JP2015013620A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
Description
これに対し、従来の車両用シートでは、サイドサポート部の車幅方向外側部分が比較的硬くなっているため、乗員の腕等が接触してもサイドサポート部が変形しにくかった。これにより、ストレッチ時の腕や両肩を後方に引く動作が邪魔され、十分なストレッチ動作を行いにくいという問題があった。
さらに、前記サイドサポート部の内部には、前記サイドサポート部の上部で且つ車幅方向外側部分が、前記サイドサポート部の上部で且つ車幅方向内側部分の硬度よりも低い硬度に設定した軟硬度領域部となるように、硬度の切替境界となる異硬度切替線を設ける。
これにより、シートクッション部に着座した乗員が、着座状態で両肩を身体後方に引く肩部のストレッチ動作を行った際、腕や肩等がサイドサポート部の上部で且つ車幅方向外側部分に接触しても、この軟硬度領域部によってサイドサポート部が容易に変形する。このため、このサイドサポート部が肩部のストレッチ動作を阻害することがない。
また、軟硬度領域部は、サイドサポート部の内部に設定された異硬度切替線よりも上部で且つ車幅方向外側部分に設定されている。つまり、車幅方向中央部のメインサポート部や、このメインサポート部と連続するサイドサポート部の異硬度切替線よりも車幅方向内側部分、また、乗員の肩部や腕が接触しにくいサイドサポート部の異硬度切替線よりも車両下側部分の硬度は、比較的高く設定されている。そのため、これらの部分の不要な変形を抑制することができる。すなわち、ストレッチ動作に伴って乗員の体が動いても、乗員を安定的に支持することができる。
この結果、シートクッション部に着座したままであっても、腕や肩を身体後方に引く動作を行いやすくして、肩部のストレッチ動作を十分に行うことができる。
まず、構成を説明する。
実施例1における車両用シートの構成を、[車両用シートの全体構成]、[シートバック部の詳細構成]に分けて説明する。
図1は、実施例1の車両用シートを示す全体斜視図である。以下、図1に基づき、実施例1の車両用シートの全体構成を説明する。
また、前記シートバック部20は、骨格部材であるシートフレームと、可撓性を有するシートパッドと、表皮材と、有している。そして、シートフレームの周囲にシートパッドを取り付け、表皮材で覆うことで形成される。なお、このシートバック部20の上部には、乗員の頭部を支持するヘッドレスト12が設けられている。
図2〜図4は、実施例1のシートバック部を示す各種の図である。以下、図2〜図4に基づき、実施例1のシートバック部の詳細構成について説明する。
ここで、「乗員の身体中央部分」とは、乗員の背骨を中心とする胴部分、いわゆる背中や腰である。また、「身体中央部分の左右両側」とは、乗員のわき腹付近、肩、腕等である。
そして、この異硬度切替線23によって、サイドサポート部の上部で且つ車幅方向外側部分に、サイドサポート部の上部で且つ車幅方向内側部分の硬度よりも低い硬度に設定した軟硬度領域部24(図中ドットで示す)が区画される。つまり、この異硬度切替線23よりも車幅方向外側部分には、異硬度切替線23よりも車幅方向内側部分、異硬度切替線23よりも車両下側部分、メインサポート部21、のそれぞれの硬度よりも、低い硬度に設定された軟硬度領域部24が設けられている。
なお、この実施例1では、サイドサポート部22のうち、異硬度切替線23よりも車幅方向内側部分と、異硬度切替線23よりも車両下側部分を合わせて「サイドサポート内側部22a」という。
ここで、メインサポート部21及びサイドサポート内側部22aの硬度は同等とし、一般的な車両用シートのシートバック部と同程度の硬度に設定される。つまり、このメインサポート部21及びサイドサポート内側部22aは、乗員が押圧しても容易に変形しない程度の硬度に設定される。一方、軟硬度領域部24の硬度は、メインサポート部21及びサイドサポート内側部22aの硬度の半分程度に設定される。つまり、この軟硬度領域部24は、乗員が接触した際に、軽い力でも変形可能な硬度に設定される。そして、この硬度を変化させるには、シートフレームの周囲に取り付けられるシートパッドの硬度を変えることで実現する。
ここで、シートクッション部10に対する回動位置20aから下端切替線23aまでの車両上下最少寸法H1、つまり回動位置20aから下端切替線23aの車幅方向外側端までの寸法は、300mmに設定されている。また、回動位置20aから下端切替線23aまでの車両上下最大寸法H2、つまり回動位置20aから下端切替線23aの車幅方向内側端までの寸法は、350mmに設定されている。
ここで、メインサポート部21及びサイドサポート内側部22aの車幅方向最少寸法W1は360mmに設定され、軟硬度領域部24の車幅方向最大寸法W2は70mmに設定されている。
なお、この後端切替線23bは、平面視した際に、サイドサポート部22の車両前方に臨む前面22bから、サイドサポート部22の車幅方向側面22cをつなぐ直線となる(図3参照)。これにより、図4に示すように、軟硬度領域部24は、サイドサポート部22の車両後方に臨む後面22dまでは達しない。
さらに、この後端切替線23bの開き角度、すなわち、シートクッション部10に着座した乗員の頭頂部O周りに生じる左右の異硬度切替線23,23の開き角度θ(図3参照)は、90°以下(ここでは、80°〜90°)に設定される。
まず、「肩部のストレッチ動作」及び[比較例の車両用シートの構成と課題]について説明し、続いて、実施例1の車両用シートにおける「肩ストレッチ許容作用」について説明する。
図5(a)は、肩部のストレッチ動作を示す説明図であり、(b)は肩部のストレッチ動作を行ったときの肩甲骨の内転角を示す説明図である。以下、図5に基づき、肩部のストレッチ動作について説明する。
ここで、この肩部のストレッチ動作を行うと、肩は頭頂部Oを中心に身体後方に向かって回動し、腕は肩を中心に車両下方に向かって回動する。これにより肩の付け根にある左右の肩甲骨が互いに寄る。
これにより、両肩を身体後方に十分に引くことができ、肩部筋肉の疲労回復に効果がある内転角θ1を確保することができる。
図6は、比較例の車両用シートに着座して肩部のストレッチを行った状態を示す作用説明図である。以下、図6に基づき、比較例の車両用シートの構成と課題について説明する。
さらに、この比較例の車両用シート100では、メインサポート部103と一対のサイドサポート部104,104は、すべて同等の硬度に設定されている。つまり、乗員の体圧を十分に支持できるよう、乗員が押圧しても容易に変形しない程度の硬度に設定されている。
図7は、実施例1の車両用シートに着座して肩部のストレッチを行った状態を示す作用説明図である。図8は、車両用シートと車室側壁との一般的な距離を示す説明図である。以下、図7及び図8に基づいて、実施例1の肩ストレッチ許容作用を説明する。
そして、このような車両用シート1に着座したままの状態で両肩を身体後方に引く肩部のストレッチ動作を行うと、図7に示すように、肩や腕がサイドサポート部22の車幅方向外側に接触する。このときサイドサポート部22の上部で且つ車幅方向外側部分に軟硬度領域部24が設定されているので、この軟硬度領域部24が肩や腕の押圧力で容易に変形する。
そのため、肩部のストレッチ動作を行った際に、例えば背中が反ってメインサポート部21等に押圧力が作用しても、メインサポート部21やサイドサポート内側部22aは容易に変形しない。これにより、乗員を安定的に支持することができ、肩部のストレッチ動作を安定して十分に行うことができる。また、走行中に横Gが発生した場合であっても、乗員を十分に支持することができ、いわゆる横Gホールド性能を損なうことが防止できる。
ここで、肩部のストレッチ動作を行うと、頭頂部Oを中心に身体後方に向かって肩部が回動する。つまり、肩や腕は、図7に示すように、頭頂部Oを中心に車幅方向外側の方が身体後方に傾くため、車両後方に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜するように設定された異硬度切替線23は、肩部のストレッチ動作時の肩や腕に沿って設定されることとなる。
これにより、肩部のストレッチ動作がさらに阻害されにくくなり、肩部のストレッチ動作を十分に行うことができて、ストレッチ効果の向上を図ることができる。
すなわち、肩部のストレッチ動作を行うことで腕が肩を中心に車両下方に回動した際に、この腕が接触する範囲に軟硬度領域部24を設定することができる。
実施例1の車両用シートにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記シートバック部20は、車幅方向中央部のメインサポート部21と、前記メインサポート部21の左右両側に設けられると共に前記メインサポート部21よりも車両前方に突出した一対のサイドサポート部22,22と、を有し、
前記サイドサポート部22の内部に、前記サイドサポート部22の上部で且つ車幅方向外側部分が、前記サイドサポート部22の上部で且つ車幅方向内側部分の硬度よりも低い硬度に設定した軟硬度領域部24となるように、硬度の切替境界となる異硬度切替線23を設ける構成とした。
これにより、シートクッション部10に着座したままであっても、腕や肩を身体後方に引く動作を行いやすくして、肩部のストレッチ動作を十分に行うことができる。
これにより、後端切替線23bを、肩部のストレッチ動作時の肩や腕に沿って設定することができ、(1)の効果に加え、肩部のストレッチ動作をさらに阻害されにくくして、十分なストレッチ効果を得ることができる。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、肩部筋肉の疲労回復に効果がある内転角θ1を10°〜15°にする姿勢をとることができて、ストレッチ効果をさらに向上することができる。
これにより、(1)〜(3)の少なくともいずれかの効果に加え、車両用シート1と車室壁3との間の隙間Xが狭くても、軟硬度領域部24を腕の動きに沿って変形させて、肩部のストレッチを十分に行うことができる。
10 シートクッション部
12 ヘッドレスト
20 シートバック部
21 メインサポート部
22 サイドサポート部
22a サイドサポート内側部(異硬度切替線よりも車幅方向内側部分及び車両下側部分)
23 異硬度切替線
23a 下端切替線
23b 後端切替線
24 軟硬度領域部
Claims (4)
- 乗員が着座するシートクッション部と、前記シートクッション部の後側に起立して前記乗員を支えるシートバック部と、を備えた車両用シートにおいて、
前記シートバック部は、車幅方向中央部のメインサポート部と、前記メインサポート部の左右両側に設けられると共に前記メインサポート部よりも車両前方に突出した一対のサイドサポート部と、を有し、
前記サイドサポート部の内部に、前記サイドサポート部の上部で且つ車幅方向外側部分が、前記サイドサポート部の上部で且つ車幅方向内側部分の硬度よりも低い硬度に設定した軟硬度領域部となるように、硬度の切替境界となる異硬度切替線を設ける
ことを特徴とする車両用シート。 - 請求項1に記載された車両用シートにおいて、
前記軟硬度領域部の車両後端部を区画する異硬度切替線を、車両後方に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜する
ことを特徴とする車両用シート。 - 請求項2に記載された車両用シートにおいて、
前記シートクッション部に着座した乗員の頭頂部の周りに設定される左右の前記異硬度切替線の開き角度を、90°以下に設定する
ことを特徴とする車両用シート。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された車両用シートにおいて、
前記サイドサポート部は、前記シートバック部の上端部から中央部までに前記軟硬度領域部を設定すると共に、前記軟硬度領域部の車両下端部を区画する異硬度切替線を、車両下方に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜する
ことを特徴とする車両用シート。
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