JP2015033680A - フィルター体 - Google Patents

フィルター体 Download PDF

Info

Publication number
JP2015033680A
JP2015033680A JP2013166704A JP2013166704A JP2015033680A JP 2015033680 A JP2015033680 A JP 2015033680A JP 2013166704 A JP2013166704 A JP 2013166704A JP 2013166704 A JP2013166704 A JP 2013166704A JP 2015033680 A JP2015033680 A JP 2015033680A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
filter medium
activated carbon
filter body
medium part
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013166704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6489735B2 (ja
Inventor
誠 横井
Makoto Yokoi
誠 横井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Futamura Chemical Co Ltd
Original Assignee
Futamura Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Futamura Chemical Co Ltd filed Critical Futamura Chemical Co Ltd
Priority to JP2013166704A priority Critical patent/JP6489735B2/ja
Publication of JP2015033680A publication Critical patent/JP2015033680A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6489735B2 publication Critical patent/JP6489735B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Filtration Of Liquid (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】活性炭の吸着性能を有し、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能なフィルター体を提供する。【解決手段】粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含む活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された中空円筒体形状の濾材部11aを備え、濾材部をその厚さ方向Tに分割して被濾過流体Fの流入側となる流入濾材部Diと被濾過流体Fの流出側となる流出濾材部Doに区分したとき、流出濾材部の硬度が流入濾材部よりも高くしてフィルター体10Aを形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルター体に関し、特に水に含まれる微粒子状物質の除去効率を高めたフィルター体に関する。
現在、濾過対象物の種類、処理能力等が総合的に考慮され、各種形態のフィルター体が提案されている。例えば、比較的大量の被処理水の濾過に適したフィルターにデプスフィルターがある。一般にデプスフィルターは繊維状物を絡めて層状化したフィルターである。被処理水中の粒子状物質はフィルターを通過する間に繊維状物内に捕集され濾過される。このようなデプスフィルターにおいて、繊維状物に各種の活性炭を配合することによって吸着能力を高めたフィルター体が提案されている(特許文献1等参照)。
しかしながら、どのようなフィルター体であっても、濾過時間が長くなるにつれて目詰まりが生じ、濾集能力は低下する。これは、フィルター体において不可避な問題である。そこで、常に一定の濾集能力を維持するべく、適時フィルター体は交換される。
例えば、河川等から直接あるいは間接的に取水した水の場合、微細な鉱物等が不溶物として水中に浮遊していることが多い。そこで、河川水を取水して利用するに際し、水の清浄度を向上させる観点から不溶物除去の濾過も必須である。また、工業用水として利用する場合も最初に水中の微粒子等は除去され、順次高度な濾過が行われる。あるいは、一般家庭においても飲用の直前に水道水や井戸水等が濾過される。このような水中浮遊物の濾過フィルター体には、なるべく長期間の使用が可能であり、その間の濾集能力が維持され、しかも低廉で取り扱いやすい等の特性が求められる。
そこで、活性炭の吸着性能を有し、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、しかも取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能とするべく、デプスフィルターについて種々の検討が重ねられてきた。
特開2012−61390号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、活性炭の吸着性能を有し、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能なフィルター体を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された濾材部を備え、被濾過流体の流入側となる流入濾材部と被濾過流体の流出側となる流出濾材部に区分したとき、前記流出濾材部の硬度が前記流入濾材部よりも高く形成されていることを特徴とするフィルター体に係る。
請求項2の発明は、活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された濾材部を備え、前記濾材部をその厚さ方向の中点位置で2分割して被濾過流体の流入側となる流入濾材部と被濾過流体の流出側となる流出濾材部に区分したとき、前記流出濾材部の硬度が前記流入濾材部よりも高く形成されていることを特徴とするフィルター体に係る。
請求項3の発明は、前記濾材部が、前記活性炭材料と前記バインダーとを含み湿式成形法により成形される請求項1または2に記載のフィルター体に係る。
請求項4の発明は、前記濾材部が中空円筒体形状である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフィルター体に係る。
請求項5の発明は、前記濾材部がブロック体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフィルター体に係る。
請求項6の発明は、前記活性炭材料が粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含み、前記粉末状活性炭は前記繊維状活性炭の1ないし5重量倍配合される請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルター体に係る。
請求項7の発明は、前記粉末状活性炭の中心粒子径が10ないし70μmである請求項6に記載のフィルター体に係る。
請求項8の発明は、前記繊維状活性炭の繊維断面径が30μm以下である請求項6に記載のフィルター体に係る。
請求項9の発明は、前記被濾過流体が水であり、水の濁度低減に用いられる請求項1ないし8のいずれか1項に記載のフィルター体に係る。
請求項1の発明に係るフィルター体によると、活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された濾材部を備え、被濾過流体の流入側となる流入濾材部と被濾過流体の流出側となる流出濾材部に区分したとき、前記流出濾材部の硬度が前記流入濾材部よりも高く形成されているため、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能なフィルター体を実現することができた。
請求項2の発明に係るフィルター体によると、活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された濾材部を備え、前記濾材部をその厚さ方向の中点位置で2分割して被濾過流体の流入側となる流入濾材部と被濾過流体の流出側となる流出濾材部に区分したとき、前記流出濾材部の硬度が前記流入濾材部よりも高く形成されているため、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能なフィルター体を実現することができた。
請求項3の発明に係るフィルター体によると、請求項1または2の発明において、前記濾材部が、前記活性炭材料と前記バインダーとを含み湿式成形法により成形されるため、簡便かつ確実にフィルター体に定形化することができる。
請求項4の発明に係るフィルター体によると、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記濾材部が中空円筒体形状であるため、被濾過流体と接する面積を大きくすることができ、フィルター体としての濾過効率をより高めることができる。
請求項5の発明に係るフィルター体によると、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記濾材部がブロック体であるため、自由な形状に仕上げることができる。また、厚さ方向の長さも濾過対象に応じて比較的自由に設計することができる。
請求項6の発明に係るフィルター体によると、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記活性炭材料が粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含み、前記粉末状活性炭は前記繊維状活性炭の1ないし5重量倍配合されるため、フィルター体の早期の目詰まりを回避しつつ、濾集能力を保持し続けることができる。
請求項7の発明に係るフィルター体によると、請求項6の発明において、前記粉末状活性炭の中心粒子径が10ないし70μmであるため、単位重量当たりの表面積を多くして活性炭の吸着性能及びパーティクルの濾集能力を高めることができる。
請求項8の発明に係るフィルター体によると、請求項6の発明において、前記繊維状活性炭の繊維断面径が30μm以下であるため、構造強度を保ちながら活性炭の吸着性能及びパーティクルの濾集能力を向上できる。
請求項9の発明に係るフィルター体によると、請求項1ないし8のいずれかの発明において、前記被濾過流体が水であり、水の濁度低減に用いられるため、浄水器や濾過装置等へ使用するデプスフィルターとして好適である。
本発明の第1及び第2実施形態のフィルター体の全体図である。 第1実施形態のフィルター体の製造工程を示す概略工程図である。 第3及び第4実施形態のフィルター体の全体図である。 第4実施形態のフィルター体の製造工程を示す概略工程図である。 第1実施形態のフィルター体の濁度除去率と動水圧変化のグラフである。 第3実施形態のフィルター体の濁度除去率と動水圧変化のグラフである。
はじめに本発明に規定するフィルター体の構造から説明する。図1(a)に示す第1実施形態のフィルター体10Aはその中心に芯となる吸着基材部12aを配置し、その周囲に濾材部11aを備える。フィルター体10Aの濾材部11aは中空円筒体形状である。フィルター体10Aの外側が被濾過流体Fの流入側であり、吸着基材部12aを配置した内部が被濾過流体Fの流出側である。従って、被濾過流体Fは濾材部11aの外表面側から濾過部11aの内部に流入し、吸着基材部12aから中空部位(空洞部13a)へ流出することによって、被濾過流体Fの濾過は行われる。
フィルター体10Aの濾材部11aは活性炭材料とバインダーを含んで構成され、濾材部11aのどの部分も構成材料は同一組成である。さらに、濾材部11aの特徴として、当該濾材部の厚さ方向に硬度に差が生じている。活性炭材料は、粒状、粉末状等の適宜の種類、大きさの活性炭を用いることができる。そして、活性炭材料はバインダーと混合され所定形状に加工される。活性炭材料とバインダーの詳細は後述する。
フィルター体10Aの濾材部11aの構造では、厚さ方向は符合Tで示される半径部分に相当する。ただし、吸着基材部12aの半径は除かれる。濾材部11aは厚さ方向Tの中点位置において2分割される。そこで、濾材部11aは被濾過流体Fの流入側となる流入濾材部Diと被濾過流体Fの流出側となる流出濾材部Doに便宜上区分される。フィルター体10Aの濾材部11aでは、前記の流出入方向のとおり、流入濾材部Diは外側であり、流出濾材部Doは内側である。
図1(b)に示す第2実施形態のフィルター体10Bは外殻となる吸着基材部12bを配置し、その内部に濾材部11bを備える。フィルター体10Bの濾材部11bも中空円筒体形状である。フィルター体10Bの内側が被濾過流体Fの流入側であり、吸着基材部12bを配置した外部が被濾過流体Fの流出側である。従って、被濾過流体Fは空洞部13bに面した濾材部11bの内表面側から濾過部11bの内部に流入し、吸着基材部12bからフィルター体の外部へ流出することによって、被濾過流体Fの濾過は行われる。
フィルター体10Bの濾材部11bも活性炭材料とバインダーを含んで構成され、濾材部12bのどの部分も構成材料は同一組成である。さらに、濾材部11bも当該濾材部の厚さ方向に硬度に差が生じている。
フィルター体10Bの濾材部11bの構造でも、厚さ方向は符合Tで示される半径部分に相当する。濾材部11bは厚さ方向Tの中点位置において2分割される。そこで、被濾過流体Fの流入側となる流入濾材部Diと、被濾過流体Fの流出側となる流出濾材部Doに区分される。フィルター体10Bの濾材部11bでは、前記の流出入方向のとおり、流入濾材部Diは内側であり、流出濾材部Doは外側である。
そして、いずれのフィルター体10A及び10Bの濾材部11a、11bによると、流出濾材部Doの硬度(Ho)は流入濾材部Diの硬度(Hi)よりも高く形成されている(Ho>Hi)。濾材部における硬さの測定はJIS K 6253(2012)に準拠し、硬度計(デュロメーター)が用いられる。そこで、図示の濾材部11a,11bの場合、露出面となる円の半径方向に沿って流出濾材部Do及び流入濾材部Diのそれぞれの硬度が計測される。
硬度計(デュロメーター)の計測値は硬度の絶対的な荷重値(Nやkgf)を示すのではなく、相対的な数値を示す。そこで、硬度の大小比較が行われる。硬度が高いとは相対的に密度が高いことを意味する。つまり、活性炭材料とバインダーがより密に詰まっている状態である。濾材部の内部の疎密を簡便に比較する上で都合がよい。
一般に、被濾過流体の濾過に伴い濾材部に濾集物質は蓄積され、フィルター体に目詰まりが生じる。自明ながら最初に被濾過流体と接する部位ほど濾集物質の蓄積は多くなる。濾材部全体が同一密度あるいは流入側が高密度の場合、先に流入側が早く目詰まりして被濾過流体がフィルター体を透過するときの圧力は早期に上昇しやすくなる。このため、流出側の濾材部の濾集能力はまだ残存しているにもかかわらず、流入側の目詰まりに影響され、結果的にフィルター体全体の交換時期が早期に到来してしまうと考えられる。
これに対し、本発明のフィルター体にあっては、被濾過流体の流出入方向から把握されるように、濾材部は流入側を疎とし流出側を密とする形態である。当該形態とすると、前述のような、流出濾材部の濾集能力が残存しているにもかかわらず、先に流入濾材部の濾集能力が低下してしまう問題は改善される。すなわち、被濾過流体は濾材部の内部まで浸透し濾材部の全体での濾集が可能となる。従って、従前のフィルター体と比較すると、使用期間を長くすることができる。
図2を一例として用い、第1実施形態のフィルター体10Aの製造過程とともに使用材料を説明する。フィルター体10Aの吸着性能は活性炭材料に依存する。第1実施形態をはじめとする各実施形態では、活性炭材料に繊維状活性炭と粉末状活性炭の2種類が混合されて使用される。
粉末状活性炭は、石油ピッチ、樹脂粒、樹木、椰子殻、古タイヤ等を原料とし、800ないし1000℃で加熱焼成し適宜賦活して細孔を発達させた活性炭である。そして、概ね中心粒子径10ないし70μmの範囲に粉砕し分級や篩別した活性炭である。粉末状活性炭とすることにより、単位重量当たりの表面積を多くして濾集能力を高めることができる。むろん、当該粒径範囲は中心粒子径であるため、その前後の粒径も含まれる。
繊維状活性炭は、適宜の樹脂繊維を炭化し賦活して得た活性炭であり、例えばフェノール樹脂系、アクリル樹脂系等がある。繊維長や断面径等は適宜であるものの、繊維断面径は30μm以下が好ましい。繊維断面径が大きすぎる場合、配合量の割に表面積が少なくなるため吸着能力向上の点から好ましくない。繊維断面径が細かい繊維状活性炭の場合、吸着性能やパーティクルの濾集能力が優れているため問題ない。
活性炭材料に繊維状活性炭と粉末状活性炭の2種類を使用するに際し、両活性炭同士の重量配合割合は、吸着対象物質、濾集対象微粒子、使用流量、フィルター体自体の大きさ、耐用期間等を考慮して規定される。そのうち、特に、粉末状活性炭は繊維状活性炭の1ないし5重量倍の範囲、好ましくは1ないし4重量倍に規定される。粉末状活性炭の配合が繊維状活性炭の5重量倍を超過する場合、フィルター体の目詰まりが早まることから適切ではない。また、粉末状活性炭の配合が繊維状活性炭の1重量倍(等量)を下回る場合、濾集能力自体が低下する。それゆえ、前述の範囲が適切である。
バインダーは繊維状物からなり、フィブリル化した化学繊維であるアクリル繊維やアラミド繊維、ポリエチレン繊維等から選択される。バインダーは前記の粉末状活性炭、繊維状活性炭を絡めて一体化する。また、バインダーの樹脂は耐久性、耐薬品性に優れているため、フィルター体の耐用期間をより長くすることができる。
活性炭材料とバインダーを一体化する方法は適宜である。ここに湿式成形法を一例として示す。図2に開示するとおり、いったん水中に各種材料を分散させ、吸引して定形化する製法である。はじめに、活性炭材料として前述のとおり規定した粉末状活性炭21及び繊維状活性炭22と、バインダー23が用意される。これら3種類の材料は濾材部を形成する濾材成分である。粉末状活性炭21、繊維状活性炭22、及びバインダー23は適量の水中に分散され、十分に攪拌されて混合スラリー状物20が調製される。
混合スラリー状物20を蓄積するための基礎として吸着基材部12aが用いられる。この吸着基材部12aはポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製芯材や、ステンレス鋼等の金属製芯材、ポリエチレンやポリプロピレン等を原料とする不織布を何重にも巻いて作成した芯材である。いずれの芯材も微細な貫通孔が形成された管状物である。そして、管状の吸着基材部12aの内部に吸引部材26が挿入される。吸引部材26は、表面に多孔を設けた金属製の管状物であり、真空ポンプ(図示省略)等と接続される。
吸着基材部12aの内部に吸引部材26が挿入され、吸引部材26ごと吸着基材部12aは混合スラリー状物20を溜めた水槽内に投入される。次に、混合スラリー状物20は減圧吸引により吸着基材部12a側に集まる。そして、吸着基材部12aの表面に混合スラリー状物20内の濾材成分27が徐々に蓄積される。吸着基材部12aの表面の細孔は粉末状活性炭等よりも小さいため、混合スラリー状物20の水分のみ吸着基材部12aを通過して吸引部材26から吸い出される。しかし、濾材成分27は通過できずにそのまま吸着基材部12a表面に残留する。こうして所定の厚さまで濾材成分27が吸着基材部12a表面に蓄積され、混合スラリー状物20の吸引は終了し、濾材部11aが出来上がる。
混合スラリー状物20の水槽から、吸着基材部12aごと濾材成分27(濾材部11a)は引き上げられる。その後、乾燥機等で濾材部11aは加熱乾燥され、中空円筒体形状の濾材部11aを有するフィルター体10Aが完成する。湿式成形法をまとめると、濾材部が、活性炭材料とバインダーとを含む濾材成分を水中に分散して混合スラリー状物とし、フィルター基材部を通じて混合スラリー状物を吸引することによって濾材成分をフィルター基材部の表面に蓄積する製法である。
フィルター体10Aは、濾材部11aとともに吸着基材部12aも備える。そこで、吸着基材部12aは形状維持のための芯としても役立つ。前述のとおり、フィルター体10Aでは、被濾過流体は濾材部11aの外表面側から濾過部11aの内部に流入し、吸着基材部12aから中空部位へ流出する。このため、濾材部11aの表面は被濾過流体の水圧(動水圧)を受けることから、濾材部11aは常時内部側に圧迫変形される。特に、中空部位を有する円筒体であるため、変形はより顕著となる。ただし、フィルター体10Aは吸着基材部12aを備えているため、被濾過流体から濾材部11aに加わる圧力に対抗でき、当該フィルター体の変形は回避される。
フィルター体10Bの作成においても図2に開示の工程が参考となる。この場合、吸着基材部はポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製であり、微細な貫通孔が形成されている点は共通する。ただし、吸着基材部の内側に濾材部を発達させる都合上、吸着基材部はフィルター体の外殻となる。そのため、吸着基材部はフィルター体とほぼ同じ大きさの円筒の枠体である(図1(b)参照)。例えば、円筒枠体の吸着基材部の外側から混合スラリー状物を吸引して吸着基材部の内側に貼り付かせてもよい。
こうして適量の濾材成分が吸着基材部の内側に貼り付いた後に乾燥が行われる。そして、中空円筒体形状に内面が整えられて吸着基材部の内側に濾材部を形成した第2実施形態のフィルター体10Bが出来上がる。第2実施形態のフィルター体10Bに関する前述の作成方法から推察されるように、円筒枠体の吸着基材部に近いほど濾材成分の蓄積が密となる。そこで、相対的に円筒体の中心に近い濾材部の硬度よりも吸着基材部に近い側の濾材部の硬度が高くなる。
フィルター体10Bは、濾材部11bとともに吸着基材部12bも備える。そこで、吸着基材部12bは形状維持のための外殻としても役立つ。前述のとおり、フィルター体10Bでは、被濾過流体は濾材部11bの内表面側から濾過部11bの内部に流入し、吸着基材部12bからフィルター体の外部へ流出する。このため、濾材部11bの内表面は被濾過流体の水圧(動水圧)を受けることから、濾材部11bは常時内部側から圧迫変形される。特に、中空部位を有する円筒体構造であるため、外側へ広がる変形となる。ただし、フィルター体10Bは最外部に吸着基材部12bを備えているため、被濾過流体から濾材部11bに加わる圧力に対抗でき、当該フィルター体の変形は回避される。
濾材部を中空円筒体形状とするフィルター体では、被濾過流体と接する面積を大きくすることができる。従って、フィルター体としての濾過効率をより高めることができる。
次に図3を用いて第3及び第4実施形態のフィルター体を説明する。図3(a)のフィルター体10Cは、前述の吸着基材部を有さず円筒体の濾材部11cのみからなる形態である。図3(b)のフィルター体10Dは、前述の吸着基材部を有さず直方体の濾材部11dのみからなる形態である。濾材部11c及び11dは活性炭材料とバインダーとを含む組成であり、図示から理解されるようにブロック体である。活性炭材料及びバインダーについては、前述の第1実施形態のフィルター体10Aと同様の材料が用いられる。
フィルター体10Cの濾材部11cでは、厚さ方向は符合Uで示される円筒体の高さ部分に相当する。濾材部11cにおいても厚さ方向Uで分割することができる。便宜上、図示では厚さ方向Uの中点位置で2分割している。そこで、濾材部11cにおいて被濾過流体Fの流入側は流入濾材部Diであり、被濾過流体Fの流出側は流出濾材部Doである。フィルター体10Cの濾材部11aでは、前記の流出入方向のとおり、流入濾材部Diは外側(紙面上側)であり、流出濾材部Doは内側(紙面下側)である。
フィルター体10Dの濾材部11dでは、厚さ方向は符合Uで示される直方体の高さ部分に相当する。濾材部11dにおいても厚さ方向Uで分割することができる。便宜上、図示では厚さ方向Uの中点位置で2分割している。そこで、濾材部11dにおいて被濾過流体Fの流入側は流入濾材部Diであり、被濾過流体Fの流出側は流出濾材部Doである。フィルター体10Dの濾材部11aでも、前記の流出入方向のとおり、流入濾材部Diは外側(紙面上側)であり、流出濾材部Doは内側(紙面下側)である。
図4の概略工程図を用いフィルター体10Cを例にその製造手順の一例を説明する。活性炭材料として前述のとおり規定した粉末状活性炭21及び繊維状活性炭22と、バインダー23が用意される。粉末状活性炭21、繊維状活性炭22、及びバインダー23は適量の水中に分散され、混合スラリー状物20となる。漏斗型(T字型)の吸引部材28が用意され、その開口先端部29に吸着基材部12cが装着される。開口先端部29はこの例では円筒形である。吸着基材部12cは樹脂製もしくは金属製の円盤状の板材であり、微細な貫通孔形成されている。吸引部材28の開口先端部29と反対側に真空ポンプ(図示省略)等が接続される。
そして、吸着基材部12cを装着した吸引部材28ごと混合スラリー状物20を溜めた水槽内に投入される。混合スラリー状物20は減圧吸引により吸着基材部12c側に集まる。そして、吸着基材部12cの表面に混合スラリー状物20内の濾材成分27が徐々に蓄積される。吸着基材部12cの貫通孔は粉末状活性炭等よりも小さいため、混合スラリー状物20の水分のみ吸着基材部12cを通過して吸引部材28から吸い出される。しかし、濾材成分27は通過できずにそのまま吸着基材部12c表面に残留する。こうして所定の厚さまで濾材成分27が吸着基材部12c表面に蓄積され、混合スラリー状物20の吸引は終了し、濾材部11cが出来上がる。フィルター体10Cの製造方法も湿式成形法である。
吸引部材28は混合スラリー状物20の水槽から引き上げられる。濾材部11cのみが乾燥機等で加熱乾燥され、円筒体形状の濾材部11cを有するフィルター体10Cが完成する。当該製法例のとおり、フィルター体10Cの厚さ方向Uとは、濾材部11cを蓄積して厚みを増す方向である。吸着基材部12c表面に近くなるほど濾材成分27が緻密化するため、厚さ方向Uに硬さの高低が生じる。
フィルター体10Dの作成に際しても吸引部材、開口先端部、吸着基材部等の形状を交換するのみであり、フィルター体10Cの作成と全く同様である。ブロック体の濾材部のみのフィルター体は単純な構造であり、作成にあたっての形状の制約が少ない。そこで、図示の形状を含め、需要者側の求めに応じた形状に自在に仕上げることができる。また、当然に厚さ方向の長さも濾過対象に応じて比較的自由に設計することができる。図示を省略しているものの、フィルター体表面の不織布等による被覆、キャップの装着等の適宜の付属品を取り付けてもよい。付属品は、フィルター体の取り扱いの利便性や濾過装置への取り付けの便宜等により取り付けられる。
これまでに詳述した第1ないし第4実施形態のフィルター体10Aないし10Dは、主に水を被濾過流体とし水の浄化や廃水処理等に用いられる。その中でも、水中に浮遊する鉱物やパーティクル(微粒子)等の不溶性成分の除去に良好な濾集能力を発揮する。このため、水の濁度低減に有望である。これは、活性炭材料に粉末状活性炭と繊維状活性炭の2種類を用いて、パーティクルの濾集性能が高められているためである。さらに、当該フィルター体は、飲用水中の不溶性成分を除去する家庭用の浄水器に装填されることに加え、工場廃水の浄化等の産業用途となる。例えば、不溶化した塩類等の浮遊性成分の吸着濾過等が有望である。
〔使用原料〕
・粉末状活性炭
中心粒子径約30μmの椰子殻活性炭(フタムラ化学株式会社製,品名「CB」)(表中、AC1と記する。)、
中心粒子径約70μmの椰子殻活性炭(フタムラ化学株式会社製,品名「CB70」)(表中、AC2と記する。)、
中心粒子径約150μmの椰子殻活性炭(フタムラ化学株式会社製,品名「CW8150」)(表中、AC3と記する。)を用いた。なおAC3の大きさは粒状活性炭に分類される。
「中心粒子径」とは、レーザー光散乱式粒度分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。
・繊維状活性炭
繊維断面直径約15μmのフェノール樹脂系繊維状活性炭(フタムラ化学株式会社製)(表中、AC4と記する。)、
繊維断面直径約30μmのフェノール樹脂系繊維状活性炭(フタムラ化学株式会社製)(表中、AC5と記する。)を用いた。
・バインダー
フィブリル化したアクリル樹脂繊維(東洋紡株式会社製,ビィパル(登録商標))を使用した。
〔フィルター体の作成−1〕
発明者は、前記の原料を用い実施例1ないし6、及び比較例1ないし4のフィルター体を作成した。実施例及び比較例のフィルター体は第1実施形態に開示の形態とした(図1、2参照)。表2ないし表4に提示の原料とその配合(重量部)に基づいて、粉末状活性炭、繊維状活性炭、及びバインダーを水に分散し均質になるまで混合し、実施例及び比較例に対応する混合スラリー状物を調製した。混合スラリー状物における水量は、添加した固形分(濾材成分)のおよそ10重量倍とした。
外直径34mm、内直径30mm、全長100mmの微細な貫通孔を有したポリプロピレン製の中空円筒状の吸着基材部を用意した。当該中空円筒状の吸着基材部内に、ステンレス製の吸引部材を挿入して固定するとともに混合スラリー状物内に投入した。減圧吸引により混合スラリー状物を引き寄せ、吸着基材部の表面に濾材成分を蓄積した。吸引圧力は約−0.04MPaとした。中空円筒状の吸着基材部を引き上げて吸引部材を取り外し、濾材成分と吸着基材部の一体化物を100℃、12時間かけて乾燥した。比較例1については硬度の調整のため乾燥前に表面を押し固めた。
最終的に、各実施例並びに各比較例の吸着基材部を含む直径65mm(一部の例については、表参照のとおり50mm、90mmとした。)、全高100mmの中空円筒体形状のフィルター体を作成した。実施例1と比較例1については次述の硬度の測定のため、それぞれ3個ずつ作成した(実施例1−1,1−2,1−3と比較例1−1,1−2,1−3)。
〔硬度の測定、対比〕
はじめに実施例と比較例のフィルター体における流入濾材部及び流出濾材部の硬度の相違を検証した。硬度の測定に際し、JIS K 6253(2012)に準拠し、株式会社テクロック社製「GS−721N,タイプE(直径2.5mmの半球状の押針を装着)」の硬度計(デュロメーター)を使用した。前掲の図1(a)参照のとおり、濾材部の厚さ方向の中心位置で当該濾材部を2分割し、便宜上、流入濾材部と流出濾材部に区分した。硬度計による測定部位は、流入濾材部及び流出濾材部に相当する円筒の環状の断面である。
そして、ひとつのフィルター体について、流入濾材部の環状断面から任意の5箇所に硬度計を押し当てて数値を読み取りその平均値を求めた。同時に、流出濾材部の環状断面から任意の5箇所に硬度計を押し当てて数値を読み取りその平均値を求めた。このやり方で実施例1−1,1−2,1−3と比較例1−1,1−2,1−3の全てについて硬度計の数値を読み取り平均値を求めた。
各実施例及び各対照例に関する流入濾材部及び流出濾材部の硬度計による測定結果は表1となった。表中、「i−ave」は流入濾材部、「o−ave」は流出濾材部の硬度計の表示値の平均値である。また、「i−ave/o−ave」は双方の硬度の大小比較のための商であり、1より小さい数値であれば流出濾材部の硬度が流入濾材部よりも高いといえる。
Figure 2015033680
表1の結果より、実施例のフィルター体ではいずれも有意に流入側と流出側の濾材部の硬度に差が生じた。しかも、流出濾材部側が流入濾材部側よりも高い硬度となった。これにより、濾材部の内部構造において、疎密が生じていると考える。
〔濾集能力の検証−1〕
フィルター体における硬度差の結果を踏まえ、発明者は、実際の濾集能力への効果を検証した。被濾過流体として、カオリンを分散した試験水(原水)を用いた。当該試験水の調製は、JIS S 3201(2010)の家庭用浄水器試験方法の付属書I−濁度の測定方法に準拠した。試験水に浮遊するカオリンの微粒子(パーティクル)の中心粒子径は約4μmである。
・濁度除去率
実施例及び比較例のフィルター体それぞれに対し、20℃に調温した前記調製の試験水を4L/minの流量(SV値996hr-1)にて通水した。そこで、フィルター体により試験水中から除去されたカオリン量を測定し、濁度除去率(%)を求めた。濁度除去率はJIS S 3201(2010)に準じた。試験水中のカオリンの除去率が80%以上であるフィルター体を「A」と評価した。除去率が50%以上80%未満のフィルター体を「B」、除去率が50%未満のフィルター体を「C」と評価した。
・目詰まりの評価
実施例及び比較例のフィルター体それぞれに対し、前記同様、20℃に調温した前記調製の試験水を4L/minの流量(SV値996hr-1)にて通水しフィルター体に加わる動水圧を測定した。動水圧が0.1MPaを超えた時点の濾過水量が3000L以上のフィルター体を「A」と評価した。濾過水量が1000L以上3000L未満のフィルター体を「B」、濾過水量が1000L未満のフィルター体を「C」と評価した。
・総合評価
実施例及び比較例の個別評価を勘案するとともに、良否を勘案して総合評価を行った。
全て「A」の評価のフィルター体の総合評価を「A」とした。「C」がなく「B」がひとつでも存在するフィルター体の総合評価を「B」とし、「C」が存在するフィルター体を「C」とした。既存品よりも濾過性能を大きく向上したフィルター体は「A」の評価であり、いずれの実施例も「A」の評価である。
実施例及び比較例のフィルター体について、大きさ「外径、内径、全高、及び濾材部厚さ(単位mm)」、材料配合比(重量部)「粉末状活性炭、繊維状活性炭、及びバインダー」、硬度差「i−ave/o−ave(硬度の大小比較)」、濁度除去率、目詰まり、総合評価の各項目の結果は表2ないし4である。また、実施例1及び2、比較例1について、通水量(L)ごとに、濁度除去率(%)と動水圧(MPa)の変化を測定して図5のグラフに表した。
Figure 2015033680
Figure 2015033680
Figure 2015033680
〔濾過の結果と考察−1〕
実施例1と比較例1の間の主な相違は、流入濾材部と流出濾材部の硬度差である(表1参照)。両フィルター体とも、カオリンに代表される微小な水中浮遊物の除去性能は高い。しかし、実施例1の流入濾材部の硬度を下げたフィルター体では、動水圧の変化から流入側の目詰まりが抑制されたことがわかる。すなわち、比較例1のフィルター体よりも、より長期間使用できることを意味する。加えて、両フィルター体の特徴の相違は図5のグラフからも明白である。実施例1のフィルター体では通水量が約3500Lを超えた時点で動水圧は0.1MPaを超えた(図5上段参照)。これに対し、比較例1のフィルター体によると、通水量が約1400Lを超えた時点で動水圧は0.1MPaを超えた(図5中段参照)。
また、実施例2のフィルター体は実施例1と同様の製法であり、使用材料のみ変更した例である。当該フィルター体も実施例1と同様の性能傾向となり、通水量は約4500Lを超えた時点で動水圧は0.1MPaを超えた(図5下段参照)。なお、濁度除去率が実施例1より低くなった理由としては、フィルター原料に粒子径の大きな種類の活性炭を用いたことにより、フィルター層中の空隙が大きくなったためと推定する。ただし、用途に応じて濾集能力は使い分けられるため、実施例2のフィルター体も十分に使用できる。
このように、フィルター体における動水圧と通水量の推移から把握すると、実施例1、2のフィルター体のとおり、流入濾材部側の硬度を流出濾材部よりも低く形成したフィルター体は、その逆の硬度の構成としたフィルター体よりも優れている。それゆえ、濾集能力を比較的長期にわたり維持できるフィルター体を得ることができた。
比較例2は粉末状活性炭のうちさらに粒径を大きくして粒状活性炭を使用したフィルター体であり、他のフィルター体と比較して濁度除去率は悪化した。活性炭の粒径が大きくなったことに伴い微小な水中浮遊物の捕捉に有効な空隙量が減少したことが考えられる。従って、粒度分布の広がりを勘案して有意に中心粒子径150μmより小さくするべきである。そこで、上限は他の実施例等から70μmが適切である。下限については、成形性の良否から中心粒子径10μmが概ね妥当であり、好ましくは実施例の中心粒子径30μmである。
比較例3及び4は繊維状活性炭に対する粉末状活性炭量を増減したフィルター体である。比較例3では繊維状活性炭に比して粉末状活性炭量が少なく、濁度除去率は思わしくない。逆に、比較例4では繊維状活性炭に比して粉末状活性炭量が過剰であり、目詰まりが早まる。そこで良好な濾集能力の発揮と、長期の使用期間の確保の双方を両立する必要がある。この点、比較例4と実施例6との対比から、粉末状活性炭は繊維状活性炭の5重量倍がおおよその上限と考えることができる。下限については、実施例5として開示の等重量倍(1重量倍)が良好であったためこの量とした。従って、粉末状活性炭の好適な配合重量は、繊維状活性炭の重量の1ないし5重量倍であると導き出すことができる。
次に、実施例3及び4は、実施例1と配合を揃え濾材部の厚さを増減して作成したフィルター体である。濾材部自体の厚さを増減しても流出濾材部側の硬度が流入濾材部側より高くすることができた。また、濁度除去率や目詰まりにおいても他の実施例と何ら遜色ない。このことから、フィルター体の大きさを設計する際の自由度は高く、フィルター体を装填する装置、性能、用途等に応じて柔軟に対応できることも明らかにした。
〔フィルター体の作成−2〕
続いて発明者は、ブロック体の中から第3実施形態の円筒体(図3、4参照)のフィルター体を作成した(実施例11,12及び比較例11,12)。表5に提示の原料とその配合(重量部)に基づいて粉末状活性炭、繊維状活性炭、及びバインダーを水に分散し均質になるまで混合し、実施例及び比較例に対応する混合スラリー状物を調製した。混合スラリー状物における水量は、添加した固形分(濾材成分)のおよそ10重量倍とした。
直径40mmの円筒形の口部を備えた吸引部材の内部に吸着基材部を装着するとともに混合スラリー状物内に投入した。減圧吸引により混合スラリー状物を引き寄せ、吸着基材部の表面に濾材成分を蓄積した。吸引圧力は約−0.04MPaとした。吸引部材を引き上げて吸着基材部と濾材成分を取り外し、濾材成分のみを100℃、12時間かけて乾燥した。いずれのフィルター体も直径40mm、全高25mmの偏平な円筒体(円盤状物)である。
〔濾集能力の検証−2〕
濾集能力の検証に際し、前出の同様の試験水(原水)を用いた。実施例11,12、比較例12については、濾材部のうち吸着基材部と接していた側を下方として当該フィルター体と同内径の通水筒に配置した。そして、フィルター体の上部から試験水を通水し下方から排水し、20℃に調温した試験水を所定量通水し続けた。流量は1L/min(SV値1910hr-1)とした。比較例11については実施例11と上下を反転して配置し、同様に試験水を通水した。
・濁度除去率
前述の測定法に準じフィルター体により試験水中から除去されたカオリン量を測定し、濁度除去率(%)を求めた。試験水中のカオリンの除去率が80%以上であるフィルター体を「A」と評価した。除去率が50%以上80%未満のフィルター体を「B」、除去率が50%未満のフィルター体を「C」と評価した。
・目詰まりの評価
前述の測定法に準じフィルター体に加わる動水圧を測定した。動水圧が0.1MPaを超えた時点の濾過水量が600L以上のフィルター体を「A」と評価した。濾過水量が300L以上600L未満のフィルター体を「B」、濾過水量が300L未満のフィルター体を「C」と評価した。
・総合評価
実施例及び比較例の個別評価を勘案するとともに、良否を勘案して総合評価を行った。
全て「A」の評価のフィルター体の総合評価を「A」とした。「C」がなく「B」がひとつでも存在するフィルター体の総合評価を「B」とし、「C」が存在するフィルター体を「C」とした。既存品よりも濾過性能を向上したフィルター体は「A」の評価であり、いずれの実施例も「A」の評価である。
実施例及び比較例のフィルター体について、大きさ「外径、全高(=濾材部厚さ)(単位mm)」、材料配合比(重量部)「粉末状活性炭、繊維状活性炭、及びバインダー」、硬度差「i−ave/o−ave(硬度の大小比較)」、濁度除去率、目詰まり、総合評価の各項目の結果は表5である。また、実施例11及び12、比較例11について、通水量(L)ごとに、濁度除去率(%)と動水圧(MPa)の変化を測定して図6のグラフに表した。
Figure 2015033680
〔濾過の結果と考察−2〕
実施例11と比較例11は同一物であり配置を逆向きとしたことのみ異なる。ただし、試験水と最初に接する側となる流入濾材部と流出濾材部では硬度差がある(表5参照)。濁度除去率の点では同様の効率を示した。しかし、動水圧が0.1MPaに達した時点の通水量で比較すると、実施例11は約700Lであった。しかし、比較例11は約250Lとなった。従って、実施例11のフィルター体もより長期間使用できることを意味する。
また、実施例12のフィルター体も実施例11と同様の傾向を示した。なお、濁度除去率の差は個々の活性炭材料の大きさが異なるためと考える。比較例12は前出の比較例2と同様に粒状活性炭を使用したフィルター体であり、微小な水中浮遊物の捕捉に有効な空隙量が相対的に減少したことが考えられる。
実施例11や12を勘案すると、たとえフィルター体の形状を変更した場合であっても、フィルター体における濾材部に被濾過流体の流路方向に従って硬度の差が設けられており、しかも、被濾過流体の流入側の硬度が流出側よりも低ければ、より良好な濾過能力を保持し続けることが明らかとなった。
〔全体のまとめ〕
以上の試行のとおり、フィルター体の形状を比較的自由としながらも、濾材部における被濾過流体の流路方向に従って硬度が高まる構造を採用する限り、フィルター体の使用時間をより伸ばすことが可能となった。そして、適切な材料とその配合の選択により、不溶性の微粒子の濾集効果を高めることができた。
本発明のフィルター体は、その形状を自由としながらも、カオリン等の不溶性の微粒子の濾集効果を高めることができ、しかも、高い濾集能力を維持したままフィルター体の耐用期間をより長くすることも可能とした。従って、既存を濾過装置や濾過設備の装着するフィルター体との有効な代替品となり得る。
10A,10B,10C,10D フィルター体
11a,11b,11c,11d 濾材部
12a,12b,12c 吸着基材部
13a,13b 空洞部
20 混合スラリー状物
21 粉末状活性炭
22 繊維状活性炭
23 バインダー
26,28 吸引部材
27 濾材成分
Di 流入濾材部
Do 流出濾材部
T,U 厚さ方向
F 被濾過流体

Claims (9)

  1. 活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された濾材部を備え、
    被濾過流体の流入側となる流入濾材部と被濾過流体の流出側となる流出濾材部に区分したとき、前記流出濾材部の硬度が前記流入濾材部よりも高く形成されている
    ことを特徴とするフィルター体。
  2. 活性炭材料とバインダーとを含み同一組成から形成された濾材部を備え、
    前記濾材部をその厚さ方向の中点位置で2分割して被濾過流体の流入側となる流入濾材部と被濾過流体の流出側となる流出濾材部に区分したとき、前記流出濾材部の硬度が前記流入濾材部よりも高く形成されている
    ことを特徴とするフィルター体。
  3. 前記濾材部が、前記活性炭材料と前記バインダーとを含み湿式成形法により成形される請求項1または2に記載のフィルター体。
  4. 前記濾材部が中空円筒体形状である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフィルター体。
  5. 前記濾材部がブロック体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフィルター体。
  6. 前記活性炭材料が粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含み、前記粉末状活性炭は前記繊維状活性炭の1ないし5重量倍配合される請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルター体。
  7. 前記粉末状活性炭の中心粒子径が10ないし70μmである請求項6に記載のフィルター体。
  8. 前記繊維状活性炭の繊維断面径が30μm以下である請求項6に記載のフィルター体。
  9. 前記被濾過流体が水であり、水の濁度低減に用いられる請求項1ないし8のいずれか1項に記載のフィルター体。
JP2013166704A 2013-08-09 2013-08-09 濁度低減フィルター体の製造方法 Active JP6489735B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013166704A JP6489735B2 (ja) 2013-08-09 2013-08-09 濁度低減フィルター体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013166704A JP6489735B2 (ja) 2013-08-09 2013-08-09 濁度低減フィルター体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015033680A true JP2015033680A (ja) 2015-02-19
JP6489735B2 JP6489735B2 (ja) 2019-03-27

Family

ID=52542618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013166704A Active JP6489735B2 (ja) 2013-08-09 2013-08-09 濁度低減フィルター体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6489735B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015112518A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 株式会社タカギ 成形吸着体およびそれを用いた浄水器
JP2019025402A (ja) * 2017-07-28 2019-02-21 フタムラ化学株式会社 フィルター体及びその製造方法
JP2020093188A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 ユニチカ株式会社 浄水フィルター
KR20230078947A (ko) 2020-10-01 2023-06-05 주식회사 쿠라레 흡착 필터

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01152710U (ja) * 1988-04-11 1989-10-20
JPH04271830A (ja) * 1991-02-26 1992-09-28 Osaka Gas Co Ltd 成形吸着体
JPH10192704A (ja) * 1997-01-10 1998-07-28 Toyobo Co Ltd 吸着成形体
JP2000061222A (ja) * 1998-08-18 2000-02-29 Denso Corp 成形濾材の製造方法
JP2001046817A (ja) * 1999-08-12 2001-02-20 Japan Organo Co Ltd カーボンフィルター
JP2003212673A (ja) * 2002-01-25 2003-07-30 Donakku:Kk 円筒一体成形型炭素繊維フィルターおよびその製造方法
JP2005013883A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Kuraray Chem Corp 活性炭成型体及びそれを用いた浄水器
JP2007267695A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Takara Shuzo Co Ltd 酒類処理用活性炭フィルター及びその使用方法
JP2012061390A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Futamura Chemical Co Ltd 浄化用フィルター体

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01152710U (ja) * 1988-04-11 1989-10-20
JPH04271830A (ja) * 1991-02-26 1992-09-28 Osaka Gas Co Ltd 成形吸着体
JPH10192704A (ja) * 1997-01-10 1998-07-28 Toyobo Co Ltd 吸着成形体
JP2000061222A (ja) * 1998-08-18 2000-02-29 Denso Corp 成形濾材の製造方法
JP2001046817A (ja) * 1999-08-12 2001-02-20 Japan Organo Co Ltd カーボンフィルター
JP2003212673A (ja) * 2002-01-25 2003-07-30 Donakku:Kk 円筒一体成形型炭素繊維フィルターおよびその製造方法
JP2005013883A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Kuraray Chem Corp 活性炭成型体及びそれを用いた浄水器
JP2007267695A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Takara Shuzo Co Ltd 酒類処理用活性炭フィルター及びその使用方法
JP2012061390A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Futamura Chemical Co Ltd 浄化用フィルター体

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
吉田 弘之, 多孔質吸着材ハンドブック, JPN7018002316, 23 July 2005 (2005-07-23), JP, pages 91 - 94, ISSN: 0003831900 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015112518A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 株式会社タカギ 成形吸着体およびそれを用いた浄水器
JP2019025402A (ja) * 2017-07-28 2019-02-21 フタムラ化学株式会社 フィルター体及びその製造方法
JP2020093188A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 ユニチカ株式会社 浄水フィルター
KR20230078947A (ko) 2020-10-01 2023-06-05 주식회사 쿠라레 흡착 필터

Also Published As

Publication number Publication date
JP6489735B2 (ja) 2019-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016022399A (ja) 浄水フィルター体
JP2011255310A (ja) 成形吸着体および浄水材
US7828969B2 (en) Liquid filtration systems
JP6101195B2 (ja) 成形吸着体およびそれを用いた浄水器
JP6489735B2 (ja) 濁度低減フィルター体の製造方法
JP2012061390A (ja) 浄化用フィルター体
KR20150068977A (ko) 수처리 필터 및 그 제조 방법
CN111511466B (zh) 吸附过滤器
AU2008283876A1 (en) Liquid filtration systems
EA017592B1 (ru) Фильтр тонкой очистки
TW201634101A (zh) 淨水匣及淨水器
US20090045133A1 (en) Low Pressure Drop Cyst Filter
JP6144655B2 (ja) 成形吸着体およびそれを用いた浄水器
EA026434B1 (ru) Фильтровальная среда, содержащая волокна
JP7271051B2 (ja) 浄水フィルター体
JP6243180B2 (ja) 活性炭成形体及び活性炭成形体の製造方法
JP6080827B2 (ja) 成形吸着体の製造方法
JP2019018154A (ja) 浄水用フィルター体及び浄水器
US20040168984A1 (en) Water purification method
TW202039073A (zh) 淨水用過濾器及具備過濾器之淨水器
JP2019025402A (ja) フィルター体及びその製造方法
JP2008073617A (ja) 水処理用濾過材
JP2020179374A (ja) 残留塩素除去フィルター体
CN101524604A (zh) 一种梯度滤芯的制造方法
JP6695764B2 (ja) 浄水器用活性炭及びそれを用いた浄水器用カートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160720

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6489735

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250