JP2015032427A - 固体酸化物形燃料電池、及び固体酸化物形燃料電池の製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池、及び固体酸化物形燃料電池の製造方法 Download PDF

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哲大 末廣
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Abstract

【課題】焼成時及び運転時において、燃料極層の収縮が起こりにくく、セルの反りを防ぐことのできる固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】固体電解質層2と燃料極層3と空気極層4とからなる単セル1を有する固体酸化物形燃料電池において、前記固体電解質層2の表面に燃料極活性層5と燃料極基板層6とをこの順に積層してなり、前記燃料極活性層5に含有されるNiの質量%が、前記燃料極基板層6に含有されるNiの質量%よりも大きいことを特徴とする固体酸化物形燃料電池及びその製造方法。
【選択図】 図1

Description

この発明は、固体酸化物形燃料電池、及び固体酸化物形燃料電池の製造方法に関し、特に、固体酸化物形燃料電池の燃料極の収縮を防ぎ、セルの反りを防ぐことのできる固体酸化物形燃料電池、及び固体酸化物形燃料電池の製造方法に関する。
従来、燃料電池として、固体電解質を用いた固体電解質形燃料電池が知られている。固体電解質形燃料電池では、通常、固体電解質層の各面に燃料極と空気極とを備えた固体電解質形燃料電池用セルを複数個使用している。つまり、固体電解質形燃料電池用セルを多数積層してスタックを形成し、燃料極に燃料ガスを供給するとともに、空気極に空気を供給し、燃料(例えば水素)と空気中の酸素とを固体電解質層を介して化学反応させることによって電力を発生させる。
固体電解質形燃料電池は、高温条件下で焼成、運転されるため、固体電解質形燃料電池の構成材料は高温に耐えるセラミックスである。固体電解質層は、一般的には、イットリア安定化ジルコニア(以下、「YSZ」と称することがある。)によって形成され、燃料極は、ニッケル又は酸化ニッケルとYSZとの複合材料によって形成される。
燃料極では、水素と固体電解質層から供給される酸素イオンとを反応させ、水蒸気と電子とを生成する。この生成した電子が、外部の回路へと流出し、起電力が発生する。そこで、燃料極には、高い水素酸化活性を示すニッケル金属が用いられる。燃料極の導電率を高めるためには、ニッケル金属の含有率を高めることが有効である。
固体電解質層を形成するYSZと、燃料極に含まれるニッケルとは、熱膨張率が大きく相違する。よって、燃料極における導電率向上を目的として、燃料極のニッケルの含有率を高めると、固体電解質層と燃料極との熱膨張率の差が大きくなる。長期間に亘って高温条件下で固体電解質形燃料電池を使用し、固体電解質形燃料電池の構成部材の熱膨張と収縮とが繰り返し行われると、燃料極と固体電解質層とが剥離してしまうという問題が発生する。この問題を防止するために、固体電解質層と燃料極との熱膨張率の差を小さくすることを目的として、燃料極にもYSZに代表される電解質材料が用いられる。つまり、固体電解質形燃料電池の燃料極では、燃料極の導電率向上、及び固体電解質層と燃料極との熱膨張率の最適化を考慮して、ニッケルと電解質材料とが適切な比率で混合される。
また、燃料極に含まれるニッケルとYSZに代表される電解質材料との構成比率を、燃料極の位置によって変化させる技術が広く知られている。特許文献1には、「燃料極層4の組成としてNiとCeSmO(サマリウム添加セリア)を混合したものを用い、固体電解質層3との界面近傍の層ではNiの混合量をCeSmOより少なくし、層方向に向けて徐々にNiの混合比を増加する」固体酸化物型燃料電池が開示されている(特許文献1の段落番号0017欄参照)。また、特許文献1における固体酸化物型燃料電池によると、「固体電解質層3の界面近傍では燃料極材料のNi混合量を少なくして緻密構造とし、固体電解質層3との接触性を向上することで、固体電解質層3と燃料極層4の耐剥離性を改善することができる。また、緻密構造とすることにより、固体電解質層3と燃料極層4との界面の接触抵抗が低下し発電セル1の内部抵抗を減少できることと、界面近傍におけるNiの混合量を少なくすることでNiの固体電解質層3への拡散量が減少することにより、発電セル1の発電特性が改善され、固体酸化物型燃料電池の耐久性を向上することができる。そして、燃料極層4の配合組成を上記混合比範囲内で層方向に傾斜させることにより、燃料極材料における総合的なNiとCeSmOの組成量を発電効率の良い好適な値に維持することができる」という技術的効果を奏する(特許文献1の段落番号0020欄参照)。
特許文献2には、「Y安定化ZrO(YSZ)よりなる固体電解質膜の上に形成されたNiO/YSZ複合焼結膜よりなる燃料極構造であって;固体電解質膜に近い側から下層、中層、上層の層構造をもって形成されており;該下層のNiO/YSZ比(重量%以下同じ)が5〜50/95〜50、該中層のNiO/YSZ比が50〜80/50〜20、該上層のNiO/YSZ比が80〜95/20〜5であり、・・・ことを特徴とする固体電解質型燃料電池の燃料極構造」が開示されている(特許文献2の請求項1)。特許文献2における固体電解質型燃料電池の燃料極構造によると、下層のNiO/YSZ比が5〜50/95〜50とされることにより、「YSZリッチとして、固体電解質膜との熱膨張率をマッチングさせることにより、熱クラックの発生を防止して、セルの耐久性を向上させる」という技術的効果を奏する(特許文献2の0007欄参照)。
特許文献3には、「燃料電極が、ニッケルまたは酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの複合材料によって形成されるとともに、その複合材料の成分比率が、燃料電極の前記固体電解質側においてはイットリア安定化ジルコニアの比率が高く、かつニッケルまたは酸化ニッケルの比率が低くなるよう設定されるとともに、固体電解質の表面から離れるにしたがって、イットリア安定化ジルコニアの比率が徐々に低下し、かつニッケルまたは酸化ニッケルの比率が徐々に高くなるよう設定されていることを特徴とする固体電解質型燃料電池」が開示されている(特許文献3の特許請求の範囲参照)。特許文献3における固体電解質型燃料電池によると、「燃料電極の固体電解質に接する最も内側の部分が、固体電解質と同じイットリア安定化ジルコニアの割合が多いため、固体電解質への接着力が強いとともに、熱膨張率の差が小さく、したがって膨張時の、熱膨張率の差による燃料電極の剥離は生じない。そして、燃料電極の内側から外側となるにしたがって、イットリア安定化ジルコニアを含む割合が徐々に減少し、代りにニッケルまたは酸化ニッケルの割合が徐々に増加し、最も外側の部分においては、ニッケルまたは酸化ニッケルを含む割合が最も高く、したがって、電気抵抗が小さくなる」という技術的効果を奏する(特許文献3の第(2)頁、右下欄の第8〜20行)。
特許文献4には、「燃料極膜を電解質膜側へNi及び/又はCoの含有量を減少させた多層膜で構成した傾斜機能膜」が開示されている(特許文献4の特許請求の範囲)。特許文献4における固体電解質型燃料電池は、「電解質/燃料極膜間の接着性を良好なものとし、かつ燃料極膜特性としての導電率、触媒能を向上させる」という技術的効果を奏する(特許文献4の特許請求の範囲)。
特許文献1〜4に開示されたいずれの発明も、燃料極層が固体電解質層から離れるにつれてニッケルの比率が高くなるとともに、燃料極層が固体電解質層から離れるにつれて電解質材料の比率が低くなっている。燃料極層のうち固体電解質層の近傍では、電解質材料の比率が高いので、固体電解質層と燃料極層との熱膨張率を近づけることができ、燃料極層が固体電解質層から剥離してしまうという問題を防止することができる。また、燃料極層のうち、固体電解質層から離れた部位にニッケルを比較的多く含有するように設計することにより、燃料極層全体として十分な量のニッケルが含有されることとなり、燃料極層における高い導電率を確保することができる。
固体酸化物形燃料電池の運転時には、燃料極に含まれる酸化ニッケルが還元される。還元されたニッケルは凝集し、燃料極の収縮を引き起こす。よって、燃料極における酸化ニッケルの含有量が大きいほど、固体酸化物形燃料電池の運転時に、酸化ニッケルの還元によって燃料極は収縮しやすくなる。
また、固体酸化物形燃料電池の焼成時には、固体電解質層と燃料極とが異なる収縮挙動を示すことによって、燃料極が収縮する。固体電解質層と燃料極との組成の違いが大きいと、燃料極は収縮しやすくなる。例えば、燃料極において、Niの含有率を上げて電解質材料の含有率を下げると、固体電解質層と燃料極との組成の違いが大きくなり、焼成時における燃料極は収縮しやすくなる。
従来の固体電解質形燃料電池では、燃料極層が固体電解質層から離れるにつれてニッケルの比率が高くなるので、焼成時及び運転時において燃料極が収縮しやすい。
燃料極に収縮が起こると、図3で示すように、単セル1全体が燃料極3から固体電解質層2へと向かって凹状に湾曲するように収縮し、セルの反りが発生してしまうという問題がある。特許文献1〜4には、固体酸化物形燃料電池の焼成時及び運転時において、セルの反りが引き起こされるという問題について、記載も示唆もされていない。
特開2003−272639号公報 特開平9−190824号公報 特開平3−95859号公報 特開平3−194860号公報
この発明は、このような問題を解消し、焼成時及び運転時におけるセルの反りを防止することのできる固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1) 固体電解質層とこの固体電解質層の一方の面に形成された燃料極と前記固体電解質層の他方の面に形成された空気極とを備えて成る単セルを有する固体酸化物形燃料電池において、前記燃料極は、固体電解質層の表面に燃料極活性層と燃料極基板層とをこの順に積層して成り、前記燃料極活性層と前記燃料極基板層とは、ともに電解質材料とNiとを含有し、前記燃料極活性層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%が、前記燃料極基板層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%よりも大きいことを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。
これにより、固体酸化物形燃料電池の運転時に、燃料極基板層におけるNiの凝集による燃料極の収縮が防止され、セルの反りを防止することができる。また、固体酸化物形燃料電池の焼成時に、燃料極基板層と固体電解質層とが近い収縮挙動を示すので、燃料極の収縮が防止され、セルの反りを防止することができる。
前記課題を解決するための手段は、
(2) 前記燃料極活性層に含まれるNiの質量%と、前記燃料極基板層に含まれるNiの質量%との差が、0%より大きく、20%以下の範囲内にあることを特徴とする前記(1)に記載の固体酸化物形燃料電池である。
このNiの質量%の差が0%であると、固体酸化物形燃料電池の運転中におけるセルの反り変化量が大きくなることがある。一方で、このNiの質量%の差が20%を超えると、固体酸化物形燃料電池の発電性能が低下することがある。
前記課題を解決するための手段は、
(3) 前記燃料極活性層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%、及び前記燃料極基板層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%は、ともに35%以上であり、かつ55%以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の固体酸化物形燃料電池である。
この燃料極活性層又は燃料極基板層におけるNiの質量%が、35%よりも小さいと、燃料極における導電率が低くなり、固体酸化物形燃料電池の発電能力が落ちることがある。燃料極活性層又は燃料極基板層におけるNiの質量%が、55%よりも大きいと、燃料極と固体電解質層との熱膨張率の差が大きくなり、燃料極の剥離が起こることがある。
前記課題を解決するための手段は、
(4) 前記燃料極基板層の固体電解質層とは反対側の表面の少なくとも一部に拘束層を有し、この拘束層の気孔率は、前記燃料極基板層の気孔率よりも小さいことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池である。
この拘束層の気孔率が、前記燃料極基板層の気孔率よりも大きいと、焼成時におけるセルの反りが大きくなるので、好ましくない。
前記課題を解決するための手段は、
(5) 前記拘束層は、前記固体電解質層又は前記燃料極活性層のいずれか一方と同じ組成物であることを特徴とする前記(4)に記載の固体酸化物形燃料電池である。
拘束層が、固体電解質層又は燃料極活性層のいずれか一方と同じ組成物であると、焼成時におけるセルの反りを、効果的に防止することが可能となる。
前記課題を解決するための手段は、
(6) 固体電解質層とこの固体電解質層の一方の面に形成された燃料極と前記固体電解質層の他方の面に形成された空気極とを備えて成る単セルを有する固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、前記固体電解質層の一方の面に、電解質材料とNiとを含有する燃料極活性層を、積層する工程と、前記燃料極活性層の他方の面に、電解質材料とNiとを含有し、電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%が前記燃料極活性層よりも低い燃料極基板層を積層する工程とを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
前記製造方法によると、燃料極基板層と固体電解質層とが近い収縮挙動を示すので、燃料極の収縮が防止され、焼成時におけるセルの反りを防止することができる。
前記課題を解決するための手段は、
(7) 前記燃料極活性層に含まれるNiの質量%と、前記燃料極基板層に含まれるNiの質量%との差が、0%より大きく、20%以下の範囲内にあることを特徴とする前記(6)に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
前記製造方法において、このNiの質量%の差が0%であると、製造された固体酸化物形燃料電池の運転中におけるセルの反りの変化量が大きくなるという不具合が生じる。一方で、このNiの質量%の差が20%を超えると、製造された固体酸化物形燃料電池の発電性能が低下するという不具合が生じるので、このNiの質量%の差は、0%より大きく20%以下の範囲内であることが好ましい。
前記課題を解決するための手段は、
(8) 前記燃料極活性層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%、及び前記燃料極基板層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%は、ともに35%以上であり、かつ55%以下であることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
前記製造方法において、この燃料極活性層又は燃料極基板層におけるNiの質量%が、35%よりも小さいと、燃料極における導電率が低くなり、固体酸化物形燃料電池の発電能力が落ちることがある。燃料極活性層又は燃料極基板層におけるNiの質量%が、55%よりも大きいと、燃料極と固体電解質層との熱膨張率の差が大きくなり、燃料極の剥離が起こることがある。
前記課題を解決するための手段は、
(9) 前記燃料極活性層と前記燃料極基板層とを積層した後、又は、前記燃料極活性層と前記燃料極基板層とを積層するのと同時に、前記燃料極基板層の固体電解質層とは反対側の表面に、前記燃料極基板層よりも小さい気孔率を有する拘束層を積層する工程を、有することを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
この拘束層における気孔率が大きいと、焼成時におけるセルの反りが大きくなるので、好ましくない。
前記課題を解決するための手段は、
(10) 前記単セルを積層した後であって、前記固体酸化物形燃料電池の使用前に、前記拘束層の少なくとも一部を除去する工程を有することを特徴とする前記(9)に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
前記拘束層の少なくとも一部を除去する工程を有することによって、固体酸化物形燃料電池の運転中には、燃料ガスの拡散抵抗の大きい拘束層が燃料極の表面を覆うことがない。よって、運転中に、燃料ガスが燃料極に拡散しやすい固体酸化物形燃料電池を製造することが可能となる。
前記課題を解決するための手段は、
(11) 前記拘束層は、前記固体電解質層又は前記燃料極活性層のいずれか一方と同じ組成物であることを特徴とする前記(9)又は(10)に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
拘束層が、固体電解質層又は燃料極活性層のいずれか一方と同じ組成物であると、焼成時におけるセルの反りを、効果的に防止することが可能となる。
この発明によると、焼成時及び運転時における燃料極の収縮を防止し、セルの反りを防止することのできる固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することができる。
図1は、拘束層を有さない単セルの模式図である。 図2は、拘束層を有する単セルの模式図である。 図3は、燃料極におけるNiの凝集によって、反りが発生した単セルの模式図である。 図4は、単セルが多数積層した固体電解質形燃料電池を示す斜視図である。 図5は、図4のA−A断面図である。 図6は、実施例において、反りの発生したアノードハーフセルの模式図である。
この発明に係る固体酸化物形燃料電池について図を参照しながら具体的に説明する。図1に示されるように、この発明に係る固体酸化物形燃料電池の一例は、固体電解質層2とこの固体電解質層2の一方の面に形成された燃料極3と固体電解質層2の他方の面に形成された空気極4とから成る単セル1を備え、燃料極3は、固体電解質層2の表面に燃料極活性層5と燃料極基板層6とをこの順に積層して成る。
固体電解質層2は、固体酸化物形燃料電池の運転時に、空気極4に導入される酸化剤ガスが電子を受け取ることによって発生した酸素イオンを、燃料極3へと移動させる酸素イオン電導性を有する。
固体電解質層2は、電解質材料を有する。電解質材料としては、ペロブスカイト型酸化物を挙げることができ、具体的には、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、サマリウム添加セリア(CeSmO)、ガドリウム添加セリア(CeGdO)、及びカルシア安定化ジルコニア(CaSZ)を挙げることができ、好ましくはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を挙げることができる。固体電解質層は、前記各種の電解質材料の一種で層状に形成されることができ、また、前記各種の電解質材料の二種以上で単一の層又は複数の層として形成されることができる。複数層からなる積層構造をした固体電解質層としては、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の層とサマリウム添加セリア(CeSmO)の層とからなる積層、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の層とガドリウム添加セリア(CeGdO)の層とからなる積層などを挙げることができる。
なお、固体電解質層2の膜厚は、通常の場合、3μm以上20μm以下である。膜厚が3μmを下回ると、欠陥のない単セル1を再現性よく得ることが困難であり、膜厚が20μmを上回ると、固体酸化物形燃料電池の発電効率が低下することがある。
固体酸化物形燃料電池は、公知の発電原理で発電される。即ち、燃料極3は、固体酸化物形燃料電池における陰極として機能し、固体電解質層2を通過した陰イオン(例えば酸素イオン)から電子を奪い、この電子が外部回路へ流れることにより、電流が発生する。具体的には、陽極として機能する空気極4で、空気(例えば酸化性ガス)中に含まれる酸素が、電子を受け取り酸素イオンになる。この酸素イオンが、イオンの通り道である固体電解質層2を通過して、燃料極3に到達する。燃料極3に到達した酸素イオンは、燃料極3で、燃料ガス(例えば水素)と反応して、水を生成する。このとき放出された電子が、発電に使われる。
燃料極3へと供給される燃料ガスは、水素ガス、水素源となる炭化水素ガス、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させることにより加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。炭化水素は特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、及び石炭ガス化ガス等が挙げられる。更に、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びペンタン等の炭素数が1〜10、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜4の飽和炭化水素、並びにエチレン及びプロピレン等の不飽和炭化水素が好ましく、飽和炭化水素が更に好ましい。これらの燃料ガスは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
この発明における燃料極3は、固体電解質層2の表面に燃料極活性層5と燃料極基板層6とをこの順に積層してなる。言い換えると、燃料極3は、燃料極活性層5と燃料極基板層6とを積層してなり、固体電解質層2と直接に面接着する層が燃料極活性層5であり、燃料極活性層5と直接に面接着する層が燃料極基板層6である。
燃料極活性層5及び燃料極基板層6はいずれも、Niを含む金属と電解質材料とを有する。電解質材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、サマリウム添加セリア(CeSmO)、ガドリウム添加セリア(CeGdO)、及びカルシア安定化ジルコニア(CaSZ)を挙げることができる。固体電解質層2と燃料極3とが著しく異なる熱膨張率を示すことによって、高温条件下において燃料極3が固体電解質層2から剥離することを防止するために、燃料極3と固体電解質層2とは共に同じ電解質材料、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)で形成されることが好ましい。
Niを含む金属としては、Niそのもの、又はNiとCu、Fe、Co、Ag、Pt、Pd、W、及びMoよりなる群から選択される少なくとも一種の金属との合金等を挙げることができる。
この発明においては、燃料極活性層5に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%(以下、「燃料極活性層5におけるNi比率」と称することがある。)は、前記燃料極基板層6に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%(以下、「燃料極基板層6におけるNi比率」と称することがある。)よりも大きい。ここで、Niの質量は、焼成後に燃料極活性層又は燃料極基板層に存在するNi単体の質量である。
この発明に係る固体酸化物形燃料電池においては、燃料極活性層5におけるNi比率と、燃料極基板層6におけるNi比率との差は0%よりも大きく、20%以下の範囲であることが好ましい。質量差が0%を越え、20%以下であると、固体酸化物形燃料電池の発電性能を落とさずに、運転中におけるセルの反りの変化量を小さくすることができるので、この発明の課題をよく達成することができる。
燃料極活性層5におけるNi比率と、燃料極基板層6におけるNi比率とは、ともに35パーセント以上であり、かつ55%以下であることが好ましい。燃料極活性層5におけるNi比率又は燃料極基板層6におけるNi比率が55%よりも大きいと、燃料極と固体電解質層との熱膨張率の差が大きくなり、燃料極3の剥離が起こることがある。また、燃料極活性層5又は燃料極基板層6におけるNi比率が35%よりも小さいと、燃料極3における導電率が低くなり、固体酸化物形燃料電池の発電能力が落ちることがある。
燃料極3の膜厚は500μm〜2000μmであることが好ましい。燃料極3の膜厚が500μmを下回ると、セルに十分な強度が得られず、燃料極3が発電中に破壊されてしまうことがある。一方で、燃料極3の膜厚が2000μmを上回ると、燃料極3における燃料の通気性が悪くなり、固体酸化物形燃料電池の発電効率が低下することがある。また、燃料極活性層5の膜厚は、5〜50μmであることが好ましい。燃料極活性層5の厚さが5μmを下回ると、固体酸化物形燃料電池の機械的な支持強度が低下することがあるからであり、燃料極活性層5の厚さが50μmを上回ると、燃料極3の通気性が悪くなって、発電性能が低下することがあるからである。
空気極4は、固体電解質層2のうち、燃料極3が形成される一方の面とは反対側の、他方の面に形成される。空気極4は、電池における陽極として機能し、外部から供給されると共に酸素源となる酸化剤ガスの分子に電子を付与して還元させ、陰イオンを発生させる。酸化剤ガスの分子に付与される電子は、燃料極3において燃料ガスの分子から奪われ、外部回路を介して空気極4へと流入してきた電子である。空気極4で発生した陰イオンは、固体電解質層2中を移動し、燃料極3へと到る。
空気極4に供給される酸化剤ガスは、酸素と他の気体との混合ガス等が挙げられる。また、この混合ガスには80体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスが含有されていてもよい。これらの酸化剤ガスのうちでは、安全であって且つ安価であることから、空気が好ましい。
空気極4の材料としては、固体酸化物形燃料電池の使用条件等により適宜選択することができる。空気極4の材料としては、例えば金属、金属の酸化物、金属の複合酸化物等を用いることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Ru等の金属又は2種以上の金属を含有する合金が挙げられる。更に、金属の酸化物としては、例えば、La、Sr、Ce、Co、Mn、Fe等の酸化物(例えば、La、SrO、Ce、Co、MnO、FeO等)が挙げられる。また、金属の複合酸化物としては、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mn等のうちの少なくとも1種を含有する各種の複合酸化物(例えば、La1−xSrCoO系複合化合物、La1−xSrFeO系複合化合物、La1−xSrCo1−yFe系複合化合物、La1−xSrMnO系複合化合物、Pr1−xBaCoO系複合化合物、Sm1−xSrCoO系複合化合物等)が挙げられる。
拘束層7は、燃料極基板層6の固体電解質層とは反対側の表面に配される。単セル1の焼成過程では、燃料極基板層6は燃料極活性層5に比べて、その収縮率が大きく、セルの反りを引き起こす。拘束層7は、燃料極基板層6の気孔率よりも小さいので、熱による収縮を起こしにくい。拘束層7が燃料極基板層6の固体電解質層2とは反対側の表面に配されることによって、焼成過程において、燃料極基板層6が収縮することを防ぎ、セルの反りを防止することができる。
拘束層7は、電解質材料のみによって、又は電解質材料と金属とによって形成することができる。例えば、拘束層7が金属としてNiを含む場合には、拘束層における電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%は、0%以上、55%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、拘束層7は、固体電解質層2又は燃料極活性層5のいずれか一方と同じ組成物で形成することができる。拘束層7が固体電解質層2又は燃料極活性層5のいずれか一方と同じ組成物であると、拘束層7と固体電解質層2又は燃料極活性層5のいずれか一方とが、同程度の熱収縮を示す。高温条件下で燃料極基板層6が熱収縮しても、燃料極基板層6を挟むように位置する拘束層7と固体電解質層2又は燃料極活性層5のいずれか一方とによって、燃料極基板層6の熱収縮が抑えられる。故に、単セル1の反りを防止することができる。拘束層7は、燃料極基板層6の固体電解質層とは反対側の表面の一部に設けられていてもよく、また全面に設けられてもよい。
拘束層7は、前述のように、多孔質である燃料極基板層6の焼成時の収縮を防ぐ目的で設けられるので、気孔率が小さいことが望ましい。具体的には、拘束層7の気孔率は、燃料極基板層6の気孔率よりも小さい。また、拘束層7は気孔率が小さいので、内部のガス導通性が低い。固体酸化物形燃料電池の運転時に、拘束層7が燃料極基板層6の表面に設けられていると、燃料ガスが燃料極3へと到達するのが妨げられ、固体酸化物形燃料電池の発電効率が落ちてしまうことがある。よって、固体酸化物形燃料電池の運転前には、拘束層7は燃料極基板層6の表面から除去されることが好ましい。拘束層7を除去する際には、燃料極基板層6の表面に設けられた拘束層7の一部を除去してもよいし、拘束層7の全部を除去してもよい。なお、気孔率とは、燃料極基板層6又は拘束層7のいずれか一方の層全体の体積に対する、層内部に含まれる気孔の体積の割合をいう。
次に、この発明の固体酸化物形燃料電池の製造方法について説明する。
製造方法の一例として、例えば、燃料極基板層6を成形するグリーンシートを作製するために、まず、燃料極基板層6の構成成分を混合した粉末をボールミルによって分散混合させる。次に、樹脂を溶解させた溶媒を混合粉末と混ぜ合わせてスラリーを作製する。樹脂としては、例えばブチラール樹脂を使用することができ、溶媒としては、例えばトルエンとエタノールとの混合液を使用することができる。得られたスラリーは、プレス成形、シート成形等の公知の方法で成形でき、特にシート成形法が好ましい。シート成形法として、スラリーをドクターブレード法等によりPETフィルム等の支持体上に塗布し、その後、スラリー中の溶剤成分を蒸発させることでグリーンシートを作製する方法を挙げることができる。この方法によると、容易に均質なサンプルを得ることができる。
燃料極基板層6の成形体の混合粉末の製造工程では、セラミックスより粉砕されにくい造孔材が用いられる。燃料極基板層6の成形過程において、導入された造孔材の体積分が気孔として残る。造孔材が粉砕されにくいと、粉末である造孔材の体積が著しく変化することがないので、焼成の過程で燃料極基板層6に形成される気孔の径を一定にすることができる。造孔材として、例えばポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどの高分子より成る球状粒子を採用できる。また、造孔材として球状粒子を使用する場合の造孔材の最大直径は、例えば5〜10μmの範囲にあると、適度な寸法の気孔を形成できるので好適である。
気孔率測定については、例えば、JIS R1634 01;1998に準拠した測定で、実施する。
燃料極活性層5、固体電解質層2、拘束層7、及び空気極4についても、燃料極基板層6と同様にして、シート成形法によってグリーンシートが作製される。
尚、各グリーンシートの製造に用いられる粉末の粒子径(平均粒子径)に関して、燃料極活性層5の粉末の粒子径としては、0.2〜0.8μm程度(例えば0.5μm)の粉末を使用できる。燃料極機能層6の粉末の粒子径としては、燃料極活性層5の粉末の粒子径と同等(例えば0.5μm)かそれより大きい粒子径を使用することができる。
成形された各グリーンシートは、空気極4と固体電解質層2と燃料極活性層5と燃料極基板層6と拘束層7とが、この順となるように積層される。燃料極活性層5と燃料極基板層6とを積層した後に拘束層7を積層してもよいし、燃料極活性層5と燃料極基板層6とを積層するのと同時に拘束層7を積層してもよい。各圧力をかけられながら積層されること、又は積層後に圧力をかけられることによって、各グリーンシート間が接着され、単セル1を形成する。拘束層7は、燃料極基板層の固体電解質層とは反対側の表面の少なくとも一部に設けられていてもよく、また全面に設けられていてもよい。さらに、セパレータを挟んで、直列に多数の単セル1が積層され、脱脂及び焼成され、固体酸化物形燃料電池が形成される。
単セルによって形成される固体酸化物形燃料電池を、詳しくは、図4で示す。図4では、単セル1を主要部とする発電層12が、金属製のセル間セパレータ13を挟んで、同図の上下方向に直列に多数積層され、固体酸化物形燃料電池11が形成されている。
また、図4における固体酸化物形燃料電池11の縦断面図を図5に示す。各単セル1の燃料極基板層6は、燃料極側集電体14によりセル間セパレータ13(下端部では底体18)に電気的に接続されると共に、各空気極4は、空気極側集電体15によりろう材16を介して他のセル間セパレータ13(上端部では蓋体17)に電気的に接続されている。
更に、各発電層12は、燃料ガスの流路19と、酸化剤ガスである空気の流路20とを隔離するための隔離セパレータ21を備える。また、それぞれの発電層12間を電気的に絶縁するため、セラミック等の絶縁体からなる枠体22が、積層方向の所定部分に配設される。
次にこの発明の固体酸化物形燃料電池の作用について説明する。
固体電解質層2と燃料極活性層5と燃料極基板層6と空気極4と拘束層7とを積層した単セル1を備えた固体酸化物形燃料電池を用意する。固体酸化物形燃料電池を完成させるために、単セル1は焼成される。焼成時に、燃料極基板層6は収縮しやすく、燃料極3全体を固体電解質層2へと向かって引っ張る力が、単セル1にかかる。この発明では、固体電解質層2からより離れた位置にある燃料極基板層6におけるNiの比率が小さいので、固体電解質層2と燃料極基板層6との組成の違いが小さく、固体電解質層2と燃料極基板層6とは焼成時に同程度の収縮を示すことになる。よって、焼成時において燃料極3全体が収縮することによる単セル1の反りを防止することができる。また、拘束層7が燃料極基板層6の表面に設けられていると、焼成時において拘束層7が燃料極3の収縮を抑えることができ、単セル1の反りを防止することができる。
単セル1の焼成終了後に、単セル1から拘束層7が除去される。拘束層7が除去されることによって、多孔質である燃料極基板層6が露出するので、燃料ガスが燃料極3の内部を導通しやすくなり、燃料極3での反応が促進される。
固体酸化物形燃料電池を運転すると、アノードとして働く燃料極3は、還元性の雰囲気となる。燃料極3における酸化ニッケルは、単体のNiへと還元され、さらに単体のNi同士が凝集することによって、燃料極3は収縮しようとする。この発明では、固体電解質層2に隣接した燃料極活性層5におけるNi比率は比較的大きく、燃料極活性層5に隣接した燃料極基板層6におけるNi比率が比較的小さいので、燃料極基板層6におけるNiの凝集による燃料極基板層6の収縮はより起こりにくい。単セル1において末端側に存在する燃料極基板層6が収縮しにくいので、単セル1に反りを発生させようとする力が抑えられる。故に、固体酸化物形燃料電池の運転中に、燃料極3の収縮による単セル1の反りの発生が防止される。
以上より、この発明の固体酸化物形燃料電池によれば、焼成時及び運転時における単セル1の反りを抑えることができる。よって、固体酸化物形燃料電池が長期間使用されることにより、単セル1に繰り返し反りが発生することを抑えることができ、ひいては固体酸化物形燃料電池の耐久性を上げることができる。
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。
(実施例1)
(燃料極基板層用グリーンシートの作製)
BET法による比表面積が3〜4m/gであるNiOの粉末を、Ni重量に換算して50質量部となるように秤量し、BET法による比表面積が5〜7m/gであるYSZの粉末50質量部と混合し、混合粉末を得た。この混合粉末に対して、造孔剤である有機ビーズ(混合粉末に対して10重量%)と、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーにドクターブレード法を用いることによって、厚さ250μmの燃料極基板層用グリーンシートを得た。
(燃料極活性層用グリーンシートの作製)
BET法による比表面積が3〜4m/gであるNiOの粉末を、Ni重量に換算して55質量部となるように秤量し、BET法による比表面積が5〜7m/gであるYSZの粉末45質量部と混合し、混合粉末を得た。この混合粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーにドクターブレード法を用いることによって、厚さ10μmの燃料極活性層用グリーンシートを得た。
(固体電解質層用グリーンシートの作製)
BET法による比表面積が5〜7m/gであるYSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーにドクターブレード法を用いることによって、厚さ10μmの固体電解質層用グリーンシートを得た。
(アノードハーフセルの作製)
燃料極基板層用グリーンシート1枚と、燃料極活性層用グリーンシート1枚と、固体電解質層用グリーンシート1枚とを積層し、25×25mm角に切り出して積層成形体を得た。この積層成形体を、250℃で脱脂した後、1350℃で焼成して、セルの反りを評価するためのアノードハーフセル31を得た。
(運転時の反り変化量の評価)
アノードハーフセル31に、700℃で100%のH2ガスを3時間接触させることによって、燃料極の酸化ニッケルをニッケルへと還元した。還元後に、ハイトゲージとマイクロメータを用いて、図6で示すように、アノードハーフセルの高さ32と厚み33とを測定し、高さ32から厚み33を引いた値を、還元後の反り量とした。アノードハーフセルの高さ32は、アノードハーフセルの最下端部と最上端部との、鉛直方向における長さである。アノードハーフセルの厚み33は、還元の前後において変化しない、鉛直方向におけるアノードハーフセル自体の厚みである。反り量は、アノードハーフセルの還元前後における鉛直方向の変位量である。
次に、還元後のアノードハーフセルに、500℃で10L/minのN2ガス、及び6L/minのH2Oガスを50時間接触させて、ニッケルを酸化した。ニッケルの酸化後における燃料極基板層のアノードハーフセルの高さと厚みとを同様に測定し、酸化後の反り量を算出した。還元後の反り量から、酸化後の反り量を差し引いた値を、反り変化量とした。
(比較例1)
燃料極基板層用グリーンシートの作製において、Ni重量に換算して60質量部のNiOの粉末と、40質量部のYSZの粉末とを混合する以外は、実施例1と同様にアノードハーフセルを作成した。実施例1と同様に還元後及び酸化後の反り量を測定し、反り変化量を求めた。結果は、以下の表1の通りであった。
以下に、実施例1及び比較例1における、燃料極基板層及び燃料極活性層におけるNi比率と、反り変化量の結果とを表1に示す。
Figure 2015032427
燃料極基板層におけるNi比率が、燃料極活性層におけるNi比率よりも低い実施例1では、燃料極基板層におけるNi比率が、燃料極活性層におけるNi比率よりも高い比較例1よりも、反り変化量が小さかった。よって、この発明における燃料極が、固体酸化物形燃料電池の運転時におけるセルの反りの防止に効果のあることが分かった。
(実施例2)
(拘束層用グリーンシートの作製)
YSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーにドクターブレード法を用いることによって、厚さ10μmの拘束層用グリーンシートを得た。
(アノードハーフセルの作製)
実施例1と同様に、燃料極基板層用グリーンシート、燃料極活性層用グリーンシート、及び固体電解質層用グリーンシートを作製した。燃料極基板層用グリーンシート1枚と、燃料極活性層用グリーンシート1枚と、固体電解質層用グリーンシート1枚と、拘束層用グリーンシート1枚とを積層し、120mm×120mm角に切り出して積層成形体を得た。また、この積層成形体において、燃料極基板層用グリーンシートの固体電解質層用グリーンシートとは反対側の表面の全面に、拘束層用グリーンシートが設けられた。この積層成形体を、250℃で脱脂した後、1350℃で焼成し、拘束層を除去した後に、アノードハーフセルを得た。
(焼成時の反り変化量の測定)
焼成後のアノードハーフセルについて、実施例1と同様の方法で、アノードハーフセルの高さ32と厚み33とを測定した。焼成後のアノードハーフセルの高さ32から焼成後のアノードハーフセルの厚み33を引いた値を、反り変化量として求めた。
(実施例3)
アノードハーフセルにおいて、拘束層を設けないことの外は、実施例2と同様に実験を行い、反り変化量を求めた。
(比較例2)
燃料極基板層用グリーンシートの作製において、Ni重量に換算して60質量部のNiOの粉末と、40質量部のYSZの粉末とを混合し、拘束層を設けないことの外は、実施例2と同様に実験を行い、反り変化量を求めた。
以下に、実施例2、実施例3、及び比較例2における、燃料極基板層及び燃料極活性層におけるNi比率、拘束層の有無、及び反り変化量の結果を表2に示す。
Figure 2015032427
燃料極基板層におけるNi比率が、燃料極活性層におけるNi比率よりも低い実施例3では、燃料極基板層におけるNi比率が、燃料極活性層におけるNi比率よりも高い比較例2よりも、反り変化量が小さかった。また、拘束層を設けて焼成を行った実施例2では、さらに反り変化量が小さかった。よって、この発明における燃料極及び拘束層が、焼成時における燃料極基板層の収縮によるセルの反りの防止に効果があることが分かった。
1:単セル
2:固体電解質層
3:燃料極
4:空気極
5:燃料極活性層
6:燃料極基板層
7:拘束層
11:固体酸化物形燃料電池
12:発電層
13:セル間セパレータ―
14:燃料極側集電体
15:空気極側集電体
16:ろう材
17:蓋体
18:底体
19:燃料ガスの流路
20:酸化剤ガスの流路
21:隔離セパレータ―
22:枠体
31:アノードハーフセル
32:アノードハーフセルの高さ
33:アノードハーフセルの厚み

Claims (11)

  1. 固体電解質層とこの固体電解質層の一方の面に形成された燃料極と前記固体電解質層の他方の面に形成された空気極とを備えて成る単セルを有する固体酸化物形燃料電池において、
    前記燃料極は、固体電解質層の表面に燃料極活性層と燃料極基板層とをこの順に積層して成り、
    前記燃料極活性層と前記燃料極基板層とは、ともに電解質材料とNiとを含有し、
    前記燃料極活性層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%が、前記燃料極基板層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%よりも大きいことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記燃料極活性層に含まれるNiの質量%と、前記燃料極基板層に含まれるNiの質量%との差が、0%より大きく、20%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記燃料極活性層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%、及び前記燃料極基板層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%は、ともに35%以上であり、かつ55%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記燃料極基板層の固体電解質層とは反対側の表面の少なくとも一部に拘束層を有し、この拘束層の気孔率は、前記燃料極基板層の気孔率よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記拘束層は、前記固体電解質層又は前記燃料極活性層のいずれか一方と同じ組成物であることを特徴とする請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 固体電解質層とこの固体電解質層の一方の面に形成された燃料極と前記固体電解質層の他方の面に形成された空気極層とを備えて成る単セルを有する固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
    前記固体電解質層の一方の面に、電解質材料とNiとを含有する燃料極活性層を、積層する工程と、
    前記燃料極活性層の他方の面に、電解質材料とNiとを含有し、電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%が前記燃料極活性層よりも低い燃料極基板層を積層する工程とを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  7. 前記燃料極活性層に含まれるNiの質量%と、前記燃料極基板層に含まれるNiの質量%との差が、0%より大きく、20%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  8. 前記燃料極活性層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%、及び前記燃料極基板層に含有される電解質材料とNiとの合計に対するNiの質量%は、ともに35%以上であり、かつ55%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  9. 前記燃料極活性層と前記燃料極基板層とを積層した後、又は、前記燃料極活性層と前記燃料極基板層とを積層するのと同時に、
    前記燃料極基板層の固体電解質層とは反対側の表面に、前記燃料極基板層よりも小さい気孔率を有する拘束層を積層する工程を、有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  10. 前記単セルを積層した後であって、前記固体酸化物形燃料電池の使用前に、前記拘束層の少なくとも一部を除去する工程を有することを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  11. 前記拘束層は、前記固体電解質層又は前記燃料極活性層のいずれか一方と同じ組成物であることを特徴とする請求項9又は10に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
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