JP2015013950A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属との引張せん断接着性に優れるとの特性を有する接着性エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えた電子回路基板を提供する。
【解決手段】接着性エポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤、及び、(c)硬化剤を含む。
Figure 2015013950

(ただし、R〜Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、又は、炭素数6〜10のアリーレン基を表し、互いに同一であっても良く、異なっていても良い。また、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、水素原子を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、接着性エポキシ樹脂組成物、当該接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜形成用フィルム、当該接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えた配線板、及び、当該接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えた電子回路基板に関する。
一般的に、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質等に優れた硬化物を形成することができる。そのため、エポキシ樹脂組成物は、接着剤、塗料、絶縁材料、成形材料、注型材料、放熱材料等の幅広い用途に用いられている。
エポキシ樹脂組成物を上述したような用途で使用する場合、作業性を確保する観点からエポキシ樹脂組成物の粘度を低粘度にすることを要求されることがある。
しかしながら、エポキシ樹脂組成物に反応性希釈剤を配合した場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は下げることができるものの、エポキシ樹脂組成物を接着剤として使用した際にその接着性が低下してしまうことがあった。そのため、エポキシ樹脂組成物では、その粘度を低下させたいとの要求に対して、反応性希釈剤を配合して粘度を低下させると、接着性を確保することが困難になるとの課題があり、低粘度化と良好な接着性の維持とは両立を図ることが困難であった。
低粘度であって、かつ、硬化物とした際の接着性に優れるエポキシ樹脂組成物として、特許文献1には、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、及び、アミノ化合物を含有する耐熱エポキシ接着剤組成物が提案されている。また、特許文献2には、3官能(メタ)アクリレート、水酸基を有するビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、特定の構造単位を有するジ(メタ)アクリレート、及び、光重合開始剤を含有する接着剤用放射線硬化型樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載されたエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、金属に対する接着性が未だ十分ではないとの課題があった。
特開平9−100457号公報 特開2006−16434号公報
本発明は、低粘度であって、かつ、硬化物とした際に金属との引張せん断接着性及びピール接着性に優れるとの特性を有する接着性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜形成用フィルム、及び、当該接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えた配線板を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えた電子回路基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(a)エポキシ樹脂及び(c)硬化剤に加えて、反応性希釈剤として、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含有するエポキシ樹脂組成物では、反応性希釈剤を含有することにより低粘度化が図られているにもかかわらず、硬化物とした場合に金属との引張せん断接着性及びピール接着性に優れるとの特性を特異的に有することを見出した。
そして、本発明者らはこれらの知見に基づき、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物、本発明の層間絶縁膜形成用フィルム、本発明の配線板、及び、本発明の電子回路基板を完成した。
即ち、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤、及び、(c)硬化剤を含むことを特徴とする。
Figure 2015013950
(ただし、R〜Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、又は、炭素数6〜10のアリーレン基を表し、互いに同一であっても良く、異なっていても良い。また、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、水素原子を表す。)
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物において、(b)反応性希釈剤の含有量は、(a)エポキシ樹脂と(b)反応性希釈剤との合計量に対して5〜95重量%であることが好ましい。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物において、(b)反応性希釈剤は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)であることが好ましく、この場合、(b1)反応性希釈剤は、エポキシ当量が101〜120g/eqであり、全ハロゲン量が100ppm以下であり、かつ、粘度が50〜130mPa・sであることが好ましい。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物において、(a)エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、エチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オクチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール型エポキシ樹脂、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン型エポキシ樹脂、2,2’―メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)型エポキシ樹脂、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル6−tert−ブチルフェノール)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ピロガロール型エポキシ樹脂、ジイソプロピリデン型エポキシ樹脂、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、フェノール化ポリブタジエン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−シクロヘキシルカルボキシレート型エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、キシリレングリコール誘導体型エポキシ樹脂、イソシアヌル環型エポキシ樹脂、ヒダントイン環型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂、p−フェニレンジアミン型エポキシ樹脂、m−フェニレンジアミン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン誘導体型エポキシ樹脂、ジアミノメチルベンゼン誘導体型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物において、(c)硬化剤は、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、三フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンにより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、さらに(d)充填剤を含有することが好ましく、(d)充填剤は、窒化ホウ素であることが好ましい。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、層間絶縁膜の形成や、電子回路基板に設ける放熱部材の形成に用いられることが好ましい。
本発明の層間絶縁膜形成用フィルムは、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明の配線板は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えたことを特徴とする。
本発明の電子回路基板は、本発明の(d)充填剤を含有する接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えたことを特徴とする。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含むため、低粘度でありながら、硬化物とした場合に金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れるとの特性を有する。
また、(b)特定の構造のエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含むため、(d)充填剤を含有する場合でも、硬化物とした場合に金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れるとの特性を有し、かつ、(d)充填剤を接着性エポキシ樹脂組成物中に均一に分散させることができる。
そのため、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、層間絶縁膜の形成や、電子回路基板に設ける放熱部材の形成に極めて好適に用いることができる。
本発明の層間絶縁膜形成用フィルムは、層間絶縁膜とした際に金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れる本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなるため、金属回路との密着性に優れた層間絶縁膜を提供することができる。
また、本発明の配線板は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えるため、金属回路と層間絶縁膜とが高い密着性を有し、金属回路の剥離の発生を回避することができ、信頼性に優れる。
また、本発明の電子回路基板は、本発明の(d)充填剤を含有する接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えるため、回路等の金属部材と放熱部材との間で優れた接着性を有するとともに、充分な放熱性を確保することができる。
<<接着性エポキシ樹脂組成物>>
まず、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤、及び、(c)硬化剤を含むことを特徴とする。
<(b)反応性希釈剤>
上記(b)反応性希釈剤は、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤である。
Figure 2015013950
(ただし、R〜Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、又は、炭素数6〜10のアリーレン基を表し、互いに同一であっても良く、異なっていても良い。また、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、水素原子を表す。)
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物においては、(b)反応性希釈剤として、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を用いることが極めて重要である。本発明の接着性エポキシ樹脂組成物は、このような特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含むが故に、低粘度でありながら、硬化物とした場合に金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れるとの特性を有し、これらの優れた接着強さは(d)充填剤を含有する場合も維持することができる。
また、これらの特性を有するがために、層間絶縁膜や、電子回路基板に設ける放熱部材等を形成するのに極めて好適に用いることができる。
本発明において、「上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を主成分とする」とは、(b)反応性希釈剤において、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を50wt%以上含むことをいう。
上記一般式(1)におけるR〜Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、又は、炭素数6〜10のアリーレン基を表す。
上記炭素数1〜10のアルキレン基、又は、炭素数2〜10のアルケニレン基は、直鎖状であっても良く、分鎖状であっても良い。また、上記炭素数6〜10のアリーレン基は、その骨格が単環構造であっても良く、縮環構造であっても良い。
上記R〜Rに含まれる水素原子の全部又は一部は、置換されていても良い。
上記R〜Rは、互いに同一であっても良く、異なっていても良い。
上記一般式(1)におけるRは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、水素原子を表す。
上記炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数2〜10のアルケニル基は、直鎖状であっても良く、分鎖状であっても良い。また、上記炭素数6〜10のアリール基は、その骨格が単環構造であっても良く、縮環構造であっても良い。
上記Rに含まれる水素原子の全部又は一部は、置換されていても良い。
上記(b)反応性希釈剤に主成分として含まれる、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物としては、上記一般式(1)で表されるものであれば特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記(b)反応性希釈剤に主成分として含まれる、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記(b)反応性希釈剤は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)であることが好ましい。トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)を用いた場合、低粘度でありながら、硬化物とした場合に金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れるとの効果、並びに、(d)充填剤を含有する場合であっても硬化物の接着性を維持することができるとの効果が顕著だからである。そして、その理由は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが、トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造であり、かつ、特有の四面体骨格を有するからであると推測している。
なお、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの化学構造式を下記式(2)に示す。
Figure 2015013950
上記(b)反応性希釈剤として、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)を用いる場合においては、反応性希釈剤(b1)におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの濃度(本発明においては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度に相当する)が非常に重要である。
その理由は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの合成において、トリメチロールプロパンのアルコール性水酸基をグリシジルエーテル化する際に、原料化合物が未反応のまま残存したり、2官能構造や1官能構造、オリゴマー等の副生成物が発生することがあり、これらの不純物が多量に存在する場合(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度が低い場合)には、トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造や特有の四面体骨格に起因する上述の効果を享受することができないことがあるためである。
反応性希釈剤(b1)におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度の指標としては、反応性希釈剤(b1)のエポキシ当量、全ハロゲン量及び粘度が挙げられる。
反応性希釈剤(b1)のエポキシ当量については、反応性希釈剤(b1)におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度が100%と仮定した場合の理論値が約101g/eqであり、反応性希釈剤(b1)中に含まれる2官能構造や1官能構造、未反応物等の不純物の量が多ければ多いほど、即ち、反応性希釈剤(b1)中におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度が低ければ低いほど、実測値が理論値よりも大きくなるという関係が成り立つ。そのため、反応性希釈剤(b1)のエポキシ当量の実測値が理論値に近いほど、反応性希釈剤(b1)におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度が高いと言える。
また、反応性希釈剤(b1)の粘度については、反応性希釈剤(b1)に不純物としてオリゴマーが含まれていると粘度が高くなる傾向があることから、反応性希釈剤(b1)の粘度が低いほど、反応性希釈剤(b1)におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度が高いという関係が成り立つ。
また、反応性希釈剤(b1)中の全ハロゲン量については、トリメチロールプロパンのアルコール性水酸基をグリシジルエーテル化する際に、トリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとを反応させてグリシジルエーテル化を行った場合には、未反応のエピハロヒドリンが不純物として残留し、その結果、反応性希釈剤(b1)中の全ハロゲン量が多くなり、相対的にトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの含有量が少なくなるため、反応性希釈剤(b1)の全ハロゲン量が少ないほど、反応性希釈剤(b1)におけるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの純度が高いという関係が成り立つ。
なお、上記エピハロヒドリンとしてエピクロロヒドリンを用いた場合には塩素量が多くなり、エピブロモヒドリンを用いた場合には臭素量が多くなり、エピヨードヒドリンを用いた場合にはヨウ素量が多くなり、エピフルオロヒドリンを用いた場合にはフッ素量が多くなるからである。
上記(b)反応性希釈剤としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)を用いる場合において、上記反応性希釈剤(b1)のエポキシ当量は、90〜200g/eqであることが好ましく、101〜120g/eqであことがより好ましい。
エポキシ当量がこの範囲にあると、硬化物とした場合に、金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さが特に良好となるからである。
また、エポキシ当量が上記範囲にあることにより、接着性エポキシ樹脂組成物に(d)充填剤を配合した場合に、エポキシ成分の硬化物と(d)充填剤との間の良好な接着性を確保することができる。
上記(b)反応性希釈剤としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)を用いる場合において、上記反応性希釈剤(b1)の全ハロゲン量が100000ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。
全ハロゲン量がこの範囲にあると、硬化物とした場合に、金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さが特に良好となるからである。
また、全ハロゲン量が上記範囲にあることにより、接着性エポキシ樹脂組成物に(d)充填剤を配合した場合に、エポキシ成分の硬化物と(d)充填剤との間の良好な接着性を確保することができる。
また、上記全ハロゲン量が100000ppmを超えると、反応性希釈剤(b1)を含有する接着性エポキシ樹脂組成物を層間絶縁膜の用途に用いた場合、硬化物の電気的絶縁性が低下するおそれが生じる。
また、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルをトリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとを反応させて合成する場合、エピハロヒドリンとしては一般的にエピクロロヒドリンが使用される。そのため、本発明においては、反応性希釈剤(b1)中の全塩素量が100000ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、上記反応性希釈剤(b1)中の全ハロゲン量は、下記の方法により求める。
即ち、反応性希釈剤(b1)の全塩素量をJIS K 7243−3に準拠して、全臭素量をJIS K 7392に準拠して、ヨウ素量をJIS K 6217−1に準拠して、フッ素量をJIS K 0102 34.1に準拠してそれぞれ測定し、各測定値を合算して得た値を全ハロゲン量とする。
上記(b)反応性希釈剤としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)を用いる場合において、上記反応性希釈剤(b1)の粘度は、10〜500mPa・sであることが好ましく、粘度が50〜130mPa・sであることがより好ましい。その理由は、粘度がこの範囲にあると、硬化物とした場合に、金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さが特に優れるためである。
また、粘度が上記範囲にあることにより、接着性エポキシ樹脂組成物に(d)充填剤を配合した場合に、エポキシ成分の硬化物と(d)充填剤との間の良好な接着性を確保することができる。
なお、本発明において、粘度とは、25℃における粘度をいう。
上記(b)反応性希釈剤の含有量は、特に限定されないが、(a)エポキシ樹脂と(b)反応性希釈剤との合計量に対して、5〜95重量%であることが好ましく、5〜70重量%であることがより好ましく、5〜50重量%であることがさらに好ましい。上記(b)反応性希釈剤の含有量が5重量%未満であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなることがあり、95重量%を超えると、硬化物の機械物性が低下することがある。
<(a)エポキシ樹脂>
本発明において、上記(a)エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する樹脂(化合物)であって、上記(b)反応性希釈剤に該当しないものをいう。
上記(a)エポキシ樹脂としては、特に限定されず公知のエポキシ樹脂を用いることができ、その具体例としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、エチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オクチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール型エポキシ樹脂、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン型エポキシ樹脂、2,2’―メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)型エポキシ樹脂、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ピロガロール型エポキシ樹脂、ジイソプロピリデン型エポキシ樹脂、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、フェノール化ポリブタジエン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−シクロヘキシルカルボキシレート型エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、キシリレングリコール誘導体型エポキシ樹脂、イソシアヌル環型エポキシ樹脂、ヒダントイン環型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂、p−フェニレンジアミン型エポキシ樹脂、m−フェニレンジアミン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン誘導体型エポキシ樹脂、ジアミノメチルベンゼン誘導体型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの(a)エポキシ樹脂は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記(a)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、上記接着性エポキシ樹脂組成物中、1〜60重量%であることが好ましく、5〜50重量%であることがより好ましい。上記(a)エポキシ樹脂の含有量が1重量%未満であると、硬化物の機械物性が低下することがあり、60重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり作業性に劣ることがある。
<(c)硬化剤>
上記(c)硬化剤としては、特に限定されず、公知の硬化剤を用いることができ、その具体例としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾール、三フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンにより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの(c)硬化剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記フェノールアラルキル樹脂は、ザイロック樹脂ともいう。
上記ビフェニル変性フェノール樹脂とは、ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物をいう。
上記ビフェニル変性ナフトール樹脂とは、ビスメチレン基でナフトール核が連結された多価ナフトール化合物をいう。
上記アミノトリアジン変性フェノール樹脂とは、メラミン、ベンゾグアナミン等でフェノール核が連結された多価フェノール化合物をいう。
上記アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂とは、ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物をいう。
上記(c)硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物中に通常配合される量であれば良く、接着性エポキシ樹脂組成物中に含まれる(a)エポキシ樹脂及び(b)反応性希釈剤のエポキシ当量や、各種硬化剤の配合規定を考慮して、適宜設定すれば良い。
上記接着性エポキシ樹脂組成物は、上記(a)エポキシ樹脂、(b)反応性希釈剤、(c)硬化剤の他に、必要に応じて他の任意成分を含有していても良い。
上記他の任意成分としては、(d)充填剤、(e)硬化促進剤、(f)有機溶剤、(g)接着性付与剤等が挙げられる。
<(d)充填剤>
上記(d)充填剤としては、特に限定されず公知の充填剤を用いることができ、例えば、無機酸化物、無機塩、ガラス、窒化物、金属粉等からなるものが挙げられ、これらは接着性エポキシ樹脂組成物の用途に応じて、適宜選択して用いればよい。
上記無機酸化物としては、特に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
上記無機塩としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
上記窒化物としては、特に限定されず、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
上記金属粉としては、特に限定されず、例えば、銀粉、銅粉、銀メッキ銅粉、スズメッキ銅粉、ニッケル粉、アルミニウム粉等が挙げられる。
本発明の接着性エポキシ樹脂組成物を電子回路基板に設ける放熱部材の形成に用いる場合、上記(d)充填剤は、窒化ホウ素であることが好ましい。その理由は、熱伝導率が高く、かつ、熱膨張率が低いためである。
これらの(d)充填剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、上記(d)充填剤の形状も特に限定されず、粒子状、繊維状、鱗片状等、任意の形状であればよい。
上記接着性エポキシ樹脂組成物が上記(d)充填剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、上記接着性エポキシ樹脂組成物中、5〜95重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましい。
上記(d)充填剤の含有量が5重量%未満であると、熱膨張係数が高くなることがあり、95重量%を超えると、粘度が高くなり、作業性が低下することがある。
<(e)硬化促進剤>
本発明において、上記(e)硬化促進剤とは、上記接着性エポキシ樹脂組成物が硬化する際にそれ自体架橋することはないが、架橋反応を促進するものをいう。
上記(e)硬化促進剤としては、特に限定されず公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、イミダゾール、第3級アミン等が挙げられる。
上記イミダゾールとしては、特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
上記第3級アミンとしては、特に限定されず、例えば、ベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン(サンアプロ社商標:DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(サンアプロ社商標:DBU)、DBU−フェノール塩、DBU−オクチル酸塩、DBU−p−トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。
これらの(e)硬化促進剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記接着性エポキシ樹脂組成物が上記(e)硬化促進剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、上記接着性エポキシ樹脂組成物中、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.3〜7重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。
上記(e)硬化促進剤の含有量が0.1重量%未満であると、硬化性が低下することがあり、10重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物を半硬化させる際、半硬化状態とするための硬化時間や硬化温度等の硬化条件を厳密に制御しなければならず、作業性が低下することがある。
<(f)有機溶剤>
上記(f)有機溶剤としては、特に限定されず、例えば、N−メチルピロリドン;N,N−ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物等のエステル類;エタノール、プロパノール、メタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
これらの(f)有機溶剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記接着性エポキシ樹脂組成物が上記(f)有機溶剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、上記接着性エポキシ樹脂組成物に対して、20〜300重量%であることが好ましい。
上記(f)有機溶剤の含有量が20重量%未満であると、粘度が高くなることがあり、300重量%を超えると、硬化性が低下することがある。
<(g)接着性付与剤>
上記(g)接着性付与剤としては、特に限定されず、例えば、カップリング剤、フェノール樹脂、有機ポリイソシアネート等が挙げられる。
上記カップリング剤としては、例えば、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系、チタン系等の各種カップリング剤や、これらの部分加水分解縮合物等が挙げられる。これらのカップリング剤の中では、シラン系カップリング剤やその部分加水分解縮合物が、接着性付与効果が高いことから好ましい。
なお、カップリング剤の部分加水分解縮合物は、同種以上のカップリング剤の部分加水分解縮合物であってもよいし、2種以上のカップリング剤の部分加水分解縮合物であってもよい。
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有する化合物等が挙げられる。
これらの(g)接着性付与剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記接着性エポキシ樹脂組成物が上記(g)接着性付与剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、上記接着性エポキシ樹脂組成物中、3〜30重量%であることが好ましい。
上記(g)接着性付与剤の含有量が3重量%未満であると、接着性が低下することがあり、30重量%を超えると、コスト高となり、また作業性、貯蔵安定性が悪化することがある。
<接着性エポキシ樹脂組成物の作製方法>
上記接着性エポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)反応性希釈剤、及び、(c)硬化剤、更には、必要に応じて(d)充填剤、(e)硬化促進剤、(f)有機溶剤、(g)接着性付与剤等の任意成分を混合することにより得ることができる。
これらを混合する方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができるが、例えば、撹拌機を用いて撹拌する方法、3本ロールミルを用いて混練する方法等を用いることができる。
<硬化物>
上記接着性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。
上記接着性エポキシ樹脂組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱装置を用いて、100℃にて1時間、その後180℃にて4時間加熱する方法等が挙げられる。
上記加熱装置としては、特に限定されず、例えば、送風定温乾燥器、定温恒温乾燥器等を用いることができる。
<用途>
上記接着性エポキシ樹脂組成物の用途としては特に限定されず、金属を被着体とし、金属との間で接着性が要求される用途であればいずれの用途であっても好適に使用することができる。
具体的には、例えば、金属用接着剤は勿論のこと、配線板の層間絶縁膜を形成するための樹脂組成物、プリプレグを作製するための含浸用樹脂組成物、封止剤用樹脂組成物、放熱材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂組成物、金属箔引積層板用樹脂組成物、繊維強化複合材用樹脂組成物、電磁波遮蔽板用樹脂組成物、太陽電池モジュール用樹脂組成物等であって、金属との接着性が要求される部位に使用される樹脂組成物として好適に使用することができる。
上記接着性エポキシ樹脂組成物は、特に、配線板の層間絶縁膜を形成するための樹脂組成物として好適に用いることができる。
その理由は、上述した通り、上記接着性エポキシ樹脂組成物は、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含むため、低粘度でありながら、硬化物とした場合に金属との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れるとの特性を有するからである。
また、上記接着性エポキシ樹脂組成物は、配線板の回路を構成する一般的な材料であるCuとの密着性に優れ、このことも層間絶縁膜を形成するための樹脂組成物として好適に用いることができる理由の1つである。
上記接着性エポキシ樹脂組成物は、上述した通り、硬化後に各種金属との間で優れた密着性を示すが、特に、Cu、Al、Ga、In、Fe、Ni、Ag、Au、Pb、Mn、Ti、Cr、Mo、W、Snとの間で優れた密着性を示す。
また、上記接着性エポキシ樹脂組成物が(d)充填剤を含有する場合、上記接着性エポキシ樹脂組成物は、電子回路基板に設ける放熱部材を形成するための樹脂組成物としても好適に用いることができる。
その理由は、上述した通り、上記接着性エポキシ樹脂組成物は、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含むため、(d)充填剤を配合した場合であっても硬化物とした場合に接着性が低下することなく、金属回路等の電子回路基板を構成する金属部材との引張せん断接着強さ及びピール接着強さに優れるとの特性を有するためである。
<<層間絶縁膜形成用フィルム>>
次に、本発明の層間絶縁膜形成用フィルムについて説明する。
本発明の層間絶縁膜形成用フィルムは、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなることを特徴とする。
上記層間絶縁膜形成用フィルムは、通常、離型性に優れた支持フィルム上に製膜された本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなるフィルムである。
上記支持フィルムとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート等からなるフィルムが挙げられる。また、上記支持フィルムはその表面が離型剤で処理される等の表面処理が施されていても良い。
上記接着性エポキシ樹脂組成物を上記支持フィルム上で製膜する方法としては、上記接着性エポキシ樹脂組成物を従来公知の方法、例えば、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、バーコート、スクリーン印刷等の方法で塗布した後、必要に応じて、有機溶媒等を乾燥除去する方法が挙げられる。
また、上記層間絶縁膜形成用フィルムは、上記支持フィルム上に塗布した上記接着性エポキシ樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ状態)にしたものであっても良く、更には、完全に硬化させたものであってもよい。
上記層間絶縁膜形成用フィルムは、その片面及び/又は両面に、金属回路パターンや、ベタの導体層が形成されていても良い。
上記金属回路パターンや導体層は、例えば、メッキや蒸着等の従来公知の方法により形成すれば良い。
このような層間絶縁膜形成用フィルムは、多層配線板の層間絶縁膜を形成するための材料として好適に使用することができる。
<<配線板>>
次に、本発明の配線板について説明する。
本発明の配線板は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えたことを特徴とする。
即ち、配線板を構成する絶縁層が上記接着性エポキシ樹脂組成物により形成されている。
以下、配線板が内層回路基板上にビルドアップ層が積層されたビルドアップ配線板である場合を例に、本発明の配線板を説明する。
勿論、本発明の配線板は上記ビルドアップ配線板に限定されるわけではなく、全層がビルドアップ層のみで構成されたビルドアップ配線板であってもよいし、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる1層の層間絶縁膜の片面に金属回路が形成された単層板であってもよいし、他の多層配線板であってもよい。
上記ビルドアップ配線板では、内層回路基板上に本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜と導電層(金属回路)とが交互に積層されている。
このようなビルドアップ配線板を作製する方法としては、具体的には、例えば、
(1)内層回路基板上に上記層間絶縁膜形成用フィルムを積層した後、上記層間絶縁膜形成用フィルムを硬化させるとともに、必要に応じてビアホール等を形成し、層間絶縁膜とする。その後、上記層間絶縁膜上に、サブトラクティブ法やアディティブ法等の従来公知の方法により金属からなる導体回路を形成する。この層間絶縁膜を形成する工程と導体回路を形成する工程とを繰り返すことによりビルドアップ配線板を作製する方法を採用することができる。
なお、このとき、上記層間絶縁膜形成用フィルムとして、その表面に回路パターンやベタの導体層が積層された層間絶縁膜形成用フィルムを用いることもできる。
また、例えば、
(2)内層回路基板上に上記接着性エポキシ樹脂組成物を塗布した後、塗布された接着性エポキシ樹脂組成物を硬化させるとともに、必要に応じてビアホール等を形成し、層間絶縁膜とする。その後、上記層間絶縁膜上に、サブトラクティブ法やアディティブ法等の従来公知の方法により金属からなる導体回路を形成する。この層間絶縁膜を形成する工程と導体回路を形成する工程とを繰り返すことによりビルドアップ配線板を作製する方法を採用することができる。
ここで、上記接着性エポキシ樹脂組成物を塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができるが、例えば、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
また、上記接着性エポキシ樹脂組成物の硬化は、必要に応じて、加圧しながら行っても良い。加圧することにより、層間絶縁膜と導体回路との引張せん断接着性及びピール接着性をより高めることができる。
上記接着性エポキシ樹脂組成物の硬化を加圧しながら行う場合、加圧する方法としては、特に限定されないが、例えば、加圧ロールを用いて加圧する方法等が挙げられる。また、その圧力は、特に限定されないが、0.1〜20MPaであることが好ましく、0.2〜15MPaであることがより好ましい。圧力が0.1MPa未満であると、層間絶縁膜と導体回路との引張せん断接着性及びピール接着性向上効果を享受することができないことがあり、20MPaを超えると、層間絶縁膜の厚さを調整することができないことがある。
本発明の配線板において、導体回路を構成する金属としては、例えば、Cu、Ni、Cr、Sn、Ag、Al等が挙げられる。
本発明の配線板において、上記層間絶縁膜の厚さは、特に限定されないが、0.5〜300μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
上記層間絶縁膜の厚さが0.5μm未満であると、層間の絶縁性を確保できなくなることがあり、300μmを超えると、薄形の配線板に適さず、ビアホールの形成等に時間がかかり、また、コスト高となることがある。
このような本発明の配線板は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えるため、金属回路と層間絶縁膜とが高い密着性を有し、金属回路の剥離の発生を回避することができ、信頼性に優れる。
<<電子回路基板>>
次に、本発明の電子回路基板について説明する。
本発明の電子回路基板は、本発明の(d)充填剤を含有する接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えたことを特徴とする。
上記電子回路基板は、例えば、上述したようなビルドアップ基板等の配線板にICチップ等の半導体素子が実装され、更に放熱部材が形成されたものである。
ここで、上記放熱部材は、本発明の接着性エポキシ樹脂組成物のうち、(d)充填剤を含有する接着性エポキシ樹脂組成物を用いて形成されている。このとき、(d)充填剤としては窒化ホウ素を含有することが好ましい。熱伝導率が高く、かつ、熱膨張率が低いためである。
上記放熱部材を形成する方法としては特に限定されず、例えば、予め接着性エポキシ樹脂組成物を未硬化、半硬化又は硬化状態のシート状に加工しておき、これを半導体素子が実装された配線板に貼付し、その後、必要に応じて硬化させることにより形成しても良いし、半導体素子が実装された配線板に、接着性エポキシ樹脂組成物を塗布等により直接供給した後、硬化処理を行うことにより形成してもよい。
上記電子回路基板では、上記放熱部材は、金属回路等の金属部材と接するように形成されていることが好ましい。上記放熱部材は金属との接着性に優れるからである。
また、上記放熱部材を形成する場合、電子回路基板の各面(表面及び裏面)において、その全体を覆うように形成しても良いし、一部にのみ存在するように形成してもよい。
このような電子回路基板は、本発明の(d)充填剤を含有する接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えるため、金属回路等の金属部材と放熱部材とが高い密着性を有することとなる。そのため、熱伝導時に障壁となりえる空気層等が介在しにくく、効率良く放熱することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでない。なお、以下において「%」とあるのは、特に断りのない限り全て「重量%」を表す。
[合成例]
(b)反応性希釈剤として、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)(反応性希釈剤A)を以下の方法により合成した。
還流冷却器、窒素吹き込み管、温度計を備えた1LのSUS製4つ口フラスコにトリメチロールプロパントリアリルエーテル127.2g(0.5mol)、メタノール200g(6.25mol)、アセトニトリル123.1g(3mol)、及び、ケイ酸ナトリウム(キシダ化学社製)45.8g(0.38mol)を仕込み、内温を40℃
に調整しながら、滴下ロートにて35%過酸化水素水291.4g(3mol)を撹拌しながら5時間かけてゆっくりと滴下し、その後、8時間撹拌し反応させた。反応終了時の系内の過酸化物濃度は0.21%であった。その後トルエンで抽出を行い、水洗で過酸化物を除去した後濃縮することにより、反応性希釈剤(b1)を収率80%で得た。また、得られた反応性希釈剤(b1)のガスクロマトグラフィー(GC)純度は95.4%、エポキシ当量は118g/eq、粘度は123mPa・s、全塩素量は92ppmであった。
上記合成例で得た反応性希釈剤Aの他に、以下に示すエポキシ樹脂、反応性希釈剤、硬化剤、硬化促進剤及び充填剤を使用した。原料の略号を併せて示す。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂A:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON N−730A、液状、エポキシ当量175g/eq、粘度4500Pa・s)
・エポキシ樹脂B:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER 1032H60、固形、エポキシ当量170g/eq)
(反応性希釈剤)
・反応性希釈剤B:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(ナガセケムテックス社製、EX−321、液状、GC純度75%、エポキシ当量141g/eq、粘度132mPa・s、全塩素量74000ppm)
・反応性希釈剤C:p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(ナガセケムテックス社製、EX−146、液状、エポキシ当量225g/eq、粘度20mPa・s、全塩素量3000ppm)
・反応性希釈剤D:エチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(ナガセケムテックス社製、EX−810、液状、エポキシ当量113g/eq、粘度20mPa・s、全塩素量6000ppm)
(硬化剤)
・硬化剤A:2−エチル−4−メチルイミダゾール(三菱化学社製、EMI24、アミン当量110g/eq)
・硬化剤B:フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、PR−HF−6)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤A:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、ホクコーTPP)
(充填剤)
・充填剤A:二酸化ケイ素(龍森社製、MSR−2212)
・充填剤B:窒化ホウ素(昭和電工社製、UHP−1K)
上記合成例、並びに、下記実施例及び比較例における測定及び評価は、以下の方法にて行った。
[ガスクロマトグラフィー(GC)純度]
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、GC−2010)を用いて測定した。
なお、カラムとしてはMPS−50(Quadrex社製)を、キャリアガスとしてはHeガスを使用した。
[反応の終了]
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、GC−2010)により、反応率(エポキシ化率)が95%以上となった時点を反応の終点とした。
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS K 7236に準拠して測定した。
[全塩素量]
生成物の全塩素量は、JIS K 7243−3に準拠して測定した。
なお、本実施例及び比較例では、反応性希釈剤A〜Dの全ハロゲン量として全塩素量を測定した。反応性希釈剤B〜Dは、多価アルコールとエピクロロヒドリンとを原料として合成しており、反応性希釈剤A〜Dでは、合成時の原料として塩素以外のハロゲンを含有する原料を使用していない。そのため、反応性希釈剤A〜Dでは、全塩素量を全ハロゲン量と略同一であるとみなすことができる。
[反応率]
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、GC−2010)を用いてGC測定を行い、原料(オレフィン化合物)と生成物(エポキシ化合物)の面積比率から反応率を算出した。
[粘度]
接着性エポキシ樹脂組成物について、粘度計(東機産業社製、B型粘度計)を用いて、25℃での粘度を測定した。
[引張せん断接着強さ]
Cu板(エンジニアリングテストサービス社製、長さ150mm×幅25mm×厚さ1.5mm)とAl板(エンジニアリングテストサービス社製、長さ150mm×幅25mm×厚さ1.5mm)とをアセトンで脱脂後、接着性エポキシ樹脂組成物を薄く塗布し、12.5mmのオーバーラップ距離でCu板とAl板とを重ね合わせた。その後、ハサミ具にて固定し、100℃にて1時間、180℃にて4時間硬化させる事で試験片を作製した。試験は、ストログラフ(東洋精機製作所社製、VG20−E)を用いて行い、引張速度5mm/minにて試験を開始し、試験片が破断したときの荷重を引張せん断接着強さとした。引張せん断接着強さを、下記の基準により3段階で評価した。
◎:20N/mm以上
○:10N/mm以上、20N/mm未満
×:10N/mm未満
[90°ピール接着強さ]
接着性エポキシ樹脂組成物を、厚さ35μmの銅箔と、厚さ1mmのアルミニウム板との間に挟み込み、175℃にて10分間圧着硬化させた後に、175℃にて3時間硬化させることにより、試験片を作製した(樹脂膜厚0.15mm)。その後、ストログラフ(東洋精機製作所社製、VG20−E)を用いて、50mm/分の速度にて10mm幅の銅箔の90°ピール接着強さを測定した。
測定したピール接着強さを、下記の基準により3段階で評価した。
◎:2N/cm以上
○:1N/cm以上、2N/cm未満
×:1N/cm未満
[実施例1]
エポキシ樹脂Aを10%、反応性希釈剤Aを5%、硬化剤Aを5%、充填剤Aを80%混合し、接着性エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた接着性エポキシ樹脂組成物を用いて、粘度、これを構成するエポキシ樹脂及び反応性希釈剤の全塩素量を測定するとともに、引張せん断接着強さを評価した。結果を表1に示す。
[比較例1、2]
接着性エポキシ樹脂組成物の組成を表1に示したように変化させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2015013950
表1の実施例1で得られた接着性エポキシ樹脂組成物は、反応性希釈剤として、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含有するため、引張せん断接着強さに優れていた。一方、比較例1、2で得られた接着性エポキシ樹脂組成物は、(b)特定の構造を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤の代わりに、特定の構造を有するエポキシ化合物を主成分としない反応性希釈剤(エポキシ基が1官能又は2官能である直鎖状の反応性希釈剤)を含有するため、反応性が低下し、引張せん断接着強さに劣っていた。
[実施例2]
エポキシ樹脂Bを40%、反応性希釈剤Aを15%、硬化剤Bを40%、硬化促進剤Aを5%混合し、接着性エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた接着性エポキシ樹脂組成物を用いて、90°ピール接着強さを評価した。結果を表2に示す。
[実施例3〜6]
接着性エポキシ樹脂組成物の組成を表2に示したように変化させたこと以外は、実施例2と同様に行った。結果を表2に示す。
[比較例3、4]
接着性エポキシ樹脂組成物の組成を表2に示したように変化させたこと以外は、実施例2と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 2015013950
表2の実施例2〜6で得られた接着性エポキシ樹脂組成物は、反応性希釈剤として(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含有するため、90°ピール接着強さに優れていた。一方、比較例3、4で得られた接着性エポキシ樹脂組成物は、(b)特定の構造(トリメチロールアルカン骨格を有する3官能構造)を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤を含有しないことから、90°ピール接着強さに劣っていた。
また、実施例5と実施例6とを比較すると、(b)特定の構造を有するエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤として、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)を用いた場合において、エポキシ当量が101〜120g/eqであり、粘度が50〜130mPa・sであり、全塩素量が100ppm以下の高純度な反応性希釈剤(b1)を含有する実施例5の接着性エポキシ樹脂組成物は90°ピール接着強さに特に優れていたのに対し、上述のエポキシ当量、粘度、全塩素量を満たさない低純度な反応性希釈剤(b1)を含有する実施例6の接着性エポキシ樹脂組成物は、90°ピール接着強さにやや劣っていた。

Claims (13)

  1. (a)エポキシ樹脂、(b)下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を主成分とする反応性希釈剤、及び、(c)硬化剤を含むことを特徴とする接着性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2015013950
    (ただし、R〜Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、又は、炭素数6〜10のアリーレン基を表し、互いに同一であっても良く、異なっていても良い。また、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、水素原子を表す。)
  2. (b)反応性希釈剤の含有量は、(a)エポキシ樹脂と(b)反応性希釈剤との合計量に対して5〜95重量%である請求項1に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  3. (b)反応性希釈剤は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを主成分とする反応性希釈剤(b1)である請求項1又は2に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  4. (b1)反応性希釈剤は、エポキシ当量が101〜120g/eqであり、全ハロゲン量が100ppm以下であり、かつ、粘度が50〜130mPa・sである、請求項3に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  5. (a)エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、エチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オクチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール型エポキシ樹脂、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン型エポキシ樹脂、2,2’―メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)型エポキシ樹脂、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ピロガロール型エポキシ樹脂、ジイソプロピリデン型エポキシ樹脂、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、フェノール化ポリブタジエン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−シクロヘキシルカルボキシレート型エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、キシリレングリコール誘導体型エポキシ樹脂、イソシアヌル環型エポキシ樹脂、ヒダントイン環型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂、p−フェニレンジアミン型エポキシ樹脂、m−フェニレンジアミン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン誘導体型エポキシ樹脂、ジアミノメチルベンゼン誘導体型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の中から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  6. (c)硬化剤は、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、三フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンにより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  7. さらに(d)充填剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  8. (d)充填剤は、窒化ホウ素である請求項7に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  9. 層間絶縁膜の形成に用いられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  10. 電子回路基板に設ける放熱部材の形成に用いられる請求項7又は8に記載の接着性エポキシ樹脂組成物。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着性エポキシ樹脂組成物からなることを特徴とする層間絶縁膜形成用フィルム。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着性エポキシ樹脂組成物からなる層間絶縁膜を備えたことを特徴とする配線板。
  13. 請求項7又は8に記載の接着性エポキシ樹脂組成物からなる放熱部材を備えたことを特徴とする電子回路基板。
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