JP2015023203A - 二次元放射線検出器の製造方法 - Google Patents

二次元放射線検出器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】均一に成膜された電荷阻止層を備え、リーク電流の発生を好適に抑制させることを可能とする二次元放射線検出器の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る二次元放射線検出器によれば、阻止層形成工程を行う前に酸化物除去工程を行う。そのため、Te酸化物層41が除去され、平坦かつ清浄となった変換層23の表面に均一な正孔阻止層37を成膜できる。従って、均一な正孔阻止層37を介し、変換層23とアクティブマトリックス基板27の間で、より理想的なヘテロ接合が形成される。また正孔阻止層37にピンホールが形成されないので、変換層23へ向かう正孔は、正孔阻止層37によって好適に阻止される。本発明に係る製造方法は溶液成長法などを用いた正孔阻止層37の成膜に適用できる。従って、均一に成膜された大面積の正孔阻止層37を備え、リーク電流の発生をより効率よく抑制できる二次元放射線検出器を実現させることが可能となる。【選択図】図8

Description

この発明は、放射線の入射、あるいは放射線の入射によって生じた光の入射により電荷を生成する半導体を備え、医療分野、工業分野、または原子力分野などに用いられる二次元放射線検出器の製造方法に関する。
従来、医療分野や工業分野などにおいて、放射線画像を取得するための撮影装置として、二次元放射線画像撮影装置が用いられる。二次元放射線画像撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、二次元方向に広い受光面を有し、入射された放射線を検出する二次元放射線検出器を備えている。
X線を一例とする放射線を検出する二次元放射線検出器は、主に2種類に分類される。一つは、放射線の入射により光を生成し、生成された光に基づいて電荷を生成することによって、放射線から電荷を間接的に変換させて放射線を検出する「間接変換型」の検出器である。そしてもう一つは、放射線の入射により放射線感応型の半導体が電荷を生成することによって、放射線から直接電荷に変換させて放射線を検出する「直接変換型」の検出器である。近年では直接変換型の二次元放射線検出器が主に使用されており、その一例としてフラットパネル型X線検出器(FPD:Flat Panel Detector)が知られている。
図12を用いて、従来例に係る直接変換型の二次元放射線検出器について説明する。二次元放射線検出器101は、共通電極103と、変換層105と、アクティブマトリックス基板107とを備えている。共通電極103と、変換層105と、アクティブマトリックス基板107とは上述の順番に積層されている。そして、変換層105と、アクティブマトリックス基板107との間には複数の画素電極109が設けられている。共通電極103にはバイアス電圧が印加されている。変換層105は、例えばテルル化カドミウム(CdTe)、もしくはテルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)などの結晶体で構成されている。共通電極103および変換層105からなる基板は、アクティブマトリックス基板107に対して、「対向基板」とも呼ばれている。
アクティブマトリックス基板107にはコンデンサ111と、スイッチング素子113と、出力電極115とがそれぞれ複数設けられている。画素電極109は、変換層105に接触しているとともに、コンデンサ111と電気的に接続されている。コンデンサ111はスイッチング素子113を介して出力電極115と電気的に接続されており、変換層105によって変換された電荷を蓄積する。スイッチング素子113は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)などが用いられており、コンデンサ111に蓄積された電荷を出力電極115から出力させる。画素電極109、コンデンサ111、スイッチング素子113、および出力電極115は、それぞれ2次元マトリクス状に配列されている。
変換層を構成するCdZnTeなどの結晶体は、高感度な二次元放射線検出器の材料として有用である。しかし、医用診断や工業などの目的に応用するには、例えば数十センチ×数十センチの大面積を有する変換層を形成させる必要がある。CdZnTeなどについて、このような大面積の結晶体を形成することは技術的にもコスト的にも非現実的であるので、近接昇華法などを用いて多結晶膜を形成させる手法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、いずれの方法を用いた場合でも、変換層を構成させる材料の成膜を高温で行うことが必要である。そのため、アクティブマトリックス基板上へCdZnTeを直接成膜させることは困難である。そこで、材料であるCdZnTeを一旦、共通電極に対して成膜させ、その後CdZnTe膜の表面を平坦化させて対向基板を形成させる。そして、対向基板と、画素電極などを有するアクティブマトリックス基板とを貼り合わせて、二次元放射線検出器を製造する。
次に、二次元放射線検出器101の動作について説明する。図の符号xで示される方向から放射線が被検体に照射されると、被検体を透過した放射線像が変換層105に投影され、放射線像の濃淡に比例して電荷が生成される。すなわち、変換層105において、放射線は、電気信号である電荷に変換される。共通電極103にはバイアス電圧が印加されているので、変換層105において変換された電荷は、発生した電場に誘導されて、画素電極109によって収集される。収集された電荷はコンデンサ111に蓄積される。コンデンサ111に蓄積された電荷は、スイッチング素子113がオンの状態になることによって放射線検出信号として出力される。出力された放射線検出信号に基づいて画像処理等が行われ、放射線の2次元強度分布に応じた被検体の透視画像が作製される。
上述した構成を有する二次元放射線検出器101について、感度に寄与しない漏れ電荷(電子−正孔)が変換層105に注入されることがある。漏れ電荷が注入されると、リーク電流が増加するので、二次元放射線検出器101における検出特性が劣化する。変換層105に対する漏れ電荷の注入は、隣接する共通電極103、またはアクティブマトリックス基板107を介して行われる。従って、共通電極103と変換層105の間、または画素電極109と変換層105の間の少なくともいずれか一方にキャリア選択性の阻止層を設けている。
キャリア選択性とは、半導体中の電荷移動媒体(キャリア)である電子と正孔とで、電荷移動作用への寄与率が著しく異なる性質を指す。例えば共通電極103に負のバイアス電圧を印加させる場合、共通電極103と変換層105の間に設けられる阻止層は、共通電極103から変換層105に対する電子の注入を阻止する電子阻止層として機能する。そして、画素電極109と変換層105の間に設けられる阻止層は、画素電極109から変換層105に対する正孔の注入を阻止する正孔阻止層として機能する。
CdZnTe、もしくはCdTeによって構成される変換層105に対して、正孔阻止層としてはZnS,ZnO,ZnSe,CdSなどが用いられる。また、電子阻止層としてはZnTeなどが材料として用いられる。これら阻止層を変換層105に対して形成させることにより、二次元放射線検出器51において、発生するリーク電流の低減、および応答性の向上などの効果を得ることが可能となる。
上述した阻止層については、大面積に対して形成させることができる手法が望まれる。かかる阻止層の形成方法としては、溶液成長法、電析法、近接昇華法などが用いられる(例えば、特許文献2,3参照)。その中でも、溶液成長法は大面積を有する阻止層を容易に形成させることが可能であるとともに、低コストで阻止層を形成させることができるという点においても有用な手法である。
特開2001−242255号公報 特開2007−235039号公報 特開2008−71961号公報
しかしながら、このような構成を有する従来の二次元放射線検出器には、次のような問題がある。すなわち、CdZnTeの多結晶膜からなる変換層の研磨表面上に、溶液成長法を用いて正孔阻止層を成膜させる場合、成膜される正孔阻止層の膜は均一の厚みとならない。すなわち正孔阻止層に膜厚のムラが生じるので、変換層と正孔阻止層との間の半導体接合特性が劣化する。また、成膜される正孔阻止層に直径1mm以下の微細な孔が形成されてしまうので、変換層に対する正孔の注入を好適に阻止することができない。その結果、放射線検出器において発生するリーク電流は、形成される正孔阻止層によって好適に低減されない。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、均一に成膜された阻止層を備え、リーク電流の発生を好適に抑制させることを可能とする二次元放射線検出器の製造方法を提供することを目的とする。
上述の問題が発生する原因について鋭意検討を行った結果、以下のような知見を得るに至った。すなわち、変換層の表面を研磨させると、研磨させた直後は変換層の表面は平坦かつ清浄である。しかし、変換層を構成するCdZnTeは大気中の酸素と速やかに反応するので、変換層の研磨表面は速やかにTe酸化物によって覆われてしまう。
変換層を覆うTe酸化物層を除去することなく正孔阻止層の形成が行われると、変換層を覆うTe酸化物に積層するように正孔阻止層が成膜される。Te酸化物は変換層の研磨表面上に均一に形成されない。そのため、不均一に形成されたTe酸化物の上に成膜される正孔阻止層も不均一なものとなり、正孔阻止層に微細な孔が形成されてしまう。微細な孔を介して正孔が変換層へリークするので、従来の二次元放射線検出器では正孔阻止層を成膜させるにもかかわらず、リーク電流を好適に低減することができない。
この発明は、このような課題を解決するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る二次元放射線検出器の製造方法は、バイアス電圧印加用の共通電極と入射された電磁波を電荷に変換する変換層とを積層させて積層体を形成させる変換層形成工程と、前記変換層形成工程の後に、変換層の表面に形成される酸化物を除去させる酸化物除去工程と、前記酸化物除去工程の後に、変換層への正孔の注入を阻止する正孔阻止層を、酸化物が除去された変換層の表面に対して積層させて対向基板を形成させる阻止層形成工程と、前記阻止層形成工程の後に、対向基板とアクティブマトリックス基板とを貼り合わせる貼り合わせ工程とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明に係る二次元放射線検出器の製造方法によれば、阻止層形成工程を行う前に酸化物除去工程を行う。そのため、均一に成膜された正孔阻止層を備え、リーク電流の発生を好適に抑制させる二次元放射線検出器の製造が可能となる。
従来の製造方法に係る二次元放射線検出器において、CdZnTeなどの多結晶膜からなる変換層に正孔阻止層を成膜させる際、成膜される正孔阻止層の厚みは均一とならない。すなわち、正孔阻止層の膜厚ムラにより、正孔阻止層と変換層の界面における半導体接合特性が劣化する。さらに、成膜される正孔阻止層に直径1mm以下の微細な孔(ピンホール)が形成されてしまうので、正孔阻止層は変換層に対する正孔の注入を阻止できない。従って、従来例に係る二次元放射線検出器において、正孔阻止層を成膜させても、リーク電流の発生を好適に低減させることが困難となる。
一方、本発明に係る二次元放射線検出器では、変換層の表面に形成される酸化物は酸化物除去工程において除去される。そのため、平坦かつ清浄な変換層の表面に対して正孔阻止層の形成が行われるので、阻止層形成工程において成膜される正孔阻止層は均一となる。さらに、成膜される正孔阻止層においてピンホールが形成されない。すなわち、変換層へと向かう正孔は、正孔阻止層によって好適に阻止されることとなる。従って、本発明の製造方法に係る二次元放射線検出器では、好適にリーク電流の発生が抑制されることとなる。
そして貼り合わせ工程において、変換層とアクティブマトリックス基板とを加圧保持させて貼り合わせる。変換層の表面に形成される正孔阻止層にはピンホールが形成されず、また正孔阻止層は均一に成膜される。従って、変換層とアクティブマトリックス基板とは、均一に成膜された正孔阻止層を介しての安定に結合される。すなわち、変換層とアクティブマトリックス基板において理想的なヘテロ結合が行われる。そのため、本発明の製造方法に係る二次元放射線検出器において、高い安定性と信頼性を実現させることが可能となる。
また、上述した発明において、前記酸化物除去工程は積層体を臭素メタノール溶液で処理することによって行われ、前記酸化物除去工程の後に積層体をメタノールで洗浄する洗浄工程をさらに備えることが好ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、積層体を臭素メタノール溶液で処理することにより酸化物除去工程を行う。臭素メタノール溶液は、Te酸化物などを例とする酸化物を好適に分解除去することができる。そのため、酸化物除去工程によって、変換層の表面に形成される酸化物を、より好適に除去させることが可能となる。そして、酸化物除去工程を行った後、積層体をメタノールで洗浄することにより、臭素メタノール溶液処理によって生成される臭化物は、積層体の表面から好適に除去される。そのため、製造される二次元放射線検出器において、残留した臭化物に起因するリーク電流の増大という問題の発生を回避できる。
また、上述した発明において、変換層を構成する材料は、CdTeまたはCdZnTeのいずれかであることが好ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、放射線を電荷に変換させる変換層を、CdTeまたはCdZnTeを用いて構成させる。そのため、変換層の放射線に対する感度および検出効率を高くすることができる。そのため、製造される二次元放射線検出器において、より高い安定性と信頼性を実現させることが可能となる。
また、上述した発明において、前記阻止層形成工程は、溶液成長法、蒸着法またはスパッタ法のいずれかの方法を用いて行われることが好ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、溶液成長法、蒸着法またはスパッタ法のいずれかの方法を用いて正孔阻止層を形成させる。これらの手法は、大面積を有する正孔阻止層を低コストで容易に形成させることができる手法である。そのため、工程が簡略で実用用途に耐えうる、数十センチ×数十センチの大面積を有する二次元放射線検出器を製造することが可能となる。
また、上述した発明において、前記阻止層形成工程において形成される正孔阻止層を構成する材料は、ZnSまたはCdSのいずれかであることが好ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、正孔阻止層をZnSまたはCdSを用いて構成させる。ZnSやCdSは電子に対する寄与率が高い材料であるので、これらを用いて構成された正孔阻止層は正孔の注入をより好適に阻止することができる。そのため、製造される二次元放射線検出器において、リーク電流の発生をより効率よく抑制させることが可能となる。
また、上述した発明において、前記変換層形成工程は、バイアス電圧印加用の共通電極と、電子の注入を阻止する電子阻止層と、入射された電磁波を電荷に変換する変換層とを積層させて積層体を形成させることが好ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、変換層形成工程において、共通電極に電子阻止層を積層させ、積層された電子阻止層に変換層をさらに積層させる。すなわち、電子阻止層は共通電極と変換層の間に形成される。そのため、電子阻止層は共通電極から変換層への電子の注入を好適に阻止することができる。すなわち、変換層への正孔の注入が正孔阻止層によって阻止されるとともに、変換層への電子の注入が電子阻止層によって阻止される。従って、二次元放射線検出器について、変換層におけるリーク電流の発生をより好適に低減させることが可能となる。
また、上述した発明において、前記酸化物除去工程に用いられる臭素メタノール溶液は、メタノールに対する臭素の含有率が、重量比で0.1%以上10%以下であることが好ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、臭素メタノール溶液は、メタノールに対する臭素の含有率が、重量比で0.1%以上10%以下である場合、酸化物をより好適に分解除去することができる。そのため、酸化物除去工程によって、変換層の表面に形成される酸化物を、より効率よく除去させることが可能となる。
本発明に係る二次元放射線検出器の製造方法によれば、阻止層形成工程を行う前に酸化物除去工程を行うので、変換層の表面に形成される酸化物は酸化物除去工程において除去される。これにより、平坦かつ清浄な変換層の表面に対して正孔阻止層の形成が行われるので、阻止層形成工程において正孔阻止層は均一に成膜される。従って、変換層と正孔阻止層とが,より理想的なヘテロ接合を形成でき,リーク電流低減の効果が理想状態に近づき,効果が増大する。さらに、成膜される正孔阻止層においてピンホールが形成されない。すなわち、変換層へと向かう正孔は、正孔阻止層によって好適に阻止される。さらに、本発明に係る製造方法は溶液成長法などを用いて正孔阻止層を成膜させる際に適用できる。従って、均一に成膜された大面積の正孔阻止層を備え、リーク電流の発生をより効率よく抑制させることのできる二次元放射線検出器を低コストで実現させることが可能となる。
実施例に係る二次元放射線検出器の概略構成を説明する平面図である。 実施例に係る二次元放射線検出器の概略構成を説明する縦断面図である。 実施例に係る二次元放射線検出器の製造方法の工程を説明するフローチャートである。 実施例に係る変換層形成工程において、(a)は電子阻止層の形成後、(b)は変換層の形成後、(c)は変換層の研磨後、における二次元放射線検出器の概略構成を示す縦断面図である。 実施例に係る酸化物除去工程において、(a)は初期状態、(b)は反応防止膜で被覆後、(c)は臭素メタノール浸漬時、における二次元放射線検出器を示す概略図である。 (a)は洗浄工程、(b)は阻止層形成工程における、実施例に係る二次元放射線検出器を示す概略図である。 実施例に係る、貼り合わせ工程における二次元放射線検出器を示す縦断面図である。 実施例に係る二次元放射線検出器の製造方法について、(a)は初期状態、(b)は酸化物除去工程後、(c)は阻止層形成工程後、(d)は貼り合わせ工程後、における二次元放射線検出器を説明する縦断面図である。 臭素メタノール溶液処理の効果を説明する、X線光電子分光スペクトルのグラフ図である。 臭素メタノール溶液処理の効果を説明する、顕微鏡で観察した阻止層表面の写真であり、(a)は従来例、(b)は実施例である。 臭素メタノール溶液処理の効果を説明する、リーク電流の低減率を示すグラフ図である。 従来例に係る二次元放射線検出器に係る概略構成の一例を説明する縦断面図である。 従来例に係る二次元放射線検出器の製造方法の工程を示すフローチャートである。 従来例に係る二次元放射線検出器の製造方法について、(a)は初期状態、(b)はTe酸化物層形成後、(c)は阻止層形成工程後、(d)は貼り合わせ工程後、における二次元放射線検出器を説明する縦断面図である。
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、二次元放射線検出器として、直接変換型のフラットパネル型X線検出器(以下、FPDと略記する)を例にとって説明する。また、以下の説明において、放射線の一例としてX線を用いることとする。
<全体構成の説明>
実施例に係るFPD1は、図1に示すように、X線検出マトリクス3と、ゲートドライバ5と、増幅器7と、AD変換器9とを備えている。このFPD1の後段には、画像処理装置11と、画像表示装置13とが接続される。X線検出マトリクス3は、ゲート配線15を介してゲートドライバ5に接続されており、信号線17を介して増幅器7に接続されている。
X線検出マトリクス3には複数のX線検出画素19が二次元マトリクス状に配列されている。実施例1においては、X線検出画素19が縦4,096×横4,096程度の二次元マトリクス状に配列されているものが用いられる。但し、図1においては、簡略化してX線検出画素19が縦4×横4の二次元マトリクス状に配列されたものを図示している。
ゲートドライバ5は、ゲート配線15を介して、後述するスイッチング素子のオン・オフを制御する。増幅器7は信号線17を介してAD変換器9に接続されている。増幅器7は入力された電気信号を増幅してAD変換器9に出力する。AD変換器9は入力された電気信号について、アナログ信号からデジタル信号に変換し、画像処理装置11に出力する。画像処理装置11はAD変換器9から入力された信号をもとに画像処理を行う。画像表示装置13は画像処理装置11から入力された画像情報を画像として表示する。
次に、図2を用いてFPD1の構成について、さらに具体的に説明する。FPD1は、共通電極21と、変換層23と、画素電極25と、アクティブマトリックス基板27とが、上述した順番に積層された構造を備えている。共通電極21には高電圧のバイアス電圧が印加されており、例えば導電性グラファイト基板で構成される。変換層23は、電磁波情報であるX線を電気情報である電荷に変換するものであり、例えばCdZnTeの多結晶膜で構成されている。画素電極25は、変換層23において変換された電荷を収集する。
アクティブマトリックス基板27にはコンデンサ29と、スイッチング素子31と、出力電極33とが設けられている。画素電極25はコンデンサ29と電気的に接続されている。コンデンサ29はスイッチング素子31を介して出力電極33と電気的に接続されており、変換層23によって変換された電荷を蓄積する。スイッチング素子31は、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられており、コンデンサ29に蓄積された電荷を出力電極33から出力させる。出力電極33は信号線17を介して増幅器7と電気的に接続されており、スイッチング素子31から出力された電荷を増幅器7に入力する。
変換層23とコンデンサ29とは、画素電極25を介して直列に接続された構造となっている。そのため、例えば共通電極21に負のバイアス電圧を印加すると、変換層23において発生した電荷のうち、電子は画素電極25側に移動し、正孔は共通電極21側に移動する。その結果、コンデンサ29に電荷が蓄積される。一方、感度に寄与しない漏れ電荷が変換層23に注入されやすくなっている。つまり、共通電極21に負のバイアス電圧を印加する場合には、共通電極21から変換層23に対して電子が注入されやすくなる。そして、アクティブマトリックス基板27から変換層23に対して、収集電極25を介して正孔が注入されやすくなる。その結果、FPD1において発生するリーク電流が増加する。
そこで、漏れ電荷の注入に起因するリーク電流を低減させるために、本実施例では図2に示すように、共通電極21と変換層23との間に電子阻止層35を設けるとともに、変換層23と画素電極25との間に正孔阻止層37を設けている。電子阻止層35は、共通電極21から変換層23に対する電子の注入を阻止する。そして、正孔阻止層37は、画素電極25から変換層23に対する正孔の注入を阻止する。
このように、電子阻止層35、および正孔阻止層37を設けることによりリーク電流を低減させることができる。電子阻止層35として適した材料としてはZnTeのような多結晶半導体などが挙げられ、正孔阻止層37として適した材料としては、ZnSまたはCdSなどが挙げられる。本発明の実施例では、電子阻止層35を構成させる材料としてZnTeを用い、正孔阻止層37を構成させる材料としてZnSを用いることとする。
<動作の説明>
次に、図2を参照してFPD1の動作について説明する。まず、符号xで示される方向から、被検体を透過したX線がFPD1を構成するX線検出画素19に対して放射される。そして変換層23において、電磁波情報であるX線は電気情報である電荷に変換される。共通電極層21にはバイアス電圧が印加されているので、変換層23において変換された電荷は、発生した電場に誘導されて各々の画素電極25によって収集され、各々のコンデンサ29に蓄積される。
次に、ゲートドライバ5からゲート線15を介して、スイッチング素子31に対して読み出し信号が出力される。スイッチング素子31は出力された読み出し信号に基づいてオフの状態からオンの状態へと移行する。オンの状態となったスイッチング素子31は、各々のコンデンサ29に蓄積された電荷を出力電極33からX線検出信号として出力させる。出力されたX線検出信号は、信号線17を介して増幅器7に入力される。
増幅器7は入力されたX線検出信号を増幅し、増幅された放射線検出信号は、AD変換器9へと入力される。AD変換器9は入力されたX線検出信号をアナログ信号からデジタル信号へと変換させる。そして、X線検出画素19のそれぞれについて得られたデジタル信号は画像処理装置11に対して入力される。画像処理装置11は、入力されたデジタル信号に基づいて画像化を行い、得られた画像情報を画像表示装置13に入力する。画像表示装置13は画像処理装置11から入力された画像情報をもとに、被検体を透過したX線の2次元強度分布に応じたX線透視画像を取得させ、一連の動作は終了する。つまり、本実施例に係るFPD1は、X線の2次元強度分布を検出することができる2次元アレイ型のX線検出器である。
ここで、本実施例に係る二次元放射線検出器の製造方法について、図を用いて説明する。図3は実施例に係る二次元放射線検出器の製造方法の工程を説明するフローチャートである。
ステップS1(変換層形成工程)
まず、図4(a)に示すように、導電性グラファイト基板で構成される共通電極21に対して、ZnTeからなる電子阻止層35を積層形成させる。電子阻止層35の形成には、例えば近接昇華法が用いられる。そして、電子阻止層35が形成された共通電極21に対して、図4(b)に示すように、CdZnTeの多結晶膜からなる変換層23を形成させる。変換層23の形成には、例えば近接昇華法が用いられる。変換層23の形成後、図4(c)に示すように、変換層23の表面に対して平坦化処理を行う。平坦化処理には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などを用いる。平坦化処理を行った時点で変換層形成工程は終了する。なお、変換層形成工程によって形成された、共通電極21、電子阻止層35、および変換層23からなる構成物を積層体39とする。
変換層形成工程において変換層23の表面を研磨させると、研磨させた直後は変換層23の表面は平坦かつ清浄である。しかし、変換層23を構成するCdZnTeは、表面に露出されると、大気中の酸素と反応してTe酸化物を生成する。そのため、図5(a)に示すように、変換層形成工程で形成された積層体39において、研磨された変換層23の研磨表面は速やかにTe酸化物層41で覆われてしまう。
ステップS2(酸化物除去工程)
そこで変換層形成工程の終了後、平坦化処理が行われた変換層23の研磨表面に対して酸化物除去工程を行う。まず図5(b)に示すように、変換層23の研磨表面を除く積層体39の表面を、反応防止膜43で被覆させる。反応防止膜43として、例えばフッ素系樹脂などが用いられる。反応防止膜で被覆させることにより、変換層23の研磨表面を覆うTe酸化物層41のみに対して酸化物除去工程に係る反応を行わせることができる。次に図5(c)に示すように、第1の処理槽45中の臭素メタノール溶液47に積層体39を浸漬させる。臭素メタノール溶液47における臭素の含有率は、重量比にして0.1%以上10%以下である。浸漬を行う規定時間は、例えば2分間である。なお、臭素メタノールの温度は15℃以上18℃以下であることが好ましい。臭素メタノール溶液47に浸漬させることで、変換層23の研磨表面に存在するTe酸化物層41は除去される。積層体39を臭素メタノール溶液47に対して規定時間浸漬させることによって、酸化物除去工程は終了する。
ステップS3(洗浄工程)
酸化物除去工程の終了後、臭素メタノールとの反応によって生成したTeの臭化物が残存している。CdZnTe膜と,正孔阻止層の界面にTe臭化物のような不純物が存在すると,発生するリーク電流がより増大するという問題が発生する。
そこで酸化物除去工程の終了後、洗浄工程を行う。すなわち、積層体39を第1の処理槽45から引き上げ、図6(a)に示すように、第2の処理槽49中のメタノール51に積層体39を規定時間浸漬させる。浸漬を行う規定時間は、例えば30秒間である。なお、メタノール45への浸漬は2回行われる。メタノール45に浸漬させることにより、複合体39の表面に残存する臭素は洗浄され、除去される。積層体Aをメタノール45に対して規定時間浸漬させることによって、酸化物除去工程は終了する。
ステップS4(阻止層形成工程)
阻止層形成工程は、洗浄工程の終了と同時に行われる。すなわち、Te酸化物層41が除去された変換層23の研磨表面に対して、溶液成長法を用いて正孔阻止層37を形成させる。溶液成長法では、溶液の温度が制御可能な循環槽を用いて正孔阻止層37の形成が行われる。図6(b)に示すように、循環槽53中の溶液55を循環させて溶液55の温度を規定の温度を保つように制御させる。そして、メタノールで洗浄した積層体39を循環槽53中の溶液55に浸漬させる。溶液55に積層体39を規定時間浸漬させることにより、溶液55からのZnSの結晶化が開始される。結晶化されたZnSは、変換層23の研磨表面において成長していき、正孔阻止層37として変換層23の研磨表面上に形成されていく。規定時間は例えば60分間である。積層体39を規定時間、溶液55に浸漬させることにより、正孔阻止層37は、例えば200nmの厚さに成膜される。そして、正孔阻止層37が成膜された積層体39を循環槽53から引き上げて反応防止膜43を除き、水洗、および乾燥を行う。積層体39を乾燥させることにより、阻止層形成工程は終了する。なお、阻止層形成工程によって正孔阻止層37が成膜された積層体39を、対向基板57とする。
阻止層形成工程において使用される溶液55の詳細について説明する。溶液55は、アンモニア水1.5モル/リットル、ヒドラジン一水和物4.5モル/リットル、硫酸亜鉛七水和物0.05モル/リットル、およびチオ尿素0.14モル/リットルを混合させたものである。溶液55を作製させるには、まずアンモニア水とヒドラジン一水和物とを混合させ、次に硫酸亜鉛七水和物を溶解させる。そしてこれらを水と混合させ、循環槽53において循環させながら70℃に昇温させる。昇温させた後、少量の水に溶解させたチオ尿素を循環槽53に投入して混合させることにより、溶液55は作製される。
ステップS5(貼り合わせ工程)
阻止層形成工程の終了後、貼り合わせ工程が行われる。すなわち、対向基板57をアクティブマトリックス基板27と貼り合わせる。アクティブマトリックス基板27は図7に示すように、ゲート線15、データ線17、画素電極25、コンデンサ29、スイッチング素子31、および出力電極33などをガラス基板59にパターン形成させることによって構成されている。パターン形成を行う方法として、例えばスクリーン印刷などが用いられる。そして、パターン形成されたアクティブマトリックス基板27の入射側に、阻止層形成工程によって形成された対向基板57を配置し、それぞれ矢印で示す方向から加圧保持させる。加圧保持によって対向基板57とアクティブマトリックス基板27は画素電極25を介して貼り合わされ、FPD1が製造される。
ここで二次元放射線検出器の製造方法について、本実施例と従来例とを比較する。図13は従来例に係る製造方法の工程を示すフローチャートである。
従来例に係る二次元放射線検出器は、図13に示すように、変換層形成工程、阻止層形成工程、および貼り合わせ工程からなる3つの工程によって製造される。すなわち、本実施例に係る製造方法では、図3に示すように、変換層形成工程と阻止層形成工程の間に酸化物除去工程および洗浄工程を行うのに対し、従来例では、酸化物除去工程および洗浄工程を行うことなく、阻止層形成工程を行う。
図14(a)に示すように、変換層形成工程において、変換層23の表面を研磨させると、研磨させた直後は変換層23の表面は平坦かつ清浄である。しかし、変換層23を構成するCdZnTeは表面に露出されると、大気中の酸素と反応してTe酸化物を生成するので、図14(b)に示すように、研磨された変換層23の表面は速やかにTe酸化物層41で覆われてしまう。臭素メタノール溶液は、Te酸化物を除去させる効果を有している。従って、酸化物除去工程において変換層23の表面を臭素メタノール溶液で処理させることにより、変換層23の表面を覆うTe酸化物層41を除去させることができる。
従来例に係る阻止層形成工程では、酸化物除去工程を行うことなく、阻止層形成工程を行う。そのため変換層23を覆うTe酸化物層41は除去されることなく、正孔阻止層37の形成が行われる。すなわち、図14(c)に示すように、変換層23を覆うTe酸化物層41に積層するように正孔阻止層37が成膜される。Te酸化物は変換層23の表面において均一に形成されないので、Te酸化物層41は変換層23の研磨表面を不均一に覆うこととなる。従って、不均一なTe酸化物層41の上に成膜される正孔阻止層37も不均一なものとなる。そのため、図14(d)に示すように、貼り合わせ工程において、正孔阻止層37と画素電極25との間に隙間ができる。従って、対向基板57とアクティブマトリックス基板27との結合は非常に不安定なものとなる。
また従来例に係る二次元放射線検出器は、図14(c)に示すように、成膜される正孔阻止層37にピンホール59が多数発生する。すなわち、発生するピンホール59を介して正孔が変換層23へと注入されるので、従来例の製造方法に係る正孔阻止層37はリーク電流を好適に抑制させることができない。従って、従来例に係る二次元放射線検出器において、リーク電流の発生を抑制させることができない。
一方、本実施例では、図8(a)に示すTe酸化物層41は酸化物除去工程により除去される。そのため、酸化物除去工程により、図8(b)に示すように、変換層23の研磨表面は平坦かつ清浄となる。従って阻止層形成工程において、図8(c)に示すように、再び平坦かつ清浄となった変換層23の研磨表面に対して、溶液成長法による正孔阻止層37の形成が行われる。阻止層形成工程は変換層23を溶液に浸漬させて行われるので、変換層23の表面は酸化されることなく、正孔阻止層37が形成される。正孔阻止層37は平坦かつ清浄な変換層23の研磨表面に形成されるので、ムラなく均一に形成でき,CdZnTeと正孔阻止層37(ZnS)の間で,より理想的なヘテロ接合が形成され,正孔阻止の性質が顕著に現れやすくなる。
さらに、本実施例に係る二次元放射線検出器は、成膜される正孔阻止層において、ピンホールが形成されない。すなわち、画素電極を介して変換層へと向かう正孔は、正孔阻止層によって、より確実にブロックされることとなる。従って、本実施例に係る二次元放射線検出器では、より好適にリーク電流の発生が抑制されることとなる。
最後に、本実施例において得られる効果を具体的に説明する。まず図9は、変換層の研磨表面上におけるTe酸化物を、X線光電子分光スペクトルを用いて検証したグラフである。符号Aおよび符号Cで示されるピークは、Te酸化物である二酸化テルル(TeO2)を示すピークであり、符号Bおよび符号Dで示されるピークは、それぞれ酸化されていないテルル元素(Te)を示すピークである。符号E(濃い実線)で示される、臭素メタノール溶液処理を行わない変換層の研磨表面のスペクトルにおいて、二酸化テルルを示すピークが現れている。一方、符号F(薄い実線)で示される、臭素メタノール溶液処理を行った変換層の研磨表面のスペクトルにおいて、二酸化テルルを示すピークが現れない。従って、臭素メタノール溶液の処理によって、好適にTe酸化物が除去されることが示されている。
また、図10はそれぞれCdZnTe研磨表面に対して溶液成長法による正孔阻止層を成膜させた後、正孔阻止層の表面を顕微鏡で観察したものである。図10(a)は臭素メタノール溶液処理を行っていないCdZnTe、図10(b)は臭素メタノール溶液処理を行ったCdZnTeに対して成膜させた正孔阻止層を示している。図10(a)において正孔阻止層の表面は粗く、また微細な孔が観察される。一方、図10(b)において正孔阻止層の表面は平滑であり、微細な孔は観察されない。従って、酸化物除去工程、すなわち臭素メタノール溶液の処理によって、より平滑で孔のない正孔阻止層が形成されることが示されている。
さらに、図11は従来例と実施例のそれぞれに係る二次元放射線検出器について、リーク電流の低減率を示すグラフである。各々のリーク電流の低減率は、正孔阻止層を有しない二次元放射線検出器において発生するリーク電流と比較することにより算出されている。なお、左の棒グラフは従来例に係る正孔阻止層を有する二次元放射線検出器、右の棒グラフは実施例に係る正孔阻止層を有する二次元放射線検出器におけるリーク電流の低減率を示している。
左の棒グラフで示されるように、従来例に係る正孔阻止層を有する二次元放射線検出器では、リーク電流は2割弱しか低減されない。一方、右の棒グラフで示されるように、本実施例に係る正孔阻止層を有する二次元放射線検出器では、リーク電流の発生を5割以上低減させることが可能である。従って、酸化物除去工程、すなわち臭素メタノール溶液の処理によって、より好適にリーク電流の発生を低減させることが示されている。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、放射線検出器として、X線検出器を例として説明したが、X線以外の放射線、例えばγ線を検出する放射線検出器にも適用できる。
(2)上述した実施例では、阻止層形成工程において、溶液成長法を用いて正孔阻止層37を形成させたが、これに限られない。すなわち、変換層形成工程と阻止層形成工程との間に酸化物除去工程および洗浄工程を行うならば、阻止層形成工程において用いられる手法は蒸着法でもよいし、スパッタ法でもよい。
(3)上述した実施例では、共通電極21と変換層23との間に電子阻止層35を蒸着法によって形成させたが、これに限られない。電子阻止層35を形成させる手法は溶液成長法でもよいし、スパッタ法を用いても良い。また、電子阻止層35を形成させなくともよい。
(4)上述した実施例では、共通電極21を構成させる材料として、導電性グラファイトを用いたが、表面にITO(Indium Tin Oxide)を成膜させたアルミナ基板を用いてもよいし、MgAg合金のような金属を用いてもよい。
(5)上述した実施例では、酸化物除去工程において第1の処理槽45を用い、洗浄工程において第2の処理槽49を用いたが、これら処理槽を循環槽としてもよい。この場合、臭素メタノール溶液、またはメタノールが循環槽内を絶えず循環するので、積層体39に対してより均一な処理を行うことができる。
(6)上述した実施例では、正孔阻止層37を構成させる材料として、ZnSを用いたが、CdSを用いても良い。
(7)上述した実施例では、変換層23を構成させる材料として、CdZnTeを用いたが、CdTeを用いても良い。
1 …FPD
21 …共通電極
23 …変換層
25 …画素電極
27 …アクティブマトリックス基板
35 …電子阻止層
37 …正孔阻止層
39 …積層体
41 …Te酸化物層
57 …対向基板
59 …ガラス基板

Claims (7)

  1. バイアス電圧印加用の共通電極と入射された電磁波を電荷に変換する変換層とを積層させて積層体を形成させる変換層形成工程と、
    前記変換層形成工程の後に、変換層の表面に形成される酸化物を除去させる酸化物除去工程と、
    前記酸化物除去工程の後に、変換層への正孔の注入を阻止する正孔阻止層を、酸化物が除去された変換層の表面に対して積層させて対向基板を形成させる阻止層形成工程と、
    前記阻止層形成工程の後に、対向基板とアクティブマトリックス基板とを貼り合わせる貼り合わせ工程とを備える二次元放射線検出器の製造方法。
  2. 請求項1に記載の二次元放射線検出器の製造方法において、
    前記酸化物除去工程は積層体を臭素メタノール溶液で処理することによって行われ、前記酸化物除去工程の後に積層体をメタノールで洗浄する洗浄工程をさらに備える二次元放射線検出器の製造方法。
  3. 請求項2に記載の二次元放射線検出器の製造方法において、
    前記酸化物除去工程に用いられる臭素メタノール溶液は、メタノールに対する臭素の含有率が、重量比で0.1%以上10%以下である二次元放射線検出器の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の二次元放射線検出器の製造方法において、
    変換層を構成する材料は、CdTeまたはCdZnTeのいずれかである二次元放射線検出器の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の二次元放射線検出器の製造方法において、
    前記阻止層形成工程は、溶液成長法、蒸着法またはスパッタ法のいずれかの方法を用いて行われる二次元放射線検出器の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の二次元放射線検出器の製造方法において、
    前記阻止層形成工程において形成される正孔阻止層を構成する材料は、ZnSまたはCdSのいずれかである二次元放射線検出器の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の二次元放射線検出器の製造方法において、
    前記変換層形成工程は、バイアス電圧印加用の共通電極と、電子の注入を阻止する電子阻止層と、入射された電磁波を電荷に変換する変換層とを積層させて積層体を形成させる二次元放射線検出器の製造方法。
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