JP2015025029A - 接続材料、接続構造体及びその製造方法 - Google Patents

接続材料、接続構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス及び窒化珪素に対しても十分に高い接着力を示すことができる接続材料を提供すること。【解決手段】好適な接続材料は、遊離ラジカルを発生する硬化剤と、分子内に少なくとも二つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性物質と、分子内に少なくとも一つのラクトン構造及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するラクトン化合物と、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルとを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、接続材料、例えば、相対向する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する接続材料、並びにこの接続材料を用いた接続構造体及びその製造方法に関する。
半導体素子や液晶表示素子の製造に用いられる回路接続材料としては、高接着性で且つ高信頼性を示すエポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照)。この熱硬化性樹脂の構成成分としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を有するフェノール樹脂等の硬化剤、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進する潜在性硬化剤が一般的に用いられている。潜在性硬化剤は、硬化温度及び硬化速度を決定する重要な因子となっている。そのため、室温での貯蔵安定性と加熱時の硬化速度の観点から、潜在性硬化剤として種々の化合物が用いられている。
また、回路接続材料として、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体(以下、「(メタ)アクリレート誘導体」と総称する。)とラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用したラジカル硬化型接着剤も注目されている。ラジカル硬化は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、低温且つ短時間での硬化が可能である(例えば、特許文献2、3参照)。
さらに、多機能携帯電話(スマートフォン)やタブレットPCには、タッチパネルが搭載されており、タッチパネルセンサと周辺の回路部材との接続にも回路接続材料が適用されている。タッチパネルセンサのベースフィルムとしては、低価格及び軽量化の観点から、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等からなる有機フィルムが検討・適用されている。
一方、液晶ディスプレイの回路形成技術を転用できることから、液晶ディスプレイメーカが、ガラスのタッチパネルセンサを生産する例も少なくない。ガラス上にタッチパネルを形成する場合、薄型化のため、液晶ディスプレイとガラスを共通化している。その場合、回路接続材料の接続部の近傍には偏光板フィルムが存在する。ところが、偏光板フィルムの耐熱性は低いので、回路接続材料の硬化条件としては、140℃接続などの低温硬化が求められる。そのため、上述のラジカル硬化系の回路接続材料の適用検討がなされている。
ガラスに回路を形成する場合、回路が形成されていないスペース部の材質は、窒化珪素などが一般的である。しかしながら、上記ラジカル硬化系の回路接続材料は、窒化珪素に対する接着性が低いことが知られている。また、窒化珪素はチップの保護膜としても使用されている。そのため、ラジカル硬化系の回路接続材料の窒化珪素に対する密着性が、当該回路接続材料をチップ接続に適用するに当たっての大きな障害となっている。そこで、窒化珪素への接着力を向上させるため、シリコーン変性ポリイミドなどが用いられている(特許文献2、4)。しかし、シリコーン変性ポリイミド等を用いた回路接続材料は価格が高価であるので、工業的に適用できる場合が少ないという問題点がある。
また、上記以外の接着強度を向上させる手法として、異方導電性フィルムの絶縁性接着剤組成物の熱硬化成分であるアクリル系モノマーとして、環状エステル残基又は環状アミド残基を有する(メタ)アクリレート系モノマーを使用する方法が知られている(特許文献5)。
特開平1−113480号公報 特開2002−203427号公報 国際公開98/044067号公報 特開2003−64331号公報 特開2010−242101号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、環状エステル残基又は環状アミド残基を有する(メタ)アクリレート系モノマーを使用する方法によっても、ガラスに対する接着力が未だ十分に得られないことが判明した。
そこで、本発明は、ガラス及び窒化珪素に対して高い接着力を示すことができる接続材料、並びにこの接続材料を用いた接続構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の接続材料は、遊離ラジカルを発生する硬化剤と、分子内に少なくとも二つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性物質と、分子内に、少なくとも一つのラクトン構造及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するラクトン化合物と、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルとを含有することを特徴とする。
上記本発明によれば、上記の特定の各成分を組み合わせて含有することにより、ガラス及び窒化珪素に対して高い接着強度を発現することができるラジカル硬化型の接続材料を得ることができる。従来、接続材料による接着性を向上させ得る成分としては、リン酸アクリレートが知られていたが、リン酸アクリレートを含有させる場合、金属配線の腐食が生じ易くなる傾向にあった。上記特許文献5に記載の方法は、リン酸アクリレートを含有させることなく、環状エステル残基又は環状アミド残基を有する(メタ)アクリレート系モノマーを使用することによって、金属配線の腐食を抑制しながら接着性の向上を試みたものであるが、上述のように、特にガラスに対する接着性が十分に得られなかった。これに対して、本発明の接続材料は、上記特定のラクトン化合物とリン酸エステルとを、その他の成分とともに組み合わせて含有することにより、金属配線の腐食を低減しながら、ガラス及び窒化珪素に対する接着性を十分に得ることが可能となる。
本発明の接続材料において、ラジカル重合性物質、ラクトン化合物及びリン酸エステルの総量100質量部に対する、ラクトン化合物の含有量が、8〜30質量部であることが好ましい。ラクトン化合物の配合量を上記範囲とすることによって、接続材料の接着性が向上するとともに、当該接続材料を用いて回路等を接続した際の抵抗信頼性を良好に得ることができる。
また、ラクトン化合物の分子量は100以上500未満であると好ましい。ラクトン化合物の分子量が上記範囲であると、接続材料を硬化させた際の架橋密度が下がりにくく、ガラス及び窒化珪素に対する接着性とともに収縮応力を低減できるため、抵抗信頼性を保持できる傾向にある。
また、本発明の接続材料において、ラジカル重合性物質、ラクトン化合物及びリン酸エステルの総量100質量部に対し、リン酸エステルの配合量が1〜13質量部であると好ましい。リン酸エステルの配合量が上記範囲であると、接続材料による接着性が向上するとともに、回路部材の腐食が一層生じ難くなる傾向にある。
また、本発明は、第一の基板及びこの第一の基板上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の基板及びこの第二の基板上に形成された第二の回路電極を有し、第二の回路電極が第一の回路電極と向き合うようにして第一の回路部材と対向して配置された第二の回路部材と、第一の回路部材と第二の回路部材との間に配置されて、第一の回路部材と第二の回路部材とを接着する接着層とを備え、接着層が、上記本発明の接続材料から形成されたものである接続構造体を提供する。
また、本発明は、上記本発明の接続構造体を好適に製造する方法であって、第一の基板及びこの第一の基板上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の基板及びこの第二の基板上に形成された第二の回路電極を有し、第二の回路電極が第一の回路電極と向き合うように第一の回路部材と対向して配置された第二の回路部材との間に、上記本発明の接続材料を配置し、加圧して、第一の回路部材と第二の回路部材とを接着する工程を含む接続構造体の製造方法を提供する。
上記本発明の接続構造体によれば、第一及び第二の基板としてそれらの接着面側にガラスや窒化珪素を備える基板を用いても、それらが本発明の接続材料によって良好に接着され、回路電極同士の電気的接続が良好であり、しかも接続すべき以外の部分においては抵抗性が良好であるといった、優れた接続信頼性が得られるようになる。
本発明によれば、ガラス及び窒化珪素に対して高い接着力を示すことができる接続材料、並びにこの接続材料を用いた接続構造体及びその製造方法を提供することが可能となる。
接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
(回路接続材料)
まず、好適な実施形態の接続材料について説明する。本実施形態の接続材料は、遊離ラジカルを発生する硬化剤、分子内に少なくとも二つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性物質、分子内に少なくとも一つのラクトン構造及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するラクトン化合物、及び、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含有する。以下、本明細書においては、説明の便宜上、これらの成分はそれぞれ「硬化剤」、「ラジカル重合性物質」、「ラクトン化合物」及び「リン酸エステル」と省略して記載することとする。
本実施形態の接続材料に含まれる硬化剤は、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生すものが好適である。使用する硬化剤は、目的とする接続温度、接続時間等により適宜選択することができる。硬化剤の配合量は、接続材料全体に対して、0.05〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましい。
硬化剤としては、例えば、過酸化化合物として、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2ーエチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1、1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類としては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類としては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
これらの硬化剤は、単独又は混合して使用することができる。また、上記の化合物に分解促進剤や抑制剤等を混合したものであってもよい。さらに、硬化剤は、上記の化合物が、ポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆されることによりマイクロカプセル化されたものであってもよい。このようにマイクロカプセル化された硬化剤は、保存性が延長される傾向にあるため、好ましい。
本実施形態の接続材料に含まれるラジカル重合性物質は、上述した硬化剤から発生した遊離ラジカルによって重合が開始される化合物を含むものであり、そのような化合物単体や、そのような化合物を含む組成物のいずれであってもよい。遊離ラジカルによって重合することが可能な化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれを用いることもでき、モノマーとオリゴマーを併用することもできる。
ラジカル重合性物質に含まれる化合物としては、ウレタンアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
本実施形態の接続材料に含まれるラクトン化合物としては、分子内に少なくとも一つのラクトン構造及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、特に制限はされない。なお、本明細書では、アクリロイル基及びメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基と表記し、(メタ)アクリロイル基と記載した場合、アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれか又は両方が含まれることを意味する。また、(メタ)アクリレート等の表記も同様の意味である。ラクトン化合物としては、ラクトン構造を構成している炭素原子の一部に、(メタ)アクリロイル基を含む有機基が結合した構造を有するものが挙げられる。
ラクトン化合物は、ラクトン構造及び(メタ)アクリロイル基をそれぞれ少なくとも一つ以上有するものであり、それらをそれぞれ複数有するものであってもよい。ただし、接着性向上の観点からは、ラクトン構造及び(メタ)アクリロイル基をそれぞれ一つずつ有するものであると好ましい。
ラクトン化合物が有しているラクトン構造は、5〜6員環のラクトン及びその誘導体からなる構造であることが好ましい。接続材料がこのようなラクトン化合物を含むと、ガラスに対する密着性が向上する傾向があるため好ましい。ラクトン構造部分のラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ―バレロラクトン、架橋縮合環構造を有するラクトン等が好ましい。また、ラクトン化合物において、(メタ)アクリロイル基を含む有機基がラクトン環に直接結合している場合、(メタ)アクリロイル基を含む有機基は、ラクトン構造中のエステル結合部分のカルボニル炭素に対してα位又はβ位に結合していることが好ましい。接続材料がこのようなラクトン化合物を含む場合、さらにガラスに対する密着性が向上する傾向があるため好ましい。
ラクトン化合物としては、なかでも、ラクトンにおける環部分を構成する炭素原子にオキシ(メタ)アクリロイルオキシ基が結合したラクトン(メタ)アクリレートが好適である。ラクトン化合物がラクトン(メタ)アクリレートであると、接続材料によるガラス及び窒化珪素に対する接着性が特に良好に得られるようになる。好適なラクトン化合物としては、以下の式(1−1)〜(1−14)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015025029
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Figure 2015025029
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ラクトン化合物の配合量は、ラジカル重合性物質、ラクトン化合物及びリン酸エステルの総量100質量部に対して、4〜35質量部が好ましく、8〜30質量部がより好ましい。ラクトン化合物の配合量が好適な範囲であるほど、良好な接着性が得られ、しかも回路等を接続した際の抵抗信頼性が向上する傾向にある。ラクトン化合物の添加量が4質量部未満の場合、4質量部以上とした場合に比べて接着力が低下するおそれがある。また、ラクトン化合物の添加量が35質量部を超える場合、35質量部以下とした場合より、硬化後の架橋密度が低くなり、抵抗の信頼性が低下しやすい傾向にある。
ラクトン化合物の分子量は、100以上500未満であることが好ましく、140以上300未満であることがより好ましい。ラクトン化合物の分子量が好適な範囲であるほど、ガラス及び窒化珪素に対する良好な接着性が得られ易く、また抵抗信頼性が向上する傾向にある。ラクトン化合物の分子量が100未満の場合は、ラクトン化合物としての化学構造が安定して成立し得ない傾向にある。一方、ラクトン化合物の分子量が500以上の場合は、架橋密度が低下して、抵抗の信頼性が悪化する場合がある。
また、ラクトン化合物における(メタ)アクリロイル基を含む有機基としては、一つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基や、一つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基が結合したアルキル基、すなわち、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基等が挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
本実施形態におけるラクトン化合物としては、市販品として入手可能なものをそのまま適用することもできるし、特開2004−123678号公報、特開2004−2243号公報、特開2001−64325号公報等に示されたような公知の方法により合成したものを適用することもできる。
本実施形態の接続材料に含まれるリン酸エステルは、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルである。リン酸エステルとしては、リン酸(O=P(OH))における水素原子の少なくとも1つが、(メタ)アクリロイル基を含む有機基によって置換されたものが挙げられる。ただし、接続材料の接着力向上の観点から、リン酸エステルが、分子内に少なくとも一つのP−OH構造を有していると好ましい。(メタ)アクリロイル基を含む有機基としては、一つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基が結合したアルキル基、すなわち、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基が好適である。(メタ)アクリロイルオキシアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
このようなリン酸エステルとしては、下記化学式(a)〜(d)に示す構造式の化合物が好適に用いられる。
Figure 2015025029
Figure 2015025029
ここで、上記式(a)及び(b)において、nは1〜2の整数を表す。また、式(c)及び(d)に記載のRは1価の有機基を示す。Rは、(メタ)アクリロイル基を含まない基である。Rとしては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
本実施形態におけるリン酸エステルとしては、上述した化合物のほかに、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとラクトンとの付加重合物に、無水リン酸を反応させた生成物を適用することもできる。そのようなリン酸エステルとしては、例えば、日本化薬社製、PM−21(化8)等が挙げられる。
Figure 2015025029
リン酸エステルの配合量は、ラジカル重合性物質、ラクトン化合物及びリン酸エステルの総量100質量部に対して、1〜13質量部が好ましく、4〜10質量部がより好ましい。リン酸エステルの配合量が好適な範囲であるほど、接着性が向上し易くなるとともに、回路部材の腐食を一層低減し易くなる。リン酸エステルの添加量が1質量部未満の場合、1質量部以上の場合に比べて高い接着力が得られ難い傾向にある。また、リン酸エステルの添加量が13質量部を超える場合、13質量部以下の場合に比べて回路に腐食が発生し易くなる。
リン酸エステルは通常、金属回路の腐食を引き起こし易いものであったが、本実施形態の接続材料は、硬化剤、ラジカル重合性物質に加えて特定のラクトン化合物と特定のリン酸エステルとを組み合わせて含有しているため、過度にリン酸エステルを添加しなくても優れた接着性を発揮することができる。したがって、本実施形態の接続材料によれば、リン酸エステルを含むにも関わらず、金属回路の腐食が発生し難くなる。また特に、ガラス上に形成された回路では、回路の最表層がITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物によって覆われていることが多いため、ますます回路の腐食が生じ難い傾向にある。そのため、本実施形態の接続材料によれば、ガラス上に回路が形成された回路基板の接続を行う際に、基板に対する優れた接着性が得られるとともに、接続材料がリン酸エステルを含有するにもかかわらず、回路の腐食がほとんど発生しない。
本実施形態の接続材料は、硬化剤、ラジカル重合性物質、ラクトン化合物及びリン酸エステルのみからなるものであってもよいが、必要に応じて以下の成分を更に含有することができる。
例えば、本実施形態の接続材料は、分子内に1つ以上のアミノキシル構造を有する化合物をさらに含有することができる。本実施形態の接続材料がアミノキシル構造を有する化合物を含有すると、接続材料の保存安定性をより向上させることができる。
上記アミノキシル構造を有する化合物としては、具体的には、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−6−フェニルピペリジン−1−オキシル、2,2,6−トリメチル−6−フェニルピペリジン−1−オキシル、2,6−ジフェニルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、3−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(2−クロロアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−イソチオシアナート−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−イソシアナート−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−6−シクロヘキシルピペリジン−1−オキシル、2,6−ジシクロヘキシルピペリジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−6−シクロペンチルピペリジン−1−オキシル、2,6−ジシクロペンチルピペリジン−1−オキシル、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロオキシド、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,5−ジフェニルピロリジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−5−フェニルピロリジン−1−オキシル、2,2,5−トリメチル−5−フェニルピロリジン−1−オキシル等が挙げられる。
また本実施形態の接続材料は、熱可塑性樹脂をさらに含有することができる。熱可塑性樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、製膜性等の観点から10000以上であることが好ましく、さらに混合性の観点から10000以上1000000未満であることがより好ましい。
ここで、本明細書において規定する重量平均分子量とは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)による測定を行い、標準ポリスチレンによる検量線を用いて算出して得られた重量平均分子量のことをいう。GPCの条件は以下のとおりである。
[GPC条件]
使用機器:日立L−6000 型〔(株)日立製作所製]、
カラム :ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)〔日立化成株式会社製商品名]、
溶離液:テトラヒドロフラン、
測定温度:40℃、
流量:1.75ml/min、
検出器:L−3300RI〔(株)日立製作所製]
熱可塑性樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が40℃以上であり、重量平均分子量が10000以上である水酸基含有樹脂(例えばフェノキシ樹脂)を好ましく使用することができる。水酸基含有樹脂は、エポキシ基含有エラストマー又はラジカル重合性の官能基によって変性されていてもよい。水酸基含有樹脂が、ラジカル重合性の官能基で変性されたものであると、接続材料の耐熱性が向上する傾向にあるため、より好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、二官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を重付加反応させることにより得られたものが挙げられる。
熱可塑性樹脂が、ポリエステルウレタン樹脂であると好ましい。
熱可塑性樹脂は、接続材料全体に対して30〜80質量%であることが好ましく、35〜70質量%であるとより好ましい。
さらに、本実施形態の接続材料には、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。例えば、カップリング剤としては、ビニル基、アクリロイル基、アミノ基、エポキシ基又はイソシアネート基の少なくとも1種の官能基を有する化合物が挙げられる。接続材料がカップリング剤としてこれらの化合物を含むことで、接続材料による接着性が一層向上する傾向にある。
さらに本実施形態の接続材料には、必要に応じて、上記の化合物に加えて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を含んでいてもよい。また、重合禁止剤が、ジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基、及びトリアジン環のうちの少なくとも1つを有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
本実施形態の回路接続材料は、導電性粒子を含有していても含有していなくてもよい。回路接続材料が導電性粒子を含有していなくても、接続時に相対向する回路電極同士が直接接触するようにして接着させれば、これらの回路電極間の電気的な接続を得ることができる。ただし、回路接続材料が導電性粒子をさらに含有するものであると、相対向する回路電極同士による電気的な接続がより安定して得られ易くなる。
導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられる。また、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆した被覆粒子であってもよい。被覆粒子の場合、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cu等の遷移金属類ではなく、Au、Ag、白金族の貴金属類とすることが好ましく、Auがより好ましい。また、導電性粒子としては、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性粒子の表面を上記のような導電性物質で被覆する等の方法により、非導電性粒子表面に導通層を形成し、さらに最外層を貴金属類で被覆した被覆粒子であってもよい。また、導電性粒子としては、熱溶融金属粒子を適用することもできる。熱溶融金属粒子は加熱加圧による変形が可能であるので、接続時に回路電極との接触面積が増加し、これによって接続信頼性を更に向上させることができる。
導電性粒子の配合量は、用途により適宜設定されるが、硬化剤、ラジカル重合性物質、ラクトン化合物及びリン酸エステルの合計100体積部に対して0.1〜30体積部の範囲であると好ましい。導電性粒子が過剰に含まれると、隣りあう回路間での短絡等が生じ易くなるおそれがある。そのような短絡等を防止するためには、導電性粒子の配合量は、0.1〜10体積部とするのがより好ましい。
また、本実施形態の接続材料は、フィルム状の形状を有するものであってもよい。フィルム状の接続材料は、第一及び第二の回路部材間に容易に配置できるので、それらの接着を一層容易に行うことができる。この場合、接続材料を2層に分割し、一つの層にのみ導電性粒子を含有させる態様とすることもできる。この際、例えば、導電性粒子を含まない層の硬化剤の含有量を、導電性粒子を含む層の含有量よりも小さくしておくと好ましい。このような二層構造の接続材料により接着を行う場合、導電性粒子を含む層が導電粒子を含まない層よりも速く硬化するため、接着剤層における導電性粒子が移動し難くなる。これによって、回路接続の際に、導電粒子が加圧方向に対して垂直な方向に移動し難くなるので、隣接した回路間での短絡を効果的に防止することができる。また、導電性粒子を含まない層は硬化速度が遅いため、接続を行う際の取り扱い性が良好である。
(接続構造体及びその製造方法)
次に、本実施形態の接続構造体及びその製造方法について説明する。
図1は、好適な実施形態に係る接続構造体の断面構成を模式的に示す図である。図1に示す接続構造体1は、第一の回路基板21及びその主面21a上に形成された第一の回路電極(第一の接続端子)22を有する第一の回路部材20と、第二の回路基板31及びその主面31a上に形成された第二の回路電極(第二の接続端子)32を有する第二の回路部材30と、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間に介在してこれらを接着する接着層10とを備える。第二の回路部材30は、第二の回路電極32が第一の回路電極22と対向するようにして第一の回路部材20と対向配置されている。
図1に示す接続構造体1において、接着層10は、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間に上述した好適な実施形態の接続材料を介在させ、その状態で加圧することにより形成されたものであると好ましい。なお、本実施形態の接着層10は、導電性粒子を含む接続材料を用いて形成した接着層の一例である。この接着層10は、絶縁層11と、絶縁層11内に分散している導電性粒子7とから構成される。絶縁層11は、接続材料のうちの導電性粒子以外の成分から構成され、主にラジカル重合性物質のラジカル重合によって形成された硬化体である。
互いに対向している第一の回路電極22及び第二の回路電極32は、導電性粒子7を介して互いに電気的に接続されている。一方、同じ回路基板上に形成された回路電極同士(第一の回路電極22同士及び第二の回路電極32同士)は、それぞれ絶縁されている。なお、接続構造体においては、対向する第1の回路電極22と第2の回路電極32とが互いに電気的に接続可能となるように第1の回路部材20と第2の回路部材30とが接着層10により接着されていればよい。したがって、第1の回路電極22と第2の回路電極32とは、必ずしも導電性粒子7を介して接続されている必要はなく、例えば互いに直接接触することによって接続されていてもよい。
第一の回路基板31及び第二の回路基板21としては、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品やプリント基板等に適用される基板等が挙げられる。より具体的には、第一の回路基板31及び第二の回路基板21としては、半導体、ガラス及びセラミック等の無機材料からなる基板、プラスチック基板、ガラス/エポキシ基板等が挙げられる。プラスチック基板としては、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム及びポリエステルフィルムが挙げられる。
第一の回路電極22及び第二の回路電極32は、例えば、第一の回路部材20と第二の回路部材30とを電気的に接続するための接続端子として機能する。通常、回路部材には多数の接続端子が設けられているが、本実施形態においては、接続端子(第一の回路電極22及び第二の回路電極32)は、場合によってそれぞれ単数であってもよい。
第一の回路電極22及び第二の回路電極32は、銅などの金属から形成される。より良好な電気的接続を得るためには、第一の回路電極22及び第二の回路電極32の少なくとも一方は、少なくとも表面が、金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属によって形成されるものであると好ましい。このような表面層は、金、銀、白金族、又は錫のいずれかから選択してもよく、これらを組み合わせて適用してもよい。また、銅/ニッケル/金のように複数の金属を組み合わせた多層構成を有していてもよい。
第一の回路部材20及び第二の回路部材30のうちの一方は、ガラス基板又はプラスチック基板を回路基板として有し、且つITO等から形成された接続端子を備える液晶ディスプレイパネルであってもよい。さらに、第一の回路部材20及び第二の回路部材30のうちの一方は、ポリイミドフィルムを回路基板として有するフレキシブルプリント配線板(FPC)、テープキュリアパッケージ(TCP)若しくはチップオンフィルム(COF)、又は、半導体基板を回路基板として有する半導体シリコンチップであってもよい。これらの各種の回路部材を、必要により適宜組み合わせることで、所望とする接続構造体を得ることができるが構成される。
接続構造体1は、例えば、第一の回路部材20、接続材料及び第二の回路部材30を、第一の回路電極22と第二の回路電極32とが向き合うような位置関係で順に重ね、その状態で積層方向に加圧や更に加熱することによって製造することができる。この際、接続材料としてフィルム状のものを用いると、上述した積層が一層容易となる。
加圧の際の圧力は、第一の回路部材20や第二の回路部材30に損傷を与えない範囲であれば、特に制限されない。例えば、0.1〜10MPaとすることが好ましい。加熱する場合、その温度は、特に制限されないが、100〜200℃とすることが好ましい。これらの加圧及び加熱は、0.5秒〜100秒間の範囲で行うことが好ましい。特に、本実施形態の積層構造体1の形成においては、上述した好適な実施形態の接続材料を用いることから、従来の回路接続材料を用いる場合に比して低温且つ短時間でも十分に接着することができる。例えば、130〜180℃、3MPa、10秒の加熱でも接着させることが可能である。
なお、第1の回路部材20や第2の回路部材30は、接続時の加熱によって揮発成分が生じ、それによってそれらの接続性が低下する可能性を排除するために、加圧や加熱による接着を行う前に、予め加熱処理しておくことが好ましい。
上述のように、本発明の好適な実施形態に係る接続材料は、表面に回路電極を有する2つの回路部材を、それぞれの回路電極同士が電気的に接続されるようにして接着するための、いわゆる回路接続材料として用いることができる。より具体的には、接続材料は、第1の基板及びこの第1の基板上に形成された第1の回路電極を有する第1の回路部材と、第2の基板及びこの第2の基板上に形成された第2の回路電極を有し、第2の回路電極が第1の回路電極と対向するように第1の回路部材に対して配置された第2の回路部材との間に介在され、第1の回路部材と第2の回路部材とを接着するために用いることができる。
また、好適な実施形態の接続材料は、上述した回路接続材料以外の用途に適用することができ、例えば、太陽電池セルの接続にも好適に用いることができる。太陽電池モジュールでは、一般的に、表面電極を備えた太陽電池セルが複数個、直列及び/又は並列に接続されている。太陽電池セルの接続の際には、太陽電池セルの電極同士を直接接続してもよいが、例えば、銅箔などの金属箔の両面に本実施形態の接続材料を塗布し、それを用いて、複数個の太陽電池セルの電極同士を直列及び/又は並列に接続する態様とすることもできる。
[実施例1]
熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂(UR−8200、東洋紡製、30%溶液)を不揮発分換算で60質量部、ラジカル重合性物質として、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA5500T、新中村化学製)のトルエン溶解品70質量%溶液を不揮発分換算で20質量部、リン酸エステルとして、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(P−2M、共栄社化学製)を1質量部、ラクトン化合物として上記式(1−1)で表されるγ−ブチロラクトンアクリレートを1質量部、遊離ラジカルを発生する硬化剤として、ジラウロイルパーキサイド(パーロイルL、日油製)を10質量部、導電性粒子として、ポリスチレンを核とする粒子の表面に厚み0.2μmのニッケル層を設け、さらにこのニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けた平均粒径10μmの粒子を5質量部、それぞれ配合して混合溶液を得た。この混合溶液をアプリケータでPETフィルム上に塗布し、70℃10分の熱風により乾燥させて、厚み20μmのフィルム状の接続材料を得た。
[実施例2]
ラクトン化合物であるγ−ブチロラクトンアククリレートの配合量を2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接続材料を得た。
[実施例3]
リン酸エステルとして、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(P−2M、共栄社化学製)を2質量部配合したこと以外は、実施例2と同様にして接続材料を得た。
[実施例4]
ラクトン化合物であるγ−ブチロラクトンアククリレートの配合量を4質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接続材料を得た。
[実施例5]
ラクトン化合物として、上記式(1−7)で表されるδ−バレロラクトンアククリレートを4質量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして接続材料を得た。
[実施例6]
リン酸エステルとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬製)を1質量部配合したこと以外は、実施例4と同様にして接続材料を得た。
[実施例7]
ラクトン化合物であるγ−ブチロラクトンアククリレートの配合量を6質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接続材料を得た。
[実施例8]
ラクトン化合物であるγ−ブチロラクトンアククリレートの配合量を8質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接続材料を得た。
[実施例9]
ラクトン化合物であるγ−ブチロラクトンアククリレートの配合量を10質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接続材料を得た。
[実施例10]
リン酸エステルとして、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(P−2M、共栄社化学製)を3質量部配合したこと以外は、実施例9と同様にして接続材料を得た。
[比較例1]
熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂(UR−8200、東洋紡製、30%溶液)を不揮発分換算で60質量部、ラジカル重合性物質として、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA5500T、新中村化学製)のトルエン溶解品70質量%溶液を不揮発分換算で20質量部)、ラクトン化合物として式(1−1)で表されるγ−ブチロラクトンアクリレートを1質量部、遊離ラジカルを発生する硬化剤として、ジラウロイルパーキサイド(パーロイルL、日油製)を10質量部、導電性粒子として、ポリスチレンを核とする粒子の表面に厚み0.2μmのニッケル層を設け、さらにこのニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けた平均粒径10μmの粒子を5質量部配合した。この混合溶液をアプリケータでPETフィルム上に塗布し、70℃10分の熱風乾燥を行って、厚み20μmのフィルム状の接続材料を得た。
[比較例2]
ラクトン化合物であるγ−ブチロラクトンアククリレートの配合量を10質量部としたこと以外は、比較例1と同様にして接続材料を得た。
[比較例3]
熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂(UR−8200、東洋紡製、30%溶液)を不揮発分換算で60質量部、ラジカル重合性物質として、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA5500T、新中村化学製)のトルエン溶解品70質量%溶液を不揮発分換算で20質量部)、リン酸エステルとして、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(P−2M、共栄社化学製)を2質量部、遊離ラジカルを発生する硬化剤として、ジラウロイルパーキサイド(パーロイルL、日油製)を10質量部、導電性粒子として、ポリスチレンを核とする粒子の表面に厚み0.2μmのニッケル層を設け、さらにこのニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けた平均粒径10μmの粒子を5質量部配合した。この混合溶液をアプリケータでPETフィルム上に塗布し、70℃10分の熱風乾燥を行って、厚み20μmのフィルム状の接続材料を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜3の接続材料の組成を表1に示す。
Figure 2015025029
[接続構造体の作製及び評価]
(製造例A:FPCとガラス基板との接続)
実施例1〜10及び比較例1〜3の各フィルム状の接続材料を用いて、厚み38μmのポリイミド上に直接形成された、ライン幅150μm、ピッチ300μm、厚み8μmの銅回路の銅表面に厚み0.1μmの錫めっきを施したフレキシブル回路板(以後、FPC−TEGと記載する)と、ガラス基板上に窒化珪素膜を形成したガラス基板とを接続した。具体的には、ガラス基板上に、接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、1MPa、2秒間の条件で加熱加圧して仮接続し、接続材料が形成されていたPETフィルムを剥離した後、さらに接続材料とFPC−TEGとを、130℃−2MPa−10秒、接続材料の幅を2.0mmとして接続した。
[接着力の測定]
上記で作製した回路部材の接続構造体について、ガラス基板からFPC−TEGを90°で剥離するときの接着力を、剥離速度50mm/minで測定した。接続構造体のうち、この接着力の値が5N/cm以上であったものを良好な接着性を有していると判断した。得られた結果を表2に示す。
[接続構造体の作製]
(製造例B:FPCとITOガラス基板との接続)
実施例1〜10及び比較例1〜3の各フィルム状の接続材料を用いて、FPC−TEGと、厚み1.1mmのガラス上にインジュウム−錫酸化物(ITO)を蒸着して形成したITOガラス基板(表面抵抗<20Ω/□)とを接続した。具体的には、ITOガラス基板のITO面上に、接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、1MPa、2秒間の条件で加熱加圧して仮接続し、接続材料が形成されていたPETフィルムを剥離した後、さらに接続材料とFPC−TEGとを、130℃−2MPa−10秒、接続材料の幅を2.0mmとして接続した。
[接続抵抗の測定]
上記接続部を含むFPC−TEGの隣接回路間の初期の抵抗値と、該接続体を85℃/85%RHで250時間処理した後の抵抗値とを、マルチメーターで測定した。抵抗値としては、隣接回路間の抵抗値を37点で測定した結果の平均値と最大値を測定した。そして、初期の抵抗値の平均値と上記処理後の抵抗値の平均値とを比較し、初期に対する処理後の抵抗値の平均値の変化率が2倍未満であった場合を接続信頼性が良好であると判断した。得られた結果を表2に示す。表2中、接続信頼性が良好と判断できた場合を「〇」と記載し、それ以外の場合を「−」と記載した。
Figure 2015025029
表2に示したように、実施例1〜10においては、高い接着力と安定した接続抵抗の両方を得ることができた。一方、比較例1〜3の場合は、接着力が十分ではなく、また接続信頼性も低い結果となった。
1…接続構造体、7…導電性粒子、10…接着層、11…絶縁層、20…第一の回路部材、21…第一の回路基板、22…第一の回路電極(第一の接続端子)、30…第二の回路部材、31…第二の回路基板、32…第二の回路電極(第二の接続端子)

Claims (6)

  1. 遊離ラジカルを発生する硬化剤と、
    分子内に少なくとも二つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性物質と、
    分子内に、少なくとも一つのラクトン構造及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するラクトン化合物と、
    分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルと、
    を含有する接続材料。
  2. 前記ラジカル重合性物質、前記ラクトン化合物及び前記リン酸エステルの総量100質量部に対する、前記ラクトン化合物の配合量が8〜30質量部である、請求項1に記載の接続材料。
  3. 前記ラクトン化合物の分子量は100以上500未満である、請求項1又は2に記載の接続材料。
  4. 前記ラジカル重合性物質、前記ラクトン化合物、及び前記リン酸エステルの総量100質量部に対し、前記リン酸エステルの配合量が1〜13質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接続材料。
  5. 第一の基板及び該第一の基板上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、
    第二の基板及び該第二の基板上に形成された第二の回路電極を有し、該第二の回路電極が前記第一の回路電極と向き合うように前記第一の回路部材と対向して配置された第二の回路部材と、
    前記第一の回路部材と前記第二の回路部材との間に配置されて、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接着する接着層と、
    を備え、
    前記接着層が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接続材料から形成されたものである、接続構造体。
  6. 第一の基板及び該第一の基板上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の基板及び該第二の基板上に形成された第二の回路電極を有し、該第二の回路電極が前記第一の回路電極と向き合うように前記第一の回路部材と対向して配置された第二の回路部材と、の間に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接続材料を配置し、加圧して、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接着する工程を含む、接続構造体の製造方法。


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