JP2006190633A - 色変換フィルター基板および該色変換フィルター基板を具備した多色発光デバイス - Google Patents

色変換フィルター基板および該色変換フィルター基板を具備した多色発光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 色変換された光を高い効率で取り出すことができ、励起状態の色素とマトリクスとの反応を高い確率で抑止することによって光の照射に伴って蛍光強度の低下することがない、耐久性に優れた色変換フィルター基板の提供。
【解決手段】 透明な支持基板と、少なくとも2種類以上のカラーフィルターと、少なくとも1種以上の色変換フィルターとを含む色変換フィルター基板であって、少なくとも1種以上の色変換フィルターは、ある波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する色素をマトリクス中に分散して構成されており、色変換フィルターは1.30以上1.48以下の屈折率を有することを特徴とする色変換フィルター基板。色変換フィルターのマトリクスは、ストレート型シリコーンポリマーまたは樹脂変性型シリコーンポリマーを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は多色表示を可能とする色変換フィルター基板および色変換フィルター基板を用いた多色発光デバイスに関する。該色変換フィルター基板を用いた多色発光デバイスは、イメージセンサー、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電話機、携帯端末ならびに商業用計測器等の表示などに使用することが可能である。
電界発光素子を用いたフルカラーディスプレイの作製方式としては、電界をかけることにより赤・青・緑にそれぞれ発光する素子を配列する「3色発光方式」、および、白色の発光を、カラーフィルターでカットし、赤・青・緑を表現する「カラーフィルター方式」、さらに、近紫外光、青色光、青緑色光または白色光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の光を発光する蛍光色素をフィルターに用いる「色変換方式」が提案されている。
中でも、色変換方式は高い色再現性・効率を実現でき、また、3色発光方式と異なり、電界発光素子は単色でよいことから大画面化の難易度が低いことが言われており、次世代ディスプレイの候補として有望視されている。色変換方式の制約として、短波長の光を長波長の光に変換することのみが可能で、その逆が不可能であることが挙げられる。この制約はエネルギー保存則に由来し、入射光の1つの光子を出射光の1つの光子に変換する限りは避けられない。2つ以上の光子を用いる多光子過程を利用することができれば、色変換によって短波長の光を得ることも可能ではあるが、多光子過程は、非常に強い光強度(同一の蛍光色素分子に2つの光子が重なりあうような強度)を必要とする。現状ではそのような強い光強度を有する光はレーザでしか得ることはできない。したがって、多光子過程を色変換方式に採用することは現状では不可能である。
カラーディスプレイの実用上の重要な要件の1つは、高い輝度の実現である。色変換方式を用いる際に、輝度に影響する因子としては、光源(たとえば、有機EL素子)の発光性能、蛍光色素の光変換性能などをあげることができるが、従来から大きな問題として取り上げられている因子として、光の取り出し効率の改善がある。これらの因子の中で、たとえば光源として用いられる有機EL素子の外部量子収率は限界といわれる値に近いところまで到達してきており、また蛍光色素による色変換の効率も理論限界に近いところまで到達してきているのが現状である。したがって、色変換方式のカラーディスプレイにおいて高い輝度を実現するために、光の取り出し効率の改善がますます強く望まれている。
ここで、屈折率nを有して発光する平面状の発光体を考え、発光体内における光強度をP(単位:フォトン数s−1)とし、発光が等方的であると仮定する。この発光を空気中の放射輝度計(すなわち、垂直から狭い範囲の角度において、単位立体角当たりのフォトン数を測定することができる装置)で測定すると、発光体の屈折率による立体角の広がりを考慮すれば、この放射輝度計による輝度の測定値L(単位:フォトン数Sr−1−2−1)は、以下の式で与えられる。
Figure 2006190633
式(1)から、発光体の屈折率nが小さいほど、発光体の輝度Lが高くなることが分かる。たとえば、n=1.4の場合とn=1.5の場合とを比較すると、輝度Lとして13%ほどの差異が得られる。したがって、単純に発光体の屈折率が低いほど発光体が明るく観察されることになる。
しかしながら、色変換方式を用いる場合はさらに考慮すべき点がある。すなわち蛍光色素を含む色変換フィルターは、含有される蛍光色素による発光体として機能するが、その光強度は入射光に依存するのである。したがって、光源から色変換フィルターへの光伝達、すなわち、色変換フィルターの屈折率を変化させた場合に色変換フィルターへの入射光量が変化する点を考慮する必要がある。層2の屈折率をnとして、層2から層1(屈折率n)への光の入射光率ηは、以下の式(2)で与えられる(非特許文献1参照)。
Figure 2006190633
さらに、層2内部の光強度をP(単位:フォトン数s−1)とすると、層1内部の入射光強度P(単位:フォトン数s−1)は、以下の式(3)で与えられる。
=η (3)
層2を光源とし、層1を色変換フィルターとすると、色変換フィルターに入射する光は蛍光色素に吸収されて、異なる色相の光に変換される。蛍光色素の吸収係数をK、蛍光色素の蛍光量子収率をηとすると、変換光の光強度Pは、以下の式(4)で与えられる。
=Kη (3)
式(1)に、式(2)〜式(4)を代入すると、以下の式(5)が得られる。
Figure 2006190633
ここで、層2の屈折率nを2.0(慣用の有機EL素子における有機EL層の代表的な屈折率値である)とし、層1の屈折率nの変化に伴う輝度Lの変化のグラフを図4に示した。図4から分かるように、層1(色変換フィルター)の屈折率が層2(有機EL層)の屈折率に近いほどLが増大する。このように、従来の知見に基づく数式の誘導では、色変換フィルターの屈折率が有機EL層の屈折率に近いほど光の取り出し効率(Pに対するLの比)を向上させることができるという結果が得られる。
一方、カラーディスプレイとして必要な要件としては、高い輝度、効率、色再現性に加えて、高い安定性が挙げられる。しかし、有機蛍光色素を高分子樹脂へ分散させた色変換フィルターにおいては、色素を励起する波長の照射に伴い、蛍光輝度が低下することが知られている(特許文献1参照)。これは、励起状態にある色素が蛍光を発し、基底状態へと変化するのではなく、高分子樹脂成分と反応し、機能を失活することが原因と推定される。
蛍光色素の失活防止を目的として、蛍光色素を不活性な微粒子中に包含したものを、高分子樹脂中に分散させることが提案されている(特許文献2参照)。しかし、この形態においても微粒子表面付近の色素と樹脂との反応を完全に防止するまでには至っておらず、大画面TVのように、数万時間の耐久性を要求される用途に対し、十分な耐久性を有する色変換フィルターが実現できていないのが現状である。
特許第2795932号公報 特開2000−212554号公報 特開平08−005829号公報 特開平07−333418号公報 三上明義著、「有機ELディスプレイにおける材料技術と素子の作成」(技術情報協会)、第25頁
しかしながら、実験的には色変換フィルターの高屈折率化による効率の向上は実現できていない。前述のような知見以外の要因が光伝達に影響しているためと考えられる。したがって、本発明の課題は、光源からの光伝達および色変換フィルターからの光取り出しを高効率化することが可能な色変換フィルター基板を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、色変換フィルターの耐光性を低下させる主要因である、励起状態の色素とマトリクスとの反応を高い確率で抑止し、耐久性に優れた色変換フィルター基板を提供することにある。
本発明者らは、有機EL素子から色変換フィルターへの光伝達に注目し、鋭意検討を重ねた結果、色変換フィルターの屈折率を1.30以上1.48以下の範囲とすることによって、前述の光源からの光伝達および色変換フィルターからの光取り出しの高効率化という課題を解決できることを見出した。
また、前述の屈折率を達成するためにシロキサン結合を有する、ストレート型シリコーンポリマーもしくは樹脂変性型のシリコーンポリマーを蛍光色素のマトリクスとして用いることによって、励起状態の色素とマトリクスとの反応を高い確率で抑止し、優れた耐久性を与えるという課題をも解決できることを見出した。
また、上記色変換フィルター基板と、有機EL素子を組み合わせることにより、高精彩で長寿命な多色発光デバイスを実現することができる。
以上の構成を採ることによって、色変換された光を高い効率で取り出すことができ、光の照射に伴って蛍光強度の低下することがない、耐久性に優れた色変換フィルターを提供することが可能となる。加えて、本発明の色変換フィルターを用いることにより、高い発光輝度を有し、かつ駆動耐久性に優れた多色発光デバイスを提供することができる。
種々の検討の結果、本発明者らは、色変換フィルター基板と光源としての有機EL素子とを組み合わせる際に最も重要な特性が、有機EL素子の発光の角度依存性であることを見出した。加えて、大気中に配置した有機EL素子の発光の角度依存性はほとんど意味をなさないことを見出した。なぜなら、大気中に有機EL素子を配置した場合、有機EL素子の構成材料(特に発光の出射面となる透明基板)と大気との屈折率差によって、出射面の法線から大きく傾いた角度の領域において出射面/大気界面において全反射が起こり、測定すべき法線±90゜の角度範囲のうち、非常に小さい角度範囲についての角度依存性のみが測定可能であるからである。そこで、本発明者らは、有機EL素子を、その出射面である透明基板と同等の屈折率を有する油中に浸漬させて発光を測定することにより、充分に広い角度範囲における有機EL素子発光の角度依存性を測定した。測定結果の一例を図5に示す。なお、図5において、発光の角度は、出射面法線からの角度(したがって、色変換フィルターへの入射角に相当する)で示した。
図5のデータから分かるように、有機EL素子の発光は、出射角(出射面法線からの角度)が大きくなるにつれて著しく減衰し、特に75゜以上の出射角では最大値(法線方向への発光)の20%以下まで減衰していることが分かる。現在のところ、有機EL素子の発光強度の出射角依存性に関する厳密な理論的解釈は得られていないが、出射角が大きな領域において古典光学からは予想できない挙動をするとともに、素子内における出射までの光路長が長くなることによって有機EL素子内部での吸収が発生して、上記の減衰が起こっているものと考えられる。図5のデータは、輝度計を用いて測定した各々の角度付近の微小角度範囲における有機EL素子の発光強度であるが、これを用いて色変換フィルター中での蛍光色素の励起に寄与する光量を見積もることができる。色変換フィルター中での蛍光色素の励起に寄与する光量は、各角度における色変換フィルターへの入射光量の総量(図5のデータにsinθ/2πを乗じることによって得られる)、各角度における色変換フィルター中の光路長および吸収スペクトルを用いて得られる、各角度における色変換フィルターの吸収光総量として見積もることができる。図7に、各角度における色変換フィルターの吸収光総量のグラフを示した。図7から、実際の有機EL素子から色変換フィルターへ入射し、該フィルター中の蛍光色素を励起することができる光量は、45度付近の角度で最も多く、大きな角度および小さい角度では比較的に少ないことが分かる。
一方、色変換フィルターの屈折率を減少させた場合、高屈折率の有機EL素子から低屈折率の色変換フィルターへ発光が入射する際に、その臨界角より大きな入射角を有する成分は界面において全反射されて色変換フィルター内に入射しないと考えられる。しかしながら、上記の測定で明らかになったように全反射される角度範囲においては発光量そのものが小さいために、それら成分が色変換フィルター内に入射しないとしても、色変換フィルター内の蛍光色素の励起強度(式(3)のPに相当する)への寄与は小さく、したがって色変換を受けた光の強度(式(4)のPに相当する)への寄与も小さいものと考えた。
また、色変換フィルター内での発光をもたらす蛍光色素は、色変換フィルター内でランダムに配置されており、かつ色変換フィルターの膜厚が約10μm程度と大きいため干渉の影響も受けにくいと考えられる。このことから、色変換フィルター内での発光は等方的と考えることが妥当である。また、式(1)から理解できるように、色変換フィルターの発光の大気中への取り出しは、色変換フィルターの屈折率(式(1)のnに相当する)を低下させれば、確実に増大すると考えられる。
以上のように、色変換フィルターの屈折率を低下させた場合、有機EL素子からの入射光量の低下が小さいこと、および色変換フィルターからの光取り出し効率が増大することの2つの現象があいまって、発光強度を増大させることができると考えられる。発光強度の屈折率依存性に関する上記の考察を数値的に検討した。有機EL素子の発光強度の発光角度依存性として実測値(図5に示した)を用い、色変換フィルターへの入射時の効率、色変換フィルター中での蛍光色素励起量、および色変換フィルターからの取り出し効率をそれぞれ求めて、乗算を行うことによって、有機EL素子と色変換フィルターを組み合わせた際の色変換フィルター出力光の発光強度の屈折率(n)依存性を求めることができる。図8にこの結果を示した。また、比較のために、等方的光源(Lambertian)を仮想的に設定して計算した結果を併せて示した。図8から、等方的光源では色変換フィルターの屈折率nを低下させると直ちに発光強度の低下につながるのに対して、本発明のように有機EL素子を光源として用いる場合、逆に屈折率を低下させることが有利であることが分かる。実際、色変換フィルターの屈折率を1.30以上とし、慣用の色変換フィルターの屈折率1.55よりも小さい1.50以下とすることによって、光取り出し効率の増大の効果が入射光量の低下の効果を上回って発光強度が増大することが明らかとなった。本発明の色変換フィルターの屈折率は、1.30以上1.50以下、好ましくは1.33以上1.50以下、より好ましくは1.36以上1.48以下、および最も好ましくは1.41以上1.45以下に設定することができる。
上記の範囲内の屈折率を得ることができる色変換フィルター用のマトリクスとして、有機高分子ポリマー、シリコーン系ポリマー、およびそれらポリマー中に微小な空気泡を混入して形成したエアロゲルを挙げることができる。これら材料のうち、蛍光色素を安定的に分散させることができ、かつ蛍光色素の蛍光発光能を阻害しないまたは向上させることが可能である材料として、好ましくは、シロキサン結合を有する、ストレート型シリコーンポリマーもしくは樹脂変性型のシリコーンポリマーを用いることができる。典型的なシリコーン系ポリマーは、1.40〜1.45の屈折率を有する。
さらに、シリコーンポリマー(あるいは、モノマーまたはオリゴマーであるシラン誘導体類)と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂から選択される有機系樹脂(あるいは、それらのモノマーまたはオリゴマー)との共重合体である樹脂変性型のシリコーンポリマーを用いることによって、種々の蛍光色素を色変換フィルター中に添加することが可能となる。
たとえば、色変換フィルター中に含まれる色素の内、たとえばローダミン類のようなイオン性染料の溶解性はマトリクスのpHに大きく依存し、また、クマリン類のような非イオン性染料の溶解性は、マトリクスのpHではなく、マトリクスの親水性・親油性に依存する傾向がある。従って、イオン性染料と非イオン性染料の両者を単種のマトリクスへ溶解させることはマトリクスの選択幅を狭くしてしまうことになってしまう。また、その狭い選択幅の中で、機械的物性と光学的物性、さらには色素の耐光性を全て保持させることは非常に困難である。そこで、複数の染料を添加する際は、それぞれの染料と相性の良いマトリクスが混在する形が好ましい。具体的には、前述のシリコーンと有機系樹脂をハイブリッド化した樹脂変性型のシリコーンポリマーが適用できる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の色変換フィルターの一実施例の断面概略図であり、3色のうち、2色を色変換フィルターを通じて出力する際の例であり、保護層により色変換フィルターの表面を被覆した状態のものを図示してある。また、図2は1色のみ色変換フィルターを通じて出力する際の例であり、図1と同様に、保護層により色変換フィルターの表面を被覆した状態のものを図示してある。
図3は本発明の色変換フィルターと、発光体としての有機EL素子とを組み合わせた多色発光デバイスの一実施例の断面概略図である。
以下、各構成要素について実施形態を説明する。
[透明な支持基板1]
図1および図2において、透明な支持基板1は可視光透過率に優れ、また、色変換フィルターおよび多色発光デバイスの形成プロセスにおいて、色変換フィルターあるいは多色発光デバイスの性能低下を引き起こさないものであれば良く、例としてはガラス基板、各種プラスチック基板、若しくは各種フィルム等が挙げられる。
[カラーフィルター2,4,6]
本発明の色変換フィルター基板において、異なる波長域の光を透過させる少なくとも2種類のカラーフィルターが、それぞれ独立して配置される。図1および図2において、カラーフィルター2,4,6は、お互いに異なる波長域に透過域を有するカラーフィルターである。例えば、カラーフィルター2は赤色領域の光を透過する赤色カラーフィルターであり、カラーフィルター4は緑色領域を透過する緑色カラーフィルターであり、カラーフィルター6は青色領域を透過する青色カラーフィルターであることができる。各色のカラーフィルター2,4,6は、発光体から発せられた光または後述の色変換フィルターにおいて異なる波長に変換された光の色純度を向上させるための層である。カラーフィルターは液晶ディスプレイをはじめとした、ディスプレイ用途のものが適用でき、一般的には顔料を高分子バインダー中へ分散したものである。
[色変換フィルター3,5]
本発明の色変換フィルター基板において、少なくとも1種以上のカラーフィルターを含む。本発明における色変換フィルターとは、蛍光色素のように、ある波長域の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長の発光を行う物質をマトリクス中に分散させたものを指す。本発明においては、マトリクスがシリコーンポリマー、もしくはシリコーンポリマーと有機高分子樹脂のハイブリッド材料(樹脂変性型シリコーンポリマー)となっている。
色変換フィルター3および5は、それぞれ、入射する光の一部を吸収し、異なる波長の光を発光する機能を有したものであり、例えば、色変換フィルター3を赤色光を放出する赤色変換フィルターとし、色変換フィルター5を緑色光を放出する緑色変換フィルターとすることができる。
色変換フィルターとともに、対応する色のカラーフィルターを用いる場合には、色変換フィルターはカラーフィルター上に積層されることが望ましい(たとえば、図1における赤色カラーフィルター2上の赤色変換フィルター3)。また、紫外光ないし青色光を発する発光部と組み合わせてフルカラー表示を行うことが所望される場合、図1に示すように赤色カラーフィルター2上の赤色変換フィルター3、および緑色カラーフィルター4上の緑色変換フィルター5の両方を用いることが望ましい。あるいはまた、青緑色光を発する発光部と組み合わせてフルカラー表示を行うことが所望され、該発光部が十分な量の緑色成分を含む場合には、図2に示すように、赤色カラーフィルター2上に赤色変換フィルター3を配設するのみとし、緑色変換フィルターを用いない構成としてもよい。
(蛍光色素)
発光体(有機EL素子を含む)から発する青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−13−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
また、発光体から発する青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
(マトリクス)
以下、マトリクスとして用いることができるストレート型シリコーンポリマー、および変性樹脂型シリコーンポリマーについて詳細に述べる。
ストレート型シリコーンポリマーとは、有効成分がシリコーンのみからなるもので、他のシリコーン製品と同様に−Si−O−Si−結合を主鎖とし、メチル基などのアルキル基またはフェニル基などの芳香族基を側鎖に持つ。硬化後は非常に架橋密度の高い、三次元架橋構造を形成し、固い皮膜を形成する等の利点を有する。
ストレート型シリコーンポリマーは、下式(IV)に示すようなシラン誘導体を単量体として脱水縮重合させたもので、分岐状構造をとる。ここで、単量体(IV)中に、3官能単量体(n=1の場合)、4官能単量体(n=0の場合)を多く含むことによって、分岐状構造を発達させ、架橋密度を向上させることができる。
Si(OR)4−n (IV)
式中、Xはメチル基またはフェニル基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、または置換機を有してもよいアリール基を表す。式(IV)の単量体中にXおよびRが複数存在する場合、XおよびRは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。n=0〜2の整数、好適にはn=1〜2が望ましい。一般的にnが小さくなれば、架橋部位が増え、硬度も増す。
得られるストレート型シリコーンポリマーは、下式(I)、(II)および/または(III)の構成単位を含むポリマーである(式中、R〜Rは、それぞれアルキル基またはフェニル基である)。ストレート型シリコーンポリマーは、式(I)〜(III)の複数種の構成単位を含んでもよい。
Figure 2006190633
〜Rがメチル基であるメチルシリコーン系ポリマーは、Xがメチル基である式(IV)の単量体から形成されるポリマーである。メチルシリコーン系ポリマーは、単量体(IV)中のSi−ORが加水分解されて得られるシラノール基Si−OHを多量に含むことができ、水−アルコールに親和性を有する。そのようなメチルシリコーン系ポリマーは、溶液中でシリカゾルまたはアルミナゾルを組み合わせることにより極めて硬い皮膜を形成し、ハードコート剤としてプラスチックの表面硬質化に使用されている。R〜Rがフェニル基であるフェニルシリコーン系ポリマーは、Xがフェニル基である式(IV)の単量体から形成されるポリマーであり、メチルシリコーン系ポリマーに比べて優れた皮膜強度を有する。
上記のストレート型シリコーン樹脂の具体例としては、KP−85、KP−64、X−12−2206、X−12−2396、X−12−2397(信越化学工業株式会社製)、SH804、SH805、SH806A、SH840、SR2400(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)などがあるが、これらに限定されるものではない。
一般的に、樹脂変性型シリコーンポリマーは、シリコーン架橋体と有機系樹脂とがブロック共重合またはグラフト共重合したもの、またはエーテル結合を介して重縮合したものである。より具体的には、−OH基、−COOH基、−O−(エポキシ)基等の反応性官能基を有する有機系樹脂と、様々な分子量を持ち、比較的多くのシラノール基、メトキシ基などのアルコキシ基を有するシリコーン樹脂との反応生成物である。有機系樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
樹脂変性型シリコーンポリマーは、シリコーン樹脂の持つすぐれた耐熱性、耐環境安定性に加えて、有機系樹脂の持つ柔軟性、密着性、耐水性、製膜性、電気絶縁性などの特性を併せ持つ有機−無機ハイブリッド材料として知られており、具体的には、イミド変性シリコーン樹脂(特許文献3参照)、シリコーン変性ポリエステル樹脂(特許文献4参照)などが提案されている。樹脂変性型シリコーンポリマーは、イオン性染料および非イオン性染料の両方に対して適合性を有するマトリクスとして有用である。但し、有機系樹脂は励起状態の色素と反応し、色素機能を失活させることから、その添加量は最低限に留めるべきである。具体的には、該ポリマーの全重量を基準とする固形分比率で5重量%〜30重量%程度が好ましい。
一例としては、アルコキシシリル基を有する単量体を用いて有機系樹脂を作製した後に、該アルコキシシリル基を前述の式(IV)の単量体と反応させることによって、樹脂変性型シリコーンポリマーを形成することもできる。ここで、該アルコキシシリル基は、1〜3個のアルコキシ基を有するものであってもよい。
あるいはまた、一般的には、シランカップリング剤と称される、下式(V)で表される構造を有するシラン化合物を用いることで、有機と無機のハイブリッド化が簡便に行うこともできる。
Si(OR)4−n (V)
ここで、Yは、メルカプト基、アジド基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの有機系樹脂と反応可能な置換基を有する有機基であり、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、または置換機を有してもよいアリール基を表す。nは1〜3の整数を示し、好ましくは2〜3である。最初に有機系樹脂と式(V)のシラン化合物とをY上の置換基において反応させ、次に式(V)に由来するSi−OR基によってシリコーン樹脂と結合可能となる。
これらの式(V)の構造を有するシラン化合物の一例として、例えば、SH6020,SZ6030,SH6040,SZ6075(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)など、数社で製品化されているものを使用することもできるが、これらに限定されるものではない。
上記の樹脂変性型シリコーンポリマーの具体例としては、SR2107、SR2115、SR2145(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)などがあるが、これらに限定されるものではない。
[保護層7]
保護層7は、その名の通りに色変換フィルターを保護する目的、および膜面の平滑化を目的として、任意選択的に配設されるものである。保護層7は、光透過性に富む材料から形成され、かつ色変換フィルターを劣化させることのないプロセスを選択して配設する必要がある。また、保護層7の上面に無機ガスバリア膜または電極として用いられる透明導電膜等を形成する場合、保護層7には、さらにスパッタ耐性も要求されることとなる。
前述の通り、保護層7は平滑化の目的も併せ持つため、一般的には塗布法で形成される。その際、適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものが一般的である。また、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
具体的に光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂とは、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤からなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルや熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤からなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドからなる組成物膜を光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどが挙げられる。特に(1)の光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
その他、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂;または、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて保護層7を形成することができる。あるいはまた、色変換フィルターのマトリクスにも適用している、ストレート型シリコーンポリマー、あるいはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性あるいは4官能性のアルコキシシランとから形成される樹脂変性型シリコーンポリマー等も利用することができる。
本発明の色変換フィルター基板を、有機発光素子と組み合わせる場合、色変換フィルターから発生する水分から有機発光素子を保護する目的で、保護層上面にガスバリア層(図示せず)を積層しても良い。ガスバリア層は透明且つピンホールのない緻密な膜が求められ、例えばSiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物または無機窒化物等が使用できる。該ガスバリア層の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法等の慣用の手法により形成できる。
[有機EL素子]
図3に示す発光体としての有機EL素子は、一対の電極(第1電極8および第2電極10)の間に有機EL層9を挾持し、有機EL層9は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有している。あるいはまた、正孔の注入および輸送の両方の機能を有する正孔注入輸送層、電子の注入および輸送の両方の機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。具体的には、有機EL素子は下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の層構成において、陽極および陰極の少なくとも一方は、該有機EL素子の発する光の波長域において透明であることが望ましく、および透明である電極を通して光を発して、前記色変換フィルターまたはカラーフィルターに光を入射させる。当該技術において、陽極を透明にすることが容易であることが知られており、本発明においても第1電極8を透明な陽極として、および第2電極10を陰極として用いることが望ましい。
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。例えば、有機発光層として青色から青緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
図3に示すように第1電極8および第2電極10のパターンは、それぞれ平行なストライプ状をなし、該パターンが互いに交差するように形成されてもよい。その場合には、本発明の有機EL素子はマトリクス駆動を行うことができ、すなわち、陽極の特定のストライプと、陰極の特定のストライプに電圧が印加された時に、それらのストライプが交差する部分において有機EL層9が発光する。したがって、第1電極8および第2電極10の選択されたストライプに電圧を印加することによって、特定の色変換フィルターおよび/またはカラーフィルターが位置する部分のみを発光させることができる。
また、第1電極8をストライプパターンを持たない一様な平面電極とし、および第2電極10を各画素に対応するようにパターニングしてもよい。その場合には、各画素に対応するスイッチング素子を設けて各画素に対応する第2電極10に1対1で接続して、いわゆるアクティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。
以下、本発明のパターニング法を適用した場合の1つの例を、図面を参照しながら説明する。
[実施例1]
(カラーフィルター)
基板1であるコーニング社製1737ガラス上に、富士フィルムARCH製CR7001、CG7001、CB7001を用い、フォトリソグラフ法にて、それぞれが重ならないように、幅0.10mm、ピッチ0.33mmのストライプパターンを形成して、赤色カラーフィルター2、緑色カラーフィルター4、および青色カラーフィルター6を得た。各カラーフィルターの膜厚は1.0μmであった。さらに、青色カラーフィルター6であるCB7001の上面にのみ、新日鐵化学製V259PAP5を用い、フォトリソグラフ法にて、厚み10μm、幅0.10mm、ピッチ0.33mmの透明なストライプパターンを形成した。これは、赤色・緑色の色変換フィルターが形成された際に、色ごとの膜厚差を生じないように形成するものである。
(緑色変換フィルター)
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。該溶液に対して100重量部の新日鐵化学製V259PAP5を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用い、フォトリソグラフ法にて、緑色カラーフィルターの上面へ、幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmのパターンを形成して、緑色変換フィルター5を得た。
(赤色変換フィルター)
蛍光色素としてローダミン6G(0.3重量部)およびベーシックバイオレット11(0.3重量部)を、100重量部の信越化学工業製シリコーンポリマーKP854に加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用い、スクリーン印刷法により、幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmのパターンを形成して、赤色変換フィルター3を得た。エリプソメトリー法によって測定された赤色変換フィルター3の屈折率は、1.43であった。
(保護層の形成)
新日鐵化学製V259PAP5を用い、前記色変換フィルターおよびカラーフィルター上面へ保護層7を形成した。保護層7の膜厚は5μmとした。
(ガスバリア層の形成)
スパッタ法にて、0.5μmのSiOx膜からなるガスバリア層を得た。スパッタ装置はRF−ブレーナマグネトロン、ターゲットはSiOを用いた。製膜時のスパッタガスはArを使用した。形成時の基板温度は80℃で行った。
(有機EL素子の作製)
上記のようにして製造したフィルター部の上に、陽極/有機EL層(正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層の4層)/陰極を順次形成して、図3に示すような有機EL素子を形成して、多色発光デバイスを得た。
まず、フィルター部の最外層をなすガスバリア層の上面にスパッタ法にて透明電極(ITO)を全面成膜した。ITO上にレジスト剤「OFRP−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色,緑色、および青色)に位置する、幅0.094mm、ピッチ0.10mm、膜厚100nmのストライプパターンからなる第1電極8(陽極)を得た。
次いで、前記陽極を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミニウムキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、真空を破ることなしに、第1電極8(ITO)のラインと直交する幅0.30mm、ピッチ0.33mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、第2電極10(陰極)を形成した。
こうして得られた有機発光素子をグロープボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤を用いて封止した。
[比較例1]
赤色変換フィルターの作製において、蛍光色素としてローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を、100重量部の新日鐵化学製V259PAP5に加えて溶解させたものを塗布液とし、フォトリソグラフ法で赤色変換フィルターを形成した以外は、実施例1と同一の形成方法にて多色発光デバイスを形成した。エリプソメトリー法によって測定された赤色変換フィルターの屈折率は、1.55であった。
[評価]
実施例および比較例にて形成した多色発光デバイスを電流量一定にして駆動し、各色輝度の駆動時間依存性を評価した。第1表に各デバイスの初期の赤色発光輝度を示す。また、図6に各デバイスの赤色輝度の駆動時間依存性を示す。
Figure 2006190633
第1表から、本発明にしたがう実施例1の多色発光デバイスの初期赤色発光輝度は、比較例1のデバイスに比較して著しく大きいことが分かる。これは、赤色変換フィルターのマトリクスとして所定の屈折率を有するシリコーンポリマーを用いたことによって、光の取り出し効率が向上した結果である。また、図6から分かるように本発明の色変換フィルター基板を用いた実施例1の赤色輝度は、比較例1に較べ、大幅に輝度保持率が向上していることがわかる。これは、赤色変換フィルター中の色素の駆動による劣化が効果的に抑制された結果である。
本発明の色変換フィルター基板(1画素分)の1つの実施形態を示す断面図である。 本発明の色変換フィルター基板(1画素分)の別の実施形態を示す断面図である。 本発明の多色発光デバイス(1画素分)の1つの実施形態を示す断面図である。 式(5)から計算される、輝度Lの屈折率nに対する依存性を示すグラフである。 有機EL素子の発光の角度依存性の一例を示すグラフである。 実施例1および比較例1のデバイスの赤色輝度の駆動時間依存性を示すグラフである。 色変換フィルターの吸収光総量の角度依存性の一例を示すグラフである。 有機EL素子と色変換フィルターとを組み合わせた際の、色変換フィルターの出力光発光輝度の屈折率依存性を示すグラフである。
符号の説明
1 透明な支持基板
2 赤色カラーフィルター
3 赤色変換フィルター
4 緑色カラーフィルター
5 緑色変換フィルター
6 青色カラーフィルター
7 保護層
8 第1電極
9 有機EL層
10 第2電極

Claims (6)

  1. 透明な支持基板と、それぞれ異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種類以上のフィルターを独立して配列したカラーフィルターと、ある波長の光を吸収し、吸収波長と異なる波長を含む光を出力する、少なくとも1種以上の色変換フィルターとを含む色変換フィルター基板であって、
    前記少なくとも1種以上の色変換フィルターは、ある波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する色素をマトリクス中に分散して構成されており、前記色変換フィルターは1.30以上1.48以下の屈折率を有することを特徴とする色変換フィルター基板。
  2. 前記マトリクスはストレート型シリコーンポリマーまたは樹脂変性型シリコーンポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルター基板。
  3. 前記ストレート型シリコーンポリマーが、式(I)、(II)および(III)
    Figure 2006190633
    で示される単位構造(式中、R〜Rのそれぞれは、アルキル基またはフェニル基である)から成ることを特徴とする請求項2に記載の色変換フィルター基板。
  4. 前記色変換フィルターの少なくとも1種は、少なくとも1種以上のローダミン系色素を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の色変換フィルター基板。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の色変換フィルター基板と、有機EL素子とを組み合わせて形成されている多色発光デバイス。
  6. 請求項1から4に記載の色変換フィルター基板を準備する工程と、
    前記色変換フィルター基板の色変換フィルター上に保護層を配設する工程と、
    前記保護層上にガスバリア層を配設する工程と、
    前記ガスバリア層上に、有機EL素子を配設する工程と
    を具えたことを特徴とする多色発光デバイスの製造方法。
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