JP2015025183A - 焼結部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小部品や複雑形状部品あるいは薄板状部品等でも、目的形状の焼結部品を確実に製造することができ、歩留まりの低下を抑えることのできる焼結方法の提供。
【解決手段】少なくとも一部が消失可能な材料で構成された押し型5の型内に可塑性原料Pを充填し、原料Pをパンチ6で押圧して加圧成形し、成形した成形体1Aを押し型5から抜き出す際に、成形体1Aとともに消失可能な材料で構成された押し型(底部ダイス53)を抜き出す。成形体1Aを消失可能な底部ダイス53とともに脱バインダ工程、焼結工程に供給して成形体1Aを焼結部品に製造し、脱バインダ工程、焼結工程のいずれかの工程で消失可能な底部ダイス53を消失させる。抜き出し工程で損傷しやすい形状やサイズの部分を消失可能な押し型53で成形保護し、該押し型53を抜き出し後に消失させることで、損傷や変形のない焼結部品を得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、焼結部品の製造方法に係り、特に形状が複雑でサイズがきわめて小さい微小な焼結部品、または板状であり、かつ薄肉の焼結部品に採用して好適な焼結部品の製造方法に関する。
近年、デジタル家電製品や先端医療機器、あるいはIT機器等の生産分野においては、デバイスの小型化・高機能化に伴い、構成部品に対する小型化・薄肉化の要求が益々高まってきており、元来が小型・薄肉のいわゆる微小部品にあっても、さらなる小型化・薄肉化が要求されてきている。このような微小部品を製造する方法として、粉末にバインダを混入した可塑性を有する原料を金型等の押し型内に充填してパンチで加圧することにより目的形状に近似した成形体を成形し、得られた成形体を焼結するといった方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−096238号公報
上記特許文献1に記載される成形体の成形方法によれば、薄肉の部分にも原料が十分に充填され、形状および寸法精度を高いレベルで得られるといった利点がある。ところが、部品自体が微小であるため、歯数が多い場合等においてはモジュール幅が極めて微小となり、加圧成形後、成形体に変形や損傷を生じさせることなく押し型から抜き出すことが難しく、特に歯部(歯と溝の部分)はきわめて薄く小さいため、歯が欠けて押し型内に残るなどの不具合が発生しやすかった。変形や損傷した成形体は不良であり焼結しないため、結果として歩留まりの低下を招くことになる。
また、斜歯歯車を有する部品においては、大きな部品の場合、斜歯の角度に金型を同期させて回転することで成形体を取り出すことが可能であるが、微小部品の場合、微小部品自体が微小であるため、金型の制御が困難であり、製造することが極めて困難であった。
さらに、部品形状が板状で、かつ薄肉の場合のように、成形を行ったパンチに成形体が貼り付いた場合に、成形体自体の強度が低いため形状を損なわずに離型することが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、微小部品であったり複雑な形状を有したりするもの、あるいは板状であり、かつ薄肉の形状を有したりするものでも、目的形状の焼結部品を確実に製造することができ、歩留まりの低下を抑えることのできる焼結部品の製造方法を提供することにある。
本発明の焼結部品の製造方法は、金属粉末に、熱可塑性樹脂とワックスからなるバインダを40〜60体積%添加し、加熱混練して原料を調整する原料調整工程と、所定量の前記原料を押し型の型孔内に充填する充填工程と、前記押し型内の原料をパンチで加圧して成形体に成形する加圧成形工程と、前記加圧成形工程の後に前記成形体を抜き出す抜き出し工程と、前記抜き出し工程で抜き出された前記成形体から前記バインダを除去する脱バインダ工程と、前記脱バインダ工程で脱バインダされた前記成形体を加熱して前記金属粉末どうしを拡散結合させる焼結工程と、を備える焼結部品の製造方法において、前記押し型の少なくとも一部を消失可能な材料で構成し、前記抜き出し工程においては、前記成形体とともに前記消失可能な材料で構成された押し型を抜き出し、該抜き出し工程の後に、前記消失可能な材料で構成された押し型を、前記脱バインダ工程において消失させるか、または前記焼結工程において消失させることを特徴とする。
本発明では、例えば、加圧成形して得る成形体において通常の金属製の押し型から抜き出す際に損傷しやすい形状あるいはサイズの部分がある場合、加圧成形工程では、その損傷しやすい部分を消失可能な材料で構成された押し型(以下、消失可能な押し型と言う場合あり)で成形し、他の部分は通常の押し型で成形する。次に、抜き出し工程においては、成形体とともに消失可能な押し型を抜き出す。すなわち抜き出された成形体の損傷しやすい部分は消失可能な押し型で成形され、消失可能な押し型が成形体の損傷しやすい部分を覆って密着している。そしてこの後、消失可能な押し型を脱バインダ工程または焼結工程において消失させることにより、目的形状の成形体が得られる。消失可能な押し型を脱バインダ工程で消失させた場合には、成形体はその後の焼結工程で焼結されて焼結部品となる。脱バインダ工程は、例えば所定温度に加熱してバインダ成分を分解除去したり、溶媒に浸漬してバインダ成分を溶解・脱脂したりするなどの方法で行われる。消失可能な押し型を焼結工程で消失させる場合には、焼結温度に加熱されることで消失可能な押し型は溶融・揮発して消失させられ、成形体は金属粉末どうしの拡散結合が生じて焼結部品となる。
本発明によれば、損傷しやすい部分を消失可能な押し型で成形し、その損傷しやすい部分は抜き出し工程では消失可能な押し型から抜き出さず、消失可能な押し型と一体の状態で抜き出し、後の脱バインダ工程あるいは焼結工程で消失可能な押し型を消失させることにより、はじめて損傷しやすい部分が露出した状態となる。このため、押し型から成形体を抜き出す際に損傷しやすい部分が損傷することを回避することができ、目的形状の焼結部品を確実に製造することができる。
本発明は、前記消失可能材料で構成された押し型により、前記成形体に幅5〜500μm、深さまたは長さが1〜1000μmの凸部および/または凹部を形成することを特徴とする。
また、本発明は、前記焼結部品が歯車形状であり、前記凸部および/または凹部が歯車の歯部であることを特徴とする。
また、本発明は、前記焼結部品が直径0.1〜50mmの傘歯車であり、該傘歯車の少なくとも歯部を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする。
また、本発明は、前記焼結部品が直径0.1〜50mmの平歯車であり、該歯車の少なくとも歯部を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする。
また、本発明は、前記焼結部品が直径0.1〜50mmの多段歯車であり、該多段歯車の少なくとも一つの段の歯部を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする。
また、本発明は、前記多段歯車の複数の段の歯部を一段ずつ前記消失可能な材料で構成された複数の押し型により形成するとともに、これら複数の押し型に位相調整手段を形成して位相ずれを防止することを特徴とする。
また、本発明は、前記消失可能な材料で構成された押し型が、機械加工により作製したマスタパンチを消失可能な材料に押圧してマスタパンチの形状を転写することにより作製されたものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記焼結部品が厚さ20〜800μmの薄板形状であり、前記薄板形状の少なくとも一方の面を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする。
本発明によれば、微小部品であったり複雑な形状を有したりするもの、あるいは板状であり、かつ薄肉の形状を有したりするものでも、目的形状の焼結部品を確実に製造することができ、歩留まりの低下を抑えることのできる焼結部品の製造方法が提供されるといった効果を奏する。
本発明の実施形態で製造される焼結部品の傘歯車の例を示す斜視図であり、(a)すぐば傘歯車、(b)曲がり傘歯車である。 本発明の実施形態で製造される焼結部品の平歯車の例を示す斜視図であり、(a)平歯車、(b)はすば平歯車、(c)多段平歯車である。 図1に示す傘歯車の成形体を実施形態の押し型で成形する工程(充填〜加圧成形〜抜き出し)を示す断面図である。 図3の押し型の一部を構成する消失可能な押し型を示す斜視図である。 図4に示す消失可能な押し型の作製方法を示す断面図である。 図3と同じ押し型で傘歯車の成形体を成形する工程の他の形態を示す断面図である。 図3と同じ消失可能な押し型を用いた押し型の他の実施形態で傘歯車の成形体を成形する工程を示す断面図である。 図4に示す消失可能な押し型と異なる形状の消失可能な押し型を用いた押し型で傘歯車の成形体を成形する工程を示す断面図である。 図8と同じ押し型で傘歯車の成形体を成形する工程の他の形態を示す断面図である。 図4、図8に示す消失可能な押し型と異なる形状の消失可能な押し型を用いた押し型で傘歯車の成形体を成形する工程を示す断面図である。 図10に示す消失可能な押し型の作製方法を示す断面図である。 図2(a)、(b)に示す平歯車の成形体を成形する押し型の各実施形態を示す断面図である。 図12に示す押し型の一部を構成する消失可能な押し型を示す斜視図である。 図2(c)に示す多段平歯車の成形体を成形する押し型の各実施形態を示す断面図である。 図2(c)に示す多段平歯車の成形体を成形する押し型の他の実施形態を示す断面図である。 (a):図14に示す押し型の一部を構成する消失可能な押し型(大径側と小径側が一体の形態)の斜視図、(b):図15に示す押し型の一部を構成する消失可能な押し型(大径側と小径側が別体の形態)の斜視図である。 図2(c)に示す多段平歯車の成形体を成形する押し型のさらに別の実施形態を示す断面図である。 薄板形状の焼結部品の成形体を成形する実施形態を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1および図2は、本発明の製造方法によって製造される焼結部品の例を示しており、いずれも直径Dが数百μm〜数mm程度の歯車である。
図1(a)、(b)は軸部11の一端の傘部12に歯部13が形成された傘歯車1を示しており、(a)はすぐば傘歯車、(b)は曲がり傘歯車である。これら傘歯車1の傘部12は、上面中心に平坦面125が形成され、平坦面121の周囲の円錐面に歯部13が形成されている。歯部13は、幅5〜500μm、長さが1〜1000μmの複数の歯(凸部)131と、歯131間に形成された幅5〜500μm、長さが1〜1000μmの歯溝132(凹部)とから構成される。
また、図2(a)、(b)は軸部21の途中に円板状の平歯車部22を有し、平歯車部22の外周面に歯部23が形成された平歯車2であり、(a)は単純形状の平歯車、(b)ははすば平歯車である。また、図2(c)は軸部21の途中に二段の多段平歯車部25を有し、多段平歯車部25の外周面に歯部23が形成された多段歯車3である。多段平歯車部25は、径の異なる2つの平歯車部(大径平歯車部251、小径平歯車部252)が同心状、かつ一体に重なった形態である。これら平歯車2、多段平歯車3の歯部23は、幅5〜500μm、長さが1〜1000μmの複数の歯(凸部)231と、歯231間に形成された幅5〜500μm、長さが1〜1000μmの歯溝232(凹部)とから構成される。
本発明の焼結部品の製造方法は、鉄粉等の金属粉末に、熱可塑性樹脂とワックスからなるバインダを40〜60体積%添加し、加熱混練して原料を調整する原料調整工程と、所定量の原料を押し型の型孔内に充填する充填工程と、押し型内の原料をパンチで加圧して成形体に成形する加圧成形工程と、加圧成形工程の後に成形体を抜き出す抜き出し工程と、抜き出し工程で抜き出された成形体からバインダを除去する脱バインダ工程と、脱バインダ工程で脱バインダされた成形体を加熱して金属粉末どうしを拡散結合させる焼結工程とを備える。
以下、図1、図2で示した歯車を成形する製造方法の実施形態を説明する。
[1]傘歯車の製造方法
図3に示す成形装置は、押し型5と、パンチ6とを備えている。押し型5は、上下方向に貫通する円筒状のダイス孔511を有する外側ダイス51と、ダイス孔511内に上方からに摺動自在に挿入される円筒ダイス52と、ダイス孔511内の下部に抜き出し可能に嵌合される底部ダイス53とから構成される。パンチ6は、円筒ダイス52の中心に貫通形成されたパンチ孔521に上方から摺動可能に挿入される。ダイス孔511の内径は傘歯車1の傘部12の外径に相当し、円筒ダイス52のパンチ孔521の内径は傘歯車1の軸部11の外径に相当している。図4に示すように、底部ダイス53は、傘部12の外径に相当する外径の円筒外周面531を有し、上面に、傘部12の上面が転写された形状の雌型54が形成されている。すなわち雌型54には、中心に平坦面125を形成する底面545と、底面545の周囲の逆円錐面に雌型歯部55が形成されている。雌型歯部55は、傘歯車1の歯部13が転写された形状であって、歯131を成形する歯溝551と、歯溝132を成形する歯552とを有している。
押し型5の外側ダイス51と円筒ダイス52は金属製であり、底部ダイス53は脱バインダ工程あるいは焼結工程で消失可能な樹脂により適度な硬さに形成されている。底部ダイス53を構成する消失可能な樹脂としては、例えばポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の熱可塑性樹脂が用いられる。またこの他には、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が適宜に選択して用いられる。
底部ダイス53は、図5に示すように、円筒状のダイス孔711を有するダイス71とマスタパンチ75を用い、消失可能な樹脂素材53Aを成形することで得られる。マスタパンチ75は傘歯車1の上面と同形状、すなわち平坦面125と歯部13が形成されたパンチ面751を有している。底部ダイス53を作製するには、まず、図5(a)に示すようにダイス71のダイス孔711の下部に円板状の樹脂素材53Aを嵌合させる。次いで図5(b)に示すように、マスタパンチ75をパンチ面751側からダイス孔711内に挿入し、樹脂素材53Aをパンチ面751で押圧する。すると樹脂素材53Aが塑性変形し、パンチ面751が樹脂素材53Aに転写されて雌型54が形成される。この後、図5(c)に示すようにダイス71を上方に移動させてマスタパンチ75と底部ダイス53を抜き出し、図5(d)に示すようにマスタパンチ75を上方に移動させて底部ダイス53から離間させることで、底部ダイス53を得る。マスタパンチ75のパンチ面751を樹脂素材53Aに押圧して転写する際、パンチ面751を適度な温度に加熱するか、あるいは樹脂素材53Aを適度な温度に加熱して軟化させておくと、転写をより容易に行うことができるため好ましい。
図3の成形装置では、次のようにして傘歯車1の成形体を成形する。
図3(a)に示すように、ダイス孔511内の下部に、雌型歯部55を上に向けて底部ダイス53を嵌合するとともに、外側ダイス51のダイス孔511内に上方から円筒ダイス52を挿入して、内部に傘歯車1の形状に近似する型孔56を形成する。一方、上記のようにして原料調整工程で加熱混練して調整した原料Pをプランジャ4に充填し、図3(b)に示すようにプランジャ4から円筒ダイス52のパンチ孔521を介して型孔56に所定量の原料Pを充填する(充填工程)。
次に、図3(c)に示すように、円筒ダイス52のパンチ孔521に挿入したパンチ6で型孔56内の原料Pを加圧し、原料Pを傘歯車1の成形体1Aに成形する(加圧成形工程)。次いで図3(d)に示すように、パンチ6の位置を保持して外側ダイス51と円筒ダイス52を上方に移動させ、底部ダイス53とともに成形体1Aを下側に抜き出す(抜き出し工程)。成形体1Aは傘歯車1に近似する形状であり、軸部11Aの下端に、平坦面125Aおよび歯部13Aを有する傘部12Aが形成されている。平坦面125Aおよび歯部13Aは、それぞれ底部ダイス53の雌型54の底面545および雌型歯部55によって形成される。底部ダイス53は、成形体1Aの傘部12Aの平坦面125Aおよび歯部13Aに密着してこれら平坦面125Aおよび歯部13Aを覆っている。
次に、加圧成形された成形体1A中のバインダを除去する(脱バインダ工程)。脱バインダは、底部ダイス53が密着したままの状態で成形体1Aに対し行われる。脱バインダはバインダ成分に応じた方法が選択され、例えば所定温度に加熱してバインダ成分を分解除去したり、溶媒に浸漬してバインダ成分を溶解・脱脂するなどの方法で行われる。ここで、底部ダイス53の材料である樹脂が脱バインダ工程で消失する種類のものである場合には、脱バインダ工程で底部ダイス53は消失し、成形体1Aのみが残る。また、脱バインダ工程を経ても底部ダイス53が残る場合もある。
次に、成形体1Aを焼結炉に供給して所定の焼結温度・焼結時間で加熱し、原料の金属粉末どうしを拡散結合させて成形体1Aを焼結する(焼結工程)。ここで、脱バインダ工程で底部ダイス53を消失させた場合には、成形体1Aのみを焼結炉に供給することになる。また、脱バインダ工程で底部ダイス53を消失させなかった場合には、底部ダイス53が密着したままの成形体1Aを焼結炉に供給し、焼結工程において底部ダイス53を消失させる。
以上で成形体1Aは焼結され、焼結体からなる傘歯車1が製造される。さて、傘歯車1の歯部13は、通常の金属製の押し型を転写して成形した場合において成形体を押し型から抜き出す際に、その成形体の歯部が欠けたりひびが入ったりして損傷しやすい部分である。そこで上記実施形態では、加圧成形工程で損傷しやすい歯部13Aを消失可能な材料で構成された底部ダイス53で成形し、次の抜き出し工程においては、成形体1Aとともに底部ダイス53を抜き出している。そして、底部ダイス53を、脱バインダ工程または焼結工程において消失させることにより歯部13Aが露出した成形体1Aが得られ、引き続き焼結することで、成形体1Aを焼結部品である傘歯車1に製造することができる。
上記実施形態によれば、損傷しやすい成形体1Aの歯部13Aを消失可能な底部ダイス53の雌型歯部5で成形し、その損傷しやすい歯部13Aは抜き出し工程では底部ダイス53から抜き出さず底部ダイス53と一体に抜き出し、この後の脱バインダ工程あるいは焼結工程で底部ダイス53を消失させることで、はじめて歯部13Aが露出した成形体1Aを得る。したがって押し型5から成形体1Aを抜き出す際に歯部13Aが損傷することが回避され、このため、目的形状の焼結部品である傘歯車1を目的形状に確実に製造することができる。その結果、歩留まりの低下を抑えることができる。
図6は、図3と同一構成の押し型5およびパンチ6で傘歯車1の成形体1Aを成形する場合の、別の形態を示している。この場合、図6(a)〜(b)に示すように、外側ダイス51内に底部ダイス53を嵌合させ、プランジャ4からダイス孔511(型孔)に所定量の原料Pを充填し(充填工程)、次いで図6(c)に示すように円筒ダイス52とともにパンチ6をダイス孔511に挿入して、これら円筒ダイス52とパンチ6で原料Pを加圧成形して原料Pを傘歯車1の成形体1Aに成形する(加圧成形工程)。この場合には、円筒ダイス52も原料Pを加圧するパンチを兼ねている。次いで図6(d)に示すように、パンチ6の位置を保持して外側ダイス51と円筒ダイス52を上方に移動させ、成形体1Aとともに底部ダイス53を下側に抜き出す(抜き出し工程)。
図7は、消失可能な上記底部ダイス53と、他の実施形態の外側ダイス51とからなる押し型5で成形体1Aを成形する例を示している。この場合の外側ダイス51は、下面側に底部ダイス53が抜き出し可能に嵌合されるダイス孔511を有し、上面側にダイス孔511に通じ、パンチ6が摺動可能に挿入されるパンチ孔512が形成されている。
この押し型5を用いて傘歯車1の成形体1Aを製造するには、図7(a)〜(b)に示すように外側ダイス51のダイス孔511の下部に底部ダイス53を嵌合し、パンチ孔512を通じてプランジャ4から所定量の原料Pをダイス孔511からパンチ孔512にわたる型孔に充填する(充填工程)。次いで、図7(c)に示すようにパンチ孔512に挿入したパンチ6で原料Pを加圧して傘歯車1の成形体1Aに成形する(加圧成形工程)。この後は、図7(d)に示すように外側ダイス51を上方に移動させて成形体1Aとともに底部ダイス53を下側に抜き出す(抜き出し工程)。
図6および図7で示した押し型5で成形された成形体1Aは、底部ダイス53とともに脱バインダ工程、焼結工程に供給され、底部ダイス53は脱バインダ工程あるいは焼結工程のいずれかの工程で消失させられる。そして成形体1Aは焼結工程を経ることで焼結部品である傘歯車1に製造される。
次に、消失可能な材料で構成された押し型の他の形態を示す。
図8で示す押し型5は、外側ダイス57と、パンチ6が挿入されるパンチ孔521が形成された円筒ダイス52とを備えている。外側ダイス57は、有底円筒状で、上面側には上方に開口するダイス孔571が形成されている。ダイス孔571の内径は傘歯車1の傘部12の外径に相当し、ダイス孔571の底面には、上記底部ダイス53と同様の雌型54が形成されている。すなわちこの雌型54は、中心の底面545および底面545の周囲の雌型歯部55とからなる。
外側ダイス57は、この実施形態での消失可能な材料で構成された押し型の一部であり、上記実施形態の底部ダイス53と同様に、脱バインダ工程あるいは焼結工程で消失可能な樹脂で形成されている。円筒ダイス52は、ダイス孔571内に上方からが摺動可能に挿入され、円筒ダイス52のパンチ孔521にパンチ6が摺動可能に挿入される。
この押し型5を用いて傘歯車1の成形体1Aを製造するには、図8(a)〜(b)に示すように、外側ダイス57のダイス孔571内に上方から円筒ダイス52を挿入して、押し型5内に傘歯車1の形状に近似する型孔56を形成し、次いでプランジャ4で円筒ダイス52のパンチ孔521から型孔56に所定量の原料Pを充填する(充填工程)。次いで図8(c)に示すように円筒ダイス52のパンチ孔521に挿入したパンチ6で型孔56内の原料Pを加圧し、傘歯車1の成形体1Aに成形する(加圧成形工程)。次いで図8(d)に示すように円筒ダイス52とパンチ6を上方に移動させて、成形体1Aとともに外側ダイス57を下側に抜き出す(抜き出し工程)。
図9は、図8と同一構成の押し型5で傘歯車1の成形体1Aを成形する場合の、別の形態を示している。この場合、図9(a)〜(b)に示すように円筒ダイス52を挿入していない外側ダイス57のダイス孔571内にプランジャ4から所定量の原料Pを充填し(充填工程)、次いで図9(c)に示すように円筒ダイス52とともにパンチ6をダイス孔571に挿入して、これら円筒ダイス52とパンチ6で原料Pを加圧成形して成形体1Aを成形する(加圧成形工程)。この場合には、円筒ダイス52も原料Pを加圧するパンチを兼ねている。次いで図9(d)に示すように、円筒ダイス52とパンチ6を上方に移動させて、成形体1Aとともに外側ダイス57を下側に抜き出す(抜き出し工程)。
図10に示す成形装置の押し型5は、図3で示したものと同様の外側ダイス51、パンチ6が挿入される円筒ダイス52を備えているが、消失可能な樹脂で構成された底部ダイス53の形態が異なっている。この場合の底部ダイス53は外側ダイス51よりも大きな板状の樹脂素材53Bの上面に、底面545と雌型歯部55を有する雌型54が形成されている。
この底部ダイス53は、図11(a)〜(b)に示すように、板状の樹脂素材53Bの上面にセットした円筒状のダイス71のダイス孔711に、図5で示したマスタパンチ75をパンチ面751側から挿入し、樹脂素材53Bの上面をパンチ面751で押圧することで、上面に雌型54が成形された底部ダイス53が作製される。マスタパンチ75の押圧後は、図11(c)〜(d)に示すようにマスタパンチ75を上昇させて底部ダイス53から離間させ、ダイス71を上方に移動させて底部ダイス53を得る。
図10の押し型5で傘歯車1の成形体1Aを成形するには、まず、図10(a)に示すように、雌型54を上側に配した底部ダイス53上に、雌型54にダイス孔511を対応させて外側ダイス51をセットするとともに、ダイス孔511内に円筒ダイス52を挿入して、押し型5内に傘歯車1の形状に近似する型孔56を形成する。そしてプランジャ4で円筒ダイス52のパンチ孔521から所定量の原料Pを供給し、図10(b)に示すように型孔56に原料Pを充填する(充填工程)。次いで、図10(c)に示すように円筒ダイス52のパンチ孔521に挿入したパンチ6で型孔56内の原料Pを加圧して傘歯車1の成形体1Aに成形する(加圧成形工程)。この後は、図10(d)に示すように外側ダイス51と円筒ダイス52を上方に移動させ、成形体1Aとともに底部ダイス53を下側に抜き出す(抜き出し工程)。
図8〜図10で示した押し型5から抜き出された成形体1Aは傘歯車1に近似する形状であり、いずれも軸部11Aの下端に、平坦面125Aおよび歯部13Aを有する傘部12Aが形成されている。そしてこれら成形体1Aは、外側ダイス57または底部ダイス53とともに脱バインダ工程、焼結工程に供給され、外側ダイス57または底部ダイス53は脱バインダ工程あるいは焼結工程のいずれかの工程で消失させられる。そして成形体1Aは焼結工程を経ることで焼結部品である傘歯車1に製造される。
[2]平歯車の製造方法
次に、図2(a)、(b)に示した多段ではない平歯車(平歯車、はすば歯車)2の成形方法を説明する。ここでは、原料を加圧成形して平歯車に近似した形状の成形体を得る加圧成形工程を行う成形装置の例を示す。これら実施形態でも、上記と同様の効果を得ることができる。
図12(a)に示す成形装置の押し型8は、平歯車2の外径よりも大きい内径の円筒状のダイス孔811を有する外側ダイス81と、ダイス孔811内に上下から摺動可能に挿入される上ダイス82および下ダイス83と、ダイス孔811内に上下のダイス82、83に挟まれて嵌合される内側ダイス84とを備えている。上下のダイス82、83の中心には、平歯車2の軸部21の外径に相当する内径を有するパンチ孔821、831がそれぞれ同心状に形成され、上下のパンチ孔パンチ孔821、831には、それぞれ上下のパンチ62、63が摺動可能に挿入される。
内側ダイス84は、この実施形態での消失可能な材料で構成された押し型の一部であり、後の脱バインダ工程あるいは焼結工程で消失可能な樹脂によって形成されている。内側ダイス84は、図13に示すように環状に形成されており、その厚さは平歯車2の平歯車部22の厚さと同等で、内周面に、平歯車2の歯部23が転写された形状の雌型歯部85が形成されている。すなわち雌型歯部85には、歯部23の歯231を形成する歯溝851と、歯溝232を形成する歯852とが周方向に交互に形成されている。
図12(a)に示す押し型8では、外側ダイス81のダイス孔811内の中間部に嵌合させた内側ダイス84を上下のダイス82、83で挟み込み、下パンチ63をパンチ孔831に挿入して平歯車2の形状に対応した型孔86を形成する。そして、上ダイス82のパンチ孔821から所定量の原料Pを型孔86に充填し(充填工程)、次いで上パンチ62を挿入して上下のパンチ62、63で原料Pを加圧する。これにより押し型8内には平歯車2の形状に近似する成形体2Aが成形される。すなわち成形体2Aは軸部21Aの途中に平歯車部22Aが形成され、平歯車部22Aの外周面には、内側ダイス84の雌型歯部85が転写して歯部23Aが形成される。内側ダイス84は、成形体2Aの歯部23Aに密着して歯部23Aを覆っている。
成形体2Aが成形されたら、例えば上ダイス82、上パンチ62および外側ダイス81を上昇させて成形体2Aから離間させ、さらに下パンチ63を上昇させることで、成形体2Aとともに内側ダイス84を抜き出す(抜き出し工程)。この後、成形体2Aと内側ダイス84は、脱バインダ工程および焼結工程に供給される。樹脂製の内側ダイス84は、これら脱バインダ工程あるいは焼結工程のいずれかで消失させられ、成形体2Aは焼結工程を経ることで焼結部品である平歯車2に製造される。
図12(b)、(c)は、図12(a)の内側ダイス84を変形させた例を示しており、いずれも平歯車2の成形体2Aを同様に成形している。図12(b)の内側ダイス84は、平歯車部22よりも厚く、下側に一方の軸部21を成形する軸部成形孔841が形成されている。また、図12(c)では内側ダイス84がさらに厚く形成され、軸部成形孔841が閉塞されて上方のみに開口した形態となっている。この場合、下ダイス83が内側ダイス84に結合した形態となっており、下ダイス83は省略される。
図12(d)、(e)、(f)に示す押し型8は、それぞれ図中左側の図12(a)、(b)、(c)において外側ダイス81を必要としない変形例を示しており、図示の通り内側ダイス84の形状は左側のものと概ね同様であり、内側ダイス84の外周面を外側ダイス81で拘束しない形態となっている。
[3]多段平歯車の製造方法
次に、図14(a)〜(f)により、図2(c)に示した多段平歯車3の製造方法において、原料を加圧成形して多段平歯車3に近似した形状の成形体を得る工程について説明する。図14は、図12で示した平歯車の成形装置において、消失可能な内側ダイスの形態を多段平歯車用に変更させた例であり、内側ダイスが多段平歯車用である以外は、図14(a)〜(f)は図12(a)〜(f)と対応する構成となっている。
図14(a)に示す押し型8は、図12に示したものと同様の外側ダイス81、上ダイス82および下ダイス83とを備え、これらダイス81〜83内に多段平歯車用の内側ダイス87がセットされる。
内側ダイス87は、後の脱バインダ工程あるいは焼結工程で消失可能な樹脂によって形成されている。内側ダイス87は、図16(a)に示すように環状に形成されており、その厚さは、大径平歯車部251と小径平歯車部252とを合わせた厚さと同等で、内周面に、大径平歯車部251の歯部23が転写された形状の大径雌型歯部873と、小径平歯車部252の歯部23が転写された形状の小径雌型歯部874が、同心状、かつ二段の状態に形成されている。すなわちこれら雌型歯部873、874には、多段平歯車3の歯231を形成する歯溝871と、多段平歯車3の歯溝232を形成する歯872とが周方向に交互に形成されている。
図14(a)に示す押し型8では、内部に大径雌型歯部873を上側に配して内側ダイス87をセットし、上ダイス82のパンチ孔821から所定量の原料Pを型孔56に充填し(充填工程)、次いで上パンチ62を挿入して上下のパンチ62、63で原料Pを加圧することで、多段平歯車3の形状に近似する成形体3Aが成形される。すなわち成形体3Aは軸部21Aの途中に多段平歯車部25Aが形成され、多段平歯車部25Aの外周面には、内側ダイス87の雌型歯部873、874が転写して歯部23Aが形成される。内側ダイス87は、成形体3Aの歯部23Aに密着して歯部23Aを覆っている。
成形体1Aが成形されたら、適宜に成形体3Aとともに内側ダイス87を押し型8から抜き出し(抜き出し工程)、脱バインダ工程および焼結工程に供給する。樹脂製の内側ダイス87は、これら脱バインダ工程あるいは焼結工程のいずれかで消失させられ、成形体3Aは焼結工程を経ることで焼結部品である多段平歯車3に製造される。
図14(b)、(c)は、図14(a)の内側ダイス87を変形させた例を示しており、いずれも多段平歯車3の成形体3Aを同様に成形している。図14(b)の内側ダイス87は、多段平歯車部25よりも厚く、下側に一方の軸部21を成形する軸部成形孔875が形成されている。また、図14(c)では内側ダイス87がさらに厚く形成され、軸部成形孔875が閉塞されて上方のみに開口した形態となっている。この場合、下ダイス83が内側ダイス87に結合した形態となっており、下ダイス83は省略される。
図14(d)、(e)、(f)に示す押し型8は、それぞれ図中左側の図14(a)、(b)、(c)において外側ダイス81を必要としない変形例を示しており、図示の通り内側ダイス87の形状は左側のものと概ね同様であり、内側ダイス87の外周面を外側ダイス81で拘束しない形態となっている。
図14で示した押し型8の内側ダイス87は多段平歯車部25の大径平歯車部251と小径平歯車部252を一括して成形する形態であったが、図15(a)に示すように、大径側と小径側に分割して一段ずつ樹脂で構成する形態の内側ダイスを用いてもよい。この場合の内側ダイスは、大径内側ダイス88と小径内側ダイス89を同心状に重ね合わせて押し型8内にセットされる。図16(b)に示すように、大径内側ダイス88と小径内側ダイス89の内周面には、大径平歯車部251側と小径平歯車部252側の歯部23にそれぞれ対応し、歯溝871および歯872で構成される大径雌型歯部873および小径雌型歯部874が形成されている。また、図15(b)の押し型8は、下側の軸部21を形成するための底部内側ダイス895が消失可能な樹脂により単独で形成され、多段平歯車部25の歯部23を成形する大径内側ダイス88および小径内側ダイス89と合わせて消失可能なダイスが三段の状態でセットされる。この場合、下ダイス83は必要なく、軸部形成用の底部内側ダイス895および外側ダイス81はダイスプレート899上に設置される。
ところで、多段平歯車部25を、分割した大径内側ダイス88と小径内側ダイス89とで成形する場合、それら内側ダイス88、89の周方向の位相ずれが発生しないようにする必要がある。そこで位相ずれ防止のための位相調整手段として、図16(b)に示すように大径内側ダイス88と小径内側ダイス89の双方に厚さ方向に延びる同じ幅の溝881、891を形成し、これら溝881、891を一致させると位相が合うように構成する。そして、外側ダイス81のダイス孔811の内周面に、一致した溝881、891が嵌合する凸条(図示略)を形成しておき、この凸条に溝881、891を嵌合させることで、大径内側ダイス88と小径内側ダイス89の位相ずれを防止することができる。
図14および図15に示した実施形態では、成形体3Aにおける多段平歯車部25の大径平歯車部251と小径平歯車部252の双方の歯部23Aを消失可能な樹脂で構成された内側ダイスで成形しているが、いずれか一方の歯部を消失可能な樹脂からなる内側ダイスで成形し、他方の歯部は通常の金型で成形するようにしてもよい。図17(a)〜(f)はその例を示しており、いずれも成形体3Aの小径平歯車部252の歯部23Aを消失可能な樹脂からなる小径内側ダイス893で成形している。
図17(a)の押し型8は、上ダイス82および下ダイス83と、これら上下のダイス82、83間に挟まれる外側ダイス81と、外側ダイス81のダイス孔811の下部にセットされる小径内側ダイス893とにより構成される。この場合、外側ダイス81の厚さは多段平歯車部25の厚さと同等で、円筒状に形成された内周面には、大径平歯車部251の歯部23を成形する雌型歯部815が形成されている。また、小径内側ダイス893の内周面には、小径平歯車部252の歯部23を成形する雌型歯部893aが形成されており、外周面には外側ダイス81の雌型歯部815に嵌合する外周側歯部893bが形成されている。
図17(a)の押し型8では、内部に小径内側ダイス893をセットし、上ダイス82のパンチ孔821から所定量の原料Pを型孔87に充填し(充填工程)、次いで上パンチ62を挿入して上下のパンチ62、63で原料Pを加圧することで、多段平歯車3の形状に近似する成形体3Aが成形される。成形体3Aの大径平歯車部251の歯部23Aは外側ダイス81の雌型歯部815で成形され、小径平歯車部252の歯部23Aは小径内側ダイス893の雌型歯部893aで成形される。
図17(b)、(c)は、図17(a)の押し型8の外側ダイス81と小径内側ダイス893を変形させた例を示している。図17(b)の小径内側ダイス893は、小径平歯車部252と、小径平歯車部252側の軸部21を成形する軸部成形孔893cが形成されており、小径内側ダイス893はそれに応じて厚く形成されている。また、下パンチ63を用いず、円柱状の下ダイス65で軸部成形孔893cの下側開口を塞ぐとともに小径内側ダイス893を支持している。また、図17(c)では小径内側ダイス893がさらに厚く形成され、軸部成形孔893cが閉塞されて上方のみに開口した形態となっており、円柱状の下ダイス65で小径内側ダイス893を支持している。
図17(d)、(e)、(f)は、多段平歯車3の大径平歯車部251を金属製の中間ダイス801で成形し、小径平歯車部252を消失可能な樹脂からなる上記小径内側ダイス89で形成する例である。
図17(d)の押し型8は、外側ダイス81と、外側ダイス81のダイス孔811内に下側から摺動可能に挿入される下ダイス83と、外側ダイス81上にセットされる中間ダイス801と、下ダイス83と中間ダイス801の間に挟み込まれ、ダイス孔811内に嵌合してセットされる小径内側ダイス89と、中間ダイス801上に当接される上ダイス82とにより構成される。中間ダイス801の厚さは大径平歯車部251の厚さと同等で、中心のダイス孔802の内周面には、大径平歯車部251の歯部23を成形する雌型歯部803が形成されている。
図17(d)の押し型8では、下ダイス83の上面に小径内側ダイス89をセットし、小径内側ダイス89と外側ダイス81の上面を揃え、これら89、81の上に中間ダイス801をセットするとともに中間ダイス801の上に上ダイス82をセットし、押し型8内に、多段平歯車3の形状に対応した型孔87を形成する。そして、上ダイス82のパンチ孔821から所定量の原料Pを型孔87に充填し(充填工程)、次いで上パンチ62を挿入して上下のパンチ62、63で原料Pを加圧する。これにより押し型8内には多段平歯車3の形状に近似する成形体3Aが成形される。成形体3Aの大径平歯車部251の歯部23Aは中間ダイス801の雌型歯部803で成形され、小径平歯車部252の歯部23Aは小径内側ダイス89の雌型歯部874で成形される。
図17(e)、(f)は、図17(d)の小径内側ダイス89を変形させた例を示している。図17(e)の小径内側ダイス89は、多段平歯車部25よりも厚く、下側に一方の軸部21を成形する軸部成形孔892が貫通形成されている。また、図17(f)では小径内側ダイス89がさらに厚く形成され、軸部成形孔892が閉塞されている。図17(e)、(f)の下ダイス83には下パンチ63は挿入されず、パンチ孔831は形成されていない。
[4]薄板形状の焼結部品の製造方法
本発明は、上記歯車等の複雑形状の焼結部品の他に、きわめて薄い薄板形状の焼結部品を製造するにも好適である。
図18はそのような焼結部品の成形体を成形する成形装置の例を示しており、この成形装置は、ダイス孔911を有するダイス91と、ダイス孔911に嵌合される薄板状ダイス92とからなる押し型9と、ダイス孔911に摺動可能に挿入される上下のパンチ93、94とを備えている。薄板状ダイス92は、この実施形態での消失可能な押し型の一部を構成し、上記底部ダイス53と同様に樹脂で形成されている。
この成形装置では、ダイス孔911内に挿入した下パンチ94上に薄板状ダイス92をセットして型孔96を形成し、この型孔96内に所定量の原料Pを充填し(充填工程)、この後、上パンチ93をダイス孔911内に挿入して、上下のパンチ93、94で薄板状ダイス92とともに原料Pを加圧する。これにより薄板状ダイス92と上パンチ93との間に、例えば厚さtが20〜800μm程度の薄板形状の成形体4Aを得る。
次いで、成形体4Aおよび成形体1Aの片面に密着した薄板状ダイス92を押し型9から抜き出す(抜き出し工程)。この後、成形体4Aと薄板状ダイス92を脱バインダ工程および焼結工程に供給する。樹脂製の薄板状ダイス92は、脱バインダ工程あるいは焼結工程のいずれかで消失させられ、成形体4Aは焼結工程を経ることで薄板形状の焼結部品に製造される。
このようにして薄板形状の焼結部品を製造する方法によれば、きわめて薄い成形体4Aを押し型9から抜き出す際に、片面側に密着する薄板状ダイス92ごと抜き出すため、成形体4Aが上パンチ93に貼り付いても剥がしやすく、また、成形体4Aが変形したり折れたりして損傷することが抑えられる。そして薄板状ダイス92で支持されることで成形体4Aを平坦な状態を保持してハンドリングできるため、焼結後も変形のない目的形状に維持することができる。なお、図18の実施形態では下パンチ94側に薄板状ダイス92を配しているが、原料Pを下パンチ94上に供給し、その原料Pの上面に薄板状ダイス92を配してもよく、また、原料Pの上下両面に薄板状ダイス92を配して加圧成形してもよい。
1…傘歯車
2…平歯車
3…多段平歯車
1A、2A、3A、4A…成形体
13、23…歯部
131、231…歯(凸部)
132、232…歯溝(凹部)
5、8、9…押し型
53…底部ダイス(消失可能な押し型)
56、86、96…型孔
57…外側ダイス(消失可能な押し型)
6…パンチ
62、93…上パンチ
75…マスタパンチ
84、87…内側ダイス(消失可能な押し型)
88…大径内側ダイス(消失可能な押し型)
881、891…溝(位相調整手段)
89…小径内側ダイス(消失可能な押し型)
893…小径内側ダイス(消失可能な押し型)
92…薄板状ダイス(消失可能な押し型)
P…原料

Claims (9)

  1. 金属粉末に、熱可塑性樹脂とワックスからなるバインダを40〜60体積%添加し、加熱混練して原料を調整する原料調整工程と、
    所定量の前記原料を押し型の型孔内に充填する充填工程と、
    前記押し型内の原料をパンチで加圧して成形体に成形する加圧成形工程と、
    前記加圧成形工程の後に前記成形体を抜き出す抜き出し工程と、
    前記抜き出し工程で抜き出された前記成形体から前記バインダを除去する脱バインダ工程と、
    前記脱バインダ工程で脱バインダされた前記成形体を加熱して前記金属粉末どうしを拡散結合させる焼結工程と、
    を備える焼結部品の製造方法において、
    前記押し型の少なくとも一部を消失可能な材料で構成し、
    前記抜き出し工程においては、前記成形体とともに前記消失可能な材料で構成された押し型を抜き出し、該抜き出し工程の後に、
    前記消失可能な材料で構成された押し型を、前記脱バインダ工程において消失させるか、または前記焼結工程において消失させること
    を特徴とする焼結部品の製造方法。
  2. 前記消失可能材料で構成された押し型により、前記成形体に幅5〜500μm、深さまたは長さが1〜1000μmの凸部および/または凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の焼結部品の製造方法。
  3. 前記焼結部品が歯車形状であり、前記凸部および/または凹部が歯車の歯部であることを特徴とする請求項2に記載の焼結部品の製造方法。
  4. 前記焼結部品が直径0.1〜50mmの傘歯車であり、該傘歯車の少なくとも歯部を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする請求項3に記載の焼結部品の製造方法。
  5. 前記焼結部品が直径0.1〜50mmの平歯車であり、該歯車の少なくとも歯部を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする請求項3に記載の焼結部品の製造方法。
  6. 前記焼結部品が直径0.1〜50mmの多段歯車であり、該多段歯車の少なくとも一つの段の歯部を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする請求項3に記載の焼結部品の製造方法。
  7. 前記多段歯車の複数の段の歯部を一段ずつ前記消失可能な材料で構成された複数の押し型により形成するとともに、これら複数の押し型に位相調整手段を形成して位相ずれを防止することを特徴とする請求項6に記載の焼結部品の製造方法。
  8. 前記消失可能な材料で構成された押し型が、機械加工により作製したマスタパンチを消失可能な材料に押圧してマスタパンチの形状を転写することにより作製されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の焼結部品の製造方法。
  9. 前記焼結部品が厚さ20〜800μmの薄板形状であり、前記薄板形状の少なくとも一方の面を前記消失可能な材料で構成された押し型により形成することを特徴とする請求項1に記載の焼結部品の製造方法。
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