JP2015030704A - アレルゲン活性低減化剤及びこれを利用したアレルゲン活性低減化方法 - Google Patents

アレルゲン活性低減化剤及びこれを利用したアレルゲン活性低減化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アレルゲン活性を有効に抑制することができ、かつ、家庭で安全に使用できるアレルゲン活性低減化剤及びアレルゲン活性低減化方法を提供する。【解決手段】ヒノキ科ヒノキ属、ヒノキ科スギ属及びマツ科モミ属よりなる群から選ばれた樹木の1種または2種以上の木質部及び/または葉の精油を有効成分とするアレルゲン活性低減化剤。【選択図】図1

Description

本発明は、アレルゲン活性低減化剤及びアレルゲン活性低減化方法に関し、詳しくは天然樹木から得られる精油を利用し、花粉などの各種アレルゲンのアレルギー性を抑制し得るアレルゲン活性低減化剤及びこれを利用したアレルゲン活性低減化方法に関する。
従来から、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症等、各種のアレルギー疾患が問題になっている。特に、花粉症は日本人の国民病といわれ、日本人の2〜3割は花粉症だといわれおり、近年この割合は10年前と比較して1.5倍に増加している。
花粉症のようなI型アレルギー症状の抑制剤としては、ケミカルメディエータであるヒスタミンの拮抗剤、遊離抑制剤、合成阻害剤、自律神経作用薬及びステロイド剤等が知られているが、これらは抗コリン作用や眠気等の副作用を生じるという問題があった。また、I型アレルギーの治療法としては、アレルゲンを主成分とする注射剤を定期的に投与する減感作療法等が知られているが、該治療法は2〜3年の長期間の通院が必要となり、負担が大きいという問題があった。
また、特許文献1及び2には、杉の葉抽出物を摂取すると花粉症予防等に有効であることが記載されており、一般的にも花粉症予防の民間療法として、杉の葉茶等の飲用が知られているが、これらも十分な効果が得られないなどの問題があった。
一方、花粉症等のアレルギー疾患の原因であるアレルゲンは蛋白質であるので、熱や化学的処理(酸化剤、還元剤、強酸、強アルカリ)などで変性させることで、アレルギー性を失活させることができるが、家庭で安全に使用できる程度の熱や、酸化剤、還元剤、強酸、強アルカリなどでは容易にアレルゲンが変性されないという問題があった。
このため、アレルゲンの分子表面を比較的温和な条件で化学的に変性する方法が提案されており、タンニン酸(特許文献3)、茶抽出物(特許文献4)、ヒドロキシ安息香酸系化合物またはその塩(特許文献5)などを用いてアレルゲンを変性する方法が公開されている。また、線状高分子の側鎖に特定の置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物を有効成分とするアレルゲン低減剤(特許文献6)も公開されている。しかしながら、いずれも十分な効果があるとはいえなかった。
一方、本発明者らは、針葉樹の葉を減圧下で加熱して蒸留を行い、得られた蒸留物である精油がNOxやSOxなどの有害酸化物などの環境汚染物質を有効に除去することを見出して特許出願を行っているが(特許文献7)、これらの精油がアレルゲン活性の抑制に対して効果を有することは知られていなかった。
特開平9−20671号公報 特開2001−141号公報 特開昭61−44821号公報 特開平6−279273号公報 特開平11−292714号公報 特開2003−81727号公報 国際公開WO2010/98439号公報
本発明の課題は、花粉などのアレルゲンの活性を有効に抑制することができ、かつ、安全性が高く家庭においても使用可能なアレルゲン活性低減化剤及びこれを利用したアレルゲン活性低減化方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、ある種の樹木から得られた精油をアレルゲンと接触させることにより、このアレルゲンの抗体への親和性を低下させることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、ヒノキ科ヒノキ属、ヒノキ科スギ属及びマツ科モミ属よりなる群から選ばれた樹木の1種または2種以上の木質部及び/または葉の精油を有効成分とするアレルゲン活性低減化剤を提供するものである。
また本発明は、上記アレルゲン活性低減化剤を、アレルゲンを含む空間中に常温揮散装置、ファン等による送風揮散装置、火や熱源等による加熱揮散装置などの適当な揮散装置を用いて揮散させることを特徴とするアレルゲン活性低減化方法を提供するものである。
また本発明は、アレルゲン活性低減化剤を、ポンプスプレー、エアゾール、超音波振動子、加圧液噴霧スプレーまたは加圧空気霧化噴霧装置を用いて霧化して空間に散布することを特徴とするアレルゲン活性低減化方法を提供するものである。
また本発明は、アレルゲン活性低減化剤を、アレルゲンが付着した対象物に噴霧することを特徴とするアレルゲン活性低減化方法を提供するものである。
本発明のアレルゲン活性低減化剤を、空気中に浮遊するアレルゲンや寝具などの表面に付着するアレルゲンと接触させることにより、アレルゲンとその抗体の親和性を低下させ、アレルゲン活性を低減化することができる。また、本発明のアレルゲン活性低減化剤は、樹木由来のすがすがしい香気を有しているため、空間中に揮散させた場合に優れた芳香を付与することができる。
本発明のアレルゲン活性低減化剤を揮散させるための揮散装置の一例を示す図面である。 本発明のアレルゲン活性低減化剤を霧化して空間に散布するため又はアレルゲンが付着した対象物に噴霧するために用いる加圧空気霧化噴霧装置を示す図面である。 本発明のアレルゲン活性低減化剤を霧化して空間に散布させるため又はアレルゲンが付着した対象物に噴霧するために用いるトリガー式ポンプスプレーを示す図面である。
本発明のアレルゲン活性低減化剤において有効成分として使用される精油は、ヒノキ科ヒノキ属、ヒノキ科スギ属及びマツ科モミ属の樹木の木質部および/または葉から得られるものである(以下、「樹木精油」ということがある)。
このうち、ヒノキ科ヒノキ属の樹木としては、ヒノキ、タイワンヒノキ、ベイヒバ、ローソンヒノキ、チャボヒバ、サワラ、クジャクヒバ、オウゴンチャボヒバ、スイリュウヒバ、イトヒバ、オウゴンヒヨクヒバ、シノブヒバ、オウゴンシノブヒバ、ヒムロスギ等が、ヒノキ科スギ属の樹木としては、スギ、アシウスギ、エンコウスギ、ヨレスギ、オウゴンスギ、セッカスギ、ミドリスギ等が、マツ科モミ属の樹木としては、トドマツ、モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、シラベ、バルサムファー、ミツミネモミ、ホワイトファー、アマビリスファー、アオトドマツ、カリフォルニアレッドファー、グランドファー、ノーブルファー等がそれぞれ挙げられる。
このうち好ましいものとしては、ヒノキ科ヒノキ属の樹木であるヒノキ、タイワンヒノキ及びベイヒバ;ヒノキ科スギ属の樹木であるスギ;マツ科モミ属の樹木であるトドマツ及びモミが挙げられる。また、好ましい部位としては葉である。
上記樹木から精油を得るには、チップ化した樹木の木質部あるいは細断した樹木の葉を原料とし、これを、常圧蒸留法、減圧蒸留法、水蒸気蒸留法、溶媒抽出法等の従来公知の精油採取方法に付すことにより得ることができる。
より好ましい精油採取方法としては、チップ化した樹木の木質部あるいは細断した樹木の葉等の原料を減圧下で加熱して蒸留を行う方法(以下、「減圧水蒸気蒸留法」という)が採用される。加熱を行う場合はヒーターによる加熱でもかまわないが、マイクロ波を照射することにより、マイクロ波が水分子を直接加熱する性質を利用して、素材中に元から含まれている水分のみで精油の抽出を行う方法を採用することが好ましい。
減圧水蒸気蒸留においては、蒸留槽内の圧力を3ないし40キロパスカル(以下、「KPa」という)、好ましくは5ないし30KPa、さらに好ましくは10ないし20KPa程度として行なえば良く、その際の蒸気温度は40℃から100℃になる。蒸留槽から発生した気体を冷却することにより得られた蒸留成分のうち、油性成分を精油として用いることができる。
かくして得られた精油のアレルゲン低減化活性は、例えば、実施例に記載の方法に従って、花粉中のアレルゲン物質であるCryj1とCryj1モノクロナール抗体(Mab)とのアフィニティ(親和性)変化を調べることにより確認することができる。
本発明のアレルゲン低減化剤は、上記のようにして得られた樹木精油そのまま、あるいはこれを適当な溶媒に溶解ないし分散させることにより調製することができる。
溶媒としては例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンアルコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を使用することができる。これらの溶媒中に上記樹木精油を0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上の濃度で溶解ないし分散させればよい。
また、本発明のアレルギー低減化剤の製造に当たっては、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、分散剤、防虫剤、殺虫剤、殺ダニ剤、忌避剤、殺菌剤、防黴防腐剤、帯電防止剤、光沢剤、安定化剤、香料、pH調整剤、風合向上剤などの添加剤を適量で含有させてもよい。
本発明のアレルゲン低減化剤の適用方法としては、ポンプスプレー、エアゾール、加圧液噴霧スプレーなどの噴霧器に収納して、花粉などのアレルゲンが付着している対象物、例えば、寝具などの表面や、室内電灯のかさ、窓枠、床などの表面に直接噴霧する方法が挙げられ、この方法によって対象物に存在するアレルゲンのアレルギー性を低減させることができる。適用量は、アレルゲンの量等によって適宜調整されるが、例えば、床等に直接適用する場合には、1mあたり樹木精油として0.001g〜10g程度噴霧すればよい。
また、本発明のアレルゲン低減化剤をアレルゲンを含む空間に適用して、空間中のアレルゲンと接触させる方法も好適に用いられる。例えば、常温揮散装置、ファン等による送風揮散装置、火や熱源等による加熱揮散装置などの適当な揮散装置を用いて揮散させる方法、ポンプスプレー、エアゾール、超音波振動子、加圧液噴霧スプレー、加圧空気霧化噴霧装置等の霧化装置を用い、霧化させた状態で散布する方法等が挙げられ、これらの方法により、空間中に浮遊するアレルゲンのアレルギー性を低減させ、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アレルギー性皮膚炎、花粉症等の病状を軽減させることが可能である。空間に適用する場合には、本発明のアレルゲン活性低減化剤を1mあたり樹木精油として0.001〜10g程度適用すればよい。
本発明のアレルゲン低減化剤の対象となるアレルゲンとしては、特に制限されるものではないが、例えば、ダニ、花粉、カビ、ペットの毛等のハウスダストなどが挙げられ、このようなアレルゲンが存在し得る居室、自動車の車内等の室内空間や、アレルゲンが付着、滞留し得る寝具、室内電灯のかさ、窓枠、床等に適用される。
本発明のアレルゲン活性低減化剤は、アレルゲンと接触することにより、その抗体への親和性を低下し、アレルギー性を低減化することができるものである。また、花粉などのアレルゲンはチロシン残基を有しており、これが窒素酸化物(二酸化窒素等)などの大気汚染物質と反応しニトロ化されることによってアレルギー反応が促進されると考えられているが、本発明のアレルゲン活性低減化剤は、さらにこのようなニトロ化を防ぐことができるため、より効果的にアレルギー性を低減することができるものと推測される。このため、本発明のアレルゲン活性低減化剤は、自動車の車内など窒素酸化物が存在する空間において特に効果を発揮し得る。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
スギ葉を圧砕式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したもの約50kgを、マイクロ波水蒸気蒸留装置の蒸留槽に投入し、攪拌しながら蒸留槽内の圧力を、約20KPaの減圧条件下に保持し、(蒸気温度は約67℃)1時間マイクロ波照射し精油を蒸留した。得られた精油の量は180mL(0.36質量%、投入試料に対する精油の割合)であった。
実 施 例 2
実施例1の原料として、スギの葉に変えてトドマツの葉を用いて、同様の方法によりトドマツ葉精油を得た。得られた精油の量は180mL(0.36質量%、投入試料に対する精油の割合)であった。
実 施 例 3
実施例1の原料として、スギの葉に変えてヒノキの葉を用いて、同様の方法によりヒノキ葉精油を得た。得られた精油の量は180mL(0.36質量%、投入試料に対する精油の割合)であった。
実 施 例 4
圧搾式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したトドマツ葉約101gをパイレックス(登録商標)ガラス製フラスコに入れ、5〜8倍量の水を加えた後、当該フラスコを湯浴中で90〜100℃に加熱し沸騰させ、水蒸気蒸留を行った。精油採取管には加熱前に基準線まで水を入れておいた。6時間煮沸を続けて精油を蒸留した。得られた精油の量は0.8mL(0.79質量%、投入試料に対する精油の割合)であった。
試 験 例 1:アレルゲンと抗体の親和性試験
(1)スギ花粉アレルゲンサンプルの作成
スギ花粉1.0g及びCryj1スギ花粉タンパク質抽出液40mLを50mL遠沈管に入れて4℃で一晩放置した。6,000rpm、10分の遠心分離後、上清を分取し、遠心式フィルターユニット(アミコンウルトラ−4;Millipore Co.,Ltd.)(分画10,000Da)のフィルター濾過ユニットに入れた。14,800rpm、15分で遠心分離後、溶媒を除去した上清をマイクロチューブに移し、スギ花粉から溶出したタンパク質を濃縮および回収した。すべての上清を回収したら、再度新しいアミコンウルトラ−4に上清を入れ、溶媒交換および濃縮操作を以下の方法で行った。なお、スギ花粉タンパク質抽出溶液の成分は、0.125 M NH4HCO3、0.150 M NaCl、3 mM EDTA、 0.005 wt% ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(Tween20)、10 mM HEPES緩衝液(pH: 7.3 ± 0.1)である。溶媒には超純水を使用した。
上清の入ったアミコンウルトラ−4を14,800rpm、15分で遠心分離した後、緩衝液(HBS−EP;GE Healthcare Co.,Ltd)を3mL加え、さらに同条件で遠心分離した。この操作を2回繰り返したのち、溶媒交換した濃縮スギ花粉抽出タンパク質をフィルターユニットから吸い取り、マイクロチューブに入れ、全量が2.0mLになるようにHBS−EPを加えた。この試料を、スギ花粉タンパク質抽出物とし、使用するまで−40℃で保管した。
(2)スギ花粉タンパク質抽出物と樹木精油との接触
スギ花粉タンパク質抽出物2.5μL、実施例1又は実施例2で得た各樹木精油1μL及びHBS−EP100μLをマイクロチューブに入れて混合した。接触時間による活性変化を調べるため、混合後すぐに溶媒交換を行ったもの(no time)と4℃で一晩接触させたもの(overnight)を用意した。溶媒交換は、HBS−EPを400μL入れてサンプルを希釈し、これらをアミコンウルトラ−0.5でHBS−EP緩衝液へ溶媒交換を行いサンプルを作成した。なお比較品1として、樹木精油に替えてHBS−EP1μLを入れたものを使用した。
(3)アレルゲン活性変化の測定
アレルゲン活性変化の測定は、上記(2)のサンプル中に含まれるCryj1とCryj1モノクロナール抗体(Mab)とのアフィニティ(親和性)を測定することにより行った。アフィニティの測定には、分子間相互作用解析システムBIACOREJ(GEヘルスケアジャパン株式会社製)を用いた。
リガンドにはCryj1Mab(生化学バイオビジネス社製)を、標準物質にはCryj1(生化学バイオビジネス社製)を使用した。センサチップ表面の再生には10mMグリシン−HCl(pH2.0)を使用し、サンプルを任意の5段階に希釈してそれぞれを測定し、それらのセンサグラムからアレルゲンのCryj1Mabへの解離定数(KD値)を求めた。なお、解離定数(KD値)の値が大きいほどCryj1のCryj1Mabとの親和性は低くなっており、アレルギーを起こしにくいことを示す。結果を表1に示す。
Figure 2015030704
スギ精油で処理したものは、KD値が2.04×10−9Mから4.94×10−9Mへと変化しており、アレルギー性が約40%に低下することが分かった。さらに、トドマツ葉精油で処理したものは、KD値が0.27×10−9Mから2.89×10−9Mへと大きく変化しており、アレルギー性が約10%に低下することが分かった。一方、比較品1はKD値が2.39×10−9Mから0.81×10−9Mと小さくなっており、約3倍アレルギー性が悪化することが分かった。
試 験 例 2:アレルゲンをNO及びOに暴露した場合における親和性試験
(1)精油揮発ガスの作成
実施例1〜3で得た精油50μLを、3Lのアナリティバリアバック(近江オドエアーサービス(株))に入れた。これに、3Lのゼロガスを加えたのち、50℃の乾燥機内へ10分間入れ精油を揮発させた。
(2)スギ花粉と精油揮発ガスの接触
容積500mLのデシケータ中に47mmφの石英繊維フィルターに花粉1.0gを撒いたものを入れた。3Lの精油揮発ガスをデシケータのガス導入部から通気し、デシケータ内を精油揮発ガスで満たした。ガス導入部をコックで密封し、24時間静置してスギ花粉と精油揮発ガスを接触させた。
(3)精油吸着スギ花粉へのNO及びOの暴露
上記(2)の方法で得た精油吸着スギ花粉を、O:250ppb及びNO:250ppbに調製した流量2L/minのガスで約6時間暴露させた。これをマイクロチューブに移し、Cryj1抽出液2mLを加えて4℃で一晩静置した。その後、14,800rpm,10分で遠心分離を行い、上清500μLを遠心式フィルターユニット(アミコンウルトラ‐0.5;Millipore Co., Ltd.)のフィルター濾過ユニットに入れた。14,800rpm、15分で遠心分離後、マイクロチューブに入れ、全量が2.0 mLになるようにHBS−EPを加え、再度14,800rpm、15分で遠心分離した。これを2回行い、溶媒交換を行った。
次に、フィルター濾過ユニットをマイクロチューブに逆に取り付け、4,000rpm、2分で溶液をフィルター濾過ユニットからマイクロチューブへ移した。この溶液に、元の溶液量になるようHBS−EPを加えたものをサンプルとした。試験例1と同様の方法でアフィニティ変化(KD値)を測定した。なお、比較品2として精油処理していないものを用いた。結果を表2に示す。
Figure 2015030704
精油処理したものは、KD値が1.35〜2.45×10−9Mであり、精油未処理(0.22×10−9M)に比べてアレルギー性が約9%〜約16%であることが分かった。また、特にトドマツ葉精油は、その効果が特に大きいことが分かった。
実 施 例 5
実施例1で得たトドマツ葉精油2質量%を界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキル
エーテル)5質量%を用いて水に可溶化させて、アレルゲン活性低減化剤を製造した。このアレルゲン活性低減化剤を図1に示すような揮散装置を用いて室内空間に揮散させたところ、約3ヶ月間、アレルゲンのアレルギー性低減効果を示した。
実 施 例 6
実施例1で得たトドマツ葉精油を、図2に示すような加圧空気霧化噴霧装置を用いて、室内空間に5ml/分で8時間噴霧したところアレルゲンのアレルギー性低減効果を示した。
本発明のアレルゲン活性低減化剤は、空間に揮散させることにより、アレルゲンと抗体との親和性を低下させてそのアレルギー性を抑制することができるものであり、屋内、自動車内等の空間で利用することができる。
また、本発明のアレルゲン活性低減化剤の有効成分である精油は、伐木現場で発生する枝葉を利用することができるため、森林荒廃を防ぎ、また、資源循環を効率良くするために役立ち、環境面においても優位性のある新しい産業としての可能性を有するものである。
1 … … 揮散装置
2 … … 揮散体
3 … … 吸上芯
4 … … 容器
5 … … アレルゲン活性低減化剤
10 … … 加圧空気霧化噴霧装置
11 … … 気液混合噴霧ノズル
12 … … 2液流量調整供給装置
13 … … コンプレッサ
14 … … アレルゲン活性低減化剤
15 … … 水
16 … … 空気
20 … … トリガー式ポンプスプレー
21 … … 容器部
22 … … トリガー部
23 … … ノズル部
24 … … キャップ部
25 … … 吸い上げ管
26 … … 吐出機構
27 … … アレルゲン活性低減化剤




Claims (14)

  1. ヒノキ科ヒノキ属、ヒノキ科スギ属及びマツ科モミ属よりなる群から選ばれた樹木の1種または2種以上の木質部及び/または葉の精油を有効成分とするアレルゲン活性低減化剤。
  2. ヒノキ科ヒノキ属の植物がヒノキである請求項第1項記載のアレルゲン活性低減化剤。
  3. ヒノキ科スギ属の植物がスギである請求項第1項記載のアレルゲン活性低減化剤。
  4. マツ科モミ属の植物がトドマツまたはモミである請求項第1項記載のアレルゲン活性低減化剤。
  5. 請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載のアレルゲン活性低減化剤を、アレルゲンを含む空間中に適用することを特徴とするアレルゲン活性低減化方法。
  6. 空間が、さらに窒素酸化物を含有する請求項第5項記載のアレルゲン活性低減化方法。
  7. アレルゲン活性低減化剤を揮散させることによりアレルゲンを含む空間中に適用するものである請求項第5項または第6項に記載のアレルゲン活性低減化方法。
  8. アレルゲン活性低減化剤を揮散装置を用いて揮散させるものである請求項第7項記載のアレルゲン活性低減化方法。
  9. 揮散装置が、常温揮散装置、送風揮散装置または加熱揮散装置である請求項第8項記載のアレルゲン活性低減化方法。
  10. アレルゲン活性低減化剤を霧化させた状態で空間に散布することにより、アレルゲンを含む空間中に適用するものである請求項第5項または6項記載のアレルゲン活性低減化方法。
  11. アレルゲン活性低減化剤の霧化を、ポンプスプレー、エアゾール、超音波振動子、加圧液噴霧スプレーまたは加圧空気霧化噴霧装置を用いて行う請求項第10項記載のアレルゲン活性低減化方法。
  12. 請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載のアレルゲン活性低減化剤を、アレルゲンが付着した対象物に適用することを特徴とするアレルゲン活性低減化方法。
  13. アレルゲン活性低減化剤を対象物に噴霧することにより、アレルゲンが付着した対象物に適用するものである請求項12記載のアレルゲン活性低減化方法。
  14. アレルゲン活性低減化剤の噴霧を、ポンプスプレー、エアゾール、超音波振動子、加圧液噴霧スプレーまたは加圧空気霧化噴霧装置を用いて行うものである請求項第13項記載のアレルゲン活性低減化方法。
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