以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N2))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83はガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。なお、処理ガスは窒素ガスに限定されるものではなく、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス、または、酸素(O2)、水素(H2)、塩素(Cl2)、塩化水素(HCl)、オゾン(O3)、アンモニア(NH3)などの反応性ガスであっても良い。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。また、図3は、保持部7を上面から見た平面図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプター74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプター74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状の石英部材である。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。円環形状を有する基台リング71の上面に、その周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。なお、基台リング71の形状は、円環形状から一部が欠落した円弧状であっても良い。
平板状のサセプター74は、基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。サセプター74は、石英にて形成された円形の保持プレートであり、処理対象となる半導体ウェハーWを載置して保持する。サセプター74の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、サセプター74は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。また、サセプター74の厚さは適宜のものとすることができるが、例えば2.5mmである。
サセプター74の上面には、複数個の支持ピン75が立設されている。本実施形態においては、円形のサセプター74の外周円と同心円の周上に沿って60°毎に計6本の支持ピン75が立設されている。6本の支持ピン75を配置した円の径(対向する支持ピン75間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さい。それぞれの支持ピン75は石英にて形成されている。複数の支持ピン75は、サセプター74の上面に穿設された凹部に嵌着して立設すれば良い。
また、サセプター74の上面には、複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76が立設されている。5個のガイドピン76もサセプター74の外周円と同心円の周上に沿って設けられている。但し、5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。各ガイドピン76も石英にて形成されている。さらに、サセプター74には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプター74の下面周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプター74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプター74は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプター74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。図4は、半導体ウェハーWを保持したサセプター74を示す図である。半導体ウェハーWは、サセプター74の上面に立設された6本の支持ピン75によって点接触にて支持されてサセプター74に保持される。すなわち、半導体ウェハーWは6本の支持ピン75によってサセプター74の上面から所定の間隔を隔てて支持されることとなる。図4では図示を省略しているが、支持ピン75の高さよりもガイドピン76の高さの方が高い。従って、6本の支持ピン75によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドピン76によって防止される。
また、図4に示すように、サセプター74の底面には溝部77が形設されている。図5は、サセプター74の溝部77の近傍を拡大した図である。サセプター74の底面(ハロゲン加熱部4と対向する面)には、半導体ウェハーWの外周端に対応する円環状に溝部77が形設されている。本実施形態においては、溝部77の内径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。
図5に示すように、第1実施形態の溝部77の断面形状は鋭角三角形である。この鋭角三角形のサセプター74中心側に臨む辺によって円環状の屈折面77aが形成される。屈折面77aは平滑面とされている。屈折面77aを形成する鋭角三角形の辺とサセプター74の底面とのなす角度αは105°以上115°以下であり、第1実施形態では110°である。なお、鋭角三角形のサセプター74外周に臨む辺とサセプター74の底面とのなす角度については適宜のものとすることができる。この溝部77による作用についてはさらに後述する。
図6は、移載機構10の平面図である。また、図7は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図6の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図6の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプター74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLはチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行う。図8は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図8に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。さらに、熱処理装置1には、サセプター74に保持された半導体ウェハーWの温度を測定する温度センサー(放射温度計および/または接触式温時計)が設けられている。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプター74の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12はサセプター74の支持ピン75の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプター74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。
半導体ウェハーWは、サセプター74上に立設された6本の支持ピン75によって点接触にて支持されてサセプター74に保持される(図4,5参照)。半導体ウェハーWは、その中心がサセプター74の中心軸と一致するように(つまり、サセプター74の上面の中央に)、6本の支持ピン75によって支持される。支持ピン75によって支持された半導体ウェハーWの周囲は5本のガイドピン76によって取り囲まれる。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面としてサセプター74に保持される。複数の支持ピン75によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)とサセプター74の上面との間には所定の間隔が形成される。サセプター74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが保持部7のサセプター74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプター74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が図示を省略する温度センサーによって測定されている。測定された半導体ウェハーWの温度は当該温度センサーから制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、温度センサーによって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を制御して半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に所定時間維持している。
ところで、予備加熱中の半導体ウェハーWには中心部分に比較して周縁部の温度が低くなりやすい傾向が認められる。このような現象が生じる原因としては、半導体ウェハーWの周縁部からの熱放射、或いは半導体ウェハーWの周縁部から比較的低温のサセプター74への熱伝導などが考えられる。
このため、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなるように構成されており、半導体ウェハーWの中心部よりも周縁部に向かう光量が多くなるようにしている。また、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によっても半導体ウェハーWの周縁部に向けて反射する光量が多くなる。
このようにして半導体ウェハーWの中心部よりも周縁部に照射されるハロゲン光量を多くしたとしても、なお半導体ウェハーWの周縁部における温度低下を解消することは困難である。この傾向は、ハロゲンランプHLと保持部7に保持された半導体ウェハーWとの距離が大きくなるにつれて顕著となる。
このため、第1実施形態のサセプター74の底面、つまりハロゲン加熱部4のハロゲンランプHLと対向する面には断面形状が鋭角三角形となる溝部77を円環状に形設している。従来のようにサセプター74に溝部77が形設されていない場合には、ハロゲンランプHLから出射された光の光路は図9に示すようなものとなる。上述したように、ハロゲン加熱部4には上下2段に40本のハロゲンランプHLが設けられており、図9にはそれらのうちの端部近傍に配置されたハロゲンランプHLから出射された光の光路を模式的に示す。
サセプター74に保持された半導体ウェハーWよりも外側に配置されたハロゲンランプHLから直上に向けて出射された光は、屈折することなくサセプター74に入射して進行し、サセプター74から空気中に出射するときにも屈折せずに直進する。よって、このような光は半導体ウェハーWに照射されることなくウェハー側方を通過する。また、半導体ウェハーWよりも外側に配置されたハロゲンランプHLから斜め上方に向けて出射された光の一部は、空気中からサセプター74に入射するときとサセプター74から空気中に出射するときに屈折して進行するものの、半導体ウェハーWに照射されることなくその側方を通過する。すなわち、ハロゲン加熱部4の端部近傍に配置されたハロゲンランプHLから出射された光の一部は、半導体ウェハーWに照射されて予備加熱に使用されることなく無駄になっていた。
本実施形態においては、サセプター74の底面に溝部77を形設している。このため、ハロゲンランプHLから出射された光の挙動は図9とは異なる。図10は、ハロゲンランプHLから出射された光が第1実施形態のサセプター74を通過するときの光路を示す図である。サセプター74に保持された半導体ウェハーWよりも外側に配置されたハロゲンランプHLから直上に向けて出射された光のうち溝部77の屈折面77aに到達した光は入射時に屈折して光路が鉛直方向から半導体ウェハーWの中心側に傾く。その光路が傾いた光はサセプター74の上面から空気中に出射するときに、屈折面77aで屈折したときよりも大きく半導体ウェハーWの中心側に屈折する。その結果、図9ではハロゲンランプHLから直上に向けて出射されて半導体ウェハーWの側方を通過していた光が溝部77で屈折されて半導体ウェハーWの周縁部に照射されることとなる。
また、図9において、ハロゲンランプHLから半導体ウェハーWの中心側へと向かう斜め上方に出射されてサセプター74によって屈折されたものの半導体ウェハーWの側方を通過していた光も、図10に示すように、溝部77の屈折面77aに入射することによって光路が大きく傾き、半導体ウェハーWの周縁部に照射されることとなる。さらに、図9において、ハロゲンランプHLから半導体ウェハーWの中心側へと向かう斜め上方に出射されてサセプター74によって屈折されて半導体ウェハーWの端縁部に照射されていた光は、溝部77の屈折面77aに入射することによって光路が大きく傾き、半導体ウェハーWの端縁部よりも内側に照射されることとなる。
このように、本実施形態においては、サセプター74の底面に溝部77を設けることにより、従来であれば半導体ウェハーWに照射されることなく無駄に放散されていた光を半導体ウェハーWの周縁部に集光することができる。その結果、予備加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光の光量を増すことができ、予備加熱段階における温度低下を抑制して半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
また、従来であれば半導体ウェハーWの端縁部に照射されていた光が溝部77によってより内側に照射されるため、そこからの伝熱によって半導体ウェハーWの周縁部における温度低下を緩和することができる。これにより、予備加熱時の半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一にすることができるとともに、昇温レートや最大到達温度を向上させることもできる。
このような従来無駄に放散されていた光を半導体ウェハーWの周縁部の全周にわたって適切に集光するためには、サセプター74の底面に溝部77を半導体ウェハーWの外周端に対応する円環状に形設する必要がある。また、第1実施形態のように溝部77の断面形状が鋭角三角形であれば、サセプター74の中心に臨むその鋭角三角形の辺とサセプター74の底面とのなす角度αを105°以上115°以下とする必要がある(図5参照)。
ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
第1実施形態では、ハロゲンランプHLから出射されて半導体ウェハーWの側方を通過していた光の一部をサセプター74の底面に形設された溝部77によって半導体ウェハーWの周縁部に照射することにより、予備加熱段階での半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。その結果、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度も温度センサーによって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプター74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
第1実施形態においては、予備加熱時に半導体ウェハーWを保持するサセプター74の底面に、断面形状が鋭角三角形となる溝部77を円環状に形設している。これにより、従来の溝部77を設けない場合には半導体ウェハーWに照射されることなく無駄に放散されていたハロゲンランプHLからの光が溝部77で屈折されて半導体ウェハーWの周縁部に集光されることとなり、予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の全体構成は第1実施形態と概ね同様である。また、第2実施形態の熱処理装置における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同じである。第2実施形態が第1実施形態と相違するのはサセプター74に形設する溝部の形状である。
図11は、第2実施形態のサセプター74を示す図である。第1実施形態と同様に、サセプター74の底面には、半導体ウェハーWの外周端に対応する円環状に溝部177が形設されている。溝部177の内径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。
図11に示すように、第2実施形態の溝部177の断面形状は鈍角三角形である。この鈍角三角形のサセプター74中心側に臨む辺によって円環状の反射面177aが形成される。反射面177aは平滑面とされている。反射面177aを形成する鈍角三角形の辺とサセプター74の底面とのなす角度βは65°以上75°以下であり、第2実施形態では70°である。なお、鈍角三角形のサセプター74外周に臨む辺とサセプター74の底面とのなす角度については適宜のものとすることができる。
図12は、予備加熱時にハロゲンランプHLから出射された光が第2実施形態のサセプター74を通過するときの光路を示す図である。サセプター74に保持された半導体ウェハーWよりも外側に配置された一部のハロゲンランプHLから直上に向けて出射された光は、サセプター74の底面に入射して溝部177の反射面177aに到達する。この光は、石英から空気への臨界角(約43°〜44°)よりも大きな入射角にて反射面177aに入射するため、反射面177aによって全反射されて光路が鉛直方向から半導体ウェハーWの中心側に傾く。その光路が傾いた光はサセプター74の上面から空気中に出射するときにも半導体ウェハーWの中心側に屈折する。その結果、図9ではハロゲンランプHLから直上に向けて出射されて半導体ウェハーWの側方を通過していた光が溝部177で全反射されて半導体ウェハーWの周縁部に照射されることとなる。
また、図9において、ハロゲンランプHLから半導体ウェハーWの中心側へと向かう斜め上方に出射されてサセプター74によって屈折されたものの半導体ウェハーWの側方を通過していた光も、図12に示すように、溝部177の反射面177aで全反射されることによって光路が大きく傾き、半導体ウェハーWの周縁部に照射されることとなる。さらに、図9において、ハロゲンランプHLから半導体ウェハーWの中心側へと向かう斜め上方に出射されてサセプター74によって屈折されて半導体ウェハーWの端縁部に照射されていた光は、溝部177の反射面177aにて全反射されることによって光路が大きく傾き、半導体ウェハーWの端縁部よりも内側に照射されることとなる。
このように、第2実施形態においては、サセプター74の底面に断面が鈍角三角形の溝部177を設けることにより、従来であれば半導体ウェハーWに照射されることなく無駄に放散されていた光を半導体ウェハーWの周縁部に集光することができる。その結果、第1実施形態と同様に、予備加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光の光量を増すことができ、予備加熱段階における温度低下を抑制して半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
また、従来であれば半導体ウェハーWの端縁部に照射されていた光が溝部177での反射によってより内側に照射されるため、そこからの伝熱によって半導体ウェハーWの周縁部における温度低下を緩和することができる。これにより、予備加熱時の半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一にすることができるとともに、昇温レートや最大到達温度を向上させることもできる。
このような従来無駄に放散されていた光を半導体ウェハーWの周縁部の全周にわたって適切に集光するためには、サセプター74の底面に溝部177を半導体ウェハーWの外周端に対応する円環状に形設する必要がある。また、第2実施形態のように溝部177の断面形状が鈍角三角形であれば、サセプター74の中心に臨むその鋭角三角形の辺とサセプター74の底面とのなす角度βを65°以上75°以下とする必要がある。
サセプター74に形設する溝部177の形状を除く第2実施形態の残余の点については第1実施形態と同じである。第2実施形態においては、予備加熱時に半導体ウェハーWを保持するサセプター74の底面に、断面形状が鈍角三角形となる溝部177を円環状に形設している。これにより、従来の溝部177を設けない場合には半導体ウェハーWに照射されることなく無駄に放散されていたハロゲンランプHLからの光が溝部177で反射されて半導体ウェハーWの周縁部に集光されることとなり、予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、第1および第2実施形態においては、溝部の断面形状を三角形としていたが、これに限定されるものではなく、サセプター74に形設する溝部の断面形状は他の形状であっても良い。
図13および図14は、サセプター74に形設する溝部の他の形状例を示す図である。図13に示すサセプター74の底面には、断面形状が円の一部となる溝部277が形設されている。また、図14に示すサセプター74の底面には、断面形状が楕円の一部となる溝部377が形設されている。図13および図14のいずれにおいても、溝部277,377は、サセプター74の底面に半導体ウェハーWの外周端に対応する円環状に形設されている。
図13および図14の溝部277,377は、レンズ効果によってハロゲンランプHLから出射された光を半導体ウェハーWの周縁部に集光することができる。このため、第1および第2実施形態と同様に、予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
また、上記各実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、上段および下段に複数する配置する形態であれば任意の数とすることができる。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、本発明に係る技術は、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。処理対象となる基板が円形以外(例えば矩形)の場合には、その基板の外周端に対応する環状に溝部は形設される。
また、本発明に係る熱処理技術は、フラッシュランプアニール装置に限定されるものではなく、ハロゲンランプを使用した枚葉式のランプアニール装置やCVD装置などのフラッシュランプ以外の熱源の装置にも適用することができる。特に、チャンバーの下方にハロゲンランプを配置し、石英のサセプターに保持した半導体ウェハーの裏面から光照射を行って熱処理を行うバックサイドアニール装置に本発明に係る技術は好適に適用することができる。