JP2015067798A - エポキシシリコーン樹脂及びそれを用いた硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化物の硬度が高く、耐熱着色性、耐UV着色性、強度、たわみに優れ、リフロー、ヒートサイクル下でもパッケージの損傷が少ない、電子材料分野や光半導体材料、複合材分野に適した熱硬化性樹脂組成物、これに配合されるエポキシシリコーン樹脂を提供する。
【解決手段】(SiO4/2)a[M1SiO3/2)b(M2M3SiO2/2)c(M4M5M6SiO1/2)dで表されるエポキシシリコーン樹脂である。このエポキシシリコーン樹脂は、ノルボルネン骨格含有ジカルボイミド化合物(NCI)とエピクロルヒドリンが反応して得られるエポキシ化合物(A)と、Si-H基含有シリコーン化合物をヒドロシリル化反応させることにより得られる。ここで、M1〜M6は炭化水素基又は化合物(A)の二重結合が開裂して生じるエポキシ基含有基であるが、少なくとも一つはこのエポキシ基含有基である。
【選択図】なし
【解決手段】(SiO4/2)a[M1SiO3/2)b(M2M3SiO2/2)c(M4M5M6SiO1/2)dで表されるエポキシシリコーン樹脂である。このエポキシシリコーン樹脂は、ノルボルネン骨格含有ジカルボイミド化合物(NCI)とエピクロルヒドリンが反応して得られるエポキシ化合物(A)と、Si-H基含有シリコーン化合物をヒドロシリル化反応させることにより得られる。ここで、M1〜M6は炭化水素基又は化合物(A)の二重結合が開裂して生じるエポキシ基含有基であるが、少なくとも一つはこのエポキシ基含有基である。
【選択図】なし
Description
本発明は末端および側鎖にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ構造を配した、直鎖および環状シロキサン結合を有する新規なエポキシシリコーン樹脂、およびそれを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物に関し、特に、電子材料分野や光半導体材料分野、複合材分野に適した熱硬化性樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は、電気特性、接着性、耐熱性等に優れることから主に塗料分野、土木分野、電気分野の多くの用途で使用されている。特に、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂は、耐水性、接着性、機械物性、耐熱性、電気絶縁性、経済性などが優れることから種々の硬化剤と組み合わせて広く使用されている。しかし、これらの樹脂は芳香環を含むことから、紫外線等により劣化しやすく、耐候性、耐光性を求められる分野、たとえばLED封止材のような分野では使用上の制約があった。
近年、耐熱・耐光黄変性に優れるシリコーン樹脂をベースにしたLED封止材の開発が行われており、ヒドロシリル基とアルケニル基の付加反応による樹脂組成物や、エポキシ基を有するシリコーン樹脂を、硬化剤を用いて硬化させて得られる樹脂組成物の報告がなされている。
しかし、シリコーン樹脂やシリコーン骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂の多くは、シリコーン骨格に由来する高い可とう性を持つが、硬化物の硬度が低く、表面にべたつき性を生じやすいことや、強度が低い等の短所を有している。このため、埃の付着等による透明性の劣化を生じやすく、LED製造時のハンドリングに難があり、製造方法や構成、デザイン、用途に制限を受けている。また、フェニル基を含有した、硬度の高いシリコーン骨格を有する樹脂は、ハンドリング性は改善されるが、強度、たわみに問題があり、点灯消灯時の急激な温度変化等によって割れを生じやすいなどの短所を有している。
このような観点から、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂の欠点を相互に補うべく、ヒドロシリル基と反応が可能な炭素―炭素2重結合を有し、かつシクロヘキセンオキシド基やイソシアヌル基を内部に有する剛直なエポキシ樹脂と、シリコーン樹脂または化合物をヒドロシリル化反応により化学的に結合させたエポキシシリコーン樹脂の報告がなされている。(特許文献1、2)
一方、炭素―炭素2重結合を有する剛直なエポキシとしては、例えばN−グリシジルイミド化合物と、酸無水物から得られる耐熱性に優れる硬化物が知られているが、光学的特性に関する記述並びにシリコーン化合物との反応性や反応物に関する記載は見受けられない。(特許文献3)
LEDのように耐熱性、耐光性、機械強度が求められる分野では、光劣化を抑えるために非芳香族構造やシロキサン構造を有し、耐熱性、機械強度の観点からは剛直な構造を導入した材料を用いることが好ましい。しかし、非芳香族構造を有し、かつヒドロシリル化反応が可能な剛直なエポキシ樹脂は構造が限られており、エポキシシリコーン樹脂の材料選択の幅を制限させているのが実情である。
本発明は、硬化物の硬度が高く、耐熱着色性、耐UV着色性、強度、たわみに優れ、リフロー、ヒートサイクル下でもパッケージの損傷を低減することが可能な電子材料分野や光半導体材料、複合材分野に適した熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。他の目的は、上記熱硬化性樹脂組成物の材料として適した新規エポキシシリコーン樹脂を提供することにある。
本発明者らは、非芳香族でありかつ剛直構造として、環状イミド化合物について着目し鋭意検討を重ねた結果、ノルボルネン骨格含有環状イミドエポキシ化合物がSi−H基との反応性に優れ、かつエポキシ樹脂とシリコーン樹脂の両方の長所を維持した硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記式(A1)で表されるエポキシシリコーン樹脂である。
(SiO4/2)a(M1SiO3/2)b(M2M3SiO2/2)c(M4M5M6SiO1/2)d
(A1)(式中、M1〜M6はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表すが、M2,M3が同時に、又はM4,M5,M6の2つ以上が同時に、該エポキシ基含有基であることは無く、M1〜M6のうちいずれか1つ以上は該エポキシ基含有基である。a,b,c,dは存在量(モル)を表わし、a+b+c+d=1としたとき、それぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦1、0≦c≦1、0<d≦1を満たす数である。
(SiO4/2)a(M1SiO3/2)b(M2M3SiO2/2)c(M4M5M6SiO1/2)d
(A1)(式中、M1〜M6はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表すが、M2,M3が同時に、又はM4,M5,M6の2つ以上が同時に、該エポキシ基含有基であることは無く、M1〜M6のうちいずれか1つ以上は該エポキシ基含有基である。a,b,c,dは存在量(モル)を表わし、a+b+c+d=1としたとき、それぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦1、0≦c≦1、0<d≦1を満たす数である。
式(A1)で表されるエポキシシリコーン樹脂としては、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるエポキシシリコーン樹脂が挙げられる。
一般式(2)〜(5)において、R1〜R9は一般式(1)における説明と同義である。R10、R11は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良い。n1〜n6は、それぞれ独立に0〜100の整数である。一般式(5)において、R12は炭素数1〜6の1価の炭化水素基又は一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表す。m1、m2は1〜4の整数であり、2≦(m1+m2)≦6を満たす数である。
上記一般式(1)において、R1〜R8がすべて水素原子であり、R9がメチレン結合であることが望ましく、上記エポキシシリコーン樹脂において、エポキシ当量が275〜2000g/eq.であることが望ましい。
さらに本発明は、一般式(6)で表される炭素―炭素二重結合を1つ含有するエポキシ化合物と、一般式(7)〜(10)のいずれかで表されるSi−H基含有シリコーン化合物とのヒドロシリル化反応させることを特徴とするエポキシシリコーン樹脂の製造方法である。
一般式(7)〜(10)において、R10、R11は一般式(2)における説明と同義である。n1〜n6は一般式(2)〜(5)における説明と同義である。一般式(10)において、R10、R12、m1、m2は一般式(5)における説明と同義である。
更に、本発明は、上記のエポキシシリコーン樹脂(A)、硬化剤(B)、及び硬化促進剤(C)を必須成分として含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。硬化剤(B)としては酸無水物が、硬化促進剤(C)としては4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩が挙げられる。
また、本発明は、さらに、酸化防止剤(D)を含むことを特徴とする上記の熱硬化性樹脂組成物である。酸化防止剤(D)としては、一般式(11)で表されるスピログリコール骨格含有ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。
(式中、R14は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。)
上記熱硬化性樹脂組成物は、光学部品用又は電子部品用又は複合材用のいずれかに適する。また、光半導体部品用、又は半導体用液状封止用の樹脂組成物として適する。
更に、本発明上記の熱硬化性樹脂組成物を用いたLED装置であり、また上記の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物である。
本発明のエポキシシリコーン樹脂は、これに硬化剤等を配合して硬化性樹脂組成物とし、これを硬化させたとき、表面硬度、強度、たわみに優れ、透明性を有し、耐熱着色性、耐光着色性に優れる硬化物またはフィルムを得ることが出来る。したがって、半導体や回路基板などの電子部品材料や、光学レンズ、光学シート、光反射用白色成型材料などの光学部品材料等に有用であり、特に昨今LED封止材において課題となっている、熱・光による着色、リフロー実装やヒートサイクル環境下におけるクラック、断線、基材との剥離といった問題の改善が期待できる。また、カーボンファイバー、ガラスファイバー等の繊維材料との複合化によるコンポジット材、車体、構造材料などの複合材料にも有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書でいうエポキシ樹脂とエポキシ化合物は同一の意味を有する場合があると理解される。したがって、エポキシ樹脂又はエポキシ化合物は両者を代表する意味で使用されることがある。同様に、シリコーン樹脂及びシリコーン化合物は両者を代表する意味で使用されることがある。また、本発明のエポキシシリコーン樹脂を、エポキシシリコーン樹脂(A)ともいう。
本発明のエポキシシリコーン樹脂は、上記式(A1)で表される。
式中、M1〜M6はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表すが、M2,M3が同時に該エポキシ基含有基であることは無く、M4,M5,M6の2つ以上が同時に該エポキシ基含有基であることは無い。ただし、M1〜M6のうちいずれか一つ以上は上記一般式(1)で表されるエポキシ基含有基である。
式中、M1〜M6はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表すが、M2,M3が同時に該エポキシ基含有基であることは無く、M4,M5,M6の2つ以上が同時に該エポキシ基含有基であることは無い。ただし、M1〜M6のうちいずれか一つ以上は上記一般式(1)で表されるエポキシ基含有基である。
好ましくは、M1〜M6はそれぞれ独立にメチル基、フェニル基又は一般式(1)で表されるエポキシ基含有基である。M2,M3が同時に該エポキシ基含有基であることは無い。これは、後述する本発明のエポキシシリコーン樹脂(A)の製造方法において、、M2,M3が同時に該エポキシ基含有基であるときの原料となるSi−H基含有シリコーン樹脂の合成が非常に困難であり、かつ保存安定性も極めて悪いことに由来する。同様の理由で、M4,M5,M6の2つ以上が同時に該エポキシ基含有基であることは無い。ただし、M1〜M6のうちいずれか一つ以上は該エポキシ基含有基であり、経済性及び硬化物の物性の観点から、一般式(2)〜(5)で表される構造の様式をとることが好ましい。また、M1〜M6のうちいずれかが一般式(1)で表されるエポキシ基をとらない場合は、経済性及び硬化物の物性の観点からメチル基であることが好ましい。
式(A1)中のa,b,c,dはそれぞれ存在量(モル)を表わし、a+b+c+d=1であるとき、aは0〜0.2、bは0〜1、cは0〜1、及びdは0より大きく1以下の数を表わす。
式(A1)で表されるエポキシシリコーン樹脂としては、上記一般式(2)〜(5)で表わされるいずれかのエポキシシリコーン樹脂が好ましく挙げられる。しかし、これらに限定されず、2種以上を用いても良い。本発明における好ましいエポキシシリコーン樹脂(A)は、反応制御及び経済的な効率の観点、硬化物の物性から一般式(2)〜(5)で表される直鎖または環状シロキサン構造を主骨格に含む構造である。
一般式(1)〜(10)において、共通の記号は特に断りがない限り、同じ意味を有する。共通の記号であっても、それぞれは独立に変化し得る。一分子中に同一の記号が複数ある場合も、同様である。
一般式(1)〜(6)において、R1〜R8は水素原子、またはC1〜3の炭化水素基を表すが、好ましい炭化水素基はメチル基、エチル基、またはプロピル基である。R1〜R8は、好ましくは入手の容易性から水素原子である。
R9は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。このような炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基等が挙げられる。好ましくは、合成の容易性から、メチレン基である。
上記一般式(2)〜(4)において、R10、R11は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。このような炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が挙げられる。好ましい炭化水素基としては、経済性及び入手の容易性、硬化物としたときの物性から、メチル基である。
n1〜n6は、独立に0〜100の整数を表し、好ましくは0〜30である。この範囲にあることで、硬度が高く、耐熱着色性、耐UV着色性、強度、たわみに優れ、Tgの高い硬化物を得ることが出来る。n1〜n6の値が100を越えると、シリコーンとしての特性が強くなり、ベタつきの発生やTgが低くなる等LED封止材としての使用が難しくなる。
一般式(5)において、R12は炭素数1〜6の1価の炭化水素基又は一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表す。1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が挙げられる。好ましい炭化水素基としては、経済性及び入手の容易性、硬化物としたときの物性から、メチル基である。
一般式(5)において、m1、m2は1〜4の整数であり、2≦(m1+m2)≦6を満たす数である。好ましくは、原料の入手性、経済性、硬化物としたときの物性の観点から、m1=m2=1である数である。
本発明のエポキシシリコーン樹脂は、エポキシ当量が275〜2000g/eq.であることが望ましい。この範囲であることで、ポキシシリコーン樹脂を用いた硬化物のTg,硬度、耐熱着色性、耐光着色性、機械強度がバランスのとれたものとなる。エポキシ当量が低すぎるとエポキシシリコーン樹脂は実質的に製造が困難であり、エポキシ当量が高すぎると表面硬度が低くなりべたつきを生じる、耐熱着色性が悪くなるなどの傾向がある。
次に本発明のエポキシシリコーン樹脂(A)の製造方法について記載する。
本発明のエポキシシリコーン樹脂(A)は、一分子中にSi−H基を2つ以上有する下記に示すシリコーン化合物(A3)と、上記一般式(6)で表されるノルボルネン骨格含有環状イミドエポキシ化合物とのヒドロシリル化反応により得ることが出来る。
(SiO4/2)a(M1ASiO3/2)b(M2AM3ASiO2/2)c(M4AM5AM6ASiO1/2)d
(A3)(式中、M1A〜M6Aはそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は水素原子を表すが、M2A,M3Aが同時に水素原子であることは無く、M4A,M5A,M6Aの2つ以上が同時に水素原子であることは無い。ただし、M1A〜M6Aのうちいずれか一つ以上は一般式(1)で表される該エポキシ基含有基である。a,b,c,dはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦1、0≦c≦1、0<d≦1を満たす数であり、a+b+c+d=1を満たす。)
(A3)(式中、M1A〜M6Aはそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は水素原子を表すが、M2A,M3Aが同時に水素原子であることは無く、M4A,M5A,M6Aの2つ以上が同時に水素原子であることは無い。ただし、M1A〜M6Aのうちいずれか一つ以上は一般式(1)で表される該エポキシ基含有基である。a,b,c,dはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦1、0≦c≦1、0<d≦1を満たす数であり、a+b+c+d=1を満たす。)
一般式(6)において、R1〜R9は一般式(1)における説明と同義であり、好ましくはR1〜R8が水素原子、R9がメチレン基である。
シリコーン化合物(A3)としては、上記一般式(7)〜(10)の構造を有するシルセスキオキサン誘導体などの構造が挙げられるがこれらに限定されず、2種以上を用いても良い。a=0、b=1、c=0、d=0で表される一般式(12A)又は(13A)で表される多面体構造を有するシルセスキオキサン誘導体、ラダー構造を有するシスセスキオキサン誘導体(14A)、a=0.2、b=0、c=0、d=0.8で表される、一般式(15A)のような4官能Si−H化合物などの構造が挙げられるがこれらに限定されず、2種以上を用いても良い。好ましいSi−H基含有シリコーン樹脂(A3)は、反応制御及び入手の容易性、硬化物の物性から上記一般式(7)〜(10)で表される直鎖シロキサン構造を主骨格に含む構造である。
一般式(7)〜(10)は、それぞれ一般式(2)〜(5)と対応するので、共通の記号は同じ意味を有する。
式(A1)で表されるエポキシ樹脂は、前駆体として対応するジカルボキシイミドを原料として得ることが出来る。ジカルボキシイミドの合成方法としては、上記特許文献3に記載のように、対応する酸無水物と尿素から得ることもできるし、キシレン等の有機溶媒存在下、アンモニア水等を用いて酸無水物をアミック酸とした後、系内を昇温、分子内脱水によりイミド環を形成させることで得ることもできる。ジカルボキシイミドの合成方法としては特に限定されず、当業者にとって好ましい形態で実施することが出来る。
ジカルボジイミドからのエポキシ化については、水酸化ナトリウム等の塩基や4級オニウム塩等の相関移動触媒存在下、エピハロヒドリンを用いて公知の方法でエポキシ化を行うことにより得ることが出来る。また、内部にハロゲンを有する炭素数1〜10の末端アルケニル化合物をSN2付加反応でイミド基上の窒素原子に付加させた後、m−クロロ過安息香酸などの公知の酸化剤を用いたオレフィン酸化による反応を用いても得ることが出来る。ジカルボキシイミドからのエポキシ化については特に限定されず、当業者にとって好ましい形態で実施することが出来る。一般式(1)において、好ましいR1〜R8としては、原料入手の容易性およびヒドロシリル化反応時の活性の点から水素原子である。好ましいR9の構造としては、反応操作の簡便性からエピハロヒドリンを用いてエポキシ化することが好ましいことから、メチレン基である。
本発明者らが検討したところ、Si−H基を有するシリコーン化合物と脂肪族縮環構造中に炭素―炭素2重結合を持つノルボルネン骨格は白金などの貴金属触媒存在下で容易にヒドロシリル化反応を行うことが出来た。一方、炭素―炭素2重結合を内部に有するが、脂肪族縮環構造を有さない構造、例えばシクロヘキセン環等の不飽和脂肪族環構造についてはヒドロシリル化反応の活性が非常に低いことがわかった。特に一般式(1)中、R1〜R8がすべて水素原子で表される構造について、本発明のエポキシシリコーン樹脂を有利に製造することが出来る。
ヒドロシリル化反応は、貴金属触媒の存在下で進行することが広く知られている。触媒としては、公知のものであれば種々の貴金属又はその錯体化合物を使用することができる。貴金属触媒としては、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム又はイリジウムなどが挙げられるがこれらに限定されず、必要に応じて2種以上用いても良い。また、これらの金属を微粒子状担体材料、例えばカーボン、活性炭、酸化アルミニウム、シリカなどに固定化されたものを用いても良い。
貴金属の錯体化合物としては、白金ハロゲン化合物(PtCl4、H2PtCl6・6H2O、Na2PtCl6・4H2O等)、白金―オレフィン錯体、白金―アルコール錯体、白金―アルコラート錯体、白金―エーテル錯体、白金―カルボニル錯体、白金―ケトン錯体、白金―1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、白金―テトラメチルーテトラビニルシクロテトラシロキサンなどの白金―ビニルシロキサン錯体、ビス(γ―ピコリン)―白金ジクロライド、トリメチレンジピリジン−白金ジクロライド、ジシクロペンタジエン−白金ジクロライド、シクロオクタジエン−白金ジクロライド、シクロペンタジエン−白金ジクロライド、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体、ビス(アルキニル)(シクロオクタジエン)白金錯体、塩化ロジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロライド、テトラキスアンモニウムーロジウムクロライド錯体などが挙げられるが特に限定されず、必要に応じて2種以上使用しても良い。
上記貴金属触媒はそれぞれ単独で、あるいは溶解する溶媒にあらかじめ溶解させておき、しかる後反応系内に投入してもよい。貴金属触媒の使用割合は特に限定されないが、通常反応に用いた原料の合計重量に対して、0.1ppm〜100000ppm、好ましくは1ppmから10000ppmの範囲である。
ヒドロシリル化反応は、無溶媒でも反応を行うことができるが、必要に応じて有機溶媒にて反応系を希釈してもよく、反応に悪影響を与える化合物でなければ特に制限されない。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどの脂肪族ケトン類、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチルなどのエステル類が挙げられる。これらの有機溶媒は、2種以上を選択して混合溶媒として使用してもよい。
ヒドロシリル化反応における温度条件については、特に限定されないが、通常0℃〜200℃、好ましくは30℃〜180℃である。0℃以下では反応の進行に時間を要し経済的ではない。200℃以上で反応を行うとエポキシ基とヒドロシリル部位との付加反応が進行し、反応をコントロールすることが困難となる。
本発明のエポキシシリコーン樹脂は、硬化剤等を配合することにより熱硬化性樹脂組成物とすることができる。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物について説明する。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシシリコーン樹脂(A)、硬化剤(B)、及び硬化促進剤を必須成分として含む。以下、エポキシシリコーン樹脂を(A)又は(A)成分と、硬化剤を(B)又は(B)成分と、硬化促進剤を(C)又は(C)成分、酸化防止剤を(D)又は(D)成分と記すことがある。ここで、エポキシシリコーン樹脂(A)は、本発明のエポキシシリコーン樹脂である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のものであれば種々の化合物を適用できる。例えば、有機アミン化合物、ジシアンジアミド及びその誘導体、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール及びその誘導体、ビスフェノールA、ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールA、ナフタレンジオール、4,4’−ビフェノールなどの2価フェノール化合物、フェノールやナフトール類とホルムアルデヒドあるいはキシリレングリコール類との縮合反応により得られるノボラック樹脂あるいはアラルキルフェノール樹脂、酸無水化合物と多価有機アルコールとの反応により得られる多価カルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ナジック酸、水素化無水ナジック酸、無水トリメリット酸、水素化無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、水素化無水ピロメリット酸などの酸無水物、アジピン酸ヒドラジドなどのヒドラジド化合物、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンを有する有機カチオン分子と、テトラフルオロほう素アニオン、ヘキサフルオロリンアニオン、ヘキサフルオロひ素アニオン、ヘキサフルオロアンチモンアニオン等のアニオン種で構成されているオニウム塩化合物等からなるカチオン硬化剤を適用することができ、必要に応じて2種類以上を用いてもよい。特に、本発明における透明性、耐熱着色性、耐光着色性を得るための好ましい硬化剤は酸無水物であり、更に好ましくは無水ヘキサヒドロフタル酸、メチル化無水ヘキサヒドロフタル酸、水素化無水ナジック酸である。
硬化促進剤(C)としては、エポキシ樹脂の硬化促進剤とし公知のものであれば種々の化合物を適用できる。例えば、3級アミン及びその塩類、イミダゾール類及びその塩類、有機ホスフィン化合物及びその塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズなどの有機金属塩が挙げられ、必要に応じて2種類以上を用いてもよい。特に、本発明の効果を得るための好ましい硬化促進剤は、4級アンモニウム塩類、有機ホスフィン化合物、4級ホスホニウム塩類であり、更に好ましい触媒は4級ホスホニウム塩類である。
である。
である。
本発明の熱硬化樹脂組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分を必須成分とするが、粘度、硬化速度の調整等、当業者に好ましい形態とすることを目的として、(E)成分として、(A)成分以外の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する、他のエポキシ樹脂またはエポキシ化合物を用いてもよい。
(E)成分は、公知の材料であり、単独あるいは混合して室温で液状を有するものであれば種々の化合物を選択できる。たとえば、レソルシノール、ハイドロキノン、2,5−ジターシャリブチルヒドロキノンなどの単環型二価フェノール類から誘導されるエポキシ樹脂およびその芳香環を核水素化したもの、1,3−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールなどのナフタレンジオール類から誘導されるエポキシ樹脂、およびその芳香環を核水素化したもの、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール等のビスフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、およびその芳香族環を核水素化したエポキシ樹脂が挙げられる。更に、下記一般式(16)〜(21)に挙げられる脂環式エポキシ樹脂、で表されるエポキシシリコーン樹脂などが挙げられるがこれらに限定されず、必要に応じて2種以上を用いてもよい。
(式中、g、fは1〜20の整数を表す。)
(R15SiO3/2)w(R16R17SiO)x(Me3SiO1/2)y (21)
(式中、R15〜R17は、それぞれ内部にエポキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、芳香族基、またはイソシアヌル環基であり、内部にエーテル性酸素原子を1〜3個有していても良い。ただし、R15〜R17のうち、1つ以上は必ずエポキシ基を含む。またR16、R17が同時にエポキシ基を有することはない。w〜yは、w+x+y=1,0≦w<1、0<x<1、0<y0.75を満たす数である。)
(式中、R15〜R17は、それぞれ内部にエポキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、芳香族基、またはイソシアヌル環基であり、内部にエーテル性酸素原子を1〜3個有していても良い。ただし、R15〜R17のうち、1つ以上は必ずエポキシ基を含む。またR16、R17が同時にエポキシ基を有することはない。w〜yは、w+x+y=1,0≦w<1、0<x<1、0<y0.75を満たす数である。)
本発明における熱硬化性樹脂組成物をLED封止用途として使用する際には、酸化防止剤(D)を配合し、加熱時の酸化劣化を防止し着色の少ない硬化物とすることが好ましい。
酸化防止剤(D)としては公知のものであれば種々の化合物を適用できる。例えば、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−tert−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのモノフェノール類、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどの高分子型フェノール類、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのオキサホスファフェナントレンオキサイド類、ジラウリル3,3’―ジラウリル3,3’―チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’―ジラウリル3,3’―チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’―ジラウリル3,3’―チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3―ラウリルチオプロピオネート)等のエステル骨格含有チオエーテル化合物系酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は必要に応じて2種類以上を用いてもよい。
これらの酸化防止剤(D)のうち、上記一般式(11)で表されるスピログリコール骨格含有ヒンダードフェノール化合物を用いることで、本発明のエポキシシリコーン樹脂(A)の耐熱着色性を大きく改善することができる。スピログリコール骨格含有ヒンダードフェノール化合物として特に好ましくは、3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンで表される構造である。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には他の熱硬化性樹脂を配合することもできる。このような熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性アミノ樹脂、熱硬化性メラミン樹脂、熱硬化性ウレア樹脂、熱硬化性シアネートエステル樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性オキセタン樹脂、熱硬化性エポキシ/オキセタン複合樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須成分とするが、樹脂成分(樹脂の他、硬化して樹脂の一部となる成分、例えば、モノマー、硬化剤、硬化促進剤を含むが、溶剤、充填剤は含まない)の60wt%以上、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上が(A)成分〜(B)成分であることがよい。また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合割合は、次のようにして決めることがよい。
(B)成分がカチオン硬化剤でない場合は、(A)成分のエポキシ基と(B)成分の硬化剤中の官能基が当量比で0.8〜1.5の範囲であることが好ましい。この範囲外では硬化後も未反応のエポキシ基、又は硬化剤中の官能基が残留し、硬化物としたときの硬度や耐熱性等の機能が低下するため好ましくない。また、硬化促進剤である(C)成分の配合割合としては、(A)成分と(B)成分の合計に対して、0.1wt%〜5wt%の範囲が好ましい。0.1wt%未満ではゲル化時間が遅くなって硬化時の剛性低下による作業性の低下をもたらし、逆に5.0wt%を超えると成形途中で硬化が進んでしまい、未充填が発生し易くなる。
(B)成分がカチオン硬化剤である場合、(A)成分100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.1重量部〜5重量部である。0.01重量部未満の場合は硬化不良が発生しやすくなり、逆に5重量部を超えると透明性、耐熱着色性の点で好ましくない。
本発明の熱硬化性樹脂を電子部品として適用する場合、その用途、製造プロセスについては公知のものであれば特に限定されるものではない。たとえば、半導体封止材料であれば本発明の熱硬化性樹脂組成物にシリカなどのフィラーを混合し、ニーダーや熱3本ロールにて混練したのち、タブレット化して封止用金型のキャビティに送り込み熱硬化させるトランスファーモールド方式をとることができる。また、室温で液状である硬化剤と混合し、必要に応じてシリカ、アルミナ、酸化チタンなどのフィラー等を用いて所望の粘度としたのち、所定の位置に樹脂を注入するディスペンス方式をとることが出来る。
また、回路基板としては、たとえばガラスクロスなどの基材に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させた後、銅箔をプレス成型により貼り合わせる方法や、銅箔に本発明の熱硬化性樹脂組成物をキャスト法などにより塗布し、所望の基材と貼り合わせる方法をとることが出来る。
また、基板と半導体の接合部を封止・保護するアンダーフィル材として使用する場合には、室温で液状である硬化剤と混合し、必要に応じてシリカ、アルミナ、酸化チタン、ゴム粒子などのフィラー等を用いて所望の粘度としたのち、所定の位置に樹脂を注入するディスペンス方式をとることが出来る。
また、光学部品用途としては、たとえば光学レンズ、光半導体用封止材、光半導体用白色成型材料、光半導体接着剤などがあげられるがその用途についてはこれらに限定されず、公知の用途、製造プロセスであれば適用が可能である。
たとえば、光学レンズ材料としては、ディスペンス方式、トランスファーモールド方式等の公知のプロセスにより製造が可能である。
光半導体装置(LED装置)用封止材としては、光半導体素子を金ワイヤー等で外部電極に接続したのち、トランスファーモールド方式、ポッティング方式等公知の技術を用いて充填する方法が適用できる。この際、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、光半導体素子から発光する光を変換する目的で、各種公知の蛍光粉末を用いてもよい。また、適度なチクソ性を発現させるため、シリカ、エアロジルなどの公知のフィラーやシランカップリング材、界面活性剤などの公知の添加剤を加えてもよい。
光半導体用白色成型材料としては、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、シリカ、酸化チタン、アルミナなどのフィラーを混合し、ニーダーや熱3本ロールにて混練したのち、タブレット化して封止用金型のキャビティに送り込み熱硬化させるトランスファーモールド方式等を適用できる。
光半導体装置用接着剤としては、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、必要に応じてシリカ、酸化チタン、アルミナ、銀粉などのフィラーを用いてロール等による混練によりペースト化したものをディスペンス等の方法で基材に塗布、またはさらに公知のフィルム材を用いてフィルム状としたものを、基材の上に貼り合わせ、光半導体素子をマウントし熱硬化させる方法等を適用できる。
本発明の熱硬化性樹脂を複合材用樹脂組成物として適用する場合、その用途、製造プロセスについては公知のものであれば特に限定されるものではない。製造方法としては、ハンドレイアップ法、プリプレグ法、RTM法、プルトルージョン法、フィラメントワインディング法、スプレーアップ法などの方法が適用できる。強化繊維基材としては、強化繊維からなる織物、ニット、マット、ブレードなどをそのまま用いても良く、これらの基材を積層、賦形してもよい。強化繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維などが使用できる。こうして得られる繊維強化複合材料は、耐熱性や耐光性、機械強度に優れるので、航空機の胴体、主翼、尾翼等の構造材、自動車のシャシー等の自動車部品、鉄道車両、自転車、船舶の構造材、風力発電のブレード、釣竿、テニスラケット、ゴルフシャフト、ケーブルなどの材料に好適に使用することが出来る。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、フッ素樹脂板、PETフィルム、ポリイミド等の基材上に、スピンコーター、バーコーター等を用いて薄膜状に塗布し、熱硬化させた後、基材をはがすことでフィルム体を得ることが出来る。
上記手法により得られた熱硬化性樹脂及び熱硬化フィルムは、公知の電子部品用途、光学部品用途であれば種々の用途に適用でき、フレキシブルプリント配線板、異方性導電フィルム、カバーレイフィルム、ダイアタッチフィルム、層間絶縁材料等の電子部品用途、透明保護フィルム、光導波路用フィルム、光半導体フィルム等の光学部品用途に適用可能である。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
合成例1
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物164重量部、キシレン400重量部を攪拌モーター、ディーンスターク管を連結した還流冷却管、窒素ラインを装着した1Lの4つ口セパラブルフラスコに投入した。室温で攪拌しながら、29%アンモニア水を65重量部、1時間かけて滴下した。高速液体クロマトグラフィーを用いて、原料のピークが消失するまで攪拌を続けた後、反応系内を徐々に上昇させた。アンモニア水由来及び分子内脱水に由来する水をディーンスターク管内で分離しながら、キシレン還流下6時間反応を行った。室温まで反応液を空冷させることで析出した沈殿をろ過により回収し、減圧乾燥機で乾燥させた。このようにして、ノルボルネン骨格含有ジカルボイミド化合物(NCI)を138重量部得た。
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物164重量部、キシレン400重量部を攪拌モーター、ディーンスターク管を連結した還流冷却管、窒素ラインを装着した1Lの4つ口セパラブルフラスコに投入した。室温で攪拌しながら、29%アンモニア水を65重量部、1時間かけて滴下した。高速液体クロマトグラフィーを用いて、原料のピークが消失するまで攪拌を続けた後、反応系内を徐々に上昇させた。アンモニア水由来及び分子内脱水に由来する水をディーンスターク管内で分離しながら、キシレン還流下6時間反応を行った。室温まで反応液を空冷させることで析出した沈殿をろ過により回収し、減圧乾燥機で乾燥させた。このようにして、ノルボルネン骨格含有ジカルボイミド化合物(NCI)を138重量部得た。
合成例2
合成例1で得られた(NCI)36重量部、エピクロルヒドリン123重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル28重量部を攪拌モーター、分離管を連結した還流冷却管、窒素ラインを装着した500mlの5つ口セパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら65℃まで昇温した。ついで、系内を130mmHgまで減圧させ、48%水酸化ナトリウム水溶液19重量部を4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離管にて分離しエピクロルヒドリンは反応系内に戻し、水は系外に除いて反応した。水酸化ナトリウム水溶液滴下後3時間この状態を保持し、ついで80℃5mmHgの条件で系内に残存するエピクロルヒドリンを減圧留去させた。得られた残渣にトルエン90重量部、水50重量部を用いて生成した塩を油水分離により取り除き、さらに水層が中性になるまで油層を水洗した。トルエンを減圧留去したのち、得られた残渣をイソプロピルアルコールにて再結晶を行った。このようにして、一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、R9がメチレン基であるノルボルネン骨格含有環状イミドエポキシ化合物(NAE)を25重量部得た。このエポキシ化合物の融点は108℃、エポキシ樹脂は223g/eq.であった。
合成例1で得られた(NCI)36重量部、エピクロルヒドリン123重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル28重量部を攪拌モーター、分離管を連結した還流冷却管、窒素ラインを装着した500mlの5つ口セパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら65℃まで昇温した。ついで、系内を130mmHgまで減圧させ、48%水酸化ナトリウム水溶液19重量部を4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離管にて分離しエピクロルヒドリンは反応系内に戻し、水は系外に除いて反応した。水酸化ナトリウム水溶液滴下後3時間この状態を保持し、ついで80℃5mmHgの条件で系内に残存するエピクロルヒドリンを減圧留去させた。得られた残渣にトルエン90重量部、水50重量部を用いて生成した塩を油水分離により取り除き、さらに水層が中性になるまで油層を水洗した。トルエンを減圧留去したのち、得られた残渣をイソプロピルアルコールにて再結晶を行った。このようにして、一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、R9がメチレン基であるノルボルネン骨格含有環状イミドエポキシ化合物(NAE)を25重量部得た。このエポキシ化合物の融点は108℃、エポキシ樹脂は223g/eq.であった。
実施例1
合成例2で得られたエポキシ化合物(NAE)を22重量部、トルエン44重量部、白金―テトラメチル−テトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.07重量部を、攪拌モーター、還流冷却管、窒素ラインを装着した300mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら100℃に昇温した。ついで、一般式(2)中、R10,R11がメチル基、n1の平均値が4で表される両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサン21.5重量部を1時間かけて反応系内に投入した。投入終了後、内温を110℃まで昇温し、トルエンを還流させながら反応を行った。0.1規定の水酸化カリウム/メタノール溶液に反応液を滴下し、水素ガスの発生がなくなったことを確認後、エバポレータを用いて、ろ液の溶媒留去を行った。このようにして、下記に示す両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES1)を39重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は437g/eq.室温での粘度は1.5Pa・sであった。このエポキシシリコーン樹脂のIRスペクトルを図1に示す。
合成例2で得られたエポキシ化合物(NAE)を22重量部、トルエン44重量部、白金―テトラメチル−テトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.07重量部を、攪拌モーター、還流冷却管、窒素ラインを装着した300mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら100℃に昇温した。ついで、一般式(2)中、R10,R11がメチル基、n1の平均値が4で表される両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサン21.5重量部を1時間かけて反応系内に投入した。投入終了後、内温を110℃まで昇温し、トルエンを還流させながら反応を行った。0.1規定の水酸化カリウム/メタノール溶液に反応液を滴下し、水素ガスの発生がなくなったことを確認後、エバポレータを用いて、ろ液の溶媒留去を行った。このようにして、下記に示す両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES1)を39重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は437g/eq.室温での粘度は1.5Pa・sであった。このエポキシシリコーン樹脂のIRスペクトルを図1に示す。
実施例2
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンとして、一般式(2)中、R10,R11がメチル基、n1の平均値が8で表される両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンを36.3重量部使用し、トルエン60重量部、白金―テトラメチルーテトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.09重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES2)を52重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は585g/eq.室温での粘度は0.3Pa・sであった。
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンとして、一般式(2)中、R10,R11がメチル基、n1の平均値が8で表される両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンを36.3重量部使用し、トルエン60重量部、白金―テトラメチルーテトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.09重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES2)を52重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は585g/eq.室温での粘度は0.3Pa・sであった。
実施例3
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンとして、一般式(3)中、R10,R11がメチル基、n2の平均値が3、n3の平均値が5で表される側鎖及び末端にSi−H基を有する直鎖シロキサン13.7重量部、トルエン40重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、下記に示す側鎖及び末端に両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES3)を30重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は362g/eq.室温では高粘調の液体であった。
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンとして、一般式(3)中、R10,R11がメチル基、n2の平均値が3、n3の平均値が5で表される側鎖及び末端にSi−H基を有する直鎖シロキサン13.7重量部、トルエン40重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、下記に示す側鎖及び末端に両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES3)を30重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は362g/eq.室温では高粘調の液体であった。
実施例4
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンとして、式(22)で表される側鎖及び末端にSi−H基を有する分岐シロキサン13.2重量部、トルエン35重量部、白金―テトラメチルーテトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.06重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、下記に示す側鎖及び末端に両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES4)を29重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は358g/eq.室温では高粘調の液体であった。
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンとして、式(22)で表される側鎖及び末端にSi−H基を有する分岐シロキサン13.2重量部、トルエン35重量部、白金―テトラメチルーテトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.06重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、下記に示す側鎖及び末端に両末端にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基を配したエポキシシリコーン樹脂(ES4)を29重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は358g/eq.室温では高粘調の液体であった。
実施例5
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンの代わりに、テトラメチルシクロテトラシロキサンを6重量部、トルエン30重量部、白金―テトラメチル−テトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.04重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、下記に示す各Si原子にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基が結合したエポキシシリコーン樹脂(ES5)を23重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は286g/eq.、室温では流動性を示さない半固形状の樹脂であった。
両末端Si−H基含有直鎖ポリシロキサンの代わりに、テトラメチルシクロテトラシロキサンを6重量部、トルエン30重量部、白金―テトラメチル−テトラビニルシクロテトラシロキサンの2.3%キシレン溶液0.04重量部を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。このようにして、下記に示す各Si原子にノルボルナン骨格含有環状イミドエポキシ基が結合したエポキシシリコーン樹脂(ES5)を23重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は286g/eq.、室温では流動性を示さない半固形状の樹脂であった。
実施例6〜10
(A)成分として、実施例1〜5で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES5)を、メチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ基と酸無水物基の当量の比が1:1となるように加え、よく混合した。さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネート(TBDEP)を全体の0.5重量%投入、混合した。この配合液を真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
(A)成分として、実施例1〜5で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES5)を、メチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ基と酸無水物基の当量の比が1:1となるように加え、よく混合した。さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネート(TBDEP)を全体の0.5重量%投入、混合した。この配合液を真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
実施例11〜15
実施例1〜5で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES5)と、MHの当量比が1:1となるように加え、よく混合した。さらに硬化促進剤としてTBDEPを全体の0.5重量%投入し、その後3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(HP1)を全体の0.3重量%投入し混合した。この配合液を真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
実施例1〜5で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES5)と、MHの当量比が1:1となるように加え、よく混合した。さらに硬化促進剤としてTBDEPを全体の0.5重量%投入し、その後3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(HP1)を全体の0.3重量%投入し混合した。この配合液を真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例1
(A)成分を使用せず、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(EpC)を26重量部,MHを34重量部用いた他は、実施例6と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
(A)成分を使用せず、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(EpC)を26重量部,MHを34重量部用いた他は、実施例6と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例2
(A)成分を使用せず、トリグリシジルイソシアヌレート(EpT、エポキシ当量100g/eq.)を20重量部、MHを34重量部用いた他は、実施例6と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
(A)成分を使用せず、トリグリシジルイソシアヌレート(EpT、エポキシ当量100g/eq.)を20重量部、MHを34重量部用いた他は、実施例6と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例3
((Me2CH2=CH)SiO1/2)1.0(MeSiO3/2)1.11(Me2SiO)0.05で表されるシリコーンレジン100重量部、ビニル当量が1,400g/eq.である両末端ビニル基含有ジメチルシロキサンオイル20重量部、ヒドロシリル当量が64g/eq.であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル48重量部を用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
((Me2CH2=CH)SiO1/2)1.0(MeSiO3/2)1.11(Me2SiO)0.05で表されるシリコーンレジン100重量部、ビニル当量が1,400g/eq.である両末端ビニル基含有ジメチルシロキサンオイル20重量部、ヒドロシリル当量が64g/eq.であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル48重量部を用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例4
(C6H5)0.62(CH2=CH)0.38(CH3)0.38SiO1.31で表されるフェニルシリコーンレジン30重量部と、ヒドロシリル当量が163g/eq.で表されるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを16重量部用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
(C6H5)0.62(CH2=CH)0.38(CH3)0.38SiO1.31で表されるフェニルシリコーンレジン30重量部と、ヒドロシリル当量が163g/eq.で表されるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを16重量部用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例5
(A)成分を使用せず、下記一般式(15)表されるエポキシシリコーン樹脂(ESC、エポキシ当量207g/eq.)を42重量部、MHを27重量部用いた以外は実施例8と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
(R6SiO3/2)w(R7R8SiO)x(Me3SiO1/2)y (15)
式中、w=0、x=0.8、y=0.2であり、R7がメチル基、R8が2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である。
(A)成分を使用せず、下記一般式(15)表されるエポキシシリコーン樹脂(ESC、エポキシ当量207g/eq.)を42重量部、MHを27重量部用いた以外は実施例8と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
(R6SiO3/2)w(R7R8SiO)x(Me3SiO1/2)y (15)
式中、w=0、x=0.8、y=0.2であり、R7がメチル基、R8が2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である。
比較例6
比較例5で用いた配合に、さらにHP1を全体の0.3%を加え、比較例5と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例5で用いた配合に、さらにHP1を全体の0.3%を加え、比較例5と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
比較例7
合成例2で得られたノルボルネン骨格含有環状イミドエポキシ化合物(NAE)22重量部と無水メチルナジック酸を18重量部、硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.5重量%投入、混合した。この配合液を真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に150℃で0.5時間、200℃で0.5時間、250℃で5時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
合成例2で得られたノルボルネン骨格含有環状イミドエポキシ化合物(NAE)22重量部と無水メチルナジック酸を18重量部、硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.5重量%投入、混合した。この配合液を真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に150℃で0.5時間、200℃で0.5時間、250℃で5時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
硬化した樹脂板の物性測定は以下の方法にて行った。
(1)硬化物のガラス転移温度(Tg)の測定
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120Uを用いて30℃から270℃の範囲で測定し、線膨張率の変化した温度をガラス転移温度とした。昇温速度は5℃/分とした。
(1)硬化物のガラス転移温度(Tg)の測定
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120Uを用いて30℃から270℃の範囲で測定し、線膨張率の変化した温度をガラス転移温度とした。昇温速度は5℃/分とした。
(2)線膨張率(CTE)の測定
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120Uを用いて30℃から270℃の範囲で測定し、40℃と60℃の2点で結ばれた直線の傾きから線膨張率を算出した。昇温速度は5℃/分とした。
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120Uを用いて30℃から270℃の範囲で測定し、40℃と60℃の2点で結ばれた直線の傾きから線膨張率を算出した。昇温速度は5℃/分とした。
(3)硬化物の初期透過度(IT)
日立製作所製自記分光光度計U−3410を用いて、厚さ1mm硬化物の400nmの透過度を測定した。
(4)耐UV試験後の透過度(UVT)
厚さ4mmの硬化物を、Qパネル社製耐候性試験機QUVを用いて、600時間UV照射した後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。QUVのランプにはUVA340nmを用い、ブラックパネル温度は55℃とした。
日立製作所製自記分光光度計U−3410を用いて、厚さ1mm硬化物の400nmの透過度を測定した。
(4)耐UV試験後の透過度(UVT)
厚さ4mmの硬化物を、Qパネル社製耐候性試験機QUVを用いて、600時間UV照射した後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。QUVのランプにはUVA340nmを用い、ブラックパネル温度は55℃とした。
(5)初期耐熱性の測定(HRT)
1mm厚の硬化物を150℃の環境下にさらし、72時間後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。
(6)長期耐熱性の測定(LHRT)
1mm厚の硬化物を150℃の環境下にさらし、480時間後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。
1mm厚の硬化物を150℃の環境下にさらし、72時間後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。
(6)長期耐熱性の測定(LHRT)
1mm厚の硬化物を150℃の環境下にさらし、480時間後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。
(7)硬度の測定
テクロック(株)性硬度計TYPE−Dを用いて、室温での硬化物の表面硬度(ショアーD)を測定した。なお、NMは測定不可を意味する。
テクロック(株)性硬度計TYPE−Dを用いて、室温での硬化物の表面硬度(ショアーD)を測定した。なお、NMは測定不可を意味する。
(8)金型取り外し後の硬化物形状(形状)
金型を外したとき、硬化物の均一性や硬化収縮による硬化物の割れを目視にて判定した。A:均一な硬化物である。B:金型の形状を保っているが硬化物中にクラックが生じている。×:金型の形状を保たず、樹脂が割れている。
金型を外したとき、硬化物の均一性や硬化収縮による硬化物の割れを目視にて判定した。A:均一な硬化物である。B:金型の形状を保っているが硬化物中にクラックが生じている。×:金型の形状を保たず、樹脂が割れている。
(9)曲げ、たわみ特性試験
JIS−7171に準拠し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、オートグラフ(島津製作所(株)製)により曲げ弾性率、曲げ強度、曲げたわみを測定した。なお、Aは破断せずを意味し、NMは測定不可を意味する。
JIS−7171に準拠し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、オートグラフ(島津製作所(株)製)により曲げ弾性率、曲げ強度、曲げたわみを測定した。なお、Aは破断せずを意味し、NMは測定不可を意味する。
実施例6〜10により得られた硬化物の各試験の測定結果を表1に示す。
実施例11〜15により得られた硬化物の耐熱試験および耐UV試験の測定結果を表2に示す。
比較例1〜7により得られた硬化物の各試験の測定結果を表3に示す。
実施例16〜20、比較例8〜14
実施例8〜14、比較例1〜7の配合により得られた配合物を、底辺部が銀メッキされた青色LED用プレモールドパッケージに、注型により充填し、100℃2時間、150℃5時間硬化させて封止して、LED装置を作成した。
実施例8〜14、比較例1〜7の配合により得られた配合物を、底辺部が銀メッキされた青色LED用プレモールドパッケージに、注型により充填し、100℃2時間、150℃5時間硬化させて封止して、LED装置を作成した。
封止されたLED装置の物性測定は以下の方法にて行った。
(10)リフロー試験
封止されたLEDパッケージを、260℃を15秒保持するよう設定されたリフロー炉に連続して3回通過させたとき、封止材の着色、クラック、剥がれの有無を確認した。結果を表4に示す。
(11)熱衝撃試験の測定。
封止されたLEDパッケージを、−40℃〜120℃、500サイクルの試験に供し、顕微鏡にてクラック及び封止材の剥がれの有無を確認した。結果を表5に示す。
(10)リフロー試験
封止されたLEDパッケージを、260℃を15秒保持するよう設定されたリフロー炉に連続して3回通過させたとき、封止材の着色、クラック、剥がれの有無を確認した。結果を表4に示す。
(11)熱衝撃試験の測定。
封止されたLEDパッケージを、−40℃〜120℃、500サイクルの試験に供し、顕微鏡にてクラック及び封止材の剥がれの有無を確認した。結果を表5に示す。
Claims (15)
- 下記式(A1)で表されるエポキシシリコーン樹脂。
(SiO4/2)a(M1SiO3/2)b(M2M3SiO2/2)c(M4M5M6SiO1/2)d
(A1)(式中、M1〜M6はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基又は下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有基を表すが、M2,M3が同時に該エポキシ基含有基であることは無く、M4,M5,M6の2つ以上が同時に該エポキシ基含有基であることは無く、M1〜M6のうちいずれか1つ以上は該エポキシ基含有基である。a,b,c,dは存在量(モル)を表わし、a+b+c+d=1としたとき、それぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦1、0≦c≦1、0<d≦1を満たす数である。
- 式(A1)で表されるエポキシシリコーン樹脂が、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるエポキシシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシシリコーン樹脂。
- 一般式(1)中のR1〜R8が、すべて水素原子であり、R9がメチレン結合であることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシシリコーン樹脂。
- エポキシ当量が275〜2000g/eq.であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシシリコーン樹脂。
- 下記一般式(6)で表される炭素―炭素二重結合を1つ含有するエポキシ化合物と、一般式(7)〜(10)のいずれかで表されるSi−H基含有シリコーン化合物をヒドロシリル化反応させることを特徴とする請求項2又は3に記載のエポキシシリコーン樹脂の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシシリコーン樹脂(A)、硬化剤(B)、及び硬化促進剤(C)を必須成分として含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 硬化剤(B)が、酸無水物であることを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 硬化促進剤(C)が、4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩であることを特徴とする請求項6または7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに、酸化防止剤(D)を含むことを特徴とする請求項6〜8いずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物
- 熱硬化性樹脂組成物が、光学部品用樹脂組成物又は電子部品用樹脂組成物又は複合材用樹脂組成物のいずれかであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物が、光半導体部品用樹脂組成物であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物が、半導体用液状封止樹脂組成物であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項12に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いたLED装置。
- 請求項6〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
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JP2013205381A JP2015067798A (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | エポキシシリコーン樹脂及びそれを用いた硬化性樹脂組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016113593A (ja) * | 2014-12-18 | 2016-06-23 | 信越化学工業株式会社 | シリコーン変性エポキシ樹脂と多価カルボン酸化合物を含有するエポキシ樹脂およびその硬化物 |
CN110894361A (zh) * | 2019-12-12 | 2020-03-20 | 浙江福斯特新材料研究院有限公司 | 光固化封装组合物、封装结构及半导体器件 |
-
2013
- 2013-09-30 JP JP2013205381A patent/JP2015067798A/ja active Pending
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