JP2015026790A - 六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法および六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の成形体の製造方法並びに六方晶フェライト磁性粉の製造方法 - Google Patents

六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法および六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の成形体の製造方法並びに六方晶フェライト磁性粉の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス結晶化法は、優れた特性を有する六方晶フェライト磁性粉を製造できる。しかし、決まった組成の六方晶フェライト磁性粉を繰り返し製造すると、特性のばらつきが多かった。
【解決手段】レーザー回折法により測定したD90粒径が1から200μm以下である複数の原料粉をそれぞれ秤量する工程と、前記複数の原料粉を混合して磁性体原料を得る工程を有することを特徴とする六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高密度磁気記録媒体に適した六方晶フェライト磁性粉および六方晶フェライト磁性粉の原料の成形体を得るための製造方法並びに六方晶フェライト磁性粉の原料の成形体に関する。
塗布型磁気記録媒体のさらなる高密度化のために、微細な磁性粉が求められている。従来使用されてきた金属磁性粉は、高い飽和磁化と大きな保磁力という優れた磁気特性を有する磁性粉である。しかし、微細になるのに伴い、その磁気特性を長期間にわたって保つこと(耐候性)と、優れた磁気特性の両立化を図ることが難しくなってきた。また、昨今の磁気ヘッド(特に再生ヘッド)の特性向上は、金属磁性粉ほど高い飽和磁化を有しない磁性粉であっても、十分に記録媒体用として利用できることを可能にした。
そうした技術傾向を背景として、従来は磁気特性の安定性には優れるが飽和磁化が低いため特定の用途でしか使用されてこなかったフェライト型磁性粉、特に六方晶フェライト磁性粉が、次世代の高密度磁気記録媒体用磁性粉として着目されるようになってきている。
また、高密度磁気記録に適した六方晶フェライト磁性粉を検討していく過程において、微細でかつ高磁気特性を有し、高密度磁気記録媒体に好適に利用できる六方晶フェライト磁性粉を得るには、ガラス結晶化法を用いることが好ましいことがわかってきた。
ここで、ガラス結晶化法を簡単に説明する。最初に磁性体原料であるフェライト成分とガラス形成成分(「非磁性成分」とも呼ぶ。)を高温溶融する。磁性体原料には、必要に応じて他の金属元素を添加する場合がある。これを溶融状態から急冷して固化し、非晶質体(ガラス体)である前駆体を得る。
前駆体には、熱処理を施し、その前駆体中で六方晶フェライト磁性粉を析出させる。ここでの六方晶フェライト磁性粉が高密度磁気記録媒体の材料となる。ガラス結晶化法を用いると、高温のガラス体中で六方晶フェライトを結晶成長させるので、結晶成長を制御しやすい。特にC軸方向に結晶成長させやすいことから、優れた磁気特性を有する六方晶フェライトを得ることができるという利点がある。
さらに、優れた磁気特性を有する六方晶フェライトを得るために、組成などを改善する方法が知られている。例えば、特許文献1には、六方晶フェライト生成原料と、前記六方晶フェライト生成原料に含まれる鉄(Fe)1原子に対して0.004〜0.045原子の4価元素(M4)の少なくとも1種とを混合し、得られた原料混合物を溶融し、急冷して非晶質体として、次いで前記非晶質体を熱処理して六方晶フェライトを析出させる、六方晶フェライト磁性粉の製造方法が開示されている。
上記非晶質体の生産性を改善する方法としては、例えば特許文献2に示す方法がある。バッチ処理で生産性良く非晶質体を得ようとした場合、できるだけ原料を多く溶融して処理することが効率的である。そこで、最初の原料が溶融して容積が減った後に、耐熱容器(るつぼ)を炉から取り出し、そこへ原料を追加で添加し、1バッチあたりの溶融量を増やす方法が特許文献2に記載されている。
なお、バッチ処理とは、生産量をある一定量の区分けに分取し、それを1バッチ(1ロットとも言われる)とする生産単位にし、行われる処理である。この処理の利点は、原料の配合等がその1バッチ内で調整できるため、所望の組成の物を得やすいことである。
しかし、調合した組成比が所望のものとずれてしまうと、その1バッチの生産物は次の工程にて使用できないため廃棄、または、再処理をすることになる。
バッチ処理において、原料を溶解する際に高周波溶融炉を用いた場合は、コイルに流す電流量を調節することによって炉の温度をすばやく調節することが可能であるため、炉を冷やして追加添加することも容易であり、六方晶フェライトを作製する際に用いられている報告がある(特許文献1)。
このように、優れた磁気特性を有する六方晶フェライトを得るために、新たな組成を見出すこと、生産性の改善については、バッチ処理にて処理量の増量と、より効率的な加熱方式を採用することが知られていた。
特開2006−5299号公報 特開2012−25598号公報
高密度磁気記録媒体の市場では、高特性の磁性粉と一定量の安定供給の要請は当然として強く、そのためには、特性の安定した六方晶フェライト磁性粉の供給が急務である。磁気特性を向上するために新たな組成を見出しても、安定的に供給できる製品化までには様々な試験が必要であり、長大な時間、コストが必要である。
一方で、六方晶フェライト磁性粉は既存の組成であっても高特性な磁性粉である。しかし、生産される磁性粉の磁気特性は、ほぼ同一の組成であっても磁気特性に変動があり、変動が抑制されたより安定した品質(磁気特性)の磁性粉の供給が必要であった。
つまり、高特性の安定した六方晶フェライト磁性粉において、既存の組成であっても、安定した品質(磁気特性)の磁性粉と、それを供給可能とする生産方法の開発が望まれていた。
本発明は上記課題に鑑みて想到された発明である。六方晶フェライト磁性粉の生産では、組成が予め設定されてあり、その組成を目標に各種元素の原料が配合されている。これら各種元素としては、鉄、バリウム、ホウ素が主であり、それらの組成をモル比で表した組成比が予め設定されている。
工業的な組成であれば、ほぼ組成比どおりに磁性粉は製造できている。しかし、磁性粉の組成と設定値との比較差である組成ズレが、極めて小さい範囲で生じることがある。この極めて小さい組成ズレであっても、磁気特性全体のばらつきの原因となり、結果、安定した特性の六方晶フェライト磁性粉を提供することへの阻害要因になることを発明者らは見出した。
さらに、発明者らは、六方晶フェライト磁性粉の磁気特性は、磁性粉として利用される際にはほとんど残っていないガラス原料(ホウ素)の組成比ズレを小さくすることが重要であることを突き止めた。そして、原料を予め球状に成形し(成形工程)、溶融炉に投入することで、ホウ素の組成比ズレを少なくできることを見出した。
しかし、さらに磁気特性を安定にしようとした際には、その成形工程をもってしても条件によってはホウ素量がずれてしまう課題が生じることがわかってきた。その原因を鋭意検討した結果、使用する原料の粒度がある一定の大きさの範囲に収まっていることが重要であるという結論に達し、本発明に至った。
本発明に係る六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法は、
レーザー回折法により測定したD90粒径が1〜200μmである複数の原料粉を秤量する工程と、
前記複数の原料粉を混合して磁性体原料を得る工程を有することを特徴とする。
また、上記磁性体原料の製造方法においては、
前記複数の原料粉には、ホウ酸粉と酸化鉄粉が含まれており、
前記秤量する工程の前に、前記ホウ酸粉と酸化鉄粉のそれぞれのD90粒径の比(ホウ酸粉のD90粒径/酸化鉄粉のD90粒径)が0.5〜5の範囲になるように粒度調整を行う工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係る磁性体原料の成形体の製造方法は、
上記に記載した磁性体原料を凝集させて成形し、
成形体を得る工程を有することを特徴とする。
また、上記の成形体の製造方法においては、
前記成形体を得る工程は、前記磁性体原料に水を添加して前記磁性体原料を凝集させる工程であることを特徴とする。
また、本発明に係る六方晶フェライト磁性粉の製造方法は、
前記成形体を乾燥後、溶融し溶融体を得る工程と、
前記溶融体をアトマイズ法により微粉状の前駆体とする工程と、
前記前駆体を熱処理する工程を有することを特徴とする。
本発明に係る六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法は、酸化鉄粉原料に対するホウ酸粉原料の大きさを規定することで、それぞれの材料の大きさが一定の範囲内に収まるようにしたので、混合の際にそれぞれの原料粉が混合粉中で偏在することがない。
そのため、高特性の六方晶フェライト磁性粉において、既存の組成であっても、特性のばらつきを抑えた安定した品質(磁気特性)の磁性粉が得られ、それを市場へ供給可能となる。
以下本発明の六方晶フェライト磁性粉の製造方法について説明を行うが、以下に示す実施の形態は本発明の一実施形態を説明するのであり、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態は変更することができる。
また、本発明において凝集とは、粒子同士の表面が接合し、2個以上の粒子の集合体となっている状態、または、粒子同士の表面が接触することなく、単に接近して2個以上の粒子の集合体となっている状態のことをいう。
以下の実施形態では、それぞれの実施例において、使用する計測手段は以下の通りである。
粒径の測定は、乾式法によるレーザー回折法で行った。レーザー回折法とは、具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置(へロス−ロドス)を用いた。レンズは200mmを用いて、分散圧は0.5MPaにて測定した。この方法にて体積粒子径を測定し、体積基準累積粒度分布において、50%での値を平均粒径(D50粒径)とし、90%での値をD90粒径とした。
ただし、この200mmのレンズでは、350μm以上の大きさは測定することができないため、粉砕処理前のホウ酸についてはFE−SEM(日立製作所製S−4700形)を使用して倍率30倍で撮影し、100個以上の粒子の最も長い大きさを用いて球形近似の体積粒子径を測定し、体積基準累積粒度分布において、50%での値を平均粒径(D50粒径)とし、90%での値をD90粒径とした。
なお、各原料粉の粒径については、10%程度の誤差があっても良く、厳密な数値管理は必要ない。粒径比を調整することから、一定の細かい目開きの篩いによって篩い分けをした各原料粉を用いても良い。例えば−200メッシュ(75μm)などがある。原料粉の種類に応じて目開きの大きさ(番手)を変更しても良い。
非晶質体(ガラス体)中の元素組成は、アジレントテクノロジー製のICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ、製品名:720―ES)を用いたICP発光分析法で計測した。
BET比表面積は、ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUSを用いて、BET法により求めた。
本発明に係る六方晶フェライト磁性粉の製造方法および六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の成形体の製造方法をバリウムフェライトの場合で説明する。
まず、原料粉の粒度を測定し、それぞれD90粒径が1〜200μmの範囲に入っているか否かを確認する。粒度がこの範囲内にない場合は、粉砕処理を行う。特に、ホウ酸は粒度が粗い場合が多いので、上記の範囲に入るように、粉砕処理を行うのが望ましい。
次に、磁性体原料となる原料粉を秤量する。原料粉には、磁性粉となるフェライト原料と非晶質体を形成するために必要なガラス原料と、磁性粉に添加される添加物質がある。なお、添加物質には、最終的な磁性粉には含まれないが、前駆体中でフェライト粒子の析出に影響を与えるために添加する物も含まれる。また、フェライト原料、ガラス原料、添加物質それぞれを原料粉と呼ぶこともある。
具体的には、フェライト原料としては、Fe(酸化鉄、テツゲン製HRT)、BaCO(炭酸バリウム、日本ソルベイ製/工業用)といったフェライトを構成する元素等が好適に用いられる。フェライト原料は、それぞれ粉状のフェライト原料が望ましい。
ガラス原料としてはホウ酸(HBO)(US Borax製/通常品)、炭酸バリウムが好適に用いられる。ガラス原料は、後述する溶融工程で溶融したフェライトをガラス中で結晶成長させ析出させるためのものである。ガラス原料は、それぞれ粉状であるガラス原料が望ましい。
添加物質は、Bi(酸化ビスマス、圓商産業製/工業用)、Nb(酸化ニオブ、三井金属鉱業製/工業用)、CoO(酸化コバルト、和光純薬製/試薬)、ZnO(酸化亜鉛、ハクスイテック製/工業用)、Nd(酸化ネオジム、信越化学製/工業用)、などがあげられる。添加物質は、それぞれ粉状の添加物質が望ましい。これらの添加物質は、六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料のモル比で数%以下含有させられる。
各原料は、すでにD90粒径が1〜200μmに加工されている。しかしさらに、それぞれ、D90粒径が3〜100μmの範囲にあることが好適である。さらに好ましくは、D90粒径が3〜80μmであるのがよい。
フェライト原料の酸化鉄粉は、D50粒径が1〜10μm、D90粒径が30〜100μmの範囲にあることが好適である。
炭酸バリウム粉は、D50粒径が1〜10μm、D90粒径が、1〜50μm程度である。
また、ホウ酸粉は、D50粒径が5〜20μm、D90粒径が500μm以下が好ましく、D90粒径が20〜500μm程度が好ましい。さらに好ましくは、D90粒径が20〜80μm程度が好ましい。ホウ酸粉の粒径は、他の原料粉の大きさにもよるが、500μm以上では、他の原料との混合が均等に行いにくくなるからである。
ここで、ホウ酸粉のD90粒径値と酸化鉄粉のD90粒径値とのD90粒径比を考える。ホウ酸粉のD90粒径/酸化鉄粉のD90粒径の比は、5以下が好ましい。さらには0.5〜5の範囲が好ましい。生産性の観点からは0.5〜3.5が安定的に生産可能である。
これらの粒度比(D90粒径比)を定めるのは、ホウ酸粉と酸化鉄粉とが混合された時に、混合体の中のどの部分であっても、それぞれの原料の組成比が均等になるように分散されているようにするためである。特にD90粒径比を上記のように設定することにより、後工程の溶融工程において生成する前駆体において、ガラス質(ホウ酸)がフェライト原料を包囲するような状態を実現できる。さらには、前駆体中にガラス質とフェライト原料が分散よく存在することができる。
一般的には、ホウ酸粉のD50粒径が他の原料粉と比較して大きい場合が多い。他の原料粉はある程度の粒度別に応じて市販されているからである。したがって、ホウ酸粉は、乾式の粉砕機(ミルとも言う)により粒径(粒度)を調整するのが好ましい。
乾式の粉砕機としては、インパクトミル、イクシードミルが好ましく、ボールミル、ヘンシェルミキサーによっても可能である。湿式粉砕法では、ホウ酸が液に溶解されるため乾式粉砕法が好ましい。
ガラス原料は、後工程での結晶化工程にてフェライト粒子が析出した後は、不要となり除去される。しかし、ガラス原料中のホウ酸(特にホウ素)の比率は析出させるフェライトの磁気特性に大きく影響することが後述する実施例でわかった。ガラス原料においても粒度が重要な要因であり、各原料粉の粒度または粒度比を設定することにより、結果として磁気特性のばらつきの少ない優れた磁性材を得ることができる。
次に、本原料を用いて次工程以降を説明する。混合は、混合時に各原料間での化学反応を回避するため、雰囲気は大気、室温、乾燥状態にて行うのが望ましい。混合機は市販のブレンダー、ヘンシェルミキサー、各種ミキサーを用いれば良い。なお、次の成形工程において、原料粉を同時に混合する場合は、ここで混合の操作は、不用である。成形体において、それぞれの原料粉(元素)が所望の組成比状態になっていれば良いからである。
前駆体の組成比を安定させるためには、原料粉中の水分と炭酸バリウム中の炭酸を減少させることと、溶融炉に投入される原料粉の組成比を投入の間一定に保持することが重要であると考えられた。溶融炉に投入される原料粉の組成比を投入の間一定に保持するためには、よく混合された原料粉(これを「混合原料粉」と呼ぶ。)をペレット状などに成型し、その成形体を溶融炉に投入するようにするのがよい。
混合原料粉は、混合された状態のままでは、粉末状態であり一定の形状を保持できない。そこで、混合原料粉を凝集した凝集状態に成形体にする。成形体は、磁性体原料粉を小分けに分量したものとも言える。ここでの分量は、成形体の大きさと密度により自在に設定できる。すなわち、材料の成分や装置の仕様に合わせ、組成ズレが最も小さくなる最適な条件が設定可能である。
混合原料粉の凝集には、接合剤であるバインダー、若しくは水を添加し、所定の大きさの成形体にしてもよい。また、混合原料粉を圧粉し、圧力で固めて成形体としてもよい。液(水)を用いて混合原料粉を接合するように凝集成形することが望ましい。成形コストが安価で、大きさ、形状の設定が容易にできるからである。成形体にする装置としては、ペレタイザー、プレス成形機などがある。
具体的にはパンペレタイザーでの成形する造粒法が例示される。パンペレタイザーは、傾斜させて回転させた容器の中に混合原料粉を投入し、そこに液を噴霧して吹きかけることで混合原料粉を凝集し、球状の成形体に造粒することができる装置である。成形体を形成する際に加圧を行わない造粒方法である。
成形は混合原料粉をパンペレタイザーに入れ、液を噴霧などにより添加しながらパン上を転動させることによって行う。混合原料粉と液を適度な量で添加していくことで混合原料粉は粒状に成形され、造粒されていく。混合原料粉が、所望の直径になったところでパンペレタイザーからオーバーフローするように角度など条件を調節する。ここでの液は各原料粉同士の接合の機能を有している。
本発明では使用する液は水(HO)でもよい。水を使って凝集を促して造粒して成形するためである。水を使用するのは、ホウ酸の一部を水に溶解させ、他の原料粉となじませる目的である。また前述の通り、水を使用すれば、ホウ酸水と炭酸バリウムが反応して、炭酸ガスを発生させる効果もある。
「つなぎ(接着剤)」として使用した水は、結晶水でないので、100℃以上の乾燥で蒸発させることができる。また、パンペレタイザーは、プレス加工でないので、成形体は空隙が多く、中までよく乾燥させることができる。水は、常温(10〜40℃)でよく、純水が望ましく、さらに接合を促進する薬品を混合しても良い。また、成形時の温度は、各原料の融点以下で行い、融着しないようにする。融着すると成形体内で組成比の偏在が起きるからである。
造粒された成形体は、球状であり、外径がφ1mm以上、φ50mm以下が好ましい。大きさは、次の溶融工程おける、装置や溶融量によって設定される。なお、φ1mm以下の大きさの場合では、各原料の粉末状態に近づき、造粒による効果が発現し難い。また成形体がφ50mmより大きくなると、混合原料粉の状態に近づくため、組成比のズレの抑制効果が減じられる。なお、球状でない場合は、成形体の外寸において、最大長さが1mm以上、50mm以下であれば良い。
所定の大きさとした成形体は、200℃以上の乾燥機で乾燥させる(乾燥工程)。乾燥させることにより、添加した水だけでなくホウ酸自身の分解脱水も促進させ、溶融時の蒸気発生を抑えることができる。乾燥後の成形体(「乾燥成形体」と呼ぶ。)に含まれる水分は、2質量%以下が望ましい。
乾燥成形体中の水分が2質量%以上では、次の溶融工程での溶融炉に投入した際に蒸気を発生させるおそれがある。溶融工程において、蒸気が発生すると溶融しきっていない粉状の原料粉を吹き飛ばすことになる。特に比重の軽いホウ酸粉はよく吹き飛ばされる。これは組成ズレの原因となる。なお、乾燥条件は水分が2質量%以下になれば特に限定されるものではないが、200℃以上で14時間以上が好ましい。
前記混合原料粉に水を添加しながら成形体に加工した後、200℃以上の温度で乾燥する乾燥工程を経ることによって、乾燥成形体中の水(結晶水を含む)を溶融炉に投入する前に除去することができる。さらに、ガラス原料であるホウ酸粉が水に一部溶解し、そのホウ酸水と炭酸バリウムが中和反応を起こして乾燥工程中に炭酸ガスが発生する。そのため、溶融前に炭酸ガスも部分的に除去することができる。
溶融前に水分や炭酸ガスを除去しておくと、溶融炉に投入された際に、水蒸気や炭酸ガスによる気泡の発生が抑制され、原料粉中の元素(特にホウ素の)揮発が抑えられる。以上の結果、原料粉中の元素(特にホウ素)の含有量が安定し、同じ組成の六方晶フェライト磁性粉を製造しても所謂ロット違いによる組成および特性のずれを抑制することができる。
こうして得られた乾燥成形体は溶融炉で溶融される(溶融工程)。溶融炉は抵抗加熱方式や高周波誘導加熱方式など、どの方式でも使用できる。炉内には白金で構成されたるつぼがあり、1000℃から1400℃の温度に加熱、維持されている。この加熱された状態の炉に、造粒した乾燥成形体を投入する。添加は、一度に投入してもよいし、溶融状況に応じて、連続的に分割して投入しても良い。
投入は炉の上部に投入パイプを設置して、そこから投入することが望ましい。混合原料粉(磁性粉原料)は成形されているため、混合原料粉が舞う心配なく投入は容易に行われる。また高温の炉内に磁性粉原料が投入されるため、磁性粉原料は急激に温度が上がるが、乾燥成形体に加工しているため、蒸発や揮発、分解などによる発泡は極めて少なく溶融される。乾燥成形体は炉内に投入された後、一定時間保持されると溶融されて嵩が減るため、溶湯レベルに応じて再度乾燥成形体を追加添加する。
溶融体となった磁性粉原料は、急冷される。急冷の際に用いられる方法は特に限定されるものではないが、アトマイズ法を選択することが好ましい。通常アトマイズ法とは、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法が選択されるが、例えば遠心力アトマイズ法といった手法も場合によっては選択できる。
アトマイズ法は、溶融した溶湯をアトマイズノズルにて、チッピングしながら空気中に噴霧し、数〜数十ミクロン程度(殆どが1〜500μm程度)の粒径が1mm以下の微小な粒径の微粉になることで冷却される。このようにして冷却されて形成されて前駆体(非晶質体)を得る。
こうして得られた前駆体を熱処理することで、前駆体中にフェライトを析出させたフェライト含有前駆体を得る。この時の熱処理では、前駆体は静置させておいても良いし、場合によっては転動させながら熱処理をしてもよい。
熱処理の温度は、前駆体中にてフェライトが形成できる程度であれば良く、具体的には、450℃以上750℃以下、好ましくは500℃以上750℃以下、一層好ましくは550℃以上700℃以下である。熱処理は単一の温度で行う、いわゆる一段での加熱でも良いし、異なる処理温度で数段に分けて行う、いわゆる多段処理であっても良い。熱処理の時間は30分以上、好ましくは1時間以上行うのがよい。
次に得られたフェライト含有前駆体から、ガラス成分を除去しフェライト粒子を得る。この時には10質量%程度に希釈された希酢酸を用いるのが良く、処理温度は50℃以上で行うのがよい。酢酸は場合によって煮沸させてもよいし、また均一除去のため攪拌しても良い。この時の処理液のpHは4.0以下の酸性とすることが好ましい。
その後、ガラス成分が溶解し、フェライト粒子が分散した状態のスラリーから固液分離装置を用いてフェライト粒子を回収する。
固液分離により得られたフェライト粒子から、洗浄により表面に付着した酢酸などを除去する。純水を用いて洗浄し、あるいは純水を煮沸させて付着成分を除去しても良い。また場合により、アンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などにより洗浄の際に付着した酢酸を中和させつつ洗浄するのも好ましい。
水酸化ナトリウム水溶液ならば、0.01〜1.5mol/L、好ましくは0.05〜1.2mol/L、一層好ましくは0.1〜1.0mol/Lとするのがよい。濃度が希薄であれば、洗浄の効果がなく、濃厚であれば洗浄の効果が飽和するとともに、不純物の混入の危険性が高くなるので好ましくない。
その後は、洗浄液を純水として、ろ液の導電率が1mS/m以下、好ましくは0.8mS/m以下になるまで十分に洗浄を施す。
得られた洗浄処理後のフェライト粒子は、大気中100℃以上の条件下での水分除去処理を付すことで、乾燥粉として得ることができる。この後、バインダーに対する分散性を改善するために、80%RH程度の湿潤環境下で、乾燥磁性粉表面に水分を0.5〜5.0質量%程度付着させてもよい。
以上の工程により、組成比ズレの少ない高特性の六方晶フェライト磁性粉を得ることができる。
また、磁気特性の変動も極めて小さいものとすることができた。このことにより、高特性の磁性材料を品質良く、安定して供給可能となった。
なお、本発明により製造された六方晶フェライト磁性粉は、各種記録媒体等の工業用製品に広く利用可能である。
以下に本発明の製造方法を用いた実施例について説明を行う。
<実施例1>
六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料は、酸化鉄粉(テツゲン製HRT)35.5kg、炭酸バリウム粉(日本ソルベイ製/工業用)59.7kg、ホウ酸粉(US Borax製/粉砕品)32.5kg、添加元素として、酸化ビスマス粉(圓商産業製/工業用)、酸化ニオブ粉(三井金属鉱業製/工業用)、酸化コバルト粉(和光純薬製/試薬)、酸化亜鉛粉(ハクスイテック製/工業用)とした。
ここで、酸化鉄粉のD90粒径は、63μm、炭酸バリウム粉は14μm、ホウ酸粉は953μm(SEM測定)であり、他の添加元素のD90粒径は、それぞれ50μm以下であった。ホウ酸粉の粒径は、大きすぎると判断し、乾式法でホウ酸粉を粉砕した。
粉砕は、ミルシステム製インパクトミル(AVIS−150)を用いた。粉砕後のホウ酸粉の粒径は、D90粒径が56μmであった(レーザー回折式粒度分布測定装置で測定)。また、酸化鉄粉に対するホウ酸粉との各D90粒径(ホウ酸粉のD90粒径/酸化鉄粉のD90粒径)の比は、0.9であった。この結果、十分にホウ酸粉のD90粒径が調整できていた。
これら原料粉を秤量し、三井三池製FMミキサーで混合し、混合原料粉とした。その混合原料粉をパンペレタイザーに投入し、水を噴霧しながら球状に造粒するように凝集させて成形し、複数の混合原料粉の成形体を得た。この時の成形体の1つの大きさは、直径(最大径)で4〜30mmの範囲のものが混在していた。パンペレタイザーの底に、ホウ酸粉だけが残るようなことはなかった。次にこの成形体を、270℃、14時間乾燥させた。このとき、乾燥成形体の水分量は2質量%以下であった。
この乾燥成形体からサンプリングを5回した。サンプリングにより得た5個のサンプルについて、それぞれ組成分析をした。組成分析は、成形体の中から1gをランダムに5回抜き出し、それぞれを粉砕した。そして1gのうちの0.1gを塩酸で溶解し希釈した後、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)分析法による組成分析を行った。製造された乾燥成形体全体の組成ばらつきを把握するためである。
その結果を以下に示す。また、5個の乾燥成形体サンプルの鉄、ホウ素、バリウムの質量%の平均、B/Feモル比の平均、各平均の標準偏差、変動係数について表1に示した。B/Feモル比は、ホウ素含有量(モル)/鉄含有量(モル)により求められる値である。また、変動係数は、CV(%)=(σ/平均)×100によって求められる値である。
ICP分析法によれば、各乾燥成形体のサンプルの組成はそれぞれ以下のようであった。鉄で、19.8質量%、19.8質量%、20.0質量%、20.0質量%、19.7質量%、5個の成形体のサンプルの平均は19.86質量%、σは0.13、変動係数(σ/平均)0.65%であった。
同様にホウ素は、4.70質量%、4.69質量%、4.66質量%、4.71質量%、4.64質量%で、平均は4.68質量%、σは0.03、変動係数(σ/平均)0.64%であった。
バリウムは、33.4質量%、33.6質量%、33.5質量%、33.8質量%、33.2質量%で、平均は33.50質量%、σは0.22、変動係数(σ/平均)0.66%であった。
B/Feモル比は、1.23,1.22、1.20、1.22、1.22で、平均1.22、σは0.01、変動係数(σ/平均)0.82%であった。
次にこの乾燥成形体を溶融させた。乾燥成形体は投入パイプを用いて1200℃の溶融炉に投入した。乾燥成型体は炉からの上昇気流によって一部が飛んでしまうことはなく、また乾燥成形体が溶融する際の発泡は少なかった。
白金製るつぼに乾燥成形体を入れて、溶融してかさが減ったら追加で乾燥成形体を添加する操作を繰り返し、70kgの乾燥成形体を溶融した。その後白金製るつぼの温度を1400℃まで昇温し、乾燥成形体(磁性体原料)を完全に溶融させた上、60分間攪拌しながら保持することで、完全に磁性体原料を溶解させ、溶湯の状態とした。
得られた溶湯はノズルから出湯させてガスアトマイズ法によって急冷し、非晶質のガラス体(前駆体)を形成させた。その後、前駆体を627℃で1時間にわたり熱処理を行い、フェライト含有前駆体を得た。フェライト含有前駆体は、60℃に加熱した10質量%酢酸に浸漬し、60分保持してガラス成分を除去した。その後、純水を用いて表面に付着した酢酸を除去し、六方晶フェライト粒子を得た。
この原料秤量から六方晶フェライト粒子を得るまでの操作を4回繰り返した。前駆体については組成分析を行い、バッチ間の組成差を評価した。また得られた六方晶フェライトについては形状、磁気特性の評価を行った。
前駆体の組成分析は、前駆体0.1gを塩酸で溶解し、希釈した後、ICP分析法による組成分析を行った。結果を以下に示す。また、平均、標準偏差、変動係数については、表2に示す。
前駆体の組成は以下の通りであった。まず鉄は、23.0質量%、22.9質量%、22.8質量%、23.0質量%、平均は22.93質量%、σは0.10、変動係数(σ/平均)は0.44%であった。
同様にホウ素は、5.44質量%、5.46質量%、5.42質量%、5.36質量%で、平均は5.42質量%、σは0.04、変動係数(σ/平均)0.74%であった。
バリウムは、38.4質量%、38.8質量%、38.2質量%、38.9質量%で、平均は38.58質量%、σは0.33、変動係数(σ/平均)0.86%であった。
B/Feモル比は、1.22、1.23、1.23、1.20で、平均1.22、σは0.01、変動係数(σ/平均)0.82%であった。
<粉末磁気特性評価>
磁性粉末をφ6mmのプラスチック製容器に詰め、東英工業株式会社製のVSM装置(VSM−P7−15)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で、保磁力Hc(Oe、kA/m)、飽和磁化σs(Am/kg)、粉体のSQ(角形比)、粉体のBSFD(バルク状態におけるSFD値)を測定した。なお、SFD値は、VSM装置によって得られたヒステリシス曲線の微分曲線の半値幅を保磁力で規格化した値(無単位)である。それぞれの測定結果を以下に示す。また、各特性の平均、標準偏差、変動係数を表3に示す。
保磁力Hc(kA/m)は、193、197、197、194であり、平均値(ave)195.16、標準偏差(σ)1.98、変動係数(σ/平均)1.01%であった。
飽和磁化σs(A・m/kg)は、47.2、48.0、47.5、47.0であり、平均値(ave)47.43、標準偏差(σ)0.43、変動係数(σ/平均)0.91%であった。
粉体のSQ(角形比)は、0.51、0.52、0.51、0.51であり、平均値(ave)0.51、標準偏差(σ)0.00、変動係数(σ/平均)0.00%であった。
粉体のBSFD(バルク状態におけるSFD値)は、0.67、0.61、0.63、0.65であり平均値(ave)0.64、標準偏差(σ)0.03、変動係数(σ/平均)4.69%であった。
<実施例2>
実施例2において、粉砕機をイクシードミル(マキノ産業、EM−2−5.5)とした。粉砕後のホウ酸粉の粒径は、D90粒径で48μm(レーザー回折式粒度分布測定装置で測定)であった。酸化鉄粉に対するホウ酸粉とのD90粒径の比(ホウ酸粉のD90粒径/酸化鉄粉のD90粒径)は、0.8であった。十分にホウ酸粉のD90粒径が調整できていた。これ以外の条件等は実施例1と同様である。
実施例1と同様に上記の原料の調整から磁気特性の評価までを4回繰返し実施した。すなわち、4バッチ行った。乾燥成形体の組成を表1、前駆体の組成を表2、磁性粉末の磁気特性を表3に示す。
乾燥成形体の組成は以下のようであった。まず、鉄で、20.4質量%、20.2質量%、20.5質量%、20.6質量%、20.6質量%で、平均は20.46質量%、σは0.17、変動係数(σ/平均)0.83%であった。
同様にホウ素は、4.81質量%、4.76質量%、4.84質量%、4.78質量%、4.72質量%で、平均は4.78質量%、σは0.05、変動係数(σ/平均)1.05%であった。
バリウムは、34.0質量%、33.8質量%、34.2質量%、34.4質量%、34.2質量%で、平均は34.12質量%、σは0.23、変動係数(σ/平均)0.67%であった。
B/Feモル比は、1.22、1.22、1.22、1.20、1.18で、平均は1.21、σは0.02、変動係数(σ/平均)1.65%であった。
前駆体の組成は以下の通りであった。まず鉄で、23.2質量%、23.1質量%、23.1質量%、23.1質量%、平均は23.13質量%、σは0.05、変動係数(σ/平均)0.22%であった。
同様にホウ素は、5.30質量%、5.32質量%、5.25質量%、5.28質量%で、平均は5.29質量%、σは0.03、変動係数(σ/平均)0.57%であった。
バリウムは、38.9質量%、39.0質量%、38.9質量%、38.3質量%で、平均は38.78質量%、σは0.32、変動係数(σ/平均)0.83%であった。
B/Feモル比は、1.18、1.23、1.23、1.20で平均は1.21、σは0.02、変動係数(σ/平均)1.65%であった。
磁性粉末の磁気特性は以下のようであった。まず、保磁力Hc(kA/m)は、195、195、196、193であり、平均値(ave)194.87、標準偏差(σ)1.48、変動係数(σ/平均)0.76%であった。
飽和磁化σs(A・m/kg)は、48.0、48.0、48.0、48.0であり、平均値(ave)48.00、標準偏差(σ)0.00、変動係数(σ/平均)0.00%であった。
粉体のSQ(角形比)は、0.51、0.51、0.51、0.51であり、平均値(ave)0.51、標準偏差(σ)0.00、変動係数(σ/平均)0.00%であった。
粉体のBSFD(バルク状態におけるSFD値)は、0.61、0.60、0.61、0.65であり平均値(ave)0.62、標準偏差(σ)0.02、変動係数(σ/平均)3.23%であった。
<比較例1>
実施例1において、ガラス原料であるホウ酸粉を粉砕しなかった。これ以外の条件は同様に行った。粉砕をしていないホウ酸の粒径は、D90粒径953μmであった(SEM測定)。酸化鉄粉に対するホウ酸粉との各D90粒径の比(ホウ酸粉のD90粒径/酸化鉄粉のD90粒径)は、15.1であった。乾燥成形体の組成を表1に、前駆体の組成を表2、磁性粉の磁気特性を表3に示す。
乾燥成形体らの組成は以下のようであった。まず、鉄は、19.6質量%、19.9質量%、19.4質量%、19.8質量%、19.9質量%で、平均は19.72質量%、σは0.22、変動係数(σ/平均)1.12%であった。
同様にホウ素は、4.47質量%、4.36質量%、4.76質量%、4.20質量%、4.43質量%で、平均は4.44質量%、σは0.20、変動係数(σ/平均)4.50%であった。
バリウムは、33.0質量%、33.4質量%、32.5質量%、33.1質量%、33.3質量%で、平均は33.06質量%、σは0.35、変動係数(σ/平均)1.06%であった。
B/Feモル比は、1.18、1.13、1.27、1.10、1.15で平均1.16、σは0.06、変動係数(σ/平均)5.17%であった。
前駆体の組成は以下の通りであった。まず鉄で、22.9質量%、23.1質量%、23.2質量%、23.1質量%、平均は23.08質量%、σは0.13、変動係数(σ/平均)0.56%であった。
同様にホウ素は、5.43質量%、5.21質量%、5.49質量%、5.22質量%で、平均は5.34質量%、σは0.14、変動係数(σ/平均)2.62%であった。
バリウムは、39.2質量%、39.1質量%、39.1質量%、39.0質量%で、平均は39.10質量%、σは0.08、変動係数(σ/平均)0.20%であった。
B/Feモル比は、1.23、1.17、1.17、1.17で、平均は1.18、σは0.03、変動係数(σ/平均)2.54%であった。
磁性粉末の磁気特性は以下のようであった。まず、保磁力Hc(kA/m)は、199、180、203、186であり、平均値(ave)192.06、標準偏差(σ)10.72、変動係数(σ/平均)5.58%であった。
飽和磁化σs(A・m/kg)は、47.7、45.1、48.2、45.8であり、平均値(ave)46.70、標準偏差(σ)1.49、変動係数(σ/平均)3.19%であった。
粉体のSQ(角形比)は、0.51、0.49、0.51、0.50であり、平均値(ave)0.50、標準偏差(σ)0.01、変動係数(σ/平均)2.00%であった。
粉体のBSFD(バルク状態におけるSFD値)は、0.64、0.81、0.62、0.76であり平均値(ave)0.71、標準偏差(σ)0.09、変動係数(σ/平均)12.68%であった。
表1から、実施例サンプル1と実施例サンプル2は、比較例サンプルに対して、Fe、B、Baとも標準偏差(σ)が小さく、ばらつきが少なくなっているのがわかる。特に、ホウ素(B)の標準偏差および変動係数は、桁違いに小さい。すなわち、実施例サンプル1および2のように、原料粉の粒度(D90粒径)を揃えることで、複数の原料粉が混合された磁性体原料の組成比ズレを抑制し、安定して優れた磁気特性六方晶フェライト磁性体の供給が可能となった。特にホウ素(B)は、原料粉自体の粒径が大きい場合が多く、粒度調整を行うことによる組成ズレ抑制の効果は高いと言える。
前駆体の各元素の組成を表2に示す。乾燥成形体を溶融した結果、実施例サンプル1および2の鉄とホウ素の標準偏差はより狭くなり、平均値からの広がりはさらに少なくなっている。
磁性粉の磁気特性を表3に示す。実施例サンプル1および2の保磁力とσsの標準偏差(σ)は非常に小さく、ほとんどバッチ間のばらつきのない特性の六方晶フェライト磁性粉を得ることができた。表2を参照すると、実施例サンプル1および2のFeとBの組成のばらつきは、小さいものの、バリウム(Ba)の組成ズレは、むしろ比較例サンプルより大きい。このことを考慮すると、六方晶フェライト磁性粉の場合、磁性粉になった時には、残っていないホウ素(B)の組成ズレを抑制することで、磁気特性のばらつきを抑制することに大変効果があることがわかる。
本発明のフェライト磁性粉の製造方法は、ガラス結晶化法を用いる微粉の製造に広く利用することができる。

Claims (5)

  1. レーザー回折法により測定したD90粒径が1〜200μmである複数の原料粉を秤量する工程と、
    前記複数の原料粉を混合して磁性体原料を得る工程を有することを特徴とする六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法。
  2. 前記複数の原料粉には、ホウ酸粉と酸化鉄粉が含まれており、
    前記秤量する工程の前に、前記ホウ酸粉と酸化鉄粉のそれぞれのD90粒径の比(ホウ酸粉のD90粒径/酸化鉄粉のD90粒径)が0.5〜5の範囲になるように粒度調整を行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載された六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の製造方法。
  3. 請求項1乃至2の何れか1つの請求項に記載の磁性体原料を凝集させて成形し、
    成形体を得る工程を有することを特徴とする、
    六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の成形体の製造方法。
  4. 前記成形体を得る工程は、
    前記磁性体原料に水を添加して前記磁性体原料を凝集させる工程であることを特徴とする請求項3に記載された六方晶フェライト磁性粉用の磁性体原料の成形体の製造方法。
  5. 請求項3または4のいずれかの請求項に記載された前記成形体を乾燥後、溶融し溶融体を得る工程と、
    前記溶融体をアトマイズ法により微粉状の前駆体とする工程と、
    前記前駆体を熱処理する工程を有することを特徴とする六方晶フェライト磁性粉の製造方法。
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