JP2007235039A - 放射線検出器の製造方法 - Google Patents

放射線検出器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電荷の注入によるリーク電流を低減させることができ、かつ阻止層を大面積に容易に形成することができる放射線検出器の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】共通電極3と半導体2との間、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間に、半導体2への電荷の注入を阻止する阻止層4,5を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成しているので、電荷の注入によるリーク電流を低減させることができ、かつ阻止層4,5を大面積に容易に形成することができる。
【選択図】図4

Description

この発明は、放射線の入射あるいは放射線の入射で生じた光の入射により電荷を生成する半導体を備えていて、医療分野,工業分野,さらには、原子力分野などに用いられる放射線検出器の製造方法に関する。
放射線(例えばX線)検出器には、放射線(例えばX線)の入射により光を一旦生成して、その光から電荷を生成することで、放射線から電荷に間接的に変換して放射線を検出する「間接変換型」の検出器と、放射線の入射により電荷を生成することで、放射線から電荷に直接的に変換して放射線を検出する「直接変換型」の検出器とがある。なお、放射線感応型の半導体が電荷を生成する。
直接変換型の放射線検出器は、図7に示すように、アクティブマトリックス基板51と、放射線の入射により電荷を生成する放射線感応型の半導体52と、バイアス電圧印加用の共通電極53とを備えている。アクティブマトリックス基板51と半導体52との間には、複数の収集電極61を形成している。そして、アクティブマトリックス基板51は、各収集電極61で収集される電荷の蓄積・読み出し用電気回路62を配設して構成されている。各収集電極61については2次元状マトリックス配列で設定している。
蓄積・読み出し用電気回路62は、コンデンサ62Aやスイッチング素子としてのTFT(薄膜電界効果トランジスタ)62Bおよびバンプ電極62Cなどからなる。一方、半導体52の入射側に共通電極53を面状に形成して積層しており、半導体52および共通電極53は、アクティブマトリックス基板51に対して「対向基板」とも呼ばれている。
この「対向基板」である半導体52および共通電極53と、アクティブマトリックス基板51とを、バンプ電極62Cを介して貼り合わせることで、アクティブマトリックス基板51は入射側に半導体52を積層形成する。具体的には、各収集電極61毎に1個のコンデンサ62Aおよび1個のTFT62Bが、バンプ電極62Cを介して対応付けて接続されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。
放射線検出器によって放射線を検出する際には、バイアス供給電源(図示省略)からバイアス電圧をバイアス電圧印加用の共通電極53に印加する。バイアス電圧を印加した状態で、放射線の入射に伴って放射線感応型の半導体52で電荷を生成する。この生成された電荷を収集電極61で一旦収集する。アクティブマトリックス基板51の蓄積・読み出し用電気回路62によって、収集された電荷を各収集電極61毎の放射線検出信号として取り出す。
2次元状マトリックス配列の各収集電極61は、放射線画像の各画素に対応する電極(画素電極)にそれぞれ対応している。放射線検出信号を取り出すことで、放射線の2次元強度分布に応じた放射線画像を作成することができる。
特開2005−19543号公報(第3頁、図10) 特開2005−12049号公報(第6頁、図1,3) F. glasser 他 Recent developments on a CdTe based X-ray detector for digital radiography(SPIE Medical Imaging 1997 Proc. Vol.3032 p513-519)
しかしながら、感度に寄与しない漏れ電荷(電子−正孔)が半導体52に注入し、リーク電流が増加するので、検出特性の劣化を招く。半導体52への電荷の注入は、それに隣接するアクティブマトリックス基板51や共通電極53からによるものなので、共通電極53と半導体52との間、半導体52と読み出し基板であるアクティブマトリックス基板51との間の少なくともいずれか一方にキャリア選択性の阻止層を設けている。ここで言うキャリア選択性とは半導体中の電荷移動媒体(キャリア)である電子と正孔とで、電荷移動作用への寄与率が著しく異なる性質を指す。
上述した阻止層については、大面積に容易に形成することができる手法が望まれる。上述した特許文献1の場合には、かかる阻止層の形成方法については開示されておらず、上述した特許文献2の場合には、かかる阻止層の形成方法として昇華法、蒸着もしくはスパッタ法、化学析出法、電析法を例示しているものの、具体的な形成方法については開示されていない。なお、化学析出法は「溶液成長法」とも呼ばれている。阻止層の形成方法のうち、特に溶液成長法(化学析出法)や電析法は、阻止層を比較的に大面積に容易に形成することができる。そこで、溶液成長法や電析法の具体的な形成方法が望まれる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電荷の注入によるリーク電流を低減させることができ、かつ阻止層を大面積に容易に形成することができる放射線検出器の製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、放射線の入射あるいは放射線の入射で生じた光の入射により電荷を生成する半導体と、その半導体の前記入射側へ面状に形成されたバイアス電圧印加用の共通電極と、半導体を入射側に積層形成し、生成された電荷を蓄積して読み出す読み出し基板と、共通電極と半導体との間、半導体と読み出し基板との間の少なくともいずれか一方に半導体への電荷の注入を阻止する阻止層とを備えた放射線検出器を製造する製造方法であって、循環槽中の溶液を循環させて溶液の温度を制御して、その溶液から結晶化させて結晶を成長させる溶液成長法、または電解溶液中にアノードおよびカソードを配設して、アノードおよびカソードを用いて通電させた状態でアノードまたはカソードのいずれかに電解溶液からの析出物を堆積させる電析法のいずれかで前記阻止層を形成することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、共通電極と半導体との間、半導体と読み出し基板との間の少なくともいずれか一方に半導体への電荷の注入を阻止する阻止層を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成している。ここで、溶液成長法は、循環槽中の溶液を循環させて溶液の温度を制御して、その溶液から結晶化させて結晶を成長させる方法であって、得られた結晶が阻止層として形成される。また、電析法は、電解溶液中にアノードおよびカソードを配設して、アノードおよびカソードを用いて通電させた状態でアノードまたはカソードのいずれかに電解溶液からの析出物を堆積させる方法であって、得られた析出物が阻止層として形成される。阻止層をかかる溶液成長法または電析法のいずれかで形成することで、阻止層を大面積に容易に形成することができる。このように形成された阻止層によって、電荷の注入によるリーク電流を低減させることができる。
上述した発明において半導体の一例は、放射線の入射により電荷を生成する放射線感応型である。すなわち、半導体を放射線感応型で形成する。半導体が放射線感応型の場合には、放射線検出器は、放射線から電荷に直接的に変換して放射線を検出する「直接変換型」となる。なお、半導体の他の一例は、放射線の入射で生じた光の入射により電荷を生成する光電変換型であってもよい。この場合にはシンチレータなどで放射線の入射により光を一旦生成して、その光から電荷を光電変換型の半導体が生成するので、放射線検出器は、放射線から電荷に間接的に変換して放射線を検出する「間接変換型」となる。
かかる「直接変換型」の検出器で用いられる放射線感応型の半導体の場合には、化合物半導体で形成する。特に、その化合物半導体を、CdTe,もしくはCdZnTeで形成するのが好ましい。CdTe,もしくはCdZnTeで放射線感応型の半導体を形成することで、感度や検出効率が高く、安定性・信頼性の高い放射線検出器の製造が可能になる。
この発明に係る放射線検出器の製造方法によれば、共通電極と半導体との間、半導体と読み出し基板との間の少なくともいずれか一方に半導体への電荷の注入を阻止する阻止層を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成しているので、電荷の注入によるリーク電流を低減させることができ、かつ阻止層を大面積に容易に形成することができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係る直接変換型のフラットパネル型X線検出器(以下、適宜「FPD」と略記する)の概略断面図であり、図2は、フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の等価回路を示すブロック図であり、図3は、フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の概略断面図である。本実施例では、放射線検出器としてフラットパネル型X線検出器(FPD)を例に採って説明する。
本実施例に係るFPDは、図1に示すように、アクティブマトリックス基板1と、放射線(実施例ではX線)の入射により電荷を生成する放射線感応型の半導体2と、バイアス電圧印加用の共通電極3とを備えている。アクティブマトリックス基板1と半導体2との間には、複数の収集電極11を形成している。そして、アクティブマトリックス基板1は、各収集電極11で収集される電荷の蓄積・読み出し用電気回路12を配設して構成されている。各収集電極11については2次元状マトリックス配列で設定している。アクティブマトリックス基板1は、この発明における読み出し基板に相当し、放射線感応型の半導体2は、この発明における半導体に相当し、バイアス電圧印加用の共通電極3は、この発明におけるバイアス電圧印加用の共通電極に相当する。
図2、図3に示すように、蓄積・読み出し用電気回路12は、コンデンサ12Aやスイッチング素子としてのTFT(薄膜電界効果トランジスタ)12Bおよびバンプ電極12C(図1を参照)からなるとともに、ゲート線12aおよびデータ線12bなどからなる。一方、半導体2および共通電極3は、アクティブマトリックス基板1に対して「対向基板」とも呼ばれている。
図1に示すように、この「対向基板」である半導体2および共通電極3と、アクティブマトリックス基板1とを、バンプ電極12Cを介して貼り合わせることで、アクティブマトリックス基板1は入射側に半導体2を積層形成する。具体的には、各収集電極11毎に1個のコンデンサ12Aおよび1個のTFT12Bが、バンプ電極12Cを介して対応付けて接続されている。
また、図3に示すように、アクティブマトリックス基板1の蓄積・読み出し用電気回路12の周囲にはゲートドライバ13と電荷電圧変換型増幅器14とマルチプレクサ15とA/D変換器16とを配設して接続している。これらのゲートドライバ13、電荷電圧変換型増幅器14、マルチプレクサ15、A/D変換器16は、アクティブマトリックス基板1とは別基板で接続されている。なお、ゲートドライバ13、電荷電圧変換型増幅器14、マルチプレクサ15、A/D変換器16の一部または全部を、アクティブマトリックス基板1に内蔵してもよい。
FPDによってX線を検出する際には、バイアス供給電源(図示省略)からバイアス電圧をバイアス電圧印加用の共通電極3に印加する。バイアス電圧を印加した状態で、放射線(実施例ではX線)の入射に伴って放射線感応型の半導体2で電荷を生成する。この生成された電荷を収集電極11で一旦収集する。蓄積・読み出し用電気回路12によって、収集された電荷を各収集電極11毎の放射線検出信号(実施例ではX線検出信号)として取り出す。
具体的には、収集電極11で収集された電荷がコンデンサ12Aに一旦蓄積される。そして、ゲートドライバ13からゲート線12aを介して読み出し信号を各TFT12Bのゲートに順に与える。読み出し信号を与えることで、読み出し信号が与えられたTFT12BがOFFからONに移行する。その移行したTFT12Bのソースに接続されたデータ線12bがマルチプレクサ15によって順に切り換え接続されるのにしたがって、コンデンサ12Aに蓄積された電荷を、TFT12Bからデータ線12bを介して読み出す。読み出された電荷を電荷電圧変換型増幅器14で増幅して、マルチプレクサ15によって各収集電極11毎の放射線検出信号(実施例ではX線検出信号)としてA/D変換器16に送り出してアナログ値からディジタル値に変換する。
例えば、FPDをX線透視撮影装置に備えた場合には、X線検出信号を後段の画像処理回路に送り込んで、画像処理を行って2次元X線透視画像等を出力する。2次元状マトリックス配列の各収集電極11は、放射線画像(ここでは2次元X線透視画像)の各画素に対応する電極(画素電極)にそれぞれ対応している。放射線検出信号(実施例ではX線検出信号)を取り出すことで、放射線の2次元強度分布に応じた放射線画像(ここでは2次元X線透視画像)を作成することができる。つまり、本実施例に係るFPDは、放射線(実施例ではX線)の2次元強度分布を検出することができる2次元アレイタイプの放射線検出器である。
なお、電荷は一対の電子−正孔からなる。半導体2とコンデンサ12Aとは、バンプ電極12Cを介して直列に接続された構造になっているので、例えば共通電極3に負のバイアス電圧(−Vh)を印加すると、半導体2内で発生した電荷のうち、電子はバンプ電極12C側に、正孔は共通電極3側に移動する。その結果、コンデンサ12Aに電荷が蓄積される。一方で、感度に寄与しない漏れ電荷が半導体2に注入され易くなっており、共通電極3に負のバイアス電圧を印加する場合には、共通電極3から半導体2へ電子が注入され易くなって、アクティブマトリックス基板1からバンプ電極12Cを介して半導体2へ正孔が注入され易くなっている。その結果、リーク電流が増加する。
そこで、電荷の注入によるリーク電流を低減させるために、本実施例では、図1に示すように、共通電極3と半導体2との間にキャリア選択性の阻止層4を形成するとともに、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間にキャリア選択性の阻止層5を形成している。共通電極3に負のバイアス電圧を印加する場合には、阻止層4は、共通電極3からの電子の注入を阻止する電子阻止層として機能するとともに、阻止層5は、アクティブマトリックス基板1からの正孔の注入を阻止する正孔阻止層として機能する。キャリア選択性の阻止層4,5は、この発明における阻止層に相当する。
このように、キャリア選択性の阻止層4,5を設けることによりリーク電流を低減させることができる。ここで言うキャリア選択性とは半導体中の電荷移動媒体(キャリア)である電子と正孔とで、電荷移動作用への寄与率が著しく異なる性質を指す。
半導体2とキャリア選択性の阻止層4,5との組み合わせ方としては、次のような態様が挙げられる。共通電極3に正のバイアス電圧を印加する場合には、阻止層4に電子の寄与率が大きい材料を使用する。これにより共通電極3からの正孔の注入が阻止され、リーク電流を低減させることができる。阻止層5には正孔の寄与率が大きい材料を使用する。これによりアクティブマトリックス基板1からの電子の注入が阻止され、リーク電流を低減させることができる。
逆に、共通電極3に負のバイアス電圧を印加する場合には、阻止層4に正孔の寄与率が大きい材料を使用する。上述したように、これにより共通電極3からの電子の注入が阻止され、リーク電流を低減させることができる。阻止層5には電子の寄与率が大きい材料を使用する。上述したように、これによりアクティブマトリックス基板1からの正孔の注入が阻止され、リーク電流を低減させることができる。
阻止層4,5に用いられる半導体のうち、電子の寄与が大きいものとして、n型半導体であるCeO2 ,CdS,CdSe,ZnSe,ZnSのような多結晶半導体や、アルカリ金属やAsやTeをドープして正孔の寄与率を低下させたアモルファスSe等のアモルファス体が挙げられる。
また、正孔の寄与が大きいものとして、p型半導体であるZnTeのような多結晶半導体や、ハロゲンをドープして電子の寄与率を低下させたアモルファスSe等のアモルファス体が挙げられる。
さらに、Sb2 3 ,CdTe,CdZnTe,PbI2 ,HgI2 ,TlBrや、ノンドープのアモルファスSeまたはSe化合物の場合、電子の寄与が大きいものと正孔の寄与が大きいもとの両方がある。これらの場合、製膜条件の調節で電子の寄与が大きいものでも、正孔の寄与が大きいものでも、選択形成することができる。
本実施例のように、共通電極3に負のバイアス電圧を印加する場合には、共通電極3からの電子の注入を阻止する電子阻止層として阻止層4を機能させるために、正孔の寄与率が大きいZnTeで阻止層4を形成するとともに、アクティブマトリックス基板1からの正孔の注入を阻止する正孔阻止層として阻止層5を機能させるために、電子の寄与が大きいZnSで阻止層5を形成する。
アクティブマトリックス基板1は、図1に示すように、上述したコンデンサ12AやTFT12Bやゲート線12a(図2、図3を参照)やデータ線12b(図2、図3を参照)をガラス基板1aにスクリーン印刷等でパターン形成し、バンプ電極12Cをガラス基板1aにスクリーン印刷やスタッドバンプ工程により形成して構成されている。ガラス基板1aの厚さは、例えば0.5mm〜1.5mm程度である。
半導体2の厚さは、通常、0.5mm〜1.5mm前後の厚膜(本実施例では約0.5mm)であり、面積は、例えば縦20cm〜50cm×横20cm〜50cm程度のものである。放射線感応型の半導体2は、高純度アモルファスセレン(a−Se),Na等のアルカリ金属やCl等のハロゲンもしくはAsやTeをドープしたセレンおよびセレン化合物のアモルファス半導体,CdTe,CdZnTe,PbI2 ,HgI2 ,TlBr等の非セレン系多結晶半導体のうちのいずれかであるのが好ましく、化合物半導体で形成するのがより好ましい。特に、CdTe,もしくはCdZnTeで放射線感応型の半導体2を形成することで、感度や検出効率が高く、安定性・信頼性の高いFPDの製造が可能になる。
AlやMgAgなどの金属で共通電極3を形成する場合には、共通電極3の厚さは0.1μm程度の薄膜である。また、導電性を有するカーボンからなるグラファイト基板や、表面にITO(透明電極)などの電極を成膜したアルミナ基板などの電極基板で共通電極3を形成する場合には、共通電極3の厚さは2mm程度の厚膜である。
次に、FPDの製造方法について説明する。アクティブマトリックス基板1側では、上述したように、コンデンサ12AやTFT12Bやゲート線12aやデータ線12bをガラス基板1aにスクリーン印刷等でパターン形成し、バンプ電極12Cをガラス基板1aにスクリーン印刷やスタッドバンプ工程により形成して、アクティブマトリックス基板1を構成する。
一方の対向基板側では、以下のように形成する。すなわち、AlやMgAgなどの金属で共通電極3を形成する場合には、共通電極3の形成前に、半導体2の共通電極3側に阻止層4を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成するとともに、半導体2のアクティブマトリックス基板1側に阻止層5を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成する。そして、共通電極3を蒸着によって積層形成する。一方、電極基板で共通電極3を形成する場合には、電極基板である共通電極3の半導体2側に阻止層4を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成した後に、その阻止層4上に半導体2を蒸着によって積層形成する。そして、半導体2のアクティブマトリックス基板1側に阻止層5を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成する。
溶液成長法について図4を参照して説明する。なお、電極基板で共通電極3を形成した場合で、共通電極3にZnTeで阻止層4を形成して、阻止層4にCdTeもしくはCdZnTeで半導体2を形成したものに対して、ZnSで阻止層5を溶液成長法によって形成する場合を例に採って説明する。溶液成長法では、溶液の温度が制御可能な循環層にて行う。図4に示すように、循環槽21中の溶液22を循環させて溶液の温度を制御して、その溶液22から結晶化させて結晶を成長させる。すると、得られた結晶が阻止層5として形成される。
使用する溶液22は、アンモニア水1.5モル/リットル、ヒドラジン−水和物4.5モル/リットル、硫酸亜鉛七水和物0.05モル/リットル、チオ尿素0.14モル/リットルを混合したものである。先ず、アンモニア水とヒドラジン−水和物とを混合し、これに硫酸亜鉛七水和物を溶解させる。これと水とを混合し、循環層21にて循環させながら溶液を70℃に昇温する。次に、少量の水に溶解したチオ尿素を循環層21に混合して、グラファイト基板(共通電極3)・ZnTe(阻止層4)の積層物にCdTeもしくはCdZnTe(半導体2)が成膜されたものを循環槽21に投下して溶液22に浸漬させる。70℃に昇温した状態で60分間成膜して、その後水洗、乾燥を行う。成膜したZnS膜(阻止層5)の厚さは、約200nm、抵抗率は1011Ω・cm台である。
電析法について説明する。阻止層4,5を形成するための電解溶液中に、正電圧を印加するためのアノード、および負電圧を印加するためのカソードを配設する。アノードおよびカソードを用いて通電させた状態でアノードまたはカソードのいずれかに電解溶液からの析出物を堆積させる。すると、得られた析出物が阻止層4,5として形成される。なお、阻止層4,5を形成する物質が正イオンならカソードを半導体2に取り付けて、阻止層4,5を形成する物質が負イオンならアノードを半導体2や共通電極3に取り付けて、半導体2や共通電極3に析出物である阻止層4,5を堆積させる。
パターン形成等が行われたアクティブマトリックス基板1上の入射側に、阻止層4,5を含んだ半導体2および共通電極3からなる対向基板を配置して加圧保持する。これによって、阻止層4,5を含んだ半導体2および共通電極3とアクティブマトリックス基板1とを貼り合わせてFPDを製造する。
上述した本実施例に係るFPDの製造方法によれば、共通電極3と半導体2との間に形成された阻止層4、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間に形成された阻止層5を、溶液成長法または電析法のいずれかで形成している。
ここで、溶液成長法は、循環槽21中の溶液22を循環させて溶液22の温度を制御して、その溶液22から結晶化させて結晶を成長させる方法であって、得られた結晶が阻止層4,5として形成される。また、電析法は、電解溶液中にアノードおよびカソードを配設して、アノードおよびカソードを用いて通電させた状態でアノードまたはカソードのいずれかに電解溶液からの析出物を堆積させる方法であって、得られた析出物が阻止層4,5として形成される。阻止層4,5をかかる溶液成長法または電析法のいずれかで形成することで、阻止層4,5を大面積に容易に形成することができる。このように形成された阻止層4,5によって、電荷の注入によるリーク電流を低減させることができる。
また、リーク電流を抑えることで、半導体2で生成された電荷の漏れや拡がりを抑えることができて、生成位置に近い素子別に収集することができて、検出感度・空間分解能が向上するという効果をも奏する。また、阻止層4,5を溶液成長法または電析法のいずれかで形成しているので、阻止層4,5を大面積に容易に形成することができる他に、低コストで均一でピンホールのない高品質の阻止層4,5を形成することができるという効果をも奏する。そして、工程が簡略で実用用途に必要な数十cm角のFPDが製造可能になる。
本実施例では、放射線(実施例ではX線)の入射により電荷を生成する放射線感応型で半導体2を形成している。半導体2が放射線感応型の場合には、放射線検出器(実施例ではフラットパネル型X線検出器(FPD))は、放射線から電荷に直接的に変換して放射線を検出する「直接変換型」となる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、直接変換型であったが、間接変換型にも適用できる。この場合には、半導体を、放射線の入射で生じた光の入射により電荷を生成する光電変換型(例えばフォトダイオード)で形成する。フォトダイオードの入射面にはシンチレータを積層形成してFPDを構成する。この場合にはシンチレータなどで放射線の入射により光を一旦生成して、その光から電荷をフォトダイオードが生成するので、FPDは、放射線から電荷に間接的に変換して放射線を検出する「間接変換型」となる。
(2)上述した実施例では、フラットパネル型X線検出器に代表される放射線検出器は、2次元アレイタイプであったが、この発明の放射線検出器は、収集電極が1次元状マトリックス配列で形成されている1次元アレイタイプでもよいし、放射線検出信号取り出し用の電極が1個だけの非アレイタイプでもよい。
(3)上述した実施例では、放射線検出器としてX線検出器を例に採って説明したが、X線以外の放射線(例えばガンマ線)を検出する放射線検出器(例えばガンマ線検出器)にも適用できる。
(4)上述した実施例では、負のバイアス電圧を共通電極3に印加して、阻止層4を電子阻止層として機能させ、阻止層5を正孔阻止層として機能させたが、正のバイアス電圧を印加する場合には、阻止層4を正孔阻止層として機能させ、阻止層5を電子阻止層として機能させるように阻止層4,5の材料を選択すればよい。
(5)上述した実施例では、共通電極3と半導体2との間に阻止層4を形成するとともに、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間に阻止層5を形成したが、共通電極3と半導体2との間、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間の少なくともいずれか一方に半導体2への電荷の注入を阻止する阻止層を備えれば、阻止層4,5の形態については特に限定されない。例えば、共通電極3と半導体2との間に阻止層4を形成せずに、図5に示すように、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間に阻止層5のみを形成してもよいし、半導体2とアクティブマトリックス基板1との間に阻止層5せずに、図6に示すように、共通電極3と半導体2との間に阻止層4のみを形成してもよい。
(6)上述した実施例では、読み出し基板に相当するアクティブマトリックス基板1と対向基板(半導体2および共通電極3)とをバンプ電極12Cを介して貼り合わせた構造であったが、アクティブマトリックス基板1上に、阻止層5、半導体2、阻止層4、共通電極3と順に積層する構造であってもよい。この場合には、収集電極11もガラス基板1a上にパターン形成して、アクティブマトリックス基板1として構成すればよい。
実施例に係る直接変換型のフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の等価回路を示すブロック図である。 フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の概略断面図である。 溶液成長法での阻止層の形成を模式的に表した図である。 変形例に係る直接変換型のフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 さらなる変形例に係る直接変換型のフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 従来の放射線検出器の概略断面図である。
符号の説明
1 … アクティブマトリックス基板
2 … (放射線感応型の)半導体
3 … (バイアス電圧印加用の)共通電極
4、5 … (キャリア選択性の)阻止層
21 … 循環層
22 … 溶液

Claims (4)

  1. 放射線の入射あるいは放射線の入射で生じた光の入射により電荷を生成する半導体と、その半導体の前記入射側へ面状に形成されたバイアス電圧印加用の共通電極と、半導体を入射側に積層形成し、生成された電荷を蓄積して読み出す読み出し基板と、共通電極と半導体との間、半導体と読み出し基板との間の少なくともいずれか一方に半導体への電荷の注入を阻止する阻止層とを備えた放射線検出器を製造する製造方法であって、循環槽中の溶液を循環させて溶液の温度を制御して、その溶液から結晶化させて結晶を成長させる溶液成長法、または電解溶液中にアノードおよびカソードを配設して、アノードおよびカソードを用いて通電させた状態でアノードまたはカソードのいずれかに電解溶液からの析出物を堆積させる電析法のいずれかで前記阻止層を形成することを特徴とする放射線検出器の製造方法。
  2. 請求項1に記載の放射線検出器の製造方法において、前記半導体を、放射線の入射により電荷を生成する放射線感応型で形成することを特徴とする放射線検出器の製造方法。
  3. 請求項2に記載の放射線検出器の製造方法において、前記放射線感応型の半導体を化合物半導体で形成することを特徴とする放射線検出器の製造方法。
  4. 請求項3に記載の放射線検出器の製造方法において、前記化合物半導体を、CdTe,もしくはCdZnTeで形成することを特徴とする放射線検出器の製造方法。

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