以下、本発明のデューティサイクル補正回路を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路を含むクロック分配回路10を示す図である。
クロック分配回路10は、入力端子11A、11B、出力端子12A、12B、クロックバッファ50、及びデューティサイクル補正回路100を含む。クロック分配回路10は、例えば、一つの半導体回路装置として実現することができる。すなわち、クロック分配回路10は、半導体回路装置による一つのLSI(Large Scale Integrated circuit)チップとして実現することができる。
クロックバッファ50は、直列に接続された複数のバッファ51を有する。各バッファ51は差動形式のバッファであり、差動クロックを伝送する。クロックバッファ50の入力端子は、入力端子11A、11Bに接続されており、クロックバッファ50の出力端子は、デューティサイクル補正回路100の入力端子に接続されている。
デューティサイクル補正(Duty Cycle Corrector:DCC)回路100は、自己の入力端子がクロックバッファ50の出力端子に接続され、自己の出力端子が出力端子12A、12Bに接続される。
入力端子11A、11Bに入力される差動クロックは、クロックバッファ50に含まれる複数のバッファ51によって伝送され、デューティサイクル補正回路100でデューティサイクル(デューティ比)が補正されて、出力端子12A、12Bから出力される。
このようなクロック分配回路10は、クロック生成源から、差動クロックで動作する分配先の回路までの間に配設され、クロック生成源から分配先の回路に差動クロックを伝送する。クロックの分配先の回路は、例えば、演算処理装置、又は、通信用の回路等の種々の回路である。
クロック分配回路10がデューティサイクル補正回路100を含むのは次のような理由による。クロックバッファ50で差動クロックを伝送する距離が長い場合には、各バッファ51のスイッチング閾値のばらつき、又は、構造の非対称性等により、伝送される差動クロックのデューティエラーが大きくなる場合がある。このため、クロックバッファ50から出力されたクロックを分配先の回路に入力する前に、差動クロックのデューティサイクルを補正している。
また、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、クロックバッファ50から入力される差動クロックの信号レベルをレベル変換して出力する。ここでは、一例として、入力端子11A、11Bからクロックバッファ50に入力される差動クロックがCML(Current Mode Logic)レベルのクロックであることとする。また、デューティサイクル補正回路100は、クロックバッファ50から出力されるCMLレベルの差動クロックのデューティサイクルを補正するとともに、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)レベルの差動クロックにレベル変換して出力することとする。このため、出力端子12A、12BからはCMOSレベルの差動クロックが出力される。
CMLレベルの差動クロックは、周波数が高くなっても、CMOSレベルのクロックよりも電源ノイズによるジッタが少なく、また、減衰が少ないため、特に、伝送する差動クロックの周波数が高い場合に用いられることがある。このため、実施の形態1のクロック分配回路10では、CML形式の差動クロックをクロックバッファ50で伝送する。
ところで、差動クロックの分配先の回路がCMLレベルの差動クロックではなく、CMOSレベルの差動クロックで動作する場合がある。例えば、差動クロックの分配先の回路がフリップフロップ等の組み合わせ回路で構築される場合には、CMOSレベルの差動クロックで動作する回路を組む方がチップの面積を小さくでき、都合が良くなるような場合である。
このような場合には、CMLレベルの差動クロックをCMOSレベルの差動クロックにレベル変換する必要がある。このため、実施の形態1のクロック分配回路10は、クロックバッファ50の後段にデューティサイクル補正回路100を設け、デューティサイクル補正回路100において、デューティサイクルの補正に加えて、CMLレベルからCMOSレベルへのレベル変換を行う。
以下では、CMLレベルのクロックをCMLクロックと称し、CMOSレベルのクロックをCMOSクロックと称す。
次に、図2及び図3を用いて実施の形態1のデューティサイクル補正回路100について説明する。図2は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100を示す図である。
デューティサイクル補正回路100は、入力端子101A、101B、出力端子102A、102B、CMLバッファ110、結合キャパシタ120、CMOSバッファ130、差動アンプ140、及び抵抗回路150を含む。
入力端子101A、101Bは、クロックバッファ50(図1参照)に接続され、差動形式のCMLクロックが入力される。また、出力端子102A、102Bは、デューティサイクル補正回路100でレベル変換とデューティサイクルの補正が行われた差動形式のCMOSクロックを出力する。出力端子102A、102Bは、クロック分配回路10(図1参照)の出力端子12A、12Bに接続される。
デューティサイクル補正回路100は、CMLバッファ110から結合キャパシタ120を介してCMOSバッファ130に差動形式のCMLクロックが入力され、CMOSバッファ130から出力される差動形式のCMOSクロックを、差動アンプ140でCMOSバッファ130の入力端子に負帰還する。これにより、デューティサイクル補正回路100は、差動形式のCMLクロックを差動形式のCMOSクロックにレベル変換するとともに、デューティサイクルの補正を行う。なお、抵抗回路150は、CMOSバッファ130の入力動作点を決めるために用いられる。
次に、図3を用いて、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100の具体的な回路構成と動作について説明する。
図3は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100を示す図である。
図3には、デューティサイクル補正回路100の構成要素として、入力端子101A、101B、出力端子102A、102B、CMLバッファ110、結合キャパシタ120、CMOSバッファ130、差動アンプ140、及び抵抗回路150に加えて、ノード125A、125Bを示す。
入力端子101A、101Bには、差動形式のCMLクロックが入力される。また、出力端子102A、102Bは、差動形式のCMOSクロックを出力する。ここでは、一例として、入力端子101A、101Bにそれぞれ入力されるCMLクロックをポジティブ側のクロック(CLKP)、ネガティブ側のクロック(CLKN)として取り扱う。また、出力端子102A、102Bからそれぞれ出力されるCMOSクロックをポジティブ側のクロック(O_P)、ネガティブ側のクロック(O_N)として取り扱う。
CMLバッファ110は、入力端子111A、111B、抵抗器R3、R4、NMOS(N-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ112A、112B、電流源113、及び出力端子114A、114Bを含む。CMLバッファ110は、第1バッファの一例である。
入力端子111A、111Bは、それぞれ、デューティサイクル補正回路100の入力端子101A、101Bに接続されており、クロックバッファ50(図1参照)から差動形式のCMLクロックが入力される。入力端子111A、111Bは、CMLバッファ110の内部では、それぞれ、NMOSトランジスタ112A、112Bのゲートに接続される。
抵抗器R3は、電源VDDと、NMOSトランジスタ112Aのドレインとの間に接続されている。抵抗器R4は、電源VDDと、NMOSトランジスタ112Bのドレインとの間に接続されている。
抵抗器R3、R4は、CMLバッファ110が出力する差動形式のCMLクロックのCMLレベルを規定するために設けられている。
NMOSトランジスタ112A、112Bは、それぞれ、ゲートが入力端子111A、11Bに接続され、ドレインが抵抗器R3、R4に接続され、ソースが電流源113の入力端子に接続される。
NMOSトランジスタ112A、112Bは、入力端子からゲートに入力される差動形式のCMLクロックによって相補的にオン/オフの切り替えが行われる。NMOSトランジスタ112A、112Bが相補的にオン/オフにされることにより、抵抗器R3、R4に相補的に電流が流れ、出力端子114A、114Bから差動形式のCMLクロックが出力される。
電流源113は、入力端子がNMOSトランジスタ112A、112Bのソースに接続され、出力端子が接地される。電流源113は、NMOSトランジスタ112A、112Bがオンになると、電源VDDから抵抗器R3、R4を介して電流を引き込む。
出力端子114A、114Bは、それぞれ、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2の一端に接続されている。また、出力端子114Aは、CMLバッファ110の内部では、抵抗器R4とNMOSトランジスタ112Bのドレインとの接続点に接続されている。同様に、出力端子114Bは、CMLバッファ110の内部では、抵抗器R3とNMOSトランジスタ112Aのドレインとの接続点に接続されている。
結合キャパシタ120は、CMLバッファ110とCMOSバッファ130との間に挿入されており、CMLバッファ110の出力端子114A、114Bと、CMOSバッファ130の入力端子131A、131Bとを交流的に接続している。
結合キャパシタ120は、キャパシタC1、C2を含む。キャパシタC1は、CMLバッファ110の出力端子114Aと、CMOSバッファ130の入力端子131Aとの間に直列に挿入されている。同様に、キャパシタC2は、CMLバッファ110の出力端子114Bと、CMOSバッファ130の入力端子131Bとの間に直列に挿入されている。
結合キャパシタ120は、CMLバッファ110と、CMOSバッファ130とを直流的に遮断するとともに、交流的に接続するために設けられている。すなわち、CMLバッファ110から出力されるCMLクロックは、結合キャパシタ120により、交流成分のみがCMOSバッファ130に伝送される。
このため、結合キャパシタ120を用いることにより、CMLバッファ110から出力されるCMLクロックと、CMOSバッファ130から出力されるCMOSクロックとの周波数を等しくできるとともに、直流成分を異なるようにすることができる。
なお、ここでは、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2にCMLバッファ110から入力される差動形式のCMLクロックをポジティブ側のクロック(I_P)、ネガティブ側のクロック(I_N)として取り扱う。
ノード125A、125Bは、それぞれ、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2の一端(図中右側の端子)、CMOSバッファ130の入力端子131A、131B、及び、抵抗器R1、R2の一端(図中上側の端子)の接続点である。
ノード125A、125Bは、CMOSバッファ130に負帰還接続される差動アンプ140による負帰還ループがCMOSバッファ130の入力端子131A、131Bに接続されるノードである。すなわち、ノード125A、125Bは、差動アンプ140による負帰還ループでCMOSクロックのデューティサイクルが調整されるノードである。
なお、ノード125A、125Bにおける差動形式のクロックをポジティブ側のクロック(ADJ_P)、ネガティブ側のクロック(ADJ_N)として取り扱う。
CMOSバッファ130は、結合キャパシタ120を介してCMLバッファ110に接続されており、CMLバッファ110から結合キャパシタ120を介して入力される差動形式のCMLクロックの交流成分をCMOSレベルにレベル変換することにより、差動形式のCMOSクロックを出力する。
CMOSバッファ130は、入力端子131A、131B、インバータ132A、132B、及び出力端子133A、133Bを含む。
入力端子131A、131Bは、それぞれ、ノード125A、125Bに接続される。入力端子131A、131Bは、CMOSバッファ130の内部では、それぞれ、インバータ132A、132Bに接続される。
インバータ132A、132Bは、それぞれ、2つのインバータが直列に接続されたものである。インバータ132A、132Bの初段の入力端子は、それぞれ、入力端子131A、131Bに接続され、2段目の出力端子は、それぞれ、出力端子133A、133Bに接続される。2つの直列に接続されたインバータ132A、132Bは、それぞれ、CMLクロックをCMOSクロックにレベル変換する。
出力端子133A、133Bは、出力端子102A、102Bに接続される。出力端子133A、133Bは、CMOSバッファ130の内部では、インバータ132A、132Bの出力端子に接続される。
なお、ここでは、CMOSバッファ130のインバータ132A、132Bがそれぞれ2つのインバータを直列接続した回路構成を有する形態について説明するが、直列接続されるインバータ132A、132Bの数は、2つに限られない。図3に示すCMOSバッファ130と差動アンプ140の接続関係の場合、負帰還ループによる位相余裕の範囲内であれば、インバータ132A、132Bの直列段数は、偶数個であれば、4段以上であってもよい。
差動アンプ140は、入力端子141A、141B、電流源142、PMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ143A、143B、NMOSトランジスタ144A、144B、電流源145、及び出力端子146A、146Bを含む。
入力端子141A、141Bは、それぞれ、CMOSバッファ130の出力端子133A、133Bに接続されており、CMOSバッファ130からCMOSクロックが入力される。
電流源142は、入力端子が電源VDDに接続され、出力端子はPMOSトランジスタ143A、143Bのソースに接続されている。
PMOSトランジスタ143Aのゲートは、NMOSトランジスタ144Aのゲートと、入力端子141Aとに接続されている。同様に、PMOSトランジスタ143Bのゲートは、NMOSトランジスタ144Bのゲートと、入力端子141Bとに接続されている。
PMOSトランジスタ143A、143Bのソースは、電流源142の出力端子に接続される。PMOSトランジスタ143Aのドレインは、NMOSトランジスタ144Aのドレインと、出力端子146Aとに接続されている。同様に、PMOSトランジスタ143Bのドレインは、NMOSトランジスタ144Bのドレインと、出力端子146Bとに接続されている。
NMOSトランジスタ144Aのゲートは、PMOSトランジスタ143Aのゲートと、入力端子141Aとに接続されている。同様に、NMOSトランジスタ144Bのゲートは、PMOSトランジスタ143Bのゲートと、入力端子141Bとに接続されている。
NMOSトランジスタ144Aのドレインは、PMOSトランジスタ143Aのドレインと、出力端子146Aとに接続されている。同様に、NMOSトランジスタ144Bのドレインは、PMOSトランジスタ143Bのドレインと、出力端子146Bとに接続されている。NMOSトランジスタ144A、144Bのソースは、電流源145の入力端子に接続されている。
電流源145の入力端子は、NMOSトランジスタ144A、144Bのソースに接続されており、出力端子は接地されている。
出力端子146A、146Bは、それぞれ、抵抗回路150の抵抗器R1、R2を介して、ノード125A、125Bに接続される。出力端子146Aは、差動アンプ140の内部では、PMOSトランジスタ143Aのドレインと、NMOSトランジスタ144Aのドレインとに接続される。同様に、出力端子146Bは、差動アンプ140の内部では、PMOSトランジスタ143Bのドレインと、NMOSトランジスタ144Bのドレインとに接続される。
このように、差動アンプ140は、CMOSバッファ130に対して、負帰還接続されている。
抵抗回路150は、抵抗器R1、R2を含む。抵抗器R1は、差動アンプ140の負帰還ループにおいて、出力端子146Aとノード125Aとの間に直列に挿入される。同様に、抵抗器R2は、差動アンプ140の負帰還ループにおいて、出力端子146Bとノード125Bとの間に直列に挿入される。抵抗回路150の抵抗器R1、R2は、ノード125A、125Bにおける動作点を決めるために挿入されている。
以上のようなデューティサイクル補正回路100では、CMLバッファ110から出力される差動形式のCMLクロックは、結合キャパシタ120で交流成分のみがCMOSバッファ130に伝送される。CMOSバッファ130は、結合キャパシタ120を介してCMLバッファ110から入力される差動形式のCMLクロックをCMOSレベルにレベル変換して出力する。
また、CMOSバッファ130には差動アンプ140が負帰還接続されているため、ノード125A、125Bでは、差動形式のCMOSクロックのデューティサイクルが調整される。従って、CMOSバッファ130から出力される差動形式のCMOSクロックは、デューティサイクルが調整されたクロックとなる。
このため、出力端子102A、102Bからは、デューティサイクルが50%に調整された差動形式のCMOSクロックが出力される。
このように、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、CMLクロックからCMOSクロックへのレベル変換と、デューティサイクルの調整とを同時に行うことができる回路である。
実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、フリップフロップ等のCMOSクロックで動作するクロックの分配先の回路に、デューティサイクルが正しく調整された差動形式のCMOSクロックを供給することができる。
実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、差動クロックを取り扱うため、負帰還ループでは、コモン電圧のフィードバックと、差動電圧のフィードバックとの2つのフィードバックが行われる。
このため、次に、図4及び図5を用いて、CMOSバッファ130と差動アンプ140による負帰還ループにおけるコモン電圧のフィードバックと、差動電圧のフィードバックについて説明する。
図4は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100に生じるコモン電圧を示す図である。図5は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100に生じる差動電圧を示す図である。
図4には、差動クロックのポジティブクロックのコモン電圧を実線の矢印で示し、ネガティブクロックのコモン電圧を破線の矢印で示す。図5には、差動クロックのポジティブクロックの差動電圧を実線の矢印で示し、ネガティブクロックの差動電圧を破線の矢印で示す。
また、上向きの矢印は電圧の変動が正方向(上昇方向)であることを表し、下向きの矢印は電圧の変動が負方向(低下方向)であることを表す。
まず、図4に示すように、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2からノード125A、125Bに入力されるコモン電圧が(1)の矢印で示すように、ともに正方向である場合について考える。
この場合には、CMOSバッファ130の初段のインバータから出力される差動クロックのコモン電圧は、(2)の矢印で示すように負方向になる。
また、CMOSバッファ130の2段目のインバータから出力される差動クロックのコモン電圧は、(3)の矢印で示すように、ともに正方向になる。このため、差動アンプ140の入力端子141A、141Bに入力される差動クロックのコモン電圧も(3)の矢印で示すように正方向である。
また、差動アンプ140は、CMOSバッファ130に対して負帰還接続されているため、差動アンプ140の出力端子146A、146Bから出力される差動クロックのコモン電圧は、(4)の矢印で示すように、ともに負方向になる。
(4)の矢印で示すコモン電圧が負方向になるのは、差動アンプ140がCMOSバッファ130に対して負帰還接続されており、差動アンプ140の入力端子141A、141Bに入力される差動クロックのコモン電圧が(3)の矢印で示すように正方向だからである。
また、抵抗回路150の抵抗器R1、R2からノード125A、125Bに入力される差動クロックのコモン電圧は、(5)の矢印で示すように、負方向になる。これは、差動アンプ140の出力端子146A、146Bから出力される差動クロックのコモン電圧が(4)の矢印で示すように、ともに負方向だからである。
以上より、ノード125A、125Bには、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2から(1)の矢印で示す正方向のコモン電圧が入力されるとともに、抵抗回路150の抵抗器R1、R2から(5)の矢印で示す負方向のコモン電圧が入力される。
従って、ノード125A、125Bにおけるコモン電圧は、約VDD/2になる。
また、図5に示すように、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2からノード125A、125Bに入力される差動電圧が(1)の矢印で示すように、ポジティブ側が正方向でネガティブ側が負方向であり、両者の差が拡がる方向にある場合について考える。
この場合には、CMOSバッファ130の初段のインバータから出力される差動クロックの差動電圧は、(2)の矢印で示すように、ポジティブ側が負方向でネガティブ側が正方向になる。
また、CMOSバッファ130の2段目のインバータから出力される差動クロックの差動電圧は、(3)の矢印で示すように、ポジティブ側が正方向でネガティブ側が負方向になる。このため、差動アンプ140の入力端子141A、141Bに入力される差動クロックの差動電圧も(3)の矢印で示すように、ポジティブ側が正方向でネガティブ側が負方向である。
また、差動アンプ140は、CMOSバッファ130に対して負帰還接続されているため、差動アンプ140の出力端子146A、146Bから出力される差動クロックの差動電圧は、(4)の矢印で示すように、ポジティブ側が負方向でネガティブ側が正方向になる。
また、抵抗回路150の抵抗器R1、R2からノード125A、125Bに入力される差動クロックの差動電圧は、(5)の矢印で示すように、ポジティブ側が負方向でネガティブ側が正方向になる。
以上より、ノード125A、125Bには、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2から(1)の矢印で示す拡がる方向の差動電圧が入力されるとともに、抵抗回路150の抵抗器R1、R2から(5)の矢印で示す方向の差動電圧が入力される。
従って、ノード125A、125Bにおける差動電圧は、打ち消し合い、デューティエラーが補正されることになる。
次に、図6を用いて、デューティエラーが補正される様子について説明する。
図6は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100でデューティエラーが補正される様子を示す図である。図6には、結合キャパシタ120のキャパシタC1、C2に入力される差動形式のCMLクロック(I_P)、(I_N)、ノード125A、125Bにおける差動形式のクロック(ADJ_P)、(ADJ_N)、及び、出力端子102A、102Bから出力されるCMOSクロック(O_P)、(O_N)を示す。
また、図6(A)はデューティサイクルが50%の状態における各クロックの波形を示し、図6(B)はデューティサイクルが50%未満の状態における各クロックの波形を示し、図6(C)はデューティサイクルが50%より大きい状態における各クロックの波形を示す。
また、差動クロックのポジティブ側のクロックを太実線で示し、ネガティブ側のクロックを太破線で示す。また、図6(B)、(C)では、補正前のポジティブ側のクロックを細実線で示し、補正前のネガティブ側のクロックを細破線で示す。
まず、図6(A)に示すように、デューティサイクルが50%の場合は、CMLクロック(I_P)、(I_N)は、それぞれのHレベルとLレベルの区間の長さが等しい。この場合は、ノード125A、125Bにおける差動形式のクロック(ADJ_P)、(ADJ_N)も、それぞれのHレベルとLレベルの区間の長さが等しい。
この結果、出力端子102A、102Bから出力されるCMOSクロック(O_P)、(O_N)のそれぞれのHレベルとLレベルの区間の長さは等しく、デューティサイクルが50%のCMOSクロックがデューティサイクル補正回路100から出力されることになる。
なお、CMLクロック(I_P)、(I_N)の立ち上がり/立ち下がりは、図6(A)に示すように、ある程度寝かせて傾きが緩やかになるようにしている。これは、デューティサイクルが50%からずれている場合に、ノード125A、125Bにおける差動形式のクロック(ADJ_P)、(ADJ_N)を上下させてCMOSバッファ130の反転タイミングを調整することにより、デューティサイクルを変えられるようにするためである。
次に、図6(B)に示すように、デューティサイクルが50%未満の場合は、CMLクロック(I_P)は、Hレベルの区間がLレベルの区間よりも短く、CMLクロック(I_N)は、Hレベルの区間がLレベルの区間よりも長い。
この場合は、ノード125A、125Bにおける差動形式のクロック(ADJ_P)、(ADJ_N)は、矢印で示すように、補正前よりもクロック(ADJ_P)側が正方向でクロック(ADJ_N)側が負方向に調整されることにより、デューティサイクルが増大される。
この結果、出力端子102A、102Bからは、補正前よりもデューティサイクルが増大されて50%に近づけられたCMOSクロック(O_P)、(O_N)がデューティサイクル補正回路100から出力されることになる。
なお、図6(B)の一番下にO_P - O_Nとして示す細破線のクロックは、補正前のCMOSクロック(O_P)から(O_N)を引いた振幅を示す。また、実線は補正前のO_P - O_NのDCレベルを示し、errorは、デューティサイクルが50%の場合のO_P - O_NのDCレベル(破線)に対する差分を表している。
また、図6(C)に示すように、デューティサイクルが50%よりも大きい場合は、CMLクロック(I_P)は、Hレベルの区間がLレベルの区間よりも長く、CMLクロック(I_N)は、Hレベルの区間がLレベルの区間よりも短い。
この場合は、ノード125A、125Bにおける差動形式のクロック(ADJ_P)、(ADJ_N)は、矢印で示すように、補正前よりもクロック(ADJ_P)側が負方向でクロック(ADJ_N)側が正方向に調整されることにより、デューティサイクルが低下される。
この結果、出力端子102A、102Bからは、補正前よりもデューティサイクルが低下されて50%に近づけられたCMOSクロック(O_P)、(O_N)がデューティサイクル補正回路100から出力されることになる。
なお、図6(C)の一番下にO_P - O_Nとして示す細破線のクロックは、補正前のCMOSクロック(O_P)から(O_N)を引いた振幅を示す。また、実線は補正前のO_P - O_NのDCレベルを示し、errorは、デューティサイクルが50%の場合のO_P - O_NのDCレベル(破線)に対する差分を表している。
以上、実施の形態1によれば、インバータ132A、132Bを有するCMOSバッファ130と、負帰還接続される差動アンプ140とを用いることにより、高速動作特性の良好なデューティサイクル補正回路100を提供することができる。
実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、CMLバッファ110から出力されるCMLクロックをCMOSバッファ130でCMOSクロックにレベル変換するとともに、CMOSバッファ130に負帰還接続される差動アンプ140でデューティサイクルを補正している。
CMOSバッファ130は、2つのインバータ132A、132Bを有する簡易な回路であり、CMLクロックの信号レベルをCMOSレベルに確実に変換することができる。このようなレベル変換は、CMLクロックの周波数が増大して確実に行うことができる。
このため、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、周波数が高くなっても、CMOSバッファ130でフル振幅のCMOSクロックを出力することができる。
従って、実施の形態1によれば、高速動作特性の良好なデューティサイクル補正回路100を提供することができる。
なお、CMLレベルの差動クロックのクロックデューティを補正する従来のデューティサイクル補正回路の後段に、CMLレベルからCMOSレベルへのレベル変換を行うレベル変換器を用いることが考えられる。
しかしながら、このように従来のデューティサイクル補正回路の後段にレベル変換器を設けると、デューティサイクル補正回路でデューティサイクルが補正されたクロックのレベル変換を行う際に、クロックにデューティエラーが生じる可能性がある。
これに対して実施の形態1のデューティサイクル補正回路100は、簡易な構成のCMOSバッファ130と、負帰還接続される差動アンプ140とで、デューティサイクルの補正とレベル変換とを同時に行うため、高速動作の実現と、デューティエラーの低減を両立することができる。
また、以上では、CMLレベルの差動クロックをCMOSレベルの差動クロックにレベル変換する形態について説明したが、CMLレベルとCMOSレベルには限られない。
<実施の形態2>
図7は、実施の形態2のデューティサイクル補正回路200を示す図である。デューティサイクル補正回路200は、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100のCMLバッファ110をCMLバッファ210に変更するとともに、周波数電圧変換部260、電圧電流変換部270、及びバイアス生成部280を追加したものである。
このため、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
CMLバッファ210は、実施の形態1のCMLバッファ110と同様に差動形式のCMLクロックを出力するバッファであるが、抵抗器R3、R4(図3参照)の代わりにCMLクロックのCMLレベルを規定するためのトランジスタを含み、トランジスタの抵抗値をバイアス生成部280が出力するバイアス電圧によって調整できるようになっている。なお、CMLバッファ210の詳細については図8を用いて後述する。
周波数電圧変換部260は、F(Frequency)−V(Voltage)変換部であり、CMOSバッファ130から出力されるCMOSクロックの周波数に応じた電圧値を出力する回路である。
電圧電流変換部270は、周波数電圧変換部260から出力される電圧を電流に変換して出力する回路である。
バイアス生成部280は、電圧電流変換部270から出力される電流に応じたバイアス電圧を生成して、CMLバッファ210に入力する。バイアス生成部280が出力するバイアス電圧は、CMLバッファ210のトランジスタの抵抗値を調整するために用いられる。
実施の形態2のデューティサイクル補正回路200は、CMOSバッファ130から出力されるCMOSクロックの周波数に応じて、CMLクロックの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を調整できるようにしたものである。
例えば、ある程度周波数が高い場合でも、フル振幅のCMOSクロックが得られるようにするために、CMLバッファ210が出力するCMLクロックの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を短く設定したとする。
このように設定した場合において、CMLクロックの周波数が低下した場合に、CMLクロックの周期に対して立ち上がり時間及び立ち下がり時間がある程度短くなると、CMLクロックの周波数が低下する前に比べて、ノード125A、125Bにおけるデューティサイクルの調整を行い難くなる可能性がある。
従って、実施の形態2のデューティサイクル補正回路200では、CMOSバッファ130から出力されるCMOSクロックの周波数に応じて、CMLバッファ210でCMLクロックの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を調整できるようにしている。
次に、図8を用いて、実施の形態2のデューティサイクル補正回路200の詳細について説明する。
図8は、実施の形態2のデューティサイクル補正回路200を示す図である。
図8に示すデューティサイクル補正回路200は、入力端子101A、101B、出力端子102A、102B、CMLバッファ210、結合キャパシタ120、ノード125A、125B、CMOSバッファ130、差動アンプ140、抵抗回路150、周波数電圧変換部260、電圧電流変換部270、及びバイアス生成部280を含む。
ここでは、実施の形態1のデューティサイクル補正回路100との相違点を中心に説明する。
CMLバッファ210は、入力端子111A、111B、NMOSトランジスタ112A、112B、出力端子114A、114B、NMOSトランジスタ213、PMOSトランジスタ215A、215Bを含む。CMLバッファ210は、第1バッファの一例である。
NMOSトランジスタ213は、実施の形態1の電流源113(図3参照)の代わりに設けられている。NMOSトランジスタ213のゲートは、バイアス生成部280のNMOSトランジスタ285のゲートに接続されており、NMOSトランジスタ285と同じゲート電圧で駆動される。
NMOSトランジスタ213のドレインは、NMOSトランジスタ112A、112Bのソースに接続されている。NMOSトランジスタ213のソースは接地されている。NMOSトランジスタ213は、バイアス生成部280のNMOSトランジスタ282、285とカレントミラー回路を構築する。
PMOSトランジスタ215A、215Bは、実施の形態1のR3、R4(図3参照)の代わりに設けられている。PMOSトランジスタ215A、215Bは、ゲートがバイアス生成部280のPMOSトランジスタ284のゲートに接続されており、ソースが電源VDDに接続されている。
また、PMOSトランジスタ215Aのドレインは、NMOSトランジスタ112Aのドレインと、出力端子114Bとに接続されている。PMOSトランジスタ215Bのドレインは、NMOSトランジスタ112Bのドレインと、出力端子114Aとに接続されている。
PMOSトランジスタ215A、215Bは、PMOSトランジスタ284とカレントミラー回路を構築する。PMOSトランジスタ215A、215Bは、互いに等しいサイズを有する。
周波数電圧変換部260は、インバータ261A、261B、遅延素子262、EXOR回路263、抵抗器R5、キャパシタC3、及び入力端子264A、264B、及び出力端子265を含む。
インバータ261Aは、自己の入力端子が入力端子264Aを介してCMOSバッファ130の出力端子133Aに接続されており、自己の出力端子が遅延素子262の入力端子と、EXOR回路263の一方(図中上側)の入力端子とに接続されている。ここでは、インバータ261Aが出力するクロックをCK_0とする。
インバータ261Bは、自己の入力端子が入力端子264Bを介してCMOSバッファ130の出力端子133Bに接続されており、自己の出力端子は終端されている(N.C)。
遅延素子262は、自己の入力端子がインバータ261の出力端子に接続され、自己の出力端子がEXOR回路263の他方(図中下側)の入力端子に接続されている。遅延素子262は、インバータ261Aから入力されるクロックCK_0に遅延を与えてクロックCK_delayとして出力する。遅延素子262がクロックCK_0に与える遅延時間は、一例として、CMOSクロックの最高の周波数における周期Tckの1/4(Tck/4)である。
EXOR回路263は、一方の入力端子がインバータ261Aの出力端子に接続され、他方の入力端子が遅延素子262の出力端子に接続される。EXOR回路263の出力端子は、抵抗器R5及び出力端子265を介して、電圧電流変換部270のオペアンプ271の反転入力端子に接続される。
EXOR回路263は、インバータ261Aから入力されるクロックCK_0と、遅延素子262から入力されるクロックCK_delayとの排他的論理和を表すクロックCK_fを出力する。
抵抗器R5は、一端(図中右側の端子)がEXOR回路263の出力端子に接続され、他端(図中左側の端子)がキャパシタC3の一方の端子(図中上側の端子)と、出力端子265とに接続される。
キャパシタC3は、一端が抵抗器R5の他端と、出力端子265とに接続され、他端(図中下側の端子)が接地される。抵抗器R5とキャパシタC3は、EXOR回路263に対して、ローパスフィルタを構築する。このため、周波数電圧変換部260は、抵抗器R5とキャパシタC3とで構築されるローパスフィルタから電圧V_fを出力する。電圧V_fは、DCレベルとして与えられる。
周波数電圧変換部260が出力端子265から出力する電圧V_fは、CMOSバッファ130から周波数電圧変換部260に入力されるCMOSクロックの周波数の増大に伴って増大し、CMOSクロックの周波数の低下に伴って低下する。
電圧電流変換部270は、オペアンプ271、PMOSトランジスタ272、273、抵抗器R6、入力端子274、及び出力端子275を含む。
オペアンプ271は、反転入力端子が入力端子274を介して周波数電圧変換部260の出力端子265に接続され、非反転入力端子がPMOSトランジスタ272のドレインに接続され、出力端子がPMOSトランジスタ272のゲートに接続される。なお、オペアンプ271の非反転入力端子に入力される電圧をVrとする。
PMOSトランジスタ272は、自己のゲートがオペアンプ271の出力端子と、PMOSトランジスタ273のゲートとに接続され、自己のソースが電源VDDに接続され、自己のドレインがオペアンプ271の非反転入力端子と、抵抗器R6の一端(図中上側の端子)とに接続される。
PMOSトランジスタ272は、PMOSトランジスタ273とカレントミラー回路を構築する。
PMOSトランジスタ273は、自己のゲートがPMOSトランジスタ272のゲートに接続され、自己のソースが電源VDDに接続され、自己のドレインが出力端子275に接続される。PMOSトランジスタ273は、PMOSトランジスタ272とカレントミラー回路を構築する。PMOSトランジスタ272、273には、サイズ比に応じた電流I_f, I_fmがそれぞれ流れる。
抵抗器R6は、一端(図中上側の端子)が、オペアンプ271の非反転入力端子と、PMOSトランジスタ272のドレインとに接続され、他端(図中下側の端子)が接地される。
このような回路構成を有する電圧電流変換部270において、オペアンプ271は、非反転入力端子の電圧Vrと反転入力端子に入力される電圧V_fとが等しくなるように動作し、電圧V_fに応じた電流I_fを出力する。
そして、この結果、PMOSトランジスタ272とカレントミラー回路を構築するPMOSトランジスタ273には、サイズ比に応じた電流I_fmが流れる。すなわち、電圧電流変換部270は、周波数電圧変換部260から入力される電圧V_fに応じた電流I_fmを出力する。
バイアス生成部280は、電流源281、NMOSトランジスタ282、オペアンプ283、PMOSトランジスタ284、NMOSトランジスタ285、及び入力端子286を含む。
電流源281は、電源VDDに接続されており、バイアス電流Ibiasを出力する。電流源281の出力端子は、NMOSトランジスタ282のドレインに接続されている。
NMOSトランジスタ282は、ドレインが入力端子286と、電流源281の出力端子と、自己のゲートとに接続され、ソースが接地されている。NMOSトランジスタ282のゲートは、自己のドレインと、NMOSトランジスタ285のゲートと、CMLバッファ210のNMOSトランジスタ213のゲートとに接続されている。
NMOSトランジスタ282は、NMOSトランジスタ285及びNMOSトランジスタ213とカレントミラー回路を構築する。ここで、NMOSトランジスタ282のドレインに流入する電流をI_cml0とする。電流I_cml0は、バイアス電流Ibiasと、電圧電流変換部270の出力端子275から出力される電流I_fmとを合成した電流である。
オペアンプ283は、反転入力端子に電圧Vrefが入力され、非反転入力端子は、PMOSトランジスタ284のドレインと、NMOSトランジスタ285のドレインとに接続されている。オペアンプ283の出力端子は、PMOSトランジスタ284のゲートに接続されている。ここで、オペアンプ283の非反転入力端子に入力される電圧をVLとする。
オペアンプ283は、反転入力端子に入力される電圧Vrefと、非反転入力端子に入力される電圧VLとが等しくなるように動作する。なお、電圧Vrefは、CMLクロックのLレベルを規定する。
PMOSトランジスタ284は、自己のソースが電源VDDに接続され、自己のドレインがNMOSトランジスタ285のドレインと、オペアンプ283の非反転入力端子に接続される。また、PMOSトランジスタ284のゲートは、オペアンプ283の出力端子に接続される。
NMOSトランジスタ285のドレインは、PMOSトランジスタ284のドレインと、オペアンプ283の非反転入力端子とに接続される。NMOSトランジスタ285のソースは接地され、ゲートは、NMOSトランジスタ282のゲートと、NMOSトランジスタ213のゲートとに接続される。
なお、PMOSトランジスタ284とNMOSトランジスタ285のサイズは、PMOSトランジスタ284とPMOSトランジスタ215Aとのサイズ比が、NMOSトランジスタ285とNMOSトランジスタ213とのサイズ比と等しくなるように設定される。このため、電圧Vrefと等しい電圧VLは、CMLクロックのLレベルを規定することになる。
このような回路構成を有するバイアス生成部280では、電圧電流変換部270から入力される電流I_fmに応じた電流I_cml0がNMOSトランジスタ282に流れる。NMOSトランジスタ282、285はカレントミラー回路を構築するため、NMOSトランジスタ285には、NMOSトランジスタ282とのサイズ比に応じた電流I_cmlrが流れる。
NMOSトランジスタ285に電流I_cmlrが流れると、PMOSトランジスタ284にも電流I_cmlrが流れるため、PMOSトランジスタ284のドレインの電圧VLは、電流I_cmlrに応じた電圧値となる。
ここで、オペアンプ283は、反転入力端子に入力される電圧Vrefと、非反転入力端子に入力される電圧VLとが等しくなるように動作するため、オペアンプ283の出力電圧は、電流I_cmlrに応じた電圧値となる。
以上のようにして、バイアス生成部280は、電圧電流変換部270から入力される電流I_fmに応じたバイアス電圧をオペアンプ283から出力する。
そして、この結果、CMLバッファ210では、バイアス生成部280のPMOSトランジスタ284とカレントミラー回路を構築するPMOSトランジスタ215A、215Bが、PMOSトランジスタ284と等しいゲート電圧で駆動される。
また、CMLバッファ210のNMOSトランジスタ213は、バイアス生成部280のNMOSトランジスタ282とカレントミラー回路を構築しており、NMOSトランジスタ282とのサイズ比に応じた電流I_cmlが流れる。
従って、CMLバッファ210のPMOSトランジスタ215A、215Bは、電圧電流変換部270から入力される電流I_fmに応じて駆動されることになり、これは、PMOSトランジスタ215A、215Bが、周波数電圧変換部260の入力端子264Aに入力されるCMOSクロックの周波数に応じて駆動されることを意味する。
以上より、実施の形態2のデューティサイクル補正回路200では、CMOSバッファ130が出力するCMOSクロックの周波数に応じて、CMLバッファ210のPMOSトランジスタ215A、215Bを駆動することができる。
このため、CMOSバッファ130が出力するCMOSクロックの周波数に応じて、CMLバッファ210の出力端子114A、114Bの寄生容量を充電/放電する時間が変わるため、CMLクロックの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を調整できる。
また、CMOSバッファ130が出力するCMOSクロックの周波数に応じて、PMOSトランジスタ215A、215Bのオン抵抗値を制御できる。
ここで、図9を用いて、このようなデューティサイクル補正回路200の動作について説明する。
図9は、実施の形態2のデューティサイクル補正回路200の動作を示す図である。図9(A)、(B)には、インバータ261Aが出力するクロックCK_0、遅延素子262が出力するクロックCK_delay、EXOR回路263が出力するクロックCK_f、ローパスフィルタ(R5とC3)から出力される電圧V_fを示す。
図9(A)は、クロックCK_0の周波数が最大値であり、周期がTckである場合の動作を示す。クロックCK_0は、CMOSバッファ130から出力されるCMOSクロックがインバータ261Aを経て出力されるクロックであるため、クロックCK_0の周波数は、CMOSクロックの周波数と等しい。従って、図9(A)に示す動作は、CMOSクロックが最高の周波数(最短の周期Tck)で動作している場合のものである。
遅延素子262による遅延時間は、周期Tckの1/4(Tck/4)であるため、クロックCK_fは、周波数がクロックCK_0の2倍で、デューティサイクルが50%のクロックになる。
従って、電圧V_fは、VDD/2となる。これは、クロックCK_fのデューティサイクルが50%になるからであり、電圧V_fの値が最大になる場合である。
このように電圧V_fの電圧値が高い場合は、PMOSトランジスタ272、273に流れる電流I_f, I_fmが増大し、これによって電流I_cml0, I_cmlr, I_cmlが増大する。電流I_cmlが増大すると、入力端子111A、111Bにクロックが入力されたときに、出力端子114A、114Bから出力されるCMLクロックの立ち上がり/立ち下がりの時間が短くなる。
これは、出力端子114A、114Bの周辺の寄生容量が充電/放電されるのに要する時間が短くなるためである。なお、出力端子114A、114Bの周辺の寄生容量とは、出力端子114A、114Bに接続される配線、又は、トランジスタ等による寄生容量である。
電圧V_fの電圧値が高い場合は、CMOSクロックの周波数が高い場合であるため、CMOSクロックの周波数が高い場合には、CMLクロックの立ち上がり/立ち下がりの時間が短くなることになる。
また、このように電圧V_fの電圧値が高く、電流I_cml0, I_cmlr, I_cmlが増大すると、オペアンプ283の非反転入力端子に入力される電圧VLは、反転入力端子に入力される電圧Vrefと等しくなるように動作するため、オペアンプ283の出力電圧は低下して、PMOSトランジスタ215A、215Bのソース−ドレイン間の抵抗値は低下する。
このため、PMOSトランジスタ215A、215Bのソース−ドレイン間の低下した抵抗値RLと、増大した電流I_cml(H)により、CMLバッファ210の出力端子114A、114Bから出力されるCMLクロック(I_P)、(I_N)は、X1となる。振幅X1は、X1=RL×I_cml(H)である。
一方、図9(B)は、クロックCK_0の周波数が最大値の半分であり、周期が2Tckである場合の動作を示す。すなわち、図9(B)に示す動作は、CMOSクロックが最高の周波数の半分の周波数(周期2Tck)で動作している場合のものである。
遅延素子262による遅延時間は、周期Tckの1/4(Tck/4)であるため、クロックCK_fは、周波数がクロックCK_0の2倍で、デューティサイクルが25%のクロックになる。
従って、電圧V_fは、VDD/4となる。これは、クロックCK_fのデューティサイクルが25%になるからであり、電圧V_fの値は、図9(A)に示す電圧V_fの半分になる。
このように電圧V_fの電圧値が低い場合は、PMOSトランジスタ272、273に流れる電流I_f, I_fmが減少し、これによって電流I_cml0, I_cmlr, I_cmlが減少する。電流I_cmlが減少すると、入力端子111A、111Bにクロックが入力されたときに、出力端子114A、114Bから出力されるCMLクロックの立ち上がり/立ち下がりの時間が長くなる。
これは、出力端子114A、114Bの周辺の寄生容量が充電/放電されるのに要する時間が長くなるためである。
電圧V_fの電圧値が低い場合は、CMOSクロックの周波数が低い場合であるため、CMOSクロックの周波数が低い場合には、CMLクロックの立ち上がり/立ち下がりの時間が長くなることになる。
また、このように電圧V_fの電圧値が低い場合は、PMOSトランジスタ272、273に流れる電流I_f, I_fmが減少し、これによって電流I_cml0, I_cmlr, I_cmlが減少し、オペアンプ283の非反転入力端子に入力される電圧VLは、反転入力端子に入力される電圧Vrefと等しくなるように動作するため、オペアンプ283の出力電圧は上昇して、PMOSトランジスタ215A、215Bのソース−ドレイン間の抵抗値は増大する。
このため、PMOSトランジスタ215A、215Bのソース−ドレイン間の増大した抵抗値RHと、減少した電流I_cml(L)により、CMLバッファ210の出力端子114A、114Bから出力されるCMLクロック(I_P)、(I_N)は、X2となる。振幅X2は、X2=RH×I_cml(L)である。
従って、振幅X1とX2が等しくなるように、PMOSトランジスタ215A、215B及びNMOSトランジスタ213の動作特性を設定するとともに、オペアンプ283の基準電圧Vrefを設定しておけば、CMLクロックの周波数が増減しても、CMLクロックの振幅を一定にすることができる。
以上、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、CMOSバッファ130に負帰還接続される差動アンプ140を用いることにより、高速動作特性の良好なデューティサイクル補正回路200を提供することができる。
また、これに加えて、実施の形態2によれば、上述のように、CMOSクロックの周波数が高い場合には、CMLクロックの立ち上がり/立ち下がりの時間を短くし、CMOSクロックの周波数が低い場合には、CMLクロックの立ち上がり/立ち下がりの時間を長くする。
このように、CMLクロックの周波数に応じてCMLクロックの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を調整することにより、CMLクロックの周波数が低下しても、ノード125A、125Bにおいてデューティサイクルの調整をより信頼性の高い状態で行うことができる。
また、CMLクロックの周波数が高い場合と低い場合のCMLクロックの振幅X1とX2とが等しいため、CMLクロックの周波数に関わらずに、フル振幅のCMOSクロックを出力することができ、高速動作特性の良好なデューティサイクル補正回路200を提供することができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態のデューティサイクル補正回路について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1信号レベルの第1差動信号を出力する第1バッファと、
前記第1バッファの一対の出力端子にそれぞれ接続される一対の容量素子と、
前記一対の容量素子を介して前記第1バッファの一対の出力端子に接続され、前記第1差動信号を前記第1信号レベルとは異なる第2信号レベルの第2差動信号にレベル変換して出力する第2バッファと、
前記第2バッファの一対の入力端子と一対の出力端子との間に負帰還接続され、前記第2差動信号が一対の入力端子に入力される差動アンプと
を含む、デューティサイクル補正回路。
(付記2)
前記差動アンプの一対の出力端子と、前記第2バッファの一対の入力端子との間にそれぞれ直列に接続される、一対の抵抗器をさらに含む、付記1記載のデューティサイクル補正回路。
(付記3)
前記第2バッファは、前記第1差動信号を前記第2差動信号にレベル変換するインバータを有する、付記1又は2記載のデューティサイクル補正回路。
(付記4)
前記第1差動信号の周波数に応じたバイアス電圧を生成するバイアス回路をさらに含み、
前記第1バッファは、前記第1差動信号の第1信号レベルを設定する一対のトランジスタを有し、
前記一対のトランジスタは、前記バイアス回路が生成する前記バイアス電圧によって駆動される、付記1乃至3のいずれか一項記載のデューティサイクル補正回路。
(付記5)
前記一対のトランジスタは、前記第1差動信号の周波数が低いほど出力電流が小さくなるように前記バイアス電圧によって駆動され、前記第1差動信号の周波数が高いほど出力電流が大きくなるように前記バイアス電圧によって駆動される、付記4記載のデューティサイクル補正回路。
(付記6)
前記バイアス回路は、
前記第2バッファの一対の出力端子に接続され、前記第2差動信号の周波数を電圧に変換して出力する周波数電圧変換部と、
前記周波数電圧変換部が出力する電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、
前記電圧電流変換部が出力する電流に応じて前記バイアス電圧を出力するバイアス生成部と
を有する、付記4又は5記載のデューティサイクル補正回路。
(付記7)
前記第1バッファはCMLバッファであって、前記第1信号レベルの第1差動信号は、CMLレベルの第1差動信号であり、前記第2バッファはCMOSバッファであって、前記第2信号レベルの第2差動信号は、CMOSレベルの第2差動信号である、付記1乃至6のいずれか一項記載のデューティサイクル補正回路。