JP2015014750A - 帯電防止機能付きハードコート - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた光学特性、帯電防止性を有する帯電防止機能付きハードコートフィルムを提供するのに適した帯電防止機能付きハードコート組成物を提供すること。
【解決手段】帯電防止剤として4級アンモニウム塩、多官能アクリレート、光重合開始剤、溶剤から成るハードコート組成物であって、4級アンモニウム塩の分子量を1000以上300000以下の範囲内にすることによって、前記ハードコート組成物を透明基材上に塗工したハードコート層の最表面の塩素原子の存在率(X)が0.1at%以上0.3at%以下、前記ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後の塩素原子の存在率(Y)が0.1at%以上0.3at%以下、および0.95≦Y/X≦1を満たすものである。
【選択図】図1

Description

本明細書における開示内容は、窓やディスプレイなどの表面に外光が反射することを防止することを目的として設けられる反射防止フィルムに関する。具体的には、本願に係る開示内容は、液晶ディスプレイ(LCD)、CRTディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などのディスプレイの表面に設けられる反射防止フィルムに関する。その開示内容は、特に、液晶ディスプレイ(LCD)表面に設けられる反射防止フィルムに関する。さらには、その開示内容は、透過型液晶ディスプレイ(LCD)表面に設けられる反射防止フィルムに関する。
一般にディスプレイは、室内外での使用を問わず、外光などが入射する環境下で使用される。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、それによる反射像が表示画像と混合することにより、画面表示品質を低下させてしまう。そのため、ディスプレイ表面等に反射防止機能を付与することは必須であり、反射防止機能の高性能化、反射防止機能以外の機能の複合化が求められている。
一般に反射防止機能は、透明基材上に金属酸化物等の透明材料からなる高屈折率層と低屈折率層の繰り返し構造による多層構造の反射防止層を形成することで得られる。これらの多層構造からなる反射防止層は、化学蒸着(CVD)法、物理蒸着(PVD)法などの乾式成膜法により形成することができる。
乾式成膜法を用いて反射防止層を形成する場合、低屈折率層、高屈折率層の膜厚を精密に制御できるという利点がある。しかし、成膜を真空中でおこなうため、乾式成膜法は生産性が低く、大量生産に適していないという問題を抱えている。他方、反射防止層の形成方法として、大面積化、連続生産、低コスト化が可能である塗液を用いた湿式成膜法による反射防止膜の生産が注目されている。
また、これらの反射防止層が透明基材上に設けられている反射防止フィルムにあっては、その表面が比較的柔軟であることから、表面硬度を付与するために、一般にアクリル系材料を硬化して得られるハードコート層を設け、その上に反射防止層を形成するという手法が用いられている。
湿式成膜法によって形成される反射防止層は、電離放射線硬化型材料を硬化して得られるハードコート層の上に少なくとも低屈折率層を塗布して製造される。この点、湿式成膜法は、乾式成膜法に比べ安価に製造できるメリットがあり、そのような製品は市場に広く流通している。
特開2003−131008号公報 特開2005−231089号公報 特開2005−238651号公報
反射防止フィルムをディスプレイ表面に設けることにより、その反射防止機能によって、外光の反射を抑制することができ、明所でのコントラストを向上させることができる。また、同時に透過率を向上させることができることから画像をより明るく表示可能にすることができる。また、バックライトの出力などを抑える省エネ効果も期待できる。
また、反射防止フィルムは、絶縁性が高いため帯電しやすく、ハードコート層を設けた製品表面への埃等の付着による汚れ、ディスプレイ製造工程において帯電することにより発生する障害といった問題がある。
これらの問題点を克服するために新たに導電性材料を含む帯電防止層を形成する方法、または、ハードコート層に導電性材料を含有させる方法が提案されている。しかし、新たに導電性材料を含む帯電防止層を形成する方法は層数の増加させるため、製造コストが高くなってしまう。また、ハードコート層に導電性材料を含有させる方法は、リコート性の悪化を招くといった課題がある(特許文献1〜3)。
すなわち、優れた光学特性、帯電防止性を両立した反射防止フィルムを提供することを課題の一つとする。
そこで、このような課題を解決するための手段の一例は、塩素原子を特定の存在率で有することで帯電防止能を備える、光学積層体のためのハードコート層である。このハードコート層は、帯電防止性とリコート性と両立し、さらに、当該ハードコート層において当該帯電防止性を付与するための成分(帯電防止剤)の定着性が改善されていることを見出した。
具体的には、上述の課題を解決し得る手段の一例として、以下の構成が提供される。
《1》一態様において、光学積層体に用いられる帯電防止機能付きハードコート層が提供される。このハードコート層は、塗布したハードコート組成物に電離放射線照射することで形成された層である。このハードコート組成物は、4級アンモニウム塩ポリマー、多官能アクリレート、光重合開始剤、溶剤を含む。そして、上述のハードコート層は、X線光電子分光分析で得られた、その最表面の塩素原子の存在率が0.1at%以上0.3at%以下の範囲にある。
《2》一実施形態において、上述のハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後に、前記ハードコート層の最表面をX線光電子分光分析して得られた塩素原子の存在率が0.1at%以上0.3at%以下の範囲にある。
《3》一実施形態において、上述のハードコート層表面をX線光電子分光分析を用いて解析し得られた塩素原子の全存在率をXat%とし、前記ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後に、前記ハードコート層の最表面をX線光電子分光分析を用いて解析して得られた塩素原子の存在率をY(at%)とした場合、
0.95≦Y/X≦1 (1)
を満たす、請求項1又は2に記載の帯電防止機能付きハードコート層とした。
《4》一実施形態において、上述の4級アンモニウム塩ポリマーの重量平均分子量は、1000以上300000以下の範囲内にある。
《5》別の態様において、帯電防止機能付きハードコートフィルムが提供される。この帯電防止機能付きハードコートフィルムは、上述した帯電防止機能付きハードコート層のいずれか、透明基材を順に備える。
《6》一実施形態において、上述のハードコートフィルムは、その透明基材がトリアセチルセルロース又はアクリル樹脂により構成され得る。
《7》別の態様において、帯電防止機能付き反射防止フィルムが提供される。この帯電防止機能付き反射防止フィルムは、上述した帯電防止機能付きハードコートフィルムのいずれかの表面に反射防止層を設けてもよい。
帯電防止機能付きハードコート層によって、例えば、優れた光学特性、帯電防止性を両立した反射防止フィルムを提供することができた。特に、そのハードコート層における塩素原子を特定の存在率にすることにより、リコート性を備え、また熱による帯電防止性の変化を抑えることができ、長期の使用にも耐えうる反射防止フィルムを提供することができた。
図1は、帯電防止機能付きハードコートフィルムの一例の断面模式図である。 図2は、帯電防止機能付き反射防止フィルムの一例の断面模式図である。
本明細書で開示される例示的なハードコート層は、X線光電子分光分析により得られたこの層の最表面の塩素原子の存在率が特定の数値範囲をとり得る。ここで、存在率とは、X線光電子分光分析(XPS)から得られた検出量(原子濃度[単位:atomic%[以下、at%])のことを指す。
X線光電子分光分析は、試料表面の化学状態を分析する装置である。試料にX線(エネルギー:hν)を照射すると、光電効果により元素内の内殻電子が放出される。このときの光電子の運動エネルギー(Ek)は、次の一般式(A)で表される:
Ek=hν−Eb−φ (A)
ここで、内殻電子のエネルギーレベル(束縛エネルギー)Ebは、元素固有の値であり、その元素の化学状態によって変化する。また、右辺の第3項φは、装置や試料の仕事関数である。一方、固体内で電子がエネルギーを保持したまま通過できる距離はせいぜい数十Åである。XPS装置を用いて、試料表面から放出された光電子の運動エネルギーEkとその数を測定することによって、試料表面から数十Åの深さまでに存在する元素の種類、量、および化学状態の分析ができる。
ハードコート層の最表面をXPSで分析した場合に、塩素原子の存在率が0.1at%以上0.3at%以下の範囲であり、好ましくは0.15at%以上0.25at%以下の範囲である。また、当該ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後に、そのハードコート層の最表面をXPSで分析した場合に、塩素原子の存在率が0.1at%以上0.3at%以下の範囲にあり、好ましくは0.15at%以上0.25at%以下の範囲にある。塩素原子の存在率が0.1at%以下の場合は表面抵抗値が発現せず、塩素原子の存在率が0.3at%以上の場合、リコート性は良好とはいえない。
ハードコート層表面をXPS解析して得られた塩素原子の全存在率をXat%とする。他方、当該ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後に、前記ハードコート層の最表面をXPS解析して得られた塩素原子の存在率をYat%とする。このとき、このハードコート層は、次の関係式を満たすことが好ましい:
0.95≦Y/X≦1
Y/X<0.95の場合、長期の使用により表面抵抗値の悪化が懸念されるためである。
本明細書において、ハードコート層の最表面を布地で拭く操作は、特に限定されない。布地は汚れを拭き取ることができるものであればいずれのものでもよく、例えば不織布でよい。また、布地の素材も合成繊維、天然繊維などでよい。本明細書において利用する例示的な拭き操作の実施要領において、布地で拭く操作の回数は荷重250g/cmの荷重をかけて10回程度の往復でよい。
布地で拭く操作は、乾燥拭きでよく、必要に応じてアルコール(例えば、イソプロピルアルコール)などを含ませた布地で拭いてもよい。
ここで、本明細書において、作製したハードコート層は、それに施した処理との関係で、その状態を次のように称する。すなわち、その状態とは、「初期状態」、「拭き操作後の状態」および「加熱操作・拭き操作後の状態」の3状態である。
本明細書で使用される場合、「初期状態」は、ハードコート組成物から形成した後に、後述の拭き操作および加熱操作のいずれも行われていない状態をいう。
本明細書で使用される場合、「拭き操作後の状態」は、上記初期状態にあるハードコート層に対して「拭き操作」を行った後の当該ハードコート層の状態をいい、この「拭き操作」は、別段示さない限り、布地(ベンコット(登録商標)M−3II[旭化成せんい(株)製;250mm×250mm;セルロース(キュプラ)100%])で処理対象層に対して荷重250g/cmをかけながら、当該層の主面に沿って一方向に所定速度(120mm/sec)で1往復させる基本操作を、10回繰り返す(すなわち、10往復する)操作である。
本明細書で使用される場合、「加熱操作・拭き操作後の状態」は、初期状態にあるハードコート層に対して「加熱操作」を行い、その後に、その加熱操作後のハードコート層に対して上述の「拭き操作」と同様の操作を行った状態をいい、当該「加熱操作」は、初期状態にあるハードコート層を100℃で5分間に亘り加熱する操作である。
一実施形態において、ハードコート層に帯電防止機能を付与するため、帯電防止剤として4級アンモニウム塩ポリマー(4級アンモニウム塩を官能基として分子内に含むポリマー)を用いている。これは、導電性微粒子を用いる場合と比べ、塗工性や透明性が良好なためである。
4級アンモニウム塩ポリマーとして、4級アンモニウム塩を官能基として分子内に含むアクリル系材料を好適に用いることができる。4級アンモニウム塩アクリル系材料は=Nの構造を分子内に含み、4級アンモニウムカチオン(≡N)とアニオン(X)を備えることによりハードコート層に導電性を発現させる。このとき、Xとしては、Cl、Br、I、F、HSO 、SO 2−、NO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、SO 、OH等を挙げることができる。なお、後述の例では、Clを用いた。
4級アンモニウム塩を官能基として分子内に含むアクリル系材料としては、4級アンモニウム塩(≡N)を官能基として分子内に含む多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
このような帯電防止剤としては、例えば、ライトエステルDQ100(共栄社化学製)、NR−121X−9IPA(コルコート社製、固形分10%)などを挙げることができる。
一実施形態において、帯電防止機能付きハードコート組成物全体に占める、上記帯電防止剤の割合は、2重量部以上が好ましく、さらには3重量部以上がより好ましい。これは上記帯電防止剤が占める割合が2重量部未満の場合、表面抵抗値が1×1011Ω/□以上となるためである。
4級アンモニウム塩ポリマーの分子量としては、1000以上300000以下の範囲内であることが好ましい。4級アンモニウム塩の分子量を1000以上300000以下とすることにより、ハードコート層の最表面の塩素原子の存在率(X)および前記ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後の塩素原子の存在率(Y)を0.1at%以上0.3at%以下、Y/Xの比を1以上とすることができる。分子量が1000未満の場合、4級アンモニウム塩がハードコート層表面へ偏在しやすくなり最表面の塩素原子の存在率(X)が0.4at%以上となりリコート性に優れなくなるだけでなく、Y/Xの比が1未満となってしまう。また、分子量が300000以上の場合、ハードコート層の塩素原子の存在率が0.1%未満となり表面抵抗を発現しなくなってしまう。
なお、本明細書で使用される用語「分子量」は、重量平均分子量を指す。
ハードコート層は、主として電離放射線硬化型材料を成分としており、反射防止フィルムの表面硬度を向上させ、機械的強度を付与している。例えば、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。中でも、所望する分子量、分子構造を設計でき、形成されるハードコート層の物性のバランスを容易にとることが可能であるといった理由から、多官能ウレタンアクリレートを好適に用いることができる。ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。
具体的には、このような電離放射線硬化型材料の市販品としては、共栄社化学社製、UA−306H、UA−306T、UA−306l等、日本合成化学社製、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製、UN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を挙げることができる
なお、本明細書で使用する場合、用語「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
ハードコート層の膜厚としては、3μm以上12μm以下であることが好ましい。3μm以下の場合、機械的強度の点で不十分であり、12μm以上の場合、カールが悪化するため作業性が悪くなってしまう。
ハードコート組成物は、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を用いることができる。この光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure184(BASF製)が挙げられる。このIrgacure184は、ラジカル型光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)である。
ハードコート組成物は、溶剤を含み得る。溶剤は特に限定されないが、組成物の安定性、揮発性などを考慮して選択される。透明基材としてトリアセチルセルロース、又はアクリル樹脂を用いた透明基材を溶解又は膨潤させる溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等の一部のケトン類、また酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ペンチルなどのエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブなどのセロソルブ類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)、炭酸ジメチルが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、帯電防止機能付きハードコートフィルムの作製について説明する。反射防止フィルムの作製に用いられる透明基材としては、種々の有機高分子から構成されるフィルム又はシートが挙げられる。例えば、ディスプレイ等の光学部材に通常使用される透明基材が挙げられ、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮して、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、トリアセチルセルロース、アクリル樹脂は、複屈折率が小さく、透明性が良好であることから液晶ディスプレイに対し好適に用いることができる。
上記透明基材上に、帯電防止機能付きハードコート組成物を塗布し、塗膜を形成する。前記ハードコート組成物を透明基材上に塗布するための方法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
次に、透明基材上に形成された帯電防止機能付きハードコート層となる塗膜は乾燥工程により、塗膜中の溶媒が除去される。このとき乾燥手段としては、加熱、送風、熱風等を用いることができる。
帯電防止機能付きハードコート組成物を透明基材上に塗布することにより得られる塗膜に対し、電離放射線を照射することにより、帯電防止機能付きハードコート層が形成される。電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するものが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
帯電防止機能付きハードコート層は、ロール・ツー・ロール方式により連続形成される。ウェブ状の透明基材を塗布装置の巻き出し部から巻き取り部まで連続走行させ、このとき、透明基材を塗布ユニット、乾燥ユニット、電離放射線照射ユニットを通過させることにより、透明基材上に帯電防止機能付きハードコート層が連続形成される。
なお、帯電防止機能付きハードコート組成物は、当該ハードコート組成物を塗布することで形成される塗膜に塗膜欠陥(例えば、ハジキ、ムラ)が発生することを防止するため、表面調整剤のような添加剤を加えても良い。表面調整剤は、その働きに応じて、レベリング剤、消泡剤、界面張力調整剤、表面張力調整剤とも呼ばれるが、いずれも形成される塗膜の表面張力を低下させる働きを備える。
また、帯電防止機能付きハードコート組成物は、先に述べた表面調整剤のほかにも、他の機能性添加剤を含み得る。機能性添加剤としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、密着性向上剤、硬化剤などが挙げられるがこれに限定されない。
次に、帯電防止機能付き反射防止フィルムの作製について説明する。上記帯電防止機能付きハードコートフィルムに、低屈折率コーティング塗液を塗布し、塗膜を形成する。低屈折率コーティング塗液は、少なくとも低屈折率シリカ粒子とバインダマトリックス形成材料を含む。
低屈折率コーティング塗液に使用する内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子は、屈折率が1.20〜1.44であればよく、特に限定されるものではない。低屈折率コーティング塗液は、有機珪素化合物をバインダマトリックスとして含む。そして、このバインダマトリックス中に、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子を添加する量に応じて、当該塗液の低屈折率化が可能となる。内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子は内部に空気を含有している。そのために、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子自体の屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低い(屈折率=1.44〜1.20)。内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子は、多孔性シリカ微粒子を有機珪素化合物等で表面を被覆し、その細孔入口を閉塞して作製される。
この内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子をバインダマトリックス中に添加した場合、このシリカ微粒子は中空であるために、マトリックスがシリカ微粒子内部に浸漬することが無く、屈折率の上昇を防ぐことが出来る。内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子の平均粒径は、0.5nm以上200nm以下の範囲内であれは良い。この平均粒径が200nmよりも大きくなると、反射防止層を作製した際に当該反射防止層の表面においてレイリー散乱によって光が散乱され、白っぽく見え、その透明性が低下する。また、この平均粒径が0.5nm未満であると、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子が凝集しやすくなってしまう。なお、本明細書で使用する場合、微粒子の「平均粒径(平均粒子径)」は、動的光散乱法により測定される微粒子の平均粒子径であり、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒径(d50 メジアン径)である。
低屈折率コーティング塗液に加えられるバインダマトリックス形成材料としては、ケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。具体的には、下記の一般式(2)で示されるケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。
Si(OR)4−x (2)
(但し、式中R基は、アルキル基を示し、整数xは、0≦x≦3を満たす)
一般式(2)で表されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。ケイ素アルコキシドの加水分解物は、一般式(2)で示される金属アルコキシドを原料として得られるものであればよく、例えば塩酸にて加水分解することで得られるものである。
反射防止フィルムの反射防止層を形成するためバインダマトリックス形成材料として、一般式(2)で表されるケイ素アルコキシドを用いた場合、当該バインダマトリックス形成材料に下記一般式(3)で示されるケイ素アルコキシドの加水分解物を含有させることができる。これによって、形成された反射防止層の表面に防汚性を付与することができ、加えて、反射防止層の屈折率を低下させることができる。
R’Si(OR)4−z (3)
(但し、式中R’基は、アルキル基、フルオロアルキル基又はフルオロアルキレンオキサイド基を有する非反応性官能基を示し、整数zは1≦z≦3を満たす)
一般式(3)で示されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、オクタデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これに限定されない。
また、バインダマトリックス形成材料として、電離放射線硬化型材料を用いることもできる。電離放射線硬化型材料としては、帯電防止機能付きハードコート組成物で挙げた電離放射線硬化型材料を用いることができる。また、低屈折率のフッ素系電離放射線硬化型材料を用いて反射防止層を形成する場合、必ずしも低屈折率粒子を添加する必要はない。また、電離放射線硬化型材料を用いる場合にあっても、反射防止層表面に防汚性を発現する材料を添加することが好ましい。なお、バインダマトリックスとして電離放射線硬化型材料を用い、紫外線を照射することにより反射防止層を形成する場合には、低屈折率コーティング塗液に光重合開始剤が加えられる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。以上により、反射防止層は形成される。
バインダマトリックス形成材料として、ケイ素アルコキシドの加水分解物を用いた場合には、ケイ素アルコキシドの加水分解物と低屈折率粒子とを含むコーティング塗液を塗布しハードコート層上に塗膜を形成する。そして、当該塗膜を乾燥・加熱し、ケイ素アルコキシドの脱水縮合反応をおこなうことにより反射防止層を形成することができる。また、バインダマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用いた場合には、電離放射線硬化型材料と低屈折率粒子とを含む塗液をハードコート層上に塗布して塗膜を形成する。そして、当該塗膜を、必要に応じて乾燥した後に、紫外線、電子線といった電離放射線を照射することにより電離放射線硬化型材料の硬化反応をおこなうことにより、反射防止層を形成することができる。
なお、低屈折率コーティング塗液には、必要に応じて、溶媒や各種添加剤を加えることができる。溶媒としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、また、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、水等の中から塗工適正等を考慮して適宜選択される。また、塗液には添加剤として、防汚剤、表面調整剤、レベリング剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、光増感剤等を加えることもできる。
また、反射防止層は、上述した方法以外の形成方法を用いて形成してもよい。このような形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーディング法、電気めっき法等が挙げられるが、これに限定されない。また、反射防止層は、上述の方法以外の反射防止塗料の塗膜、膜厚0.1μm程度のMgF等の極薄膜や金属蒸着膜、あるいはSiOxやMgFの蒸着膜により形成しても良い。
別の実施形態において、本明細書で開示される光学フィルムは、さらに他の層を積層してもよい。例えば、得られる光学フィルムは、帯電防止層、防汚層などを有していてもよい。
はじめに、実施例等の概略を、図1および2を参照しつつ説明する。図1は、帯電防止機能付きハードコートフィルムの一例の断面模式図である。他方、図2は、帯電防止機能付き反射防止フィルムの一例の断面模式図である。
以下の実施例1および2では、図1の例示に従い説明すると、透明基材11上に帯電防止機能付きハードコート層12を形成して帯電防止機能付きハードコートフィルム1を作製した。そして、図2の例示に従い説明すると、そのハードコートフィルム1のハードコート層12上に低屈折率層21(反射防止層)を設けることによって反射防止フィルム2を作製した。
以下、実施例等に係るフィルムの作製過程の詳細を説明する。
(実施例1)
<透明基材>
透明基材として、厚さ60μm、トリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.49)を用意した。
<4級アンモニウム塩ポリマーの作製>
攪拌翼、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた四口フラスコ内で、次の一覧に示した化合物を混合して、窒素雰囲気、70℃の条件下で4時間に亘り重合反応を行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オクチルポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート
36重量部
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド
70重量部
シクロヘキシルメタクリレート
28重量部
アゾビスイソブチロニトリル
1重量部
イソプロピルアルコール
200重量部
メチルエチルケトン
80重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この重合反応が完了した後、反応液をヘキサン中に投入し、その生成物を析出させた後乾燥させ、4級アンモニウム塩ポリマーを得た。得られた4級アンモニウム塩ポリマーの平均分子量は2100であった。
<ハードコート組成物の調製>
ハードコート組成物は、次の一覧に示した化合物を混合し、これをメチルエチルケトンで固形分50%に調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
作製した4級アンモニウム塩ポリマー(固形分比) 5重量部
ウレタンアクリレート 100重量部
ジペンタエリスリトールトリアクリレート 20重量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 30重量部
Irgacure184 5重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここで、Irgacure184は既述のとおり、光重合開始剤である。
<ハードコート層の作製>
上記ハードコート組成物を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、20秒間に亘り室温(25℃)で乾燥した。その後、当該塗膜を、オーブンで40秒間に亘り80℃で乾燥した。この乾燥の後、窒素雰囲気下、コンベア式紫外線硬化装置で露光量200mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより、透明基材上に厚さ5μmの帯電防止機能付きハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング塗液>
次の一覧に示した化合物を攪拌し、混合させることで低屈折率コーティング塗液を得た。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
多孔質シリカ微粒子分散液
(平均粒子径50nm、固形分20重量部、溶剤:メチルイソブチルケトン)
14.94重量部
EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.99重量部
Irgacure184 0.07重量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.20重量部
メチルイソブチルケトン 82重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここで、ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)を用いた。
<反射防止層の作製>
上記低屈折率コーティング塗液を、上述の手順に従い透明基材上に形成したハードコート層に対して、ワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、20秒間に亘り室温(25℃)で乾燥をおこなった。その後、オーブンで40秒間にわたり60℃で乾燥をおこなった。乾燥後、窒素雰囲気下、コンベア式紫外線硬化装置で露光量240mJ/cmの紫外線照射をおこなうことにより、反射防止層を作製した。
(実施例2)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μm、アクリル樹脂(屈折率1.49)を用意した。
<4級アンモニウム塩ポリマーの作製>
攪拌翼、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた四口フラスコ内で、次の一覧に示した化合物を混合して、窒素雰囲気下、75℃の条件下で4時間に亘り重合反応を行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オクチルポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート
36重量部
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 70重量部
シクロヘキシルメタクリレート 28重量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部
イソプロピルアルコール 200重量部
メチルエチルケトン 80重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この重合反応が完了した後、反応液をヘキサン中に投入し、その生成物を析出させた後これを乾燥した。得られた4級アンモニウム塩ポリマーの平均分子量は、254000であった。
<ハードコート組成物>
ハードコート組成物は、次の一覧に示した化合物を混合し、これをアセトン、メタノール混合溶液で固形分50%に調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
作製した4級アンモニウム塩ポリマー(固形分比) 5重量部
ウレタンアクリレート 100重量部
ジペンタエリスリトールトリアクリレート 20重量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 30重量部
ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド 5重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここで、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシドとしては、Omnirad TPO(DKSH製)を用いた。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング塗液>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング塗液を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
(比較例1)
<透明基材>
透明基材は実施例1と同じものを用いた。
<4級アンモニウム塩ポリマーの作製>
攪拌翼、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた四口フラスコに、次の一覧に示した化合物を混合して、窒素雰囲気下、55℃の条件下で3時間に亘り重合反応を行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オクチルポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート
36重量部
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 70重量部
シクロヘキシルメタクリレート 28重量部
アゾビスイソブチロニトリル 1.6重量部
イソプロピルアルコール 200重量部
メチルエチルケトン 80重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この重合反応が完了した後、反応液をヘキサン中に投入し、その生成物を析出させた後乾燥した。得られた4級アンモニウム塩ポリマーの平均分子量は950であった。
<ハードコート組成物>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング塗液>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング塗液を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製することを試みたが、作製したハードコート層の作製過程でハードコート組成物を用いて形成した塗膜が白濁したため、低屈折率層を形成することができなかった。
(比較例2)
<透明基材>
透明基材は実施例1と同じものを用いた。
<4級アンモニウム塩ポリマーの作製>
攪拌翼、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた四口フラスコに、次の一覧に示した化合物を混合して、窒素雰囲気下、80℃の条件下で4時間に亘り重合反応を行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オクチルポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート
36重量部
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 70重量部
シクロヘキシルメタクリレート 28重量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部
イソプロピルアルコール 200重量部
メチルエチルケトン 80重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この重合反応が完了した後、反応液をヘキサン中に投入し、その生成物を析出させた後乾燥した。得られた4級アンモニウム塩ポリマーの平均分子量は328000であった。
<ハードコート組成物>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング塗液>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング塗液を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
(反射防止フィルム等の評価の概要)
実施例および比較例に係る反射防止フィルム等を以下に示すように評価した。
測定対象とするフィルムの各々において、低屈折率層を形成する前段階の透明基材上にハードコート層を設けたハードコート(図1を参照)につき、所定条件下で、塩素原子の存在率、表面抵抗値を測定した。
実施例1および2、ならびに比較例1および2により得られたフィルムの各々のハードコート層が、「初期状態」、「拭き操作後の状態」および「加熱操作・拭き操作後の状態」の3状態にあるとき、それぞれの状態のハードコート層の塩素原子の存在率、表面抵抗値を測定した。
「初期状態」は、ハードコート組成物から形成した後に、後述の拭き操作および加熱操作のいずれも行われていない状態をいう。
「拭き操作後の状態」は、上記初期状態にあるハードコート層に対して拭き操作を行った後の当該ハードコート層の状態をいい、この「拭き操作」は、布地(ベンコット(登録商標)M−3II[旭化成せんい(株)製;250mm×250mm;セルロース(キュプラ)100%])で処理対象層に対して荷重250g/cmをかけながら、当該層の主面に沿って一方向に所定速度(120mm/sec)で1往復させる基本操作を、10回繰り返す(すなわち、10往復する)操作である。
「加熱操作・拭き操作後の状態」は、初期状態にあるハードコート層に対して「加熱操作」を行い、その後に、その「加熱操作」後のハードコート層に対して上述の「拭き操作」と同様の操作を行った状態をいい、当該「加熱操作」は、初期状態にあるハードコート層を100℃で5分間に亘り加熱する操作である。
また、実施例および比較例に係る反射防止フィルム(図2を参照)についいて、平均視感反射率外を測定した。
これらハードコート層における「塩素原子の存在率」および「表面抵抗値」、反射防止フィルムにおける「平均視感反射率」の測定方法の詳細は、以下のA.からC.に示した通りである。
(A.塩素原子の存在率の測定方法)
塩素原子の存在は、X線光電子分光分析装置により確認した。X線光電子分光分析装置(Quantum2000(ULVAC PHI製))を用い、ハードコート層表面について測定した。なお、測定の際のX線強度は100W(10kV、10mA)とし、検出量が0.1at%未満の場合、不検出とした。
(B.表面抵抗値の測定方法)
測定対象とする反射防止フィルムについて、表面抵抗値の測定を、JIS K6911に準拠して行った。
(C.平均視感反射率の測定方法)
測定対象とする反射防止フィルムの低屈折率層形成面と反対側の面を黒色艶消しスプレーにより黒色に塗布した。塗布後、自動分光光度計(日立製作所社製、U−4100)を用い測定した低屈折率層形成面についてC光源、2度視野の条件下での入射角5°における分光反射率を測定した。得られた分光反射率から平均視感反射率を算出した。
以下の表1に、塩素原子の存在率、表面抵抗値、および平均視感反射率の測定結果を示す。
(測定結果についての評価)
比較例1では、初期状態、拭き操作後の状態、加熱操作・拭き操作後の状態に応じて、ハードコート層における塩素原子の存在率および表面抵抗値は変化した。これは、4級アンモニウム塩ポリマーの分子量が950であり、その分子量が小さいためにハードコート層表面側に4級アンモニウム塩ポリマーが過剰に偏在した状態で当該層の形成が成され、拭き操作によって、その偏在した4級アンモニウム塩ポリマーの成分が除去されてしまったことに起因すると考えられる。また、ハードコート層表面に4級アンモニウム塩ポリマーが過剰に偏在したことにより、低屈折率層の作製時に塗膜が白濁したため、低屈折率層を形成することができなかった。
比較例2では、用いた4級アンモニウム塩ポリマーの分子量が大きく、ハードコート層表面側において4級アンモニウム塩ポリマーの分布量が不十分であり、その結果、表面抵抗値が乏しくなったと考えられる。
上述の比較例に対し、実施例で得られたハードコートフィルムは、初期状態、拭き操作後状態、加熱操作・拭き操作後の状態において表面抵抗値の変化がなく良好である。この結果から、4級アンモニウム塩ポリマーの分子量、塩素原子の存在率を特定の範囲に収めることでリコート性、4級アンモニウム塩ポリマーの定着性がよくなるため、優れた光学特性、帯電防止性能を両立した反射防止フィルムを得ることができた。
1:帯電防止機能付きハードコートフィルム
2:帯電防止機能付き反射防止フィルム
11:透明基材
12:帯電防止機能付きハードコート
21:低屈折率層

Claims (7)

  1. 光学積層体に用いられる帯電防止機能付きハードコート層であって、
    当該ハードコート層は、塗布したハードコート組成物に電離放射線照射することで形成された層であり、当該ハードコート組成物は、4級アンモニウム塩ポリマー、多官能アクリレート、光重合開始剤、および溶剤を含み、
    X線光電子分光分析して得られた、前記ハードコート層の最表面の塩素原子の存在率は、0.1at%以上0.3at%以下の範囲にある、帯電防止機能付きハードコート層。
  2. 前記ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後に、前記ハードコート層の最表面をX線光電子分光分析して得られた塩素原子の存在率が0.1at%以上0.3at%以下の範囲にある、請求項1記載の帯電防止機能付きハードコート層。
  3. X線光電子分光分析して得られた前記ハードコート層表面の塩素原子の全存在率Xat%が、前記ハードコート層の最表面を布地で拭く操作を行った後に、前記ハードコート層の最表面をX線光電子分光解析して得られた塩素原子の存在率をYat%とした場合、
    0.95≦Y/X≦1 (1)
    を満たす、請求項1又は2に記載の帯電防止機能付きハードコート層。
  4. 前記4級アンモニウム塩ポリマーの重量平均分子量が1000以上300000以下の範囲内である、請求項1から3までのいずれかに記載の帯電防止機能付きハードコート層。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の帯電防止機能付きハードコート層、透明基材を順に備える、帯電防止機能付きハードコートフィルム。
  6. 上記透明基材がトリアセチルセルロース又はアクリル樹脂により構成される、請求項5に記載の帯電防止機能付きハードコートフィルム。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の帯電防止機能付きハードコートフィルム表面に反射防止層を設けた、帯電防止機能付き反射防止フィルム。
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