JP5547040B2 - 電解質・電極接合体及びその製造方法 - Google Patents

電解質・電極接合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電解質・電極接合体及びその製造方法に関し、一層詳細には、1組のセパレータ間に介装された燃料電池の単位セルを構成するに好適な電解質・電極接合体及びその製造方法に関する。
固体電解質型燃料電池(SOFC)の単位セルは、基本的には、特許文献1、2等に記載されるように、固体電解質をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体(MEA)が1組のセパレータ間に介装されることで構成される。前記アノード側電極の材質としては、Ni−Y23安定化ZrO2(YSZ)のサーメットが主流である。また、前記固体電解質の材質としては、酸化物イオン(O2-)伝導度が高いものが採用され、特に、YSZが好適に選定される。
一方、カソード側電極には、イオン伝導度及び電子伝導度の双方が高いこと、酸素のカソード側電極で起こる電極反応、すなわち、酸素の解離反応に対して触媒活性を有すること、熱力学的に安定で他の物質(酸化剤ガスや固体電解質等)に対して反応を起こし難いこと、酸化剤ガスを十分に流通させるために多孔性であり発電中に焼結し難いこと、機械的強度が高いことが求められる。この観点から、カソード側電極の材質として、LaMO3(M=Mn、Co、Fe)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が選定されることがある。
この種のペロブスカイト型複合酸化物の中、LaCoO3や、Laの一部をSrで置換したLaxSr1-xCoO3(いわゆる「LSC」)、Coの一部をFeで置換したLaxSr1-xCoyFe1-y3(いわゆる「LSCF」)を用いてカソード側電極を形成した場合、SOFCの過電圧を低減し得る。また、特許文献2では、Laの一部をSrで置換した(La,Sr)MnO3からカソード側電極を構成している。
ところで、LSC又はLSCF中のLaやSrは、MEAの製造過程で焼成処理を施したときや、SOFCの運転中、すなわち、高温時に、固体電解質をなすYSZ中のZrと反応を起こす可能性がある。このような事態が生じると、高抵抗の反応生成物層を形成して導電性を低下させてしまう。
これを回避するべく、特許文献3及び非特許文献1に記載されるように、反応防止層としての中間層を介装することが行われている。なお、これら特許文献3及び非特許文献1においては、CeO2系酸化物(例えば、Sm23をドープしたCeO2)を中間層の材質として選定している。
欧州特許第0722193号明細書 特公平7−118327号公報 特開2003−331866号公報
固体酸化物形燃料電池:SOFCの開発 株式会社シーエムシー出版発行 第171頁 2005年10月31日
特許文献3及び非特許文献1に特に言及されていないものの、CeO2系酸化物は、アノード側電極をなすNi−YSZ、固体電解質をなすYSZ、カソード側電極をなす前記ペロブスカイト型複合酸化物に比して焼結し難い難焼結性の物質である。焼成温度が十分ではなく、このために中間層が気孔を多く含む多孔質体として形成されると、中間層におけるカソード側電極に臨む側の端面で開口した気孔が存在するようになる。その結果、中間層とカソード側電極との接触面積が小さくなり、互いの導電経路が少なくなる。
このような不具合を回避するべく、例えば、アノード側電極、固体電解質及び中間層を形成した後にこれらに対して同時に焼成処理を施すとき、CeO2系酸化物からなる中間層を十分に焼結して緻密化するに適切な温度が設定される。
しかしながら、このようにして緻密な中間層を形成した場合であっても、予測される電気的特性が発現しない電解質・電極接合体が得られることがある。すなわち、ジルコニウム系酸化物を固体電解質とし、且つセリウム系酸化物を中間層とする電解質・電極接合体を製造すると、場合によって、電気的特性が十分とはいえないものが作製されてしまうという不具合が顕在化している。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、良好な電気的特性を示す電解質・電極接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、緻密な中間層を形成した場合であっても、予測される電気的特性が発現しない電解質・電極接合体が作製される理由につき鋭意検討を行う過程で、焼成処理を施す際、固体電解質に含まれるZrが活性化されて中間層に拡散するとの知見を得た。この知見に基づき、カソード側電極を焼き付ける際に、カソード側電極の構成元素と、中間層に拡散したZrとで高抵抗の反応生成物層が形成されると推察した。
そして、固体電解質に含まれるZrが中間層に過度に拡散することを回避するという見地からさらなる検討を重ね、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、ジルコニウム系酸化物からなる固体電解質をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで形成され、前記固体電解質と前記カソード側電極の間に中間層が介装された電解質・電極接合体であって、
前記カソード側電極は、少なくとも、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなり且つ前記中間層に隣接する第1層を有し、
前記中間層は、セリウム系酸化物からなる単一層として形成され、且つ前記固体電解質から拡散したZr量が40原子%以下、気孔率が25〜40%、厚みが0.1〜5μmであることを特徴とする。ただし、前記中間層に含まれるZr量は、該中間層に対するXPS分析によって求められたCe組成比とZr組成比から下記の式(1)にて算出される。
Zr量=Zr/(Ce+Zr) …(1)
すなわち、本発明においては、セリウム系酸化物からなる中間層に含まれるZrの拡散量が40原子%以下に設定される。この場合、カソード側電極との界面となる中間層表面に存在するZrの量が少ないので、カソード側電極の構成元素と、中間層に拡散したZrとで高抵抗の反応生成物層が形成されることが回避される。仮に反応生成物層が形成されたとしても、その量は僅かである。
従って、MEAの導電性が低下することが回避される。このため、優れた電気的特性を示すMEAを構成することができる。
カソード側電極は、前記第1層のみからなる単層構造とすることができる。この場合、該第1層としては、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%であるものが好ましい。これにより、カソード側電極(第1層)において酸化剤ガスが容易に拡散し得るようになる。
カソード側電極は、前記第1層と、該第1層に隣接する第2層とを有する複数層構造であってもよい。この場合、第2層を、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物から形成すればよい。
この場合、第1層の相対密度は95%以上であることが好ましい。第1層の相対密度が過度に小さいと、中間層と第1層との接触面積が十分でなくなる懸念がある。なお、第1層の厚みは0.2〜10μm程度で十分である。
また、第2層は実質的にガス拡散層として機能するので、酸化剤ガスが容易に拡散し得る厚み及び気孔率であることが好ましい。この観点から、第2層の厚みを5〜50μm、気孔率を20〜30%に設定することが好ましい。
中間層は、多孔質体であってもよい。この場合、該中間層における第1層に臨む側の端面で開口した気孔が、第1層によって充填される。従って、この場合においても、中間層と第1層との接触面積が確保される。
中間層の厚みは、固体電解質とカソード側電極との相互反応を防止し得る程度であればよく、具体的には、上記の通り0.1〜5μmに設定される。
また、本発明は、ジルコニウム系酸化物からなる固体電解質をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで形成され、前記固体電解質と前記カソード側電極の間に中間層が介装された電解質・電極接合体の製造方法であって、
前記固体電解質の一端面に直接、又は中間層を介してアノード側電極を設けた後、前記固体電解質の残余の他端面にセリウム系酸化物からなる中間層を介して、あるいは、アノード側電極の一端面に直接、又は中間層を介して前記固体電解質を設けた後、該固体電解質上にセリウム系酸化物からなる中間層を介して、前記カソード側電極を、少なくとも、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなり且つ前記中間層に隣接する第1層を有するものとして形成する工程を有し、
固体電解質の出発材料とアノード側電極の出発材料の積層体、又は、固体電解質の出発材料と中間層の出発材料とアノード側電極の出発材料の積層体に対して1100〜1400℃で焼成処理を施した後、前記積層体の固体電解質上に、セリウム系酸化物からなる単一層の中間層の出発材料を積層し、1100〜1400℃で焼成処理することで、前記固体電解質から拡散したZr量が40原子%以下、気孔率が25〜40%、且つ厚みが0.1〜5μmである前記中間層を得ることを特徴とする。ただし、前記中間層に含まれるZr量は、該中間層に対するXPS分析によって求められたCe組成比とZr組成比から下記の式(1)にて算出される。
Zr量=Zr/(Ce+Zr) …(1)
以上のようにしてセリウム系酸化物からなる中間層に含まれるZr量を40原子%以下に抑制することにより、優れた電気化学的特性を示すMEAを得ることができる。
カソード側電極を前記第1層のみからなる単層構造とする場合、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%である層を形成することが好ましい。このような構成のカソード側電極(第1層)においては、酸化剤ガスが容易に拡散するからである。
また、カソード側電極を、第1層と、該第1層に隣接する第2層とを有する複数層構造として形成する場合、第2層を、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物から設ければよい。
この場合、第1層を緻密なものとする一方、第2層を、酸化剤ガスが容易に拡散し得る厚みの多孔質体とすることが好ましい。この観点から、第1層を、相対密度が95%以上、厚みが0.2〜10μm程度のものとして形成するとともに、第2層を、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%のものとして形成することが好ましい。
以上のような緻密な第1層と多孔質な第2層を得るためには、例えば、第1層の出発材料として小粒径のものを選定し、且つ第2層の出発材料として大粒径のものを選定すればよい。この場合の具体例としては、第1層を形成する際には一次粒子が20〜80nmであり且つ二次粒子が0.1〜0.2μmである粒子を用いるとともに、第2層を形成する際には平均粒径が0.5〜1.2μmである粒子を用いることを挙げることができる。
上記したように、中間層は多孔質体であってもよい。この場合、中間層は、先ず、粒子から成形体を設け、その後、前記成形体を仮焼結させることで得ることができる。そして、該中間層の一端面に存在する開口した気孔を前記第1層で充填すればよい。
さらに、固体電解質と第1層との相互反応を防止するとともに、電解質・電極接合体の電気抵抗を上昇させないという観点から、中間層の厚みを、上記の通り0.1〜5μmに設定する。
本発明によれば、電解質を源として拡散し、セリウム系酸化物からなりカソード側電極に隣接する中間層に到達するZrの量を40原子%以下に抑制するようにしているので、中間層とカソード側電極との間に、高抵抗の反応生成物層が形成されることが回避される。このため、電解質・電極接合体の内部抵抗が増加することが回避されるので、該電解質・電極接合体内で電荷が迅速に移動する。これにより、該電解質・電極接合体に優れた電気的特性が発現する。
中間層は、スクリーン印刷又はスパッタリングによって形成することが好適である。この場合、シート状成形体から中間層を形成したときよりも電気的特性が良好な電解質・電極接合体が得られる傾向があるからである。
本発明の実施の形態に係る電解質・電極接合体(MEA)の概略全体断面説明図である。 図1のMEAの要部拡大図である。 図2とは別部位のMEAの要部拡大図である。 別の実施の形態に係るMEAの概略全体断面説明図である。 また別の実施の形態に係るMEAの概略全体断面説明図である。 実施例1〜4及び比較例1、2のMEAにおける中間層及びカソード側電極の諸物性を示した図表である。 実施例2、3及び比較例1、2の各MEAの電流密度−放電電圧曲線である。 実施例2及び比較例2のMEAのコール−コールプロットである。 図10に示されるコール−コールプロットの第1部分、第2部分及び第3部分の各々における複素インピーダンス、及びその合計値を示す図表である。 図9の第1部分、第2部分及び第3部分の定義を説明する定義説明図である。
以下、本発明に係る電解質・電極接合体及びその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下における気孔率の数値は全て、酸化ニッケルを還元した後の値を示す。
図1は、本実施の形態に係る電解質・電極接合体(MEA)10の概略全体断面説明図である。このMEA10は、アノード側電極12とカソード側電極14との間に固体電解質16が介装されて構成されており、アノード側電極12の厚みが最大であるアノード側電極支持型のもの(いわゆる「ASC」)である。なお、カソード側電極14と固体電解質16との間には、中間層18が介装されている。
アノード側電極12の材質としては、好適には、Niと、Y23安定化ZrO2(YSZ)とのサーメットが選定される。又は、NiとSc23安定化ZrO2(SSZ)とのサーメット、NiとY23ドープCeO2(YDC)とのサーメット、NiとSm23ドープCeO2(SDC)とのサーメット、NiとGd23ドープCeO2(GDC)とのサーメット等であってもよい。
このような材質からなるASCのアノード側電極12の厚みは、200〜800μm程度、好ましくは600μm程度に設定される。
また、固体電解質16は、例えば、Y23が8mol%添加されたY23安定化ZrO2(8YSZ)からなる。
中間層18は、カソード側電極14に含まれる元素が固体電解質16中に拡散すること、換言すれば、カソード側電極14と固体電解質16が相互反応を起こすことを防止する役割を果たす。すなわち、中間層18は、反応防止層として機能する。中間層18の厚みは、この反応防止機能を営める程度であればよく、具体的には0.1〜5μm程度で十分である。
中間層18の材質は、このような機能を営むものであれば特に限定されるものではないが、好適には、Sm23ドープCeO2(SDC)、Y23ドープCeO2(YDC)、Gd23ドープCeO2(GDC)、La23ドープCeO2(LDC)が挙げられる。特には、Sm23を10〜20mol%ドープしたCeO2(10〜20SDC)が用いられる。
中間層18には、Zrが含まれることがある。この理由は、中間層18を焼き付ける際の加熱によって固体電解質16に含まれるZrが活性化され、中間層18に拡散するためであると推察される。
中間層18にZrが過度に含まれる場合、上記したように、カソード側電極14がLSC又はLSCF等のペロブスカイト型複合酸化物であるので、LaやSr等がZrと反応を起こす可能性がある。このため、中間層18としては、XPS等の分析機器によって求められるZrの拡散量が40原子%以下であるものが好適に選定される。なお、中間層18中のZrの拡散量は、下記の式(1)によって算出される。
Zrの拡散量=Zr/(Ce+Zr) …(1)
Zrの拡散量は、例えば、中間層18を焼き付ける際の焼成処理温度によって制御することが可能である。すなわち、焼成処理温度が過度に高いと、Zrの活性化の度合いも大きくなり、中間層18への拡散量が多くなる。これとは逆に、焼成処理温度が低いと、Zrがさほどは活性化されないので、中間層18への拡散量が少なくなる。
従って、中間層18の焼成処理温度は、該中間層18へのZrの拡散量を40原子%以下に抑制し、且つ該中間層18を可及的に緻密化し得る範囲に設定される。このような温度範囲で焼成処理を施すことによって得られた中間層18は、多くの場合、図2に模式的に示すように、気孔20を含む多孔質体である。中間層18をなすCeO2系酸化物が難焼結性であるからである。
多孔質体からなる中間層18の気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)の視野として確認される二次元断面の開口径の長径と短径の平均値として定義される。このように定義される気孔径は、最大でも3μm程度である。なお、中間層18の気孔率は、概ね25%程度であり、最大でも約40%程度である。
図2に示すように、気孔20の中には、カソード側電極14に臨む側の端面で開口するものも存在する。上記したように、気孔径が最大でも3μm程度であるので、この開口した気孔20の径も、最大で3μm程度である。
中間層18上には、カソード側電極14が積層される(図1参照)。本実施の形態において、カソード側電極14は、中間層18側から第1層22a、第2層22bがこの順序で積層された積層体からなる。従って、中間層18には第1層22aが隣接する。
第1層22aの一端部(図2における下方)は、中間層18におけるカソード側電極14に臨む側の端面で開口した気孔20を充填する。このため、中間層18と第1層22aとの接触面積が大きくなる。
第1層22aの好ましい厚みは、0.2〜10μmである。0.2μm未満では、開口した気孔20を第1層22aで充填することが容易ではない。また、10μmを超えると、焼成処理時にクラックが発生する懸念がある。
ここで、第1層22aは、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoO3又はLaxSr1-xCoyFe1-y3で表されるペロブスカイト型複合酸化物、すなわち、いわゆるBSCF、LSC又はLSCFからなり、第2層22bに比して相対密度が大きな緻密体として形成される。なお、第1層22aの好ましい相対密度は、95%以上である。
このような緻密な第1層22aを得るためには、BSCF等、易焼結性の出発材料を用いるようにすればよい。また、BET比表面積が高い粒子を用いるようにしてもよい。BET比表面積が高い粒子もまた、易焼結性であるからである。
以上のように、第1層22aが中間層18の開口した気孔20を充填することと、第1層22aが緻密体であることとが相俟って、中間層18から第1層22aまでの導電経路が十分に確保される。
第1層22aには、図3に示すように、第2層22bに臨む側の上端面(図3における上方)には、開気孔としての凹部24が存在する。場合によっては、凹部24が第2層22bを貫通し、このために凹部24内に中間層18の上端面が露呈することもある。なお、この図3では、第1層22aが緻密体であり、且つ第2層22bが多孔質体であることを表すべく、第1層22aを単純な層で示すとともに、第2層22bに粒界を示している。
凹部24の存在は、第1層22aの上端面をSEMにて二次元的に観察することで確認される。この際の第1層22aの上端面全体の面積を100%としたとき、該上端面に存在する凹部24の全てを合計した面積の割合は、10〜30%程度である。換言すれば、第1層22aにおいて、緻密化部分の面積率は70〜90%である。
この凹部24には、第2層22bの下端部(図3における下方)から突出した凸部26が進入する。すなわち、第1層22aの開気孔(凹部24)は、第2層22bによって充填される。このため、第1層22aと第2層22bとの接触面積が大きくなる。その結果、第1層22aから第2層22bに至る導電経路が十分に確保される。
以上から諒解されるように、本実施の形態においては、中間層18から第2層22bに至るまでに十分な導電経路が形成される。中間層18と第1層22aとの接触面積が十分に大きく、且つ第1層22aと第2層22bとの接触面積も十分に大きいからである。
図3には、凹部24と凸部26を含めた第1層22aと第2層22bの実接触界面を太実線で示すとともに、凹部24と凸部26を存在しないものとし、凹部24以外の部位と凸部26以外の部位との間に引いた境界線を太破線で示している。以降では、前者を実接触界面、後者を仮想境界線と表記し、各々の参照符号をL1、L2とする。
実接触界面L1の好ましい長さは、仮想境界線L2の長さの140〜200%である。140%未満であると、第1層22aと第2層22bとの接触面積が十分でなくなる可能性がある。また、200%超であることは、凹部24が過度に多数存在すること、換言すれば、第1層22aに気孔が過度に存在することを意味する。この場合、第1層22aと中間層18との接触面積が十分でなくなる可能性がある。
第2層22bは、カソード側電極14に供給された酸化剤ガスを拡散するためのガス拡散層として機能する。従って、第2層22bは、気孔率が20〜30%程度の多孔質体として設けられる。なお、気孔率が20%未満であると、酸化剤ガスが拡散することが容易ではない。また、30%を超えると強度が低下するので、破損が起こる懸念がある。
また、第2層22bの好ましい厚みは、5〜50μmである。5μm未満であると、酸化剤ガスを供給し得る量が低減する。一方、50μmを超えると、酸化剤ガスが拡散することが容易でなくなる。
以上のように構成される第2層22bは、上記したBSCFやLSCF、又はLSC等のペロブスカイト型複合酸化物等によって形成することができる。
本実施の形態に係るMEA10は基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、該MEA10を具備する燃料電池(SOFC)との関係で説明する。
SOFCを構成する場合、上記したMEA10をセパレータで挟んで単位セルを構成し、この単位セルを所定数積層してスタック化すればよい。その後、スタックの両端に位置する単位セルを1組のエンドプレートで挟み、さらに、これらエンドプレート同士をタイロッド等で緊締することによって、SOFCが構成される。
そして、SOFCの運転に先んじて、アノード側電極12を構成するNiO−YSZに対して初期還元処理を施し、NiOをNiに変化させる。これに伴ってNi−YSZからなるアノード側電極12が得られ、MEA10が発電可能となる。
SOFCを運転するに際しては、該SOFCを所定温度に上昇させた後、各単位セルのアノード側電極12に水素を含む燃料ガスが供給されるとともに、カソード側電極14に酸素を含む酸化剤ガスが供給される。カソード側電極14を構成する第2層22bでは酸素の電離反応が起こり、これにより生じた酸化物イオンが第1層22a、中間層18及び固体電解質16を介してアノード側電極12側に移動する。
ここで、上記したように、本実施の形態では、中間層18におけるZrの拡散量が40原子%以下に抑制されているので、中間層18に含まれるZrと第1層22aの構成元素とが反応を起こすことが抑制される。すなわち、中間層18と第1層22aとの間に高抵抗の反応生成物層が形成されることが回避される。勿論、中間層18が介装されているために、第1層22aと固体電解質16との相互反応が起こって反応生成物層が形成されることも防止される。
また、第1層22aの開口した気孔(凹部24)が第2層22bの凸部26によって充填され、且つ、中間層18の開口した気孔20が第1層22aによって充填されている。このため、第2層22bと第1層22aとの接触面積が大きくなり、且つ第1層22aと中間層18との接触面積が大きくなる。
その結果、第2層22bと第1層22aとの間の界面抵抗、及び、第1層22aと固体電解質16との間の界面抵抗が小さくなる。しかも、第1層22aは、好適には緻密なBSCFで形成されている。このため、導電率が大きい。なお、第1層22aがLSCF又はLSCからなる場合においても同様の結果が得られる。
以上のように、中間層18におけるZrの拡散量が所定量以下に抑制されているために高抵抗の反応生成物層が形成されることが回避されることと、中間層18から第2層22bに至るまでに十分な導電経路が形成されていることとが相俟って、MEA10の電圧降下が小さくなる。従って、SOFCを大電流密度で放電する場合においても、比較的大きな放電電圧を得ることができる。
次に、本実施の形態に係るMEA10の製造方法につき説明する。
ASCであるMEA10を得るためには、はじめに、アノード側電極12を形成する。この場合、例えば、NiO粒子とYSZ粒子とが体積比で1:1の割合で混合された混合粒子と、ポリビニルブチラール系やアクリル系等のバインダと、PMMA樹脂やカーボン等の造孔材とを添加することでペーストを調製する。なお、この調製に際しては、シート状成形体として形成されたアノード側電極12の焼成処理に伴う収縮率が所定の範囲内となるように、NiO粒子及びYSZ粒子として所定の粒径、BET比表面積を有するものが選定されるとともに、バインダの添加量が設定される。
例えば、NiO粒子の粒径、BET比表面積が1〜2μm、6〜9m2/gであり、YSZ粒子の粒径、BET比表面積が0.5〜3μm、4〜8m2/gであるときには、バインダの添加割合を40〜65体積%とすることが好ましい。この場合、焼成処理に伴うアノード側電極12の収縮率を8〜30%に制御することができる。
次に、上記のように調製したペーストを用い、ドクターブレード法によってシート状成形体としてのアノード側電極12を形成する。このシート状成形体の厚みは、ホットプレス等による圧着、及び焼成処理を経た後のアノード側電極12の厚みが好適には200〜800μmとなるように設定される。焼成処理後の厚みが200μmよりも小さいと、支持基板としての強度が十分でなくなるとともに、該アノード側電極12に供給された燃料ガスが拡散することが容易でなくなる。一方、800μmよりも大きいと、MEA10の積層方向(厚み方向)寸法が大きくなってしまい、このためにSOFCが大型化してしまう。また、SOFCの運転時にアノード側電極12の厚み方向に沿う燃料ガスの流通距離が長くなることから、この厚み方向に沿う燃料ガスのリーク量が増加する懸念がある。
その後、必要に応じ、アノード側電極12に対して脱脂処理を行う。この脱脂処理によって造孔材が消失し、その消失跡に、造孔材の平均粒径に応じた径の閉気孔及び開気孔が形成される。なお、脱脂処理を行わない場合には、焼成処理時に造孔材が消失する。
この時点では、アノード側電極12はNiO−YSZからなる。
その一方で、固体電解質16及び中間層18の出発材料であるペーストを調製する。固体電解質16のペーストは、8YSZの粉末を上記したようなバインダとともに溶媒に添加して調製することができ、中間層18のペーストは、10〜20SDCの粉末を上記したようなバインダとともに溶媒に添加して調製することができる。
その後、例えば、ドクターブレード法によって固体電解質16のシート状成形体を成形する。なお、ドクターブレード法に代え、押出し成形法やロール塗工法等を行うことによっても、所望の厚みの各シート状成形体を形成することが可能である。
次に、このシート状成形体(すなわち、固体電解質16)をアノード側電極12に積層する。その後、ホットプレス等によって圧着を行うことにより、アノード側電極12及び固体電解質16からなる積層体が得られる。
次に、この積層体に対して焼成処理を施す。この際の温度は、例えば、1100〜1400℃に設定すればよい。この焼成処理により、アノード側電極12及び固体電解質16が熱収縮を起こす。
本実施の形態では、シート状成形体を積層した後、アノード側電極12及び固体電解質16に対して温度や圧力を付与することで互いを圧着するようにしている。これにより隣接する層同士が堅牢に密着し合うので、焼成処理時に層同士の剥離が生じ難くなる。
次に、前記積層体の固体電解質16上に、中間層18のペーストをスクリーン印刷によって塗布する。これにより、アノード側電極12、固体電解質16及び中間層18のペーストからなる積層体が得られる。
又は、中間層18を形成し得る素材からなるターゲットを用いてスパッタリングを行い、これにより、アノード側電極12及び固体電解質16からなる積層体の固体電解質16上に中間層18を形成するようにしてもよい。
次に、アノード側電極12、固体電解質16及び中間層18の積層体に対して焼成処理を施す。この際の温度は、例えば、上記と同様に1100〜1400℃に設定すればよい。この焼成処理により、アノード側電極12、固体電解質16及び中間層18が熱収縮を起こす。
上記の温度範囲では、アノード側電極12及び固体電解質16は良好に緻密化するが、CeO2系酸化物等のような難焼結性物質からなる中間層18は、容易には緻密化しない。従って、中間層18は、図2に示すように気孔20が多く存在する多孔質体となる。
また、上記したような温度範囲では、固体電解質16に含まれるZrが中間層18に拡散することが回避される。すなわち、中間層18に含まれるZrを40原子%以下に抑制することができる。
次に、このようにして得られた積層体の中間層18上に、カソード側電極14を積層する。
すなわち、第1層22a、第2層22bの出発材料となるペーストを各々調製する。例えば、第1層22a、第2層22bのペーストは、それぞれ、BSCF、LSCFの粉末を上記したようなバインダとともに溶媒に添加して調製することができる。
なお、第1層22aとして緻密なものを得るべく、BSCFの粉末としては、例えば、BET比表面積が大きなもの等の易焼結性のものが選定される。焼結を促進し得るBSCF粉末の好ましいBET比表面積は、20〜35m2/gである。
そして、第1層22aとなるペーストを、スクリーン印刷法によって中間層18上に印刷する。ここで、第1層22aの厚みは、スクリーンメッシュ板の厚みに対応する。すなわち、スクリーンメッシュ板としては、所望の厚みの第1層22aが得られる厚みのものが選定される。この印刷に際し、余剰のペーストが中間層18の端面で開口した前記気孔20を充填する。
その後、焼成処理を施す。この焼成処理に際しては、100〜200℃/時間の昇温速度で昇温した後、800〜1100℃で1〜4時間保持を行えばよい。その後は、常温に到達するまで自然放冷する。この過程で、凹部24が形成される。
次に、第2層22bとなるペーストを上記に準拠して第1層22a上に印刷する。この印刷により、余剰のペーストが第1層22aの端面で開口した気孔、すなわち、凹部24を充填する。
その後、焼成処理を施す。この焼成処理に際しても、第1層22aと同様に、100〜200℃/時間の昇温速度で昇温した後、800〜1100℃で1〜4時間保持を行い、さらに、常温に到達するまで自然放冷すればよい。これにより、第1層22a及び第2層22bを有するカソード側電極14を含むMEA10が得られるに至る。
なお、上述のアノード側電極12、固体電解質16及び中間層18を同時に焼成処理し、次に、カソード側電極14をスクリーン印刷等によって形成した後に乾燥・焼成処理を施すことに代替して、アノード側電極12及び固体電解質16を同時に焼成処理し、次に、中間層18をスクリーン印刷等によって形成して焼成処理を行い、さらに、カソード側電極14をスクリーン印刷等によって形成した後に乾燥・焼成処理を施すようにしてもよい。
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、アノード側電極12と固体電解質16との間にも中間層を介装するようにしてもよい。この中間層は、多孔質体であるアノード側電極12における固体電解質16に臨む側の凹凸を充填ないし充填することで平坦化する役割を果たす。すなわち、この中間層は、平坦化層として機能する。
また、図4に示すように、固体電解質16を基板として作製される電解質支持型(ESC)のMEA30であってもよい。この場合、MEA30を構成する層の中では、固体電解質16の厚みが最大となる。固体電解質16の好適な厚みは、70〜100μm程度である。
ESCであるMEA30を作製する場合には、固体電解質16の一端面にアノード側電極12を設けるとともに、残余の一端面に中間層18、カソード側電極14をこの順序で設ければよい。勿論、カソード側電極14は、第1層22a及び第2層22bを有する積層体として形成される。なお、ESCにおいては、アノード側電極12の厚みは概ね50〜100μm程度、好適には90μm程度に設定される。
また、カソード側電極は、単層構造のものであってもよい。すなわち、ASCであるMEA40を例示して図5に示すように、第1層22cのみでカソード側電極を構成するようにしてもよい。この場合、第1層22cを、図1に示すMEA10の第2層22bと同様に、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%のものとして形成することが好ましい。
MEA40においては、中間層18を可及的に緻密なものとすることが望ましい。これにより、中間層18と、比較的多孔質である第1層22cとの接触面積が確保されるからである。
勿論、ESCにおいても同様に、単層構造のカソード側電極を構成するようにしてもよい。
さらに、上記の製造方法は、シート体を作製する場合を例示して説明しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、アノード側電極12ないし固体電解質16を任意の公知手法で形成した後、プリント、CVD法ないしPVD法等による製膜、スピンコーティング等によるコーティング、ディップ等によって残余の層を設けるようにしてもよい。
さらにまた、第2層上に第3層を積層するようにしてもよい。この場合、第3層としては、電子拡散機能を営むものが好適である。すなわち、第3層を電子拡散層として形成することが好ましい。
このような機能を営む第3層の材質としては、SOFCの運転温度において、カソード側電極をなす物質に比して電子伝導度が大きく、且つ酸素を還元することが可能な物質が選定される。この物質の好適な例としては、希土類元素A、遷移金属元素C、及び酸素Oを含有し、組成式がACO3で表される複合酸化物を挙げることができる。
希土類元素Aの好適な例としては、La、Sm、Nd、Prの群から選択された少なくともいずれか1種を挙げることができ、一方、遷移金属元素Cの好適な例としては、Co、Fe、Ni、Cr、Mn、Gaの群から選択された少なくともいずれか1種を挙げることができる。具体的な一例としては、LaCoO3が挙げられる。
又は、LSCFやLSC等で第3層を構成するようにしてもよい。
そして、中間層18は、シート状成形体から形成されたものであってもよい。このようなシート状成形体は、固体電解質16と同様に、ペーストを用いてドクターブレード法等の適切な成形方法を実施することで得ることができる。
このようにしてシート状成形体から形成された中間層18を具備するMEA10においても、従来技術に係るMEAに比して十分に優れた電気的特性が発現する。
上記に従い、NiO−YSZからなる厚み100μmのシート状成形体、8YSZからなる厚み10μmのシート状成形体をそれぞれ作製した後、この順序で積層して焼成処理を行うことによって、アノード側電極と固体電解質の積層体を得た。さらに、スパッタリングを行うことによって、前記積層体における固体電解質上に中間層を形成し、その後、焼成処理を施して焼結体とした。このときの中間層の厚みは0.2μm、上記式(1)によって求められたZrの拡散量は8原子%であった。
その一方で、一次粒子の平均粒径が20〜80nmで且つ二次粒子の平均粒径が0.1〜0.2μmであるBa0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23の粉末をBSCFとして含む第1ペーストと、平均粒径が0.7μmであるLa0.5Sr0.5CoO3の粉末をLSCとして含む第2ペーストとを調製した。
この中の第1ペーストをスクリーン印刷によって中間層上に印刷した。これを乾燥した後に900℃で焼成処理を施して、厚み5μm、相対密度97%(気孔率3%)、面積率78%の第1層を得た。
次に、第1層上に第2ペーストをスクリーン印刷によって印刷した。これを乾燥した後に900℃で焼成処理を施して、厚み10μm、気孔率25%の第2層を得た。これにより、前記第1層及び前記第2層からなるカソード側電極を具備するMEAを得た。このMEAにおける第1層と第2層の実接触界面L1の長さは、仮想境界線L2の長さの150%であった。これを実施例1とする。
中間層として、厚みが1〜3μm、Zrの拡散量が20原子%であるものを、前記積層体の固体電解質上にスクリーン印刷で形成した後、焼成処理を施して、上記と同一物性の第1層及び第2層を具備するカソード側電極を含むMEAを得た。これを実施例2とする。
中間層として、厚みが1〜3μm、Zrの拡散量が37原子%であるものを形成する一方、該中間層上に第2ペーストをスクリーン印刷によって印刷し、これを乾燥した後に900℃で焼成処理を施して、厚み10μm、気孔率25%の層からなる単層構造のカソード側電極を形成した。これにより、前記層のみからなるカソード側電極を具備するMEAを得た。これを実施例3とする。
厚みが0.2μm、Zrの拡散量が8原子%であるものを中間層として形成し、且つ第1層と第2層の実接触界面L1の長さが仮想境界線L2の長さの165%であるMEAを得た。これを実施例4とする。
なお、仮想境界線L2の長さに対する実接触界面L1の長さは、第1層及び第2層の焼成処理温度を変更することで調整した。
比較例1
中間層として、厚みが1μm、Zrの拡散量が65原子%であるものを形成したことを除いては実施例1、2に準拠してMEAを作製した。これを比較例1とする。
比較例2
中間層として、厚みが1μm、Zrの拡散量が65原子%であるものを形成したことを除いては実施例3に準拠してMEAを作製した。これを比較例2とする。
以上の実施例1〜4、比較例1、2のMEAにおける中間層、第1層及び第2層の物性を併せて図6に示す。ここで、図6中の「長さ比」は、実接触界面L1の長さを仮想境界線L2で除すことによって求められた商を100倍して算出された値である。
また、実施例3及び比較例3のMEAにおけるカソード側電極は、単層構造であるが、便宜上、該層の諸物性を第2層の欄に示している。
これら実施例1〜4、比較例1、2のMEAを用いて単位セルを構成し、電流密度を種々変更しながら放電することで、電流密度と放電電圧との関係を調べた。この中、実施例2、3及び比較例1、2の各MEAの電流密度−放電電圧曲線を図7に示す。
図7から諒解されるように、実施例2、3のMEAの双方において、比較例1、2のMEAよりも高い電圧を示した。このことは、実施例2、3のMEAが、比較例1、2のMEAに比して大電流密度で放電することが可能なものであることを意味する。
なお、図示はしていないものの、実施例1、4のMEAも比較例1、2のMEAに比して高電圧を示した。
また、図8は、実施例2及び比較例1のMEAのコール−コールプロットである。この図8から、実施例2のMEAにおける複素インピーダンスが小さいこと、換言すれば、優れた導電率を示すことが分かる。
図9に、図10に示されるコール−コールプロットの第1部分、第2部分及び第3部分の各々における複素インピーダンス、及びその合計値を示す。なお、第1部分、第2部分及び第3部分の各々は、IR損失(バルク抵抗)、比IR損(界面抵抗等)、MEA全体の抵抗を表す。
この図9からも、実施例1〜4のMEAが、複素インピーダンスが小さく、優れた導電率を示すものであることが明らかである。
10、30、40…電解質・電極接合体(MEA) 12…アノード側電極
14…カソード側電極 16…固体電解質
18…中間層 20…気孔
22a、22c…第1層 22b…第2層
24…凹部 26…凸部

Claims (12)

  1. ジルコニウム系酸化物からなる固体電解質をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで形成され、前記固体電解質と前記カソード側電極の間に中間層が介装された電解質・電極接合体であって、
    前記カソード側電極は、少なくとも、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなり且つ前記中間層に隣接する第1層を有し、
    前記中間層は、セリウム系酸化物からなる単一層として形成され、且つ前記固体電解質から拡散したZr量が40原子%以下、気孔率が25〜40%、厚みが0.1〜5μmであることを特徴とする電解質・電極接合体。
    ただし、前記中間層に含まれるZr量は、該中間層に対するXPS分析によって求められたCe組成比とZr組成比から下記の式(1)にて算出される。
    Zr量=Zr/(Ce+Zr) …(1)
  2. 請求項1記載の電解質・電極接合体において、前記カソード側電極が前記第1層のみからなるとき、該第1層は、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%であることを特徴とする電解質・電極接合体。
  3. 請求項1記載の電解質・電極接合体において、前記カソード側電極は、前記第1層に隣接し、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなる第2層をさらに有することを特徴とする電解質・電極接合体。
  4. 請求項3記載の電解質・電極接合体において、前記第1層は、厚みが0.2〜10μm、相対密度が95%以上であり、且つ前記第2層は、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%であることを特徴とする電解質・電極接合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質・電極接合体において、前記中間層が多孔質体であるとき、前記第1層は、前記中間層における前記第1層に臨む側の端面で開口した気孔を充填することを特徴とする電解質・電極接合体。
  6. ジルコニウム系酸化物からなる固体電解質をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで形成され、前記固体電解質と前記カソード側電極の間に中間層が介装された電解質・電極接合体の製造方法であって、
    前記固体電解質の一端面に直接、又は中間層を介してアノード側電極を設けた後、前記固体電解質の残余の他端面にセリウム系酸化物からなる中間層を介して、あるいは、アノード側電極の一端面に直接、又は中間層を介して前記固体電解質を設けた後、該固体電解質上にセリウム系酸化物からなる中間層を介して、前記カソード側電極を、少なくとも、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなり且つ前記中間層に隣接する第1層を有するものとして形成する工程を有し、
    固体電解質の出発材料とアノード側電極の出発材料の積層体、又は、固体電解質の出発材料と中間層の出発材料とアノード側電極の出発材料の積層体に対して1100〜1400℃で焼成処理を施した後、前記積層体の固体電解質上に、セリウム系酸化物からなる単一層の中間層の出発材料を積層し、1100〜1400℃で焼成処理することで、前記固体電解質から拡散したZr量が40原子%以下、気孔率が25〜40%、且つ厚みが0.1〜5μmである前記中間層を得ることを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
    ただし、前記中間層に含まれるZr量は、該中間層に対するXPS分析によって求められたCe組成比とZr組成比から下記の式(1)にて算出される。
    Zr量=Zr/(Ce+Zr) …(1)
  7. 請求項記載の製造方法において、前記カソード側電極として、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%の層のみからなる単層構造のものを形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  8. 請求項記載の製造方法において、前記カソード側電極を、前記第1層と、前記第1層に隣接し、BaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、又はLaxSr1-xCoO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなる第2層とを含めて形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  9. 請求項8記載の製造方法において、前記第1層として、厚みが0.2〜10μm、相対密度が95%以上であるものを形成し、且つ前記第2層として、厚みが5〜50μm、気孔率が20〜30%であるものを形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  10. 請求項記載の製造方法において、一次粒子が20〜80nmであり且つ二次粒子が0.1〜0.2μmである粒子を用いて前記第1層を形成するとともに、平均粒径が0.5〜1.2μmである粒子を用いて前記第2層を形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  11. 請求項10のいずれか1項に記載の製造方法において、前記中間層を、粒子から成形体を設けた後、前記成形体を仮焼結させることで多孔質体として形成したとき、前記中間層の一端面に存在する開口した気孔を、前記第1層で充填することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  12. 請求項11のいずれか1項に記載の製造方法において、前記中間層をスクリーン印刷又はスパッタリングで形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
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