信号P2を“0”の状態に保持する(パルス生成手段)。
図5は、コントローラ12-1の動作を説明するための信号波形図である。波形Whは、エンベロープ生成部122で生成される正のエンベロープ+e及び負のエンベロープ−eと、回路電流Isとの関係を拡大して示す。波形Wiは、上判定部123から出力されるトリガ信号Tr1を示す。波形Wjは、下判定部124から出力されるトリガ信号Tr2を示す。波形Wkは、ラッチ回路125から出力される第1のパルス信号P1を示す。波形Wlは、ラッチ回路125から出力される第2のパルス信号P2を示す。
図5に示すように、エンベロープ間を変動する回路電流Isが正のエンベロープ+eに接すると(時点t1,t3,t5,t7,t9)、第1のトリガ信号Tr1が出力される。そうすると、第1のパルス信号P1が“0”となり、第2のパルス信号P2が“1”となって、その状態が保持される。その結果、第2のスイッチS2が閉塞し、第1のスイッチS1が開放するので、回路電流Isは減少に転じる。
その後、回路電流Isが負のエンベロープ−eに接すると(時点t2,t4,t6,t8)、第2のトリガ信号Tr2が出力される。そうすると、第1のパルス信号P1が“1”となり、第2のパルス信号P2が“0”となって、その状態が保持される。その結果、第1のスイッチS1が閉塞し、第2のスイッチS2が開放するので、回路電流Isは上昇に転じる。
かくして回路電流Isは、エンベロープ間を折り返して上昇と下降を繰り返す。そして、回路電流Isが折返す都度、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とが交互に切り替わる。その結果、交流電源Eの低周波成分(50Hz)に高周波成分((100KHz)が混在した回路電流Isが電力変換回路11-1に流れて、負荷Mに供給される。このとき交流電源Eには、ローパスフィルタLPFを通過した低周波成分のみが流れるので、外部に高周波成分が漏れることはない。
このように第1の実施形態によれば、簡単な回路構成の電力変換回路11-1と、簡素な機能構成のコントローラ12-1とによって、電源電圧波形と同じ正弦波状の電流波形を生成することができる。電源電圧波形と同じ正弦波状の電流波形を生成できるということは、電流高調波の抑制機能が備わっていることを意味する。つまり、低コストで電流高調波の抑制機能が備わった電力変換装置1を提供できるので、産業上、大変有益である。
また、負荷Mを駆動するインバータとしてみた場合、たった1段で交流電源Eから高周波交流への変換が可能であり、しかも、その高周波交流への幅が電源電圧の低周波位相にも拘らず常に一定とすることができる。このように、1段で変換できることは極めて高効率の電力変換ができることを意味しており、産業的な効果は絶大である。しかも、負荷Mに対して一定の電力を供給可能であるから、回路が簡素であっても安定した動作を実現できる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、第1のパルス信号P1と第2のパルス信号P2とが同時に切り替わるため、切替の瞬間に第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とが同時にオンする危険性がある。この危険性を回避するために、第2の実施形態は、第1のパルス信号P1と第2のパルス信号P2とを切り替える際に遅延時間(デッドタイム)Δtを設けて、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とが同時にオンしないようにする。
図6は、第2の実施形態における電力変換装置1-2のコントローラ12-2の具体的構成を示すブロック図である。第1の実施形態のコントローラ12-1と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。また、電力変換回路11-2については、第1の実施形態と同一なので、ここでの説明は省略する。
コントローラ12-2は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124及びラッチ回路125に加えて、デッドタイム生成部126を備える。デッドタイム生成部126は、ラッチ回路125から出力されるパルス信号P0を入力とする。そしてデッドタイム生成部126は、このパルス信号P0に応じて、第1のパルス信号P1と第2のパルス信号P2とを生成し、第1,第2のスイッチS1,S2にそれぞれ供給する。
図7は、デッドタイム生成部126の動作を説明するための信号波形図である。波形Wmは、上判定部123から出力されるトリガ信号Tr1を示す。波形Wnは、下判定部124から出力されるトリガ信号Tr2を示す。波形Woは、ラッチ回路125から出力されるパルス信号P0を示す。波形Wpは、デッドタイム生成部126から出力される第1のパルス信号P1を示す。波形Wqは、デッドタイム生成部126から出力される第2のパルス信号P2を示す。
図7に示すように、ラッチ回路125は、トリガ信号Tr2が入力されると、パルス信号P0を“1”としてその状態を保持する。またラッチ回路125は、トリガ信号Tr1が入力されると、パルス信号P0を“0”としてその状態を保持する。
デッドタイム生成部126は、パルス信号P0が“1”になると、第2のパルス信号P2を“0”としてその状態を保持する。そしてパルス信号P2を“0”にしてから所定の遅延時間Δtが経過すると、デッドタイム生成部126は、第1のパルス信号P1を“1”にしてその状態を保持する。また、デッドタイム生成部126は、パルス信号P0が“0”になると、第1のパルス信号P1を“0”にしてその状態を保持する。そしてパルス信号P0を“0”にしてから所定の遅延時間Δtが経過すると、デッドタイム生成部126は、第2のパルス信号P2を“1”としてその状態を保持する。ここに、パルス生成手段は、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とが同時に切り替わらないように、第1のスイッチS1に対するパルス信号P1と第2のスイッチS2に対するパルス信号P2との出力タイミングをずらす遅延手段をさらに含む。
このように第2の実施形態によれば、デッドタイム生成部126の作用により、第1のパルス信号P1と第2のパルス信号P2とが同時に切り替わることはない。したがって、第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とが同時にオンする危険性を回避できる。その他、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を奏することは言うまでもない。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。なお、この第3の実施形態において、第2の実施形態と同一する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図8は、第3の実施形態における電力変換装置1-3の回路構成図である。電力変換装置1-3は、電力変換回路11-3とそのコントローラ12-3とを備える。電力変換回路11-3は、第2の実施形態の電力変換回路11-2に、第1の容量電圧検出ユニット15と第2の容量電圧検出ユニット16とを追加する。
第1の容量電圧検出ユニット15は、第1のコンデンサC1の両端に生じる電位差を容量電圧Vc1として検出する(第1の容量電圧検出手段)。第2の容量電圧検出ユニット16は、第2のコンデンサC2の両端に生じる電位差を容量電圧Vc2として検出する(第2の容量電圧検出手段)。第1及び第2の容量電圧検出ユニット15,16は、検出した容量電圧Vc1,Vc2をそれぞれコントローラ12-1に与える。
コントローラ12-3は、回路電流Is及び電源電圧Vinと各容量電圧Vc1,Vc2とに基づいて、第1及び第2のパルス信号P1,P2を生成する。そしてコントローラ12-3は、第1のパルス信号P1を第1のスイッチS1に供給し、第2のパルス信号P2を第2のスイッチS2に供給する。
図9は、コントローラ12-3の具体的構成を示すブロック図である。コントローラ12-3は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124、ラッチ回路125及びデッドタイム生成部126に加えて、容量電圧負帰還部127を備える。
容量電圧負帰還部127は、電流目標値決定部121で使用する係数kを設定する。すなわち容量電圧負帰還部127は、第1の容量電圧検出ユニット15で検出される第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1と、第2の容量電圧検出ユニット16で検出される第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2とを入力する。そして容量電圧負帰還部127は、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2とを加算した総容量電圧Vc1+Vc2が第1のしきい値SH1よりも高いか低いかを判定し、高い場合には、係数kを第1の値k1に設定する。これに対し、容量電圧が第1のしきい値SH1よりも低い第2のしきい値SH2よりも低い場合には、容量電圧負帰還部127は、係数kを前記第1の値k1よりも小さい第2の値k2に設定する(容量電圧負帰還手段)。
電流目標値決定部121は、電源電圧検出ユニット14で検出される電源電圧Vinの信号を入力とし、この信号に対して上記係数k(k1またはk2)を乗算して、目標となる電流値Itを決定する。
図10は、電力変換装置1-3の作用説明に用いる波形図である。図10において、波形Wrは、回路電流検出ユニット13で検出される回路電流Isを示す。回路電流Isは、電源電圧と等しい周期の低周波成分(50Hz)に、第1のスイッチS1及び第2のスイッチS2の開閉により生じる高周波成分(100Hz)が混在したものである。
波形Wsは、上記回路電流Isに対してローパスフィルタLPFを通過した後の交流電源E側に流れる電流を示している。ローパスフィルタLPFで高周波成分が除去されるため、交流電源Eには50Hzの低周波成分のみの電流が流れる。
このような動作環境において、入力電力を増減したい場合、電源電圧Vinは共通であるため入力電流Iinを増減すればよい。入力電流Iinを増減させるためには、第1の実施形態で示した電源電圧Vinの波形に係数kを掛けて目標となる電流値Itを決定する過程において、係数kを変化させればよい。例えば、波形Wsを目標となる電流値Itとし、この電流値Itのピークが2.82Aだとすると、入力電流Iinを増やすにはピークが例えば2.9になるように係数kを大きくする。逆に、入力電流Iinを減らすにはピークが例えば2.7Aになるように係数kを小さくする。
波形Wtは、係数kが小さい場合であり、50Hzの低周波成分のうねり具合は小さい。しかし、幅dで決まるエンベロープ間の間隔は不変なので、この間を往復する高周波成分(100KHz)のスイッチング周波数は殆ど影響を受けない。スイッチング周波数が変わらなければ、インバータとして駆動される負荷Mでの消費電力は殆ど変わらない。すなわち、出力電力は変わらずに入力電力のみが減少する。このため、やがて入力電力<出力電力の関係になる。そうなると、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2の電荷を消費する。すなわち、総容量電圧Vc1+Vc2が減少する。
そこで容量電圧負帰還部127は、総容量電圧Vc1+Vc2が第2のしきい値SH2よりも低くなると、係数kを第1の値k1に設定する。その結果、目標となる電流値Itのうねり具合が大きくなるので、入力電流Iinが増大する。
波形Wuは、係数kが大きい場合であり、50Hzの低周波成分のうねり具合は大きい。しかし、幅dで決まるエンベロープ間の間隔は不変なので、この間を往復する高周波成分(100KHz)のスイッチング周波数は殆ど影響を受けない。スイッチング周波数が変わらなければ、インバータとして駆動される負荷Mでの消費電力は殆ど変わらない。すなわち、出力電力は変わらずに入力電力のみが増加する。このため、やがて入力電力>出力電力の関係になる。そうなると、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2に電荷が蓄積される。すなわち総容量電圧Vc1+Vc2が増加する。
そこで容量電圧負帰還部127は、総容量電圧Vc1+Vc2が第1のしきい値SH1(SH1>SH2)よりも高くなると、係数kを第2の値k2(k2<k1)に設定する。その結果、目標となる電流値Itのうねり具合が小さくなるので、入力電流Iinが減少する。
このように、第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1と第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2とを加算した総容量電圧Vc1+Vc2は、入力電力と出力電力、すなわち負荷Mでの消費電力とのバランス関係で変動する。通常、負荷Mのインピーダンスは変化するので消費電力は随時変動し、この変動に追従して総容量電圧Vc1+Vc2も変動する。
第3の実施形態においては、このような総容量電圧Vc1+Vc2を回路電流Isの目標値を決定する際の係数kに負帰還する。具体的には、総容量電圧Vc1+Vc2が高ければ係数kを小さくして、回路電流Isの目標値を低くする。逆に、総容量電圧Vc1+Vc2が低ければ係数kを大きくして、回路電流Isの目標値を高くする。こうすることにより、負荷Mのインピーダンスが変化しても総容量電圧Vc1+Vc2を安定に維持できる。
このように第3の実施形態によれば、出力電力(負荷Mの消費電力)と切り離して入力電力のみを制御することができる。したがって、簡素な構成ながら制御性に優れた電力変換装置1-3を提供できる。構造が簡素でかつ制御しやすいことは、産業上、大変有益である。
なお、この第3の実施形態において、第1のしきい値SH1と第2のしきい値SH2との関係を[SH1>SH2]としたが、[SH1=SH2]としてもよい。
また、この第3の実施形態では、第2の実施形態のコントローラ12−2に容量電圧負帰還部127を設けたが、第1の実施形態のコントローラ12-1に容量電圧負帰還部127を設けてもよい。その場合も、第3の実施形態で説明した作用効果を奏することができる。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。第3の実施形態では、出力電力(負荷Mの消費電力)と切り離して入力電力を制御する場合を示した。第4の実施形態では、さらに入力電流Iin(交流電源Eに流れる電流)と切り離して出力電流Iout(負荷Mを流れる電流)を制御する場合を示す。なお、この第4の実施形態において、第3の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
第4の実施形態の電力変換装置1-4は、電力変換回路11-4とそのコントローラ12-4とを備える。電力変換回路11-4は、第3の実施形態における電力変換回路11-3と同一の構成である。
図11は、コントローラ12-4の具体的構成を示すブロック図である。コントローラ12-4は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124、ラッチ回路125、デッドタイム生成部126及び容量電圧負帰還部127に加えて、回路電流負帰還部128を備える。
回路電流負帰還部128は、回路電流Isを入力とする。そして回路電流負帰還部128は、回路電流Isが第3のしきい値SH3より多い場合には係数jを“1”より小さい値j1に設定する。これに対し、回路電流Isが第3のしきい値SH3よりも小さい第4のしきい値SH4より少ない場合には、回路電流負帰還部128は、係数jを“1”より大きい値j2にする。回路電流負帰還部128は、係数jをエンベロープ生成部122に与える。ここに、コントローラ12-4からなる制御手段は、回路電流の値に基づいて正側エンベロープと負側エンベロープとの間隔を調整する回路電流負帰還手段をさらに備える。
エンベロープ生成部122は、予め設定された幅dに係数jを乗算して積jdを求める。そしてエンベロープ生成部122は、目標となる電流値Itに相当する信号に積jdを加算して正のエンベロープ+eを生成する。またエンベロープ生成部122は、上記電流値Itに相当する信号から積jdを減算して負のエンベロープ−eを生成する。そしてエンベロープ生成部122は、正のエンベロープ+eに相当する信号を上判定部123の第1の入力端子に供給し、負のエンベロープ−eに相当する信号を下判定部124の第1の入力端子に供給する。
上判定部123,下判定部124、ラッチ回路125及びデッドタイム生成部126の動作は、第3の実施形態と同一である。
図12は、電力変換装置1-4の作用を説明するための波形図である。図12において、波形Wvは、回路電流検出ユニット13で検出される回路電流Isを示す。回路電流Isは、電源電圧と等しい周期の低周波成分(50Hz)に、第1のスイッチS1及び第2のスイッチS2の開閉により生じる高周波成分(100KHz)が混在したものである。
波形Wwは、上記回路電流Isに対してローパスフィルタLPFを通過した後の交流電源E側に流れる電流を示す。ローパスフィルタLPFで高周波成分が除去されるため、交流電源Eには50Hzの低周波成分のみの電流が流れる。
このような動作環境において、負荷Mに供給される電流、いわゆる出力電流Ioutを減少させたい場合、つまり回路電流Isが増加した場合には、回路電流負帰還部128は、係数jを“1”より小さい値j1に設定する。そうすると、波形Wxに示すように、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの間隔が狭くなる。エンベロープ間の間隔が狭くなると、この間隔内を回路電流Isが往復するように制御が働くため、回路電流Isが減少する。また同時に、回路電流Isに混在する高周波成分の周波数が高くなる。かくして、出力電流Ioutが減少する。
逆に、出力電流Ioutを増やしたい場合、つまり回路電流Isが減少した場合には、回路電流負帰還部128は、係数jを“1”より大きい値j2にする。そうすると、波形Wyに示すように、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの間隔が広くなる。エンベロープ間の間隔が広くなると、回路電流Isが増加する。また同時に、回路電流Isに混在する高周波成分の周波数が低くなる。かくして、出力電流Ioutが増加する。
一方、入力電流Iinは、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの中心線の波形に相当して変化する。このため、幅dに係数jを乗算することでエンベロープ間の間隔がいかに変化しても。入力電流Iinのうねり具合は変化しない。つまり、入力電流Iinは変化しない。入力電流Iinが変化しないということは、入力電力も変化しない。
このように第4の実施形態によれば、交流電源Eに流れる入力電流Iinと切り離して、負荷Mを流れる出力電流Ioutを制御することができる。したがって、簡素な構成ながら負荷Mに対する制御性に優れた電力変換装置1-4を提供できる。構造が簡素でかつ制御しやすいことは、産業上、大変有益である。
なお、この第4の実施形態において、第3のしきい値SH3と第4のしきい値SH4との関係を[SH3>SH4]としたが、[SH3=SH4]としてもよい。
また、この第4の実施形態では、第3の実施形態のコントローラ12−3に回路電流負帰還部128を設けたが、第1の実施形態のコントローラ12-1あるいは第2の実施形態のコントローラ12-2に回路電流負帰還部128を設けてもよい。その場合も、第4の実施形態で説明した作用効果を奏することができる。
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態について説明する。第4の実施形態では、入力電流Iinと切り離して出力電流Ioutを制御する場合を示した。第5の実施形態では、負荷Mに印加される電圧が一定となるように制御する場合を示す。このような制御は、一般に、電圧供給型のインバータ制御と称される。なお、この第5の実施形態において、第3の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図13は、第5の実施形態における電力変換装置1-5の回路構成図である。電力変換装置1-5は、電力変換回路11-5とそのコントローラ12-5とを備える。電力変換回路11-5は、第3の実施形態の電力変換回路11-3に、負荷電圧検出ユニット17を追加する。負荷電圧検出ユニット17は、負荷Mの両端に生じる電位差を負荷電圧Voutとして検出する。負荷電圧検出ユニット17は、検出した負荷電圧Voutをコントローラ12-5に与える。ここに、負荷電圧検出ユニット17は、負荷の両端に生じる電位差を負荷電圧として検出する負荷電圧検出手段を構成する。
コントローラ12-5は、回路電流Is及び電源電圧Vinと各容量電圧Vc1,Vc2と負荷電圧Voutとに基づいて、第1及び第2のパルス信号P1,P2を生成する。そしてコントローラ12-5は、第1のパルス信号P1を第1のスイッチS1に供給し、第2のパルス信号P2を第2のスイッチS2に供給する。
図14は、コントローラ12-5の具体的構成を示すブロック図である。コントローラ12-5は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124、ラッチ回路125、デッドタイム生成部126及び容量電圧負帰還部127に加えて、負荷電圧負帰還部129を備える。
負荷電圧負帰還部129は、負荷電圧Voutを入力とする。回路電流Isが一定であっても負荷Mのインピーダンスが変化した場合、負荷電圧Voutは変動する。負荷電圧負帰還部129は、負荷電圧Voutが第5のしきい値SH5より高い場合には、係数jを“1”より小さい値j1に設定する。これに対し、負荷電圧Voutが第5のしきい値SH5より小さい第6のしきい値SH6より低い場合には、負荷電圧負帰還部129は、係数jを“1”より大きい値j2にする。負荷電圧負帰還部129は、係数jをエンベロープ生成部122に与える(負荷電圧負帰還手段)。ここに、コントローラ12-5からなる制御手段は、負荷電圧に基づいて正側エンベロープと負側エンベロープとの間隔を調整する負荷電圧負帰還手段をさらに備える。
エンベロープ生成部122は、予め設定された幅dに係数jを乗算して積jdを求める。そしてエンベロープ生成部122は、目標となる電流値Itに相当する信号に積jdを加算して正のエンベロープ+eを生成する。またエンベロープ生成部122は、上記電流値Itに相当する信号から積jdを減算して負のエンベロープ−eを生成する。そしてエンベロープ生成部122は、正のエンベロープ+eに相当する信号を上判定部123の第1の入力端子に供給し、負のエンベロープ−eに相当する信号を下判定部124の第1の入力端子に供給する。
上判定部123,下判定部124、ラッチ回路125及びデッドタイム生成部126の動作は、第3の実施形態と同一である。
電力変換装置1-5の作用説明には、図12の波形図をそのまま用いることができる。すなわち、負荷Mに印加される電圧を減少させたい場合、つまり負荷電圧Voutが増加した場合には、係数jを“1”より小さい値j1に設定する。そうすると、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの間隔が狭くなる。エンベロープ間の間隔が狭くなると、負荷Mに印加される電圧が減少する。
逆に、負荷Mに印加される電圧を増加させたい場合、つまり負荷電圧Voutが減少した場合には、係数jを“1”より大きい値j2に設定する。そうすると、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの間隔が広くなる。エンベロープ間の間隔が広くなると、負荷Mに印加される電圧が増加する。
一方、入力電流Iinは、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの中心線の波形に相当して変化する。このため、幅dに係数jを乗算することでエンベロープ間の間隔がいかに変化しても。入力電流Iinのうねり具合は変化しない。つまり、入力電流Iinは変化しない。入力電流Iinが変化しないということは、入力電力も変化しない。
このように第5の実施形態によれば、入力電力を変えることなく負荷Mに印加される電圧が一定となるように制御することができる。このことは、負荷Mの急変に対して高速応答制御しても、その影響が入力電流波形に影響しないことを意味する。すなわち、負荷の変動に要求される高速応答性と、入力電流高調波を常に抑制するという2つの側面を同時に満たすので、産業上の効果は大きい。
なお、この第5の実施形態において、第5のしきい値SH5と第6のしきい値SH6との関係を[SH5>SH6]としたが、[SH5=SH6]としてもよい。
また、この第5の実施形態では、第3の実施形態のコントローラ12−3に負荷電圧負帰還部129を設けたが、第1の実施形態のコントローラ12-1あるいは第2の実施形態のコントローラ12-2に負荷電圧負帰還部129を設けてもよい。その場合も、第5の実施形態で説明した作用効果を奏することができる。
[第6の実施形態]
第1〜第5の実施形態において、電力変換装置1-1〜1-5の動作中、電力変換回路11-1〜11-5の第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1と第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2とを加算した総容量電圧Vc1+Vc2は一定である。しかしながら、第1,第2のスイッチS1,S2の駆動のばらつきなどに起因して、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2とが次第に乖離することがある。乖離の度合いが大きくなった場合、一方のコンデンサは耐圧を越える危険性があり、他方のコンデンサは電圧がなくなって回路動作が成立しなくなる危険性がある。ただしその場合でも、総容量電圧Vc1+Vc2は変化しない。このため、総容量電圧Vc1+Vc2を検出していたのでは、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2との間に乖離が生じていることを検出できない。そこで次に、このような不具合を解消する第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態の電力変換装置1-6は、電力変換回路11-6とそのコントローラ12-6とを備える。電力変換回路11-6は、第5の実施形態における電力変換回路11-5と同一の構成である。
図15は、コントローラ12-6の具体的構成を示すブロック図である。コントローラ12-6は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124、ラッチ回路125、デッドタイム生成部126、容量電圧負帰還部127及び負荷電圧負帰還部129に加えて、アンバランス検出部131を備える。
アンバランス検出部131は、第1の容量電圧検出ユニット15で検出される容量電圧Vc1と、第2の容量電圧検出ユニット16で検出される容量電圧Vc2とを入力する。そしてアンバランス検出部131は、容量電圧Vc1から容量電圧Vc2を減じた値Vc1−Vc2が正になるか負になるかを判断する。値Vc1−Vc2が正になるとき、アンバランス検出部131は、正のアンバランス信号(+)を電流目標値決定部121に与える。これに対し、値Vc1−Vc2が負になるとき、アンバランス検出部131は、負のアンバランス信号(−)を電流目標値決定部121に与える。値Vc1−Vc2が“0”のときには、アンバランス信号を電流目標値決定部121に与えない(アンバランス検出手段)。
電流目標値決定部121は、アンバランス検出部131から正のアンバランス信号(+)を受信した場合、容量電圧負帰還部127により設定される係数kに所定の係数h1を乗算する。係数h1は、電源電圧Vinが正のときには“1”より小さい値であり、負のときには“1”より大きい値である。電流目標値決定部121は、電源電圧Vinの信号に係数k×h1を乗算して、目標となる電流値Itを決定する。そして電流目標値決定部121は、この電流値Itに相当する信号をエンベロープ生成部122に供給する。
同じく電流目標値決定部121は、アンバランス検出部131から負のアンバランス信号(−)を受信した場合、容量電圧負帰還部127により設定される係数kに所定の係数h2を乗算する。係数h2は、電源電圧Vinが正のときには“1”より大きい値であり、負のときには“1”より小さい値である。電流目標値決定部121は、電源電圧Vinの信号に係数k×h2を乗算して、目標となる電流値Itを決定する。そして電流目標値決定部121は、この電流値Itに相当する信号をエンベロープ生成部122に供給する。
因みに、正または負のアンバランス信号を受信していない場合には、電流目標値決定部121は、係数kをそのまま使用する。すなわち電流目標値決定部121は、電源電圧Vinの信号に係数kを乗算して、目標となる電流値Itを決定する。そして電流目標値決定部121は、この電流値Itに相当する信号をエンベロープ生成部122に供給する。
エンベロープ生成部122、上判定部123,下判定部124及びラッチ回路125の動作は、第5の実施形態と同一である。
図16は、第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1と、第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2とが、バランスを崩す例を示す波形図である。図16において、波形Wzは、電源電圧Vinの波形である。第1,第2のスイッチS1,S2の駆動にばらつきがないとき、第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1と第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2とは、波形Waaに示すように、180度位相をずらして変動する。このため、電力変換装置1-6の動作中、総容量電圧Vc1+Vc2は一定を保つ。
ところが、第1,第2のスイッチS1,S2の駆動にばらつきが生じると、波形Wbbに示すように、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2とが徐々に乖離することがある。しかしながら、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2とが如何に乖離しても、総容量電圧Vc1+Vc2は一定であり、変動しない。
図17は第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1が小さくなり、第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2が大きくなって、アンバランスが生じた場合の作用を説明する波形図である。図17において、波形Wccは、電流目標値決定部121で決定される目標となる電流値を示す。
同図において破線は、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2との間にばらつきがない状態のときの目標となる電流値It1であって、正側と負側が対称形である。実線は、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2との間に[Vc1<Vc2]の関係があるときの目標となる電流値It2である。すなわち、容量電圧Vc1から容量電圧Vc2を減じた値Vc1−Vc2が負となる場合である。この場合、アンバランス検出部131は、負のアンバランス信号(−)を電流目標値決定部121に与える。したがって、電流目標値決定部121は、係数kに係数h2を乗算する。その結果、電源電圧Vinが正のときには、目標となる電流値It2のうねり具合が大きくなる。逆に、電源電圧Vinが負のときには、目標となる電流値It2のうねり具合が小さくなる。
エンベロープ生成部122は、電流目標値決定部121で決定される電流値It2に相当する信号に幅dを加算して正のエンベロープ+eを生成する。またエンベロープ生成部122は、電流値It2に相当する信号から幅dを減算して負のエンベロープ−eを生成する。そしてエンベロープ生成部122は、正のエンベロープ+eに相当する信号を上判定部123の第1の入力端子に供給し、負のエンベロープ−eに相当する信号を下判定部124の第1の入力端子に供給する。
かくして、図17の波形Wddに示すように、振幅の幅は変わらないが、電源電圧Vinが正のときと負のときとでうねり具合が異なる回路電流Isが負荷Mに流れる。その結果、電源電圧Vinが正のときには第1のコンデンサC1にチャージされる電荷量が増え、負のときには第2のコンデンサC2から放電される電荷量が増えるので、結果として容量電圧Vc1と容量電圧Vc2とのアンバランスが解消される。
図18は第1のコンデンサC1の容量電圧Vc1が大きくなり、第2のコンデンサC2の容量電圧Vc2が小さくなって、アンバランスが生じた場合の作用を説明する波形図である。図18において、波形Weeは、電流目標値決定部121で決定される目標となる電流値を示す。
同図において破線は、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2との間にばらつきがない状態のときの目標となる電流値It1であって、正側と負側が対称形である。実線は、容量電圧Vc1と容量電圧Vc2との間に[Vc1>Vc2]の関係があるときの目標となる電流値It3である。すなわち、容量電圧Vc1から容量電圧Vc2を減じた値Vc1−Vc2が正となる場合である。この場合、アンバランス検出部131は、正のアンバランス信号(+)を電流目標値決定部121に与える。したがって、電流目標値決定部121は、係数kに係数h1を乗算する。その結果、電源電圧Vinが正のときには、目標となる電流値It3のうねり具合が小さくなる。逆に、電源電圧Vinが負のときには、目標となる電流値It3のうねり具合が大きくなる。
エンベロープ生成部122は、電流目標値決定部121で決定される電流値It3に相当する信号に幅dを加算して正のエンベロープ+eを生成する。またエンベロープ生成部122は、電流値It2に相当する信号から幅dを減算して負のエンベロープ−eを生成する。そしてエンベロープ生成部122は、正のエンベロープ+eに相当する信号を上判定部123の第1の入力端子に供給し、負のエンベロープ−eに相当する信号を下判定部124の第1の入力端子に供給する。
かくして、図18の波形Wffに示すように、振幅の幅は変わらないが、電源電圧Vinが正のときと負のときとでうねり具合が異なる回路電流Isが負荷Mに流れる。その結果、電源電圧Vinが正のときには第1のコンデンサC1から放電される電荷量が増え、負のときには第2のコンデンサC2にチャージされる電荷量が増えるので、結果として容量電圧Vc1と容量電圧Vc2とのアンバランスが解消される。
このように第6の実施形態によれば、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2の容量電圧Vc1,Vc2を適正な範囲で維持できるので、耐圧を超えてコンデンサが破損したり、電圧不足で回路動作が不安定になることを未然に防止できる。このことは、比較的簡素な制御でバランスを維持できるので、産業上利用しやすいものとなる。
なお、この第6の実施形態では、第5の実施形態のコントローラ12−5にアンバランス検出部131を設けたが、第3実施形態のコントローラ12-3あるいは第4の実施形態のコントローラ12-4にアンバランス検出部131を設けてもよい。その場合も、第6の実施形態で説明した作用効果を奏することができる。
[第7の実施形態]
次に、第7の実施形態について説明する。第3の実施形態で説明したように、入力電力を増やす場合、容量電圧負帰還部127の機能により係数kを大きくする。そうすると、目標となる電流値Itのうねり具合が大きくなる。また、第4の実施形態で説明したように、出力電力を減らす場合、負荷電圧負帰還部129の機能により係数Jを小さくする。そうすると、正のエンベロープ+eと負のエンベロープ−eとの間の間隔が狭くなる。
図20において、波形Wggは、正常な状態にある回路電流Isを示す。この状態から、入力電力を増やすとともに出力電力を減らす場合、上述したように、係数kを大きくして目標となる電流値Itのうねり具合を大きくするとともに、係数Jを小さくしてエンベロープ間の間隔を狭くする。その結果、エンベロープが反対側の極性の領域に入り込むことがあり得る。
図20において、波形Whhは、区間T1では負のエンベロープ−eが正の領域に入り込み、区間T2では正のエンベロープ+eが負の領域に入り込んだ場合の回路電流Is示している。この場合、本来は正負を繰り返すはずの回路電流Isは、区間T1ではずっと正の値を取り続け、区間T2ではずっと負の値を取り続ける。したがって、その間は正しいスイッチングが行われないため、過大な電力損失が発生する。第7の実施形態は、このような不具合を解消するためのものである。
第7の実施形態の電力変換装置1-7は、電力変換回路11-7とそのコントローラ12-7とを備える。電力変換回路11-7は、第6の実施形態における電力変換回路11-6と同一の構成である。
図19は、コントローラ12-7の具体的構成を示すブロック図である。コントローラ12-7は、電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、上判定部123、下判定部124、ラッチ回路125、デッドタイム生成部126、容量電圧負帰還部127、負荷電圧負帰還部129及びアンバランス検出部131に加えて、第1,第2のZVS(Zero Volt Switching)補償部132,133を備える。
第1のZVS補償部132は、エンベロープ生成部122で生成される正のエンベロープ+eを入力とする。そして第1のZVS補償部132は、正のエンベロープ+eが正の領域の下限値Aminにあるか否かを検証する。正のエンベロープ+eが正の領域の下限値Aminを上回っているとき第1のZVS補償部132は、そのまま正のエンベロープ+eを上判定部123に与える。これに対し、正のエンベロープ+eが下限値Aminを下回ったならば、第1のZVS補償部132は、無条件に正のエンベロープ+eを下限値Aminに置き換える。つまり第1のZVS補償部132は、下限値Aminを正のエンベロープ+eとして上判定部123に与える(第1の補償手段)。
第2のZVS補償部133は、エンベロープ生成部122で生成される負のエンベロープ−eを入力とする。そして第2のZVS補償部133は、負のエンベロープ−eが負の領域の上限値Bmaxにあるか否かを検証する。負のエンベロープ−eが負の領域の上限値Bmaxを下回っているとき、第2のZVS補償部133は、そのまま負のエンベロープ−eを下判定部124に与える。これに対し、負のエンベロープ−eが上限値Bmaxを上回ったならば、第2のZVS補償部133は、無条件に負のエンベロープ−eを上限値Bmaxに置き換える。つまり第2のZVS補償部133は、上限値Bmaxを負のエンベロープ−eとして下判定部124に与える(第2の補償手段)。
第1,第2のZVS補償部132.133よりも前段の電流目標値決定部121、エンベロープ生成部122、容量電圧負帰還部127、負荷電圧負帰還部129及びアンバランス検出部131と、後段の上判定部123、下判定部124及びラッチ回路125の動作は、第6の実施形態と同一である。
図20の波形Wiiは、同図の波形Whhで示した回路電流Isが得られる場合において、ZVS補償を施した後の回路電流Isである。波形Wiiに示すように、負のエンベロープ−eが負の上限値Bmaxを上回る区間T1になると、第2のZVS補償部133が負のエンベロープ−eを負の上限値Bmaxに置き換えるので、負のエンベロープ−eが正の領域に入り込むことはない。
同様に、正のエンベロープ+eが負の下限値Aminを下回る区間T2になると、第1のZVS補償部132が正のエンベロープ+eを正の下限値Aminに置き換えるので、正のエンベロープ+eが負の領域に入り込むこともない。
したがって、回路電流Isは正負を常時繰り返すので、第1のスイッチS1または第2のスイッチS2がオンするときには当該スイッチS1,S2の両端電圧が常にゼロである。このため、極めて電力損失の少ないスイッチング動作を得ることができる。
なお、この第7の実施形態では、第6の実施形態のコントローラ12−6に第1,第2のZVS補償部132,133を設けたが、第3乃至第5の実施形態のコントローラ12-3,12-4または12-5に第1,第2のZVS補償部132,133を設けてもよい。その場合も、第7の実施形態で説明した作用効果を奏することができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではない。
例えば前記各実施形態では、単相の交流電源Eを用いたが、交流電源Eは単相に限定されない。三相あるいはそれ以上の多相の交流電源を用いることも可能である。
また、前記各実施形態では、交流電源EとローパスフィルタLPFとをバイパスする経路にハイパスフィルタHPFを設けたが、ハイパスフィルタHPFは省略してもよい。
また、前記各実施形態では、第1及び第2のスイッチS1,S2として、MOS型電界効果トランジスタを例示したが、第1,第2のスイッチS1,S2は、これに限定されるものではない。例えば、バイポーラトランジスタ、IGBT、GaN、SiC等の半導体素子を用いたスイッチでもよい。あるいはリレーのような機械的なスイッチとダイオードとを組み合わせて、第1及び第2のスイッチS1,S2を形成してもよい。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1-1〜1-7…電力変換装置、11-1〜11-7…電力変換回路、12-1〜12-7…コントローラ、13…回路電流検出ユニット、14…電圧検出ユニット、15,16…第1,第2の容量電圧検出ユニット、17…負荷電圧検出ユニット、121…電流目標値決定部、122…エンベロープ生成部、123…上判定部、124…下判定部、125…ラッチ回路、126…デッドタイム生成部、127…容量電圧負帰還部、128…回路電流負帰還部、129…負荷電圧負帰還部、131…アンバランス検出部、132,133…第1,第2のZVS補償部。

Claims (5)

  1. 第1のスイッチと第2のスイッチとを直列に接続するとともに、第1のコンデンサと第2のコンデンサとを直列に接続し、前記第1のスイッチと前記第1のコンデンサ及び前記第2のスイッチと前記第2のコンデンサをそれぞれ接続して閉ループを形成し、さらに前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの接続点と前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点との間を、交流電源,ローパスフィルタ、インダクタ及び負荷の直列回路で接続するとともに、前記交流電源と前記ローパスフィルタとをバイパスする経路を備える電力変換回路と、
    前記電力変換回路を流れる回路電流を検出する回路電流検出手段と、
    前記交流電源の電圧を検出する電源電圧検出手段と、
    前記回路電流検出手段により検出される回路電流と前記電源電圧検出手段により検出される電源電圧とに基づいて、前記交流電源の低周波成分に高周波成分が混在した電流が前記電力変換回路を流れるように前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとを交互に開閉させるためのパルス信号を前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとに出力する制御手段と、
    を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記電源電圧検出手段により検出される電源電圧の信号に基づいて前記電力変換回路を流れる電流の目標値を決定する決定手段と、
    この決定手段により決定された前記電流の目標値に所定の幅を持たせて正側及び負側のエンベロープを生成するエンベロープ生成手段と、
    前記電流検出手段により検出される回路電流が前記正側エンベロープと前記負側エンベロープとの範囲内に収まるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記回路電流が前記正側エンベロープと前記負側エンベロープとの範囲内から外れるタイミングで前記パルス信号を生成するパルス生成手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記第1のコンデンサの両端に生じる電位差を第1の容量電圧として検出する第1の容量電圧検出手段と、
    前記第2のコンデンサの両端に生じる電位差を第2の容量電圧として検出する第2の容量電圧検出手段と、
    をさらに具備し、
    前記制御手段は、前記第1の容量電圧と前記第2の容量電圧とに基づいて、前記決定手段で決定される前記電流の目標値を調整する容量電圧負帰還手段、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
  4. 前記制御手段は、前記第1の容量電圧と前記第2の容量電圧とを比較するアンバランス検出手段、
    をさらに備え、
    前記決定手段は、前記アンバランス検出手段により前記第1の容量電圧の方が前記第2の容量電圧よりも高いことが検出された場合には、前記電流の目標値を、前記電源電圧が正のときには小さくし、負のときには大きくし、前記第1の容量電圧の方が前記第2の容量電圧よりも低いことが検出された場合には、前記電流の目標値を、前記電源電圧が正のときには大きくし、負のときには小さくすることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
  5. 前記制御手段は、
    前記エンベロープ生成手段により生成される前記正のエンベロープの正の領域における下限値を設定し、前記正のエンベロープが前記下限値を下回るときには前記正のエンベロープの値を前記下限値に置換する第1の補償手段と、
    前記エンベロープ生成手段により生成される前記負のエンベロープの負の領域における上限値を設定し、前記負のエンベロープが前記上限値を上回るときには前記負のエンベロープの値を前記上限値に置換する第2の補償手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項3または4記載の電力変換装置。
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