JP2015022072A - 硬化性組成物及び波長変換基板 - Google Patents

硬化性組成物及び波長変換基板 Download PDF

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Abstract

【課題】フォトリソグラフィー法により形成可能で、発光量子収率が高い波長変換フィルタを製造するための硬化性組成物の提供。【解決手段】重合性不飽和二重結合を有する化合物、ペリレン骨格を有する発光物質、及び光重合開始剤を含有し、前記光重合開始剤が、前記化合物を重合させると共に、前記発光物質同士の相互作用を阻害することを特徴とする硬化性組成物;かかる硬化性組成物を基板上に塗工し、硬化させてなる硬化物を波長変換フィルタとして備えたことを特徴とする波長変換基板。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、及び該硬化性組成物を用いた波長変換基板に関する。
自発光型ディスプレイのフルカラー化方式の一つとして、発光物質により青色光を吸収して、緑色光及び赤色光に変換する波長変換方式があり、この方式は、画像の高精細化と低消費電力化の両立が期待されている。波長変換方式では、波長変換基板において、発光物質を含む波長変換フィルタの高精細なパターニングが必要とされ、例えば、L/S=13μm/5μm程度のラインアンドスペースパターンを形成できることが求められる。このような高精細なパターニングは、印刷法やマスク蒸着法では困難であり、フォトリソグラフィー法が通常適用される。
フォトリソグラフィー法では、重合性不飽和二重結合を有する化合物である、モノマー、オリゴマー又はプレポリマー(重合性化合物)と、光重合開始剤と、発光物質とが配合されてなる硬化性組成物(波長変換フィルタ形成用組成物)を用い、重合性化合物を硬化させる(ポリマーを形成する)ことで、波長変換フィルタを形成する(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−031881号公報
しかし、特許文献1で開示されている波長変換フィルタでは、発光物質の発光が阻害されて、発光量子収率が低下してしまうという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フォトリソグラフィー法により形成可能で、発光量子収率が高い波長変換フィルタを製造するための硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明は重合性不飽和二重結合を有する化合物、ペリレン骨格を有する発光物質、及び光重合開始剤を含有し、前記光重合開始剤が、前記化合物を重合させると共に、前記発光物質同士の相互作用を阻害することを特徴とする硬化性組成物を提供する。
本発明の硬化性組成物においては、前記光重合開始剤が、立体障害を有するものであるか、又はπ電子雲が縮小された芳香環を有するものであることが好ましい。
本発明の硬化性組成物においては、前記光重合開始剤が、下記(i)〜(iv)からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
(i)ベンゾイル骨格中のベンゼン環骨格に結合しているカルボニル基を構成する炭素原子に、脂肪族基を構成する炭素原子が結合してなる光重合開始剤。
(ii)ベンゾイル骨格中のベンゼン環骨格に結合しているカルボニル基を構成する炭素原子に、酸素原子と結合した酸化数5のリン原子を有する基の前記リン原子が結合してなる光重合開始剤。
(iii)ベンゾフェノン骨格を有し、カルボニル基が結合しているベンゼン環骨格に、窒素原子を有する基の前記窒素原子が結合していない光重合開始剤。
(iv)チオキサンテン−9−オン骨格を有する光重合開始剤。
また、本発明は、上記本発明の硬化性組成物を基板上に塗工し、硬化させてなる硬化物を波長変換フィルタとして備えたことを特徴とする波長変換基板を提供する。
本発明によれば、フォトリソグラフィー法により形成可能で、発光量子収率が高い波長変換フィルタを製造するための硬化性組成物が提供される。
光重合開始剤の立体構造の例を示す図であり、(a)は1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの、(b)はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド)の、それぞれの立体構造を示す図である。 光重合開始剤の立体構造及び電子雲の例を示す図であり、(a)はベンゾフェノンの、(b)はチオキサンテン−9−オンの、それぞれの立体構造及び電子雲を示す図である。 光重合開始剤の立体構造及び電子雲の例を示す図であり、(a)は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの、(b)は4−ジメチルアミノベンゾフェノンの、それぞれの立体構造及び電子雲を示す図である。 本発明に係る波長変換基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る波長変換基板の製造方法の一例を説明するための断面図である。 有機ELディスプレイの一実施形態を模式的に示す断面図である。 有機ELディスプレイの製造方法の一例を説明するための断面図である。 実施例1〜4、比較例1及び参考例1における組成物(硬化性組成物)の外部量子収率の算出結果を示すグラフである。 参考例2〜7における組成物の外部量子収率の算出結果を示すグラフである。
<硬化性組成物>
本発明に係る硬化性組成物は、重合性不飽和二重結合を有する化合物(以下、「重合性化合物」と略記することがある)、ペリレン骨格を有する発光物質(以下、「ペリレン系発光物質」と略記することがある)、及び光重合開始剤を含有し、前記光重合開始剤が、前記化合物(重合性化合物)を重合させると共に、前記発光物質(ペリレン系発光物質)同士の相互作用を阻害することを特徴とする。
かかる硬化性組成物は、フォトリソグラフィー法により波長変換フィルタを製造できるものであり、特定の発光物質と光重合開始剤とを併用することで、発光量子収率が高い波長変換フィルタを製造できる。そして、かかる波長変換フィルタを用いることで、特性が良好な波長変換基板が得られる。
前記重合性化合物は、重合性不飽和二重結合を有するものであればよく、モノマー、オリゴマー及びプレポリマー等のいずれでもよく、公知のものが使用できる。好ましい前記重合性化合物としては、(メタ)アクリル樹脂を形成可能なものが例示できる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を意味するものとする。
前記重合性化合物は一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記硬化性組成物において、前記重合性化合物、ペリレン系発光物質及び光重合開始剤の総含有量に占める前記重合性化合物の含有量は、80〜99質量%であることが好ましく、90〜99質量%であることがより好ましく、95〜99質量%であることが特に好ましい。
前記ペリレン系発光物質は、ペリレン骨格を有するものであればよい。ここで、「ペリレン骨格を有する」とは、ペリレンであるか、又はペリレンにおいて、1個以上の水素原子や水素原子以外の基が、他の基(置換基)で置換された構造を有することを意味し、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基が2個以上である場合には、これら置換基が相互に結合してこれら置換基がそれぞれ結合している基と共に環を形成していてもよい。すなわち、ペリレン骨格を有するとは、ペリレン又はその誘導体であることを意味し、一例を挙げると、ペリレン誘導体としては、ルモゲンイエロー083(Lumogen Yellow083)等の、4,10−ジシアノペリレン−3,9−ジカルボン酸のジアルキルエステル;3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド;ルモゲンレッド305(Lumogene Red305)等の、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミドの窒素原子に結合している水素原子がさらに他の基で置換されたものが例示できる。ここで、ルモゲンイエロー083、ルモゲンレッド305の吸収波長及び発光波長を表1に例示する。ここで「吸収波長」とは、各発光物質の光の吸収強度が極大となる波長を意味し、「発光波長」とは、各発光物質の発光強度が最大となる波長を意味する。後述する波長変換フィルタにおいては、前記発光物質が前記吸収波長の光を吸収し、前記発光波長で発光することにより、波長変換がなされる。
前記ペリレン系発光物質は一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記硬化性組成物において、前記重合性化合物、ペリレン系発光物質及び光重合開始剤の総含有量に占める前記ペリレン系発光物質の含有量は、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.001〜0.5質量%であることがより好ましく、0.001〜0.3質量%であることが特に好ましい。
前記光重合開始剤は、重合性化合物を重合させると共に、ペリレン系発光物質同士の相互作用を阻害するものである。ここで、「ペリレン系発光物質同士の相互作用」とは、ペリレン系発光物質同士がこれら自身によって、又は他の成分の影響により、互いに接近して、発光中心が近くなることを意味する。発光物質同士の発光中心が近くなることにより、これら発光物質は発光量子収率(発光効率)が低下する。したがって、本発明における前記光重合開始剤は、ペリレン系発光物質同士の発光中心の接近を阻害するものである。
発光物質同士の発光中心が近くなることにより、これら発光物質の発光量子収率が低下するのは、例えば、芳香環を有する発光物質の場合には、π電子雲の相互作用により発光物質同士がスタッキングするからであると推測される。したがって、発光物質のスタッキングを抑制する光重合開始剤は、本発明で用いるものとして好適であると考えられる。このような光重合開始剤としては、立体障害を有するもの(嵩高い基を有するもの、平面性が低い構造を有するもの)、π電子雲が縮小された芳香環を有するものが例示できる。
前記光重合開始剤のうち、立体障害を有する光重合開始剤とは、ペリレン系発光物質間に位置して、その立体障害が大きい構造によって、ペリレン系発光物質同士の相互作用を阻害するものであり、嵩高い基を有するか、又は平面性が低い構造を有することで、三次元的にかさばる構造を有するものが例示できる。
また、前記光重合開始剤のうち、π電子雲が縮小された芳香環を有する光重合開始剤とは、大き過ぎない適度な大きさのπ電子雲を有し、ペリレン系発光物質とスタッキングすることによって、ペリレン系発光物質同士の相互作用(スタッキング)を阻害するものである。ここで、「π電子雲が縮小された」とは、ベンゼン(C)よりもπ電子雲の存在領域が狭いことを意味する。π電子雲が縮小された芳香環とは、通常、π電子雲を狭めるような作用を有する基を芳香環の特定の位置に有するものである。
好ましい前記光重合開始剤として、より具体的には、下記(i)〜(iv)のものが例示できる。
(i)ベンゾイル骨格中のベンゼン環骨格に結合しているカルボニル基(−C(=O)−)を構成する炭素原子に、脂肪族基を構成する炭素原子が結合してなる光重合開始剤(脂肪族炭素結合型開始剤)。
(ii)ベンゾイル骨格中のベンゼン環骨格に結合しているカルボニル基(−C(=O)−)を構成する炭素原子に、酸素原子と結合した酸化数5のリン原子を有する基の前記リン原子が結合してなる光重合開始剤(ホスフィンオキサイド系開始剤)。
(iii)ベンゾフェノン骨格を有し、カルボニル基が結合しているベンゼン環骨格に、窒素原子を有する基の前記窒素原子が結合していない光重合開始剤(窒素非結合型ベンゾフェノン系開始剤)。
(iv)チオキサンテン−9−オン骨格を有する光重合開始剤(チオキサンテン−9−オン系開始剤)。
上記の(i)及び(ii)の光重合開始剤は、1個の分子が光照射により、下記式(r1)で示すように、ベンゾイル骨格中のカルボニル基を構成する炭素原子と、該炭素原子に結合している、前記ベンゾイル骨格とは異なる側の基中の原子(すなわち、前記ベンゾイル骨格とは異なる側における、前記カルボニル骨格を構成する炭素原子に対してα位の原子)と、の間で開裂して、2個のラジカル種を生成する。なお、式(r1)では、光重合開始剤が脂肪族炭素結合型開始剤の1種である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである場合の光照射による開裂について例示しているが、他の脂肪族炭素結合型開始剤、ホスフィンオキサイド系開始剤の場合も同様に、光照射によって開裂し、2個のラジカル種を生成する。そして、一分子中に開裂箇所が2箇所以上ある場合には、それぞれの箇所で同様に開裂して、3個以上のラジカル種を生成する。
生成したこれらラジカル種は、さらに前記重合性化合物を重合させる。そこで、これら光重合開始剤は、α開裂型開始剤と呼ばれる。具体的なα開裂型開始剤と、その開裂部位を、後ほど示す。このようなα開裂型開始剤において、ベンゾイル骨格と、前記脂肪族基を構成する炭素原子、又は前記酸化数5のリン原子とは、ラジカル種の生成に必須である。また、(i)及び(ii)の光重合開始剤は、立体障害を有するものに分類できる。なお、本明細書で「ベンゾイル骨格」とは、上記の「ペリレン骨格」の場合と同様に、ベンゾイル基(−C(=O)−C)か、又はベンゾイル基において、1個以上の水素原子や水素原子以外の基が、他の基(置換基)で置換された構造を意味し、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基が2個以上である場合には、これら置換基が相互に結合してこれら置換基がそれぞれ結合している基と共に環を形成していてもよい。「ベンゼン環骨格」も同様である。
(i)の光重合開始剤で好ましいものとしては、下記一般式(2)−101〜(2)−108で表されるものが例示できる。
(式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、アミノ基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子であり、一分子中に複数個のRが存在する場合、これら複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアラルキル基であり、一分子中に複数個のR又はRが存在する場合、これら複数個のR又はRは互いに同一でも異なっていてもよく、一分子中に複数個のR又はRが存在する場合、これら複数個のR又はRは相互に結合して、環を形成していてもよく;Xはアルキレン基であり;nは0〜5の整数であり、一分子中に複数個のnが存在する場合、これら複数個のnは互いに同一でも異なっていてもよく;点線(----)は開裂部位である。)
式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、アミノ基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子である。
におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、前記アルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基が例示できる。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜15であることが好ましく、該アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示でき、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、Rにおける直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。
におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、シクロプロポキシ基等、Rにおける前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示でき、炭素数が1〜15であることが好ましい。
におけるアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜30であることが好ましく、6〜15であることがより好ましい。なかでも、好ましいものとしては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示でき、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、Rにおける前記アルキル基で置換されたものも例示できる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜30であることが好ましい。
におけるヘテロ環式基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。
前記ヘテロ環式基において、環骨格を構成するヘテロ原子の種類は、特に限定されないが、好ましいものとしては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が例示できる。
前記ヘテロ環式基において、環骨格を構成するヘテロ原子の数は、特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これらヘテロ原子の種類は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ヘテロ環式基で好ましいものとしては、モルホリン−4−イル基(O(CHCHN−)が例示できる。
におけるスルフィド基は、一価の有機基が硫黄原子に結合してなる一価の基であり、好ましいものとしては、アルキルチオ基、アリールチオ基が例示できる。そして、アルキルチオ基を構成するアルキル基(前記一価の有機基であるアルキル基)、アリールチオ基を構成するアリール基(前記一価の有機基であるアリール基)としては、Rにおける前記アルキル基、アリール基と同様のものが例示できる。
におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
一分子中に複数個のRが存在する場合、これら複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、一分子中の複数個のRは、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ異なっていてもよい。
式中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアラルキル基である。
及びRにおけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、前記アルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。R及びRにおけるアルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
及びRにおけるアラルキル基は、アルキル基の1個の水素原子がアリール基で置換されてなる一価の基であり、前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。また、アルキル基の1個の水素原子が置換される前記アリール基としては、Rにおける前記アリール基と同様のものが例示できる。
一分子中に複数個のR又はRが存在する場合、これら複数個のR又はRは互いに同一でも異なっていてもよい。
また、一分子中に複数個のR又はRが存在する場合、これら複数個のR又はRは相互に結合して、これらR又はRが結合している基と共に、環を形成していてもよい。
式中、Xはアルキレン基であり、Rにおける前記アルキル基から1個の水素原子を除いてなる二価の基が例示できる。
式中、nは0〜5の整数であり、0〜3であることが好ましい。
一分子中に複数個(2個)のnが存在する場合、これら複数個のnは互いに同一でも異なっていてもよい。
が0以外である場合、Rの結合位置は、特に限定されない。
式中、点線(----)は開裂部位であり、ここで開裂することにより、これらα開裂型開始剤は2個以上のラジカル種を生成する。
(ii)の光重合開始剤で好ましいものとしては、下記一般式(2)−201〜(2)−202で表されるものが例示できる。
(式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、アミノ基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子であり、一分子中に複数個のRが存在する場合、これら複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;Arはアリール基であり、一分子中に複数個のArが存在する場合、これら複数個のArは互いに同一でも異なっていてもよく;nは0〜5の整数であり、一分子中に複数個のnが存在する場合、これら複数個のnは互いに同一でも異なっていてもよく;点線(----)は開裂部位である。)
式中、R、n及び点線(----)は、上記のもの、例えば、前記一般式(2)−101中のR、n及び点線(----)と同じである。
式中、Arはアリール基であり、上記のRにおける前記アリール基と同様のものが例示できる。
一分子中に複数個のArが存在する場合、これら複数個のArは互いに同一でも異なっていてもよい。
(i)及び(ii)の光重合開始剤の立体構造の例を図1に示す。図1(a)は、(i)の光重合開始剤の一例である、下記式(2)−101−1で表される化合物(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)の立体構造を示す図であり、図1(b)は、(ii)の光重合開始剤の一例である、下記式(2)−201−1で表される化合物(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド)の立体構造を示す図である。
図1から、これら光重合開始剤が、1−ヒドロキシシクロヘキシル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基等を有することにより、通常の分子よりも大きい立体障害を有する(嵩高い、平面性が低い)ことが明らかである。なお、ここでは、これら二種類の光重合開始剤について説明したが、他の(i)及び(ii)の光重合開始剤でも同様に、通常の分子よりも大きい立体障害を有することが確認できる。
上記の(iii)及び(iv)の光重合開始剤は、光照射によって励起三重項状態を経た後に、共存する化合物(例えば、前記重合性化合物や前記光重合開始剤)が有するアルキル基等の水素原子を引き抜き、水素を引き抜かれて生じたラジカル種が前記重合性化合物を重合させる、水素引き抜き型開始剤である。このような水素引き抜き型開始剤において、ベンゾイル骨格は水素の引き抜きに必須である。また、(iii)及び(iv)の光重合開始剤は、π電子雲が縮小された芳香環を有するものに分類できる。
(iii)の光重合開始剤は、ベンゾフェノン骨格を有し、カルボニル基が結合しているベンゼン環骨格に、窒素原子を有する基の前記窒素原子が結合していないものであれば、特に限定されない。なお、本明細書において「ベンゾフェノン骨格を有する」とは、上記の「ペリレン骨格を有する」という場合と同様に、ベンゾフェノン(C−C(=O)−C)であるか、又はベンゾフェノンにおいて、1個以上の水素原子や水素原子以外の基が、他の基(置換基)で置換された構造を有することを意味し、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基が2個以上である場合には、これら置換基が相互に結合してこれら置換基がそれぞれ結合している基と共に環を形成していてもよい。
前記窒素原子を有する基としては、アミノ基、アミノ基の1個又は2個の水素原子が置換基で置換されてなる基(以下、「置換アミノ基」と略記することがある)が例示できる。
前記置換アミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基が例示できる。
前記置換アミノ基におけるアルキル基(置換基)としては、上記のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
また、前記置換アミノ基におけるアリール基(置換基)としては、上記のRにおける前記アリール基と同様のものが例示できる。
前記ベンゼン環骨格への前記窒素原子を有する基の結合数及び結合位置は、特に限定されない。
(iii)の光重合開始剤で好ましいものとしては、下記一般式(3)−101で表されるものが例示できる。
(式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子であり、一分子中に複数個のRが存在する場合、これら複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;nは0〜5の整数であり、複数個のnは互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子であり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、スルフィド基及びハロゲン原子としては、Rにおける前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、スルフィド基及びハロゲン原子と同様のものが例示できる。ただし、ヘテロ環式基としては、窒素原子を有するもので、この窒素原子が、カルボニル基が結合している前記ベンゼン環骨格に直接結合しているものを除く。
式中、nは0〜5の整数であり、0〜3であることが好ましい。
複数個(2個)のnは互いに同一でも異なっていてもよい。
が0以外である場合、Rの結合位置は、特に限定されない。
(iv)の光重合開始剤は、チオキサンテン−9−オン骨格を有するものであれば、特に限定されない。なお、本明細書において「チオキサンテン−9−オン骨格を有する」とは、上記の「ペリレン骨格を有する」という場合と同様に、チオキサンテン−9−オン(C−C(=O)(−S−)−C)であるか、又はチオキサンテン−9−オンにおいて、1個以上の水素原子や水素原子以外の基(ただし、2個のベンゼン環骨格に直接結合しているカルボニル基及び硫黄原子を除く)が、他の基(置換基)で置換された構造を有することを意味し、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基が2個以上である場合には、これら置換基が相互に結合してこれら置換基がそれぞれ結合している基と共に環を形成していてもよい。
(iv)の光重合開始剤は、前記硫黄原子(2個のベンゼン環骨格に直接結合している硫黄原子)が電子供与性基であることで、同じ分子内の芳香環のπ電子雲が通常よりも狭くなっていると推測される。
(iv)の光重合開始剤で好ましいものとしては、下記一般式(3)−201で表されるものが例示できる。
(式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、アミノ基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子であり、一分子中に複数個のRが存在する場合、これら複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;nは0〜4の整数であり、複数個のnは互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、水酸基、アミノ基、スルフィド基、カルボキシ基又はハロゲン原子であり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、スルフィド基及びハロゲン原子としては、Rにおける前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環式基、スルフィド基及びハロゲン原子と同様のものが例示できる。
式中、nは0〜4の整数であり、0〜2であることが好ましい。
複数個(2個)のnは互いに同一でも異なっていてもよい。
が0以外である場合、Rの結合位置は、特に限定されない。
(iii)及び(iv)の光重合開始剤の立体構造及び電子雲の例を図2に示す。図2(a)は、(iii)の光重合開始剤の一例である、ベンゾフェノン(下記式(3)−101−1で表される化合物)の立体構造及び電子雲を示す図であり、図2(b)は、(iv)の光重合開始剤の一例である、チオキサンテン−9−オン(下記式(3)−201−1で表される化合物)の立体構造及び電子雲を示す図である。
また、ベンゾフェノン骨格を有し、カルボニル基が結合しているベンゼン環骨格に、前記窒素原子を有する基の窒素原子が結合している光重合開始剤の立体構造及び電子雲の例を図3に示す。図3(a)は、このような光重合開始剤の一例である、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(下記式(3R)−1で表される化合物)の立体構造及び電子雲を示す図であり、図3(b)は、このような光重合開始剤の他の例である、4−ジメチルアミノベンゾフェノン(下記式(3R)−2で表される化合物)の立体構造及び電子雲を示す図である。
図2及び3から、図2の光重合開始剤は図3の光重合開始剤よりも芳香環のπ電子雲が狭くなっており、図2の光重合開始剤は図3の光重合開始剤とは芳香環のπ電子雲の形状が異なる(変形している)ことが明らかである。また、図2の光重合開始剤は、芳香環のπ電子雲がベンゼンのπ電子雲よりも狭く、図3の光重合開始剤は、芳香環のπ電子雲がベンゼンのπ電子雲よりも広い。なお、ここでは、(iii)及び(iv)の光重合開始剤として二種類の光重合開始剤について説明したが、他の(iii)及び(iv)の光重合開始剤でも同様に、芳香環のπ電子雲が狭くなっていることが確認できる。
ここで、図2及び3に示す光重合開始剤の電子雲は、汎用の量子化学計算ソフトであるGaussian09(Gaussian社製)を用いて、B3LYP/6−31G(d−p)の計算条件によりシミュレーションして求めたものである。
前記光重合開始剤は一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に設定できる。ただし、通常は一種のみでも十分な効果が得られる。また、二種以上を併用する場合には、前記重合性化合物への作用が同じ形式であるものを用いる(例えば、α開裂型開始剤のみを用いる、水素引き抜き型開始剤のみを用いるなど)ことが好ましい。
前記硬化性組成物において、前記重合性化合物、ペリレン系発光物質及び光重合開始剤の総含有量に占める前記光重合開始剤の含有量は、0.1〜9質量%であることが好ましく、0.3〜7質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
前記硬化性組成物は、前記重合性化合物、ペリレン系発光物質及び光重合開始剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、その他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記その他の成分で好ましいものとしては、溶媒が例示できる。
前記溶媒は、溶媒以外の配合成分の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されず、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル又はエーテル等の公知のものが適宜使用できる。
また、前記溶媒の使用量も、硬化性組成物の取り扱い性等を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されない。
前記硬化性組成物におけるその他の成分としては、ペリレン系発光物質以外のその他の発光物質も例示できる。
その他の発光物質は、蛍光性物質及び燐光性物質のいずれでもよいが、蛍光性物質であることが好ましく、目的に応じて公知のものを適宜用いることができる。
その他の発光物質で好ましいものとしては、紫外光又は青色光を吸収して緑色光を発生する緑色発光物質、紫外光又は青色光を吸収して赤色光を発生する赤色発光物質が例示できる。また、例えば、赤色光を発生させるために、発光物質として赤色発光物質を単独で用いるのではなく、緑色発光物質と併用することで、波長の変換効率が高くなることがあり、このような目的で、ペリレン系発光物質及びその他の発光物質を併用するとよい。
その他の発光物質は、有機発光物質及び無機発光物質のいずれでもよいが、有機発光物質であることが好ましい。
その他の発光物質で好ましいものとしては、クマリン及びその誘導体、クリセン及びその誘導体、ピレン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、テリレン及びその誘導体、カテリレン及びその誘導体、スチルベン及びその誘導体、シアニン及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体等が例示できる。ここで、「誘導体」とは、上記のペリレン系発光物質の場合と同様の意味であり、元の化合物において、1個以上の水素原子や水素原子以外の基が、他の基(置換基)で置換されてなる化合物を意味し、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基が2個以上である場合には、これら置換基が相互に結合してこれら置換基がそれぞれ結合している基と共に環を形成していてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン545T(Coumarin 545T)、クマリン6(Coumarin 6)、クマリン7(Coumarin 7)、クマリン504(Coumarin 504)、マクロレックスレッド(Macrolex Red)、マクロレックスイエロー10GN(Macrolex Yellow 10GN)が例示できる。ここで、これらその他の発光物質の吸収波長及び発光波長を表2に例示する。ここで「吸収波長」及び「発光波長」とは、上記のペリレン誘導体の場合と同様のものであり、その他の発光物質が前記吸収波長の光を吸収し、前記発光波長で発光することにより、波長変換がなされる。
その他の発光物質を用いる場合には、前記硬化性組成物における、ペリレン系発光物質及びその他の発光物質の総含有量が、上記のペリレン系発光物質の含有量(発光物質としてペリレン系発光物質のみを用いた場合のペリレン系発光物質の含有量)と同じとなるようにするとよい。
また、前記硬化性組成物において、その他の発光物質の含有量は、ペリレン系発光物質の含有量に対して、0.05〜20質量倍であることが好ましい。その他の発光物質の前記含有量が前記下限値以上であることで、その他の発光物質を用いたことによる効果がより顕著に得られ、その他の発光物質の前記含有量が前記上限値以下であることで、硬化性組成物、さらにはその硬化物の蛍光量子収率の向上効果がより高くなる。
前記硬化性組成物は、前記重合性化合物、ペリレン系発光物質及び光重合開始剤、並びに必要に応じて前記その他の成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順及び混合方法は特に限定されない。例えば、各成分の混合方法としては、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合時の温度(混合温度)は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、例えば、5〜40℃であることが好ましい。
また、配合時間(混合時間)も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、例えば、5〜60分間であることが好ましい。
各成分の配合条件は、各成分が均一に溶解又は分散するように、適宜調節することが好ましい。
前記硬化性組成物は、硬化(フォトリソグラフィー法)によって、波長変換フィルタを形成できる。かかる波長変換フィルタは、前記発光物質の種類に応じて、緑色変換フィルタ、赤色変換フィルタ等とすることができる。
波長変換フィルタは、上記の特定の硬化性組成物を用いる点以外は、従来の波長変換フィルタと同様の方法(フォトリソグラフィー法)で形成できる。例えば、前記硬化性組成物(波長変換フィルタ形成用組成物)を、波長変換フィルタを形成する所定の基材上に塗工し、得られた塗膜に対してフォトマスクを介して光を照射(露光)することにより、塗膜の所望の箇所を硬化(前記化合物を重合)させ、次いで、現像液を用いて現像することでパターニングし、得られたパターンを加熱乾燥させることで、波長変換フィルタを形成できる。硬化性組成物の塗工は、例えば、スピンコート法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法;インプリント法等で行うことができる。
特定の発光物質と光重合開始剤とを併用することで、前記硬化性組成物と、これを用いた前記波長変換フィルタは、発光量子収率が高いものとなる。
例えば、ピーク波長が440〜460nmの青色光を前記硬化性組成物に照射したときの外部量子収率(発光量子収率)を、好ましくは0.52以上、より好ましくは0.55以上とすることが可能である。
なお、試料(硬化性組成物、波長変換フィルタ)の外部量子収率は、下記式(I)により算出できる。
[試料の外部量子収率]
=[試料からその外部へ放射された光子の数]/[試料にその外部から入射した光子の数]
=[試料の内部量子収率]×[吸収率]
=[試料からその外部へ放射された光子の数]/[試料が吸収した光子の数]×[吸収率]
・・・・(I)
なお、試料の内部量子収率は、下記式(II)により算出できる。
[試料の内部量子収率]
=[試料からその外部へ放射された光子の数]/[試料が吸収した光子の数]
・・・・(II)
ここで、吸収率は、波長変換フィルタの膜厚、波長変換フィルタ中の発光物質の濃度、又は発光物質のモル吸光係数から求められる。
<波長変換基板>
本発明に係る波長変換基板は、上記の本発明に係る硬化性組成物を基板上に塗工し、硬化させてなる硬化物を波長変換フィルタ(波長変換層、又は色変換層ともいう)として備えたことを特徴とし、硬化性組成物として、上記の特定の構成のものを用いた点以外は、従来の波長変換基板と同様の構成とすることができる。
本発明に係る波長変換基板は、本発明に係る硬化性組成物を用いた波長変換フィルタを備えていることで、波長変換特性に優れる。
好ましい前記波長変換基板としては、緑色変換フィルタ及び赤色変換フィルタの一方又は両方として、本発明に係る硬化性組成物を用いたものが例示でき、波長変換フィルタとして、本発明に係る硬化性組成物を用いたもののみを備えたものが好ましい。
図4は、本発明に係る波長変換基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。ただし、本発明に係る波長変換基板は、ここに示すものに限定されない。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す波長変換基板1は、基板11上にブラックマトリックス12を介してバンク13が設けられ、基板11上の所定の領域が、バンク13で区画され、サブピクセルを形成している。基板11上のこの区画された領域内において、赤色変換フィルタ14bは赤色カラーフィルタ14a上に設けられ、緑色変換フィルタ15bは緑色カラーフィルタ15a上に設けられている。また、青色カラーフィルタ16a上には青色光を散乱させるための光散乱層16bが設けられている。赤色カラーフィルタ14a及び赤色変換フィルタ14bは赤色画素14を構成し、緑色カラーフィルタ15a及び緑色変換フィルタ15bは緑色画素15を構成し、青色カラーフィルタ16a及び光散乱層16bは青色画素16を構成する。
基板11としては、光の透過率が90%以上の基板、例えば、ガラス、石英等からなる無機材料基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等からなるプラスチック基板;前記プラスチック基板の表面を無機材料でコーティングした基板;アルミナ等からなるセラミックス基板等の絶縁性基板が挙げられるが、これらに限定されない。これらのなかでも、ストレスなく湾曲部、折り曲げ部を形成できる点においては、前記プラスチック基板が好ましく、前記プラスチック基板に無機材料をコーティングした基板がより好ましい。例えば、有機EL素子は、微量の水分や酸素によっても劣化することが知られており、プラスチック基板を用いた有機EL素子では、この基板における水分及び酸素の透過による劣化が大きな問題となる。これに対して、上記のプラスチック基板に無機材料をコーティングした基板は水分及び酸素の透過を抑制する効果が高く、かかる基板を有機EL素子に適用した場合、水分及び酸素による有機EL素子の劣化を高度に抑制できる。
基板11の厚さは10〜20000μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましい。
波長変換基板1は、ブラックマトリックス12を備えていることが好ましい。ブラックマトリックス12は光吸収性の黒色隔壁であり、これを備えることで、各画素間のコントラストがより向上する。
ブラックマトリックス12は、公知の材質のものでよく、好ましいものとしては、黒色顔料を含む樹脂からなる遮光性のものが例示できる。
ブラックマトリックス12の厚さ(基板11との接触面に対して垂直な方向の高さ)は、100nm〜100μmであることが好ましく、100nm〜10μmであることがより好ましい。
バンク13は、光反射性又は光散乱性を有し、これを備えることで、波長変換フィルタからの等方発光のうち、側面方向への発光(波長変換フィルタを通しての導波成分)の、目的とするもの以外の画素への漏れによる色純度の低下を防止できる。さらに、光を画素内で反射させることにより、発光を有効利用でき、消費電力を低下させることができる。
バンク13は、公知の材質のものでよく、好ましいものとしては、金、銀、アルミニウム等の金属粒子を含む樹脂からなる光反射性のもの;酸化チタン等の光散乱粒子を含む樹脂からなる光散乱性のものが例示できる。ここで、前記樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等が例示できる。また、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はシリコン樹脂等のベース樹脂の表面に、前記金属粒子又は光散乱粒子等を、蒸着法又はスパッタ法により、10nm〜1000nmの厚さとなるように積層したものも、バンク13として好ましい。
バンク13の高さ(ブラックマトリックス12との接触面に対して垂直な方向の高さ)は、波長変換フィルタの膜厚よりも厚いことが好ましく、このようにすることで、上記の効果がより顕著に得られる。
波長変換基板1は、赤色カラーフィルタ14a及び緑色カラーフィルタ15aを備えていることが好ましい。これらを備えることで、赤色変換フィルタ14b又は緑色変換フィルタ15bにより吸収されずに透過してしまう励起光の外部への漏れを防止でき、赤色変換フィルタ14b又は緑色変換フィルタ15bからの発光と励起光との混色による発光の色純度の低下を防止できる。さらに、各画素の色純度を高めることで、有機EL素子の色再現範囲をより拡大できる。また、赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15b中の発光物質を励起する可能性がある外光を吸収することで、外光による赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bでの発光を抑制でき、コントラストの低下を抑制できる。
そして、波長変換基板1は、青色カラーフィルタ16aを備えていてもよい。これを備えることで、光散乱層16bでの外光の散乱を抑制でき、コントラストの低下を抑制できる。ただし、光散乱層16bは、光源である有機EL素子からの光の透過率を低下させるため、不要な場合もある。
赤色カラーフィルタ14a、緑色カラーフィルタ15a及び青色カラーフィルタ16aとしては、公知の材質のものが適宜使用できる。
赤色カラーフィルタ14a、緑色カラーフィルタ15a及び青色カラーフィルタ16aの膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。
なお、ここでは、波長変換フィルタとして赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bを備えた波長変換基板を示しているが、本発明に係る波長変換基板は、これら以外にシアン変換層、イエロー変換層等の他の波長変換フィルタを備えたものでもよく、この場合には、それぞれの色に対応したカラーフィルタを設けてもよい。
赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bの材質(構成成分)は、先に説明したとおりである。
赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bの膜厚は、100nm〜100μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。膜厚が前記下限値以上であることで、励起光源からの励起光を十分に吸収でき、発光効率が向上して、必要とする色に目的外の励起光源からの光が混合されることによる、色純度の悪化が抑制される。また、膜厚が前記上限値以下であることで、過剰な膜厚となることが避けられ、コストを低減できる。
波長変換基板1は、励起光からの発光を直接利用する青色画素16と、青色画素16とは配光特性が異なり、波長変換フィルタからの発光を利用する赤色画素14及び緑色画素15とを備えているが、光散乱層16bは、配光特性が異なるこれら画素間で、視野角による配光特性のずれに伴う輝度及び色の変化を低減する。
光散乱層16bは、例えば、光散乱粒子及びバインダー樹脂が配合されてなる硬化性組成物(光散乱層形成用組成物)を用いて、バインダー樹脂を硬化させることで形成できる。
前記光散乱粒子は、有機材料及び無機材料のいずれからなるものでもよい。
前記有機材料としては、ポリメタクリル酸メチル(屈折率1.49)、アクリル樹脂(屈折率1.50)、アクリル−スチレン共重合体(屈折率1.54)、メラミン樹脂(屈折率1.57)、高屈折率メラミン樹脂(屈折率1.65)、ポリカーボネート(屈折率1.57)、ポリスチレン(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド樹脂(屈折率1.68)、シリコーン(屈折率1.50)等が例示できる。
前記無機材料としては、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫及びアンチモンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物が例示できる。これらの中でも好ましいものとしては、シリカ(屈折率1.44)、アルミナ(屈折率1.63)、酸化チタン(屈折率2.50(アナタース型)、2.70(ルチル型))、二酸化ジルコニウム(屈折率2.05)、酸化亜鉛(屈折率2.00)、チタン酸バリウム(BaTiO)(屈折率2.4)等が例示できる。
これらの中でも、前記光散乱粒子は、無機材料からなるものが好ましい。無機材料からなる光散乱粒子を用いることにより、外部(例えば、発光素子)からの指向性を有する光を、より等方的に効果的に拡散又は散乱させることができる。また、光散乱層16bの光及び熱に対する安定性を向上させることができる。
前記光散乱粒子は、透明度が高いものが好ましく、低屈折率の母材中にこの母材よりも高屈折率の微粒子が分散されてなるものが好ましい。
また、光散乱粒子の粒径は、100〜500nmであることが好ましい。このような範囲であることで、光散乱層16bにおいて青色光がミー散乱によってより効果的に散乱される。
前記バインダー樹脂は、透光性を有することが好ましい。
前記バインダー樹脂の材質としては、アクリル樹脂(屈折率1.50)、メラミン樹脂(屈折率1.57)、ナイロン(屈折率1.53)、ポリスチレン(屈折率1.60)、ポリカーボネート(屈折率1.57)、ポリ塩化ビニル(屈折率1.60)、ポリ塩化ビニリデン(屈折率1.61)、ポリ酢酸ビニル(屈折率1.46)、ポリエチレン(屈折率1.53)、ポリメタクリル酸メチル(屈折率1.49)、ポリMBS(屈折率1.54)、中密度ポリエチレン(屈折率1.53)、高密度ポリエチレン(屈折率1.54)、ポリ三フッ化塩化エチレン(屈折率1.42)、ポリテトラフルオロエチレン(屈折率1.35)等が例示できる。
光散乱層16bの膜厚は、赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bの膜厚と同様である。
波長変換基板1は、カラーフィルタ(赤色カラーフィルタ14a及び緑色カラーフィルタ15a)と波長変換フィルタ(赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15b)との間に、また、カラーフィルタを設けない場合には、基板11と波長変換フィルタ(赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15b)との間に、基板11と波長変換フィルタよりも屈折率が低い低屈折率層を設けてもよい。
同様に、波長変換基板1は、青色カラーフィルタ16aと光散乱層16bとの間に、また、青色カラーフィルタ16aを設けない場合には、基板11と光散乱層16bとの間に、基板11と光散乱層16bよりも屈折率が低い低屈折率層を設けてもよい。
波長変換基板では、通常、波長変換フィルタからの発光が光取出し側の基板を導波し、基板の側面に導波して発光ロスを生じることがある。しかし、このように低屈折率層を設けることで、屈折率差を利用して、光取出し側の基板から空気層へ取出すことができない臨界角以上の光を、波長変換フィルタ及び低屈折率層間の屈折率差を利用して反射させ、光取出し側に対して反対側に形成されている反射部材(波長変換フィルタ及び励起光源間の励起光は透過させ、波長変換フィルタからの発光を反射させる反射部材、例えば、誘電体多層膜、バンドパスフィルター、金属の超薄膜等)、又は有機EL部に設けられた半透明電極若しくは反射電極)で反射させ、再度光取出し側に出射させることにより、上記の発光ロスを低減でき、有機EL素子等の消費電力を低減し、輝度を向上させることができる。
前記低屈折率層の材質としては、ポリ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)(屈折率1.375)、ポリ(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(屈折率1.383)、ポリ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率1.395)、ポリ(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート)(屈折率1.418)等のフッ素系樹脂(フッ素原子を有する樹脂);メソポーラスシリカ(屈折率1.2);エアロゲル(屈折率1.05)等が例示できる。また、乾燥空気若しくは窒素ガス等の気体が充填された空隙部、又は減圧された空隙部で、前記低屈折率層を構成してもよい。
波長変換基板1は、赤色変換フィルタ14b、緑色変換フィルタ15b及び光散乱層16b上に、それぞれ封止膜を備えていることが好ましい。このように封止膜を備えることで、これら波長変換フィルタ及び光散乱層への外部からの酸素及び水分の混入を高度に抑制でき、これら波長変換フィルタ及び光散乱層の劣化を高度に抑制できる。そして、波長変換基板1を表示装置等へ適用した場合、これら波長変換フィルタ及び光散乱層から、例えば、有機EL層への酸素及び水分の混入も抑制でき、有機EL素子の劣化も高度に抑制できる。
波長変換基板1は、さらに、前記封止膜上に平坦化膜を備えていることが好ましい。このように平坦化膜を備えることで、後述する励起光源と組み合わせたときに、空乏の発生を防止できるともに、励起光源と波長変換基板1との密着性を向上させることができる。
前記封止膜及び平坦化膜は、公知のものでよい。
波長変換基板1は、赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bの一方又は両方を、上記の特定の硬化性組成物を用いて形成する点以外は、従来の波長変換基板と同様の方法で製造できる。以下、波長変換基板1の製造方法の一例について、図5を参照しながら、説明する。なお、図5に示す構成要素のうち、図4に示すものと同じものには、図4の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。これは、以降の図においても同様である。
まず、図5(a)に示すように、基板11上にブラックマトリックス12を形成する。
ブラックマトリックス12は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、モノマー、光重合開始剤、黒色顔料、バインダー及び溶媒が配合されてなる硬化性組成物(ブラックマトリックス形成用組成物)を基板11上に塗工し、得られた塗膜に対してフォトマスクを介して光を照射(露光)することにより、塗膜の所望の箇所を硬化させ、次いで、現像液を用いて現像し、パターニングすることで形成できる。硬化性組成物の塗工は、例えば、スピンコート法等の塗布法で行うことができる。また、必要に応じてプリベーク、ポストベーク等を行ってもよい。基板11は、必要に応じて、水、有機溶媒等で洗浄してから使用する。
次いで、図5(b)に示すように、ブラックマトリックス12上にバンク13を形成する。
バンク13は、例えば、硬化性組成物として、モノマー、光重合開始剤、光反射粒子又は光散乱粒子、バインダー及び溶媒が配合されてなるバンク形成用のもの(バンク形成用組成物)を用いる点以外は、上記のブラックマトリックス12の場合と同様のフォトリソグラフィー法で形成できる。フォトマスクとしては、ブラックマトリックス12上にバンク13を積層できるようなパターンのものを用いればよい。
次いで、図5(c)に示すように、バンク13で区画された各サブピクセル領域に、赤色カラーフィルタ14a、緑色カラーフィルタ15a及び青色カラーフィルタ16aを形成する。
赤色カラーフィルタ14a、緑色カラーフィルタ15a及び青色カラーフィルタ16aは、これらを形成可能な硬化性組成物を用いる点以外は、上記のブラックマトリックス12の場合と同様のフォトリソグラフィー法で形成できる。フォトマスクとしては、各サブピクセル領域に目的とするカラーフィルタを形成できるようなパターンのものを用いればよい。
次いで、図5(d)に示すように、赤色カラーフィルタ14a上に赤色変換フィルタ14bを形成し、緑色カラーフィルタ15a上に緑色変換フィルタ15bを形成し、青色カラーフィルタ16a上に光散乱層16bを形成する。
赤色変換フィルタ14b及び緑色変換フィルタ15bの形成方法は、波長変換フィルタの形成方法として先に説明したとおりである。
また、光散乱層16bは、例えば、硬化性組成物として、先に説明した光散乱層形成用のもの(光散乱層形成用組成物)を用いる点以外は、上記のブラックマトリックス12の場合と同様のフォトリソグラフィー法で形成できる。
フォトマスクとしては、赤色カラーフィルタ14a上に赤色変換フィルタ14bを、緑色カラーフィルタ15a上に緑色変換フィルタ15bを、青色カラーフィルタ16a上に光散乱層16bを、それぞれ積層できるようなパターンのものを用いればよい。
赤色変換フィルタ14b、緑色変換フィルタ15b及び光散乱層16bは、それぞれ同じ種類のものを同時に形成する(例えば、複数個の赤色変換フィルタ14bを同時に形成する)ことが好ましく、各層の形成順序は特に限定されない。
以上により、波長変換基板1が得られるが、波長変換基板1に前記低屈折率層を設ける場合には、赤色カラーフィルタ14a、緑色カラーフィルタ15a及び青色カラーフィルタ16aの形成後、赤色変換フィルタ14b、緑色変換フィルタ15b及び光散乱層16bの形成前に、これらカラーフィルタ上に低屈折率層を形成すればよい。
また、前記封止膜は、例えば、赤色変換フィルタ14b、緑色変換フィルタ15b及び光散乱層16b上に、スピンコート法、ODF法、ラミネート法等により樹脂を塗布することによって形成でき、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を形成した後、さらにこの無機膜上に、スピンコート法、ODF法、ラミネート法等により樹脂を塗布するか、又は樹脂膜を貼合することによっても形成できる。
<表示装置>
上記の本発明に係る波長変換基板は、有機ELディスプレイ等の表示装置を構成でき、かかる表示装置は、前記波長変換基板を備えた点以外は、従来の表示装置と同様の構成とすることができる。
前記表示装置は、本発明に係る波長変換基板を備えていることで、発光特性に優れる。
図6は、表示装置のうち、有機ELディスプレイの一実施形態を模式的に示す断面図である。ただし、有機ELディスプレイは、ここに示すものに限定されない。
ここに示す有機ELディスプレイ10は、有機EL基板2と、図4に示す波長変換基板1とが貼り合わされてなるものである。ただし、ここでは、波長変換基板1における波長(色)変換の様子を分かり易く説明するために、波長変換基板1と有機EL基板2とを離間して示している。
有機EL基板2は、基板21上に薄膜トランジスタ22が設けられ、薄膜トランジスタ22上に層間絶縁層23が設けられており、薄膜トランジスタ22は、ソース電極22a、ドレイン電極22b、半導体層22c、ゲート電極22d及びゲート絶縁層22eを備えて構成され、層間絶縁層23にはソース電極22a上の部位にコンタクトホール24が設けられ、このコンタクトホール24を介して、層間絶縁層23上に設けられた陽極(画素電極)25がソース電極22aと電気的に接続されており、陽極25上に有機EL層26が設けられ、有機EL層26上に陰極27が設けられて、概略構成されている。
なお、ここでは紙面の都合上、サブピクセル毎に1個の薄膜トランジスタ22を図示しているが、有機EL層26を安定的及び効率的に駆動するためには、サブピクセル毎に複数個の薄膜トランジスタ22を備えていてもよい。
基板21としては、ガラス、石英等からなる無機材料基板が例示できる。
基板21の厚さは100〜1000μmであることが好ましい。
半導体層22cとしては、アモルファスシリコン;多結晶シリコン;ペンタセン、ポリチオフェン、フラーレンC60等の有機半導体;インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)等の無機酸化物からなるものが例示でき、その厚さは、20〜200nmであることが好ましい。
ソース電極22a、ドレイン電極22bとしては、半導体層22cにリン等の不純物元素をドーピングしたもの;金、銀、銅又はアルミニウム等の金属からなるものが例示でき、その厚さは、10〜500nmであることが好ましい。
ゲート電極22dとしては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、タンタル、ドープシリコン等の金属;3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンサルフォネイト(PSS)等の有機化合物からなるものが例示でき、その厚さは、20〜200nmであることが好ましい。
ゲート絶縁層22eとしては、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機化合物;シクロテン、サイトップ、パリレン等の有機化合物からなるものが例示でき、その厚さは、50〜300nmであることが好ましい。
層間絶縁層23としては、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機化合物;シクロテン、サイトップ、パリレン等の有機化合物からなるものが例示でき、その厚さは、100〜2000nmであることが好ましい。
陽極25としては、銀やアルミニウム等からなる反射電極と、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)等からなる透明電極とが積層されたものが例示でき、反射電極が基板21側に設けられる。反射電極の厚さは10〜1000nmであることが好ましく、透明電極の厚さは10〜100nmであることが好ましい。
有機EL層26としては、ホール注入層、ホール輸送層、青色発光層、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層等が必要とされるものだけ適宜積層されてなるものが例示でき、各層の厚さは、0.5〜200nmの範囲で任意に選択されることが好ましい。
陰極27としては、マグネシウム銀、アルミニウムリチウム等の合金;銀、アルミニウム等の単体金属からなるものが例示でき、単層及び複数層のいずれからなるものでもよい。
陰極27の厚さは、10〜1000nmであることが好ましい。
有機ELディスプレイ10は、有機EL基板2からの励起光(青色光)Lが波長変換基板1に入射し、この励起光Lが、赤色変換フィルタ14bによって赤色光L11に変換され、緑色変換フィルタ15bによって緑色光L12に変換され、光散乱層16bを透過した青色光L13と共に、これら赤色光L11及び緑色光L12が波長変換基板1の基板11側から出射される。
有機ELディスプレイ10は、波長変換基板1を用いる点以外は、従来の有機ELディスプレイと同様の方法で製造できる。以下、有機ELディスプレイ10の製造方法の一例について、図7を参照しながら、説明する。
まず、有機EL基板2を作製する。
図7(a)に示すように、基板21上に既存の半導体プロセスにより、薄膜トランジスタ22を形成し、さらに、薄膜トランジスタ22を覆うように基板21上に、スパッタ法、真空蒸着法、スピンコート法等、又はインクジェット法等の印刷法により層間絶縁層23を形成する。そして、層間絶縁層23のソース電極22a上の部位にコンタクトホール24を形成し、アクティブマトリックスTFT基板とする。
次いで、図7(b)に示すように、スパッタ法等により、層間絶縁層23上とコンタクトホール24中に陽極25を形成する。
次いで、図7(c)に示すように、真空蒸着法等により、陽極25を覆うように層間絶縁層23上に有機EL層26を形成する。
次いで、図7(d)に示すように、真空蒸着法等により、有機EL層26上に陰極27を形成する。
以上により、有機EL基板2が得られる。
次いで、図7(e)に示すように、得られた有機EL基板2の陰極27と、上記の波長変換基板1の赤色変換フィルタ14b、緑色変換フィルタ15b及び光散乱層16bとが対向するように、有機EL基板2及び波長変換基板1を配置して、貼り合わせて固定する。
以上により、有機ELディスプレイ10が得られる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<硬化性組成物の製造及び評価>
[実施例1]
ジエチレングリコールジメタクリレート(50質量部)、ベンゾフェノン(下記式(3)−101−1で表される化合物、1質量部)、ルモゲンレッド305(0.005質量部)及びトルエン(50質量部)を20℃で10分間混合して、硬化性組成物を得た。原料とその使用量を表3に示す。
次いで、得られた硬化性組成物について、内部量子収率及び吸収率を測定し、前記式(I)に従って、外部量子収率を算出した。結果を図8に示す。
なお、内部量子収率は、全光束測定システム(大塚電子社製「QE―1100」)を用いて、波長460nmの励起光を硬化性組成物に照射し、この組成物から放射されたすべての方向の蛍光をディテクターで検出し、この組成物の励起光の吸収量と蛍光光量を測定することにより、前記式(II)から算出した。また、吸収率は、分光光度計(島津製作所製「UV−2450」)を用いて、測定波長530nmで吸光度を計測して求めた。
[実施例2]
表3に示すように、ベンゾフェノン(1質量部)に代えて、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(下記式(2)−101−1で表される化合物、1質量部)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で硬化性組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図8に示す。
[実施例3]
表3に示すように、ベンゾフェノン(1質量部)に代えて、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(下記式(2)−201−1で表される化合物、1質量部)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で硬化性組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図8に示す。
[実施例4]
表3に示すように、ベンゾフェノン(1質量部)に代えて、チオキサンテン−9−オン(下記式(3)−201−1で表される化合物、1質量部)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で硬化性組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図8に示す。
[比較例1]
表3に示すように、ベンゾフェノン(1質量部)に代えて、4−ジメチルアミノベンゾフェノン(下記式(3R)−2で表される化合物、1質量部)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で硬化性組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図8に示す。
なお、ベンゾフェノンに代えて、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(下記式(3R)−1で表される化合物)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で硬化性組成物の製造を試みたが、この光重合開始剤は溶解性が低く、評価可能な硬化性組成物を製造できなかった。
[参考例1]
表3に示すように、ベンゾフェノン(1質量部)を用いなかった点以外は、実施例1と同様の方法で組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図8に示す。
図8に示すように、実施例1〜4の硬化性組成物は、比較例1の硬化性組成物よりも外部量子収率が顕著に高く、発光効率に優れていた。さらに、実施例1〜4の硬化性組成物は、外部量子収率が、光重合開始剤を用いていない参考例1の組成物と同等であった。このことから、比較例1の硬化性組成物では、光重合開始剤によって発光量子収率が低下しているのに対し、実施例1〜4の硬化性組成物では、光重合開始剤による発光量子収率の低下が抑制されていることを確認できた。
以上により、特定の構造を有する光重合開始剤を用いることにより、発光物質が配合されてなる硬化性組成物、さらにはその硬化物(波長変換フィルタ)は、発光量子収率が高くなることを確認できた。
<組成物の製造及び評価>
[参考例2]
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(前記式(2)−101−1で表される化合物、0.1質量部)、ルモゲンレッド305(0.001質量部)及びトルエン(100質量部)を20℃で10分間混合して、組成物を得た。原料とその使用量を表4に示す。
次いで、得られた組成物について、実施例1の場合と同様の方法で内部量子収率及び吸収率を測定し、外部量子収率を算出した。ただし、吸光度の測定波長は460nmとした。
結果を図9に示す。
[参考例3]
表4に示すように、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.1質量部)に代えて、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(前記式(2)−201−1で表される化合物、0.1質量部)を用いた点以外は、参考例2と同様の方法で組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図9に示す。
[参考例4]
表4に示すように、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.1質量部)に代えて、チオキサンテン−9−オン(前記式(3)−201−1で表される化合物、0.1質量部)を用いた点以外は、参考例2と同様の方法で組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図9に示す。
[参考例5]
表4に示すように、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.1質量部)に代えて、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(前記式(3R)−1で表される化合物、0.1質量部)を用いた点以外は、参考例2と同様の方法で組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図9に示す。
[参考例6]
表4に示すように、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.1質量部)に代えて、4−ジメチルアミノベンゾフェノン(前記式(3R)−2で表される化合物、0.1質量部)を用いた点以外は、参考例2と同様の方法で組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図9に示す。
[参考例7]
表4に示すように、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.1質量部)を用いなかった点以外は、参考例2と同様の方法で組成物を製造し、その外部量子収率を算出した。結果を図9に示す。
図9に示すように、参考例2〜4の組成物は、参考例5〜6の組成物よりも外部量子収率が顕著に高く、発光効率に優れていた。さらに、参考例2〜4の組成物は、外部量子収率が、光重合開始剤を用いていない参考例7の組成物と同等であった。以上により、参考例5〜6の組成物では、光重合開始剤によって発光量子収率が低下しているのに対し、参考例2〜4の組成物では、光重合開始剤による発光量子収率の低下が抑制されていることを確認できた。一方、参考例5〜6の組成物では、光重合開始剤としてベンゾフェノン骨格を有するものを用いているが、光重合開始剤としてベンゾフェノンを用いた、上記の実施例1の硬化性組成物では、発光量子収率の低下が抑制されていたことから、光重合開始剤として、同じベンゾフェノン骨格を有するものであっても、特定の構造を有するもの、すなわち、カルボニル基が結合しているベンゼン環骨格に、窒素原子を有する基の前記窒素原子が結合しているものは、発光量子収率を低下させることが確認された。
以上により、特定の構造を有する光重合開始剤を用いることにより、発光物質が配合されてなる硬化性組成物、さらにはその硬化物(波長変換フィルタ)は、発光量子収率が高くなることが、さらに裏付けられた。
<硬化性組成物の製造>
[実施例5]
エポキシアクリレート(ナガセケムテックス社製「デナコールアクリレート DA−314」、グリセリンの3個の水酸基の水素原子がいずれも式「−CHCH(OH)CH−OCOCH=CH」で表される基で置換されたもの、50質量部)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(前記式(2)−201−1で表される化合物、1質量部)、ルモゲンレッド305(0.05質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、50質量部)を20℃で10分間混合して、硬化性組成物を得た。原料とその使用量を表5に示す。
[比較例2]
エポキシアクリレート(ナガセケムテックス社製「デナコールアクリレート DA−314」、50質量部)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(前記式(2)−201−1で表される化合物、1質量部)、クマリン545T(0.05質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、50質量部)を20℃で10分間混合して、硬化性組成物を得た。原料とその使用量を表5に示す。
[比較例3]
エポキシアクリレート(ナガセケムテックス社製「デナコールアクリレート DA−314」、50質量部)、4−ジメチルアミノベンゾフェノン(前記式(3R)−2で表される化合物、1質量部)、ルモゲンレッド305(0.05質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、50質量部)を20℃で10分間混合して、硬化性組成物を得た。原料とその使用量を表5に示す。
<波長変換基板の製造及び評価>
[実施例6]
図5を参照して説明した方法により、波長変換基板を製造した。具体的には、以下のとおりである。
基板として、厚さが0.7mmの5インチのガラス基板を水洗後、純水超音波洗浄を10分間、アセトン超音波洗浄を10分間、2−プロパノール蒸気洗浄を5分間、この順序でそれぞれ行い、100℃で1時間、基板を乾燥させた。
次いで、ブラックマトリックス形成用組成物としてBKレジスト(東京応化社製)を、スピンコート法によって洗浄済みの前記基板上に塗布し、70℃で15分間プリベークして膜厚1μmの塗膜を形成した。この塗膜上に、目的とするパターンを形成するためのフォトマスク(画素ピッチ57μm、線幅6μm、サブピクセルサイズ13μm×51μm)を設置し、i線を露光量100mJ/cmで照射し、塗膜を露光した。次いで、現像液として炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像し、純水でリンス処理を行うことで、膜厚1μmの画素パターン状のブラックマトリックスを形成した。
次いで、バンク形成用組成物として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ルチル型酸化チタン、光重合開始剤及び芳香族系溶媒が配合されてなるもの(硬化性組成物)を用い、ブラックマトリックスを形成した基板上に、スピンコート法によって、このバンク形成用組成物を塗布し、80℃で10分間プリベークして膜厚10μmの塗膜を形成した。この塗膜上に、ブラックマトリックス上にホワイトバンクを形成するためのパターンを有するフォトマスクを設置し、i線を露光量300mJ/cmで照射し、塗膜を露光した。次いで、アルカリ現像液を用いて現像することで、画素パターン状の構造物を得た。引き続き、熱風循環式乾燥炉を用いて、この構造物を140℃で60分間ポストベークすることで、バンクとして膜厚8μmのホワイトバンク(白色隔壁)を形成した。
次いで、ホワイトバンクによって区画された各サブピクセル領域に、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタを、既存のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。これらカラーフィルタの膜厚は、すべて2μmであった。
次いで、2000rpm、30秒間の条件でスピンコート法により、実施例5で得られた硬化性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、赤色カラーフィルタ上のみに光が照射されるようにパターニングされたフォトマスクを基板上に設置して、i線を露光量300mJ/cmで照射し、塗膜を露光した。引き続き、この基板をアセトンに浸漬して現像し、イナートオーブン(110℃)で1時間加熱乾燥させることで、パターニングされた赤色変換フィルタを形成した。この赤色変換フィルタの膜厚は4μmであった。
次いで、比較例2で得られた硬化性組成物を用い、さらに、緑色カラーフィルタ上のみに光が照射されるようにパターニングされたフォトマスクを用いた点以外は、上記の赤色変換フィルタの場合と同様の方法で、パターニングされた緑色変換フィルタを形成した。この緑色変換フィルタの膜厚は4μmであった。
次いで、光散乱粒子として平均粒径200nmの酸化チタンを、バインダー樹脂であるエポキシ樹脂(日本化薬社製「SU−8」)に加えて、自動乳鉢でよくすり混ぜた後、分散攪拌装置(プライミクス社製「フィルミックス(登録商標)40−40型」)を用いて、これを15分間攪拌することにより、光散乱層形成用組成物を調製した。
そして、この組成物を用い、さらに、青色カラーフィルタ上のみに光が照射されるようにパターニングされたフォトマスクを用いた点以外は、上記の赤色変換フィルタの場合と同様の方法で、パターニングされた光散乱層(青色光散乱層)を形成した。この光散乱層の膜厚は4μmであった。
以上により、波長変換基板を得た。
次いで、得られた波長変換基板の赤色変換フィルタについて、内部量子収率を測定したところ、21%であった。内部量子収率は、全光束測定システム(大塚電子社製「QE―1100」)を用いて、波長460nmの励起光を赤色変換フィルタに照射し、このフィルタから放射されたすべての方向の蛍光をディテクターで検出し、このフィルタの励起光の吸収量と蛍光光量を測定することにより、前記式(II)から算出した。
さらに、赤色変換フィルタについて吸収率を測定し、前記式(I)に従って外部量子収率を算出したところ、20%であった。
[比較例4]
実施例5で得られた硬化性組成物に代えて、比較例3で得られた硬化性組成物を用いて、パターニングされた赤色変換フィルタを形成した点以外は、実施例6と同様の方法で、波長変換基板を製造した。
そして、得られた波長変換基板の赤色変換フィルタについて、実施例6と同様の方法で内部量子収率を測定したところ、4%であり、外部量子収率を算出したところ、4%であった。
このように、実施例5の硬化性組成物を用いた(すなわち、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドを用いた)実施例6における赤色変換フィルタは、比較例3の硬化性組成物を用いた(すなわち、光重合開始剤として4−ジメチルアミノベンゾフェノンを用いた)比較例4の赤色変換フィルタよりも、内部量子収率及び外部量子収率がいずれも顕著に高かった。
以上により、本発明に係る硬化性組成物を用いることにより、波長変換フィルタは発光量子収率が高くなることを確認できた。
なお、実施例6における赤色変換フィルタの外部量子収率は、実施例1〜4の硬化性組成物の外部量子収率よりも低い(例えば、図8における縦軸の外部量子収率「1」は、「100%」と読み替えることができる)が、これは、実施例6における赤色変換フィルタが固形の膜状であるのに対し、実施例1〜4の硬化性組成物が液状であり、状態が異なることに起因している。
本発明は、波長変換基板及び有機ELディスプレイに利用可能である。
1・・・波長変換基板、11,21・・・基板、12・・・ブラックマトリックス、13・・・バンク、14・・・赤色画素、14a・・・赤色カラーフィルタ、14b・・・赤色変換フィルタ、15・・・緑色画素、15a・・・緑色カラーフィルタ、15b・・・緑色変換フィルタ、16・・・青色画素、16a・・・青色カラーフィルタ、16b・・・光散乱層、2・・・有機EL基板、22・・・薄膜トランジスタ、22a・・・ソース電極、22b・・・ドレイン電極、22c・・・半導体層、22d・・・ゲート電極、22e・・・ゲート絶縁層、23・・・層間絶縁層、24・・・コンタクトホール、25・・・陽極(画素電極)、26・・・有機EL層、27・・・陰極、10・・・有機ELディスプレイ

Claims (4)

  1. 重合性不飽和二重結合を有する化合物、ペリレン骨格を有する発光物質、及び光重合開始剤を含有し、
    前記光重合開始剤が、前記化合物を重合させると共に、前記発光物質同士の相互作用を阻害することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記光重合開始剤が、立体障害を有するものであるか、又はπ電子雲が縮小された芳香環を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記光重合開始剤が、下記(i)〜(iv)からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
    (i)ベンゾイル骨格中のベンゼン環骨格に結合しているカルボニル基を構成する炭素原子に、脂肪族基を構成する炭素原子が結合してなる光重合開始剤。
    (ii)ベンゾイル骨格中のベンゼン環骨格に結合しているカルボニル基を構成する炭素原子に、酸素原子と結合した酸化数5のリン原子を有する基の前記リン原子が結合してなる光重合開始剤。
    (iii)ベンゾフェノン骨格を有し、カルボニル基が結合しているベンゼン環骨格に、窒素原子を有する基の前記窒素原子が結合していない光重合開始剤。
    (iv)チオキサンテン−9−オン骨格を有する光重合開始剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基板上に塗工し、硬化させてなる硬化物を波長変換フィルタとして備えたことを特徴とする波長変換基板。
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