本発明は、天井面等に直接取り付けられるLED照明装置の改良に関し、特に発光ユニットを器具本体に、円滑に、かつ、適切に装着することに関するものである。
近年、環境意識の高まりから、省電力化に優れたLED素子を光源に使用した、電源内蔵型の電球型LEDランプが普及してきた。更に最近は、天井埋め込み型のダウンライトや、天井直付け型のシーリングライトにおいても、LED素子を使用した照明装置が開発され、市場に導入されてきている。
このようなLED照明装置は、一般に、天井面等の被取付面に取り付けられ電源等を内蔵する器具本体と、この器具本体に装着される発光ユニットとを備え、発光ユニットの長手方向の端部等に設けられたV字状バネを、その付勢力に抗して指で間隔を狭めて器具本体に形成されたバネ受けに挿入して復元力によりバネ受けに係合させることにより、発光ユニットを器具本体に装着していた(例えば、特許文献1、2等参照)。
しかし、これらの従来技術のように、単にV字状バネを使用すると、指でバネの付勢力に抗してバネの間隔を狭めるのに多大な力を要すると共に、指に力を入れて適切に狭められた間隔を維持しつつ、V字状バネの先端を本体に設けられたバネ受け内に挿入しなければならないため、簡易にかつ迅速に位置決めをすることが困難であり、発光ユニットの装着作業に手間と時間を要する問題があった。
また、このようなV字状バネを、特に発光ユニットの長手方向の両側面に相対向して複数設けた場合には、それだけ作業箇所、ひいては、作業工程数が増大し、作業性を益々低下させる問題も生じさせていた。更には、その結果、いったん発光ユニットを器具本体に取り付けた後は、発光ユニットの器具本体からの取り外しが、作業の困難性から、実質的に不可能であり、発光ユニットが故障した場合の交換や、メンテナンス作業が行えない問題も生じていた。
特許第3538964号公報
特許第4078491号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、少ない工程数及び簡易な作業で、適切に位置決めしつつ、円滑にかつ的確に発光ユニットを器具本体に装着することができると同時に、発光ユニットの交換やメンテナンスを簡易に行うことができるLED照明装置を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、発光ユニットの器具本体への着脱構造を改善して、発光ユニットを簡易に器具本体に着脱することを可能としたものである。
具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、被取付面に取り付けられる器具本体と、この器具本体に装着される発光ユニットとを備えたLED照明装置であって、発光ユニットは、LED素子が実装されたLED基板と、LED素子を点灯させる電源回路とを配設した放熱板と、この放熱板を覆う透光性カバーを有し、
発光ユニットは、器具本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、放熱板は位置調整部品を有し、発光ユニットは、この位置調整部品により位置決めされながら器具本体に装着されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、透光性カバーは、透光性カバーの弾性変形力により放熱板を挟み込むことによって放熱板に固定されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、発光ユニットのLED素子と透光性カバーとの間の間隔を調整することにより、透光性カバーにおける光の出射の分布が調整されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第4の解決手段において、発光ユニットのLED素子と透光性カバーとの間の間隔が、32mmに設定されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、発光ユニットは、バネ受けに復元力により係合するバネにより器具本体に取り付けられ、このバネは、V字バネ固定部品に固定されたV字バネから成り、発光ユニットはV字バネ固定部品により位置決めされながら器具本体に装着されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、発光ユニットは、バネ受けに復元力により係合するバネにより器具本体に取り付けられ、このバネは、相対向して配置された複数のコイルバネ部と、コイルバネ部から延出してフレーム状に成形されたフレーム部とから成っていることを特徴とする照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第7の解決手段において、バネのフレーム部は、コイルバネ部が設置されている面に向けて付勢され、付勢力に抗してバネ受けに挿入されてバネ受けを引き寄せることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第7又は第8のいずれかの解決手段において、フレーム部は、コイルバネ部から延びる略コの字状の形状を有することを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第1乃至第9のいずれかの解決手段において、フレーム部は、一部に屈曲部を有することを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明によれば、上記のように、発光ユニットは、器具本体に着脱自在に取り付けられているため、発光ユニットの交換やメンテナンスを簡易に行うことができる実益がある。
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、発光ユニットは、放熱版に設けられた位置調整部品により位置決めされながら器具本体に装着されているため、適切に位置決めしつつ、円滑にかつ的確に発光ユニットを器具本体に装着することができる実益がある。
また、本発明によれば、上記のように、透光性カバーを、透光性カバーの弾性変形力により放熱板に固定しているため、放熱板に挿入するだけで、簡単に、かつ、安定的に放熱板に装着して固定することができる実益がある。
更に、本発明によれば、上記のように、発光ユニットのLED素子と透光性カバーとの間の間隔を適正な値に調整することにより、透光性カバーにおける光の出射の分布が調整されているため、LED素子からの光が透光性カバーに到達する前に拡散するので、透光性カバーにおいてLED素子のグレアを解消した光の射出が可能となり、光を均一に照射することができる実益がある。
加えて、本発明によれば、上記のように、発光ユニットは、V字バネ固定部品により位置決めされながらV字バネにより器具本体に装着されているため、適切に位置決めしつつ、円滑にかつ的確に発光ユニットを器具本体に装着することができる実益がある。
同様に、本発明によれば、上記のように、発光ユニットを器具本体に装着するためのバネを、相対向して配置された複数のコイルバネ部と、このコイルバネ部から延出してフレーム状に成形されたフレーム部とから形成しているため、作業者が、例えば、1本の指等でこのフレーム部を持ち上げる等するだけで、バネ受けに係合することができ、発光ユニットの装着作業を容易とすることができる実益がある。
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、バネのフレーム部は、一部に屈曲部を有するため、自由状態において設置面からフレーム部の一部が盛り上がるようにして配置されるため、作業のための指等をフレーム部に挿入しやすく、装着作業がより一層簡易となる実益がある。
本発明のLED照明装置の外観斜視図である。
本発明のLED照明装置の分解斜視図である。
本発明のLED照明装置の縦断面図である。
本発明に用いられるV字バネによる位置決め状態を示す斜視図である。
本発明に用いられるV字バネの斜視図である。
本発明に用いられる位置調整部を備えた放熱板の斜視図である。
本発明のLED照明装置の連結部分の拡大斜視図である。
本発明に用いられる他の実施の形態のバネによる位置決め状態を示す斜視図である。
本発明に用いられる他の実施の形態におけるバネ及びバネ受けの斜視図である。
以下に本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本実施形態は一例であり、これに限定されるものではない。
図1乃至図4は、本発明のLED照明装置100を示し、このLED照明装置100は、図1乃至図4に示すように、被取付面である天井面8に取り付けられる器具本体1と、この器具本体1に装着される発光ユニット2とを備えた照明器具10から成っている。このLED照明装置100は、図1乃至図4に示すように、天井面8から出ている吊りボルト6に器具本体1が下方に開口してナット7で止められ、器具本体1に発光ユニット2が開放側から着脱自在に装着される。器具本体1に、外部電源線(Fケーブル)5が接続され、LED照明装置100はコーニス照明として使用可能となる。
(1.器具本体)
器具本体1は、ステンレス板を使用して、打抜加工、プレス加工、折曲加工によって作成されて、塗装されている。図1乃至図3に示すように、器具本体1は直方体で一方が開口された形状で、中心部に円形の電源用孔13が開口し、電源用孔13と器具本体1の両端部の間に取付け孔14が2ヶ所形成されている。また、器具本体1の開放側反対面の天井面8に接する面に、複数の凸部を設けて天井面8の凹凸を吸収する構造となっている。
この器具本体1は、図1乃至図3に示すように、天井面8から出ている吊りボルト6に取付け孔14を挿入して、ナット7により天井面8に仮止めされる。さらに、天井面8から出ている外部電源線5を器具本体1の電源用孔13を通して器具本体1の内側に引き込んで、器具本体1の送り端子付速結端子11に挿入して接続される。その後、吊りボルト6のナット7を締めることにより、位置決めされた状態で器具本体1を天井面8に固定することができる。なお、器具本体1の内部側壁には、図3に示すように、発光ユニット2を開口側で装着させるためのV字バネ30を挟持する一対のバネ受け12が2組設けられている。
また、器具本体1には、特に図7に示すように、後述する連結治具4の係止部43、44が挿入される嵌合孔15が形成されている。この嵌合孔15は、図7に示すように、器具本体1の上面において器具本体1の長手方向に延びる一対の長方形状に形成されている。また、嵌合孔15は、図7に示すように、隣り合う他の照明器具10の端面又は側面付近に位置する器具本体1の長手方向における両端部に設けられている。複数の器具本体1は、連結する複数の器具本体1の嵌合孔15に、連結治具4を挿入することにより、相互に適正な位置に位置決めして連結することができる。
(2.発光ユニット)
発光ユニット2は、図2及び図3に示すように、複数のLED素子26が実装されたLED基板24と、LED素子26を点灯させる電源回路28とを配設した放熱板23と、この放熱板23を覆う透光性カバー21とを有している。より具体的には、発光ユニット2は、図2及び図3に示すように、光源であるLED素子26が搭載されている略長方形状であるLED基板24の裏面を放熱板23の下方に設置し、放熱板23の上方にLED素子26用の電源回路28を設置する。LED基板24と放熱板23を覆うように配置された透光性カバー21により発光ユニット2として一体化される。
この発光ユニットは、図2乃至図5に示すように、バネ受け12に復元力により係合するバネにより器具本体1に取り付けられる。このバネは、具体的には、図2乃至図5に示す実施の形態においては、V字バネ固定部品31に固定されたV字バネ30から成っている。これらの器具本体1と装着するためのV字バネ30とV字バネ固定部品31は、透光性カバー21の上面に配設されている。この発光ユニット2は、このV字バネ30により、器具本体1に着脱自在に取り付けられている。
この発光ユニット2は、このV字バネ固定部品31により位置決めされながら器具本体1に装着される。具体的には、このV字バネ30は、図3乃至図5に示すように、放熱板23に固定されているV字バネ固定部品31に取付けられている。器具本体1と発光ユニット2を固定するときには、器具本体1の長辺開口部端面1aと、発光ユニット2におけるV字バネ固定部品31の外側面31aが接することにより、発光ユニット2の短手方向の位置決めを行いながら固定する。発光ユニット2を円滑に器具本体1に装着できるように、V字バネ固定部品31の外側面31aは、上方が内側に傾斜している形状になっている。これにより器具本体1と発光ユニット2の短手方向が、正確に位置決めすることができ、均一に光を照射することができる。
LED基板24は、片面に銅箔が貼られたガラスコンポジット基板(CEM−3)から成り、片側にLED素子26と電子部品とが実装されている。放熱板23は、アルミを使用して、押出成形による一体成形で作成されている。器具本体1の送り端子付速結端子11から、電源線を電源回路28に結線し、電源回路28の出力をLED基板24に結線することにより、LED照明装置100を構成する。
(2.−1 LED基板)
LED基板24は、図2に示すように、複数のLED基板単体24a、24bを組み合わせて成っている。より具体的には、LED基板24は、図2に示すように、長方形の形状である第1のLED基板単体24aと、第2のLED基板単体24bとから成り、この第1のLED基板単体24aと第2のLED基板単体24bとが長手方向に連続して配置されるように、両者の端面同士を対向させて配置されている。
この場合、第1のLED基板単体24aと、第2のLED基板単体24bは、図2に示すように、同一の形状を有し、これを180°転回して対称に配置して、LED基板24を構成している。このように、同一の形状のLED基板単体24a、24bを使用することにより、単一の形状のLED基板単体24a、24bのみを用意して、単にこれを組み合わせれば足りるため、LED基板単体24a、24bの製造コストを低減することができる。
また、これらのLED基板単体24a、24bには、図2に示すように、端面の一部を切り欠いて形成されたLED基板の凹部24c、24dが形成されている。より具体的には、図2に示すように、LED基板単体24a、24bの一方の端面の中央部分に略半円形状に形成されたLED基板の凹部24c、24dが設けられている。
複数のLED基板単体24a、24bは、図2に示すように、隣り合うLED基板単体24a、24bとの間で、このLED基板の凹部24c、24d同士を対向して配置されることにより、隣り合うLED基板単体24a、24bとの間で、これらのLED基板の凹部24c、24dから成る配線貫通孔を形成する。電源回路28から直流電力をLED基板24に供給するための電線は、この配線貫通孔を通じて配線される。なお、このように、複数のLED基板単体24a、24b間で、LED基板の凹部24c、24dにより配線貫通孔を形成する場合においても、同一の形状を有するLED基板単体24a、24bを180°転回して対称に配置するだけで対応することができる。
また、各LED基板単体24a、24bのLED基板の凹部24c、24dの両側には、電源回路28からの電線を各LED基板単体24a、24bに固定するためのLED基板端子が設けられている。
これらの各LED基板単体24a、24bに実装された複数のLED素子26間の間隔と、隣り合うLED基板単体24a、24bのLED素子26間の間隔が略等しく形成されている。このため、図2に示すように、複数のLED基板単体24a、24bを連続して配置しても、全てのLED基板単体24a、24b間でLED素子26が均等に配置され、LED基板単体24a、24b間の区切りを意識させない程度に連続して発光させて、光を均一に照射することができる。
この場合、LED基板単体24a、24bは、各LED基板単体24a、24bにおける複数のLED素子26間の間隔bを、他のLED基板単体24a、24bと対向する端面から最も近いLED素子26までの間隔aよりも大きく形成することにより、隣り合うLED基板単体24a、24bのLED素子26間の間隔を略等しく形成することができる。
具体的には、LED基板24に実装されているLED素子26は、図示の実施の形態では、図3に示すように、LED基板24の長手方向に4列で整列して配置されており、各LED基板単体24a、24bの他のLED基板単体24a、24bと対向する端面から最も近い列のLED素子26cまでの間隔aより、各LED基板単体24a、24bにおける複数のLED素子26d間の間隔bの方が大きく設定されている(a<b)。
このように、a<bとする場合において、他のLED基板単体24a、24bと対向する端面から最も近いLED素子26までの間隔aを、各LED基板単体24a、24bにおける複数のLED素子26間の間隔bの1/2となるように設定して、それぞれの列のLED素子26間を略等間隔とするのが、望ましいということができる。これにより、複数のLED基板単体24a、24bを連続して配置しても、全てのLED基板単体24a、24b間でLED素子26が均等に配置され、LED基板単体24a、24b間の区切りを意識させない程度に連続して発光して、透光性カバー21が均一な明るさとなり、更に、本発明のLED照明装置100を、複数連結して使用する場合においても、各LED照明装置100間において、同様の効果を得ることが可能となる。なお、複数のLED基板単体24a、24b間に若干の間隙を形成する場合には、それをも考慮して、LED素子26の配列を設定する。
なお、LED基板24のうち、LED素子26の実装面側に、高反射シートを貼合することや、高反射用樹脂を塗布することにより、光取り出し効率を向上させることができる。また、このLED基板24に実装されるLED素子26としては、公知の種々のLED素子や、有機EL素子等を用いることができる。図示の実施の形態では、照明用の白色光を発光する高輝度タイプのLED素子が用いられている。
(2.−2 LED基板配線)
LED基板24には、複数のLED素子26が実装されて、各LED素子26を光らせるための配線がされている。この場合、LED基板24に実装されたLED素子26の2つの端子に接続される基板配線の面積が、第1の端子に接続される第1の基板配線と第2の端子に接続される第2の基板配線とで異なるように設定する。
これは、LED素子26は光出射するときに、発熱するために放熱を行う必要が生じるため、基板配線の配線面積を大きくして、少しでも多くの放熱を行う必要がある。この場合、端子からの放熱量は、LED素子26の端子配線面積により変わってくるので、実装するLED素子26の仕様に合わせて端子配線面積を変えて放熱量を最適にすることにより、LED素子26の効率を改善するためである。これにより、各端子毎に適した基板配線の面積を確保することにより、各LED素子26の性能に応じた放熱量を確保して、発光効率の低下を抑制して、複数のLED素子26間やLED基板単体24a、24b間で、光の均一な照射を確保することができる。従って、この基板配線の面積は、実装されるLED素子26毎に、性能に応じて設定する。
(2.−3 放熱板)
放熱板23は、アルミニウムの押出成形によって一体に成形されている。このため、プレス加工等する場合に比べて、容易な作業で、複雑な形状に成形することができる。
本発明においては、特に図3に示すように、この放熱板23の上方に電源回路28が、下方にLED基板24が固定されて、放熱を行える構造となっている。この場合、電源回路28は、図3に示すように、放熱板23との間に空間を設けて、放熱板23に配設されている。より具体的には、図3に示すように、放熱板23の短手方向(幅方向)の中央部において、LED基板24を固定する基板部23aの上方に間隔を隔てて電源回路28を搭載する電源台23bが設けられている。これにより、電源台23bの下方と基板部23aの間には、十分な放熱効果を得るために、空間が設けられた構造となっている。この放熱板23の構造により、電源回路28や放熱板23は、この空間にも放熱して放熱効率を高めることができ、放熱板23に搭載されているLED基板24と電源回路28は、十分な放熱効果を発揮することができ、電源回路28と放熱板23との間で熱がこもって発光効率が低下するのを防止することができる。
また、その空間を設けるための放熱板23の構造を利用して、図3に示すように、放熱板23の下方にLED基板24を第1のネジ29aにより固定するために、LED基板24の固定孔に合わせて放熱板23にネジ29を挿入する第1の溝部23dが設けられている。この第1の溝部23dは、アルミニウムにより一体に成形されているので、ステンレス製の第1のネジ29aを用いることにより、予め又は新たにネジ溝を設けることなく、第1のネジ29aを圧入することで、放熱板23にネジ溝を形成しながらLED基板24を放熱板23に固定している。これにより、この第1の溝部23dに第1のネジ29aを回し込みながら圧入していくだけで同時にネジ溝も形成されていくため、放熱板23に予め又は設置時に新たにネジ溝を形成しておくことなく、LED基板24を放熱板23に固定することができ、簡易な構造で、製造のコストと手間を削減することができる。
更に、この放熱板23は、特に図6に示すように、位置調整部品35を有し、発光ユニット2は、この位置調整部品35により位置決めされながら器具本体1に装着されている。より具体的には、図6に示すように、器具本体1と発光ユニット2を固定するときに用いる、長さ方向の位置決めを行うL字形状の位置調整部品35が、放熱板23の長さ方向両端面で、ステンレス製等の第2のネジ29bを第2の溝部23eにねじ込んで取り付けられている。この第2の溝部23eは、アルミニウムにより一体で作成されているので、ステンレス製等の第2のネジ29bを用いることにより、予め又は新たにネジ溝を設けることなく、第2のネジ29bをねじ込むことで、放熱板23にネジ溝を形成しながら位置調整部品35を放熱板23に固定している。これにより、部品コストと工数の低減を図ることができる。そして、この位置調整部品35が、器具本体1の短辺開口部端面1bと接することにより、発光ユニット2の長さ方向の位置決めを行いながら固定する。これにより器具本体1と発光ユニット2の長さ方向が、正確に位置決めすることができ、均一に光を照射することができる。
さらに、放熱板23の上部には、図3に示すように、透光性カバー21の端部が挿入されるカバー挿入部23cが設けられ、このカバー挿入部23cを介して、透光性カバー21を放熱板23に取り付けることにより、透光性カバー21によって放熱板23を覆い、発光ユニット2を構成している。
(2.−4 透光性カバー)
透光性カバー21は、図2及び図3に示すように、ポリカーボネートを使用して、断面が略ロ字形状に押出成形によって一体に成形されている。このため、プレス加工等する場合に比べて、容易な作業で、複雑な形状に成形することができる。
この透光性カバー21は、その上部を、図3に示すように、下方にLED基板24を配設した放熱板23のカバー挿入部23cに挿入することにより、器具本体1に装着される。この場合、透光性カバー21は、その弾性変形力により放熱板23に固定される。即ち、透光性カバー21は、自由状態において、若干、内側へ撓むようにして形成され、放熱板挿入部を拡張しながら、カバー挿入部23cに挿入されることにより、弾性変形による復元力によって、放熱板23を挟み込むことができる。このため、透光性カバー21を放熱板23に挿入するだけで、簡単に、かつ、安定的に放熱板23に装着して固定することができる。
また、この透光性カバー21の端部を、図2に示すように、端部透光性カバー22で覆うことにより、透光性カバー21で反射された光が拡散反射され、これが繰り返されて、端部透光性カバー22まで光が達する。これによって、透光性カバー21と端部透光性カバー22の全面を光らせることができ、光源として均一に光を照射することができる。
また、透光性カバーの両端部に設置される端部透光性カバー22の厚さは、透光性カバーの両端部と接する部分を、他の部分より薄くしていることにより、透光性カバー21と端部透光性カバー22の全面において、LED素子26からの光を均一に照射することが可能となっている。
本発明においては、この光ユニット2のLED素子26と透光性カバ21ーとの間の間隔を調整することにより、透光性カバーにおける光の出射の分布が調整されている。具体的には、発光ユニット2のLED基板24に搭載されているLED素子26と、透光性カバー21の下面側までの距離は、LED基板24に搭載される各列のLED素子間の距離よりも大きく設定されている。
これにより、LED素子26からの光が透光性カバー21に到達する前に広がるので、透光性カバー21にてLED素子26のグレアを解消した光の射出が可能となる。図示の実施の形態では、具体的には、発光ユニット2のLED素子26と透光性カバー21の間隔を32mmに設定することにより、対応することができ、これにより、透光性カバー21と端部透光性カバー22の全面において、LED素子26からの光を均一に照射することが可能となっている。
(3.連結治具)
本発明の照明装置100を複数連結して使用する場合においては、図7に示すように、複数の照明装置100に跨って取り付けられて、これらの複数の照明器具10を相互に連結させる連結治具4を使用することができる。
この連結治具4は、図1及び図7に示すように、複数の器具本体1に跨る治具本体41、42と、この治具本体41、42から器具本体1側へ向けて延びる係止部43、44とから成り、図7に示すように、この係止部43、44が器具本体1に設けられた嵌合孔15に挿入されて複数の照明器具10を相互に連結させる。この連結治具4は、具体的には、例えば、ステンレス板を、打抜加工、プレス加工、折曲加工等することにより形成することができ、図1及び図7に示すように、嵌合孔15に対応する位置及び形状に係止部43、44が形成される。
この連結治具4としては、相互に連結する照明器具10の形態によって、複数の実施の形態が考えられる。具体的には、第1の形態として、図6(A)〜(C)に示すように、複数の器具本体1を、器具本体1の長手方向における端面同士を対向させて配置する直列接続パターンを挙げることができる。この第1の形態である直列接続パターンにおいては、連結治具4は、図7(A)〜(C)に示すように、隣り合う2つの器具本体1を長手方向における端面同士を対向させて配置した場合における各々の嵌合孔15の位置及び形状に対応して、長方形状に形成された治具本体41において、長辺側の短辺寄りの両端から略コの字状に延出するようにして形成された4つの係止部43を有する。
また、第2の形態として、図7(D)に示すように、一方の器具本体1の長手方向における端面と他方の器具本体1の長手方向における側面とを対向させて配置する、コーナー接続パターンを挙げることができる。この第2の形態であるコーナー接続パターンにおいては、連結治具4は、図7(D)に示すように、隣り合う2つの器具本体1を一方の器具本体1の長手方向における端面と他方の器具本体1の長手方向における側面とを対向させて配置した場合における各々の嵌合孔15の位置及び形状に対応して、長方形状に形成された治具本体42において、長辺側の一方端を略コの字状に延出して形成された2つの係止部43と、長辺側の他方端の短辺をL字状に延出して形成された1つの係止部44を有する。
本発明のLED照明装置100においては、図7に示す、これらの直列接続とコーナー接続との2つの形態を組み合わせることにより、LED照明装置100による照明システムを構成することが、可能となっている。この場合、照明器具10の器具本体1に形成される嵌合孔15は、図7に示すように、単に器具本体1の配列を変えるだけで、1つの形態で、どちらの連結パターンにも対応することができる。
(4.連結)
これらの連結治具4を用いて、複数の照明装置100を連結させるためには、第1の形態である直列接続パターンの場合は、図7(A)〜(C)に示すように、相互に連結する器具本体1を天井面8等への連結面を上に並べて、連結する器具本体1の両端に設けられている全ての嵌合孔15へ連結治具4の係止部43を上面から挿入することにより、一体化する。
一方、第2の形態であるコーナー接続パターンの場合は、図7(D)に示すように、連結する器具本体1を天井面8等への連結面を上に並べて、接続する器具本体1の両端に設けられている嵌合孔15へ連結治具4の係止部43と係止部44を上面から挿入することにより、一体化する。この場合、短辺側に形成された係止部44は、図6(D)に示すように、他方の器具本体1から見て遠い位置にある奥側の嵌合孔15に挿入される。
連結されたLED照明装置100として光を均一に照射するためには、一体化された器具本体1の間隔を、等間隔にすることが求められている。また、器具本体1と透光性カバー21の光出射に係わる温度による伸縮が大きく異なるので、温度による伸縮を考慮すると1mm単位の位置決め精度が求められることになる。そのために、連結する器具本体1の間隔を1mm間隔とする必要であり、連結する器具本体1の位置決めが難しくなっている。この場合、本発明に使用される連結治具4を使用することにより、連結する器具本体1の間隔について正確に位置決めを行うことができる。LED照明装置100の配置に対応して、第1の形態と第2の形態を組み合わせることにより、多彩な配置に対応することが可能となっている。
(5.スライド)
なお、LED照明装置100は、天井面8に対してスライド(移動)させることができる機能を付加することができる。器具本体1に設けられている2つの取付け孔14を、長穴にすることにより、吊りボルト6との位置関係を調整することができる。それにより、例えば部屋の間仕切りを変更する場合に、LED照明装置100を、間仕切りの妨げにならない位置に移動させることが可能となる。さらに、間仕切り終了後にもとの部屋に戻すことも簡単にでき、多様に使用することが可能となる。
また、新たに吊りボルト6を設けた取付板を天井面8に固定し、取付板の吊りボルト6を用いて同様であるスライドの構造とすることも可能である。そのとき、取付板の長手方向寸法を短くすれば、スライドさせた時に、取付板がLED照明装置100の範囲を外れて見えることをなくすことができる。
(6.天井面等の被取付面への設置)
本発明のLED照明装置100は、以下のように被取付面である天井面8や壁等に取り付けることができる。即ち、まず、天井面8からLED照明装置100の配置に合わせて、吊りボルト6が設けられており、器具本体1の電源用孔13に合わせて、天井面8に直径15mmの孔をあけて、該孔から外部電源線5を引き出す。
次に、設置するLED照明装置100の器具本体1を、上述したように、連結治具4を用いて連結する。器具本体1は、連結した器具本体1の取付け孔14を、天井面8からの吊りボルト6に合わせて、天井面8に位置決めして、吊りボルト6をナット7により止めることで仮止めされる。
更に、外部電源線5を器具本体1の電源用孔13から引き出し、外部電源線5の2本の芯線を、送り端子付速結端子部11に挿着する。送り端子付速結端子11から、隣接する器具本体1の送り端子付速結端子11に器具本体1の端部の送り孔16を用いて配線する。これにより、天井面8から引き出す外部電源線5の配線を少なくすることが可能となる。仮止めされていた器具本体1は、吊りボルト6のナット7を本締めして、天井面8等に固定する。
最後に、取付けられた器具本体1から発光ユニット2へ配線すると共に、発光ユニット2を器具本体1の長辺開口部端面1aと、発光ユニット2におけるV字バネ固定部品31の外側面31aを接しさせると共に、位置調整部品35が、器具本体1の短辺開口部端面1bと接することにより、発光ユニット2との位置決めを行いながらV字バネ30により固定して、LED照明装置100による照明システムが完成する。これにより器具本体1と発光ユニット2の長さ方向が、正確に位置決めすることができ、均一に光を照射することができる。
(7.バネの他の実施の形態)
発光ユニット2は、図2乃至図5に示す実施の形態においては、V字バネ30を使用して、器具本体1に取り付けたが、バネの形態は必ずしも、このV字バネ30に限定されるものではなく、他の実施の形態とすることもできる。具体的には、例えば、図8及び図9に示すように、コの字バネ32を使用することができる。このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、発光ユニット2の幅方向における中央部における2カ所に設けられている。従って、発光ユニット2の位置決めが容易であると共に、発光ユニット2の長手方向における両端にバネ等を設ける場合(2カ所の両端に設けて計4カ所に設ける場合)に比べて、コの字バネ32の装着箇所、ひいては、作業工程数を減少させることができ、装着作業をより一層簡易にすることができる。
このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、放熱板23の2ヵ所に第2の溝部23eに第2のネジ29bで固定されたコの字バネ固定部品33に取り付けられて配設されている。このコの字バネ32に対応するように器具本体1側に配設されている2個のコの字バネ受け34に、コの字バネ32を挿入して固定される。
このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、放熱板23に相対向して配置された複数のコイルバネ部32bと、このコイルバネ部32bから延出してフレーム状に成形されたフレーム部32aとから成っている。従って、V字バネ30と異なり、2本の指で両端のバネ間の間隔を狭める等の作業をすることなく、コの字バネ受け34に装着することができる。
この場合、図8及び図9に示すように、このフレーム部32aの一部に屈曲部32dを設けることが望ましい。これにより、フレーム部32aは、自由状態において設置面からその一部が盛り上がるようにして配置されるため、作業のための指等をこの盛り上がったスペース内に挿入してフレーム32aを持ち上げ易くなり、装着作業がより一層簡易となる。
また、このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、そのフレーム部32aが、コイルバネ部32bが設置されている面(図示の実施の形態では、放熱板23)に向けて付勢されている。従って、屈曲部32dに指を挿入して、この付勢力に抗して、フレーム部32aを持ち上げて、器具本体1に設けられたコの字バネ受け34に挿入した後、その弾性変形を解除することにより、コの字バネ32はコの字バネ受け34を引き寄せることができ、これにより、コの字バネ32を備えた発光ユニット2を器具本体1に装着することができる。
更に、このコの字バネ32は、フレーム部32aが、コイルバネ部32bに近づくに連れ幅が狭くなるように設定されている。これにより、コの字バネ32のフレーム部32aを、コの字バネ受け34に挿入し易くなると共に、安定的に係止することができる。
このコの字バネ32は、バネ端部32cが、コイルバネ部32bの両端から延設されて、コの字バネ固定部品33の固定金具33bに係止され、このコの字バネ固定部品33が、放熱板23に爪部33cと固定金具33bにより固定されることにより、コの字バネ32が放熱板23に取り付けられる。このコの字バネ固定部品33は、中央部の中心軸部33dから延伸しているバネ保持部33aによって、コイルバネ部32bを係止する。
一方、このコの字バネ32を係止するコの字バネ受け34は、図8及び図9に示すように、器具本体1に設けられ、長方形を略コの字状に成形したコの字バネ受け34の両端を固定するために、両端から延伸して固定部34aを設けて、器具本体1にネジで固定する。コの字バネ受け34は、コの字バネ受け34の側部34cで挟まれている底部34bから内側に曲げた係止部34dを有する。
また、より安全に器具本体1に発光ユニット2を装着するために、器具本体1側のコの字バネ受け34に紐の一方端を固定して、他方端にフックを固定した落下防止用の紐を設ける。装着するときに、他方端のフックをコの字バネ固定部品33に掛止することにより、発光ユニット2を仮固定することができるので、さらに安全に装着することができる。
なお、図示の実施の形態では、図8に示すように、器具本体1にコの字バネ受け34を、放熱板23にコの字バネ32及びコの字バネ固定部品33を設置したが、必ずしも、この形態に限定されるものではなく、器具本体1にコの字バネ32及びコの字バネ固定部品33を、放熱板23にコの字バネ受け34を設置することもできる。後者の場合には、コの字バネ32をその付勢力に抗して変形させながら同時にコの字バネ32を把持して発光ユニット2ごと引き上げる必要がなく、面倒な力作業を要することなく、簡易に発光ユニット23を器具本体1に装着することができるメリットがある。
(8.その他)
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明は、ショールームやホール、更に、会議室や事務所等の各居室や廊下、玄関等の天井面や壁面等に沿って設置されるLED照明装置として、広く適用することができる。
1:器具本体
1a:長辺開口部端面
1b:短辺開口部端面
11:送り端子付速結端子
12:バネ受け
13:電源用孔
14:取付け孔
15:嵌合孔
16:送り孔
2:発光ユニット
21:透光性カバー
22:端部透光性カバー
23:放熱板
23a:基板部
23b:電源台
23c:カバー挿入部
23d:第1の溝部
23e:第2の溝部
24:LED基板
24a:第1のLED基板単体
24b:第2のLED基板単体
24c:第1のLED基板の凹部
24d:第2のLED基板の凹部
26:LED素子
28:電源回路
29:ネジ
29a:第1のネジ
29b:第2のネジ
30:V字バネ
31:V字バネ固定部品
31a:外側面
32:コの字バネ
32a:フレーム部
32b:コイルバネ部
32c:バネ端部
32d:屈曲部
33:コの字バネ固定部品
33a:バネ保持部
33b:固定金具
33c:爪部
33d:中心軸部
34:コの字バネ受け
34a:固定部
34b:底部
34c:側部
34d:係止部
35:位置調整部品
4:連結治具
41:治具本体
42:治具本体
43:係止部
44:係止部
5: 外部電源線
6:吊りボルト
7:ナット
8:天井面
10:照明器具
100:LED照明装置
本発明は、天井面等に直接取り付けられるLED照明装置の改良に関し、特に発光ユニットを器具本体に、円滑に、かつ、適切に装着することに関するものである。
近年、環境意識の高まりから、省電力化に優れたLED素子を光源に使用した、電源内蔵型の電球型LEDランプが普及してきた。更に最近は、天井埋め込み型のダウンライトや、天井直付け型のシーリングライトにおいても、LED素子を使用した照明装置が開発され、市場に導入されてきている。
このようなLED照明装置は、一般に、天井面等の被取付面に取り付けられ電源等を内蔵する器具本体と、この器具本体に装着される発光ユニットとを備え、発光ユニットの長手方向の端部等に設けられたV字状バネを、その付勢力に抗して指で間隔を狭めて器具本体に形成されたバネ受けに挿入して復元力によりバネ受けに係合させることにより、発光ユニットを器具本体に装着していた(例えば、特許文献1、2等参照)。
しかし、これらの従来技術のように、単にV字状バネを使用すると、指でバネの付勢力に抗してバネの間隔を狭めるのに多大な力を要すると共に、指に力を入れて適切に狭められた間隔を維持しつつ、V字状バネの先端を本体に設けられたバネ受け内に挿入しなければならないため、簡易にかつ迅速に位置決めをすることが困難であり、発光ユニットの装着作業に手間と時間を要する問題があった。
また、このようなV字状バネを、特に発光ユニットの長手方向の両側面に相対向して複数設けた場合には、それだけ作業箇所、ひいては、作業工程数が増大し、作業性を益々低下させる問題も生じさせていた。更には、その結果、いったん発光ユニットを器具本体に取り付けた後は、発光ユニットの器具本体からの取り外しが、作業の困難性から、実質的に不可能であり、発光ユニットが故障した場合の交換や、メンテナンス作業が行えない問題も生じていた。
特許第3538964号公報
特許第4078491号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、少ない工程数及び簡易な作業で、適切に位置決めしつつ、円滑にかつ的確に発光ユニットを器具本体に装着することができると同時に、発光ユニットの交換やメンテナンスを簡易に行うことができるLED照明装置を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、発光ユニットの器具本体への着脱構造を改善して、発光ユニットを簡易に器具本体に着脱することを可能としたものである。
具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、被取付面に取り付けられる器具本体と、この器具本体に装着される発光ユニットとを備えたLED照明装置であって、発光ユニットは、LED素子が実装されたLED基板と、LED素子を点灯させる電源回路とを配設した放熱板と、この放熱板を覆う透光性カバーを有し、発光ユニットは、バネ受けに復元力により係合するバネにより器具本体に取り付けられ、バネは、V字バネ固定部品に固定されたV字バネから成り、発光ユニットはV字バネ固定部品により位置決めされながら器具本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、被取付面に取り付けられる器具本体と、この器具本体に装着される発光ユニットとを備えたLED照明装置であって、発光ユニットは、LED素子が実装されたLED基板と、LED素子を点灯させる電源回路とを配設した放熱板と、この放熱板を覆う透光性カバーを有し、発光ユニットは、バネ受けに復元力により係合するバネにより器具本体に着脱自在に取り付けられ、バネは、相対向して配置された複数のコイルバネ部と、このコイルバネ部から延出してフレーム状に成形されたフレーム部とから成っていることを特徴とする照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第2の解決手段において、バネのフレーム部は、コイルバネ部が設置されている面に向けて付勢され、付勢力に抗してバネ受けに挿入されてバネ受けを引き寄せることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第2又は第3のいずれかの解決手段において、フレーム部は、コイルバネ部から延びる略コの字状の形状を有することを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第2乃至第4のいずれかの解決手段において、フレーム部は、一部に屈曲部を有することを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、放熱板は位置調整部品を有し、発光ユニットは、位置調整部品により位置決めされながら器具本体に装着されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、透光性カバーは、透光性カバーの弾性変形力により放熱板を挟み込むことによって放熱板に固定されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第1乃至第7いずれかの解決手段において、発光ユニットのLED素子と透光性カバーとの間の間隔を調整することにより、透光性カバーにおける光の出射の分布が調整されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第8のいずれかの解決手段において、発光ユニットのLED素子と透光性カバーとの間の間隔が、32mmに設定されていることを特徴とするLED照明装置を提供するものである。
本発明によれば、上記のように、発光ユニットは、器具本体に着脱自在に取り付けられているため、発光ユニットの交換やメンテナンスを簡易に行うことができる実益がある。
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、発光ユニットは、放熱板に設けられた位置調整部品により位置決めされながら器具本体に装着されているため、適切に位置決めしつつ、円滑にかつ的確に発光ユニットを器具本体に装着することができる実益がある。
また、本発明によれば、上記のように、透光性カバーを、透光性カバーの弾性変形力により放熱板に固定しているため、放熱板に挿入するだけで、簡単に、かつ、安定的に放熱板に装着して固定することができる実益がある。
更に、本発明によれば、上記のように、発光ユニットのLED素子と透光性カバーとの間の間隔を適正な値に調整することにより、透光性カバーにおける光の出射の分布が調整されているため、LED素子からの光が透光性カバーに到達する前に拡散するので、透光性カバーにおいてLED素子のグレアを解消した光の射出が可能となり、光を均一に照射することができる実益がある。
加えて、本発明によれば、上記のように、発光ユニットは、V字バネ固定部品により位置決めされながらV字バネにより器具本体に装着されているため、適切に位置決めしつつ、円滑にかつ的確に発光ユニットを器具本体に装着することができる実益がある。
同様に、本発明によれば、上記のように、発光ユニットを器具本体に装着するためのバネを、相対向して配置された複数のコイルバネ部と、このコイルバネ部から延出してフレーム状に成形されたフレーム部とから形成しているため、作業者が、例えば、1本の指等でこのフレーム部を持ち上げる等するだけで、バネ受けに係合することができ、発光ユニットの装着作業を容易とすることができる実益がある。
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、バネのフレーム部は、一部に屈曲部を有するため、自由状態において設置面からフレーム部の一部が盛り上がるようにして配置されるため、作業のための指等をフレーム部に挿入しやすく、装着作業がより一層簡易となる実益がある。
本発明のLED照明装置の外観斜視図である。
本発明のLED照明装置の分解斜視図である。
本発明のLED照明装置の縦断面図である。
本発明に用いられるV字バネによる位置決め状態を示す斜視図である。
本発明に用いられるV字バネの斜視図である。
本発明に用いられる位置調整部を備えた放熱板の斜視図である。
本発明のLED照明装置の連結部分の拡大斜視図である。
本発明に用いられる他の実施の形態のバネによる位置決め状態を示す斜視図である。
本発明に用いられる他の実施の形態におけるバネ及びバネ受けの斜視図である。
以下に本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本実施形態は一例であり、これに限定されるものではない。
図1乃至図4は、本発明のLED照明装置100を示し、このLED照明装置100は、図1乃至図4に示すように、被取付面である天井面8に取り付けられる器具本体1と、この器具本体1に装着される発光ユニット2とを備えた照明器具10から成っている。このLED照明装置100は、図1乃至図4に示すように、天井面8から出ている吊りボルト6に器具本体1が下方に開口してナット7で止められ、器具本体1に発光ユニット2が開放側から着脱自在に装着される。器具本体1に、外部電源線(Fケーブル)5が接続され、LED照明装置100はコーニス照明として使用可能となる。
(1.器具本体)
器具本体1は、ステンレス板を使用して、打抜加工、プレス加工、折曲加工によって作成されて、塗装されている。図1乃至図3に示すように、器具本体1は直方体で一方が開口された形状で、中心部に円形の電源用孔13が開口し、電源用孔13と器具本体1の両端部の間に取付け孔14が2ヶ所形成されている。また、器具本体1の開放側反対面の天井面8に接する面に、複数の凸部を設けて天井面8の凹凸を吸収する構造となっている。
この器具本体1は、図1乃至図3に示すように、天井面8から出ている吊りボルト6に取付け孔14を挿入して、ナット7により天井面8に仮止めされる。さらに、天井面8から出ている外部電源線5を器具本体1の電源用孔13を通して器具本体1の内側に引き込んで、器具本体1の送り端子付速結端子11に挿入して接続される。その後、吊りボルト6のナット7を締めることにより、位置決めされた状態で器具本体1を天井面8に固定することができる。なお、器具本体1の内部側壁には、図3に示すように、発光ユニット2を開口側で装着させるためのV字バネ30を挟持する一対のバネ受け12が2組設けられている。
また、器具本体1には、特に図7に示すように、後述する連結治具4の係止部43、44が挿入される嵌合孔15が形成されている。この嵌合孔15は、図7に示すように、器具本体1の上面において器具本体1の長手方向に延びる一対の長方形状に形成されている。また、嵌合孔15は、図7に示すように、隣り合う他の照明器具10の端面又は側面付近に位置する器具本体1の長手方向における両端部に設けられている。複数の器具本体1は、連結する複数の器具本体1の嵌合孔15に、連結治具4を挿入することにより、相互に適正な位置に位置決めして連結することができる。
(2.発光ユニット)
発光ユニット2は、図2及び図3に示すように、複数のLED素子26が実装されたLED基板24と、LED素子26を点灯させる電源回路28とを配設した放熱板23と、この放熱板23を覆う透光性カバー21とを有している。より具体的には、発光ユニット2は、図2及び図3に示すように、光源であるLED素子26が搭載されている略長方形状であるLED基板24の裏面を放熱板23の下方に設置し、放熱板23の上方にLED素子26用の電源回路28を設置する。LED基板24と放熱板23を覆うように配置された透光性カバー21により発光ユニット2として一体化される。
この発光ユニットは、図2乃至図5に示すように、バネ受け12に復元力により係合するバネにより器具本体1に取り付けられる。このバネは、具体的には、図2乃至図5に示す実施の形態においては、V字バネ固定部品31に固定されたV字バネ30から成っている。これらの器具本体1と装着するためのV字バネ30とV字バネ固定部品31は、透光性カバー21の上面に配設されている。この発光ユニット2は、このV字バネ30により、器具本体1に着脱自在に取り付けられている。
この発光ユニット2は、このV字バネ固定部品31により位置決めされながら器具本体1に装着される。具体的には、このV字バネ30は、図3乃至図5に示すように、放熱板23に固定されているV字バネ固定部品31に取付けられている。器具本体1と発光ユニット2を固定するときには、器具本体1の長辺開口部端面1aと、発光ユニット2におけるV字バネ固定部品31の外側面31aが接することにより、発光ユニット2の短手方向の位置決めを行いながら固定する。発光ユニット2を円滑に器具本体1に装着できるように、V字バネ固定部品31の外側面31aは、上方が内側に傾斜している形状になっている。これにより器具本体1と発光ユニット2の短手方向が、正確に位置決めすることができ、均一に光を照射することができる。
LED基板24は、片面に銅箔が貼られたガラスコンポジット基板(CEM−3)から成り、片側にLED素子26と電子部品とが実装されている。放熱板23は、アルミを使用して、押出成形による一体成形で作成されている。器具本体1の送り端子付速結端子11から、電源線を電源回路28に結線し、電源回路28の出力をLED基板24に結線することにより、LED照明装置100を構成する。
(2.−1 LED基板)
LED基板24は、図2に示すように、複数のLED基板単体24a、24bを組み合わせて成っている。より具体的には、LED基板24は、図2に示すように、長方形の形状である第1のLED基板単体24aと、第2のLED基板単体24bとから成り、この第1のLED基板単体24aと第2のLED基板単体24bとが長手方向に連続して配置されるように、両者の端面同士を対向させて配置されている。
この場合、第1のLED基板単体24aと、第2のLED基板単体24bは、図2に示すように、同一の形状を有し、これを180°転回して対称に配置して、LED基板24を構成している。このように、同一の形状のLED基板単体24a、24bを使用することにより、単一の形状のLED基板単体24a、24bのみを用意して、単にこれを組み合わせれば足りるため、LED基板単体24a、24bの製造コストを低減することができる。
また、これらのLED基板単体24a、24bには、図2に示すように、端面の一部を切り欠いて形成されたLED基板の凹部24c、24dが形成されている。より具体的には、図2に示すように、LED基板単体24a、24bの一方の端面の中央部分に略半円形状に形成されたLED基板の凹部24c、24dが設けられている。
複数のLED基板単体24a、24bは、図2に示すように、隣り合うLED基板単体24a、24bとの間で、このLED基板の凹部24c、24d同士を対向して配置されることにより、隣り合うLED基板単体24a、24bとの間で、これらのLED基板の凹部24c、24dから成る配線貫通孔を形成する。電源回路28から直流電力をLED基板24に供給するための電線は、この配線貫通孔を通じて配線される。なお、このように、複数のLED基板単体24a、24b間で、LED基板の凹部24c、24dにより配線貫通孔を形成する場合においても、同一の形状を有するLED基板単体24a、24bを180°転回して対称に配置するだけで対応することができる。
また、各LED基板単体24a、24bのLED基板の凹部24c、24dの両側には、電源回路28からの電線を各LED基板単体24a、24bに固定するためのLED基板端子が設けられている。
これらの各LED基板単体24a、24bに実装された複数のLED素子26間の間隔と、隣り合うLED基板単体24a、24bのLED素子26間の間隔が略等しく形成されている。このため、図2に示すように、複数のLED基板単体24a、24bを連続して配置しても、全てのLED基板単体24a、24b間でLED素子26が均等に配置され、LED基板単体24a、24b間の区切りを意識させない程度に連続して発光させて、光を均一に照射することができる。
この場合、LED基板単体24a、24bは、各LED基板単体24a、24bにおける複数のLED素子26間の間隔bを、他のLED基板単体24a、24bと対向する端面から最も近いLED素子26までの間隔aよりも大きく形成することにより、隣り合うLED基板単体24a、24bのLED素子26間の間隔を略等しく形成することができる。
具体的には、LED基板24に実装されているLED素子26は、図示の実施の形態では、図3に示すように、LED基板24の長手方向に4列で整列して配置されており、各LED基板単体24a、24bの他のLED基板単体24a、24bと対向する端面から最も近い列のLED素子26cまでの間隔aより、各LED基板単体24a、24bにおける複数のLED素子26d間の間隔bの方が大きく設定されている(a<b)。
このように、a<bとする場合において、他のLED基板単体24a、24bと対向する端面から最も近いLED素子26までの間隔aを、各LED基板単体24a、24bにおける複数のLED素子26間の間隔bの1/2となるように設定して、それぞれの列のLED素子26間を略等間隔とするのが、望ましいということができる。これにより、複数のLED基板単体24a、24bを連続して配置しても、全てのLED基板単体24a、24b間でLED素子26が均等に配置され、LED基板単体24a、24b間の区切りを意識させない程度に連続して発光して、透光性カバー21が均一な明るさとなり、更に、本発明のLED照明装置100を、複数連結して使用する場合においても、各LED照明装置100間において、同様の効果を得ることが可能となる。なお、複数のLED基板単体24a、24b間に若干の間隙を形成する場合には、それをも考慮して、LED素子26の配列を設定する。
なお、LED基板24のうち、LED素子26の実装面側に、高反射シートを貼合することや、高反射用樹脂を塗布することにより、光取り出し効率を向上させることができる。また、このLED基板24に実装されるLED素子26としては、公知の種々のLED素子や、有機EL素子等を用いることができる。図示の実施の形態では、照明用の白色光を発光する高輝度タイプのLED素子が用いられている。
(2.−2 LED基板配線)
LED基板24には、複数のLED素子26が実装されて、各LED素子26を光らせるための配線がされている。この場合、LED基板24に実装されたLED素子26の2つの端子に接続される基板配線の面積が、第1の端子に接続される第1の基板配線と第2の端子に接続される第2の基板配線とで異なるように設定する。
これは、LED素子26は光出射するときに、発熱するために放熱を行う必要が生じるため、基板配線の配線面積を大きくして、少しでも多くの放熱を行う必要がある。この場合、端子からの放熱量は、LED素子26の端子配線面積により変わってくるので、実装するLED素子26の仕様に合わせて端子配線面積を変えて放熱量を最適にすることにより、LED素子26の効率を改善するためである。これにより、各端子毎に適した基板配線の面積を確保することにより、各LED素子26の性能に応じた放熱量を確保して、発光効率の低下を抑制して、複数のLED素子26間やLED基板単体24a、24b間で、光の均一な照射を確保することができる。従って、この基板配線の面積は、実装されるLED素子26毎に、性能に応じて設定する。
(2.−3 放熱板)
放熱板23は、アルミニウムの押出成形によって一体に成形されている。このため、プレス加工等する場合に比べて、容易な作業で、複雑な形状に成形することができる。
本発明においては、特に図3に示すように、この放熱板23の上方に電源回路28が、下方にLED基板24が固定されて、放熱を行える構造となっている。この場合、電源回路28は、図3に示すように、放熱板23との間に空間を設けて、放熱板23に配設されている。より具体的には、図3に示すように、放熱板23の短手方向(幅方向)の中央部において、LED基板24を固定する基板部23aの上方に間隔を隔てて電源回路28を搭載する電源台23bが設けられている。これにより、電源台23bの下方と基板部23aの間には、十分な放熱効果を得るために、空間が設けられた構造となっている。この放熱板23の構造により、電源回路28や放熱板23は、この空間にも放熱して放熱効率を高めることができ、放熱板23に搭載されているLED基板24と電源回路28は、十分な放熱効果を発揮することができ、電源回路28と放熱板23との間で熱がこもって発光効率が低下するのを防止することができる。
また、その空間を設けるための放熱板23の構造を利用して、図3に示すように、放熱板23の下方にLED基板24を第1のネジ29aにより固定するために、LED基板24の固定孔に合わせて放熱板23にネジ29を挿入する第1の溝部23dが設けられている。この第1の溝部23dは、アルミニウムにより一体に成形されているので、ステンレス製の第1のネジ29aを用いることにより、予め又は新たにネジ溝を設けることなく、第1のネジ29aを圧入することで、放熱板23にネジ溝を形成しながらLED基板24を放熱板23に固定している。これにより、この第1の溝部23dに第1のネジ29aを回し込みながら圧入していくだけで同時にネジ溝も形成されていくため、放熱板23に予め又は設置時に新たにネジ溝を形成しておくことなく、LED基板24を放熱板23に固定することができ、簡易な構造で、製造のコストと手間を削減することができる。
更に、この放熱板23は、特に図6に示すように、位置調整部品35を有し、発光ユニット2は、この位置調整部品35により位置決めされながら器具本体1に装着されている。より具体的には、図6に示すように、器具本体1と発光ユニット2を固定するときに用いる、長さ方向の位置決めを行うL字形状の位置調整部品35が、放熱板23の長さ方向両端面で、ステンレス製等の第2のネジ29bを第2の溝部23eにねじ込んで取り付けられている。この第2の溝部23eは、アルミニウムにより一体で作成されているので、ステンレス製等の第2のネジ29bを用いることにより、予め又は新たにネジ溝を設けることなく、第2のネジ29bをねじ込むことで、放熱板23にネジ溝を形成しながら位置調整部品35を放熱板23に固定している。これにより、部品コストと工数の低減を図ることができる。そして、この位置調整部品35が、器具本体1の短辺開口部端面1bと接することにより、発光ユニット2の長さ方向の位置決めを行いながら固定する。これにより器具本体1と発光ユニット2の長さ方向が、正確に位置決めすることができ、均一に光を照射することができる。
さらに、放熱板23の上部には、図3に示すように、透光性カバー21の端部が挿入されるカバー挿入部23cが設けられ、このカバー挿入部23cを介して、透光性カバー21を放熱板23に取り付けることにより、透光性カバー21によって放熱板23を覆い、発光ユニット2を構成している。
(2.−4 透光性カバー)
透光性カバー21は、図2及び図3に示すように、ポリカーボネートを使用して、断面が略ロ字形状に押出成形によって一体に成形されている。このため、プレス加工等する場合に比べて、容易な作業で、複雑な形状に成形することができる。
この透光性カバー21は、その上部を、図3に示すように、下方にLED基板24を配設した放熱板23のカバー挿入部23cに挿入することにより、器具本体1に装着される。この場合、透光性カバー21は、その弾性変形力により放熱板23に固定される。即ち、透光性カバー21は、自由状態において、若干、内側へ撓むようにして形成され、放熱板挿入部を拡張しながら、カバー挿入部23cに挿入されることにより、弾性変形による復元力によって、放熱板23を挟み込むことができる。このため、透光性カバー21を放熱板23に挿入するだけで、簡単に、かつ、安定的に放熱板23に装着して固定することができる。
また、この透光性カバー21の端部を、図2に示すように、端部透光性カバー22で覆うことにより、透光性カバー21で反射された光が拡散反射され、これが繰り返されて、端部透光性カバー22まで光が達する。これによって、透光性カバー21と端部透光性カバー22の全面を光らせることができ、光源として均一に光を照射することができる。
また、透光性カバーの両端部に設置される端部透光性カバー22の厚さは、透光性カバーの両端部と接する部分を、他の部分より薄くしていることにより、透光性カバー21と端部透光性カバー22の全面において、LED素子26からの光を均一に照射することが可能となっている。
本発明においては、この光ユニット2のLED素子26と透光性カバ21ーとの間の間隔を調整することにより、透光性カバーにおける光の出射の分布が調整されている。具体的には、発光ユニット2のLED基板24に搭載されているLED素子26と、透光性カバー21の下面側までの距離は、LED基板24に搭載される各列のLED素子間の距離よりも大きく設定されている。
これにより、LED素子26からの光が透光性カバー21に到達する前に広がるので、透光性カバー21にてLED素子26のグレアを解消した光の射出が可能となる。図示の実施の形態では、具体的には、発光ユニット2のLED素子26と透光性カバー21の間隔を32mmに設定することにより、対応することができ、これにより、透光性カバー21と端部透光性カバー22の全面において、LED素子26からの光を均一に照射することが可能となっている。
(3.連結治具)
本発明の照明装置100を複数連結して使用する場合においては、図7に示すように、複数の照明装置100に跨って取り付けられて、これらの複数の照明器具10を相互に連結させる連結治具4を使用することができる。
この連結治具4は、図1及び図7に示すように、複数の器具本体1に跨る治具本体41、42と、この治具本体41、42から器具本体1側へ向けて延びる係止部43、44とから成り、図7に示すように、この係止部43、44が器具本体1に設けられた嵌合孔15に挿入されて複数の照明器具10を相互に連結させる。この連結治具4は、具体的には、例えば、ステンレス板を、打抜加工、プレス加工、折曲加工等することにより形成することができ、図1及び図7に示すように、嵌合孔15に対応する位置及び形状に係止部43、44が形成される。
この連結治具4としては、相互に連結する照明器具10の形態によって、複数の実施の形態が考えられる。具体的には、第1の形態として、図6(A)〜(C)に示すように、複数の器具本体1を、器具本体1の長手方向における端面同士を対向させて配置する直列接続パターンを挙げることができる。この第1の形態である直列接続パターンにおいては、連結治具4は、図7(A)〜(C)に示すように、隣り合う2つの器具本体1を長手方向における端面同士を対向させて配置した場合における各々の嵌合孔15の位置及び形状に対応して、長方形状に形成された治具本体41において、長辺側の短辺寄りの両端から略コの字状に延出するようにして形成された4つの係止部43を有する。
また、第2の形態として、図7(D)に示すように、一方の器具本体1の長手方向における端面と他方の器具本体1の長手方向における側面とを対向させて配置する、コーナー接続パターンを挙げることができる。この第2の形態であるコーナー接続パターンにおいては、連結治具4は、図7(D)に示すように、隣り合う2つの器具本体1を一方の器具本体1の長手方向における端面と他方の器具本体1の長手方向における側面とを対向させて配置した場合における各々の嵌合孔15の位置及び形状に対応して、長方形状に形成された治具本体42において、長辺側の一方端を略コの字状に延出して形成された2つの係止部43と、長辺側の他方端の短辺をL字状に延出して形成された1つの係止部44を有する。
本発明のLED照明装置100においては、図7に示す、これらの直列接続とコーナー接続との2つの形態を組み合わせることにより、LED照明装置100による照明システムを構成することが、可能となっている。この場合、照明器具10の器具本体1に形成される嵌合孔15は、図7に示すように、単に器具本体1の配列を変えるだけで、1つの形態で、どちらの連結パターンにも対応することができる。
(4.連結)
これらの連結治具4を用いて、複数の照明装置100を連結させるためには、第1の形態である直列接続パターンの場合は、図7(A)〜(C)に示すように、相互に連結する器具本体1を天井面8等への連結面を上に並べて、連結する器具本体1の両端に設けられている全ての嵌合孔15へ連結治具4の係止部43を上面から挿入することにより、一体化する。
一方、第2の形態であるコーナー接続パターンの場合は、図7(D)に示すように、連結する器具本体1を天井面8等への連結面を上に並べて、接続する器具本体1の両端に設けられている嵌合孔15へ連結治具4の係止部43と係止部44を上面から挿入することにより、一体化する。この場合、短辺側に形成された係止部44は、図6(D)に示すように、他方の器具本体1から見て遠い位置にある奥側の嵌合孔15に挿入される。
連結されたLED照明装置100として光を均一に照射するためには、一体化された器具本体1の間隔を、等間隔にすることが求められている。また、器具本体1と透光性カバー21の光出射に係わる温度による伸縮が大きく異なるので、温度による伸縮を考慮すると1mm単位の位置決め精度が求められることになる。そのために、連結する器具本体1の間隔を1mm間隔とする必要であり、連結する器具本体1の位置決めが難しくなっている。この場合、本発明に使用される連結治具4を使用することにより、連結する器具本体1の間隔について正確に位置決めを行うことができる。LED照明装置100の配置に対応して、第1の形態と第2の形態を組み合わせることにより、多彩な配置に対応することが可能となっている。
(5.スライド)
なお、LED照明装置100は、天井面8に対してスライド(移動)させることができる機能を付加することができる。器具本体1に設けられている2つの取付け孔14を、長穴にすることにより、吊りボルト6との位置関係を調整することができる。それにより、例えば部屋の間仕切りを変更する場合に、LED照明装置100を、間仕切りの妨げにならない位置に移動させることが可能となる。さらに、間仕切り終了後にもとの部屋に戻すことも簡単にでき、多様に使用することが可能となる。
また、新たに吊りボルト6を設けた取付板を天井面8に固定し、取付板の吊りボルト6を用いて同様であるスライドの構造とすることも可能である。そのとき、取付板の長手方向寸法を短くすれば、スライドさせた時に、取付板がLED照明装置100の範囲を外れて見えることをなくすことができる。
(6.天井面等の被取付面への設置)
本発明のLED照明装置100は、以下のように被取付面である天井面8や壁等に取り付けることができる。即ち、まず、天井面8からLED照明装置100の配置に合わせて、吊りボルト6が設けられており、器具本体1の電源用孔13に合わせて、天井面8に直径15mmの孔をあけて、該孔から外部電源線5を引き出す。
次に、設置するLED照明装置100の器具本体1を、上述したように、連結治具4を用いて連結する。器具本体1は、連結した器具本体1の取付け孔14を、天井面8からの吊りボルト6に合わせて、天井面8に位置決めして、吊りボルト6をナット7により止めることで仮止めされる。
更に、外部電源線5を器具本体1の電源用孔13から引き出し、外部電源線5の2本の芯線を、送り端子付速結端子部11に挿着する。送り端子付速結端子11から、隣接する器具本体1の送り端子付速結端子11に器具本体1の端部の送り孔16を用いて配線する。これにより、天井面8から引き出す外部電源線5の配線を少なくすることが可能となる。仮止めされていた器具本体1は、吊りボルト6のナット7を本締めして、天井面8等に固定する。
最後に、取付けられた器具本体1から発光ユニット2へ配線すると共に、発光ユニット2を器具本体1の長辺開口部端面1aと、発光ユニット2におけるV字バネ固定部品31の外側面31aを接しさせると共に、位置調整部品35が、器具本体1の短辺開口部端面1bと接することにより、発光ユニット2との位置決めを行いながらV字バネ30により固定して、LED照明装置100による照明システムが完成する。これにより器具本体1と発光ユニット2の長さ方向が、正確に位置決めすることができ、均一に光を照射することができる。
(7.バネの他の実施の形態)
発光ユニット2は、図2乃至図5に示す実施の形態においては、V字バネ30を使用して、器具本体1に取り付けたが、バネの形態は必ずしも、このV字バネ30に限定されるものではなく、他の実施の形態とすることもできる。具体的には、例えば、図8及び図9に示すように、コの字バネ32を使用することができる。このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、発光ユニット2の幅方向における中央部における2カ所に設けられている。従って、発光ユニット2の位置決めが容易であると共に、発光ユニット2の長手方向における両端にバネ等を設ける場合(2カ所の両端に設けて計4カ所に設ける場合)に比べて、コの字バネ32の装着箇所、ひいては、作業工程数を減少させることができ、装着作業をより一層簡易にすることができる。
このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、放熱板23の2ヵ所に第2の溝部23eに第2のネジ29bで固定されたコの字バネ固定部品33に取り付けられて配設されている。このコの字バネ32に対応するように器具本体1側に配設されている2個のコの字バネ受け34に、コの字バネ32を挿入して固定される。
このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、放熱板23に相対向して配置された複数のコイルバネ部32bと、このコイルバネ部32bから延出してフレーム状に成形されたフレーム部32aとから成っている。従って、V字バネ30と異なり、2本の指で両端のバネ間の間隔を狭める等の作業をすることなく、コの字バネ受け34に装着することができる。
この場合、図8及び図9に示すように、このフレーム部32aの一部に屈曲部32dを設けることが望ましい。これにより、フレーム部32aは、自由状態において設置面からその一部が盛り上がるようにして配置されるため、作業のための指等をこの盛り上がったスペース内に挿入してフレーム32aを持ち上げ易くなり、装着作業がより一層簡易となる。
また、このコの字バネ32は、図8及び図9に示すように、そのフレーム部32aが、コイルバネ部32bが設置されている面(図示の実施の形態では、放熱板23)に向けて付勢されている。従って、屈曲部32dに指を挿入して、この付勢力に抗して、フレーム部32aを持ち上げて、器具本体1に設けられたコの字バネ受け34に挿入した後、その弾性変形を解除することにより、コの字バネ32はコの字バネ受け34を引き寄せることができ、これにより、コの字バネ32を備えた発光ユニット2を器具本体1に装着することができる。
更に、このコの字バネ32は、フレーム部32aが、コイルバネ部32bに近づくに連れ幅が狭くなるように設定されている。これにより、コの字バネ32のフレーム部32aを、コの字バネ受け34に挿入し易くなると共に、安定的に係止することができる。
このコの字バネ32は、バネ端部32cが、コイルバネ部32bの両端から延設されて、コの字バネ固定部品33の固定金具33bに係止され、このコの字バネ固定部品33が、放熱板23に爪部33cと固定金具33bにより固定されることにより、コの字バネ32が放熱板23に取り付けられる。このコの字バネ固定部品33は、中央部の中心軸部33dから延伸しているバネ保持部33aによって、コイルバネ部32bを係止する。
一方、このコの字バネ32を係止するコの字バネ受け34は、図8及び図9に示すように、器具本体1に設けられ、長方形を略コの字状に成形したコの字バネ受け34の両端を固定するために、両端から延伸して固定部34aを設けて、器具本体1にネジで固定する。コの字バネ受け34は、コの字バネ受け34の側部34cで挟まれている底部34bから内側に曲げた係止部34dを有する。
また、より安全に器具本体1に発光ユニット2を装着するために、器具本体1側のコの字バネ受け34に紐の一方端を固定して、他方端にフックを固定した落下防止用の紐を設ける。装着するときに、他方端のフックをコの字バネ固定部品33に掛止することにより、発光ユニット2を仮固定することができるので、さらに安全に装着することができる。
なお、図示の実施の形態では、図8に示すように、器具本体1にコの字バネ受け34を、放熱板23にコの字バネ32及びコの字バネ固定部品33を設置したが、必ずしも、この形態に限定されるものではなく、器具本体1にコの字バネ32及びコの字バネ固定部品33を、放熱板23にコの字バネ受け34を設置することもできる。後者の場合には、コの字バネ32をその付勢力に抗して変形させながら同時にコの字バネ32を把持して発光ユニット2ごと引き上げる必要がなく、面倒な力作業を要することなく、簡易に発光ユニット23を器具本体1に装着することができるメリットがある。
(8.その他)
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明は、ショールームやホール、更に、会議室や事務所等の各居室や廊下、玄関等の天井面や壁面等に沿って設置されるLED照明装置として、広く適用することができる。
1:器具本体
1a:長辺開口部端面
1b:短辺開口部端面
11:送り端子付速結端子
12:バネ受け
13:電源用孔
14:取付け孔
15:嵌合孔
16:送り孔
2:発光ユニット
21:透光性カバー
22:端部透光性カバー
23:放熱板
23a:基板部
23b:電源台
23c:カバー挿入部
23d:第1の溝部
23e:第2の溝部
24:LED基板
24a:第1のLED基板単体
24b:第2のLED基板単体
24c:第1のLED基板の凹部
24d:第2のLED基板の凹部
26:LED素子
28:電源回路
29:ネジ
29a:第1のネジ
29b:第2のネジ
30:V字バネ
31:V字バネ固定部品
31a:外側面
32:コの字バネ
32a:フレーム部
32b:コイルバネ部
32c:バネ端部
32d:屈曲部
33:コの字バネ固定部品
33a:バネ保持部
33b:固定金具
33c:爪部
33d:中心軸部
34:コの字バネ受け
34a:固定部
34b:底部
34c:側部
34d:係止部
35:位置調整部品
4:連結治具
41:治具本体
42:治具本体
43:係止部
44:係止部
5: 外部電源線
6:吊りボルト
7:ナット
8:天井面
10:照明器具
100:LED照明装置