JP5507958B2 - 微小部品の粉末成形体成形方法 - Google Patents
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Description
[1]第1実施形態
(1)微小歯車
図1(a)は、一実施形態の成形方法によって成形した粉末成形体を焼結して得られる微小部品である微小歯車(以下、歯車)を示している。この歯車1は、複数の歯部11からなる外歯12が外周面に形成された歯車部13と、この歯車部13の一端面(図で上側の端面)に、歯車部13の軸心と同心状、かつ、一体に形成された円柱状の軸部14とを有している。この歯車1の内部には、歯車部13および軸部14にそれぞれ対応した内径の異なる中空部13a,14aが形成されており、中空部13a,14aは歯車部13側に開口している。これら中空部13a,14aにより、歯車1の円筒状の側壁部の肉厚は概ね均一となっている。
図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)は、上型5と下型6とで構成される押し型4によって上記歯車1の粉末成形体を成形するプロセスを示している。まず、図2により上型5と下型6を説明する。
上型5は固定金型であって、水平な下面には、下方に開口する左右一対の雌型孔51が形成されている。この雌型孔51は歯車1の外面形状に対応した円筒状の内周面を有するものであって、歯車部13に対応した下方に開口する歯車部孔53と、歯車部孔53に連通し、軸部14に対応した軸部孔54とからなっており、軸方向が鉛直方向に沿った状態で形成されている。歯車部孔53の内周面には、歯車部13の外歯12を形成する内歯が形成されている。上型5の中心であって2つの雌型孔51の中間位置には、可塑性原料を下方に吐出する円筒状のディスペンサ8が設置されている。ディスペンサ8からは、定量の原料が断続的に吐出される。
下型6は昇降可能に設けられた可動金型であって、図2(c)に示すように、下型6が上昇して固定側の上記上型5に当接することにより、型締めされた押し型4が構成される。下型6の中心には、上型5に設置されているディスペンサ8の軸心と同心状の上下方向に延びる下パンチ挿入孔61が形成されている。この下パンチ挿入孔61には、円柱状の下パンチ(加圧部材)62が摺動自在に挿入されている。下パンチ62は、図2(a)で示す下方の待機位置と、図2(c)で示す上方の加圧位置との間を上下動する。下パンチ62が待機位置に位置付けられている状態では、下パンチ挿入孔61における下パンチ62の上方に凹所が形成され、この凹所が原料貯留部63とされる。上記ディスペンサ8からは、この原料貯留部63に原料が吐出される。
次に、上記押し型4を用いて歯車1の粉末成形体を成形する手順を、図2〜図3、および図4(時間にしたがった動作状態を線の上下で示す図)により説明する。
はじめに、図2(a)に示すように、下型6を下げて上型5から離間させ押し型4を型開きの状態とする。そして、下パンチ62を待機位置まで下げて原料貯留部63を形成するとともに、上型5側および下型6側の各イジェクトピン59,69を後退させておく。また、下型6を予め加熱手段68によって成形温度に加熱しておき、冷却手段66は非稼働状態(管状体に冷媒を流さない)としておく。さらにディスペンサ8内の原料を、予め軟化した状態としておく。
押し型4が型締めされると、上記キャビティ10が形成される。また、下型6の熱が伝達して上型5も加熱される。そして、図3(a)に示すように下パンチ62を上昇させて、原料貯留部63に貯留されている軟化状態の原料Pを上方に押し込み、所定荷重で加圧する(図4:T1〜T5)。原料貯留部63内の原料Pは、下パンチ62で押されることにより湯道65を通ってキャビティ10内に流入して充満し、さらに加圧されて圧縮される。これにより原料Pはキャビティ10内で塑性変形しながらキャビティ10の形状に造形されて、歯車1に近似した形状を有する所定密度の粉末成形体1Aに成形される。また、この加圧成形の間には、加熱手段68による加熱を停止するとともに、冷却手段66を稼働させて押し型4を冷却する。
次に、下型6を下降させて押し型4を型開きするが、この時点で押し型4の温度は粉末成形体1Aの排出温度まで冷却されている。排出温度は、キャビティ10内の粉末成形体1A中の可塑性樹脂は硬化しており、かつ、バインダのワックスは軟化している温度とされ、例えば130℃以下、120℃程度とされる。
上記一実施形態の成形方法によれば、軟化状態の流動性を有する原料Pをディスペンサ8によって下型6の原料貯留部63に定量供給するため、原料Pの供給量を常に高精度で均一とすることができる。
次に、図1(b)に示す歯車2の粉末成形体を成形する他の実施形態を説明する。
(1)微小歯車
第2実施形態に係る微小部品である歯車2は、軸部14が、歯車部13側の太い大径軸部141の先端側に、大径軸部141よりも細い小径軸部142が形成された段付き軸部となっている。また、歯車2は、上記歯車1とは異なり、中空ではなく中実のものである。
図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)は、上型5と下型6とで構成される押し型4によって上記歯車2の粉末成形体を成形するプロセスを示している。この押し型4の下型6は、上記実施形態と同様の構成を有するものであり、説明を省略する。なお、この実施形態での下型6は、上記中子64およびイジェクトピン69を有していない。
次に、上記押し型4を用いて歯車2の粉末成形体を成形する手順を、図5〜図6により説明する。
はじめに、図5(a)に示すように、下型6を上型5から離間させて型開きの状態とし、下型6においては下パンチ62を待機位置まで下げて原料貯留部63を形成する。一方、上型5においては、下側可動分割ダイス731を合体させて下側ダイス73を構成し、上側分割ダイス721を合体させて上側ダイス72を構成する。この時、上下のダイス72,73の上パンチ挿入孔724および軸部孔734は、歯車部孔713と同心状に連通した状態に配置される。そして、上パンチ74を上パンチ挿入孔724の途中まで挿入する。また、イジェクトピン75を上型5の上方の待機位置に位置付ける。
押し型4が型締めされると、歯車部孔713および軸部孔734が下型6に閉じられ、キャビティ20が形成される。このキャビティ20は、上記湯道65を介して原料貯留部63に連通している。次に、図6(a)に示すように下パンチ62を上昇させて、原料貯留部63に貯留されている軟化状態の原料Pを上方に押し込み、次いで図6(b)に示すように上パンチ74を先端が上側ダイス72の下面高さ位置に到達するまで下降させる。原料Pは下パンチ62により原料貯留部63から湯道65を通ってキャビティ20内に流入して充満し、加圧され、さらに上パンチ74で加圧されることにより、キャビティ20内で塑性変形しながらキャビティ20の形状に造形されて、歯車2に近似した形状を有する所定密度の粉末成形体2Aに成形される。
次に、図8に示すように、上型5の上下のダイス72,73を分割して、各可動分割ダイス721,731を粉末成形体2Aから離間させる。続いて図6(c)に示すように、下型6を下降させながら、イジェクトピン75を下方に進出させて粉末成形体2Aをキャビティ20から抜き出す。イジェクトピン75は粉末成形体2Aの歯車部13Aの上端面を押して粉末成形体2Aをキャビティ20から抜き出す。各キャビティ20で成形された2つの粉末成形体2Aは湯道65に残った原料Pが硬化したランナー部65Aによって連結されており、これら粉末成形体2Aおよびランナー部65Aは、上側イジェクトピン75によって下型6側に残される。この後、下パンチ62を上昇させるなどして粉末成形体2Aおよびランナー部65Aを下型6から離脱させ、粉末成形体2Aを得る。
なお、本実施形態の成形工程においても、第1実施形態と同様に加熱手段68と冷却手段66により、工程に応じた温度制御がなされる。
第2実施形態の成形方法においても、第1実施形態と同様に、型開きした状態からディスペンサ8によって軟化している原料Pを原料貯留部63に定量供給することによる製造時間の短縮やペレット製造設備の不要、あるいは装置の小型化による省エネルギー化や製造時間の短縮といった種々の効果を、同様に得ることができる。また、軸部を、分割する上下のダイス72,73で形成することにより、粉末成形体2Aを上型5から抜き出す際には分割させた可動分割ダイス721,731間にイジェクトピン75を通して粉末成形体2Aの歯車部13Aに直接当接させ、歯車部13Aを押し下げて粉末成形体2Aをキャビティ20から抜き出すことができる。このため、歯車部13Aの細かい外歯を損傷させることなく、健全な状態の粉末成形体2Aを抜き出すことができる。
1A,2A…粉末成形体
10,20…キャビティ
4…押し型
5…上型
6…下型
62…下パンチ(加圧部材)
63…原料貯留部
65…湯道(原料導入路)
66…冷却手段
68…加熱手段
72…上側ダイス(分割型)
73…下側ダイス(分割型)
74…上パンチ(加圧部材)
8…ディスペンサ
P…可塑性原料
Claims (3)
- 可動型を有し、可動型を移動させることにより型締め・型開きがなされる押し型を用いて、微小部品の粉末成形体を成形する方法であって、
前記押し型に設けられた原料貯留部に、ディスペンサを用いて、流動性を有する状態の可塑性原料を定量供給して貯留し、
次いで、前記原料貯留部に貯留された流動性を有する前記原料を、加圧部材を前記押し型内に押し込んで加圧することにより、該原料を前記押し型内に形成されている前記微小部品の形状に対応したキャビティに充填するとともに圧縮して、前記微小部品の粉末成形体を造形し、
次いで、前記押し型を型開きして前記粉末成形体を取り出すとともに、
前記押し型の内部には、前記原料貯留部から前記キャビティに至る原料導入路が形成されており、該押し型には、前記粉末成形体を造形した後に、該原料導入路および該粉末成形体を冷却する冷却手段が設けられていること
を特徴とする微小部品の粉末成形体成形方法。 - 前記押し型の内部には、前記加圧部材によって前記原料を前記キャビティに充填して前記粉末成形体を造形する際に、該原料を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の微小部品の粉末成形体成形方法。
- 前記押し型は、型締め方向に交差する方向に移動して分割する分割型を有し、この分割型を移動させて分割させることにより、前記粉末成形体を前記キャビティから取り出し可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載の微小部品の粉末成形体成形方法。
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