JP2015011180A - 低位相差光学フィルム状又はシートの製造方法 - Google Patents

低位相差光学フィルム状又はシートの製造方法 Download PDF

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加藤 久雄
Hisao Kato
久雄 加藤
岡崎 栄一
Eiichi Okazaki
栄一 岡崎
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Abstract

【課題】Re及びRthが−4nm以上4nm以下である光学フィルムの製造方法を提供。【解決手段】下記工程1及び工程2を含む製造方法であって、活性エネルギー線硬化型組成物として、(A)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含み、硬化収縮率、硬化物の引張弾性率、光弾性係数及び硬化物膜厚の積が−6nm以上6nm以下である組成物を用いる面内方向の位相差及び厚み方向の位相差が−4nm以上4nm以下の透明硬化物からなる光学フィルム状又はシートの製造方法。工程1:活性エネルギー線硬化型組成物を支持体上に、塗工又は流し込む工程。工程2:組成物の塗工被膜又は乾燥被膜に活性エネルギー線を照射してフィルム状又はシート状硬化物を製造する工程。【選択図】なし

Description

本発明は、機械特性が良好で光学的等方性を有する耐熱性に優れた光学フィルム状又はシートの製造方法に関するものである。
尚、下記においては、特に断りがない場合は、「光学フィルム又はシート」を「光学フィルム」と表し、「アクリレート又はメタクリレート」を、「(メタ)アクリレート」と記載する。又、「面内方向の位相差」を「Re」と、「厚み方向の位相差」を「Rth」と表す。
液晶ディスプレイに使用される偏光子保護フィルムには、一般的にトリアセチルセルロース(以下、「TAC」という)フィルムが使用されている。
しかしながら、TACフィルムは、Rthが大きいため、高視野角性能で且つ高画質が求められるIPS液晶用の偏光子保護フィルムの用途には使用できなかった。IPS液晶用の偏光子保護フィルムにおいては、ReとRthを−4nm以上4nm以下にすることが要求されている。
特許文献1には、ビニルエステルと多官能アクリレートを含む組成物を架橋させて得られる透明架橋フィルムを加熱処理して、ReとRthの両者を5nm以下にする製造方法が記載されている。
しかしながら、ReやRthを低下させるためには加熱処理が必要で手間がかかり、得られたフィルムの機械特性が乏しい欠点があった。
特開2009−46533号公報
前記したとおり従来の製造方法は、ReとRthの両者を−4nm以上4nm以下にするには、硬化物を熱処理する必要があり、得られたフィルムの機械特性が乏しい欠点があった。
本発明は、Re及びRthが−4nm以上4nm以下である光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、活性エネルギー線硬化型組成物を支持体上に塗布する工程と、塗布後の組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物を製造する工程を有する製造方法において、本重合に伴う硬化収縮率と、硬化物の引張弾性率と、光弾性係数と、硬化物膜厚の積が−6nm以上6nm以下である組成物を用いることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の製造方法によれば、ReとRthが−4nm以上4nm以下である光学フィルムを製造することができ、高視野角性能で且つ高画質が求められるIPS液晶用の偏光子保護フィルム等の用途に使用できる。
図1は、本発明の製造方法の1例を示す。
本発明は、下記工程1及び工程2を含み、これら工程を順次実施する製造方法であって、
活性エネルギー線硬化型組成物として、(A)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含み、硬化収縮率、硬化物の引張弾性率、光弾性係数及び硬化物膜厚の積が−6nm以上6nm以下である組成物を用いる
ReとRthが−4nm以上4nm以下の透明硬化物からなる光学フィルム状又はシートの製造方法に関する。
工程1:活性エネルギー線硬化型組成物を支持体上に、塗工又は流し込む工程。
工程2:組成物の塗工被膜又は乾燥被膜に活性エネルギー線を照射してフィルム状又はシート状硬化物(以下、単に「硬化物」という)を製造する工程。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.活性エネルギー線硬化型組成物
本発明で使用する活性エネルギー線硬化型組成物(以下、単に「組成物」ともいう)は、(A)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含み、硬化収縮率、硬化物の引張弾性率、光弾性係数及び硬化物膜厚の積が−6nm以上6nm以下である組成物を用いる。
以下、組成物を構成する(A)成分及びその他の成分について説明する。
1)(A)成分
(A)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びビニル基等を挙げることができる。
(A)成分としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「多官能(メタ)アクリレート」という)、2個以上のアリル基を有する化合物及び2個以上のビニル基を有する化合物等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はそのハロゲン芳香核置換体及びビスフェノールFジ(メタ)アクリレート又はそのハロゲン芳香核置換体等のビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート;
ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するトリ(メタ)アクリレート等のウレタン(メタ)アクリレート;
ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;
前記ポリオールのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;並びにイソシアヌル酸アルキレンオキサイドのジ又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アリル化合物としては、ジアリルフタレート及びイソシアヌル酸トリアリルが挙げられる。
ビニル化合物としては、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
これらの中でも、硬化物の破断強度及び降伏強度や破断伸度が高くなる点でウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
以下、ウレタン(メタ)アクリレート〔以下、「(A−1)成分」という〕について詳細に説明する。
(1)(A−1)成分
(A−1)成分としては、ポリオール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物等が挙げられる。
(A−1)成分の重量平均分子量(以下、「Mw」という)としては、1,000〜15,000のものが好ましく、より好ましくは1,000〜10,000である。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
(A−1)成分の中でも、着色が少ない点で、芳香族基を有しない化合物が好ましい。
芳香族基を有しないウレタン(メタ)アクリレートは、原料のポリオール及び有機ポリイソシアネートとして、芳香族基を有しない化合物を使用することにより製造することができる。
以下、(A−1)成分の原料である、ポリオール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、並びに製造方法について説明する。
●ポリオール
ポリオールとしては、ジオールが好ましく、各種ジオールを用いることができる。
ジオールとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジオール、炭素数2〜12の脂環族ジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール及びポリエーテルジオールを挙げることができる。
炭素数2〜12の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール及び2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール等が挙げられる。
炭素数2〜12の脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール(通称;トリシクロデカンジメタノール)、1,4−デカヒドロナフタレンジオール、1,5−デカヒドロナフタレンジオール、1,6−デカヒドロナフタレンジオール、2,6−デカヒドロナフタレンジオール、2,7−デカヒドロナフタレンジオール、デカヒドロナフタレンジメタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、デカリンジメタノール、アダマンタンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(通称;スピログリコール)、イイソソルビド、イソマンニド、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(通称;水添ビスフェノールA)、4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルメタン(通称;水添ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1,1−ジシクロヘキシルメタン(通称;水添ビスフェノールZ)及び4,4−ビシクロヘキサノール等の脂環族ジオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、低分子量ジオール又は/及びポリエーテルジオールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
ここで、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、並びにポリエチレンポリプロポキシブロックポリマージオール等のブロック又はランダムポリマーのジオール等が挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及び前記ポリエーテルジオールと、アジピン酸、コハク酸、テトラヒドルフタル酸及びヘキサヒドロフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリエチレンポリプロポキシブロックポリマージオール等のブロック又はランダムポリマーのジオール等が挙げられる。
ポリオールとしては、硬化物の機械強度を向上させるため、ジオール以外にもトリオールを併用することが好ましい。
トリオールとしては、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘプタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、カシリトール、ピロガロール、グリセリン及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが挙げられ、これらトリオールのε−カプロラクトン、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等の付加物等が挙げられる。
これらのポリオールは、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
(A−1)成分として脆性・柔軟性が要求される場合には、前記ポリオールとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジオール又は炭素数2〜12の脂環族ジオールを用いることがより好ましい。
(A−1)成分として、機械物性が要求される場合には、ポリオールとして水酸基価基準の数平均分子量(以下、「P−Mn」という)が500以上のポリオールとP−Mnが500未満のポリオールを組合せて使用することが好ましい。
尚、本発明においてポリオールのP−Mn(数平均分子量)とは、下式に従って求めた値をいう。
Figure 2015011180
より具体的には、P−Mnが500以上のポリオールとして、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールが挙げられ、P−Mnが500未満のポリオールとして、炭素数2〜12の脂肪族ジオール及び炭素数2〜12の脂環族ジオールが挙げられ、これらを組合わせて使用する。
●有機ポリイソシアネート
有機ポリイソシアネートとしては、有機ジイソシアネートが好ましく、無黄変型有機ジイソシアネートがより好ましい。
無黄変型有機ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」という)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート及びω,ω′−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
これらの有機ポリイソシアネートは、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
前記した化合物の中でも、硬化物の機械強度と光学特性に優れるという点で、IPDIが好ましい。
●ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ、ジ又はモノ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンジ又はモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記した化合物の中でも、組成物の硬化性と硬化物の柔軟性に優れるという点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
●(A−1)成分の製造方法
(A−1)成分は、常法に従い製造されたもので良い。
(A−1)成分としては、ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有化合物を製造し、これとヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた化合物(以下、「化合物A1」という)、ポリオール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを同時に反応させた化合物(以下、「化合物A2」という)等が挙げられ、分子量を制御しやすいという理由で化合物A1が好ましい。
化合物A1を製造する場合は、ジブチルスズジラウレート等のウレタン化触媒存在下、使用するポリオール及び有機ポリイソシアネートを加熱攪拌し付加反応させ、さらにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加し、加熱攪拌し付加反応させる方法等が挙げられ、化合物A2を製造する場合は、前記と同様の触媒の存在下に、ポリオール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを同時に添加して加熱攪拌する方法等が挙げられる。
これらの反応は、無溶剤で行うことも、溶剤存在下で行うこともできる。
又、溶剤の代わりに、ウレタン(メタ)アクリレートの粘度を低減するために、反応性希釈剤を用いることができる。
●好ましい(A−1)成分
本発明において、(A−1)成分としては、前記したものの中でも、P−Mnが500以上のジオール(以下、これらをまとめて「ジオールa」という)、P−Mnが500未満のジオール(以下、これらをまとめて「ジオールb」という)、無黄変型有機ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
当該(A−1)成分は、他のウレタン(メタ)アクリレートと比較して、長鎖ジオールであるジオールa、短鎖ジオールであるジオールb、有機ジイソシアネートとして無黄変型を使用することにより、機械強度に優れ、耐光性試験後の黄変度が小さいものとなり、さらに組成物の硬化物の光弾性係数が低いものとすることができる。
ジオールaとしては、前記したポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールが挙げられ、ジオールbとしては、前記した炭素数2〜12の脂肪族ジオール及び炭素数2〜12脂環族ジオールが挙げられる。
これらのジオールa及びbは、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
ジオールa及びbの割合としては、ジオールa:0〜50モル%及びジオールb:50〜100モル%が好ましく、より好ましくはジオールa:0〜40モル%及びジオールb:60〜100モル%である。
さらに、トリオールを併用する場合には、トリオールの割合としては、ジオールa及びbの合計:50〜100モル%及びトリオール:0〜50モル%が好ましく、より好ましくはジオールa及び/又b:60〜100モル%及びトリオール:0〜40モル%である。
当該(A−1)成分の製造方法は、前記と同様に実施すれば良く、好ましい製造方法も前記と同様である。
さらに、本発明において、(A−1)成分としては、前記したものの中でも、ジオールb(P−Mnが500未満のジオール)、無黄変型有機ジイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが同(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物を含むウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
当該(A−1)成分は、組成物の硬化物が脆性・柔軟性により優れたものとなる。
この場合のジオールbとしては、P−Mnが60以上400以下のポリオールが好ましい。
当該化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオール等の炭素数2〜6の脂肪族ジオール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール及び3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等の複数の環を有する脂環族ジオールが好ましく、硬化物の強度に優れる点で、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(通称;スピログリコール)が特に好ましい。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物が好ましい。さらに、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートに対するカプロラクトンの反応割合として、0.1モルより大きく、2.0モルより小さいものが好ましい。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物とこれ以外のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを併用することもできる。
当該(A−1)成分の製造方法は、前記と同様に実施すれば良く、好ましい製造方法も前記と同様である。
(A)成分は、前記した化合物の1種のみを使用しても2種以上を併用しても良い。
2)その他成分
前記組成物は、(A)成分を必須とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
具体的には、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「単官能不飽和化合物」という)、ポリマー、光重合開始剤、有機溶剤、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤、並びに耐光性向上剤等を挙げることができる。
以下これらの成分について説明する。
尚、下記において、その他成分として具体的に挙げた化合物及び物質等は、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
(1)単官能不飽和化合物
単官能不飽和化合物は、組成物の粘度調整や硬化物の各種物性調整等といった種々の目的で配合されものである。単官能不飽和化合物としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という)やN−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能不飽和化合物の割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、(A)成分及び単官能不飽和化合物の合計量100重量部に対して1〜60重量%が好ましく、より好ましくは1〜40重量%である。
(2)ポリマー
ポリマーは、種々の目的で配合することができる。
特に硬化物の光弾性定数を低下させる目的で、光弾性係数が5×10-12Pa-1以下の値を有するポリマーを配合することが好ましい。
(A)成分の硬化物、特にウレタン(メタ)アクリレートの硬化物は、通常10×10-12〜30×10-12Pa-1の範囲の正の光弾性係数を有するため、光弾性係数が5×10-12Pa-1以下であるポリマーと配合することにより、硬化物の光弾性係数を1×10-12〜10×10-12Pa-1とすることができる。
ポリマーの光弾性係数としては、−10×10-12〜5×10-12Pa-1が好ましく、より好ましくは−10×10-12〜2×10-12Pa-1であり、さらに好ましくは−10×10-12〜−2×10-12Pa-1である。
本発明において光弾性係数とは、外力による複屈折の変化の生じやすさを表す係数で、光弾性係数の値がゼロに近いほど、外力による複屈折の変化が小さいことを意味する。
具体的には、光弾性係数(C)は、σを伸張応力、△nを応力付加時の複屈折としたとき、下式で定義される値である。
C[Pa-1]=△n/σ
ここで、△nは、n1を伸張方向と平行な方向の屈折率、n2を伸張方向と垂直な方向の屈折率としたとき、下式で定義される。
△n=n1−n2
尚、本発明における光弾性係数は、温度23℃で測定した値を意味する。
ポリマーとしては、前記した光弾性係数を有するポリマーであれば種々の化合物が使用でき、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体、N−ビニル−2−ピロリドン共重合体、α−メチルスチレンの単独重合体又は共重合体、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、具体的には(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;N−(メタ)アクリロイルモルホリン;並びに(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体としては、アミド構造又はカルボキシル基を有する共重合体が、負の光弾性係数値が大きく、(A)成分との相溶性に優れる点で好ましい。
アミド構造を有する共重合体において、アミド構造としてはモルホリン構造が好ましい。アミド構造を有する共重合体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート及び/又はt−ブチル(メタ)アクリレートとN−(メタ)アクリロイルモルホリンの共重合体が好ましい。
カルボキシル基を有する共重合体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレートとアクリル酸又はメタクリル酸の共重合体が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N〔旭化成ケミカルズ(株)製〕、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR87,BR88〔三菱レイヨン(株)製〕、KT75〔電気化学工業(株)製〕等が挙げられる。
ダイヤナールは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体であって、BR83,BR87,BR88はカルボキシル基を有する共重合体の市販品である。
N−ビニル−2−ピロリドン共重合体において、N−ビニル−2−ピロリドンの共重合モノマーとしては、酢酸ビニル及びアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
N−ビニル−2−ピロリドン共重合体の具体例としては、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・メチル(メタ)アクリレート共重合体、ビニルピロリドン・エチル(メタ)アクリレート共重合体、ビニルピロリドン・ブチル(メタ)アクリレート共重合体等を挙げることができる。
N−ビニル−2−ピロリドン共重合体としては、市販のものも使用することができる。
例えば、PVP/VA S−630〔アイエスピー・ジャパン(株)製〕等が挙げられる。
ポリマーのMwは、(A)成分との相溶性に優れる点で、1,000〜100,000であることが好ましい。
ポリマーとしては、エチレン性不飽和基を有するポリマーを用いることができ、(A)成分との相溶性及び硬化物の脆性が向上し、ポリマー含有量を多くできるため光弾性係数をさらに低減できるという点で好ましい。
ポリマーの割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良いが、(A)成分及びポリマーの合計量を基準として(A)成分30〜99重量%及びポリマー1〜70重量%が好ましく、より好ましくは(A)成分40〜90重量%及びポリマー10〜60重量%である。
(A)成分の割合が30重量%以上とすることで、得られる硬化物の機械物性に優れるものとすることができ、他方99重量%以下とすることで、光弾性係数をさらに低減することができる。
(3)光重合開始剤
光重合開始剤は、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いた場合に配合する成分である。
活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4-(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチルー1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシー2−メチルー1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシー1−[4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノー2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
光重合開始剤の配合割合としては、(A)成分の合計量100重量部に対して、又は単官能不飽和化合物を配合する場合は、(A)成分及び単官能不飽和化合物の合計量100重量%に対して、0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
以下、(A)成分、又は(A)成分及び単官能不飽和化合物をまとめて「硬化性成分」という。
光重合開始剤の配合割合を0.01重量%以上とすることにより、適量な紫外線又は可視光線量で組成物を硬化させることができ生産性を向上させることができ、一方10重量%以下とすることで、硬化物を耐侯性や透明性に優れたものとすることができる。
(4)有機溶剤
支持体への塗工性を改善する等の目的で、組成物に有機溶剤を含むものが好ましい。
その具体例としては、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
有機溶剤としては、別途添加しても良く、又、(A)成分の製造で使用する有機溶剤を分離することなくそのまま使用しても良い。
有機溶剤の割合としては、組成物の粘度や使用目的等を考慮し、適宜設定すれば良いが、好ましくは組成物中に10〜90重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。
(5)重合禁止剤又は/及び酸化防止剤
重合禁止剤又は/及び酸化防止剤を添加することが、活性エネルギー線組成物の保存安定性を向上させことができるため好ましい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、並びに種々のフェノール系酸化防止剤が好ましいが、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等を添加することもできる。
これら重合禁止剤又は/及び酸化防止剤の総配合割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.001〜3重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。
(6)耐光性向上剤
組成物には、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐光性向上剤を添加しても良い。
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
光安定性剤としては、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,6,6−)ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、等の低分子量ヒンダードアミン化合物;N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等の高分子量ヒンダードアミン化合物等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
耐光性向上剤の配合割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜1重量%である。
(7)組成物の物性
本発明の製造方法では、組成物として、硬化収縮率、硬化物の引張弾性率、光弾性係数及び硬化物の膜厚の積が−6nm以上6nm以下であるものを使用する。
硬化収縮率×引張弾性率×光弾性係数×硬化物膜厚=−6nm以上6nm以下
組成物として、前記値の範囲にあるものは、活性エネルギー線を照射して硬化物を製造しても面内方向の位相差及び厚み方向の位相差が小さいという効果を有する。
本発明において硬化収縮率とは、組成物の硬化前後の比重を求め、下式により計算した結果を意味する。
硬化収縮率(%)=(硬化後の比重−硬化前の比重)/(硬化後の比重)×100
尚、硬化前後の組成物の比重は、JIS K 6911に従い、23℃で測定した値を意味する。
本発明において引張弾性率とは、組成物の硬化物を使用して引張試験機を用いて、JIS C 2318に従い23℃における破断強度を測定し、JIS K 7161に従い、同条件で測定した結果を下式で計算した結果を意味する。
E=(σ2−σ1)/(ε2−ε1)
E :引張弾性率
σ1:ひずみε1=0.0005において測定された引張応力
σ2:ひずみε1=0.0025において測定された引張応力
本発明における光弾性係数は、前記で定義した通りである。
2.工程1
工程1は、前記組成物を支持体上に塗工する工程である。
以下、支持体及び塗工方法について説明する。
1)支持体
支持体は、前記した組成物を塗工するために使用される。
支持体としては、材質を問わず剥離可能な支持体及び離型性を有しない支持体(以下、「非離型性支持体」という)のいずれも使用することができる。
剥離可能な支持体としては、金属製のフィルムやシート及びベルト、離型処理されたフィルム及び剥離性を有する表面未処理フィルム(以下、まとめて「離型材」という)等が挙げられる。
離型材としては、シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマーフィルム及び表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
本発明の製造方法で作製される硬化物のヘイズを1.0%以下に抑えるためには、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルムや表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)を使用することが好ましい。
本発明の製造方法から得られる硬化物に対して、高い透明性及び表面平滑性を付与するためには、剥離可能な支持体として表面粗さRaが150nm以下の支持体を使用することが好ましい。
当該支持体の具体例としては、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルムや表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
尚、本発明において表面粗さRaとは、フィルムの表面の凹凸を測定し、平均の粗さを計算したものを意味する。
2)塗工又は流し込み
工程1では、前記組成物を支持体上に塗工又は流し込む。
組成物の塗工又は流し込みに当たって、組成物としては、得られる光学フィルムを、異物の混入防止や空隙等の欠陥の発生を防止したり、光学物性の優れたものとするため、原料成分を撹拌・混合した後、精製したものを使用することが好ましい。
組成物の精製方法としては、組成物をろ過する方法が簡便であり好ましい。ろ過の方法としては、加圧ろ過等が挙げられる。
ろ過精度は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。ろ過精度は小さいほど好ましいが、小さすぎるとフィルターが目詰まりし易くなり、フィルターの交換頻度が増え生産性が低下するため、下限は0.1μmが好ましい。
塗工方法としては、使用する組成物及び目的に応じて適宜設定すれば良く、従来公知のバーコート、アプリケーター、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
本発明の組成物の塗工量としては、使用する用途に応じて適宜選択すればよいが、有機溶剤等を乾燥した後の膜厚が5〜200μmとなるよう塗工するのが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
組成物が有機溶剤等を含む場合は、塗布後に加熱・乾燥させ、有機溶剤等を蒸発させる。
加熱・乾燥方法としては、加熱装置を備えた炉内を通過させる方法や、又、加熱した空気や不活性ガス等の気体を送風して実施することもできる。
加熱・乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すれば良く、40〜150℃の温度に加熱する方法等が挙げられる。
加熱・乾燥後の組成物としては、有機溶剤の割合を1重量%以下とすることが好ましい。
3.工程2
工程2は、工程1で得られた組成物の被膜又は乾燥被膜に活性エネルギー線を照射してフィルム状又はシート状硬化物を製造する工程である。
尚、被膜とは、有機溶剤を含まない無溶剤型組成物を塗工又は流し込みして得られる被膜を意味し、乾燥被膜とは、有機溶剤を含む組成物を塗工又は流し込みした後、加熱・乾燥して得られる被膜を意味する。
活性エネルギー線としては、電子線、紫外線及び可視光線等が挙げられる。これらの中でも、光重合開始剤を必ずしも配合する必要がなく硬化物の耐熱性や耐光性に優れるという点で、電子線がより好ましい。
活性エネルギー線照射における、線量や照射強度等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
4.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記工程1及び工程2を順次実施するものである。
以下、図1を使用して、本発明の製造方法をより具体的に説明する。尚、図1においては、各工程で得られる硬化物に着色を施している。これは、各工程の推移を分かり易くするため、便宜上、硬化物に着色を施しているが、本発明で得られる光学フィルムは無色透明である。
図1において、(1)は支持体を意味する。
工程1において、組成物が無溶剤型の場合(図1:F1)は、組成物を支持体〔図1:(1)〕に塗工する。組成物が有機溶剤等を含む場合(図1:F2)は、組成物を支持体〔図1:(1)〕に塗工した後に、加熱乾燥させて有機溶剤等を蒸発させる(図1:1−1)。
工程2において、工程1で得られた乾燥被膜(2)が形成された支持体に対して活性エネルギー線を照射することで、支持体/硬化物から構成される積層体(図1:2−1)が得られる。活性エネルギー線の照射は、通常、乾燥被膜側から照射するが、支持体側からも照射できる。
上記において、支持体(1)として離型材を使用すれば、離型材/硬化物から構成される積層体(図1:2−1)を製造することができる。
又、前記の例では、組成物を支持体に塗工して光学フィルムを製造する例を挙げたが、膜厚が大きい硬化物を製造する場合は、特定の凹部を有する型枠等に組成物を流し込み、前記と同様にして活性エネルギー線を照射して組成物を硬化させ光学フィルムを製造することもできる。
5.光学フィルム
本発明により製造される光学フィルムは、Re(面内方向の位相差)並びにRth(厚み方向の位相差)の全てが−4以上4nm以下である必要がある。
当該光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして用いた場合、偏光子の保護だけでなく視野角特性に優れた液晶ディスプレイを得ることができる。フィルムの位相差が−4未満及び4nmより大きいものは、視野角特性が劣るという問題がある。
さらに、Reが−2以上2nm以下で、Rthが−2以上2nm以下であるものが好ましい。
本発明において、Re及びRthは、下式で定義される値である。フィルム面内の遅相軸をX軸、進相軸をY軸、厚み方向をZ軸とした場合、nx、ny、nzは各軸方向の屈折率を、dはフィルム厚さを意味する。
Re =(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz)}×d
又、本発明により製造される光学フィルムとしては、破断強度が50MPa以上且つ破断伸度が2%以上であるものが好ましい。
破断強度が50MPa以上とし又は破断伸度が2%以上とすることで、偏光子を保護でき、又は、硬化物製造中や製造後に光学フィルムが脆いため割れてしまう等問題がないハンドリング性に優れるものとすることができる。破断強度及び破断伸度の上限は、より大きいものが良いが、破断強度の上限としては300MPaが好ましく、破断伸度の上限としては100%が好ましい。
光学フィルムを当該強度とする方法としては、前記組成物の(A)成分として、(A−1)成分〔2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート〕を使用する方法が好ましい。
特に、(A−1)成分としては、ジオールa(好ましくは、ポリカーボネートジオール又はポリエステルジオール)、ジオールb(好ましくは、炭素数2〜12の脂肪族又は脂環族ジオール)、無黄変型有機ジイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物、並びに
ジオールb、無黄変型有機ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが同(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物が好ましい。
5.光学フィルムの用途
本発明の製造方法によって得られる光学フィルムは、種々の光学用途に使用できるものであり、より具体的には、液晶表示装置等に使用される偏光板の偏光子保護フィルム等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、下記において「部」とは、重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
○製造例1〔ウレタンアクリレートの製造〕
攪拌機、温度計、冷却器を備えた500mL反応容器に、室温でイソシアネートとしてIPDI:111g、及びメチルエチルケトン(以下、「MEK」という):51.0g、触媒としてジブチルスズジラウレート(以下、「DBTDL」という):0.075gを仕込み、5容量%の酸素を含む窒素の雰囲気下、これらを攪拌しながら液温が70℃になるまで加温した。
アルコール溶液としてスピログリコール(水酸基価:369mgKOH/g、P−Mn:304)〔三菱ガス化学(株)製SPG〕:82.8gを内温が75℃以下となるように滴下した後、内温80℃で2時間反応させた。
その後、ヒドロキシル含有アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン1モル付加物〔(株)ダイセル製FA1DDM〕:106.5g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(以下、「BHT」という):0.075g、MEK:15.0g及びDBTDL:0.075gの混合溶液を内温が75℃以下となるように滴下した後3時間反応させ、赤外線吸収スペクトル装置(Perkin Elmer製FT−IR Spectrum100)によりスペクトルを測定し、イソシアネート基が完全に消費されたことを確認し、ウレタンアクリレート(以下、「UA−1」という)を含むMEK溶液(固形分82%)を得た。
UA−1のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、Mwという)を、GPC(溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:Waters製HSPgel HR MB−L)により測定した結果、2,400、光弾性係数は11.6×10-12Pa-1であった。
○製造例2〔ウレタンアクリレートの製造〕
製造例1において、IPDI:151.4g、触媒としてジブチルスズジラウレート:0.07gを仕込み、アルコール溶液としてポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製デュラノールT−5651、数平均分子量1,000):20.3g、ポリカプロラクトントリオール(ダイセル化学工業(株)製)プラクセル303、数平均分子量300):18.2g、1,4−ブタンジオール:28.2g及びメチルエチルケトン(以下、「MEK」という):61.4gの混合溶液、ヒドロキシル含有アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」という):61.6g、重合禁止剤としてBHT:0.07g、ジブチルスズジラウレート:0.07g、MEK:6.4gの混合溶液とした以外は同様の操作を行い、ウレタンアクリレート(以下、「UA−2」という)を含むMEK溶液(固形分81%)を得た。
得られたUA−2のMwは、2,300であった。
○製造例3〔ウレタンアクリレートの製造〕
製造例1において、イソシアネートとしてIPDI:98.8g及びMEK:54.3g、ジブチルスズジラウレート:0.06gを仕込み、アルコール溶液としてスピログリコール(水酸基価:369mgKOH/g、P−Mn:304)〔三菱ガス化学(株)製SPG〕:89g及びT−5651:33.8g、MEK:21.8gの混合溶液、ヒドロキシル含有アクリレートとしてHEA:28.5g、重合禁止剤としてBHT:0.06g、ジブチルスズジラウレート:0.06g、MEK:7.5gの混合溶液とした以外は同様の操作を行い、ウレタンアクリレート(以下、「UA−3」という)を含むMEK溶液(固形分75%)を得た。
得られたUA−3のMwは、5,000であった。
○製造例4〔ポリマーの製造〕
攪拌機、温度計、冷却器を備えた1L反応容器に、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という):135g、アクリル酸メチル(以下、「MA」という):12g、メルカプトプロピオン酸(以下、「MPA」という):1.8g、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という):204gを仕込み、室温で均一に溶解させた。
フラスコの内容物を撹拌しながら、窒素雰囲気化で内温を92℃まで昇温し、内温が一定になった時点を0時間として、MMA:135g、MA:18g、MPA:2.7g、MIBK:24gの混合溶液を3時間かけて滴下し、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(和光純薬工業(株)製V−65、以下、「V−65」という):2.4g、MEK:54g、MIBK:12gの混合溶液も6時間かけて連続的に滴下した。
連続滴下終了後、内温を92℃に保って熟成を2時間行い、カルボキシル基含有プレポリマー溶液(固形分:51%)を得た。
この溶液を再び92℃に加熱し、5容量%の酸素を含む窒素を吹き込みながら180rpmで1時間撹拌した。その後、重合禁止剤としてBHT:0.07g、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド(以下、「TBAB」という):0.7g、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」という):2.8g、MEK:6gを加え、24時間加熱撹拌した。その後、酸価測定を行い、2mgKOH/g以下であることを確認し、反応を終了した。その結果、樹脂溶液「LP−1」(固形分:51%)を得た。
得られたLP−1のMwは、13,000であった。
○製造例5〔ポリマーの製造〕
攪拌機、温度計、冷却器を備えた1L反応容器に、MMA:38.4g、MA:6g、GMA:2.4g、V−65:1.2g、MEK:232.5g、を仕込み、室温で均一に溶解させた。
フラスコの内容物を撹拌しながら、窒素雰囲気化で内温を80℃まで昇温し、内温が一定になった時点を0時間として、MMA:216.9g、MA:24g、GMA:12.9gの混合溶液を4時間かけて滴下し、V−65:10.8g、MEK:67.5gの混合溶液も5時間かけて連続的に滴下した。
連続滴下終了後、内温を80℃に保って熟成を2時間行い、グリシジル基含有プレポリマー溶液(固形分:51%)を得た。
この溶液を再び80℃に加熱し、5容量%の酸素を含む窒素を吹き込みながら180rpmで1時間撹拌した。その後、重合禁止剤としてBHT:0.075g、触媒としてTBAB:1.56g、アロニックスM−5300(アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、分子量:300、カプロラクトンの平均重合度:2(東亞合成社製)):31.2g、MEK:1.3gを加え、24時間加熱撹拌した。その後、酸価測定を行い、2mgKOH/g以下であることを確認し、反応を終了した。その結果、樹脂溶液「LP−2」(固形分:51%)を得た。
得られたLP−2のMwは、11,000であった。
○溶液調整(活性エネルギー線硬化型組成物の調整)
製造例1〜同5で得られたウレタンアクリレート溶液及びポリマーと、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート〔共栄社化学(株)製DCP−A〕やトリメチロールプロパントリアクリレート〔東亞合成(株)製M−309〕を用いて、後記表1に示す割合でステンレス製容器に投入し、加温しながらマグネチックスターラーで均一になるまで撹拌し、組成物を得た。尚、表中の溶剤成分は、ウレタンアクリレート溶液及びポリマー溶液を使用して得られる組成物において、固形分を100とした場合の有機溶剤の組成物中の割合を意味する。
Figure 2015011180
1)実施例1〜2、比較例1〜2(電子線硬化による光学フィルムの製造)
(1)工程1
支持体として、東レ(株)製フィルム「ルミラー50−T60」(表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm、以下「ルミラー」という)を用いて、その上に配合例1及び同2、並びに比較配合例1及び同2の組成物をアプリケーターで塗工した。
その後、各組成物中の有機溶剤を揮発させるため、120℃で10〜30分間熱処理をした。乾燥被膜の膜厚は、40μmであった。
(2)工程2
工程1で得られた各組成物の乾燥被膜に対して、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射装置を用いて以下の条件で電子線照射し、硬化物を得た。
・硬化条件:加速電圧200kV、線量200kGy(ビーム電流及び搬送速度により調整)、酸素濃度300ppm以下
硬化物から支持体を剥がした後、以下の方法に従い、硬化収縮率、Re、Rth、光弾性係数、強度、引張弾性率を測定し、耐折曲性を評価した。
〔硬化収縮率測定方法〕
硬化前後の比重から硬化収縮率を算出した。
硬化前後の組成物の比重は、JIS K 6911に従い、23℃で測定した。
硬化収縮率(%)=(硬化後の比重−硬化前の比重)/(硬化後の比重)×100
硬化前の組成物の比重は、支持体を含む硬化物の比重と支持体の比重及び支持体の重量を測定することにより算出した。
〔位相差及び光弾性係数の測定方法〕
支持体を剥がした硬化物を用いて、位相差測定器(王子計測機器(株)製KOBRA-WR)を用いてRe(面内方向の位相差)及びRth(厚み方向の位相差)、光弾性係数を測定した。それらの結果を表2、3に示す。
〔機械強度及び引張弾性率測定方法〕
支持体を剥がした硬化物を用いて、インストロンジャパン製の引張試験機(インストロン5564)を用いて、JIS C 2318に従い23℃における破断強度を測定した(引張速度:100mm/分)。それらの結果を表2、3に示す。
JIS K 7161に従い、同条件で測定した値から引張弾性率を求めた。
E=(σ2−σ1)/(ε2−ε1)
E :引張弾性率
σ1:ひずみε1=0.0005において測定された引張応力
σ2:ひずみε1=0.0025において測定された引張応力
〔耐折曲試験方法〕
支持体を剥がした硬化物を用いて、折り目を付けて180°に折り曲げた。次に、反対側に折り目を付けて折り曲げたときの状態を以下の基準で評価した。それらの結果を表3に示す。
○:硬化物が破断しなかった
×:硬化物が破断した
Figure 2015011180
Figure 2015011180
実施例1及び同2の製造方法で得られた光学フィルムは、重合に伴う硬化収縮率と、硬化物の引張弾性率と、光弾性係数と、硬化物膜厚の積が−6nm以上6nm以下であり、ReやRthは、−4nm以上4nm以下になり、視野角特性に優れるものであった。又、それら硬化物の破断強度は50MPa以上で、且つ破断伸度が2%以上であり、機械特性に優れるものであった。
これに対して、比較例1〜2の製造方法で得られた光学フィルムは、重合に伴う硬化収縮率と、硬化物の引張弾性率と、光弾性係数と、硬化物膜厚の積が6nm以上であり、Rthが4nm以上と大きくなり、視野角特性を良好にすることができなかった。
本発明の製造方法で得られた光学フィルムは、低位相差であり、高視野角性能で且つ高画質が求められるIPS液晶用の偏光子保護フィルムの用途において好適に使用される。

Claims (7)

  1. 下記工程1及び工程2を含み、これら工程を順次実施する製造方法であって、
    活性エネルギー線硬化型組成物として、(A)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含み、硬化収縮率、硬化物の引張弾性率、光弾性係数及び硬化物膜厚の積が−6nm以上6nm以下である組成物を用いる
    面内方向の位相差及び厚み方向の位相差が−4nm以上4nm以下の透明硬化物からなる光学フィルム状又はシートの製造方法。
    工程1:活性エネルギー線硬化型組成物を支持体上に、塗工又は流し込む工程。
    工程2:組成物の塗工被膜又は乾燥被膜に活性エネルギー線を照射してフィルム状又はシート状硬化物(以下、単に「硬化物」という)を製造する工程。
  2. 硬化物の降伏強度又は破断強度が50MPa以上で且つ破断伸度が2%以上である請求項1記載の光学フィルム又はシートの製造方法。
  3. 活性エネルギー線硬化型組成物が(A)成分として2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A−1)を含む請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム又はシートの製造方法。
  4. 前記(A−1)成分が、芳香族基を有しない化合物である請求項3に記載の光学フィルム又はシートの製造方法。
  5. 前記(A−1)成分が、数平均分子量が500未満のポリオール、無黄変型有機ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが同(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物を含む請求項4に記載の光学フィルム又はシートの製造方法。
  6. 前記活性エネルギー線硬化型組成物が、さらに有機溶剤を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルム又はシートの製造方法。
  7. 工程2における活性エネルギー線が電子線である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光学フィルム又はシートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017078155A (ja) * 2015-05-21 2017-04-27 株式会社巴川製紙所 保護フィルム、フィルム積層体、および偏光板
JP2017156508A (ja) * 2016-03-01 2017-09-07 コニカミノルタ株式会社 転写部材

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