JP2015035475A - 有機半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

有機半導体素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を抑制することが可能な有機半導体素子およびその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基材と、上記基材上に形成され、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線と、上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線を覆うように形成された有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成された誘電体層とを有し、上記有機半導体層および上記誘電体層が同一の形状を有することを特徴とする有機半導体素子を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、真空紫外光を用いて有機半導体層をパターニングする有機半導体素子の製造方法およびその製造方法により得られる有機半導体素子に関するものである。
TFTに代表される半導体トランジスタは、近年、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素等の無機半導体材料が用いられてきた。近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
一方、半導体材料としては、有機半導体材料も知られている。有機半導体材料は、無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であること、フレキシブルなプラスチック基板上に形成できること、さらに機械的衝撃に対して安定であることという利点を有している。したがって、有機半導体材料を対象として、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイ等の次世代ディスプレイ装置への応用等を想定した研究が活発に行われている。
有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを作製する際には、通常、有機半導体層をパターン状に形成することが必要とされる。従来、パターン状に有機半導体層を形成する方法としては、例えば特許文献1に記載されるようにフォトレジスト法が主に用いられてきた。しかしながら、フォトレジスト法は、有機半導体層を精度良くパターニングできる点においては優れているが、工程が煩雑であるため生産性に乏しいという問題点があった。
このような問題点に対し、特許文献2にはインクジェット法を用いて有機半導体層を形成する方法が提案されている。インクジェット法はインクジェットヘッドを用いて微量のインクを所定の位置に吐出する方法であり、微細なパターン状の有機半導体層を高生産性で形成することができる点において優れた方法である。
さらに、特許文献3には真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法が開示されている。この方法は、より高精細な有機半導体層を高生産性で形成することができる点で優れた方法である。なお、真空紫外光は、Vacuum Ultra VioletやVUVとも称される。
ところで、有機半導体トランジスタにおいては、有機半導体層を介してソース電極およびドレイン電極が接続されることから、ソース電極およびドレイン電極に用いられる電極材料としては、有機半導体層との電気的接続性が高いことが好ましい。この電極材料としては、金属材料が好適に用いられることが知られている。
上述の真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチングを行う場合、一般的にはソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に有機半導体層が形成されるように、有機半導体層をエッチングする。そのため、ボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、ソース電極およびドレイン電極が金属材料からなる場合には、有機半導体層のエッチング時に真空紫外光の影響によってソース電極およびドレイン電極が酸化され、電極性能が低下したり断線したりするという問題がある。なお、真空紫外光の影響による酸化は、ソース電極およびドレイン電極だけでなく、データ配線等にも生じる現象である。
そこで、特許文献4には、有機半導体層をエッチングする際に照射される真空紫外光によってソース電極およびドレイン電極が酸化されて劣化するのを防止するために、ソース電極およびドレイン電極上に酸素に対する遮蔽性を有する電極保護層を形成することが提案されている。
また、特許文献5には、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法に関する技術ではないが、レーザーアブレーション法による有機半導体層のパターニング工程時に既に形成された電極配線を保護することを目的として、ソース電極、ドレイン電極および配線を完全に覆うように有機半導体層を形成することが提案されている。
特開2006−58497号公報 特開2003−347552号公報 特開2008−244262号公報 特開2012−216564号公報 特許第4742021号公報 特表2008−524839号公報
しかしながら、特許文献4では、ソース電極およびドレイン電極上に電極保護層を形成する必要があり、工程数が増えてしまう。また、特許文献4において、有機半導体トランジスタはボトムゲート構造を有しており、電極保護層に金属材料が用いられているが、トップゲート構造の有機半導体トランジスタに上記電極保護層を適用した場合には、電極保護層に含まれる金属が有機半導体層への電荷の注入を阻害するため、トランジスタの特性が大幅に低下する可能性がある。
また、レーザーアブレーション法においては、特許文献5にも記載されているように有機半導体層の下部に位置する電極も損傷されるので、レーザー照射領域では有機半導体層だけでなくソース電極、ドレイン電極および配線も除去されてしまう。そのため、レーザーアブレーション法を用いる場合、ボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、ソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に有機半導体層を形成するのは困難である。この点に関しては、例えば特許文献6にも記載されている。したがって、レーザーアブレーション法では、そもそも有機半導体層のパターニング時にソース電極およびドレイン電極が酸化されてしまうという問題が生じない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を抑制することが可能な有機半導体素子およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、基材と、上記基材上に形成され、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線と、上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線を覆うように形成された有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成された誘電体層とを有し、上記有機半導体層および上記誘電体層が同一の形状を有することを特徴とする有機半導体素子を提供する。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層および誘電体層が形成されており、有機半導体層および誘電体層が同一の形状を有していることから、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合に誘電体層をレジスト層として利用することができ、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能である。したがって、電極性能の低下や断線を抑えるとともに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。また、本発明の有機半導体素子がトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する場合には、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層および誘電体層が形成されていることにより、ソース電極およびドレイン電極とゲート電極の間、データ配線とスキャン配線との間ならびにデータ配線とコモン配線との間において短絡を抑制することができるとともに、有機半導体トランジスタ部分の寄生容量を低減することができる。
上記発明においては、上記有機半導体層および上記誘電体層が、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように形成されていることが好ましい。有機半導体層および誘電体層によって外部接続端子および検査用端子の一部と誘電体層上に形成される層間絶縁層やゲート絶縁層との密着性を高めることができる。また、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合には、レーザーアブレーション法とは異なり、有機半導体層の下に位置する外部接続端子および検査用端子を除去することなく、有機半導体層のみを除去することができる。そのため、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することが可能である。
また本発明においては、上記誘電体層上に第2誘電体層が形成されていてもよい。本発明の有機半導体素子がトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する場合には、誘電体層および第2誘電体層が積層されていることにより、ソース電極およびドレイン電極とゲート電極の間、データ配線とスキャン配線との間ならびにデータ配線とコモン配線との間において短絡をさらに抑制することができるとともに、有機半導体トランジスタ部分の寄生容量のさらなる低減を図ることができる。
また本発明は、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域ならびに上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線が形成されている電極領域の上記有機半導体層上にレジスト層として誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、上記誘電体層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記誘電体層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程とを有し、上記有機半導体層パターニング工程後の上記誘電体層を残すことを特徴とする有機半導体素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、誘電体層をレジスト層として利用し、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層が残るように有機半導体層をパターニングすることから、有機半導体層パターニング工程において真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光によってソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能である。したがって、電極性能の低下や断線を抑えるとともに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。また本発明において、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する場合には、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に形成された誘電体層を除去せずに残すことにより、ソース電極およびドレイン電極とゲート電極の間、データ配線とスキャン配線との間ならびにデータ配線とコモン配線との間において短絡を抑制することができるとともに、有機半導体トランジスタ部分の寄生容量を低減することができる。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層および誘電体層が形成されていることから、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングした場合もソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を抑制することが可能であるという効果を奏する。また、本発明の有機半導体素子がトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する場合には、ソース電極およびドレイン電極とゲート電極の間、データ配線とスキャン配線との間ならびにデータ配線とコモン配線との間での短絡を抑制し、また有機半導体トランジスタ部分の寄生容量を低減することが可能であるという効果を奏する。
本発明の有機半導体素子の一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図およびB−B線断面図の一例を示す概略断面図である。 図1のA−A線断面図およびB−B線断面図の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略平面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略平面図および断面図である。
以下、本発明の有機半導体素子およびその製造方法について詳細に説明する。
A.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子は、基材と、上記基材上に形成され、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線と、上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線を覆うように形成された有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成された誘電体層とを有し、上記有機半導体層および上記誘電体層が同一の形状を有することを特徴とするものである。
なお、以下の説明において、「有機半導体トランジスタ」とは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を有するものを指す。また、本発明においてはソース電極およびドレイン電極上に有機半導体層が形成されていることから、本発明の有機半導体素子はボトムゲートボトムコンタクト型またはトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有するものである。
本発明の有機半導体素子について図を用いて説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の有機半導体素子の一例を示す概略平面図である。図1(a)において、基材2、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5以外の構成は省略されており、図1(b)において、基材2および誘電体層7以外の構成は省略されている。また、図1(a)、(b)において、ゲート電極9およびスキャン配線10は二点鎖線、コモン配線11は破線で示されており、画素電極等の外部入出力電極20が配置される領域は一点鎖線で示されている。図2(a)は図1(a)、(b)のA−A線断面図、図2(b)は図1(a)、(b)のB−B線断面図である。
図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に示すように、有機半導体素子1は、基材2と、基材2上に形成され、金属材料を含むソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5と、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5を覆うように形成された有機半導体層6と、有機半導体層6上に形成された誘電体層7と、誘電体層7上に第2誘電体層15として形成されたゲート絶縁層8と、ゲート絶縁層8上に形成されたゲート電極9、スキャン配線10およびコモン配線11とを有している。また、有機半導体層6は平面視上、誘電体層7と同一の形状を有している。この有機半導体素子1は、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有している。
図3(a)、(b)は本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図であり、図3(a)は図1(a)、(b)のA−A線断面図、図3(b)は図1(a)、(b)のB−B線断面図である。図1(a)、(b)および図3(a)、(b)に示すように、有機半導体素子1は、基材2と、基材2上に形成されたゲート電極9、スキャン配線10およびコモン配線11と、ゲート電極9、スキャン配線10およびコモン配線11を覆うように形成されたゲート絶縁層8と、ゲート絶縁層8上に形成され、金属材料を含むソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5と、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5を覆うように形成された有機半導体層6と、有機半導体層6上に形成された誘電体層7とを有している。また、有機半導体層6は平面視上、誘電体層7と同一の形状を有している。この有機半導体素子1は、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有している。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層および誘電体層が形成されていることから、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能である。
ここで、本発明における有機半導体層のパターニング方法について説明する。図4(a)〜(g)は本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。なお、本発明の有機半導体素子の製造方法について詳しくは、「B.有機半導体素子の製造方法」の項で説明する。
有機半導体層をパターニングするに際しては、まず、図4(b)に示すように、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線(図示なし)が形成された基材2の全面に有機半導体層6を形成する。次いで、図4(c)に示すように有機半導体層6上にレジスト層として誘電体層7をパターン状に形成する。続いて、図4(d)〜(e)に示すように、誘電体層7および有機半導体層6に真空紫外光Lを照射して、誘電体層7が形成されていない部位の有機半導体層6をエッチングする。これにより、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線(図示なし)を覆うように有機半導体層6および誘電体層7が形成される。誘電体層7はレジスト層であり、真空紫外光Lを用いて有機半導体層6をエッチングする際に真空紫外光Lに対するマスクとして用いられる。そのため、平面視上、有機半導体層6および誘電体層7の形状は同一になる。
本発明においては、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように有機半導体層および誘電体層が形成されていることから、図4(d)〜(e)に示すように真空紫外光Lを用いて有機半導体層6をエッチングする際、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線(図示なし)は有機半導体層6および誘電体層7で覆われている。そのため、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線(図示なし)が酸素と接触するのを防ぐことができる。さらに、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線(図示なし)に、高エネルギー光である紫外領域の光、とりわけ高エネルギーである真空紫外光Lが照射されるのを防ぐことができる。
したがって本発明においては、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することでき、電極性能の低下や断線を抑えることが可能である。さらに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。
また、本発明の有機半導体素子が図2(a)に例示するようなトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する場合においては、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に例示するようにソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5上に有機半導体層6および誘電体層7が形成されていることにより、誘電体層7と第2誘電体層15であるゲート絶縁層8とが積層された誘電体部分を厚膜化することができ、その結果、電極間や配線間の短絡を抑制することができる。具体的には、有機半導体トランジスタ部分ではソース電極3またはドレイン電極4とゲート電極9との間の短絡を抑制することができる。また、データ配線5およびスキャン配線10の交点部分ではデータ配線5およびスキャン配線10間の短絡を抑制することができ、データ配線5およびコモン配線11の交点部分ではデータ配線5およびコモン配線11間の短絡を抑制することができる。したがって、ライン欠陥の発生を抑制することが可能であり、本発明の有機半導体素子を表示装置に用いた場合には表示品質を向上させることが可能になる。
さらに、本発明の有機半導体素子が図2(a)に例示するようなトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する場合においては、ソース電極3およびドレイン電極4上に有機半導体層6および誘電体層7が形成されていることにより、上述のように誘電体層7と第2誘電体層15であるゲート絶縁層8とが積層された誘電体部分を厚膜化することができ、その結果、有機半導体トランジスタ部分の寄生容量を低減し、ドレインパッド部分の保持容量を増加させることができる。具体的に説明すると、ドレインパッド部分の幅は配線の線幅に比べて広いため、後述するように真空紫外光による酸化の影響を受けにくいので、ドレインパッド部分には酸化を抑制するために有機半導体層および誘電体層を形成しなくてもよい。ドレインパット部分に有機半導体層および誘電体層が形成されていない場合、ドレインパット部分における絶縁膜はゲート絶縁層のみとなる。一方、有機半導体トランジスタ部分における絶縁膜は誘電体層およびゲート絶縁層となる。したがって、ドレインパット部分における絶縁膜の膜厚は有機半導体トランジスタ部分における絶縁膜の膜厚に比べて薄くなるため、本発明の構成ではドレインパット部分の寄生容量が増えるのである。そして、相対的に有機半導体トランジスタ部分の寄生容量が低減する。したがって、本発明の有機半導体素子を表示装置に用いた場合には、表示品質を向上させることが可能である。
なお、一般的な有機半導体トランジスタの構成においては、有機半導体トランジスタ部分における絶縁膜の膜厚とドレインパッド部分における絶縁膜の膜厚は同じである。
図5は、本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。図5に示すように、有機半導体素子1は、基材2と、基材2上に形成され、金属材料を含むソース電極3およびドレイン電極4aと、ソース電極3およびドレイン電極4aを覆うように形成された有機半導体層6と、有機半導体層6上に形成された誘電体層7と、有機半導体層6および誘電体層7を覆うように第2誘電体層15として形成されたゲート絶縁層8と、ゲート絶縁層8上に形成されたゲート電極9と、ゲート絶縁層8、誘電体層7および有機半導体層6を貫通し、ドレイン電極4aに達するように形成された第1コンタクトホール12aと、ゲート絶縁層8上に形成され、第1コンタクトホール12aを通じてドレイン電極4aに接続された中間電極4bと、ゲート電極9および中間電極4bを覆うように形成された遮光層13と、遮光層13上に形成された層間絶縁層14と、層間絶縁層14および遮光層13を貫通し、中間電極4bに達するように形成された第2コンタクトホール12bと、層間絶縁層14上に形成され、第2コンタクトホール12bを通じて中間電極4bに接続された外部入出力電極20とを有している。有機半導体層6は、ソース電極3およびドレイン電極4a間のチャネル領域21と、第1コンタクトホール12aが形成されているコンタクトホール領域23以外のソース電極3およびドレイン電極4aが形成されている電極領域22とに配置されている。また、有機半導体層6は平面視上、誘電体層7と同一の形状を有している。この有機半導体素子1は、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有している。
図6は、本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。図6に示すように、有機半導体素子1は、基材2と、基材2上に形成されたゲート電極9と、ゲート電極9を覆うように形成されたゲート絶縁層8と、ゲート絶縁層8上に形成され、金属材料を含むソース電極3およびドレイン電極4と、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように形成された有機半導体層6と、有機半導体層6上に形成された誘電体層7と、有機半導体層6および誘電体層7を覆うように形成された遮光層13と、遮光層13上に第2誘電体層15として形成された層間絶縁層14と、層間絶縁層14、遮光層13、誘電体層7および有機半導体層6を貫通し、ドレイン電極4に達するように形成されたコンタクトホール12と、層間絶縁層14上に形成され、コンタクトホール12を通じてドレイン電極4に接続された外部入出力電極20とを有している。有機半導体層6は、ソース電極3およびドレイン電極4間のチャネル領域21と、コンタクトホール12が形成されているコンタクトホール領域23以外のソース電極3およびドレイン電極4が形成されている電極領域22とに配置されている。また、有機半導体層6は平面視上、誘電体層7と同一の形状を有している。この有機半導体素子1は、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有している。
このように本発明の有機半導体素子は、基材、ソース電極、ドレイン電極、データ配線、有機半導体層および誘電体層以外に他の構成を有していてもよい。
以下、本発明の有機半導体素子の各構成について説明する。
1.有機半導体層
本発明における有機半導体層は、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成され、誘電体層と同一の形状を有するものである。また、有機半導体層は、有機半導体トランジスタに半導体特性を付与するものである。
有機半導体層に用いられる有機半導体材料としては、所望の半導体特性を備える有機半導体層を得ることができれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。有機半導体材料は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。
有機半導体層の形成位置としては、有機半導体層がソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に形成され、かつソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成されていればよい。また、図5および図6に例示するようにコンタクトホールが形成されている場合には、有機半導体層がチャネル領域に形成され、かつコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域以外のソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成されている電極領域に形成されていればよい。
ここで、「コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域」とは、有機半導体層に接し、有機半導体層および基材の間に位置するドレイン電極に通じるコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域をいう。例えば図5に示すようにコンタクトホールとして第1コンタクトホール12aおよび第2コンタクトホール12bが形成されている場合には、ドレイン電極4aに通じる第1コンタクトホール12aが形成されているコンタクトホール領域23を指す。
なお、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合、コンタクトホール領域ではドレイン電極の一部が酸素と接触したり真空紫外光が照射されたりするため、ドレイン電極の一部の酸化が懸念される。
ここで、有機半導体層のエッチングに用いる程度の真空紫外光の強度では、仮に電極および配線が暴露されたとしても、電極および配線の酸化の進行は緩やかである。ただし、真空紫外光の照射ムラや電極および配線の厚みムラ等の影響で電極および配線の酸化を完全にゼロにすることはできない。そのため、線幅の細い電極および配線では酸化が問題となる。これに対し、コンタクトホール領域の幅はソース電極やデータ配線の線幅と比較して広いため、コンタクトホール領域の全域が酸化される可能性は非常に低い。また、データ配線が酸化した場合はライン欠陥となり、表示品質に多大な影響を与えるが、コンタクトホール領域におけるドレイン電極の一部が酸化した場合は点欠陥が発生するのみであり、表示品質に与える影響は少ない。したがって、コンタクトホール領域におけるドレイン電極の一部が酸化してしまったとしても特に問題にはならないと考える。
また、有機半導体層はソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成されていればよく、この場合、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面を覆い、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の側面が露出するように有機半導体層が形成されていてもよく、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面および側面を覆うように有機半導体層が形成されていてもよい。中でも、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面および側面を覆うように有機半導体層が形成されていることが好ましい。ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を効果的に抑制することができるからである。
また、図7に例示するように、有機半導体素子1において、基材2上に表示部51の周囲にFPC接続部等の外部接続端子52や検査用端子53等の端子が形成されている場合には、図示しないが端子の一部を覆うように有機半導体層が形成されていてもよい。具体的には図8(a)、(b)に示すように、基材2上に端子55および配線56が形成されている場合、有機半導体層6および誘電体層7が配線56を覆うように形成されているとともに、端子55の一部を覆うように形成されていてもよい。なお、図8(b)は図8(a)のC−C線断面図である。この場合、有機半導体層および誘電体層によって端子の一部と誘電体層上に形成される層間絶縁層やゲート絶縁層との密着性を高めることができる。また、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合には、従来のレーザーアブレーション法とは異なり、有機半導体層の下に位置する端子を除去することなく、有機半導体層のみを除去することができる。そのため、端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することができる。この場合、中でも、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように形成されていることが好ましい。
端子の一部を覆うように有機半導体層が形成されている場合、有機半導体層の形成位置としては、有機半導体層が端子の一部が露出するように形成されていればよいが、中でも、図8(a)、(b)に例示するように、有機半導体層6および誘電体層7が端子55の四方の端部を覆うように形成されていることが好ましい。層間絶縁層やゲート絶縁層との密着性を確保することができるからである。また、検査用端子等の端子と配線との境界では線幅が細くなるため酸化防止が重要であり、この部分に有機半導体層が形成されていることが好ましいのである。
また、基材上にデータ配線の他にも配線が形成されている場合には、配線を覆うように有機半導体層が形成されていることが好ましい。
さらに、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域、ソース電極、ドレイン電極、データ配線の他にも、スキャン配線や、上記の端子および配線の境界等のように線幅が細く酸化されやすい部分に形成されていることが好ましい。特に、線幅が20μm以下である電極や配線上、およびそれらの電極や配線に接続された端子との境界に有機半導体層が形成されていることが好ましい。
また、有機半導体層は、基材の全面に形成されていないことが好ましい。基材の全面に有機半導体層が形成されていると、有機半導体層によってリーク電流が発生したり電極間で絶縁されてしまったりするからである。
有機半導体層の厚みは、所望の半導体特性が得られる程度であればよく、上記有機半導体材料の種類等に応じて適宜選択される。具体的に、有機半導体層の厚みは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に5nm〜300nmの範囲内、さらに20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。有機半導体層の厚みが厚すぎると、本発明の有機半導体素子において、電流オフ時においても回り込み電流によってドレイン電流が生じ、これに起因してオフ電流が大きくなる場合があるからである。一方、有機半導体層の厚みが薄すぎると、有機半導体材料の種類によっては有機半導体層の半導体特性が不足する可能性があるからである。
有機半導体層の形成方法としては、まず、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材の全面に有機半導体層を形成し、次いで、有機半導体層上にレジスト層として誘電体層を形成し、その後、有機半導体層を真空紫外光を用いてエッチングする方法が好ましい。なお、有機半導体層の形成方法については、後述の「B.有機半導体素子の製造方法」に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
2.誘電体層
本発明における誘電体層は、上記有機半導体層上に形成され、上記有機半導体層と同一の形状を有するものである。
誘電体層は、有機半導体層上にレジスト層として形成されるものであり、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時に真空紫外光を遮蔽するものである。誘電体層の真空紫外光の遮蔽性としては、照射される真空紫外光の波長に応じて適宜決定すればよい。具体的には、誘電体層の真空紫外光の透過率が10%以下であることが好ましく、特に3%以下、さらには1%以下であることが好ましい。
また、誘電体層は、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時に酸素を遮蔽するものであることが好ましい。これにより、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化をさらに抑制することができる。誘電体層の酸素の遮蔽性としては、具体的には、誘電体層の酸素透過率が、温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day/atm以下であることが好ましい。ここで、酸素透過率は、モダンコントロール(株)製の酸素ガス透過率測定装置OX−TRAN 2/20を用いて測定した値である。
また、誘電体層はゲート絶縁層を兼ねることができ、ゲート絶縁層が別途形成されていなくてもよいが、通常は誘電体層およびゲート絶縁層がそれぞれ形成される。
誘電体層に用いられる誘電体材料としては、照射される真空紫外光に対して所定の遮蔽性を有するレジスト層が得られるものであれば特に限定されるものではない。このような誘電体材料としては、例えば、PVP、PVA、PMMA、PS、ポリエチレンオキサイド、水系エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、カルド系樹脂等を挙げることができる。これらの材料は1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。
誘電体層は、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光に対するマスクとして用いられる。そのため、平面視上、誘電体層の形状は有機半導体層の形状と同一になる。ここで、「有機半導体層および誘電体層が同一の形状を有する」とは、有機半導体層および誘電体層の平面視における形状が同一であることをいう。
誘電体層の形成位置としては、上記有機半導体層の形成位置と同一である。なお、有機半導体層の形成位置については、上記有機半導体層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
誘電体層の厚みとしては、真空紫外光に対して所定の遮蔽性が得られる程度であれば特に限定されるものではないが、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.1μm〜10μmの範囲内、さらには0.1μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
なお、誘電体層の形成方法については、後述の「B.有機半導体素子の製造方法」に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
3.第2誘電体層
本発明においては、上記誘電体層上に第2誘電体層が形成されていてもよい。本発明の有機半導体素子がトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する場合には、誘電体層および第2誘電体層が積層されていることにより、上述したようにソース電極およびドレイン電極とゲート電極の間、データ配線とスキャン配線との間ならびにデータ配線とコモン配線との間において短絡を抑制するとともに、有機半導体トランジスタ部分の寄生容量の低減を図ることができる。
第2誘電体層の種類は、上述の図5および図6に例示するように有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。例えばトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子において、第2誘電体層としては、図5に示すようなゲート絶縁層8を挙げることができる。一方、例えばボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子において、第2誘電体層としては、図6に示すような層間絶縁層14を挙げることができる。また、第2誘電体層として、材料にもよるが遮光層を用いることもできる。
また、第2誘電体層は、単一層からなるものであってもよく、または、複数の層が積層されたものであってもよい。
以下、ゲート絶縁層および層間絶縁層について説明する。
(1)ゲート絶縁層
本発明の有機半導体素子はゲート絶縁層を有する。ゲート絶縁層は、ソース電極およびドレイン電極とゲート電極とを絶縁する機能を有するものである。
ゲート絶縁層の形成位置は、上述の図2、図3、図5および図6に例示するように有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
ゲート絶縁層を構成する材料としては、所望の絶縁性を有する絶縁性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の有機材料や、SiO、SiN、Al等の無機材料を挙げることができる。絶縁性材料は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
ゲート絶縁層の形成方法としては、例えば、絶縁性材料として有機材料を用いる場合には、有機材料を溶媒に溶解させたゲート絶縁層形成用塗工液を調製し、これをゲート電極を覆うように塗布する方法を挙げることができる。また、絶縁性材料として無機材料を用いる場合は、例えば、CVD法等を挙げることができる。
また、コンタクトホールを有するゲート絶縁層を形成する場合には、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等を挙げることができる。
(2)層間絶縁層
本発明においては、上記のソース電極、ドレイン電極、データ配線、有機半導体層、誘電体層、ゲート電極およびゲート絶縁層等を覆うように層間絶縁層が形成されていてもよい。層間絶縁層は、外部入出力電極とソース電極およびドレイン電極またはゲート電極とを絶縁するために設けられるものである。また、層間絶縁層には、外部入出力電極およびドレイン電極を接続するために、ドレイン電極上の一部にコンタクトホールが形成されていてもよい。
層間絶縁層の材料や厚みは、一般的な有機半導体素子に用いられるものと同様とすることができる。
層間絶縁層の形成方法としては、コンタクトホールを有する層間絶縁層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等が挙げられる。
4.ソース電極およびドレイン電極
本発明におけるソース電極およびドレイン電極は、ソース電極およびドレイン電極間に所望のチャネル領域を有するように基材上に形成されるものであり、金属材料を含むものである。
ソース電極およびドレイン電極に用いられる金属材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、Ag、Au、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Mo−Ta合金等を挙げることができる。中でも、金属材料は酸化されやすいものであることが好ましい。本発明においてはソース電極およびドレイン電極の酸化を抑制することができるため、ソース電極およびドレイン電極が酸化されやすい金属材料を含む場合に特に有用である。このような金属材料としては、例えば、Ag、Cu、Al、およびそれらの合金等が挙げられる。合金としては、具体的に、APCと称されるAg、Pd、Cu合金等を挙げることができる。
ソース電極およびドレイン電極の厚みとしては、電極として機能する程度の厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.01μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に0.03μm〜1μmの範囲内、さらに0.05μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また、ソース電極の厚みおよびドレイン電極の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。
ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域の大きさは、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。チャネル領域の幅としては、チャネル領域内に有機半導体層を形成可能な程度であれば特に限定されないが、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜50μmの範囲内、さらに5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
ソース電極およびドレイン電極の形成方法としては、例えば、蒸着法等を用いて基材全面に上記金属材料を含む金属層を形成した後、エッチングする方法や、金属マスクを用いて上記金属材料をパターン状に蒸着する方法等を挙げることができる。また、リフトオフ法を用いることもできる。金属層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができ、具体的には、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を挙げることができる。
5.データ配線
本発明におけるデータ配線は、基材上に形成され、上記ソース電極に接続されるものであり、金属材料を含むものである。
なお、金属材料については、上記ソース電極およびドレイン電極に用いられる金属材料と同様であるので、ここでの説明は省略する。
データ配線に含まれる金属材料は、ソース電極およびドレイン電極に含まれる金属材料と同じであってもよく異なっていてもよいが、通常はソース電極、ドレイン電極およびデータ配線は同一工程で形成されることから、データ配線、ソース電極およびドレイン電極に含まれる金属材料は同一である。
データ配線の厚みおよび形成方法は、ソース電極およびドレイン電極の厚みならびに形成方法と同様とすることができる。中でも、同一の金属材料を用いてソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を同時に形成することが好ましい。
6.ゲート電極
本発明の有機半導体素子はゲート電極を有する。
ゲート電極の形成位置は、上述の図2および図3に例示するように有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
ゲート電極に用いられる導電性材料としては、例えば、Ag、Au、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Mo−Ta合金等の金属材料、ITO、IZO等の金属酸化物材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料を挙げることができる。
また、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図5に例示するようにドレイン電極4aに接続された中間電極4bが形成される場合がある。この場合、中間電極に用いられる導電性材料としては、ゲート電極に用いられる導電性材料と同様とすることができる。
ゲート電極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法や金属ナノ粒子を塗布および焼結する方法等によって基材全面に導電層を形成した後、パターニングする方法や、基材上に直接パターン状のゲート電極を形成する方法を挙げることができる。導電層のパターニング方法としては、通常、リソグラフィ法が用いられ、中でもフォトリソグラフィ法が好適に用いられる。一方、パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法や、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
また、中間電極が形成されている場合、通常、ゲート電極および中間電極は一括形成される。
7.外部接続端子および検査用端子
本発明においては、例えば図7に示すように基材2上の表示部51の周囲にFPC接続部等の外部接続端子52や検査用端子53が形成されていてもよい。
本発明においては、上述のように外部接続端子や検査用端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することができる。
外部接続端子や検査用端子に用いられる材料としては、所望の導電性が得られれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、銀、銅またはそれらの合金等を用いることができる。
外部接続端子や検査用端子の形状、間隔、数等は一般的な有機半導体素子と同様とすることができ、適宜設定される。
8.外部入出力電極
本発明においては、上記層間絶縁層上に外部入出力電極が形成されていてもよい。外部入出力電極は、コンタクトホールを通じてドレイン電極に接続されるものである。
外部入出力電極およびドレイン電極の接続の態様は、有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図5に例示するように、ドレイン電極4aに接続された中間電極4bが形成され、コンタクトホールとしてゲート絶縁層8、誘電体層7および有機半導体層6を貫通する第1コンタクトホール12aと層間絶縁層14を貫通する第2コンタクトホール12bとが形成される場合がある。この場合、第1コンタクトホール12aを通じてドレイン電極4aおよび中間電極4bが接続され、第2コンタクトホール12bを通じて中間電極4bおよび外部入出力電極20が接続されていればよい。
一方、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図6に例示するようにコンタクトホール12を通じてドレイン電極4および外部入出力電極20が接続される。
外部入出力電極としては、一般的な有機半導体素子に用いられるものと同様とすることができる。例えば、本発明の有機半導体素子を表示装置の駆動に用いる場合は、画素電極を挙げることができる。また、本発明の有機半導体素子を圧力センサーや温度センサーに用いる場合は、入力電極を挙げることができる。
外部入出力電極に用いられる導電性材料としては、Al、Ti、Cr、Cu等の金属材料、ITO、IZO等の金属酸化物材料、カーボンペーストや銀ペースト等の導電性ペースト材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料が挙げられる。
また、外部入出力電極の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができる。
9.基材
本発明における基材は、上述した各層を支持するものである。
基材としては所定の自己支持性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基材を用いることができる。基材としては、ガラス基材等の可撓性を有さないリジット基材、および、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基材を挙げることができる。プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPSおよびPEI等を挙げることができる。
また、基材は単一層からなるものであってもよく、または、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。複数の層が積層された構成を有する基材としては、上記プラスチック樹脂からなる基材上に、金属材料からなるバリア層が積層された構成を有するものを例示することができる。プラスチック樹脂からなる基材は、本発明の有機半導体素子を可撓性を有するフレキシブルなものにできるという利点を有する反面、表面に損傷を受けやすいという欠点を有することが指摘されている。しかしながら、バリア層が積層された基材を用いることにより、プラスチック樹脂からなる基材を用いる場合であっても、上記のような欠点を解消することができるという利点がある。
基材の厚みは、通常、1mm以下であることが好ましく、中でも50μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。なお、基材が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは各層の厚みの総和を意味する。
10.その他の構成
本発明の有機半導体素子は、上述した各構成を有するものであれば特に限定されるものではなく、他にも必要な構成を適宜追加することが可能である。
(1)遮光層
本発明においては、有機半導体層上に遮光層が形成されていてもよい。遮光層は、有機半導体層への光照射を防ぐために設けられるものである。遮光層が形成されていることにより、オフ電流の増加や有機半導体層の経時的劣化を抑制することができる。
遮光層に用いられる遮光性材料としては、有機半導体層が吸収する波長であって、オフ電流の増加や有機半導体層の劣化の原因となる波長の光を遮蔽することができるものであれば特に限定されるものではない。このような遮光性材料としては、例えば光を吸収する材料を挙げることができ、具体的には有機半導体層が吸収する波長にもよるが、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄等の金属酸化物、硫化ビスマス等の金属硫化物、フタロシアニンブラック、ニグロシン、アニリンブラック、ペリレンブラック等の黒色有機顔料、赤、緑、青等の有彩色有機顔料の混合物等を挙げることができる。また、光を散乱する材料を用いることもでき、具体的には酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸バリウム等の無機物の微粒子、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の有機物の微粒子、あるいは、これらの2種以上の混合系の微粒子を挙げることができる。
遮光層では、通常、上記の遮光性材料がバインダー樹脂に分散されている。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の樹脂材料を挙げることができる。
遮光層の形成位置としては、有機半導体層上に遮光層が形成されていればよい。例えば図5および図6に示すようにソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、誘電体層、ゲート電極およびゲート絶縁層の上に遮光層を形成することができる。また、図示しないが、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子においては、誘電体層上に遮光層が形成されていてもよい。
遮光層の形成方法としては、例えば、上記の遮光性材料およびバインダー樹脂を溶媒に溶解もしくは分散させた遮光層形成用塗工液を調製し、これを塗布する方法を挙げることができる。また、コンタクトホールを有する遮光層を形成する場合には、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等を挙げることができる。
(2)パッシベーション層
本発明においては、外部入出力電極を覆うようにパッシベーション層が形成されていてもよい。パッシベーション層は、空気中に存在する水分や酸素の作用により有機半導体層が劣化するのを防止するために設けられるものである。パッシベーション層が形成されていることにより、有機半導体層の劣化を防止することが可能になることから、経時的な劣化の少ない高性能な有機半導体素子とすることができる。
パッシベーション層を構成する材料としては、空気中の水分や酸素を透過しにくく、有機半導体層の劣化を所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂やフッ素系樹脂等を挙げることができる。
パッシベーション層の厚みは、パッシベーション層を構成する材料等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜100μmの範囲内、さらに10μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
パッシベーション層の形成方法としては、所望の有機半導体層の劣化防止機能を有するパッシベーション層を形成することが可能な方法であれば特に限定されず、一般的な有機半導体素子のパッシベーション層を形成する際に用いられる方法と同様とすることができる。
11.用途
本発明の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いる表示装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このような表示装置としては例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。また、有機半導体素子は、温度センサーや圧力センサー等に用いることもできる。
12.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子の製造方法としては、上記構成を有する有機半導体素子を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、後述する「B.有機半導体素子の製造方法」の項において説明する方法を用いることができる。
B.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子の製造方法は、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域ならびに上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線が形成されている電極領域の上記有機半導体層上にレジスト層として誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、上記誘電体層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記誘電体層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程とを有し、上記有機半導体層パターニング工程後の上記誘電体層を残すことを特徴とする。
本発明の有機半導体素子の製造方法について図を用いて説明する。
図4(a)〜(g)は本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図4(a)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4が形成された基材2を準備する。次に、図4(b)に示すように、基材2の全面に有機半導体層6を形成する有機半導体層形成工程を行う。次に、図4(c)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4の間のチャネル領域21ならびにソース電極3およびドレイン電極4が形成されている電極領域22の有機半導体層6上に誘電体層7を形成する誘電体層形成工程を行う。次いで、図4(d)〜(e)に示すように、誘電体層7および有機半導体層6に真空紫外光Lを照射することにより、誘電体層7が形成されていない部位の有機半導体層6をエッチングする。これにより、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように有機半導体層6および誘電体層7が形成される。このようにして有機半導体層パターニング工程を行う。次に、図4(f)に示すように、有機半導体層6および誘電体層7を覆うように第2誘電体層15としてゲート絶縁層8を形成する。次いで、図4(g)に示すようにゲート絶縁層8上にゲート電極9を形成する。
本発明においては、チャネル領域および電極領域の有機半導体層上にレジスト層として誘電体層を形成することから、図4(d)〜(e)に示すように真空紫外光Lを照射して有機半導体層6をエッチングする際、ソース電極3およびドレイン電極4は有機半導体層6および誘電体層7で覆われている。そのため、ソース電極3およびドレイン電極4が酸素と接触するのを防ぐことができる。さらに、ソース電極3およびドレイン電極4に、高エネルギー光である紫外領域の光、とりわけ高エネルギーである真空紫外光Lが照射されるのを防ぐことができる。なお、図4(a)〜(g)にはデータ配線が図示されていないが、データ配線についてもソース電極およびドレイン電極と同様に酸素との接触および真空紫外光の照射を防ぐことができる。
したがって本発明においては、有機半導体層パターニング工程にて真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能であり、電極性能の低下や断線を抑えることができるとともに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。
また本発明において、図4(g)に例示するようなトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する場合には、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に形成された誘電体層を残すことにより、誘電体層と第2誘電体層であるゲート絶縁層とが積層された誘電体部分を厚膜化することができる。これにより、有機半導体トランジスタ部分ではソース電極またはドレイン電極とゲート電極との間、データ配線およびスキャン配線の交点部分ではデータ配線とスキャン配線との間、データ配線およびコモン配線の交点部分ではデータ配線とコモン配線との間において、短絡を抑制することができる。したがって、ライン欠陥の発生を抑制することが可能であり、表示品質に優れる表示装置を実現可能な有機半導体素子を得ることが可能になる。
さらに本発明において、図4(g)に例示するようなトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する場合には、ソース電極およびドレイン電極上に形成された誘電体層を残すことにより、上述のように誘電体層と第2誘電体層であるゲート絶縁層とが積層された誘電体部分を厚膜化することができ、その結果、有機半導体トランジスタ部分の寄生容量を低減することができる。したがって、本発明により製造される有機半導体素子を表示装置に用いた場合には、表示品質を向上させることが可能である。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法における各工程について説明する。
1.有機半導体層形成工程
本発明における有機半導体層形成工程は、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する工程である。
有機半導体層の形成方法としては、例えば、有機半導体材料が溶媒に可溶である場合は、有機半導体材料を溶媒に溶解して有機半導体層形成用塗工液を調製した後、これを基材上の塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等を挙げることができる。一方、有機半導体材料が溶媒に不溶である場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスが挙げられる。
なお、有機半導体層に用いられる有機半導体材料および有機半導体層のその他の点については、上述した「A.有機半導体素子」の項で記載したので、ここでの説明は省略する。
また、有機半導体層が形成される基材上には、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の他に、外部接続端子や検査用端子等の端子が形成されていてもよい。
なお、基材、ソース電極、ドレイン電極、データ配線および端子等については、上述の「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.誘電体層形成工程
本発明における誘電体層形成工程は、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域ならびに上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線が形成されている電極領域の上記有機半導体層上にレジスト層として誘電体層を形成する工程である。
誘電体層は、ソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域ならびにソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成されている電極領域の有機半導体層上に形成される。コンタクトホールを有する有機半導体層および誘電体層を形成する場合には、チャネル領域およびコンタクトホール領域以外の電極領域の有機半導体層上に誘電体層を形成する。誘電体層は、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光に対するマスクとして用いられる。そのため、平面視上、誘電体層の形状は、エッチング後の有機半導体層の形状と同一になる。
誘電体層の形成方法としては、所定の領域の有機半導体層上に誘電体層を形成することが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィ法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法等の印刷法を挙げることができる。
なお、誘電体層に用いられる材料および誘電体層のその他の点については、上述した「A.有機半導体素子」の項で記載したので、ここでの説明は省略する。
3.有機半導体層パターニング工程
本発明における有機半導体層パターニング工程は、上記誘電体層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記誘電体層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングする工程である。本発明においては、有機半導体層パターニング工程後の誘電体層は除去せずに残される。
ここで、「真空紫外光」とは、波長が10nm〜200nmの範囲内である紫外線をいう。本発明に用いられる真空紫外光としては、有機半導体層を所望の時間内に除去できる波長を有していれば特に限定されるものではなく、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類に応じて適切な波長の真空紫外光を用いればよい。中でも、真空紫外光の波長は126nm〜193nmの範囲内、さらに172nmであることが好ましい。このような波長範囲の真空紫外光を用いることにより、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類に関わらず、有機半導体層を短時間でパターニングすることが可能になるからである。
真空紫外光の照射に用いられる光源としては、例えば、エキシマランプ、低圧水銀ランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、真空紫外光の照射量としては、有機半導体層をエッチングできる範囲内であれば特に限定されるものではなく、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類や、真空紫外光の波長等によって適宜調整すればよい。
真空紫外光の照射方法としては、誘電体層および有機半導体層に均一な照射量で真空紫外光を照射できる方法であれば特に限定されない。このような照射方法としては、例えば、誘電体層および有機半導体層の全面を同時に照射する方法、および、光源または誘電体層および有機半導体層が形成された基材の少なくとも一方を移動させながら、誘電体層および有機半導体層の全面を順次に照射する方法を挙げることができる。
中でも、後者の方法を用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、真空紫外光は指向性のない分散光であるため、誘電体層および有機半導体層の全面を同時に照射する方法では、例えば、大面積の誘電体層および有機半導体層に真空紫外光を照射する場合に、中央部と端部とで真空紫外光の照射量に差が生じてしまう可能性がある。しかしながら、誘電体層および有機半導体層の全面を順次に照射する方法によれば、たとえ大面積の誘電体層および有機半導体層に真空紫外光を照射する場合であっても、全面に対して均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
また、上記の順次に照射する方法の中でも、誘電体層および有機半導体層が形成された基材を固定し、光源を移動させながら照射する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば、大面積の誘電体層および有機半導体層に均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
真空紫外光の光源は、1つであってもよく、複数を用いてもよい。また、複数個の光源を用いる場合において、真空紫外光の照射方法として光源を移動させながら照射する方法を用いる場合は、複数個の光源を同時に移動させてもよく、個別に移動させてもよい。
4.第2誘電体層形成工程
本発明においては、上記有機半導体層パターニング工程後に、上記誘電体層上に第2誘電体層を形成する第2誘電体層形成工程を行ってもよい。
第2誘電体層の種類は、上述の図5および図6に例示するように有機半導体トラジスタの構造に応じて異なり、例えばゲート絶縁層、層間絶縁層を挙げることができる。
以下、ゲート絶縁層形成工程および層間絶縁層形成工程について説明する。
(1)ゲート絶縁層形成工程
本発明においては、ゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程が行われる。
ゲート絶縁層形成工程の順序は、有機半導体トラジスタの構造に応じて適宜選択される。
なお、ゲート絶縁層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)層間絶縁層形成工程
本発明においては、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、誘電体層、ゲート電極、ゲート絶縁層等を覆うように層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程を行ってもよい。
なお、層間絶縁層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
5.ゲート電極形成工程
本発明においては、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程が行われる。
ゲート電極形成工程の順序は、有機半導体トラジスタの構造に応じて適宜選択される。
なお、ゲート電極の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
6.外部入出力電極形成工程
本発明においては、上記層間絶縁層上に、コンタクトホールを通じて上記ドレイン電極に接続された外部入出力電極を形成する外部入出力電極形成工程を行ってもよい。
なお、外部入出力電極の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
7.その他の工程
本発明の有機半導体素子の製造方法は、上述した各工程を有する製造方法であれば特に限定されず、必要な工程を適宜選択して追加することができる。
(1)遮光層形成工程
本発明においては、有機半導体層上に遮光層を形成する遮光層形成工程を行ってもよい。
遮光層形成工程の順序は、有機半導体トラジスタの構造に応じて適宜選択される。
なお、遮光層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)パッシベーション層形成工程
本発明においては、有機半導体素子の各層を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を行ってもよい。
なお、パッシベーション層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
8.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子は、ボトムゲートボトムコンタクト型またはトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有するものである。なお、有機半導体素子については、「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
ガラス基材上の全面に銀を厚み40nmでスパッタ蒸着した。次に、銀スパッタ膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布してレジスト層を形成し、フォトマスクを用いた露光および現像工程を経て、レジスト層をパターニングした。次いで、エッチング処理を施して、レジスト層が形成されていない部位の銀スパッタ膜をエッチングした後、レジスト層を除去した。これにより、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を形成した。
次に、チオフェン系ポリマーをキシレンに固形分濃度1wt%にて溶解させた有機半導体のキシレン溶液を準備し、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を形成した基材表面にスピンコートにて塗布し、膜厚50nmの有機半導体層を基材全面に形成した。次いで、紫外線感光性アクリル系樹脂を有機半導体層上にスピンコートしてレジスト層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、レジスト層をパターニングし、チャネル領域ならびにソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うようにレジスト層を形成した。この際、コンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域にはレジスト層が形成されないようにした。
次に、大気下で、波長172nm、照度3mW/cmの真空紫外線を60秒間照射し、レジスト層で覆われている部位以外の有機半導体層をエッチング除去し、有機半導体層のパターニングを行った。
次に、有機半導体層およびレジスト層まで形成された基材上に、紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートしてゲート絶縁層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、ゲート絶縁層のパターニングを行った。この際、ゲート絶縁層にコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、膜厚1μmのゲート絶縁層を形成した。
次に、ゲート絶縁層まで形成された基材上に、Alを厚み200nmでスパッタ蒸着した。続いて、Alスパッタ膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布してレジスト層を形成し、フォトマスクを用いた露光および現像工程を経て、レジスト層をパターニングした。エッチング処理を施して、レジスト層が形成されていない部位のAlスパッタ膜をエッチングした後、レジスト層を除去した。これにより、ゲート電極および中間電極を形成した。
次に、ゲート電極および中間電極まで形成された基材上に、紫外線感光性樹脂をスピンコートして遮光層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、遮光層のパターニングを行った。この際、遮光層にコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、膜厚2μmの遮光層を形成した。
次に、遮光層上に紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートして層間絶縁層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、層間絶縁層のパターニングを行った。この際、層間絶縁層にコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、膜厚4μmの層間絶縁層を形成した。
次に、層間絶縁層上にカーボンペーストをスクリーン印刷にてパターン印刷し、120℃のオーブンにて焼成を行い、膜厚5μmの外部入出力電極を形成した。この工程にて、外部入出力電極と有機半導体トランジスタのドレイン電極とを導通させた。
[比較例1]
有機半導体層をチャネル領域のみに形成したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
[評価]
実施例1および比較例1の有機半導体トランジスタの電気特性を比較したところ、On電流およびOff電流ともに同じ値を示しており、データ配線上に有機半導体層およびレジスト層を形成したことによる特性への悪影響は無かった。
また、比較例1ではデータ配線が酸化したことによる断線が確認されたが、実施例1では酸化による断線は確認されなかった。
1 … 有機半導体素子
2 … 基材
3 … ソース電極
4 … ドレイン電極
5 … データ配線
6 … 有機半導体層
7 … 誘電体層
8 … ゲート絶縁層
9 … ゲート電極
10 … スキャン配線
11 … コモン配線
13 … 遮光層
14 … 層間絶縁層
15 … 第2誘電体層
20 … 外部入出力電極
21 … チャネル領域
22 … 電極領域
23 … コンタクトホール領域
L … 真空紫外光

Claims (4)

  1. 基材と、
    前記基材上に形成され、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線と、
    前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記データ配線を覆うように形成された有機半導体層と、
    前記有機半導体層上に形成された誘電体層と
    を有し、前記有機半導体層および前記誘電体層が同一の形状を有することを特徴とする有機半導体素子。
  2. 前記有機半導体層および前記誘電体層が、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体素子。
  3. 前記誘電体層上に第2誘電体層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機半導体素子。
  4. 金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極の間のチャネル領域ならびに前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記データ配線が形成されている電極領域の前記有機半導体層上にレジスト層として誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、
    前記誘電体層および前記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、前記誘電体層が形成されていない部位の前記有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と
    を有し、前記有機半導体層パターニング工程後の前記誘電体層を残すことを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
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